説明

半導体装置、接合金属層付き半導体素子、実装部材、並びに半導体装置の製造方法

【課題】半導体素子と実装部材との接合温度以上でも動作可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1の金属を含む面を有する基板31と、外周領域31aに設けられた第1の絶縁材32および前記第1の絶縁材の上に設けられた導電部33を有する枠部36とを有する。半導体素子20は、前記導電部と電気的に接続可能である。接合金属層50は、第2の金属と、前記第2の金属内に分散された第3の金属と、前記第2の金属内に分散された第4の金属とを有する。また、接合金属層は、前記第2の金属の重量百分率が前記第3の金属の重量百分率よりも高く、かつ前記第3の金属の重量百分率が前記第4の金属の重量百分率よりも高い固溶体層により、前記半導体素子と前記内部領域とを接合可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、接合金属層付き半導体素子、実装部材、並びに半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の線膨張係数と、実装部材の線膨張係数と、は、通常は異なる。このため、絶縁材や金属板からなる実装部材上に半導体素子を接着した後の降温工程において、実装部材に反りが生じることがある。高出力半導体装置に用いられる実装部材は、例えばサイズが10mm×10mmなどと大きくなるので、反りが大きくなる。このため、半導体装置と放熱板との間に空隙部を生じ、放熱性が低下するなどの問題がある。
【0003】
半導体素子と、実装部材と、の接合強度を保ちつつ、反りを抑制するために、融点が280度近傍のAuSn共晶半田材が用いられることがある。しかしながら、半田材の融点以上では、半導体素子が剥がれたりずれたりすることがある。
【0004】
このため、AuSnのような低い融点を有する金属を半田材として用いることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−32834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体素子と実装部材との接合温度以上でも動作可能な半導体装置およびその製造方法、接合金属層付き半導体素子、並びに実装部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の半導体装置は、実装部材と、半導体素子と、接合金属層と、を有する。実装部材は、第1の金属を含む面を有する基板と、前記基板の前記面の外周領域に設けられた第1の絶縁材と前記第1の絶縁材の上に設けられた導電部とを有する枠部と、を有する。半導体素子は、前記基板の前記面の内部領域の上に設けられ、前記導電部と電気的に接続可能である。接合金属層は、銅および銅合金のいずれかである第2の金属と、前記第2の金属内に分散され、錫、亜鉛、およびインジウムのいずれかである第3の金属と、前記第2の金属内に分散され金および白金のうちのいずれかである第4の金属と、を有する。また、接合金属層は、前記第2の金属の重量百分率が前記第3の金属の重量百分率よりも高く、かつ前記第3の金属の重量百分率が前記第4の金属の重量百分率よりも高い固溶体層により、前記半導体素子と前記内部領域とを接合可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体装置の模式平面図、図1(b)はA−A線の沿った模式断面図、である。
【図2】図2は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する模式図であり、図2(a)は基板と枠部と積層体の断面図、図2(b)は基板の上に、第2の金属、第4の金属、第3の金属、を積層した実装部材の断面図、図2(c)は接合金属層付き半導体素子の断面図、図2(d)は加熱・加圧前の断面図、図2(e)は接合後の断面図、である。
【図3】銅−錫2元素平衡状態図である。
【図4】図4は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を説明する模式図であり、図4(a)は基板と枠部と積層体の断面図、図4(b)は基板の上に、第2の金属、第4の金属、を積層した実装部材の断面図、図4(c)は接合金属層付き半導体素子の断面図、図4(d)は第3の金属を薄層の断面図、図4(e)は加熱・加圧前の断面図、図4(f)は接合後の断面図、である。
【図5】図5(a)は第2の実施形態にかかる半導体装置の模式平面図、図5(b)はA−A線の沿った模式断面図、である。
【図6】図6は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する模式図であり、図6(a)は基板と枠部と積層体の断面図、図6(b)は基板の上に、第2の金属、第4の金属、を積層した実装部材の断面図、図6(c)は接合金属層付き半導体素子の断面図、図6(d)は導電パターン基板の断面図、図6(e)は加熱・加圧前の断面図、図6(f)は接合後の断面図、である。
【図7】図7(a)は第3の実施形態にかかる半導体装置の模式平面図、図7(b)はB−B線に沿った模式断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体装置の模式平面図であり、図1(b)はA−A線の沿った模式断面図である。
半導体装置は、例えば、GaAs FET(Field Effect Transistor)またはGaAs HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。半導体装置は、半導体素子20と、実装部材40と、接合金属層50と、を有する。
【0010】
半導体素子20は、第1の面20aと、第1の面20aとは反対の側の第2の面20bと、を有する。第1の面20aは、ドレイン、ゲート、ソース、などを含む能動領域を有する。能動領域は、GaAsからなる半絶縁性基板に設けられている。
【0011】
実装部材40は、基板31と、枠部36と、を少なくとも有する。基板31は、第1の金属を含む面に、外周領域31aおよび内部領域31bを有する。半導体素子20の第2の面20bと、第1の面20aと、の間は高抵抗であるので、基板31が導電性であっても能動領域と基板31とを絶縁可能である。
【0012】
枠部36は、外周領域31aに設けられた第1の絶縁材32および第1の絶縁材32の上に設けられた導電部33を有する。なお、枠部36は、導電部33の上に設けられ、外方に向かって突出した2つのリード35a、35bと、第3の絶縁材34と、をさらに有していてもよい。GaAs FETのゲート電極は入力側ボンディングワイヤ22および導電部を介してリード35aと接続され、ドレイン電極は出力側ボンディングワイヤ23および導電部33を介してリード35bと接続され、ソース電極は接地ボンディングワイヤ24により基板31の表面の第1の金属を含む面に接続される。なお、第1の金属を含む面は、第1の金属以外の金属を含んでいてもよい。
【0013】
また、実装部材40は、蓋部38をさらに有することができる。蓋部38を第3の絶縁材34と接合することにより半導体素子を気密封止することができる。
【0014】
接合金属層50は、銅(Cu)および銅合金のいずれかである第2の金属と、第2の金属内に分散され、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、およびインジウム(In)のいずれかである第3の金属と、第2の金属内に分散され金(Au)および白金(Pt)のいずれかである第4の金属と、を有する。なお、銅合金は、例えば、2.3wt%(重量百分率)の鉄(Fe)、0.1wt%の亜鉛、0.03wt%の燐(P)などを含むことができる。銅合金は、CuWやCuMoなどであってもよい。
【0015】
また、接合金属層50は、第2の金属と、第2の金属内に分散された第3の金属と、第2の金属内に分散された第4の金属と、を含む固溶体層49を有している。
【0016】
例えば、接合金属層50は、基板31の側に設けられ、第2の金属からなる第1接合金属層45と、半導体素子20の側に設けられ、第2の金属からなる第2接合金属層48と、第1接合金属層45と第2接合金属層48との間に設けられた固溶体層49と、を有してもよい。また、接合金属層50は、すべて固溶体層49であってもよい。
【0017】
図2は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する模式図であり、図2(a)は基板と枠部と積層体の断面図、図2(b)は基板の上に、第2の金属、第4の金属、第3の金属、を積層した実装部材の断面図、図2(c)は接合金属層付き半導体素子の断面図、図2(d)は加熱・加圧前の断面図、図2(e)は接合後の断面図、である。
【0018】
図2(a)のように、第1の絶縁材32の上に設けられた導電部33と第3の絶縁材34とは、例えば、焼成されて一体となっている。金属からなる基板31の外周領域31aと第1の絶縁材32との間、および導電部33とリード35との間、などは、銀ロウ材により接合されている。
【0019】
図2(b)に表したように、基板31の表面の第1の金属を含む面に、銅および銅合金のいずれかである第2の金属からなる第1接合金属層45と、第1接合金属層45の上に設けられ、金および白金のいずれかである第4の金属からなる保護金属層47と、保護金属層47の上に設けられ、錫、亜鉛、およびインジウムのいずれかである第3の金属からなる第3接合金属層46と、をマスク蒸着法、スパッタ法、および選択メッキ法などを用いて内部領域31bに形成する。銅などからなる第1接合金属層45の表面は、酸化しやすい。このため、金などの第4の金属からなる保護金属層47でその表面を覆うと酸化を抑制することができる。
【0020】
また、第1接合金属層45の厚さは、例えば1〜10μmなどとできる。第2接合金属層48の厚さは、例えば1〜10μmとすることができる。
【0021】
他方、図2(c)に表したように、半導体素子20の第2の面20bに、銅および銅合金のいずれかの第2の金属からなる第2接合金属層48と、金および白金のいずれかからなる保護金属層41と、を積層することにより接合金属層つき半導体素子21が完成する。
【0022】
続いて、図2(d)に表したように、半導体素子20の側の保護金属層41と、基板31の側の第3接合金属層46と、を重ね合わせる。続いて、第3の金属の融点以上に加熱し、第3接合金属層46を液相状態とする。さらに半導体素子20と基板31とに所定の圧力Pを加えつつ、所定の温度で所定の時間保持することにより、固溶体層49を形成し半導体素子20と基板31の内部領域とを接合する。例えば、所定の温度は250℃、保持時間は30分、所定の圧力Pは、0.01MPa以上とすることができる。このようにして、図2(e)に表したように接合工程が完了する。
【0023】
保持時間が長くなりすぎると生産性が低下する。本実施形態では、銅などの酸化が抑制できるので水素を用いた還元炉を用いる必要がない。このため、窒素などの不活性ガス雰囲気中で、1時間以内で接合工程が完了するので生産性を高く保つことができる。
【0024】
他方、共晶半田の融点は、AuSnで略282℃、AuGeで略350℃、AuSiで 略380℃などである。このため、基板の反りや半導体素子のクラックなどを生じることがある。これに対して、本実施形態では、融点の低い錫を用いることができるので、基板の反りおよび半導体素子のクラックなどを抑制できる。
【0025】
図3は、銅−錫2元素平衡状態図である。
縦軸は温度(℃)、横軸は錫の重量百分率(wt%)、である。所定温度を錫の融点232℃よりも高い250℃とすると錫は液相状態となる。液相状態の錫には、所定圧力が加えられつつ、所定の温度で所定の時間保持される。この結果、錫は、銅金属内に拡散される。同時に銅も錫の側に拡散される。この結果、銅と錫とは、錫が略15wt%以下となるα固溶体を含む固溶体層49を形成する。
【0026】
例えば、固溶体が、90wt%の銅と、10wt%の錫と、を含む組成(破線)であるものとする。固溶体層49は、略330〜820℃の温度範囲において、相変化を生じることなく、高い接合強度を保つことができる。
【0027】
本実施形態では、錫のような第3の金属の重量百分率よりも低い百分率を有する金などの第4の金属が固溶体層49に拡散される。
【0028】
なお、銅−亜鉛2元素平衡状態図では、銅の重量百分率が略60%以上の範囲に固溶体層が形成できる。
【0029】
もし、銅などの第1接合金属層45の表面に酸化膜を生じていると、錫などの第3接合金属層46が、均一に銅内に拡散されにくい。本実施形態では、銅の表面に金などの保護金属層41、47を設けることにより銅の酸化を抑制している。金などの第4の金属の重量百分率は、Snなどの第3の金属の重量百分率よりも低くてよい。すなわち、金の厚さは、例えば500オングストローム以下であっても酸化を抑制することは容易であり、2元素平衡状態を乱すことは殆どない。微量金属の重量百分率は、例えばSIMS(Secondary Ion Mas Spectrometry:二次イオン質量分析法)を用いると測定できる。
【0030】
固溶体層49は、CuSnの金属間化合物(η層)やCuSnの金属間化合物(ε層)を含まないので、接合強度を高く保つことができる。
【0031】
もし錫が固相で残っていると、温度が融点以上において液相化し半導体素子20が基板31からずれたり剥離する可能性がある。本実施形態では、錫はすべて銅内に拡散され固溶体を形成しているので接合強度を高く保つことができる。他方、銅の融点は高いので、銅層が残っても接合強度を高く保つことができる。
【0032】
図4は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の変形例を説明する模式図であり、図4(a)は基板と枠部と積層体の断面図、図4(b)は基板の上に、第2の金属、第4の金属、を積層した実装部材の断面図、図4(c)は接合金属層付き半導体素子の断面図、図4(d)は第3の金属を薄層の断面図、図4(e)は加熱・加圧前の断面図、図4(f)は接合後の断面図、である。
【0033】
図4(a)は、基板31と枠部と積層体の模式断面図である。本変形例では、図4(b)に表したように、第2の金属からなる第1接合金属層45の表面に第4の金属からなる保護金属層47が設けられている。このため、この状態で長時間保存しても銅の酸化を抑制することができる。接合金属層付き半導体素子21は、図4(c)に表したような断面構造を有する。
【0034】
図4(d)に表したように、錫などの第3接合金属層46は、厚さが3〜20μmなどのシート状とすることができる。図4(b)に表した基板31の側の保護金属層47と、接合金属付き半導体素子21と、の間にシート状の第3接合金属層46を配置する。
【0035】
図4(e)に表したように、第3接合金属46をその融点以上に加熱し、液相状態とする。半導体素子20と基板31とに所定の圧力Pを加えつつ、所定の温度で所定の時間保持する。例えば、所定の圧力Pは0.01MPa、所定の温度は250℃、保持時間は30分、などとすることができる。また、第3接合金属層46を半導体素子20の側の保護金属層41に設けてもよい。このようにして、図4(f)に表したように、接合工程が完了する。
【0036】
図5(a)は第2の実施形態にかかる半導体装置の模式平面図、図5(b)はA−A線の沿った模式断面図、である。
半導体装置は、例えば、高出力GaAs FETとする。半導体装置は、半導体素子20と、実装部材40と、導電パターン基板60と、接合金属層50と、を有する。
【0037】
導電パターン基板60は、第2の絶縁材62と、その上面に設けられた導電パターン66と、を有する。また、導電パターン基板60の下面に、第2の金属からなる第4接合金属層64、第4の金属からなる保護金属層65と、を積層して接合金属層付き導電パターン基板61とすることができる。導電パターン基板60は、リード35aと半導体素子20との間に設けられた第1の導電パターン60aと、リード35bと半導体素子20との間に設けられた第2の導電パターン基板60b、とを含むことができる。導電パターン基板60は、半導体素子20、21と、同時に接合してもよい。
【0038】
半導体素子20が、マイクロ波のような高い周波数で動作するものとすると、入力および出力インピーダンスは外部の伝送線路の特性インピーダンス(例えば50Ω)と整合容易であることが好ましい。この場合、半導体素子20の近傍にインピーダンス整合回路を設けると広い増幅帯域で整合することが容易となる。例えば、図5(a)のように、導電パターンからなるストリップラインの幅を変えることによっても整合回路とすることができる。すなわち、半導体素子20の特性に応じて、接合金属層付き導電パターン基板61を変えることが容易となる。
【0039】
図6は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する模式図であり、図6(a)は基板と枠部と積層体の断面図、図6(b)は基板の上に、第2の金属、第4の金属、を積層した実装部材の断面図、図6(c)は接合金属層付き半導体素子の断面図、図6(d)は導電パターン基板の断面図、図6(e)は加熱・加圧前の断面図、図6(f)は接合後の断面図、である。
【0040】
まず、図6(a)に表したような断面構造を有する基板と枠部との積層体を準備する。そして、図6(b)に表したように、基板の上に、第1接合金属層45、保護金属層47、第3接合金属層を形成する。接合金属層付き半導体素子は、図6(c)に表したような断面構造を有する。図6(d)に表したように、セラミックなどからなる絶縁材62の一方の面に導電パターン66を形成し導電パターン基板60とする。さらに、導電パターン基板60の他方の面に、第2の金属からなる第4接合金属層64と、第4の金属からなる保護金属層65と、を積層し接合金属層付き導電パターン基板61とすることができる。
【0041】
そして、図6(e)に表したように、半導体素子20および導電パターン基板60a、60bの上方から所定の圧力Pを加え、所定の温度で加熱しつつ、所定の時間保持する。例えば、所定の圧力Pは0.01MPa、所定の温度は250℃、保持時間は30分、などとすることができる。このようにして、図6(f)に表したように、半導体素子20と、導電パターン基板60と、を、基板31にそれぞれ接合できる。
【0042】
図7(a)は第3の実施形態にかかる半導体装置の模式平面図、図7(b)はB−B線に沿った模式断面図、である。
能動領域が導電性基板の上に設けられているバイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの場合、半導体素子20の第2の面20bは、例えばコレクタ領域であることが多い。この場合、基板72は、絶縁材72aと、接地領域72b、島領域72cと、を有する。
【0043】
バイポーラトランジスタのチップは、周囲の接地領域72bと絶縁された島領域72cに接合される。島領域72cは、出力側ボンディングワイヤ23で導電部33bと接続されコレクタとなる。通常エミッタは接地されるのでエミッタ電極は、接地ボンディングワイヤ24により接地領域72bに接続される。また、ベース電極は、入力側ボンディングワイヤ22により導電部33aと接続されベース端子となる。また、パワーMOSFETの場合、半導体基板の側のバックゲートを接地から絶縁することができる。
【0044】
半導体素子20の材料がシリコン(Si)の場合、バンドギャップエネルギーは略1.12eVであり、動作温度を200℃以上とすることが困難である。他方、ワイドバンドギャップ半導体では、高温動作が容易である。例えば、バンドギャップエネルギーは、炭化珪素(SiC)で2.2〜3.02eV、窒化ガリウム(GaN)で略3.39eV、と高い。このため、ワイドバンドギャップ材料を用いると、MOSFETやIGBTを、例えば、300℃以上で動作可能である。
【0045】
本実施形態にかかる半導体装置では、例えば250℃近傍で、半導体素子と実装部材とを接合し、実装部材の反りや半導体素子のクラックなどが抑制できる。また、接合温度よりも高い温度で動作させても、拡散接合された固溶体相は変化しないので接合強度を高く保つことができる。
【0046】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
20 半導体素子、21 接合電極付き半導体素子、31 基板、32 第1の絶縁材、33 導電部、34 第3の絶縁材、36 枠部、40 実装部材、41 保護金属層、45 第1接合金属層、46 第3接合金属層、47 保護金属層、48 第2接合金属層、49 固溶体層、50 接合金属層、60 導電パターン基板、61 接合金属層付き導電パターン基板、62 第2の絶縁材、64 第4接合金属層、65 保護金属層、66 導電パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属を含む面を有する基板と、前記基板の前記面の外周領域に設けられた第1の絶縁材と前記第1の絶縁材の上に設けられた導電部とを有する枠部と、を有する実装部材と、
前記基板の前記面の内部領域の上に設けられ、前記導電部と電気的に接続可能な半導体素子と、
銅および銅合金のいずれかである第2の金属と、前記第2の金属内に分散され、錫、亜鉛、およびインジウムのいずれかである第3の金属と、前記第2の金属内に分散され金および白金のうちのいずれかである第4の金属と、を有する接合金属層であって、前記第2の金属の重量百分率が前記第3の金属の重量百分率よりも高く、かつ前記第3の金属の重量百分率が前記第4の金属の重量百分率よりも高い固溶体層により、前記半導体素子と前記内部領域とを接合可能な接合金属層と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
第2の絶縁材と、前記第2の絶縁材の上に設けられた導電パターンと、を有し、上方からみて前記枠部と前記半導体素子との間に設けられた導電パターン基板をさらに備え、
前記導電パターンが設けられない側の前記導電パターン基板の面と、前記内部領域と、が前記接合金属層により接合された請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接合金属層は、前記第2の金属からなり前記内部領域と接合された第1接合金属層と、前記第2の金属からなり前記半導体素子と接合された第2接合金属層と、前記第1接合金属層と前記第2接合金属層との間に設けられた前記固溶体層と、を有する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1の金属を含む面を有する基板と、
前記基板の前記面の外周領域に設けられた第1の絶縁材と前記第1の絶縁材の上に設けられた導電部とを有する枠部と、
前記基板の前記面の内周領域の上に設けられ、銅および銅合金のいずれかである第2の金属からなる第1接合金属層と、
前記第1接合金属層の上に設けられ、金および白金のいずれかである第4の金属からなる保護金属層と、
を備えた実装部材。
【請求項5】
前記保護金属層の上に設けられ、錫、亜鉛、およびインジウムのいずれかである第3の金属からなる第2接合金属層をさらに備えた請求項4記載の実装部材。
【請求項6】
前記枠部は、前記導電部の上および前記導電部の非形成領域となる前記第1の絶縁材の上に設けられた第3の絶縁材をさらに有する請求項4または5に記載の実装部材。
【請求項7】
能動領域を有する第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有する半導体素子と、
前記第2の面に設けられ、銅および銅合金のいずれかである第2の金属からなる第3接合金属層と、
前記第3接合金属層の上に設けられ、金および白金のいずれかである第4の金属からなる保護金属層と、
を備えた接合金属層付き半導体素子。
【請求項8】
請求項4記載の実装部材の前記保護金属層と、請求項7記載の接合金属層付き半導体素子の前記保護金属層と、の間に、前記第3の金属からなるシートを配置する工程と、
加熱により前記シートを液相状態とする工程と、
前記半導体素子と前記実装部材とに所定の圧力を加えつつ所定の温度に所定の時間保つことにより、前記第3の金属が前記第1の接合金属層内および前記第3の接合金属層内にそれぞれ拡散された固溶体層を形成し前記半導体素子と前記内部領域とを接合する工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記接合する工程は、前記実装部材の前記第4の金属および前記接合金属層付き半導体素子の前記第4の金属を前記固溶体層内に拡散する請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5記載の実装部材の前記第2接合金属層と、請求項7記載の接合金属層付き半導体素子の前記保護金属層と、を重ね合わせる工程と、
前記第3の金属を融点以上に加熱し液相状態とする工程と、
前記半導体素子と前記実装部材とに所定の圧力を加えたつつ所定の温度で所定の時間保つことにより、前記第3の金属を前記実装部材の前記第2の金属内および前記半導体素子の前記第2の金属内に拡散された固溶体層を形成し前記半導体素子と前記内部領域とを接合する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記接合する工程は、前記実装部材の前記第4の金属および前記接合金属層付き半導体素子の前記第4の金属を前記固溶体層内に拡散する請求項10記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate