説明

半導体発光素子

【課題】 光取出し効率を向上させることが可能な半導体発光素子を提供する。
【解決手段】 発光層構成部30と、発光層構成部30のp型の主面に一体的に接合し、発光層構成部30に近い側で幅が広く遠い側で狭くなるように傾斜した外側面を有し、電流を流せる透明なp型GaPウェーハ11と、p型GaPウェーハ11の発光層構成部30に接合した面とは異なる面に配設されたp側電極41と、発光層構成部30のn型の主面に一体的に接合し、発光層構成部30に近い側で幅が広く遠い側で狭くなるように傾斜した外側面を有し、電流を流せる透明なn型GaPウェーハ12と、n型GaPウェーハ12の発光層構成部30に接合した面とは異なる面に配設されたn側電極42と、p型GaPウェーハ11に、p側電極41とn側電極42とを介して発光層構成部30の接合した面の中央部に集中的に電流を流すように形成された反転層21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子に関し、特に光取出し効率の改善を目指す半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示用等に幅広く応用されるInGaAlP系材料を用いた可視領域の半導体発光素子が種々提案されている。従来の半導体発光素子は、例えば、n型GaAs基板の上に、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層を順次エピタキシャル成長させたInGaAlP系のダブルヘテロ構造部を形成し、n型GaAs基板下面にn側電極を形成し、p型クラッド層上のコンタクト層にp側電極を設けている。
【0003】
このダブルへテロ構造部を形成する、活性層、及びn型/p型クラッド層のバンドギャップ及び格子定数を設計値に合わせて、最適に選ぶことによって、キャリアを閉じ込めて効率よく可視光領域内で所望の波長で発光させることができる。
【0004】
例えば、エピタキシャル成長する活性層の組成を、In0.5(Ga1−XAl0.5P、n型/p型クラッド層の組成をIn0.5(Ga1−YAl0.5Pとした時、XあるいはYを適当に選択することにより、赤色帯から緑色帯の発光が得られる。
【0005】
また、InGaAlP系のダブルへテロ半導体発光素子には、基板の入手や格子整合の取り易さ等の関係で、最も一般的なGaAs基板が利用されている。しかしながら、GaAsのバンドギャップ波長が0.87μmにあるため、約0.87μm以下の、いわゆる可視光の吸収係数は大きくなり、GaAs基板を用いた可視光半導体発光素子では、発光した光の約半分がGaAs基板に吸収されて輝度が低下する。
【0006】
GaAs基板による発光した可視光の吸収を避けるためには、可視光に透明な材料を基板に用いればよい。一般的な透明半導体材料として、GaPがある。しかしながら、GaP基板はInGaAlP系材料とは格子整合が取れないために、良好なエピタキシャル結晶を成長することが難しい。そのために、GaAs基板上に成長したInGaAlP系エピタキシャル層とGaP基板とを、ウェーハ同士で直接接着し、その後、GaAs基板を除去してなる半導体発光素子が提案されている。
【0007】
この半導体発光素子によれば、接着した透明なGaP基板を使用することによって、発光した可視光の吸収を抑制することができるので、GaAs基板を使用した場合に比較して輝度の低下を防ぐことができる。更に、輝度すなわち光取出し効率を高くするために、ほぼ半球状の透明なp型GaP接着基板と、ほぼ半球状の透明なn型GaP接着基板と、これらに挟まれたエピタキシャル層からなる発光ダイオード層(後述の発光層構成部に相当)とにより、全体をほぼ球状とした半導体発光素子が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
この開示された半導体発光素子は、発光した可視光が基板で吸収される割合はずっと少なくなり、また、外形を球状としているので球の中心付近の中央部で発光した可視光が半導体発光素子の外側に取出せる割合も大きくなると期待される。しかしながら、中心から外れた球面近くに位置する発光層で発光した光は、球面に入射する角度が90度から大きくずれてしまう割合が増えるため、半導体発光素子の外側に取出せる光は少なくなる。すなわち、注入した電流は、球状の外形により効率よく外側に取出せる球の中央部で発光するために使用される割合は多いが、球状の外形にしても効率よく外側に取出すことが出来ない球面近傍に位置する発光層にも流れるために、注入電流に対して、輝度が十分でないという問題が発生する。言い換えると、注入電力に対して取出せる光量が低いということが問題であった。
【特許文献1】特開2002−190619号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、光取出し効率を向上させることが可能な半導体発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の半導体発光素子は、特定の波長で発光可能なpn接合を有する発光層構成部と、前記発光層構成部の第1導電型の主面に一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第1導電型の半導体基板と、前記第1導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第1導電型の半導体基板の面に配設された第1導電側電極と、前記発光層構成部の第2導電型の主面に一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第2導電型の半導体基板と、前記第2導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第2導電型の半導体基板の面に配設された第2導電側電極とを備え、前記第1導電型及び第2導電型の半導体基板の少なくとも一方には、第1導電側電極と第2導電側電極とを介して前記発光層構成部の接合した面の中央部に集中的に電流を流すように不純物が導入された半導体層が、所定の領域に選択的に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別の態様の半導体発光素子は、特定の波長で発光可能なpn接合を有する発光層構成部と、前記発光層構成部の第1導電型の主面の中央部に突起部が一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第1導電型の半導体基板と、前記第1導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第1導電型の半導体基板の面に配設された第1導電側電極と、前記発光層構成部の第2導電型の主面に一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第2導電型の半導体基板と、前記第2導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第2導電型の半導体基板の面に配設された第2導電側電極とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光取出し効率を向上させることが可能な半導体発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。以下に示す図では、同一の構成要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る半導体発光素子について、その製造方法も加えて、図1乃至図3を参照しながら説明する。図1は半導体発光素子の構造を模式的に示すもので、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図であり、図1(a)は図1(b)のA−A線に沿った断面図、図1(c)はエピタキシャル層の部分を拡大した部分断面図である。図2は半導体発光素子の製造方法を工程順に模式的に示す層構造断面図、図3は、図2に示す工程に引き続き、半導体発光素子の製造方法を工程順に模式的に示す層構造断面図である。
【0015】
まず、図1に示すように、半導体発光素子1の主要部は、活性層を含む発光層構成部30、この発光層構成部30の一方の主面に接合し、接合面近傍の周辺部にn型の反転層21を形成し、接合面から遠ざかるほど幅の狭くなる外側面を有する第1導電型の半導体基板であるp型GaPウェーハ11、この発光層構成部30の他方の主面に接合した第2導電型の半導体基板であるn型GaPウェーハ12、p型GaPウェーハ11の発光層構成部30に対向する反対側の面に形成したp側電極41、及び、n型GaPウェーハ12の発光層構成部30に対向する反対側の面に形成したn側電極42を備えている。更に、半導体層である反転層21は、発光層構成部30に接してp型GaPウェーハ11層に形成されている。
【0016】
詳しくは、図1(a)に示す図面の上側、すなわち、発光層構成部30の上側の主面に接合する通電可能なキャリア濃度を有するp型GaPウェーハ11の中央部は矩形をしている。この矩形をしたp型の中央部の発光層構成部30に沿った周囲且つ発光層構成部30に近い部分は、例えばイオン注入で導電型がn型に反転された反転層21となっている。この発光層構成部30に接触する反転層21は、図1(b)の破線に示すように、発光層構成部30に沿って矩形の境界をなす。この矩形の面積は、反転層21を含む発光層構成部30に接合する全面に対して概略1/4〜1/10が好ましく、本実施例では約1/6である。
【0017】
p型GaPウェーハ11の外形は、発光層構成部30に平行なp側電極41形成面、発光層構成部30に垂直な4面、及びこの垂直な4面とp側電極41形成面にそれぞれ概略120度の角度をなすように形成された4面から構成される多面体である。
【0018】
図1(a)に示す図面の上下方向の中央部にある発光層構成部30は、エピタキシャル成長層で構成される。図1(c)に示すように、発光層構成部30は、中央部に活性層35、その一面に設けられたp型クラッド層36、このp型クラッド層36表面に設けられた第1の接着層37、活性層35の一面に対向する他面に設けられたn型クラッド層34、このn型クラッド層34表面に設けられた第2の接着層33からなる。なお、第1の接着層37と第2の接着層33の両者、または一方を省略することは可能である。
【0019】
図1(a)に示す図面の下側、すなわち、発光層構成部30の下側の主面に接合する通電可能なキャリア濃度を有するn型GaPウェーハ12は、p型GaPウェーハ11を発光層構成部30に対して概略面対称に置いた関係にある。n型GaPウェーハ12の発光層構成部30に垂直な4面は、p型GaPウェーハ11の発光層構成部30に垂直な4面と、それぞれ同一平面をなすように形成されている。従って、外見上、発光層構成部30に垂直な面は4個と見なせて、その結果、半導体発光素子1の外形は概略14面体構造となる。
【0020】
次に、半導体発光素子1の構成要素の詳細を半導体発光素子1の製造工程に従って、図2及び図3を参照ながら説明する。図2(a)に示すように、例えば、周知のMOCVD装置等を使用して、エピタキシャル成長層を形成する。
【0021】
3インチ(約76mm)径のウェーハ状のSiドープされたn型GaAs基板28を用意して、その表面にn型GaAsからなる約0.5μm厚のバッファ層31、その表面にn型InAlPからなる約0.05μm厚のエッチング停止層32、その表面にn型InGaPからなる約0.05μm厚の第2の接着層33、その表面にn型InGaAlPからなる約0.6μm厚のn型クラッド層34、その表面に約0.4μm厚のInGaAlPからなる活性層35、その表面にp型InGaAlPからなる約0.6μm厚のp型クラッド層36、その表面にp型GaAsからなる約0.05μm厚の第1の接着層37、そして、その表面にInAlPからなる約0.15μm厚のカバー層38がエピタキシャル成長されている。
【0022】
これらのエピタキシャル成長層は、必要に応じて、MQW構造の活性層としてもよいし、電流拡散層等を加えても差し支えなく、また、例えば、n型/p型クラッド層34、36は3元層に置き換えることも可能である。
【0023】
次に、図2(b)に示すように、p型GaPウェーハ11を第1の接着層37に接着する。まず、3インチ径、250μm厚で、3E17/cm3の濃度にZnドープされたp型GaPウェーハ11は、個片化されたとき発光素子として電流経路となる領域を確保するようにパターニングされ、矩形の電流経路となる領域の周囲の領域には、例えばSiをイオン注入してn型の反転層21を形成して、予め準備される。
【0024】
エピタキシャル成長されたn型GaAs基板28は、ウェーハ状態でMOCVD装置から取り出され、表面のカバー層38は、例えば、リン酸でエッチング除去されて、第1の接着層37が表面に露出される。
【0025】
準備されたp型GaPウェーハ11は、界面活性剤で洗浄し、希弗酸に浸漬して表面の自然酸化膜を除去し、水洗をした後スピナで乾燥される。一方の第1の接着層37は、p型GaPウェーハ11と同じく表面を希弗酸処理されて自然酸化膜の除去が行われ、水洗後スピナで乾燥される。
【0026】
次に、第1の接着層37を上向きに置き、その上に、p型GaPウェーハ11の接着させる表面が下向きになるように載置して、第1の接着層37とp型GaPウェーハ11とを室温で接着させる。第1の接着層37とp型GaPウェーハ11との接着の強度を上げるために、例えば、水素を10%含むアルゴン雰囲気、300℃の炉の中に1時間入れて1回目の熱処理を行う。1回目の熱処理温度は150℃以上600℃未満の範囲が望ましく、200℃以上500℃以下がより望ましい。接着強度増加の効果は150℃から得られ始め、200℃以上で顕著となる。また500℃を越えると、n型GaAs基板28とp型GaPウェーハ11との熱膨張差が大きくなり熱処理中にp型ウェーハ11にスリップが発生することがある。600℃以上では半数以上にスリップが発生する。
【0027】
次に、図2(c)に示すように、エピタキシャル成長基板として使用したn型GaAs基板28側の発光及び接着に関わらない部分を除去する。p型GaPウェーハ11に接着して一体化したn型GaAs基板28側のn型GaAs基板28及びバッファ層31を、アンモニアと過酸化水素水の混合液でエッチング除去する。その後、エッチング停止層32を、例えば70℃のリン酸でエッチング除去し、第2の接着層33を表面に露出させる。
【0028】
次に、図2(d)に示すように、第2の接着層33は、界面活性剤で洗浄され、希弗酸に浸漬して表面の自然酸化膜を除去され、水洗後、スピナで乾燥される。3インチ径、250μm厚で、3E17/cm3の濃度にSiドープされたn型GaPウェーハ12は、上述のp型GaPウェーハ11と同様に処理されて、第2の接着層33を上向きに置き、その上にn型GaPウェーハ12の接着させる表面が下向きになるように載置して、第2の接着層33とn型GaPウェーハ12とを室温で接着させる。
【0029】
その後、例えば、水素を10%含むアルゴン雰囲気、800℃の炉の中に1時間入れて2回目の熱処理を行って、第2の接着層33とn型GaPウェーハ12との間、及び、第1の接着層37とp型GaPウェーハ11との間を接合して、機械的強度及び電気的接合が十分取れる状態にする。この段階で、エピタキシャル層からなる発光層構成部30をp型及びn型GaPウェーハ11、12で両面から接合した構造体が出来る。
【0030】
なお、2回目の熱処理温度は600℃〜900℃の範囲が望ましい。600℃未満では接着界面の接合反応が不十分なため機械的強度が不足し、また電気的抵抗が高い状態のままである。逆に900℃を越えると原子の拡散により発光層構成部30の構造が崩れ、輝度が極端に低下する。
【0031】
次に、図3(a)に示すように、p型GaPウェーハ11及びn型GaPウェーハ12の発光層構成部30に平行な外側面上に電極を形成する。p型GaPウェーハ11の発光層構成部30に沿った矩形の電流経路となるp型の領域に対向するp型GaPウェーハ11の外側面に、パターニングして、AuZn/Auを堆積させて、熱処理を行いp側電極41を形成する。
【0032】
次に、n型GaPウェーハ12のp側電極41と対向するn型GaPウェーハ12の外側面に、パターニングして、AuGe/Auを堆積させて、熱処理を行いn側電極42を形成する。p側及びn側電極41、42共に、隣接する電極との間隔は500μmで、p側電極41は100μm径の円形、n側電極42は一辺200μmの矩形である。
【0033】
次に、図3(b)及び図3(c)に示すように、p側及びn側電極41、42を設けた構造体を個々の半導体発光素子1に個片化する。p側及びn側電極41、42は、それぞれが形成された面の個片化後の中心位置に配置されている。個片化には、ブレード先端の角度が60度のV字型断面を有するダイヤモンドブレード(図示略)を用意し、ダイサー(図示略)を使用して、電極を設けた構造体の一方の面から、碁盤目状になるように、例えば、深さ約240μmのV字型の溝を形成する。なお、V字型の溝を形成する側の反対側は、例えば、粘着テープ(図示略)で保護されている。
【0034】
次に、構造体の他方の面から、碁盤目状になるように、例えば、深さ約240μmのV字型の溝を形成する。両面から形成されたV字型の溝は、発光層構成部30を間に置いて、図面の上下に対向した位置関係にある。V字型の溝が対向して、分離されずに残された部分は、例えば、反対側に貼り変えた粘着テープ(図示略)上で劈開により分離される。この結果、図1に示すような半導体発光素子1が完成する。
【0035】
この半導体発光素子1は、p側電極41とn側電極42を、それぞれ、駆動のための外部電源と接続可能な状態にした後、通常、エポキシ系樹脂(図示略)で封止されて使用される。
【0036】
以上のようにして形成された半導体発光素子1のp側電極41とn側電極42から通電すると、電流は、反転層21の部分で遮断されるので、反転層21のないp型の部分を選択的に流れることになる。その結果、電流経路は発光層構成部30の中央部に絞られる。従って、注入されたキャリアがこの発光層構成部30の中央部の活性層35で集中的に再結合して、発光する。中央部の発光部の面積は、発光層構成部30の接合面の約1/6である。活性層35から四方八方に発光する光は、発光層構成部30から、実質的に透明な接合されたp型及びn型GaPウェーハ11、12に入射して、p型及びn型GaPウェーハ11、12の外形を構成する界面に進む。
【0037】
GaPウェーハからエポキシ系樹脂に光を取り出す場合、周知のように、屈折率差があるために、入射角が約27度(臨界角)以下であることが必要である。例えば、中央部に絞られた発光層構成部30から概ね垂直方向に発光する光は、臨界角約27度以下で、発光層構成部30に平行なp側あるいはn側電極41、42が形成された界面から外部に取り出され、一部は、p側あるいはn側電極41、42で反射されて反対方向から外部に取り出される。また、中央部に絞られた発光層構成部30から、p側あるいはn側電極41、42が形成された界面から概略120度をなす斜面方向に放射された光は、臨界角約27度以下で入射する割合が高く、斜面から外部に取り出される。
【0038】
比較のために、半導体発光素子1で反転層21を形成せず、他の構成を全て半導体発光素子1と同様にした第1比較半導体発光素子(図示略)を作製した。半導体発光素子1の注入電力に対する輝度、すなわち光取出し効率は、第1比較半導体発光素子より約25%良いことが分かった。この結果、光取出し効率が重要な携帯用機器等に対して、より広い応用が可能となる。
【0039】
半導体発光素子1では、p側電極41とn側電極42を結ぶ電流経路を反転層21で狭めて、発光部を発光層構成部30の中央部に絞ることにより、光取り出し効率の向上が実現できた。なお、電流経路の絞込みを反転層21を設けることで行ったが、例えば、イオン注入量あるいはイオン種を最適に選択して、反転層21に相当する位置に高抵抗層を形成しても、電流経路の絞込みを実現できる。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2に係る半導体発光素子について、図4を参照しながら説明する。図4は半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図である。図4に示すように、実施例1とは、p型GaPウェーハに突起部を形成して、これを発光部構成層の中央部に接着していることが異なっている。以下、実施例1と同一構成部分には同一の符号を付して、その説明は省略し、異なる構成部分について説明する。
【0041】
まず、図4に示すように、半導体発光素子2の主要部は、活性層を含む発光層構成部30、この発光層構成部30の一方の主面の中央部に接合する突起部22を有する第1導電型であるp型GaPウェーハ13、この発光層構成部30の他方の主面に接合する第2導電型であるn型GaPウェーハ12、p型GaPウェーハ13の発光層構成部30に対向する反対側の面に形成したp側電極41、及び、n型GaPウェーハ12の発光層構成部30に対向する反対側の面に形成したn側電極42を備えている。外形形状は、発光層構成部30に隣接して細い隙間が付加されている他は実施例1と同様である。
【0042】
詳しくは、図4に示す図面の上側、すなわち、発光層構成部30の上側の主面の中央部に、突起部22を形成された通電可能なキャリア濃度を有するp型GaPウェーハ13が、突起部22を介して接合されている。このp型GaPウェーハ13の突起部22は、残すべき突起部22の周囲部分に、例えばエッチングによる窪みを付けることによって形成される。p型GaPウェーハ13は、接合部の突起部22とその周囲の窪みを除くと、発光層構成部30に平行なp側電極41形成面、発光層構成部30に垂直な4面、及びこの垂直な4面とp側電極41形成面にそれぞれ概略120度の角度をなすように形成された4面からなる多面体である。
【0043】
これらのp型及びn型GaPウェーハ13、12を使用した半導体発光素子2の製造方法は、実施例1と同様である。
【0044】
以上のようにして形成された半導体発光素子2のp側電極41とn側電極42から通電すると、電流は、突起部22を介して発光層構成部30の中央部を流れることになる。その結果、電流経路は発光層構成部30の中央部に絞られることになり、実施例1と同様な効果を得ることができ、半導体発光素子2の注入電力に対する輝度、すなわち光取出し効率は、実施例1とほとんど同様となる。
【実施例3】
【0045】
本発明の実施例3に係る半導体発光素子について、図5を参照しながら説明する。図5は半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図である。図5に示すように、実施例1とは、発光部構成層の中央部に接して半導体層である高キャリア濃度層を形成したことが異なっている。以下、実施例1と同一構成部分には同一の符号を付して、その説明は省略し、異なる構成部分について説明する。
【0046】
まず、図5に示すように、半導体発光素子3の主要部は、活性層を含む発光層構成部30、この発光層構成部30の一方の主面に接合する第1導電型であるp型GaPウェーハ15、この発光層構成部30の他方の主面に接合し、接合面の中央部にn型の高キャリア濃度層23を形成した第2導電型であるn型GaPウェーハ16、p型GaPウェーハ15の発光層構成部30に対向する反対側の面に形成したp側電極41、及び、n型GaPウェーハ16の発光層構成部30に対向する反対側の面に形成したn側電極42を備えている。外形形状は、実施例1と同様である。
【0047】
詳しくは、図5に示す図面の上側、すなわち、発光層構成部30の上側の主面に接触して、通電可能なキャリア濃度を有するp型GaPウェーハ15が接合されている。p型GaPウェーハ15は、発光層構成部30に平行なp側電極41形成面、発光層構成部30に垂直な4面、及びこの垂直な4面とp側電極41形成面にそれぞれ概略120度の角度をなすように形成された4面からなる多面体である。
【0048】
図5に示す図面の下側、すなわち、発光層構成部30の下側の主面に接合するn型GaPウェーハ16中心部の領域には、n型不純物を高濃度にドープした高キャリア濃度層23を形成し、比較的低いキャリア濃度を有する周辺部に比較して電流が集中される様に形成されている。
【0049】
ここで、高キャリア濃度層23を形成することによって、発光部構成層30の中央部に電流が集中する機構について、発明者等が得た知見について説明する。中央部に電流が集中する機構は、単に高キャリア濃度で抵抗が低いためだけではなく、接着界面のキャリア濃度が高いことに関係している。本実施例のn型GaPウェーハ16と発光部構成層30とを接着そして接合する場合には、接着界面のキャリア濃度が、接着界面を横断して通電する時の抵抗値に大きく影響する。すなわちキャリア濃度を高く、一般には1E18/cm3以上にすれば界面抵抗は検出できないほど小さくすることができる。
【0050】
一方、1E18/cm3に達しない比較的低キャリア濃度の場合は界面抵抗が顕著となり、例えば1E17/cm3では3〜4Vの印加電圧まで電流が立ち上がらなくなる。この機構は完全には解明されていないが、接着界面には電気的な欠陥が多数存在しキャリアを捕獲するため、十分な数のキャリアで欠陥を埋める必要があるものと思われる。また、本実施例のように異種の材料を接着する場合は、接着界面の両側でバンドギャップが異なるためキンクと呼ばれる障壁層が発生するのも一因と思われる。この機構は、ウェーハ同士の接着においても、他の導電型においても関係すると考えられる。
【0051】
従って、通電したい部分の接着界面のキャリア濃度を高めておけば、望ましくは1E18/cm3以上に高めておけば、この部分に電流を集中することができる。
【0052】
この発光層構成部30に接合する高キャリア濃度層23は、発光層構成部30に沿った広がり方向が概略矩形の境界を有し、その面積は発光層構成部30に接合する全面に対して概略1/4〜1/10が好ましく、本実施例では約1/6である。n型GaPウェーハ16の発光層構成部30に垂直な4面は、p型GaPウェーハ15の発光層構成部30に垂直な4面と、それぞれ同一平面をなすように形成されている。従って、外見上、発光層構成部30に垂直な面は4個と見なせて、その結果、半導体発光素子3は概略14面体構成となる。
【0053】
そして、p型GaPウェーハ15は、250μm厚で、3E17/cm3の濃度にZnドープされている。一方、n型GaPウェーハ16は、250μm厚で、3E17/cm3の濃度にSiドープされ、発光層構成部30との接合面に沿った中央部の領域には、例えば、Siを1E18/cm3以上にドープした高キャリア濃度層23が形成されている。これらのp型及びn型GaPウェーハ15、16を使用した半導体発光素子3の製造方法は、実施例1と同様である。
【0054】
以上のようにして形成された半導体発光素子3のp側電極41とn側電極42から通電すると、電流は、低抵抗の高キャリア濃度層23を選択的に流れることになる。その結果、電流経路は発光層構成部30の中央部に絞られる。従って、注入されたキャリアがこの発光層構成部30の中央部の活性層35で集中的に再結合して、発光する。中央部の発光部の面積は、発光層構成部30の接合面の約1/6となる。四方八方に発光する光は、発光層構成部30から、実質的に透明な両側のp型及びn型GaPウェーハ15、16に入射して、p型及びn型GaPウェーハ15、16の外形を構成する界面に進む。
【0055】
半導体発光素子3は、電流経路を発光層構成部30の中央部に絞る手段が実施例1と異なる他は、実施例1と同様な構造を有している。その結果、半導体発光素子3の注入電力に対する輝度、すなわち光取出し効率は、実施例1とほとんど同様である。
【0056】
p側電極41とn側電極42を結ぶ電流経路を低抵抗の高キャリア濃度層23で流れ易くして、発光部を発光層構成部30の中央部に絞ることにより、光取り出し効率の向上が確認できた。なお、高キャリア濃度層23をn型GaPウェーハ16に形成する例を示したが、高キャリア濃度層(図示略)をp型GaPウェーハ16に形成することは可能である。また、高キャリア濃度層をp型及びn型GaPウェーハ15、16のそれぞれに形成しても差し支えない。
【実施例4】
【0057】
本発明の実施例4に係る半導体発光素子について、その製造方法も加えて、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図、図7は半導体発光素子の製造途中工程における構造を模式的に示す平面図である。図6に示すように、実施例1とは、外形形状が概略球状、発光層構成部の主面に接触するp型GaPウェーハ中心部が円形、及びn側電極が円形に形成されていること等が異なっている。以下、実施例1と同一構成部分には同一の符号を付して、その説明は省略し、異なる構成部分について説明する。
【0058】
まず、図6に示すように、半導体発光素子4の主要部の構成要素は、発光層構成部40の主面に接合するp型GaPウェーハ17中央部の形状、n側電極44形状、及び外形形状等を除いて実施例1と同様である。
【0059】
詳しくは、図6に示す図面の上側、すなわち、発光層構成部40の上側の主面に接合する通電可能なキャリア濃度を有するp型GaPウェーハ17中央部は円形をしている。この円形をしたp型GaPウェーハ17中央部の発光層構成部40に沿った周囲の領域は、例えばイオン注入で導電型がn型に反転された反転層25が形成されている。反転層25は、発光層構成部40に沿って円形の境界をなし、この円形の面積は、反転層25を含む発光層構成部40に接合する全面に対して概略1/4〜1/10が好ましく、本実施例では約1/6である。発光層構成部40に平行なp側電極41形成面以外の面は、概略球面をなすように形成された半球形状である。
【0060】
図6に示す図面の上下方向の中央部にある発光層構成部40は、実施例1と同様なエピタキシャル成長層で構成される。発光層構成部40の半導体発光素子4外形を構成する部分は、近似的に、発光層構成部40の層厚に相当する長さを有する薄い円柱をなす以外は実施例1と同様である。
【0061】
図6に示す図面の下側、すなわち、発光層構成部40の下側の主面に接合する通電可能なキャリア濃度を有するn型GaPウェーハ18は、発光層構成部40に平行なn側電極44形成面以外の面は、概略球面をなすように形成された半球形状である。従って、外見上、半導体発光素子4は、発光層構成部40に平行なp側及びn側電極41、44を除いて、概略球面で構成される。
【0062】
次に、半導体発光素子4の構成要素の詳細を製造工程に沿って説明すると、個片化する前の工程まで、概ね実施例1の製造方法を使用することによって実現できる。ただし、発光層構成部40の主面に接触し、周囲を反転層25によって囲まれたp型GaPウェーハ17中央部の形状が円形なので、これを実現するパターニング形状に変更する必要があり、同様に、n側電極44形状が円形なので、これを実現するパターニング形状に変更する必要がある。
【0063】
更に、最終的な球形近似の半導体発光素子4に近づけるために、例えば、ダイシングを互いに60度で交わる方向に3方向で行うことができる形状、すなわち、図7に示すように、平面図上で6角形の外形を有する配置に合わせるように、個々の半導体発光素子構造体7の配置パターンを変更する。この場合、隣接する3個の半導体発光素子構造体7で挟まれた中間に、平面図上、3角形の切捨て部51が生じる配置となる。
【0064】
そして、図7に示すように、p側及びn側電極41、44を設けた半導体発光素子構造体7を個片化する。なお、p側及びn側電極41、44共に、隣接する電極の間隔は約577μmで、p側電極41は100μm径の円形、n側電極44は200μm径の円形である。p側及びn側電極41、44は、それぞれが形成された面の個片化後の中心位置に配置される。
【0065】
個片化には、p型GaPウェーハ17側では、ブレード先端の角度が約70度のV字型断面を有するダイヤモンドブレード(図示略)を用意し、ダイサー(図示略)を使用して、互いに60度で交差する方向に、例えば、深さ約250μmのV字型の溝を形成する。この時、V字型の溝を形成する側の反対側は、例えば、粘着テープ(図示略)で保護されている。
【0066】
次に、n型GaPウェーハ18側では、ブレード先端の角度が約60度のV字型断面を有するダイヤモンドブレードを用意し、ダイサーを使用して、互いに60度で交差する方向に、例えば、深さ約250μmのV字型の溝を形成する。V字型の溝が深さ約250μmに達した時、対向した位置関係にある反対側のV字型の溝に達して、切断線に沿って半導体発光素子構造体7が分離される。すなわち、図7に示すような平面図上で6角形、概略14面体の個片化された半導体発光素子構造体7が、反対側に貼り変えた粘着テープ(図示略)上に出来上がる。なお、V字型の溝を形成する深さは、実施例1のように両側から約240μmずつまでとして、最後に、劈開あるいは応力をかけたブレイキングで分離しても差し支えない。
【0067】
次に、個々に分離された粘着テープ上の半導体発光素子構造体7は、粘着テープを引き伸ばすことにより、間隔が大きく離されて、その後、塩酸系のエッチング液によりエッチングされる。多面体である半導体発光素子構造体7の角や辺等が相対的に速くエッチングされるので、結果として、多面体は球面形状に近づき、図6に示すような概略球面形状の半導体発光素子4を得る。
【0068】
この半導体発光素子4は、p側電極41とn側電極44を、それぞれ、駆動のための外部電源と接続可能な状態にした後、通常、エポキシ系樹脂(図示略)で封止されて使用される。
【0069】
以上のようにして形成された半導体発光素子4のp側電極41とn側電極44から通電すると、電流は、実施例1と同様に、発光層構成部40の中央部に絞られ、発光する。例えば、中央部に絞られた発光層構成部40から発光する多くの光は、臨界角約27度以下で、発光層構成部30に平行なp側あるいはn側電極41、44が形成された界面及び球面から外部に取り出され、一部は、p側あるいはn側電極41、44で反射されて反対方向から外部に取り出される。
【0070】
比較のために、半導体発光素子4で反転層25を形成せず、他の構成を全て半導体発光素子4と同様にした第2比較半導体発光素子(図示略)を作製した。半導体発光素子4の注入電力に対する輝度、すなわち光取出し効率は、第2比較半導体発光素子より約25%良いことが分かった。また、実施例1で作製した半導体発光素子1と比較すると、半導体発光素子4の光取出し効率は、半導体発光素子1より約20%良いことが分かった。この結果、電流経路を発光層構成部40の中央部に絞ることによる光取出し効率の改善の効果は、半導体発光素子4の外形を多角形外形から概略球状外形に形状変更することによる光取出し効率の改善と同等かそれ以上の効果であることが分かった。
【0071】
半導体発光素子4では、p側電極41とn側電極44を結ぶ電流経路を反転層25で狭めて、発光部を発光層構成部40の中央部に絞り、概略球状外形とすることにより、注入電力に対する発光効率の更なる向上が確認できた。なお、電流経路の絞込みを実施例3で採用した高キャリア濃度層を形成することによって行うことは可能である。
【0072】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々、変形して実施することができる。
【0073】
例えば、実施例では、発光層構成部との接合面近傍のGaPウェーハの周辺部に形成された反転層とする手段、あるいは中央部に形成された高キャリア濃度層とする手段を別々に示した。これらの両手段が同時に適用されても、電流経路の絞込みにプラスになることはあってもマイナスになることはない。つまり、発光層構成部の両主面に接触するp型及びn型GaPウェーハの、少なくとも一方のGaPウェーハに、少なくとも1つの手段を用いることにより、電流経路の絞込みを実行できる。従って、これらの手段を、p型及びn型GaPウェーハに適宜組み合わせて使用することは差し支えない。また、周辺部に形成された反転層の代わりに、中央部に形成された突起部(周辺部に形成された窪み)を使用する手段を組み合わせることが可能である。
【0074】
発光層構成部で発光する光に透明な半導体基板として、p型あるいはn型GaPウェーハを使用する例を示したが、発光する波長に透明で、導電性を有する半導体基板であれば、GaP以外のものでも差し支えない。
【0075】
また、不純物導入による反転層あるいは高キャリア濃度層の形成は、イオン注入の他、熱拡散あるいはプラズマドーピング法等で行うことは可能である。いずれの場合も、半導体基板側に不純物を導入することで、電流経路を発光層構成部の中央部に絞る手段を発光層構成部側に形成する場合とは異なり、発光層構成部の変質に伴って発光する光の波長等への影響を招くおそれを回避しながら、容易に電流経路の絞込みを実行することができる。
【0076】
概略球状の半導体発光素子外形を形成するために、その前段階の半導体発光素子構造体の平面図形状を6角形とする例を示したが、例えば、8角形あるいはその他の多角形であっても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体発光素子の構造を模式的に示すもので、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図であり、図1(a)は図1(b)のA−A線に沿った断面図、図1(c)は部分断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体発光素子の製造方法を工程順に模式的に示す層構造断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体発光素子の製造方法を工程順に模式的に示す層構造断面図。
【図4】本発明の実施例2に係る半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図。
【図5】本発明の実施例3に係る半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図。
【図6】本発明の実施例4に係る半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図。
【図7】本発明の実施例4に係る半導体発光素子の製造途中工程における構造を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
【0078】
1、2、3、4 半導体発光素子
7 半導体発光素子構造体
11、13、15、17 p型GaPウェーハ
12、16、18 n型GaPウェーハ
21、25 反転層(n型)
22 突起部
23 高キャリア濃度層
28 n型GaAs基板
30、40 発光層構成部
31 バッファ層
32 エッチング停止層
33 第2の接着層
34 n型クラッド層
35 活性層
36 p型クラッド層
37 第1の接着層
38 カバー層
41 p側電極
42、44 n側電極
51 切捨て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の波長で発光可能なpn接合を有する発光層構成部と、
前記発光層構成部の第1導電型の主面に一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第1導電型の半導体基板と、
前記第1導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第1導電型の半導体基板の面に配設された第1導電側電極と、
前記発光層構成部の第2導電型の主面に一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第2導電型の半導体基板と、
前記第2導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第2導電型の半導体基板の面に配設された第2導電側電極とを備え、
前記第1導電型及び第2導電型の半導体基板の少なくとも一方には、第1導電側電極と第2導電側電極とを介して前記発光層構成部の接合した面の中央部に集中的に電流を流すように不純物が導入された半導体層が、所定の領域に選択的に形成されていることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記半導体層は、前記半導体層が形成される前記半導体基板の導電型とは反対の導電型を有し、前記接合した面の中央部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記半導体層は、前記半導体層が形成される前記半導体基板の導電型と同じ導電型を有し、前記半導体基板のキャリア濃度より高いキャリア濃度を有し、且つ前記接合した面の中央部に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記第1導電型の半導体基板及び前記第2導電型の半導体基板はそれぞれ略半球状をなしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
特定の波長で発光可能なpn接合を有する発光層構成部と、
前記発光層構成部の第1導電型の主面の中央部に突起部が一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第1導電型の半導体基板と、
前記第1導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第1導電型の半導体基板の面に配設された第1導電側電極と、
前記発光層構成部の第2導電型の主面に一体的に接合し、前記発光層構成部に近い側で幅が広く且つ前記発光層構成部から遠い側で幅が狭くなるように傾斜した外側面を有し、前記波長に実質透明な第2導電型の半導体基板と、
前記第2導電型の半導体基板の前記発光層構成部に接合した面とは異なる前記第2導電型の半導体基板の面に配設された第2導電側電極と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−66422(P2006−66422A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243615(P2004−243615)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】