説明

半導体素子封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体封止体

【課題】給用容器内における成分の滞留を、供給用容器の形状や容量に影響されることなく防ぐことができるといった特殊な製造方法により得られる、物性が安定した半導体素子封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体封止体を提供する。
【解決手段】下記(A)〜(C)成分を含む半導体素子封止用樹脂組成物であって、
体積平均粒径が5μm以上50μm以下となるように調整された(A)成分および(B)成分と、(C)成分とを、(A)成分および(B)成分の体積平均粒径における球形換算の重量が、(C)成分の体積平均粒径における球状換算の重量に対して0.4〜20倍となるよう混合されてなる半導体素子封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体封止体とする
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)無機質充填剤
【選択図】なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を封止するために用いられる半導体素子封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体封止体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランジスタ、IC、LSI等の半導体素子は、エポキシ樹脂、硬化剤および無機質充填剤等を含有する樹脂組成物を用いて封止されている。一般的に固体状の半導体素子封止用樹脂組成物の製造では、配合成分を混合して溶融混練した後に、圧延して冷却固化したものを粉砕するという工程が取られている(特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開2007−77333号公報
【特許文献2】特開2006−297701号公報
【特許文献3】特開2001−64398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これら樹脂組成物の製造工程においては、製造効率を上げるために、配合成分の混合物を予め大量に作製しておき、溶融混練機に供給しながら連続的に溶融混練することが行われている。例えば、図1に示すヒーター3、ロータ羽根4およびミキシングチャンバー5を有する溶融混練機1と、混合物を溶融混練機1へ供給するための容器(以下、供給用容器という)であるホッパー2からなる溶融混練装置を用いた場合には、大量の混合物をホッパー2に一時的に貯蔵し、ホッパー2から溶融混練機1に供給して連続的に溶融混練が行われる。
【0004】
しかし、混合物を、ホッパー2から溶融混練機1へ供給している間に、成分の一部がホッパー2内で偏析し、その結果、溶融混練の初期と後期では、得られる樹脂組成物の組成比率が若干変動して樹脂組成物の物性が変化するという問題があった。この原因は、成分の一部がホッパー2の壁面に滞留するためと推定される。このため、ホッパー2の形状を変えることにより改善できる可能性もあるが、従来用いられているホッパー2の形状は多岐にわたるため、形状毎に製造条件を変更することは製造効率の点で問題がある。
【0005】
また成分の一部の偏析は、供給用容器としてホッパーを有する溶融混練装置を用いた場合に限らず、リボンミキサー等を供給用容器として用いて溶融混練した場合でも起こりうる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、混合物を、ホッパーやリボンミキサー等の供給用容器から溶融混練機に供給して溶融混練する工程を備えた半導体素子封止用樹脂組成物の製造において、供給用容器内における成分の滞留を、供給用容器の形状や容量に影響されることなく防ぐことができ、その結果、成分の一部の偏析による組成比率の変動抑制がなされる。本発明は、このような製造方法により得られる、物性が安定した半導体素子封止用樹脂組成物およびそれを用いた半導体封止体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明は、下記(A)〜(C)成分を含む半導体素子封止用樹脂組成物であって、
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒径が5μm以上50μm以下となるように調整された(A)成分および(B)成分と、(C)成分とを、(A)成分および(B)成分の下記の式(1)で表される体積平均粒径における球形換算の重量が、(C)成分の下記の式(1)で表される体積平均粒径における球状換算の重量に対して0.4〜20倍となるよう混合されてなる半導体素子封止用樹脂組成物を第一の要旨とし、上記第一の要旨の半導体素子封止用樹脂組成物を用いて、半導体素子を樹脂封止してなる半導体封止体を第二の要旨とするものである。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)無機質充填
【0008】
【数1】

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、体積平均粒径が5μm以上50μm以下となるように調整したエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を用いると、エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)の混合物を、ホッパーやリボンミキサー等の供給用容器から溶融混練機へ供給する際に、供給用容器内における成分の滞留を、供給用容器の形状や容量に影響されることなく防ぐことができる。その結果、成分の偏析を抑制して物性が安定した半導体素子封止用樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0011】
本発明の半導体素子封止用樹脂組成物製造する際の材料には、下記(A)〜(C)成分を含む。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)無機質充填剤
本発明の半導体素子封止用樹脂組成物製造する際の材料には、体積平均粒径(以下、単に「平均粒径」と略す)が5μm以上50μm以下に調整されたエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を用いる。これら所定の平均粒径に調製されたエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)は、後述するように、所定の平均粒径となるように粉砕して得てもよいし、予め所定の平均粒径となるように調整された市販品を用いてもよい。
【0012】
エポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)の平均粒径が50μmを超えると、エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)の混合物を供給用容器から溶融混練機へ供給する際に、成分の一部が供給用容器内で滞留することにより偏析が起こりやすくなり、特に、混練後期における樹脂組成物中の無機質充填剤(C成分)の含有量が高くなる傾向がみられる。また、平均粒子径が5μm未満のエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)は、一般的に入手が難しく、実用的でない。
【0013】
成分の偏析をより効果的に抑制するためには、平均粒径が15μm以上25μm以下となるように調整されたエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を用いることが好ましい。
【0014】
エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)の平均粒径は、母集団から任意に抽出される試料を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される。
【0015】
また、本発明の半導体素子封止用樹脂組成物の材料においては、所定の平均粒径に調製されたエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)の下記の式(1)で表される平均粒径における球形換算の重量が、無機質充填剤(C成分)の下記の式(1)で表される平均粒径における球状換算の重量に対して0.4〜20倍である。20倍を超えると、エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)の混合物を、供給用容器から溶融混練機へ連続的に供給する際に、供給用容器内において、混合物の滞留による成分の偏析が起こりやすくなるためであり、特に混練後期における樹脂組成物中の無機質充填剤(C成分)含有量が高くなる傾向が見られる。また、0.4倍未満でも、成分の偏析が起こる傾向がみられる。
【0016】
【数2】

また、エポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を、所定の平均粒径となるように粉砕する場合は、所望の粒径を効率的に得やすいとの観点から、粉砕機として、例えばターボミル等を用いることができる。その際、エポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を、個別に平均粒径が5μm以上50μm以下となるように粉砕してもよいし、予めエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を所定の割合で混合した後に、平均粒径が5μm以上50μm以下となるように粉砕してもよい。さらには、予めエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)に無機質充填剤(C成分)を所定の割合で混合した後に、平均粒径が5μm以上50μm以下となるように粉砕してもよいが、エポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)の平均粒径や比重を確認しやすいという観点から、無機質充填剤(C成分)と混合する前に粉砕することが好ましい。
【0017】
なお、本発明の半導体素子封止用樹脂組成物においては、エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)の他に、後述する硬化促進剤、難燃剤、カーボンブラックをはじめとする顔料等、必要に応じて添加する各種添加剤を用いることができる。
【0018】
これら各種添加剤は、エポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を粉砕する際に添加してもよいし、エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)の混合時に添加してもよい。混合は、混合機として、例えばレディゲミキサー、ヘンシェルミキサー等を用いて行うことができる。
【0019】
ついで、所定の平均粒径となるように調整したエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)と、無機質充填剤(C成分)の混合物を、供給用容器に投入して溶融混練するまで貯蔵する。
【0020】
本発明の半導体素子封止用樹脂組成物製造する際に用いる供給用容器は、特に制限されるものではなく、例えば、ホッパーやリボンミキサー等の貯蔵機能と供給機能を有する容器を用いることができるし、その容量にも依存しない。また、供給用容器を複数個連結して用いてもよい。例えば、リボンミキサーの排出口をホッパーの投入口に連結したような容器も用いることができる。
【0021】
そして、混合物を、溶融混練機の容量に合わせて供給用容器から溶融混練機に供給し、60〜160℃で連続的に溶融混練する。図1には、用いられる溶融混練装置の構成概要図が示されている。すなわち、この溶融混練装置においては、溶融混練機1に供給用容器としてホッパー2が設けられるとともに、溶融混練機1には、ヒーター3およびロータ羽根4を供えたミキシングチャンバー5が設けられている。そして、ホッパー2に投入された混合物が、ホッパー2から溶融混練機1の片端部に供給され、他端部から混練物が排出されるように設計されている。
【0022】
最後に、得られた混練物を冷却固化し、固化した混練物を10〜2000μmに粉砕することにより、本発明の半導体素子封止用樹脂組成物が得られる。
【0023】
本発明の半導体素子封止用樹脂組成物において使用されるエポキシ樹脂成分(A成分)としては、特に限定されるものではない。例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂等の各種のエポキシ樹脂を用いることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。このようなエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂の硬化後の靭性及びエポキシ樹脂の反応性を確保する観点から、エポキシ当量150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃の常温で固形のものが好ましく、中でも、信頼性の観点から、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂やビフェニル型エポキシ樹脂や低級アルキル基をフェニル環に付加したような吸低湿型のエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
【0024】
硬化剤(B成分)としては、エポキシ樹脂(A成分)との間で硬化反応を生起するものであれば特に限定するものではなく、例えば、酸無水物、フェノール樹脂、アミン類、チオール類等が挙げられるが、中でも、保存安定性、硬化性、硬化体の物性に優れる点において、フェノール樹脂を用いることが好ましい。フェノール樹脂は、例えば、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が用いられる。これらフェノール樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。そして、フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂(A成分)との反応性の観点から、水酸基当量が70〜250、軟化点が50〜110℃のものを用いることが好ましく、中でも硬化反応性が高いという観点から、フェノールノボラック樹脂を好適に用いることができる。また、信頼性の観点から、フェノールアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂のような低吸湿性のものも好適に用いることができる。
【0025】
そして、エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)の配合割合は、硬化反応性という観点から、エポキシ樹脂(A成分)中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂(B成分)中の水酸基の合計が0.5〜2.0当量となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5当量である。
【0026】
無機質充填剤(C成分)としては、特に限定されるものではなく従来公知の各種充填剤を用いることができる。例えば、石英ガラス、タルク、シリカ(溶融シリカや結晶性シリカ等)、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素等の粉末が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。中でも、得られる硬化体の熱線膨張係数が低減し、内部応力を低減できる結果、樹脂封止後の基板と素子の反りを抑制できるという点から、シリカ粉末を用いることが好ましく、シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることが、高充填性および高流動性という点からより好ましい。
【0027】
無機質充填剤(C成分)としては、成分の偏析をより効果的に防止するという点から平均粒径が0.5〜45μmの範囲のものを用いることが好ましく、5〜35μmの範囲のものを用いることがより好ましい。
【0028】
無機質充填剤(C成分)の含有量は、半導体素子封止用樹脂組成物全体の50〜90重量%の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは60〜90重量%である。すなわち、50重量%未満では、硬化物の線膨張係数が大きくなり、封止される半導体素子に対する応力が大きくなって、機能低下や、温度変化によるクラックが生じやすくなる。また、90重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなって成形性が低下する傾向がみられるからである。
【0029】
なお、本発明の半導体素子封止用樹脂組成物においては、エポキシ樹脂(A成分)、硬化剤(B成分)および無機質充填剤(C成分)以外に、前述したように、必要に応じて硬化促進剤、難燃剤、離型剤、カーボンブラックをはじめとする顔料等の他の添加剤を適宜配合することができる。
【0030】
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂(A成分)と硬化剤(B成分)との硬化反応を促進させるものであれば、特に限定するものではなく、従来公知の各種硬化促進剤を用いることができる。例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、ジアザビシクロアルケン系硬化促進剤等があげられる。
【0031】
難燃剤としては、例えば、有機リン化合物、酸化アンチモン、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併せて用いてもよい。
【0032】
本発明の半導体素子封止用樹脂組成物を用いた半導体素子の封止方法は、特に限定されるものではなく、トランスファー成形法等の公知の成形方法によって行うことができる。また、半導体素子封止用樹脂組成物は、このまま粉末状で用いてもよいし、タブレット状に成型して用いてもよい。
【実施例】
【0033】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0034】
まず、下記に示す各成分を準備した。
〔エポキシ樹脂a〕
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、融点105℃)
〔エポキシ樹脂b〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量195、融点75℃)
〔硬化剤〕
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量110、軟化点100℃)
〔無機質充填剤a〕
平均粒径8μmの破砕溶融シリカ粉末
〔無機質充填剤b〕
平均粒径10μmの破砕溶融シリカ粉末
〔無機質充填剤c〕
平均粒径15μmの球状溶融シリカ粉末
〔無機質充填剤d〕
平均粒径30μmの球状溶融シリカ粉末
〔無機質充填剤e〕
平均粒径15μmの破砕溶融シリカ粉末
〔硬化促進剤〕
トリフェニルホスフィン
〔離型剤〕
カルナバワックス
〔シランカップリング剤〕
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
〔顔料〕
カーボンブラック
〔難燃剤〕
三酸化アンチモン
〔実施例1〜5、比較例1〜5〕
表1に、実施例1〜5及び比較例1〜5で作製した半導体素子封止用樹脂組成物IおよびIIの組成を示した。表1に示す組成のうちエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)を混合した後、粉砕機として実施例1〜5はターボミル、比較例1〜5はハンマーミルを用いて適宜条件を変えて粉砕することにより、表2および表3に示す平均粒径を有するエポキシ樹脂(A成分)および硬化剤(B成分)の調整物を得た。
【0035】
そして、調整物と無機質充填剤(C成分)と表1に示す他の添加剤を、表1に示す割合で全成分合計量が100kgとなるように、混合機としてヘンシェルミキサー(容量:200L)を用いて2分間分散混合することにより混合物を得た。
【0036】
なお、調整物および無機質充填剤(C成分)の平均粒径は、HORIBA社製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて湿式法にて各成分の粒度分布を測定することにより算出した。
【0037】
ついで、混合物を、溶融混練装置に備え付けられた供給用容器であるホッパー(容量:400L)に投入した。この工程を2回繰り返して、ホッパー内の混合物が合計200kgとなるようにした。
【0038】
そして、ホッパー内の混合物を、200kg/時間の流量でホッパーからスクリュー式溶融混練機に連続的に供給しながら溶融混練(温度:80℃)した。スクリュー式溶融混練機から排出される混練物を、排出開始から3分間隔で6回採取し、ついで20分後に1回採取し、さらに3分間隔で7回採取した。各時間で採取した各混練物をカレンダーロールで圧延して空冷固化し、空冷固化した各混練物をハンマー式粉砕機を用いて粉砕して、実施例1〜5および比較例1〜5の各樹脂組成物を得た。
〔樹脂組成物評価方法1〕
前記方法で得られた実施例1〜5および比較例1〜5の各樹脂組成物30gで直径30mmのタブレットを加圧成型して80℃に予備加熱したものを、トランスファー成形(加熱条件:175℃×2分)で熱硬化した後に、175℃×5時間のポストキュアをすることにより比重測定用の試験片を得て、比重を測定した。そして、比重の変動幅を算出した。なお、比重測定方法はJIS−K6911に準じた。
〔樹脂組成物評価方法2〕
また、前記方法で得られた各樹脂組成物を用いて、ASTM D3123−98(2004)に準じて175℃におけるスパライラルフロー測定を行った。そしてスパイラルフロー長さの変動幅を算出した。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

その結果、表2および表3に示したように、調整物の平均粒径が5μm以上50μm以下である実施例品は、調整物の平均粒径が50μmを超えた比較例品と比べて、樹脂組成物の比重の変動とスパイラルフロー長さの変動が抑えられていた。すなわち、本発明の半導体素子封止用樹脂組成物では、混合物を連続的に溶融混練した場合に、溶融混練初期と後期で樹脂組成物の物性の変化が小さく、安定した製造をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の半導体素子封止用樹脂組成物製造する際に好適に用いられる溶融混練装置の構成図である。
【符号の説明】
【0043】
1 溶融混練機
2 ホッパー
3 ヒーター
4 ロータ羽根
5 ミキシングチャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含む半導体素子封止用樹脂組成物であって、
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒径が5μm以上50μm以下となるように調整された(A)成分および(B)成分と、(C)成分とを、(A)成分および(B)成分の下記の式(1)で表される体積平均粒径における球形換算の重量が、(C)成分の下記の式(1)で表される体積平均粒径における球状換算の重量に対して0.4〜20倍となるよう混合されてなることを特徴とする、半導体素子封止用樹脂組成物。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)無機質充填剤
【数1】

【請求項2】
請求項1記載の半導体素子封止用樹脂組成物を用いて、半導体素子を樹脂封止してなる半導体封止体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−251157(P2012−251157A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172819(P2012−172819)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2008−128035(P2008−128035)の分割
【原出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】