半導体発光装置
【課題】VCSELと受光素子が樹脂封止され、受光素子がVCSELの出射光の一部を受光することで、APC駆動を可能にする半導体発光装置を提供する。
【解決手段】半導体発光装置10は、レーザ光を出射するVCSEL12と、VCSEL12から出射された光の一部を受光する受光素子14と、VCSEL12等を封止する第1の樹脂16と、第1の樹脂16の上面に形成された第2の樹脂18と、VCSEL12と受光素子14が固定されたサブマウント19と、VCSEL12および受光素子14に電気的に接続された導電性金属からなる複数のリード端子20、22、24とを含んでいる。VCSEL12の出射光の一部は、矢印Sに示すように、界面36で反射され、反射光は受光素子14に受光される。受光素子14の出力に基づき、VCSEL12の光出力をモニタすることができる。
【解決手段】半導体発光装置10は、レーザ光を出射するVCSEL12と、VCSEL12から出射された光の一部を受光する受光素子14と、VCSEL12等を封止する第1の樹脂16と、第1の樹脂16の上面に形成された第2の樹脂18と、VCSEL12と受光素子14が固定されたサブマウント19と、VCSEL12および受光素子14に電気的に接続された導電性金属からなる複数のリード端子20、22、24とを含んでいる。VCSEL12の出射光の一部は、矢印Sに示すように、界面36で反射され、反射光は受光素子14に受光される。受光素子14の出力に基づき、VCSEL12の光出力をモニタすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光型半導体レーザ素子等の半導体発光素子を樹脂封止する半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型半導体レーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser diode:以下VCSELと呼ぶ)は、しきい値電流が低く消費電力が小さい、円形の光スポットが容易に得られる、ウエハ状態での評価や光源の二次元アレイ化が可能であるといった、端面発光型半導体レーザにはない優れた特長を有する。これらの特長を生かし、光通信や光記録等の技術分野において、光源としての需要がとりわけ期待されている。また、VCSEL等を含む半導体発光装置は、高温高湿の状況下での動作を要求されることがあり、このため、外部からの湿気等の進入を防止する封止技術がいくつかの特許文献により開示されている。
【0003】
特許文献1は、回路素子を密閉部材で封止し、その上をカバーガラスで覆い、エアーギャップを作った後にシリコーン樹脂膜で被膜する混成集積回路である。特許文献2は、透光性封止材料を2重構造にし、屈折率の関係を定めることで反射率を低減させる半導体発光装置である。
【0004】
一方、端面発光レーザの出力をモニタすることができるプラスチックモールド装置が特許文献3に開示されている。特許文献3によれば、半導体レーザチップからの逆向きの光を受け取るように配置されたモニタ検出器を透明プラスチック樹脂で封止している。
【0005】
【特許文献1】特開平5−90448号
【特許文献2】特開平10−65220号
【特許文献3】特開平9−205251号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VCSELにおいて、樹脂封止パッケージ品は、低コストでありかつ工程の容易さから、今後の需要が急速に伸びると予想されている。しかし、樹脂封止パッケージ品は、その構成上、金属ステム実装品に比べ素子温度が上昇しやすく、特に高温化において、出力が低下することが予想される。通常、VCSEL等の半導体レーザ素子の金属ステム実装品では、半導体レーザ素子の光出力を安定化するためのモニタ機能が設けられているが、樹脂封止パッケージ品には、このような光出力をモニタする機能が設けられておらず、光出力の安定化を図ることが容易ではなかった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、半導体発光素子の光出力をモニタすることができる樹脂封止された半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体発光装置は、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、前記発光素子と前記受光素子を封止する光透過性の第1の樹脂と、前記第1の樹脂上に形成された光透過性の第2の樹脂とを含み、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂との界面において、前記発光素子から出射された光の一部が反射され、当該反射光は前記受光素子に受光される。
【0009】
好ましくは、前記第2の樹脂の屈折率は、前記第1の樹脂の屈折率よりも小さい。好ましくは、第1の樹脂は、屈折率が1.5〜1.62のエポキシ系樹脂であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である。好ましくは、第1の樹脂は、屈折率が約1.52のレジン材料であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である。
【0010】
好ましくは、半導体発光装置はさらに、前記第1の樹脂と第2の樹脂の界面に反射膜を含み、前記反射膜は、前記発光素子から出射された光の一部を反射させる。前記反射膜には、前記発光素子から出射された光を透過させるための開口が形成されている。
【0011】
好ましくは、前記界面は、傾斜した面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記傾斜した面で反射される。前記傾斜した面は、中央に向かってすり鉢状に傾斜している。好ましくは、前記界面は、凹面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凹面で反射される。または、前記界面は、凸面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凸面で反射される。
【0012】
好ましくは、半導体発光装置はさらに、前記半導体発光素子の電極に電気的に接続された外部端子と、前記受光素子の電極に電気的に接続された外部端子とを含む。
【0013】
本発明に係る半導体発光装置は、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、前記発光素子と前記受光素子を封止する第1の樹脂と、前記第1の樹脂上に形成された反射膜とを含み、前記発光素子から出射された光の一部は、前記反射膜によって反射され、当該反射光は、前記受光素子に受光される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体発光装置によれば、半導体発光素子と受光素子とを樹脂封止し、第1および第2の樹脂の界面での反射を利用することで、半導体発光素子の光出力をモニタすることができる。また、半導体発光素子とともに受光素子を樹脂封止することで、安価なパッケージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。半導体発光装置10は、レーザ光を出射するVCSEL12と、VCSEL12から出射された光の一部を受光する受光素子(フォトダイオード)14と、VCSEL12と受光素子14を封止する第1の樹脂16と、第1の樹脂16上に形成された第2の樹脂18と、VCSEL12と受光素子14が固定されたサブマウント19と、VCSEL12および受光素子14に電気的に接続された複数のリード端子20、22、24とを含んでいる。矢印Sは、第1の樹脂16と第2の樹脂18との界面または境界面36により反射されたVCSEL12の出射光の一部を示している。
【0017】
サブマウント19は、導電性部材から構成され、サブマウント19の上面には、横並びに配置されたVCSEL12と受光素子14が導電性接着剤等により固定されている。また、サブマウント19の裏面は、リード端子24の上端部をほぼ直角に折り曲げて形成されたダイパット24aに導電性接着剤等により固定されている。
【0018】
VCSEL12の上面にあるp側電極は、ボンディングワイヤー32によりリード端子20に電気的に接続され、受光素子14の上面にあるn側電極は、ボンディングワイヤー34によりリード端子22に電気的に接続されている。また、VCSEL12の裏面のn側電極と受光素子14の裏面のp側電極は、サブマウント19を介してリード端子24に電気的に接続されている。リード端子20は、VCSEL12のアノードであり、リード端子22は、受光素子14のカソードであり、リード端子24は、VCSEL12のカソードと受光素子14のアノードを兼ねる。リード端子20、22、24の上部、ダイパッド24a、VCSEL12および受光素子14は、第1の樹脂16により封止されている。
【0019】
第1の樹脂16上には、第2の樹脂18が形成され、第1および第2の樹脂16、18は、VCSEL12から出射される光の波長を透過する光透過性の樹脂材料から構成される。好ましくは、第1の樹脂16の屈折率は、第2の樹脂18の屈折率よりも大きい。第1の樹脂16と第2の樹脂18の屈折率に差を与えることで、VCSEL12から出射された光をの一部を界面36で反射させる。第1の樹脂16と第2の樹脂18の屈折率の差が大きくなれば、VCSEL12からのレーザ光の反射率あるいは反射量が大きくなる。従って、屈折率の差は、受光素子14の受光感度に応じて適宜選択される。例えば、第1の樹脂16として屈折率1.6のエポキシ系樹脂、第2の樹脂18として屈折率1.4のシリコン系樹脂を用いることができる。あるいは、第1の樹脂16として屈折率が1.52のレジン材料、第2の樹脂18として屈折率1.4のシリコン系樹脂を用いることができる。
【0020】
また、第1および第2の樹脂16、18の界面36は、湾曲した凹面を有している。界面36の形状は、反射光を受光する受光素子14の位置を決定する。VCSEL12は、一定の拡がり角でレーザ光を出射するが、界面36が凹面であるため、その反射光は、VCSEL12の位置からは遠ざかる方向に進行する。これにより、反射光がより広い領域に照射されるため、受光素子14を位置決めする許容範囲を大きくすることができる。第2の樹脂18の上面は凸面形状であり、界面36を透過したレーザ光は、第2の樹脂18の界面で収束するように屈折される。
【0021】
図2は、VCSEL12の一般的な構成を示す断面図である。VCSEL12は、n型のGaAs基板210の裏面にn側電極200を含み、基板210上に、n型のGaAsバッファ層224、n型のAlGaAsの半導体多層膜からなる下部DBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ型反射鏡)226、活性領域228、p型のAlAsの外縁を酸化させた層からなる電流狭窄層230、p型のAlGaAsの半導体多層膜からなる上部DBR232、p型のGaAsコンタクト層234を含む半導体層を積層している。
【0022】
基板210には、コンタクト層234から下部DBR226の一部に到達する深さのリング状の溝236が形成され、この溝236によりレーザ光の発光部である円筒状のポストPと接合領域238とが規定されている。ポストPの頂部には、コンタクト層234にオーミック接続されたp側電極242が設けられ、p側電極242の中央には、レーザ光の出射領域を規定する円形状の出射口244が形成されている。また、接合領域238には、層間絶縁膜240を介して円形状の電極パッド246が形成され、電極パッド246はp側電極242に電気的に接続されている。このように形成されたVCSEL12は、ポストPの出射口244から約850nmの波長のレーザ光を出射する。
【0023】
次に、半導体発光装置10の動作について説明する。リード端子20、24を介してVCSEL12に順方向バイアス電圧が印加され、リード端子22、24を介して受光素子14に逆バイアス電圧が印加される。しきい値を超える駆動電流がVCSEL12に流されると出射口244から約850nmの波長のレーザ光が出射される出射光は、第1の樹脂16および第2の樹脂18を透過し、外部に放出されるが、出射光の一部は、矢印Sに示すように、界面36で反射され、反射光は、受光素子14に受光される。
【0024】
受光素子14は、反射光の光量に応じた電気信号をリード端子22、24から出力する。受光素子14からの出力信号を受けた図示しない駆動制御回路は、VCSEL12の光出力が一定になるよう駆動電流を制御する。
【0025】
図3は、第1の樹脂と第2の樹脂との界面の形状の変形例を示す図である。図3(a)に示す界面36Aは、平面形状をしている。平面形状は、樹脂のモールド成形が最も容易であり、半導体発光装置の歩留り低下を抑えることができる。ここで、平面とは、ある方向に傾斜した面であってもよい。受光素子14は、VCSEL12の拡がり角および界面36の傾斜に応じて適切に位置決めされる。
【0026】
図3(b)に示す界面36Bは、湾曲した凸面形状をしている。界面36が凸面であるため、VCSEL12からの反射光は、凹面のときと比べてVCSEL12に接近し、VCSEL12と受光素子14をより近接して配置することができる。さらに、界面36Bの凸面と第2の樹脂18の凸面により、半導体発光装置から外部に出射されるレーザ光の広がり角またはファーフィールドパターン(FFP)を小さくすることができる。
【0027】
図3(c)に示す界面36Cは、傾斜した面が中央に向かってすり鉢状に傾斜する断面V字形状をしている。直線状に傾斜した面は、湾曲した凹面や凸面と異なり、反射光の光路を容易に算出することができ、受光素子14の位置決めが容易である。また、接合面でもある界面36が窪んでいるため、第2の樹脂18をポッティングにより成形する場合には、液状の樹脂が第1の樹脂16上に留まり易く、成形が容易となる。なお、第1および第2の樹脂の界面36は、図3に例示した形状に限られず、VCSEL12の出射光の一部を受光素子14に反射させることができれば、特に制限されるものではない。
【0028】
第1および第2の樹脂16、18は、金型を用いた射出成形により形成することができる。界面は、第1の樹脂に射出成形面をそのまま用いることができるが、それ以外にも、第1の樹脂の射出成形面を機械加工、または化学研磨等により加工し、界面を所望の形状に加工してもよい。あるいは、ポッティングにより第1の樹脂を形成し、その表面を加工して界面を形成し、その上にポッテイングにより第2の樹脂を形成してもよい。
【0029】
上記実施例では、図4(a)に示すように、VCSEL12と受光素子14とを並列にサブマウント19上に配置されたが、これに限らず、図4(b)に示すように、VCSEL12を受光素子14上に配置してもよい。この場合、VCSEL12は、受光素子14の受光スポットが露出するように配置され、VCSEL12の裏面のn側電極は、図示しない金属配線等によりサブマウント19に接続される。また、図4(a)では、受光素子を1個しか示していないが、VCSELからの反射光を効率よく受光するために、VCSEL素子周囲に複数個の受光素子を用意してもよい。さらに、上記実施例では、VCSEL12および受光素子14を固定するためにサブマウントを用いたが、ダイパッド24a上に導電性接着剤等を介して固定するようにしてもよい。
【0030】
さらに、上記実施例は、ダイパッド24aの全体が第1の樹脂16によって封止されたが、ダイパッド24aの裏面が露出するように第1の樹脂16による封止を行うようにしてもよい。ダイパッド24aを露出することで、放熱特性を向上させ、VCSEL12の温度上昇を抑制することができる。さらに、上記実施例では、半導体発光素子として1つの発光部を備えたシングルスポットタイプのVCSELを示したが、これに限らず複数の発光部がアレイ状またはリニアに配列されたマルチスポットタイプのVCSELであってもよい。さらに、上記実施例では、半導体発光素子としてVCSELを示したが、これ以外にもLEDのような発光素子であってもよい。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図5は、第2の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。第2の実施例において、半導体発光装置50は、第1の樹脂16と第2の樹脂18との間に、反射膜38を含んでおり、それ以外の構成は、第1の実施例と同様である。反射膜38は、例えば、VCSELからのレーザ光の一部を反射する特性を有する。この反射光、矢印Tに示すように、受光素子14に受光される。
【0032】
反射膜38は、第1の樹脂16の射出成形後、蒸着等によって形成される。反射膜38の上面には、第2の樹脂18が形成される。反射膜38を形成する場合には、第1の実施例のときのように、第1の樹脂16の屈折率を、必ずしも第2の樹脂18の屈折率よりも大きくする必要はない。また、反射膜38を形成する場合に、反射膜38と第1の樹脂16との界面は、図3で示したような種々の形状を適用することができる。反射膜38は、単一の膜であってもよいし、複数の膜を積層したものであってもよい。
【0033】
さらに、反射面38は、図6に示すように、VCSEL12の上方に円形状の開口部38aを有するものであってもよい。このとき、開口部38aの中心は、VCSEL12の光軸とほぼ一致する。VCSEL12から出射されたレーザ光の大部分は、開口部38aを介して第2の樹脂18へ透過され、一部の光が開口部38aの周縁部分で反射され、受光素子12に受光される。これにより、開口部38aの径を適宜選択することにより、受光素子14へ受光される光量を選択することができる。
【0034】
第2の実施例に係る半導体発光装置50は、反射膜38を利用して出射光を反射させるため、上記したように第1および第2の樹脂16、18の屈折率の制約がなくなり、より多くの光透過性の樹脂材料から封止樹脂を選択することができる。
【0035】
図7は、第3の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。第3の実施例では、半導体発光装置60は、第2の実施例とは異なり、第2の樹脂18を取り除いている。反射膜40は、第1の樹脂16の出射面である上面に形成されている。VCSEL12から出射されたレーザ光は、反射膜40を透過して外部に出力されるが、その一部は、矢印Uに示すように、反射面40により反射され、受光素子14に受光される。第3の実施例では、第2の樹脂を必要としないため、製造工程が1つ減り、生産コストを抑えることができる。
【0036】
図8は、図1に示す半導体発光装置を光送信装置に適用したときの構成を示す断面図である。光送信装置400は、半導体発光装置10の側面に接着され、固定された円筒状の筐体410、筐体410の端面に一体に形成されたスリーブ420、スリーブ420の開口422内に保持されるフェルール430、およびフェルール430によって保持される光ファイバ440を含んで構成される。フェルール430は、スリーブ420の開口422に正確に位置決めされ、光ファイバ440の光軸が半導体発光装置10の光軸に整合される。フェルール430の貫通孔432内に光ファイバ440の芯線が保持されている。
【0037】
VCSEL12からのレーザ光は、第2の樹脂18によって集光され、集光された光は、光ファイバ440の芯線に入射され、送信される。上記例では第2の樹脂18を用いて収束しているが、これ以外にも、半導体発光装置10と光ファイバ440との間に、両凸レンズや平凸レンズ等の光学系を用いてもよい。
【0038】
図9は、図1に示す半導体発光装置を空間伝送システムに用いたときの構成を示す図である。空間伝送システム500は、半導体発光装置10と、集光レンズ510と、拡散板520と、反射ミラー530とを含んでいる。集光レンズ510によって集光された光は、反射ミラー530の開口532を介して拡散板520で反射され、その反射光が反射ミラー530へ向けて反射される。反射ミラー530は、その反射光を所定の方向へ向けて反射させ、光伝送を行う。
【0039】
図10は、半導体発光装置を光源に利用した光伝送システムの一構成例を示す図である。光伝送システム600は、半導体発光装置10を含む光源610と、光源610から放出されたレーザ光の集光などを行う光学系620と、光学系620から出力されたレーザ光を受光する受光部630と、光源610の駆動を制御する制御部640とを有する。制御部640は、半導体発光装置10を駆動するための駆動パルス信号を光源610に供給する。光源610から放出された光は、光学系620を介し、光ファイバや空間伝送用の反射ミラーなどにより受光部630へ伝送される。受光部630は、受光した光をフォトディテクターなどによって検出する。受光部630は、制御信号650により制御部640の動作(例えば光伝送の開始タイミング)を制御することができる。
【0040】
次に、光伝送システムに利用される光伝送装置の構成について説明する。図11は、光伝送装置の外観構成を示す図である。光伝送装置700は、ケース710、光信号送信/受信コネクタ接合部720、発光/受光素子730、電気信号ケーブル接合部740、電源入力部750、動作中を示すLED760、異常発生を示すLED770、DVIコネクタ780を有している。
【0041】
光伝送装置700を用いた映像伝送システムを図12示す。これらの図において、映像伝送システム800は、映像信号発生装置810で発生された映像信号を、液晶ディスプレイなどの画像表示装置820に伝送するため、図8に示す光伝送装置を利用している。すなわち、映像伝送システム800は、映像信号発生装置810、画像表示装置820、DVI用電気ケーブル830、送信モジュール840、受信モジュール850、映像信号伝送光信号用コネクタ860、光ファイバ870、制御信号用電気ケーブルコネクタ880、電源アダプタ890、DVI用電気ケーブル900を含んでいる。
【0042】
上記実施例は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定的に解釈されるべきものではなく、本発明の構成要件を満足する範囲内で他の方法によっても実現可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る半導体発光装置は、光情報処理や光高速データ通信等の各分野で使用される光源に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。
【図2】図1に示すVECSELの一般的な構成を示す断面図である。
【図3】本実施例の第1および第2の樹脂の界面の形状の変形例を示す図である。
【図4】VCSELと受光素子の配置例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。
【図6】図5に示す反射膜の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。
【図8】図1に示す半導体発光装置を用いた光送信装置の構成を示す断面図である。
【図9】空間光伝送システムの構成を示す図である。
【図10】光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図11】光伝送装置の外観構成を示す図である。
【図12】図11の光伝送装置を利用した映像伝送システムを示す図である。
【0045】
10:半導体発光装置 12:VCSEL
14:受光素子 16:第1の樹脂
18:第2の樹脂 19:サブマウント
20、22、24:リード端子 24a:ダイパッド
32、34:導電性ワイヤー 36,36A、36B、36C:界面
38、40:反射膜 38a:開口部
S、T、U:矢印
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光型半導体レーザ素子等の半導体発光素子を樹脂封止する半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型半導体レーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser diode:以下VCSELと呼ぶ)は、しきい値電流が低く消費電力が小さい、円形の光スポットが容易に得られる、ウエハ状態での評価や光源の二次元アレイ化が可能であるといった、端面発光型半導体レーザにはない優れた特長を有する。これらの特長を生かし、光通信や光記録等の技術分野において、光源としての需要がとりわけ期待されている。また、VCSEL等を含む半導体発光装置は、高温高湿の状況下での動作を要求されることがあり、このため、外部からの湿気等の進入を防止する封止技術がいくつかの特許文献により開示されている。
【0003】
特許文献1は、回路素子を密閉部材で封止し、その上をカバーガラスで覆い、エアーギャップを作った後にシリコーン樹脂膜で被膜する混成集積回路である。特許文献2は、透光性封止材料を2重構造にし、屈折率の関係を定めることで反射率を低減させる半導体発光装置である。
【0004】
一方、端面発光レーザの出力をモニタすることができるプラスチックモールド装置が特許文献3に開示されている。特許文献3によれば、半導体レーザチップからの逆向きの光を受け取るように配置されたモニタ検出器を透明プラスチック樹脂で封止している。
【0005】
【特許文献1】特開平5−90448号
【特許文献2】特開平10−65220号
【特許文献3】特開平9−205251号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VCSELにおいて、樹脂封止パッケージ品は、低コストでありかつ工程の容易さから、今後の需要が急速に伸びると予想されている。しかし、樹脂封止パッケージ品は、その構成上、金属ステム実装品に比べ素子温度が上昇しやすく、特に高温化において、出力が低下することが予想される。通常、VCSEL等の半導体レーザ素子の金属ステム実装品では、半導体レーザ素子の光出力を安定化するためのモニタ機能が設けられているが、樹脂封止パッケージ品には、このような光出力をモニタする機能が設けられておらず、光出力の安定化を図ることが容易ではなかった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、半導体発光素子の光出力をモニタすることができる樹脂封止された半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体発光装置は、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、前記発光素子と前記受光素子を封止する光透過性の第1の樹脂と、前記第1の樹脂上に形成された光透過性の第2の樹脂とを含み、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂との界面において、前記発光素子から出射された光の一部が反射され、当該反射光は前記受光素子に受光される。
【0009】
好ましくは、前記第2の樹脂の屈折率は、前記第1の樹脂の屈折率よりも小さい。好ましくは、第1の樹脂は、屈折率が1.5〜1.62のエポキシ系樹脂であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である。好ましくは、第1の樹脂は、屈折率が約1.52のレジン材料であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である。
【0010】
好ましくは、半導体発光装置はさらに、前記第1の樹脂と第2の樹脂の界面に反射膜を含み、前記反射膜は、前記発光素子から出射された光の一部を反射させる。前記反射膜には、前記発光素子から出射された光を透過させるための開口が形成されている。
【0011】
好ましくは、前記界面は、傾斜した面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記傾斜した面で反射される。前記傾斜した面は、中央に向かってすり鉢状に傾斜している。好ましくは、前記界面は、凹面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凹面で反射される。または、前記界面は、凸面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凸面で反射される。
【0012】
好ましくは、半導体発光装置はさらに、前記半導体発光素子の電極に電気的に接続された外部端子と、前記受光素子の電極に電気的に接続された外部端子とを含む。
【0013】
本発明に係る半導体発光装置は、光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、前記発光素子と前記受光素子を封止する第1の樹脂と、前記第1の樹脂上に形成された反射膜とを含み、前記発光素子から出射された光の一部は、前記反射膜によって反射され、当該反射光は、前記受光素子に受光される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体発光装置によれば、半導体発光素子と受光素子とを樹脂封止し、第1および第2の樹脂の界面での反射を利用することで、半導体発光素子の光出力をモニタすることができる。また、半導体発光素子とともに受光素子を樹脂封止することで、安価なパッケージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。半導体発光装置10は、レーザ光を出射するVCSEL12と、VCSEL12から出射された光の一部を受光する受光素子(フォトダイオード)14と、VCSEL12と受光素子14を封止する第1の樹脂16と、第1の樹脂16上に形成された第2の樹脂18と、VCSEL12と受光素子14が固定されたサブマウント19と、VCSEL12および受光素子14に電気的に接続された複数のリード端子20、22、24とを含んでいる。矢印Sは、第1の樹脂16と第2の樹脂18との界面または境界面36により反射されたVCSEL12の出射光の一部を示している。
【0017】
サブマウント19は、導電性部材から構成され、サブマウント19の上面には、横並びに配置されたVCSEL12と受光素子14が導電性接着剤等により固定されている。また、サブマウント19の裏面は、リード端子24の上端部をほぼ直角に折り曲げて形成されたダイパット24aに導電性接着剤等により固定されている。
【0018】
VCSEL12の上面にあるp側電極は、ボンディングワイヤー32によりリード端子20に電気的に接続され、受光素子14の上面にあるn側電極は、ボンディングワイヤー34によりリード端子22に電気的に接続されている。また、VCSEL12の裏面のn側電極と受光素子14の裏面のp側電極は、サブマウント19を介してリード端子24に電気的に接続されている。リード端子20は、VCSEL12のアノードであり、リード端子22は、受光素子14のカソードであり、リード端子24は、VCSEL12のカソードと受光素子14のアノードを兼ねる。リード端子20、22、24の上部、ダイパッド24a、VCSEL12および受光素子14は、第1の樹脂16により封止されている。
【0019】
第1の樹脂16上には、第2の樹脂18が形成され、第1および第2の樹脂16、18は、VCSEL12から出射される光の波長を透過する光透過性の樹脂材料から構成される。好ましくは、第1の樹脂16の屈折率は、第2の樹脂18の屈折率よりも大きい。第1の樹脂16と第2の樹脂18の屈折率に差を与えることで、VCSEL12から出射された光をの一部を界面36で反射させる。第1の樹脂16と第2の樹脂18の屈折率の差が大きくなれば、VCSEL12からのレーザ光の反射率あるいは反射量が大きくなる。従って、屈折率の差は、受光素子14の受光感度に応じて適宜選択される。例えば、第1の樹脂16として屈折率1.6のエポキシ系樹脂、第2の樹脂18として屈折率1.4のシリコン系樹脂を用いることができる。あるいは、第1の樹脂16として屈折率が1.52のレジン材料、第2の樹脂18として屈折率1.4のシリコン系樹脂を用いることができる。
【0020】
また、第1および第2の樹脂16、18の界面36は、湾曲した凹面を有している。界面36の形状は、反射光を受光する受光素子14の位置を決定する。VCSEL12は、一定の拡がり角でレーザ光を出射するが、界面36が凹面であるため、その反射光は、VCSEL12の位置からは遠ざかる方向に進行する。これにより、反射光がより広い領域に照射されるため、受光素子14を位置決めする許容範囲を大きくすることができる。第2の樹脂18の上面は凸面形状であり、界面36を透過したレーザ光は、第2の樹脂18の界面で収束するように屈折される。
【0021】
図2は、VCSEL12の一般的な構成を示す断面図である。VCSEL12は、n型のGaAs基板210の裏面にn側電極200を含み、基板210上に、n型のGaAsバッファ層224、n型のAlGaAsの半導体多層膜からなる下部DBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ型反射鏡)226、活性領域228、p型のAlAsの外縁を酸化させた層からなる電流狭窄層230、p型のAlGaAsの半導体多層膜からなる上部DBR232、p型のGaAsコンタクト層234を含む半導体層を積層している。
【0022】
基板210には、コンタクト層234から下部DBR226の一部に到達する深さのリング状の溝236が形成され、この溝236によりレーザ光の発光部である円筒状のポストPと接合領域238とが規定されている。ポストPの頂部には、コンタクト層234にオーミック接続されたp側電極242が設けられ、p側電極242の中央には、レーザ光の出射領域を規定する円形状の出射口244が形成されている。また、接合領域238には、層間絶縁膜240を介して円形状の電極パッド246が形成され、電極パッド246はp側電極242に電気的に接続されている。このように形成されたVCSEL12は、ポストPの出射口244から約850nmの波長のレーザ光を出射する。
【0023】
次に、半導体発光装置10の動作について説明する。リード端子20、24を介してVCSEL12に順方向バイアス電圧が印加され、リード端子22、24を介して受光素子14に逆バイアス電圧が印加される。しきい値を超える駆動電流がVCSEL12に流されると出射口244から約850nmの波長のレーザ光が出射される出射光は、第1の樹脂16および第2の樹脂18を透過し、外部に放出されるが、出射光の一部は、矢印Sに示すように、界面36で反射され、反射光は、受光素子14に受光される。
【0024】
受光素子14は、反射光の光量に応じた電気信号をリード端子22、24から出力する。受光素子14からの出力信号を受けた図示しない駆動制御回路は、VCSEL12の光出力が一定になるよう駆動電流を制御する。
【0025】
図3は、第1の樹脂と第2の樹脂との界面の形状の変形例を示す図である。図3(a)に示す界面36Aは、平面形状をしている。平面形状は、樹脂のモールド成形が最も容易であり、半導体発光装置の歩留り低下を抑えることができる。ここで、平面とは、ある方向に傾斜した面であってもよい。受光素子14は、VCSEL12の拡がり角および界面36の傾斜に応じて適切に位置決めされる。
【0026】
図3(b)に示す界面36Bは、湾曲した凸面形状をしている。界面36が凸面であるため、VCSEL12からの反射光は、凹面のときと比べてVCSEL12に接近し、VCSEL12と受光素子14をより近接して配置することができる。さらに、界面36Bの凸面と第2の樹脂18の凸面により、半導体発光装置から外部に出射されるレーザ光の広がり角またはファーフィールドパターン(FFP)を小さくすることができる。
【0027】
図3(c)に示す界面36Cは、傾斜した面が中央に向かってすり鉢状に傾斜する断面V字形状をしている。直線状に傾斜した面は、湾曲した凹面や凸面と異なり、反射光の光路を容易に算出することができ、受光素子14の位置決めが容易である。また、接合面でもある界面36が窪んでいるため、第2の樹脂18をポッティングにより成形する場合には、液状の樹脂が第1の樹脂16上に留まり易く、成形が容易となる。なお、第1および第2の樹脂の界面36は、図3に例示した形状に限られず、VCSEL12の出射光の一部を受光素子14に反射させることができれば、特に制限されるものではない。
【0028】
第1および第2の樹脂16、18は、金型を用いた射出成形により形成することができる。界面は、第1の樹脂に射出成形面をそのまま用いることができるが、それ以外にも、第1の樹脂の射出成形面を機械加工、または化学研磨等により加工し、界面を所望の形状に加工してもよい。あるいは、ポッティングにより第1の樹脂を形成し、その表面を加工して界面を形成し、その上にポッテイングにより第2の樹脂を形成してもよい。
【0029】
上記実施例では、図4(a)に示すように、VCSEL12と受光素子14とを並列にサブマウント19上に配置されたが、これに限らず、図4(b)に示すように、VCSEL12を受光素子14上に配置してもよい。この場合、VCSEL12は、受光素子14の受光スポットが露出するように配置され、VCSEL12の裏面のn側電極は、図示しない金属配線等によりサブマウント19に接続される。また、図4(a)では、受光素子を1個しか示していないが、VCSELからの反射光を効率よく受光するために、VCSEL素子周囲に複数個の受光素子を用意してもよい。さらに、上記実施例では、VCSEL12および受光素子14を固定するためにサブマウントを用いたが、ダイパッド24a上に導電性接着剤等を介して固定するようにしてもよい。
【0030】
さらに、上記実施例は、ダイパッド24aの全体が第1の樹脂16によって封止されたが、ダイパッド24aの裏面が露出するように第1の樹脂16による封止を行うようにしてもよい。ダイパッド24aを露出することで、放熱特性を向上させ、VCSEL12の温度上昇を抑制することができる。さらに、上記実施例では、半導体発光素子として1つの発光部を備えたシングルスポットタイプのVCSELを示したが、これに限らず複数の発光部がアレイ状またはリニアに配列されたマルチスポットタイプのVCSELであってもよい。さらに、上記実施例では、半導体発光素子としてVCSELを示したが、これ以外にもLEDのような発光素子であってもよい。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図5は、第2の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。第2の実施例において、半導体発光装置50は、第1の樹脂16と第2の樹脂18との間に、反射膜38を含んでおり、それ以外の構成は、第1の実施例と同様である。反射膜38は、例えば、VCSELからのレーザ光の一部を反射する特性を有する。この反射光、矢印Tに示すように、受光素子14に受光される。
【0032】
反射膜38は、第1の樹脂16の射出成形後、蒸着等によって形成される。反射膜38の上面には、第2の樹脂18が形成される。反射膜38を形成する場合には、第1の実施例のときのように、第1の樹脂16の屈折率を、必ずしも第2の樹脂18の屈折率よりも大きくする必要はない。また、反射膜38を形成する場合に、反射膜38と第1の樹脂16との界面は、図3で示したような種々の形状を適用することができる。反射膜38は、単一の膜であってもよいし、複数の膜を積層したものであってもよい。
【0033】
さらに、反射面38は、図6に示すように、VCSEL12の上方に円形状の開口部38aを有するものであってもよい。このとき、開口部38aの中心は、VCSEL12の光軸とほぼ一致する。VCSEL12から出射されたレーザ光の大部分は、開口部38aを介して第2の樹脂18へ透過され、一部の光が開口部38aの周縁部分で反射され、受光素子12に受光される。これにより、開口部38aの径を適宜選択することにより、受光素子14へ受光される光量を選択することができる。
【0034】
第2の実施例に係る半導体発光装置50は、反射膜38を利用して出射光を反射させるため、上記したように第1および第2の樹脂16、18の屈折率の制約がなくなり、より多くの光透過性の樹脂材料から封止樹脂を選択することができる。
【0035】
図7は、第3の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。第3の実施例では、半導体発光装置60は、第2の実施例とは異なり、第2の樹脂18を取り除いている。反射膜40は、第1の樹脂16の出射面である上面に形成されている。VCSEL12から出射されたレーザ光は、反射膜40を透過して外部に出力されるが、その一部は、矢印Uに示すように、反射面40により反射され、受光素子14に受光される。第3の実施例では、第2の樹脂を必要としないため、製造工程が1つ減り、生産コストを抑えることができる。
【0036】
図8は、図1に示す半導体発光装置を光送信装置に適用したときの構成を示す断面図である。光送信装置400は、半導体発光装置10の側面に接着され、固定された円筒状の筐体410、筐体410の端面に一体に形成されたスリーブ420、スリーブ420の開口422内に保持されるフェルール430、およびフェルール430によって保持される光ファイバ440を含んで構成される。フェルール430は、スリーブ420の開口422に正確に位置決めされ、光ファイバ440の光軸が半導体発光装置10の光軸に整合される。フェルール430の貫通孔432内に光ファイバ440の芯線が保持されている。
【0037】
VCSEL12からのレーザ光は、第2の樹脂18によって集光され、集光された光は、光ファイバ440の芯線に入射され、送信される。上記例では第2の樹脂18を用いて収束しているが、これ以外にも、半導体発光装置10と光ファイバ440との間に、両凸レンズや平凸レンズ等の光学系を用いてもよい。
【0038】
図9は、図1に示す半導体発光装置を空間伝送システムに用いたときの構成を示す図である。空間伝送システム500は、半導体発光装置10と、集光レンズ510と、拡散板520と、反射ミラー530とを含んでいる。集光レンズ510によって集光された光は、反射ミラー530の開口532を介して拡散板520で反射され、その反射光が反射ミラー530へ向けて反射される。反射ミラー530は、その反射光を所定の方向へ向けて反射させ、光伝送を行う。
【0039】
図10は、半導体発光装置を光源に利用した光伝送システムの一構成例を示す図である。光伝送システム600は、半導体発光装置10を含む光源610と、光源610から放出されたレーザ光の集光などを行う光学系620と、光学系620から出力されたレーザ光を受光する受光部630と、光源610の駆動を制御する制御部640とを有する。制御部640は、半導体発光装置10を駆動するための駆動パルス信号を光源610に供給する。光源610から放出された光は、光学系620を介し、光ファイバや空間伝送用の反射ミラーなどにより受光部630へ伝送される。受光部630は、受光した光をフォトディテクターなどによって検出する。受光部630は、制御信号650により制御部640の動作(例えば光伝送の開始タイミング)を制御することができる。
【0040】
次に、光伝送システムに利用される光伝送装置の構成について説明する。図11は、光伝送装置の外観構成を示す図である。光伝送装置700は、ケース710、光信号送信/受信コネクタ接合部720、発光/受光素子730、電気信号ケーブル接合部740、電源入力部750、動作中を示すLED760、異常発生を示すLED770、DVIコネクタ780を有している。
【0041】
光伝送装置700を用いた映像伝送システムを図12示す。これらの図において、映像伝送システム800は、映像信号発生装置810で発生された映像信号を、液晶ディスプレイなどの画像表示装置820に伝送するため、図8に示す光伝送装置を利用している。すなわち、映像伝送システム800は、映像信号発生装置810、画像表示装置820、DVI用電気ケーブル830、送信モジュール840、受信モジュール850、映像信号伝送光信号用コネクタ860、光ファイバ870、制御信号用電気ケーブルコネクタ880、電源アダプタ890、DVI用電気ケーブル900を含んでいる。
【0042】
上記実施例は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定的に解釈されるべきものではなく、本発明の構成要件を満足する範囲内で他の方法によっても実現可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る半導体発光装置は、光情報処理や光高速データ通信等の各分野で使用される光源に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。
【図2】図1に示すVECSELの一般的な構成を示す断面図である。
【図3】本実施例の第1および第2の樹脂の界面の形状の変形例を示す図である。
【図4】VCSELと受光素子の配置例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。
【図6】図5に示す反射膜の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る半導体発光装置の概略断面図である。
【図8】図1に示す半導体発光装置を用いた光送信装置の構成を示す断面図である。
【図9】空間光伝送システムの構成を示す図である。
【図10】光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図11】光伝送装置の外観構成を示す図である。
【図12】図11の光伝送装置を利用した映像伝送システムを示す図である。
【0045】
10:半導体発光装置 12:VCSEL
14:受光素子 16:第1の樹脂
18:第2の樹脂 19:サブマウント
20、22、24:リード端子 24a:ダイパッド
32、34:導電性ワイヤー 36,36A、36B、36C:界面
38、40:反射膜 38a:開口部
S、T、U:矢印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子を樹脂封止する半導体発光装置であって、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子を封止する光透過性の第1の樹脂と、
前記第1の樹脂上に形成された光透過性の第2の樹脂とを含み、
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂との界面において、前記発光素子から出射された光の一部が反射され、当該反射光は前記受光素子に受光される、半導体発光装置。
【請求項2】
前記第2の樹脂の屈折率は、前記第1の樹脂の屈折率よりも小さい、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
第1の樹脂は、屈折率が1.5〜1.62のエポキシ系樹脂であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である、請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
第1の樹脂は、屈折率が約1.52のレジン材料であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である、請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
半導体発光装置はさらに、前記第1の樹脂と第2の樹脂の界面に反射膜を含み、前記反射膜は、前記発光素子から出射された光の一部を反射させる、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記反射膜には、前記発光素子から出射された光を透過させるための開口が形成されている、請求項5に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記界面は、傾斜した面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記傾斜した面で反射される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記傾斜した面は、中央に向かってすり鉢状に傾斜している、請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記界面は、凹面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凹面で反射される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記界面は、凸面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凸面で反射される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項11】
半導体発光装置はさらに、前記半導体発光素子の電極に電気的に接続された第1の外部端子と、前記受光素子の電極に電気的に接続された第2の外部端子とを含む、請求項1ないし10いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項12】
半導体発光素子を樹脂封止する半導体発光装置であって、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子を封止する光透過性の第1の樹脂と、
前記第1の樹脂上に形成された反射膜とを含み、
前記発光素子から出射された光の一部は、前記反射膜によって反射され、当該反射光は、前記受光素子に受光される、半導体発光装置。
【請求項13】
前記発光素子は、面発光型半導体レーザ素子であり、前記受光素子は、フォトダイオードである、請求項1ないし12いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項14】
請求項1ないし13いずれか1つに記載の半導体発光装置と、半導体発光装置から出射された光を入射する光学部材とを含むモジュール。
【請求項15】
請求項14に記載されたモジュールと、モジュールから発せられた光を空間伝送する伝送手段とを備えた、光空間伝送装置。
【請求項16】
請求項14に記載されたモジュールと、モジュールから発せられた光を空間伝送する伝送手段とを備えた、光伝送システム。
【請求項1】
半導体発光素子を樹脂封止する半導体発光装置であって、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子を封止する光透過性の第1の樹脂と、
前記第1の樹脂上に形成された光透過性の第2の樹脂とを含み、
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂との界面において、前記発光素子から出射された光の一部が反射され、当該反射光は前記受光素子に受光される、半導体発光装置。
【請求項2】
前記第2の樹脂の屈折率は、前記第1の樹脂の屈折率よりも小さい、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
第1の樹脂は、屈折率が1.5〜1.62のエポキシ系樹脂であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である、請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
第1の樹脂は、屈折率が約1.52のレジン材料であり、第2の樹脂は、屈折率が約1.4のシリコン系樹脂である、請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
半導体発光装置はさらに、前記第1の樹脂と第2の樹脂の界面に反射膜を含み、前記反射膜は、前記発光素子から出射された光の一部を反射させる、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記反射膜には、前記発光素子から出射された光を透過させるための開口が形成されている、請求項5に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記界面は、傾斜した面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記傾斜した面で反射される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記傾斜した面は、中央に向かってすり鉢状に傾斜している、請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記界面は、凹面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凹面で反射される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記界面は、凸面を含み、半導体発光素子から出射された光の一部は、前記凸面で反射される、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項11】
半導体発光装置はさらに、前記半導体発光素子の電極に電気的に接続された第1の外部端子と、前記受光素子の電極に電気的に接続された第2の外部端子とを含む、請求項1ないし10いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項12】
半導体発光素子を樹脂封止する半導体発光装置であって、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射された光の一部を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子を封止する光透過性の第1の樹脂と、
前記第1の樹脂上に形成された反射膜とを含み、
前記発光素子から出射された光の一部は、前記反射膜によって反射され、当該反射光は、前記受光素子に受光される、半導体発光装置。
【請求項13】
前記発光素子は、面発光型半導体レーザ素子であり、前記受光素子は、フォトダイオードである、請求項1ないし12いずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項14】
請求項1ないし13いずれか1つに記載の半導体発光装置と、半導体発光装置から出射された光を入射する光学部材とを含むモジュール。
【請求項15】
請求項14に記載されたモジュールと、モジュールから発せられた光を空間伝送する伝送手段とを備えた、光空間伝送装置。
【請求項16】
請求項14に記載されたモジュールと、モジュールから発せられた光を空間伝送する伝送手段とを備えた、光伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−105239(P2009−105239A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275947(P2007−275947)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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