説明

半導体装置、記録ストラテジー生成方法、及び記録ストラテジー生成用プログラム

【課題】より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを効率よく生成する。
【解決手段】光ディスク装置(100)に搭載され、光ディスク(1)に対するデータの書き込みと読み出しを制御するための半導体装置(4)は、光ディスクから読み出された再生信号(S04)に基づいて生成された、データ再生のためのチャネルクロック信号(301)に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報に基づいて、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となるように記録ストラテジーを調整する第1処理(F01、F03)と、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように記録ストラテジーを調整する第2処理(F04)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、記録ストラテジー生成方法、及び記録ストラテジー生成用プログラムに関し、特に光ディスク装置に搭載され、光ディスクに対するデータの書き込みを制御するための半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているDVD−R(DVD−Recordable)、DVD−RW(DVD−Re−Writable)等の書き込みまたは書き換え可能な光ディスクでは、ディスクの記録面の上にレーザ光が照射されることによって光記憶媒体に熱変化が発生して情報が記録される。光ディスクに対して情報を記録するためのレーザ光の制御方法として、例えば、記録すべき情報に応じた時間幅を有する記録パルスによってレーザ光を変調することにより、記録すべき情報に応じた長さの記録マークを光ディスク上に形成する方法がある。一方、上記方法のように光ディスクに対して情報を記録するための1つの記録マークを1つのレーザパルスで形成するのではなく、複数の短いパルス(マルチパルス)を含むパルス列によって記録マークを形成するレーザパワーの制御する方法もある。この方法は、ライトストラテジー(以下、「記録ストラテジー」とも称する。)と呼ばれる。この方法によれば、単一の記録パルスを照射する方法と比較して光ディスクの記録面上の熱蓄積が減少するので、記録マークが形成される記録面上の温度分布を均一化することが可能となり、記録マークが涙液形状となることが防止され、好ましい形状の記録マークを形成することが可能となる。しかし、マルチパルスによる記録ストラテジーでは、通常速度での記録時は問題ないが、高速記録時ではオーバーシュート及びアンダーシュートによってパルスの振幅が変化してしまい、光ディスクの熱量が正確に制御できずに適切な形状の記録マークを形成することができない虞がある。この問題を解決する方法として、光ディスクの記録面を予熱するトップパルスと、記録すべきマークの長さに応じて時間幅が変化する中間バイアス部と、記録マークの後端部の形状を調整するラストパルスと、を含む記録パルスを使用する方式の記録ストラテジーがある(例えば、特許文献1)。また、別の方式の記録ストラテジーとして、記録マークの前後のスペース長の変化による記録時の熱的干渉と再生時の光学的干渉とを考慮して、トップパルスおよびラストパルスの位置及びパルス幅が記録すべきマークの直前及び直後のスペース長に応じて変化される記録ストラテジーもある。その他、トップパルスと中間バイアス部とラストパルスとを含む独特の形状とされる記録パルスを使用するキャッスル型の記録ストラテジーもある。
【0003】
以上のように光ディスク装置は、少なくとも1つの所定の記録ストラテジーでの最適な記録パワーの記録パルスを生成し、その記録パルスによりレーザ光を制御することで光ディスクに情報を記録するが、光ディスク装置自体の性能上のばらつきや光ディスクのばらつき等によって、記録パルスの最適な記録パルスタイミング位置等にばらつきが生じる。装着された光ディスクに対する記録ストラテジーの記録パルスタイミング位置等が適切でない場合には、光ディスクに記録される記録マークのマーク長やエッジ位置が適正でなくなり、ジッタ特性やエラーレート等の再生品質が悪化する。このような問題を解決するための記録ストラテジーの最適化の従来技術として、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−85753号公報
【特許文献2】特開2005−228418号公報
【特許文献3】特開2007−287229号公報
【特許文献4】特開2000−30254号公報
【特許文献5】特開2010−282695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は本発明に先立って、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu−ray Disc(登録商標、以下同じ))等の複数の規格の光ディスクの記録を可能とするマルチドライブ型光ディスク装置に搭載される信号処理用の大規模半導体集積回路(LSI:Large Scale Integrated circuits)の研究・開発に従事した。この研究・開発の当初において、本発明者は特許文献2乃至5に記載の技術について検討を行った。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、予め1つのディスク製造業者ID当り複数の異なる記録ストラテジーを記憶手段に記憶しておき、装着された光ディスクのディスク製造業者IDに対応した記録ストラテジーのうちの1つを前記記憶手段から読み出して、読み出した記録ストラテジーによる記録テストを行う。そして、前記記録テストの結果から記録パワーの適否を判別し、その判別結果に基づいて記録ストラテジーを設定する。このとき、記録パワーが適切である場合には当該記録ストラテジーを記録用として設定する。一方、記録パワーが適切でない場合には、再度、記憶手段から別の記録ストラテジーを読み出して記録テストを行い、記録パワーの適否を判別して適切な記録パワーが得られる記録ストラテジーを探索する。すなわち、特許文献2に記載の方法では、1つのディスク製造業者ID当り複数の異なる記録ストラテジーを記憶手段に記憶する必要があり、ディスクの製造業者が増加すると記憶手段の使用記憶部分が増大するので、光ディスク装置に搭載される不揮発性メモリのメモリ容量が不足する可能性が有る。
【0007】
特許文献3に記載の技術では、システムコントローラが光ディスクのテストエリアを使用して種々の記録ストラテジーに従ってテストデータの試し書きを実行し、当該テストデータの再生信号品質を評価することで最適な記録ストラテジーを選択する。システムコントローラは、Hst=A・Eb+B・We+C・(Peb−Pmb)の関係式によって評価値Hstを算出し、最小のHstが得られる記録ストラテジーを最適記録ストラテジーとする。ここで、Ebは記録ストラテジー毎のエラーレート最小値とされ、Weはしきいエラーレートが得られる記録パワー範囲とされ、Pmbは目標ベータ(β)値が得られる記録パワーとされ、Pebは最小エラーレートが得られる記録パワーとされる。すなわち、特許文献3に記載の方法では、種々の記録ストラテジーで試し書きした後、各記録ストラテジーでの再生信号品質評価および記録パワー範囲の大きさを算出する必要がある。従って、最適な記録ストラテジーを調整するには、できるだけ多くの記録ストラテジーを用意して、かつ再生信号品質評価およびパワー範囲の算出を全ての記録ストラテジーで実行する必要が有るので、調整時間が長期化する可能性が高い。
【0008】
特許文献4に記載の技術では、記録頻度の高い最短記録マークのジッタが最小となる記録パワーと、涙目型記録マーク化(非対称化)が最も顕著になる最長記録マークの理論値からのずれが最小となる記録パワーとが略等しくなるように記録ストラテジーを選択する。すなわち、特許文献4に記載の方法では、最短記録マークと最長記録マークに着目して記録ストラテジーを調整することで全体としてのジッタが低くなるように調整するが、最短と最長との間に存在するその他の長さの記録マークについては特に考慮されておらず、最短と最長以外の記録マークではジッタが大きくなる虞がある。
【0009】
特許文献5に記載の技術では、評価対象とされる複数の記録マーク全体の平均ジッタが最小となるように記録ストラテジーを調整する。すなわち、特許文献5に記載の方法では記録マーク全体の平均ジッタは小さくなるが、夫々の記録マークについて個別にジッタの判断を行わないので、ジッタが大きい記録マークが調整されずに残る虞がある。
【0010】
また、その他の懸念事項として多層光ディスクへの対応が挙げられる。近年、光ディスク大容量化のため、例えば2層DVDのように、光ディスク1枚あたりの記録層をさらに増やす多層光ディスクの研究が盛んに行われている。多層光ディスクでは手前層を通して奥層の信号を再生する構造のため、記録層を1層しか保有しない光ディスクと比較して、各記録層での反射率は低下する。また各記録層の厚さを均一にすることが困難であることから、記録層が増えるほど再生品質の劣化が懸念される。こうした記録層の増加による再生品質の劣化を防ぐためには、1層の光ディスクより品質の良い記録マークが各記録層に形成される必要がある。そのためには、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーが必要とされる。このように、記録層を複数持つ多層光ディスクに対して十分な記録品質を得るための記録ストラテジーを調整するには、従来技術に代わる新たな技術が期待される。
【0011】
本発明の目的は、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを効率よく生成することにある。
【0012】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0014】
すなわち、光ディスク装置に搭載され、光ディスクに対するデータの書き込みと読み出しを制御するための半導体装置は、光ディスクから読み出された再生信号に基づいて生成された、データ再生のためのチャネルクロック信号に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報に基づいて、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となるように記録ストラテジーを調整する第1処理と、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように記録ストラテジーを調整する第2処理とを行う。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0016】
すなわち、本半導体装置によれば、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを効率よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施の形態1に係る光ディスク装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、信号品質測定回路42の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】図3は、シフト値とジッタの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、情報が記録された光ディスクにおける各記録マークの出現率の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、光ディスク装置の記録ストラテジーに係るレーザパルス波形の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、光ディスク装置100の記録ストラテジー調整の処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図7】図7は、微調整Iに係る処理の前後の記録品質の評価結果の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、粗調整の流れの一例を示すフロー図である。
【図9】図9は、ステップF0102の調整開始ストラテジーの選択に係る処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図10】図10は、微調整Iの流れの一例を示すフロー図である。
【図11】図11は、微調整IIの流れの一例を示すフロー図である。
【図12】図12は、ラストパルス幅Ltの調整(Lt調整)の流れの一例を示すフロー図である。
【図13】図13は、ラストパルス幅Ltの決定方法の概念を示す説明図である。
【図14】図14は、ターゲットベータ調整の流れの一例を示すフロー図である。
【図15】図15は、ステップF0811におけるターゲットベータ決定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図16】図16は、ジッタ指標のベータマージンの概念を示す説明図である。
【図17】図17は、PIエラー指標のベータマージンの概念を示す説明図である。
【図18】図18は、実施の形態2に係る記録ストラテジー調整の処理の流れの別の一例を示すフロー図である。
【図19】図19は、実施の形態3に係る記録ストラテジー調整の処理の流れの別の一例を示すフロー図である。
【図20】図20は、実施の形態4に係る記録ストラテジー調整の処理の流れの別の一例を示すフロー図である。
【図21】図21は、実施の形態5に係る光ディスク装置200の構成の一例を示すブロック図である。
【図22】図22は、実施の形態5の粗調整における調整開始ストラテジーの選択処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図23】図23は、実施の形態5に係る微調整Iの流れの一例を示すフロー図である。
【図24】図24は、実施の形態5に係る微調整IIの流れの一例を示すフロー図である。
【図25】図25は、実施の形態5に係るLt調整の流れの一例を示すフロー図である。
【図26】図26は、実施の形態5に係るターゲットベータ調整の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0019】
〔1〕(全体調整+個別調整)
本発明の代表的な実施の形態に係る半導体装置は、光ディスク装置(100)に搭載され、光ディスク(1)に対するデータの書き込み及び読み出しに係る制御を行う半導体装置(4)であって、前記制御のためのデータ処理を実行するデータ処理制御部(43)と、前記光ディスクから読み出された再生信号(S04)に基づいて、当該光ディスクへの書き込みに係る記録品質を評価するための評価情報(S06)を生成する測定部(42)と、を有する。前記評価情報は、データ再生のためのチャネルクロック信号(301)に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報を含み、前記データ処理制御部は、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となるように記録ストラテジーを調整する第1処理(F01、F03)と、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように記録ストラテジーを調整する第2処理(F04)とを行う。
【0020】
これによれば、記録マーク全体に係る前記エラー情報の値を小さくし、且つ個別の記録マークに係る前記エラー情報の値を小さくするように記録ストラテジーを調整するから、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。例えば、光ディスクの記録における記録マークの出現率の低い長マークは全体の記録品質に与える影響が小さいため、記録マーク全体の前記エラー情報の値が小さくなるように調整する前記第1処理だけでは長マークの前記エラー情報の値が最小になるとは限らない。そこで、前記第1処理に加え前記第2処理を行うことによって、例えば長マークに係る前記エラー情報の値を小さくするように記録ストラテジーを調整すれば、記録マーク全体として前記エラー情報の値が小さく、且つ個別の記録マークについても前記エラー情報の値が小さい記録ストラテジーの生成が可能となる。
【0021】
〔2〕(微調整II・・・所定の閾値以上のシフト値をもつ記録マーク)
項1の半導体装置において、前記所望の記録マークは、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーによって記録された記録マーク(M0511、M0512)のうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マーク(J0511、J0512)である。
【0022】
前記第2処理では、全ての記録マークではなく、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーで記録された記録マークのうち記録品質の低い記録マークに着目して調整を行うから、品質の高い記録が可能な記録ストラテジーをより効率良く生成することができる。
【0023】
〔3〕(微調整II・・・前端エッジシフト量又は後端エッジシフト量の調整)
項1又は2の半導体装置において、前記第2処理による記録ストラテジーの調整は、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーにおける前記所望の記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータ(Tld、Ttr2)の調整である。
【0024】
これによれば、記録ストラテジーにおけるレーザパルス波形を定める複数のパラメータのうち、記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータを調整するから、前記所望の記録マークに係る再生信号の位相のずれを効率よく調整することが可能となる。
【0025】
〔4〕(微調整II・・・具体的調整方法)
項3の半導体装置において、前記エラー情報は、再生信号のエッジのずれ量とずれ方向を示す位相シフト値(M0101、M0201、M0501、M0511)を含み、前記第2処理は、前記所望の記録マークのエッジを、当該エッジの前記すれ量に応じて当該エッジの前記ずれ方向と反対方向にシフトさせるように前記パラメータを変更して前記位相シフト値を小さくする処理である。
【0026】
これによれば、容易に、前記所望の記録マークに係る再生信号の位相のずれを小さくすることができる。
【0027】
〔5〕(Lt調整・・・ラストパルスの幅の調整)
項1乃至4のいずれかの半導体装置において、前記データ処理制御部は、更に、レーザパルス波形(303、304)の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスによって形成される記録マーク(302)に係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記第2処理により調整された記録ストラテジーにおける未調整のラストパルスのパルス幅を定めるパラメータ(Lt)を調整する第3処理(F06)を行う。
【0028】
これによれば、前記第2処理によって前記所望の記録マークに係るエッジのシフト量を調整した上で更に、ラストパルスを含むレーザパルス波形によって形成される特定の記録マークのラストパルス幅を調整するから、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することができる。
【0029】
〔6〕(Lt調整後に再度微調整II)
項5の半導体装置において、前記データ処理制御部は、前記第3処理によって調整された記録ストラテジーに対して再度前記第2処理(F07)を行う。
【0030】
例えば、前記第2処理において記録マークの前端エッジをシフトさせるためのパラメータのみならず、後端エッジをシフトさせるためのパラメータを調整している場合には、前記第3処理におけるラストパルスのパルス幅を定めるパラメータの調整によって、記録マークの後端エッジが最適値からずれる場合がある。そこで、前記第3処理の後に再度前記第2処理を行うことで、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0031】
〔7〕(粗調整)
項1乃至6のいずれかの半導体装置において、前記エラー情報は再生信号のジッタ(M0102、M0202、M0502、M0512)を含み、前記第1処理は、初期記録ストラテジーに基づいてレーザパワーを定めるパラメータ(Pw)を変更した複数の記録ストラテジーを生成し、生成した記録ストラテジーによる記録マークのうち評価対象とされる複数の記録マークに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを選択する第4処理(F01)を含む。
【0032】
これによれば、記録マーク全体として最適なレーザパワーを効率よく見つけ出すことができる。
【0033】
〔8〕(微調整I)
項7の半導体装置において、前記第1処理は、前記第4処理によって選択された記録ストラテジーに基づいて、記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータを変更した記録ストラテジーを複数生成し、生成した記録ストラテジーによる記録マークのうち評価対象とされる複数の記録マークに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを選択する第5処理(F03)を含む。
【0034】
これによれば、記録マーク全体として最適なエッジのシフト量を効率よく見つけ出すことができる。
【0035】
〔9〕(ジッタ指標のターゲットβ調整)
項3乃至8のいずれかの半導体装置において、前記評価情報は前記再生信号のベータ値を含む。また前記データ処理制御部は、更に、前記エッジをシフトさせるためのパラメータが調整され、レーザパワーを定めるパラメータが変更された記録ストラテジーによって記録したデータの再生信号に基づいて、記録品質の目標とされるジッタ以下となるジッタを取り得るベータ値の範囲を表わす余裕度(BJ02)を算出し、前記余裕度に応じてレーザパワーを定めるパラメータ(ターゲットベータ)を決定する第6処理(F08、F081101、F081102)を行う。
【0036】
例えば、前記第1処理においてレーザパワーが設定された後に、前記第2処理や前記第3処理によってレーザパルス波形のパルス幅が調整されることで、レーザパワーが最適値からずれる場合がある。そこで、前記第2処理又は前記第3処理の後に、ジッタ指標のベータの余裕度に応じてレーザパワーを決定することで、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0037】
〔10〕(PIエラー指標のターゲットβ調整)
項9の半導体装置において、前記評価情報は、前記再生信号のPIエラーを含む。また前記データ処理制御部は、更に、前記エッジをシフトさせるためのパラメータが調整され、レーザパワーを定めるパラメータが変更された記録ストラテジーによって記録したデータの再生信号に基づいて、記録品質の目標とされるPIエラー以下となるPIエラーを取り得るベータ値の範囲を表わす余裕度(BP02)を算出し、前記余裕度に応じてレーザパワーを定めるパラメータ(ターゲットベータ)を決定する第7処理(F08、F081103〜F081107)を行う。
【0038】
これによれば、ジッタ指標のベータの余裕度に加え、PIエラー指標のベータの余裕度に応じてレーザパワー決定するから、PIエラーを考慮した、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0039】
〔11〕(記録ストラテジー生成方法・・・全体調整+個別調整)
本発明の代表的な実施の形態に係る記録ストラテジー生成方法は、光ディスクへの書き込みに係る記録品質を評価するための評価情報(S06)を入力して記録ストラテジーを生成する記録ストラテジー生成方法である。前記評価情報は、前記光ディスクから読み出された再生信号に応じて生成され、且つ、データ再生のためのチャネルクロック信号に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報を含む。前記記録ストラテジー生成方法は、入力された、複数の記録ストラテジーに従って記録された記録マークに係る前記エラー情報のうち、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となる記録ストラテジーを前記複数の記録ストラテジーの中から選択する第1処理(F01、F03、図22、図23)と、入力された前記エラー情報のうち、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように前記第1処理によって選択された記録ストラテジーの前記パラメータを調整した記録ストラテジーを生成する第2処理(F03、図24)と、を含む。
【0040】
これによれば、項1と同様に、記録マーク全体に係る前記エラー情報の値を小さく、且つ個別の記録マークに係る前記エラー情報の値を小さくするように記録ストラテジーを調整するから、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。また、前記第2処理では、前記第1処理で選択された記録ストラテジーに基づいて記録ストラテジーを生成するから、より効率良く記録ストラテジーを生成することができる。
【0041】
〔12〕(微調整II・・・所定の閾値以上のシフト値をもつ記録マーク)
項11の記録ストラテジー生成方法において、前記所望の記録マークは、前記第1処理によって選択された記録ストラテジーに従って記録された記録マーク(M0511、M0512)のうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マーク(J0511、J0512)である。
【0042】
前記第2処理では、全ての記録マークではなく、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーで記録された記録マークのうち記録品質の低い記録マークに着目して調整を行うから、品質の高い記録が可能な記録ストラテジーをより効率良く生成することができる。
【0043】
〔13〕(微調整II・・・前端エッジシフト量又は後端エッジシフト量の調整)
項11又は12の記録ストラテジー生成方法において、前記第2処理による前記パラメータの調整は、前記所望の記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータ(Tld、Tr2)の調整である。
【0044】
これによれば、前記所望の記録マークに係る再生信号の位相のずれを効率よく調整することが可能となる。
【0045】
〔14〕(微調整II・・・具体的調整方法)
項13の半導体装置において、前記エラー情報は、再生信号のエッジのずれ量とずれ方向を示す位相シフト値(M0101、M0201、M0501、M0511)を含み、前記第2処理は、前記所望の記録マークのエッジを、当該エッジの前記ずれ量に応じて当該エッジの前記ずれ方向と反対方向にシフトさせるように、前記所望の記録マークのエッジをシフトさせて前記位相シフト値を小さくするためのパラメータを変更する処理である。
【0046】
これによれば、容易に、前記所望の記録マークに係る再生信号の位相のずれを小さくすることができる。
【0047】
〔15〕(Lt調整・・・ラストパルスの幅の調整)
項11乃至14のいずれかの記録ストラテジー生成方法において、レーザパルス波形(303、304)の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスによって形成される記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記第2処理により調整された記録ストラテジーにおける未調整のラストパルスのパルス幅を定めるパラメータ(Lt)を調整する第3処理(F06、図25)を更に含む。
【0048】
これによれば、項5と同様に、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することができる。
【0049】
〔16〕(LT調整後に再度微調整II)
項15の記録ストラテジー生成方法において、前記第3処理によって調整された記録ストラテジーによって記録された記録マークのうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マークに係るエラー情報の値が小さくなるように前記パラメータを調整する第4処理(F07)を含む。
【0050】
これによれば、項6と同様に前記第3処理の後に再度前記第2処理を行うことで、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0051】
〔17〕(粗調整+微調整I)
項11乃至16のいずれかの記録ストラテジー生成方法において、前記エラー情報は、再生信号のジッタを含む。前記第1処理は、初期記録ストラテジーにおけるレーザパワーを定めるパラメータが変更されて生成された複数の記録ストラテジーに従って記録された記録マークのうち、評価対象とされる複数の記録マークのエッジに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを、前記複数の記録ストラテジーの中から選択する第5処理(F01、図22)を含む。また、前記第1処理は、前記第5処理によって選択された記録ストラテジーにおける前記記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータが変更されて生成された複数の記録ストラテジーに従って記録された記録マークのうち、評価対象とされる複数の記録マークに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを複数の記録ストラテジーの中から選択する第6処理(F03、図23)を含む。
【0052】
これによれば、記録マーク全体として最適なレーザパワーと最適なエッジのシフト量を効率よく見つけ出すことができる。
【0053】
〔18〕(ジッタ指標のターゲットβ調整)
項13乃至17のいずれかの記録ストラテジー生成方法において、前記評価情報は、前記再生信号のベータ値を含み、前記エッジをシフトさせるためのパラメータが調整され、レーザパワーを定めるパラメータが変更された記録ストラテジーによって記録したデータの前記再生信号に基づいて、記録品質の目標とされるジッタ以下となるジッタを取り得るベータ値の範囲を表わす余裕度を算出し、前記余裕度に応じてレーザパワーを定めるパラメータ(ターゲットベータ)を決定する第7処理(F08、図25)更に含む。
【0054】
これによれば、項9と同様に、前記第2処理又は前記第3処理の後にジッタ指標のベータの余裕度に応じてレーザパワーの調整を行うことで、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0055】
〔19〕(記録ストラテジー生成用プログラム・・・全体調整+個別調整)
本発明の代表的な実施の形態に係る記録ストラテジー生成用プログラムは、コンピュータ装置(6、43)により実行され、光ディスク(1)から読み出された再生信号(S04)に応じて生成された記録品質を評価するための評価情報(S06)に基づいて新たな記録ストラテジーを生成するための記録ストラテジー生成用プログラムである。前記評価情報は、データ再生のためのチャネルクロック信号(301)に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報を含む。前記記録ストラテジー生成用プログラムは、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となるように、記録ストラテジーにおける書き込みのためのレーザパルス波形を定めるパラメータを調整する第1処理(F01、F03)と、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記パラメータを調整する第2処理(F04)とを制御するための制御データを含む。
【0056】
これによれば、項1と同様に、記録マーク全体に係る前記エラー情報の値を小さくし、且つ個別の記録マークに係る前記エラー情報の値を小さくするように記録ストラテジーの調整を行うから、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0057】
〔20〕(微調整II・・・所定の閾値以上のシフト値をもつ記録マークのエッジシフト量の調整)
項19の記録ストラテジー生成用プログラムにおいて、前記第2処理による記録ストラテジーの調整は、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーによって記録された記録マーク(M0511、M0512)のうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マークのエッジ(J0511、J0512)をシフトさせるためのパラメータの調整である。
【0058】
これによれば、項2と同様に、品質の高い記録が可能な記録ストラテジーをより効率良く生成することができる。
【0059】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0060】
≪実施の形態1≫
(1)光ディスク装置の構成
図1は、実施の形態1に係る光ディスク装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
同図に示される光ディスク装置100は、光ディスク1に対するデータの書き込みと読み出しを行う。光ディスク装置100によって記録・再生が可能な光ディスク1は、特に制限されないが、例えば、CD、DVD、BD等の光ディスクである。光ディスク1に対するデータの書き込みは、記録ストラテジーに応じたレーザパルスの制御により行われる。光ディスク装置100は、光ディスク1の記録品質を高めるため、例えばデータの書き込みを行う前に、光ディスク装置100に予め格納された標準初期ストラテジーを調整して、書き込み対象とされる光ディスク1に適した記録ストラテジーを生成する。記録ストラテジーの調整方法については後で詳述する。
【0062】
図1に示される光ディスク装置100は、着脱が可能な光ディスク1を回転駆動するスピンドルモータ2と、光ピックアップ3と、信号処理を実行する信号処理用の大規模半導体集積回路(以下、「信号処理LSI(Large Scale Integration)」と称する。)4を備える。
【0063】
スピンドルモータ2は、信号処理LSI4からのモータ制御信号S01によりモータ回転制御されることによって、所定の回転数で光ディスク1を回転させる。
【0064】
光ピックアップ3は、信号処理LSI4からの位置制御信号S02により位置制御されることによって、光ディスク1の径方向に移動して所定の記録再生位置に移動する。また光ピックアップ3の半導体レーザは、信号処理LSI4からのレーザパルス制御信号S03により制御され、記録または再生のためにレーザパルスを光ディスク1の表面に照射する。光ディスク1の再生時には、光ピックアップ3の半導体レーザから照射されたレーザパルスは光ディスク1の表面で反射され、光ピックアップ3の受光部が反射光を受光する。受光部は反射光を電気信号S04に変換して信号処理LSI4に出力する。
【0065】
信号処理LSI4は、アナログフロントエンド(AFE:Analog Front End)41、信号品質測定回路(MQS)42、マイクロコントローラ(MCU)43、メモリ部(MRY)44、位置制御回路(P_CNT)45、レーザパルス制御回路(L_CNT)46、モータ制御回路(M_CNT)47を備える。信号処理LSI4は、特に制限されないが、上記機能部41〜47が夫々構成された複数の半導体チップをパッケージ内部に備えたSIP(System in Package)もしくはMCM(Multi−chip Module)の形態で構成される。
【0066】
AFE41は光ピックアップ3が出力した電気信号S04の増幅等のアナログ信号処理を実行することによってアナログ信号S05を生成して、信号品質測定回路42に出力する。
【0067】
信号品質測定回路42は、アナログ信号S05に基づいて、光ディスクの記録品質を評価するための評価情報を測定結果情報S06としてマイコン43に出力する。前記測定結果情報S06は、例えば、ベータ値、シフト値、ジッタ、PI(Parity Inner)エラー等である。ベータ値は、光ディスク1の再生アナログ信号S05の波形の最大振幅値と最小振幅値との比に基づく値であり、例えば記録パワーを定める際に用いる指標とされる。PIエラーとは、例えば、1ECCブロック当たりの内部コードパリティのエラーの数である。
【0068】
ここで、シフト値及びジッタについて、信号品質測定回路42の動作と共に説明する。
【0069】
図2は、信号品質測定回路42の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0070】
図2において、参照符号301で示される信号はチャネルクロック信号であり、参照符号S11で示される信号は信号品質測定の開始を指示する測定開始信号であり、参照符号S05で示される信号はAFE41から出力されるアナログ信号であり、参照符号S05Dで示される信号は前記アナログ信号S05をディジタルに変換した信号である。また、参照符号2501乃至2503で示される範囲は位相エラーであり、参照符号2505乃至2507で示される点はアナログ信号S05のゼロクロス点である。
【0071】
信号品質測定回路42はマイコン43から測定開始信号S11を受信すると信号品質測定を開始し、予め定めた数だけゼロクロス点を検出すると測定を終了する。信号品質は、チャネルクロック信号301に対するゼロクロス点2505乃至2507の時間軸方向のずれを表す位相エラー2501乃至2503に基づいて算出される。位相エラー2501乃至2503は、例えば、チャネルクロック信号301に対して、時間軸方向のずれを正の位相エラーとし、時間軸とは逆方向の位相エラーを負の位相エラーとして表される。また、位相エラー2501乃至2503は、例えば信号品質測定回路42が、チャネルクロック信号301よりも周期の短いクロックでアナログ信号S05のサンプリングを行い、参照符号2505乃至2507のゼロクロス点とチャネルクロック信号の時間のずれを位相エラーとして計測する方法で測定される。その他の計測方法として、例えば信号品質測定回路42がチャネルクロック信号301によりアナログ信号S05のサンプリングを行い、サンプリングした結果からゼロクロスする時間を計算で求め、その計算結果から各ゼロクロス点とチャネルクロックの時間ずれを求める方法でもよい。位相エラーの測定方法は特に上記の方法に限定されない。
【0072】
信号品質測定回路42は、測定した位相エラーに基づいてシフト値及びジッタを生成する。前記シフト値は、例えば記録マークの前端エッジもしくは後端エッジの位相エラーの積分であり、前記ジッタは、例えば記録マークの前端エッジもしくは後端エッジの位相エラーの絶対値の積分である。
【0073】
図3にシフト値とジッタの一例を示す。同図に示されるように、ゼロクロス点は、例えば光ディスクの記録面における記録マークとスペースとの切り替わり点M01、M02に対応され、前記サンプリングされたゼロクロス点の間隔に基づいて、記録マークのマーク長が判別され、また、その記録マークの前方及び後方のスペース長を判別することができる。したがって、参照符号M0101、M0102、M0201、及びM0202に示されるように、マーク長とスペース長の組み合わせ毎にシフト値とジッタ値を測定することが可能である。信号品質測定回路42は、これら測定したシフト値とジッタ値を含んだ測定結果情報S06をマイコン43に出力する。なお、図3では、一例として3T乃至6Tのマーク長及びスペース長の組み合わせ毎にシフト値とジッタの数値例を示しているが、マーク長とスペース長の値と夫々の組み合わせは、上記に限定されない。
【0074】
信号品質は、例えば、信号品質の評価の対象とされる記録マークのシフト値(又はジッタ)と記録マークの出現率に基づいて算出した全体シフト値(又は全体ジッタ)により評価される。信号品質の評価の対象とされる記録マークは、例えば、マーク長と前方スペース長及び後方スペース長の組み合わせによって特定される。すなわち、記録マークのエッジが信号品質の評価対象とされる。信号品質の評価対象とされる記録マークのエッジ(以下、「対象エッジ」とも称する。)は、図3に示されるように3T〜6Tのマーク長と3T〜6Tの前後のスペース長から特定される32通りのエッジであってもよいし、3Tから14Tの全てのマーク長と全てのスペース長から特定されるエッジでもよい。
【0075】
全体シフト値は、例えば図3の参照符号M03に示されるように、前方スペース・後方マーク(M01)と前方マーク・後方スペース(M02)の2つの場合に分けて算出され、その値は、例えばマーク長とスペース長の全ての組み合わせに応じたシフト値の平均値である。したがって、出現率の高いマーク長のシフト値ほど全体シフト値に与える影響は大きく、出現率の低いマーク長のシフト値ほど全体シフト値に与える影響は小さい。全体ジッタとジッタについても同様である。
【0076】
図4は、情報が記録された光ディスクにおける各記録マークの出現率の一例を示す説明図である。
【0077】
同図には、光ディスクがDVDの場合の出現率が示される。同図に示されるように、光ディスクに記録される記録マークの出現率はマーク長が短いほど高くなる傾向がある。したがって、マーク長の短い記録マークのシフト値ほど全体シフト値に与える影響は大きくなり、マーク長の長い記録マークのシフト値ほど全体シフト値に与える影響は小さくなる。全体シフト値とシフト値についても同様である。
【0078】
マイコン43は、メモリ部44に格納されたプログラムを実行することにより、光ディスクに対するデータの書き込みと読み出しのための制御を行う。例えば、マイコン43は、光ディスク1にデータを書き込む際に、メモリ部44に格納されたプログラムに従って、信号品質測定回路42からの測定結果情報S06に基づいてデータ処理を実行し、マウントされた光ディスク1に応じた記録ストラテジーの調整を行う。このとき、マイコン43は、位置制御回路45、レーザパルス制御回路46、モータ制御回路47に対して、位置制御信号S07、レーザパルス制御信号S08、モータ制御信号S09を夫々出力することにより光ディスクに対するデータの書き込みと読み出しのためのハードウェア制御を行う。
【0079】
また、マイコン43は、適宜メモリ部44とデータの読み出しと書き込みとを実行する。メモリ部44は、例えば同期型ダイナミックメモリ(SDRAM:Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備え、例えば標準初期ストラテジー、マイコン43によるデータ処理結果等のデータ、及びソフトウェアプログラム等を格納する。
【0080】
位置制御回路45は、マイコン43からの位置制御信号S07に応答することによって、光ピックアップ3を記録位置または再生位置に移動させるように位置制御信号S02を出力する。
【0081】
レーザパルス制御回路46は、マイコン43からのレーザパルス制御信号S08に応答することによって、マイコン43が指定した記録ストラテジーで記録するよう光ピックアップ3にレーザパルス制御信号S03を出力する。
【0082】
モータ制御回路47は、マイコン43からのモータ制御信号S09に応答することによって、マイコン43が指定した速度で光ディスク1を回転させるようにスピンドルモータ2に対しモータ制御信号S01を出力する。
【0083】
(2)光ディスク装置100による記録ストラテジー調整方法の概要
前述したように、光ディスク装置100は、光ディスク1にデータを書き込む前に、標準初期ストラテジーを調整してマウントされた光ディスク1に適した記録ストラテジーを生成する。記録ストラテジーの調整では、例えば記録ストラテジーにおけるレーザパルス波形を規定するパラメータの調整が行われる。
【0084】
ここで記録ストラテジーにおけるレーザパルス波形を規定するパラメータについて説明する。
【0085】
図5は、光ディスク装置100における記録ストラテジーに係るレーザパルス波形の一例を示す説明図である。なお、同図に示されるレーザパルス波形の形状は一例であり、この形状に限定されるものではない。
【0086】
同図では、周期1Tを持ったチャネルクロック信号の波形301と、光ディスク1に記録されるべき記録マークの形状302と、マルチパルス型の記録ストラテジーに係るレーザパルス波形303と、キャッスル型の記録ストラテジーに係るレーザパルス波形304とが示されている。
【0087】
光ディスク装置100における記録ストラテジー調整において調整されるパラメータは、例えば、前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2、記録パワー(ライトパワー)Pw、及びラストパルスLtである。なお、調整するパラメータは上記に限定されず、例えば、キャッスル型の記録ストラテジーの場合には、ミドルパワーPmを更に調整してもよい。また、記録のためのレーザパルス波形としてマルチパルス型とキャッスル型のいずれの記録ストラテジーを使用するかは、光ディスク1の種類に応じて決めてもよいし、高速記録時の倍速速度に応じて決めてもよい。
【0088】
図5に示されるように、マルチパルス型の記録ストラテジーの前端エッジパルスのエッジシフト量Tldは、チャネルクロック信号301の立ち上がりからマルチパルス型のレーザパルス波形303の最初の立ち上がりエッジまでの時間であり、マルチパルス型の記録ストラテジーの後端エッジパルスのエッジシフトTtr2は記録マーク302の後のチャネルクロック301の立ち上がりからマルチパルス型のレーザパルス波形303の最後の立ち下がりエッジまでの時間である。また、マルチパルス型のライトパワーPwはレーザパルス波形の最大値であり、マルチパルス型のラストパルス幅Ltは、レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスの幅である。
【0089】
また同図に示されるように、キャッスル型の記録ストラテジーの前端エッジパルスのエッジシフト量Tldは、チャネルクロック301の立ち上がりからキャッスル型記録レーザパルス波形304の最初の立ち上がりエッジまでの時間であり、キャッスル型の記録ストラテジーの後端エッジパルスのエッジシフト量Ttr2は記録マーク302の後のチャネルクロック301の立ち上がりからキャッスル型記録レーザパルス波形304の最後の立ち下がりエッジまでの時間である。また、キャッスル型のライトパワーPwはレーザパルス波形の最大値であり、キャッスル型のラストパルス幅Ltは、レーザパルス波形の終端に位置するライトパワーPwを持続する時間である。
【0090】
光ディスク装置100は、所定の処理手順で上記パラメータを調整することにより記録ストラテジーの調整を行う。以下、光ディスク装置100による記録ストラテジー調整の処理フローの概要について説明する。
【0091】
図6は、光ディスク装置100における記録ストラテジー調整の処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0092】
同図に示される処理フローは、マイコン43のソフトウェア処理による処理フローとして例示しているが、処理の一部または全てを専用ハードウェアで実現することも可能である。
【0093】
同図に示される記録ストラテジーの調整処理では、先ず粗調整が実行され、調整開始ストラテジーの選択が行われる(F01)。前記粗調整では先ず、1つの標準初期ストラテジーに基づき複数の初期ストラテジーが生成され、複数の初期ストラテジーを用いて記録レーザパワー(ライトパワーPw)が変化されて、評価データとしてのランダムデータが光ディスク1の表面に記録される。その後、記録されたデータが再生されて信号品質の測定が行われる。そして、その測定結果に基づき評価関数演算が実行される。演算結果が正常であれば、前記複数の初期ストラテジーの中から最適とされるライトパワーPwの記録ストラテジーが調整開始ストラテジーとして1種類選択され、粗調整の処理は正常終了する。演算結果が異常であれば粗調整は調整不可とされ処理が異常終了する。粗調整の詳細な内容については後述する。
【0094】
ステップF01の粗調整が終了したら、前記粗調整が正常終了したか否かが判断される(F02)。ステップF02において粗調整が正常終了したと判断された場合には、続いて微調整Iが実行される(F03)。一方ステップF02において粗調整が異常終了したと判断された場合には記録ストラテジー調整は異常終了する。ステップF02において粗調整が異常終了したと判断された場合に記録ストラテジー調整を異常終了することで、早期の段階で記録ストラテジーの調整が不可能な光ディスクを判別することが可能となり、マイコン43における処理負荷を低減することができる。
【0095】
ステップF03の微調整Iでは、ステップF01の粗調整で選択された調整開始ストラテジーにおける各記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータ(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)が調整された第1の調整記録ストラテジーが生成される。具体的には、粗調整で選択された調整開始ストラテジーの各記録マークの前端エッジシフト量Tldもしくは後端エッジシフト量Ttr2を変化させた複数の記録ストラテジーが生成され、それらの記録ストラテジーにしたがって、評価データとしてのランダムデータが光ディスクに記録される。そして、記録されたデータが再生されて信号品質の測定が行われ、その測定結果に含まれる全体ジッタ(Jadj)の値が最小となる記録ストラテジーが前記複数の記録ストラテジーから選択され、第1の調整記録ストラテジーとされる。なお、評価結果における全体ジッタ(Jadj)は値が小さいほど、信号品質が良いものとされる。微調整Iの詳細な処理手順については後述する。
【0096】
ステップF03の微調整が終了すると、微調整IIが実行される(F04)。ステップF04の微調整IIでは、ステップF03の微調整Iにて選択された第1の調整開始ストラテジーにおける所望の記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータ(前端エッジシフト量Tldもしくは後端エッジシフト量Ttr2)が調整された第2の調整記録ストラテジーが生成される。具体的な方法は以下である。
【0097】
前述の微調整Iでは、各記録マークのエッジシフト量を全体ジッタに基づいて調整するため、出現率の低い長マークに係るジッタの低減が不十分な場合がある。例えば、微調整Iを行う前後の記録品質の評価結果の一例を図7に示す。
【0098】
図7において、参照符号M0501は、微調整Iを行う前の前方スペース・後方マークの各組み合わせのシフト値を表し、参照符号M0502は、微調整Iを行う前の前方スペース・後方マークの各組み合わせのジッタを表し、参照符号M0503は、微調整Iを行う前の前方スペース・後方マークの各組み合わせの全体シフト値及び全体ジッタを表す。また、参照符号M0511は、微調整Iを行った後の前方スペース・後方マークの各組み合わせのシフト値を表し、参照符号M0512は、微調整Iを行った後の前方スペース・後方マークの各組み合わせのジッタを表し、参照符号M0513は、微調整Iを行った後の前方スペース・後方マークの各組み合わせの全体シフト値及び全体ジッタを表す。
【0099】
参照符号M0503と参照符号M0513に示されるように、微調整Iの前後で全体ジッタは小さくなるが、例えば参照符号J0501、J0502、J0511、及びJ0512に示されるように、前方スペース長6Tのマーク長5Tは出現率の低い長マークであるため全体ジッタへの影響度が低く、ジッタがあまり小さくならない場合がある。そこで、ステップF04の微調整IIでは、例えば、ステップF03の微調整Iで調整を行った記録ストラテジーの評価結果における各記録マークのエッジのうち、シフト値の絶対値が所定の閾値を上回る全ての記録マークのエッジに対して、そのシフト値の絶対値が小さくなるように、エッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)の調整を行った記録ストラテジー(第2の調整記録ストラテジー)を生成する。なお、微調整IIの詳細な処理手順については後述するが、微調整IIも正常終了する場合と異常終了する場合がある。
【0100】
ステップF04の微調整IIが終了すると、微調整IIが正常終了したか否かが判断される(F05)。微調整IIが正常終了したと判断された場合には、Lt調整が実行される(F06)。微調整IIが異常終了したと判断された場合には記録ストラテジー調整は異常終了する。ステップF05で微調整IIが異常終了したと判断された場合に記録ストラテジー調整を異常終了することで、ステップF02と同様に、マイコン43における処理負荷を低減することができる。
【0101】
ステップF06のLt調整では、ステップF04の微調整IIで調整された第2の調整記録ストラテジーにおけるラストパルス幅Ltのパラメータが最適化された第3の調整記録ストラテジーが生成される。Lt調整の詳細な処理内容については後述する。
【0102】
ステップF06のLt調整が終了すると、再度、微調整IIが実行される(F07)。ステップF07の微調整IIでは、ステップF04の微調整IIと同様に、ステップF06でラストパルス幅Ltが最適化された記録ストラテジーの評価結果における各マーク長のうち、シフト値の絶対値が所定の閾値を上回る全ての記録マークのエッジに対して、そのシフト値の絶対値が小さくなるようにエッジシフト量の再調整が行われる。これにより、第4の調整記録ストラテジーが決定される。
【0103】
ステップF07が終了すると、ターゲットベータ調整が実行され、ステップF07の微調整IIで調整された第4の調整記録ストラテジーの記録レーザパワーの最適化とターゲットベータ値の決定が行われる(F08)。ここで、ターゲットベータとはベータ値の目標値であり、その値はメモリ部44に格納される。したがって、最適電力校正(OPC:Optimum Power Calibration)の動作で記録レーザパワーを調整する際には、メモリ部44に格納されたベータ値をターゲットベータとして調整を実行することで、最適な記録レーザパワーが決定される。すなわち、ターゲットベータを決定することで最適な記録レーザパワー(ライトパワー)Pwを決定することができる。またターゲットベータ決定において、ジッタ量対記録レーザパワーの特性を取得した際に、パワーマージンの中心となるパワーを記録レーザパワーに設定して、この記録レーザパワーでのベータ値をターゲットベータとすることもできる。ステップF08でのターゲットベータ調整の詳細な処理内容については後述する。
【0104】
ステップF08が終了すると、記録ストラテジーの調整の処理が正常終了する。正常終了後、光ディスク装置100は、図示されない外部のホストPC(パーソナルコンピュータ)等からの実記録コマンドに応答して、上記の方法で最適化された記録ストラテジーに従って光ディスク1の記録面に所定の記録を実行する。
【0105】
以下、図6の各処理内容について詳細に説明する。
【0106】
(3)粗調整(調整開始ストラテジーの選択)
図8は、粗調整の流れの一例を示すフロー図である。
【0107】
先ず、標準初期ストラテジーの読み出しが実行される(F0101)。標準初期ストラテジーの読み出しは、予めメモリ部44に保持された標準初期ストラテジーをマイコン43が読み出すものである。この標準初期ストラテジーは、例えば、種々の光ディスクのディスク管理情報に記録された推奨ストラテジーの統計平均値が設定された記録ストラテジーでもよいし、種々の光ディスクの推奨記録ストラテジーの中で最も頻度が高い記録ストラテジーでもよい。標準初期ストラテジーはこれらに限定されるものではない。
【0108】
ステップF0101が終了すると、調整開始ストラテジーの選択が実行される(F0102)。ステップF0102の処理について図9を用いて詳細に説明する。
【0109】
図9は、ステップF0102の調整開始ストラテジーの選択に係る処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0110】
同図に示されるように、先ず、マイコン43は、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalの値を“1”にリセットし、調整開始ストラテジー選択回数の最大値Nevalmaxと目標ジッタ値Jtargetを定義する(F010201)。調整開始ストラテジー選択回数の最大値Nevalmaxと目標ジッタ値Jtargetの値は、例えば、レジスタ等に設定される。調整開始ストラテジー選択回数の最大値Nevalmaxは、例えば初期ストラテジーの個数と一致した値が設定され、初期ストラテジーの算出方法によって数値は変わる。また、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalは、例えば1つの初期ストラテジーの調整処理が終わるとカウントアップされるカウンタである。
【0111】
ステップF010201が終了すると、マイコン43は初期ストラテジーの選択を実行する(F010202)。具体的には、マイコン43は、調整開始ストラテジー選択回数の最大値Nevalmaxに応じた数の初期ストラテジーを算出して、算出された初期ストラテジーのうち、どの初期ストラテジーで信号品質評価を行うかを選択する。この選択は、その時点での調整開始ストラテジー選択カウンタNevalの値によって決定される。
【0112】
算出される初期ストラテジーは、例えばステップF0101で読み出した標準初期ストラテジーにおける各記録マークの前端エッジシフト量Tldを一律に一定量(負数の場合も含む)加算した記録ストラテジーでもよいし、各記録マークの後端エッジシフト量Ttr2を一律に一定量(負数の場合も含む)加算した記録ストラテジーでもよい。また、選択対象の複数の初期ストラテジーには、標準初期ストラテジーそのものを含んでもよい。なお、初期ストラテジーは、各マークの前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2、及び参照ライトパワー以外のパラメータについても変更してもよいし、固定値としてもよい。
【0113】
ステップF010202の初期ストラテジーの選択が終了すると、マイコン43は、記録回数カウンタNrecと再生回数カウンタNplayとをそれぞれ“1”にリセットして、最大記録再生数Nrpmaxを定義する(F010203)。最大記録再生数Nrpmaxの値は、例えばレジスタ等に設定され、記録レーザパワー範囲とレーザパワー間隔に基づいて決定される。例えば、標準初期ストラテジーの参照ライトパワーPwを100%、記録レーザパワーの可変範囲を40%〜150%、記録レーザパワー間隔を10%とすると、記録レーザパワーの設定値は、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、及び150%の12通りとなるので、最大記録再生数Nrpmaxは“12”と定義される。なお、記録レーザパワー範囲およびレーザパワー間隔は光ディスク1の種類に関わらず固定値としてもよいし、光ディスク1の種類等に応じて適宜異なる値としてもよい。
【0114】
次に、マイコン43は記録レーザパワーを決定する(F010204)。この記録レーザパワー決定では、例えば、上述した記録レーザパワー範囲40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、及び150%のいずれかの値に記録レーザパワー(ライトパワーPw)が決定される。
【0115】
ステップF010204にてライトパワーPwが決定されると、マイコン43は、記録時モータ回転数の制御を実行する(F010205)。この記録時モータ回転数制御では、所定の記録速度となるようにマイコン43がモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の記録速度となるようにスピンドルモータの回転数を制御するためモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0116】
ステップF010205でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、記録時光ピックアップ位置の制御を実行する(ステップF010206)。この記録時の光ピックアップ位置制御では、信号品質評価を行うための記録を行う光ディスク1の記録領域に光ピックアップ3を移動するように、マイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、当該記録領域に光ピックアップ3を移動するように位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0117】
ステップF010206で所望の位置への光ピックアップ3の移動が完了すると、マイコン43は、ステップF010202で選択した初期ストラテジーに従って、光ディスク1に対し評価データとしてのランダムデータの記録を開始する(F010207)。ステップF10207では、マイコン43は、ステップF010202で選択した初期ストラテジーに応じたレーザパルス制御信号S08をレーザパルス制御回路46に出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置においてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力し、所定のサイズの評価データの記録が実行される。
【0118】
ステップF010207で所定のサイズの記録が完了すると、マイコン43は、記録回数カウンタNrecと最大記録再生数Nrpmaxの比較を実行する(F010208)。ステップF010208において、記録回数カウンタNrecの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも大きい場合には、マイコン43は、所定のレーザパワー範囲による記録が終了したと判断し、記録した評価データの再生を開始する(F010209)。記録回数カウンタNrecの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも小さい場合には、記録回数カウンタNrecを“1”インクリメントし(F010217)、ステップF010204に戻ってライトパワーPwを変更して、再度所定のサイズの評価データの記録を行う(F010204〜F010207)。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初ライトパワーPwで記録した記録領域とは異なる領域である。
【0119】
ステップF010209では、評価データの再生のため、再生時モータ回転数の制御が実行される。再生時モータ回転数制御では、所定の再生速度となるようマイコン43がモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の再生速度となるようスピンドルモータ2の回転数を制御するためモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0120】
ステップF010209でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、再生時光ピックアップ位置の制御を実行する(F010210)。ステップF010210では、信号品質評価を行うための記録を行った光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、この領域に光ピックアップ3が移動するように位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0121】
ステップF010210の再生時光ピックアップ位置制御の処理が終了すると、マイコン43は、光ディスク1を再生することによって信号品質測定を実行する(F010211)。ステップF010211では、マイコン43は信号品質評価を行うための再生を実行するようにレーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力することによって再生を実行する。光ピックアップ3はレーザを光ディスク1に照射して、光ディスク1からの反射光を受光して、この反射光を電気信号S04に変換して、信号処理LSI4のAFE41に出力する。AFE41は電気信号S04の増幅等のアナログ信号処理を実行することによってアナログ信号S05を生成して、信号品質測定回路42に出力する。信号品質測定回路42は、前述した方法により、アナログ信号S05のジッタを測定して測定結果を算出して測定結果情報S06をマイコン43に出力する。マイコン43は、測定結果情報S06をメモリ部44に格納する。
【0122】
ステップF010211の信号品質測定が終了すると、マイコン43は、再生回数カウンタNplayと最大記録再生数Nrpmaxを比較する(F010212)。ステップF010212において、再生回数カウンタNplayの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも小さい場合には、マイコン43は、再生回数カウンタNplayを“1”インクリメントし(F010216)、ステップF010209に戻って、別のライトパワーPwで記録された評価データの再生を実行する(F010209〜F010211)。
【0123】
一方、ステップF010212において、再生回数カウンタNplayの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも大きい場合には、マイコン43はカウンタNevalと調整開始ストラテジー選択回数最大値Nevalmaxを比較する(F010213)。ステップF010213において、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalが調整開始ストラテジー選択回数最大値Nevalmaxよりも小さい場合には、マイコン43は、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalを“1”カウントアップし(F010218)、ステップF010202の初期ストラテジー選択に戻る。
【0124】
一方、ステップF010213において、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalが調整開始ストラテジー選択回数最大値Nevalmaxよりも大きい場合には、マイコン43は評価関数演算を実行し、演算結果をメモリ部44に格納する(F010214)。
【0125】
ステップF010214の評価関数演算では、例えば、評価関数Feval=SUM(Jtarget−J(k))を用いて演算を行う。ここで、kは、ジッタに関連してJ(k)≦Jtargetの関係を満足する信号品質測定結果におけるサンプル点であり、Jtargetは目標ジッタ値であり、J(k)はサンプル点kにおけるジッタ値である。例えば、記録品質の評価対象とする複数の記録マークを図3のようにマーク長3T〜6Tとしたとき、サンプル点kは記録マークの前方スペース長3T〜6Tと後方スペース長3T〜6Tの組み合わせ(16x2=32通り)で特定される32通りのエッジであり、J(k)は32通りの対象エッジのうち、ジッタが目標ジッタJtarget以下となるジッタの値である。なお、目標ジッタ値Jtargetは予めメモリ部44の所定の記憶領域に格納され、マイコン43がメモリ部44の当該領域を読み出すことによって、目標ジッタ値Jtargetが決定される。評価関数Fevalによる演算結果は、ライトパワーPwのパワーマージンに正比例し、ジッタに反比例する値とされる。したがって、演算結果の値が大きいほど信号品質が向上するものとされる。
【0126】
ステップF010214の評価関数演算が終了すると、マイコン43は、評価関数演算の演算結果が正常であるか否かを判断する(F010215)。ステップF010215において、全ての初期ストラテジーにおいて評価関数Fevalが0であれば、マイコン43は、評価関数の演算結果を異常と判断し、調整開始ストラテジー選択処理(F0102)を異常終了させる。一方、ステップF010215において、評価関数Fevalが0でない初期ストラテジーが一つでもあれば、ステップF010214の評価関数の演算結果を正常と判断し、最大の評価関数Fevalである記録ストラテジーを調整開始ストラテジーとして選択し、調整開始ストラテジーの選択処理(F0102)を正常終了させる。
【0127】
調整開始ストラテジーの選択処理(F0102)が終了すると、次にマイコン43は、調整開始ストラテジーが正常に終了したか否かを判断する(F0103)。ステップF0103において、調整開始ストラテジー選択が正常終了されたと判断された場合には、マイコン43は、粗調整の処理を正常終了する。一方、調整開始ストラテジー選択が異常終了されたと判断された場合には、マイコン43は、粗調整の処理を異常終了する。粗調整の処理が異常終了した場合には、前述の図6に示すようにステップF02において粗調整異常終了と判断され、記録ストラテジー調整は異常終了する。
【0128】
以上、ステップF01の粗調整によれば、対象エッジの全体ジッタが最小となるようにライトパワーPwを調整した記録ストラテジーを生成することができる。
【0129】
(4)微調整I(第1の調整記録ストラテジーの選択)
図10は、微調整Iの流れの一例を示すフロー図である。
【0130】
先ず、マイコン43は光ディスク1に記録される記録マークのマーク長と前方スペース長及び後方スペース長の組み合わせで特定される複数のエッジの中から所定の対象エッジを選択する(F0301)。ここで選択される対象エッジは1つのエッジでもよいし、複数のエッジでもよい。例えば、図3のようにマーク長3T〜6Tとしたときの前方スペース長3T〜6Tと後方スペース長3T〜6Tの組み合わせで特定される32通りのエッジを対象エッジとして選択することも可能である。このように複数のエッジを対象エッジとして選択すれば以下のような利点がある。例えば、後述するステップF0313では全ての対象エッジに対して記録を行うまでステップF0301〜F0312の処理を繰り返し実行させるため、初めのステップF0301で多くの対象エッジの数を選択しておけばステップF0301〜F0312の処理を繰り返す回数を減らすことができ、マイコン43における微調整Iの処理負荷を軽減することができる。
【0131】
次にマイコン43は、ステップF0301で選択された対象エッジに係るエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)の調整幅を決定する(F0302)。前記調整幅は、例えば、ステップF01の粗調整において選択された調整開始ストラテジーにおける対象エッジに係るエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)を変化させる範囲である。エッジシフト量の調整幅の単位を1ステップとし、例えば1ステップ=1/16T(Tはチャネルクロック周期)とする。前記調整幅は、例えば、調整開始ストラテジーのエッジシフト量を基準とした前後5ステップ等である。
【0132】
ステップF0302でエッジシフト量の調整幅を決定した後、マイコン43は選択した対象エッジに係るエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、又は後端エッジシフト量Ttr2)を前記調整幅の範囲内で決定し、記録ストラテジーを決定する(F0303)。例えば、前記調整幅を5ステップとした場合には、前記調整開始ストラテジーの対象エッジに係るエッジシフト量を1〜5ステップの間のいずれかのステップだけ変更したエッジシフト量とされる記録ストラテジーが生成される。なお、ステップF0303の処理が初めて実行される場合には、他の記録マークに係るエッジシフト量等のパラメータは、ステップF01の粗調整によって選択された調整開始ストラテジーと同じ値とされる。その他の場合については、ステップF0313で後述する。
【0133】
ステップF0303で記録ストラテジーが決定されると、マイコン43は、記録時モータ回転数の制御を実行する(F0304)。ステップF0304では、所定の記録速度となるようにマイコン43がモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の記録速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0134】
ステップF0304でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、記録時の光ピックアップ位置の制御を実行する(F0305)。ステップF0305では、微調整Iのための記録が実行される光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45はこの領域に光ピックアップ3が移動するように、位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0135】
ステップF0305で所望の位置への光ピックアップ3の移動が完了すると、マイコン43は、ステップF0303にて決定した記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0306)。ステップF0306において、マイコン43はステップF0303で決定した記録ストラテジーで記録するように、レーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力することにより、所定のサイズの記録が実行される。
【0136】
ステップF0306で所定のサイズの記録の実行が完了すると、マイコン43は、ステップF0302で決定した全ての調整幅について記録が完了したか否かを判定する(F0307)。ステップF0307において、全ての調整幅について記録が完了していないと判断されると、ステップF0303に戻り、記録が完了していない調整幅に対応した記録ストラテジーが生成され、再度所定のサイズの評価データの記録を行う(F0304〜F0306)。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初調整幅で記録した記録領域とは異なる領域である。
【0137】
一方、ステップF0307において、全ての調整幅について記録が完了していると判断されると、ステップF0308以降の処理によって評価データの再生が行われる。先ずマイコン43は、再生時モータ回転数の制御を実行する(F0308)。ステップF0308では、マイコン43が所定の再生速度となるようにモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の再生速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0138】
ステップF0308でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、再生時光ピックアップ位置制御を実行する(F0309)。ステップF0309では、記録が完了した光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、光ピックアップ3がこの領域に移動するよう位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0139】
ステップF0309の位置制御の処理が終了すると、マイコン43は、光ディスク1を再生して、信号品質測定を実行する(F0310)。ステップF0310では、マイコン43は信号品質評価を行うための再生を実行するようにレーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答し、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力して、再生が実行される。すなわち、光ピックアップ3はレーザを光ディスク1に照射して、光ディスク1からの反射光を受光して、反射光を電気信号S04に変換して、信号処理LSI4のAFE41に出力する。AFE41は電気信号S04の増幅等のアナログ信号処理の実行によりアナログ信号S05を生成して、信号品質測定回路42に出力する。信号品質測定回路42はアナログ信号S05の全体ジッタを測定して測定結果を算出して、測定結果情報S06をマイコン43に出力する。マイコン43は、測定結果情報S06をメモリ部44に格納する。
【0140】
ステップF0310の信号品質測定の処理が終了すると、マイコン43は、ステップF0302で決定した全ての調整幅に対応する評価データの信号品質測定が完了しているか否かを判定する(F0311)。ステップF0311で全ての調整幅に対応する評価データの信号品質測定が完了していないと判定された場合には、ステップF0308に戻り、完了していない調整幅に対応する評価データの信号品質測定が実行される。
【0141】
一方、全ての調整幅に対応する評価データの信号品質測定が完了していると判定された場合には、マイコン43は、最適なエッジシフト量となる記録ストラテジーを決定する(F0312)。ステップF0312では、マイコン43はメモリ部44に格納された測定結果情報を読み出し、最も全体ジッタが小さくなるエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)の調整幅の記録ストラテジーを決定する。例えば、ステップF0301において1つの対象エッジを選択している場合には、その対象エッジ(マーク長と前方スペース長及び後方スペース長により定まる1つの記録マーク)のエッジシフト量を変更したときに、全体ジッタが最小となるエッジシフト量の記録ストラテジーが決定される。また、ステップF0301において複数の対象エッジ(例えば、前述の32通りの対象エッジ)を選択している場合には、それらの対象エッジのエッジシフト量を変更したときに、全体ジッタが最小となるエッジシフト量の記録ストラテジーが決定される。なお、ステップF0312における記録ストラテジーの決定では、マイコン43が、ジッタ対エッジシフト量の特性を取得し、その特性を近似した近似曲線からジッタが最小値となるエッジシフト量を算出し、算出したエッジシフト量となる記録ストラテジーを最適な記録ストラテジーとして決定することも可能である。
【0142】
ステップF0312のエッジシフト量決定の処理が終了すると、マイコン43は、全ての対象エッジについてエッジシフト量の調整が完了したか否かを判定する(F0313)。ステップF0313において、全ての対象エッジについてエッジシフト量の調整が完了していないと判定された場合には、調整していないマーク長およびエッジについて調整を行うためにステップF0301以降の処理に戻り、同様の処理を実行する(F0301〜F0312)。一方、ステップF0313にて、全ての対象エッジについてエッジシフト量の調整が完了したと判定された場合には、微調整Iの処理を終了する。
【0143】
以上の微調整Iによれば、対象エッジの全体ジッタが最小となるようにエッジシフト量を調整した記録ストラテジーを生成することができる。
【0144】
(5)微調整II(第2の調整記録ストラテジーの選択)
図11は、微調整IIの流れの一例を示すフロー図である。
【0145】
先ず、マイコン43は、微調整IIを実行する対象エッジを決定する(F0401)。対象エッジは、例えば、微調整Iで選択した複数の対象エッジ(例えば図3の32通りのエッジ)でもよいし、全マーク長と全スペース長の組み合わせで特定される全てのエッジでもよい。ここでは、一例として、全マーク長と全スペース長の組み合わせで特定される全てのエッジを対象エッジとする。
【0146】
次に、マイコン43は、前記微調整Iにおいて選択された第1の調整記録ストラテジーの信号品質測定結果のうち、対象エッジに設定した各エッジにおいてシフト値の絶対値が所定の閾値を超えるエッジがあるか否かを判別する(F0402)。前記所定の閾値は、例えば1ステップ(step)=1/16T(Tはチャネルクロック周期)等とした場合に、エッジシフト量の調整幅を1ステップ変動させたときに変化するシフト値の最大の変化量から算出される値である。例えば、いずれかの記録マークのエッジを1ステップ変動させたときのシフト値の最大の変化量が12%である場合、シフト値の絶対値が6%未満の記録マークのエッジに対してエッジシフト量の調整を行うと、シフト値が悪化する可能性がある。したがって、ステップF0402の処理の目的は、以降の処理によってシフト値の絶対値が悪化することを防ぐことであるから、前記所定の閾値の値は、前記目的が達成される値であれば良い。ここでは、前記所定の閾値を、例えば6%とする。
【0147】
なお、ステップF0402で判別対象とされる信号品質測定結果は、ステップF0402の処理が初めて実行される場合には、前記微調整Iにおいて選択された第1の調整記録ストラテジーの信号品質測定結果であり、ステップF0402の処理が2回以上実施されている場合には、後述するステップF0410の信号品質測定で取得した信号品質測定結果である。
【0148】
ステップF0402において、対象エッジのシフト値の絶対値が6%以内であれば、マイコン43は第1の調整記録ストラテジーを最適ストラテジーと判断し、第2の調整記録ストラテジーとして決定する(F0411)。
【0149】
一方、シフト値の絶対値が6%を超える対象エッジが存在する場合には、マイコン43は、ステップF0403以降で当該エッジに係るエッジシフト量を調整する処理を実行する。先ず、マイコン43は、シフト値の絶対値が6%を超える対象エッジの中から、所望の対象エッジを選択する(F0403)。ここで、マイコン43は、例えばシフト値の絶対値が6%を超える対象エッジのうち、1つのエッジを選択してもよいし、複数のエッジを選択してもよい。
【0150】
ステップF0403が終了したら、次にマイコン43は、前記第1の調整記録ストラテジーのエッジシフト量を調整した記録ストラテジーを生成する(F0404)。具体的には、マイコン43は、ステップF0403で決定した記録マークのエッジについては、現状のシフト値と、エッジシフト量を1ステップの変動させたときのシフト値の最大の変化量に基づいて、シフト値の絶対値が最小になるようにエッジシフト量を調整する。前述したように、前記シフト値は記録マークの前端エッジもしくは後端エッジの位相エラーの積分であり、チャネルクロック信号の周期Tを基準として算出したものである。一方、エッジシフト量の調整幅(1ステップ)もチャネルクロック信号の周期Tを基準としたものである。したがって、エッジシフト量を1ステップの変動させたときのシフト値の最大の変化量がわかれば、現状のエッジシフト量を何ステップずらせばシフト値が最小になるかを求めることができる。例えば、所定の記録マークのエッジの現状のシフト値が18[%]であり、エッジシフト量を1ステップの変動させたときのシフト値の最大の変化量が12[%]である場合、シフト値の小さくなる方向にエッジシフト量を2ステップ変化させる。これにより、シフト値は最大で−24%変化するが、シフト値が−24%変化した場合でもエッジシフト量の変更後のシフト値は−6%となり、エッジシフト量の変更前の8%に比べてシフト値の絶対値が悪化することはない。
【0151】
なお、ステップF0404のエッジシフト量の調整において、ステップF0403で決定した記録マークのエッジ以外のエッジについては、前記第1の調整記録ストラテジーのエッジシフト量を継承し、変更しない。
【0152】
ステップF0404で記録ストラテジーを決定した後、マイコン43は、記録時モータ回転数の制御を実行する(F0405)。ステップF0405では、所定の記録速度となるようにマイコン43がモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の記録速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0153】
ステップF0405でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、記録時光ピックアップ位置制御を実行する(F0406)。ステップF0406では、微調整IIのための記録が実行される光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45はこの領域に光ピックアップ3が移動するように、位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0154】
ステップF0406で所望の位置への光ピックアップ3の移動が完了すると、マイコン43は、ステップF0404で調整した記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0407)。ステップF0407では、マイコン43はステップF0404で決定した記録ストラテジーで記録するように、レーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力することによって所定のサイズの記録が実行される。
【0155】
ステップF0407で所定のサイズの記録の実行が完了すると、マイコン43は、再生時モータ回転数の制御を実行する(F0408)。ステップF0408では、マイコン43が所定の再生速度となるようにモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の再生速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0156】
ステップF0408でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、再生時光ピックアップ位置の制御を実行する(F0409)。ステップF0409では、記録が完了した光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、光ピックアップ3がこの領域に移動するよう位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0157】
ステップF0409の位置制御の処理が終了すると、マイコン32は、光ディスク1を再生して、信号品質測定を実行する(F0410)。ステップF0410では、マイコン43は信号品質評価を行うための再生を実行するようにレーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力して、再生が実行される。すなわち、光ピックアップ3はレーザを光ディスク1に照射して、光ディスク1からの反射光を受光して、反射光を電気信号S04に変換して、信号処理LSI4のAFE41に出力する。AFE41は電気信号S04の増幅等のアナログ信号処理の実行によりアナログ信号S05を生成して、信号品質測定回路42に出力する。信号品質測定回路42はアナログ信号S05のジッタJadjとシフト値を測定して測定結果を算出して、測定結果情報S06をマイコン43に出力する。マイコン43は、測定結果情報S06をメモリ部44に格納する。
【0158】
ステップF0410の信号品質測定の処理が終了すると、次に、マイコン43は対象エッジの除外を実行する(F0413)。具体的には、マイコン43は、予め記録マークのエッジ毎に微調整IIによるエッジシフト量の調整を行う回数を規定しておく。そして、ステップF0403でエッジシフト量の調整対象とした記録マークのエッジの調整を行ったら、その記録マークのエッジの調整回数をカウントアップし、その調整回数が規定した回数となったら、ステップF0402の判別対象の対象エッジから除外し、除外したエッジについてはエッジシフト量の調整を再度行わないようにする。例えば、所定の記録マークのエッジの調整回数を1回と規定した場合、その記録マークのエッジについて1回エッジシフト量を調整したら、その記録マークについては、ステップF0402の対象エッジから除外され、再度のエッジシフト量の調整は行われない。ステップF0413の対象エッジの除外が終了すると、再度ステップF0402に戻り、上記と同様の処理が実行される(F0402〜F0410)。なお、2回目以降のステップ0404では、前回のステップ0404で調整された記録ストラテジーを基準としてエッジシフト量の調整が行われる。
【0159】
ステップF0402〜F0413の処理が複数回実行され、ステップF0402において、対象エッジのシフト値の絶対値が全て6%以内と判断された場合には、ステップF0411に移行し、ステップF0402〜F0413の処理で最終的に調整された記録ストラテジーを第2の記録ストラテジーとして決定する。
【0160】
ステップF0411で記録ストラテジーの決定が終了すると、マイコン43は、評価対象とされる全記録マークのエッジの全体ジッタの値Jadjと目標ジッタ値Jtargetとを比較する(F0412)。ステップF0412において、全体ジッタJadjが目標ジッタ値Jtargetよりも小さい場合には、微調整IIは正常終了する。一方、全体ジッタの値Jadjが目標ジッタ値Jtargetよりも大きい場合には微調整IIは異常終了し、前述の図6のフローに示す通り、ステップF05において微調整II異常終了と判断され、記録ストラテジー調整は異常終了する。
【0161】
以上の微調整IIによれば、微調整Iでは調整され難い長マーク等の位相ずれを低減させた記録ストラテジーを、効率よく生成することができる。
【0162】
(6)Lt調整(第3の調整記録ストラテジーの選択)
図12は、ラストパルス幅Ltの調整(Lt調整)の流れの一例を示すフロー図である。
【0163】
先ず、マイコン43は、レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスの記録ストラテジーによって形成される記録マークのうち、Lt調整を実行する記録マークを選択する(F0601)。一般に、ラストパルスを含むレーザパルスによって形成される記録マークは比較的マーク長の長い記録マークであり、例えば5T、6T等のマーク長を持つ記録マークである。
【0164】
次にマイコン43は、ステップF0601で選択された対象記録マークについてのラストパルス幅Ltの調整幅を決定する(F0602)。前記調整幅は、例えば、ステップF03の微調整IIにおいて選択された第2の調整開始ストラテジーにおけるに対象記録マークのラストパルス幅Ltを変化させる範囲である。例えば、前記調整幅は、前記第2の調整開始ストラテジーのラストパルス幅を基準とした前後16ステップ等である。ここで、1ステップは1/16T(Tはチャネルクロック周期)等とする。
【0165】
ステップF0602でラストパルスLtの調整幅を決定した後、マイコン43は、前記調整幅の範囲内でラストパルスLtの調整した記録ストラテジーを生成する(F0603)。例えば、前記調整幅を16ステップに設定した場合には、対象記録マークのラストパルス幅Ltを1ステップずらした記録ストラテジーを生成してもよいし、例えば4ステップずらした記録ストラテジーを生成してもよい。これによれば、以降の処理でLt調整を行う際に、例えば4ステップ毎にLt調整を行った記録ストラテジー(前後4ステップ毎で8通り)について評価データの記録を行うから、1ステップ毎にLt調整を行って評価データを記録する場合に比べて記録するデータ量を減らすことができる。したがって前記調整幅は、Ltの調整幅と記録品質の関係を特徴付ける調整幅であれば、途中の記録を省略することも可能である。なお、対象記録マーク以外の記録マークのラストパルス幅Ltやその他のパラメータは、ステップF0603の処理が初めて実行される場合には、微調整IIで調整された前記第2の調整開始ストラテジーと同じとされる。2回目以降の処理の場合には、後述するステップF0613で説明する。また、ステップF0603でラストパルス幅Ltが調整される記録マークは1種類でも良いし、複数の種類でもよい。
【0166】
ステップF0603で記録ストラテジーを決定した後に、マイコン43は、記録時モータ回転数の制御を実行する(F0604)。ステップF0604では、所定の記録速度となるようにマイコン43がモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の記録速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0167】
ステップF0604でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、記録時の光ピックアップ位置の制御を実行する(F0605)。ステップF0605では、Lt調整のための記録が実行される光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45はこの領域に光ピックアップ3が移動するように、位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0168】
ステップF0605で所望の位置への光ピックアップ3の移動が完了すると、マイコン18は、ステップF0603にて決定した記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0606)。ステップF0606では、マイコン43はステップF0603で決定した記録ストラテジーで記録するように、レーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力することによって所定のサイズの記録が実行される。
【0169】
ステップF0606で所定のサイズの記録の実行が完了すると、マイコン43は、ステップF0602で決定した全ての調整幅についての評価データの記録が完了しているか否かを判定する(F0607)。ステップF0607において、全ての調整幅についての評価データの記録が完了していないと判定されると、マイコン43は、ステップF0603に戻り、記録が完了していないラストパルス幅Ltに対応した記録ストラテジーが生成され、再度所定のサイズの評価データの記録を行う(F0603〜F0606)。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初の調整幅で記録した記録領域とは異なる領域である。
【0170】
ステップF0607において、全ての調整幅について評価データの記録が完了していると判定されると、マイコン43は、ステップF0608以降の処理によって評価データの再生を実行する。先ず、マイコン43は、再生時のモータ回転数の制御を実行する(F0608)。ステップF0608ででは、マイコン43が所定の再生速度となるようにモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。するとモータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の再生速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0171】
ステップF0608でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、再生時の光ピックアップ位置の制御を実行する(F0609)。ステップF0609では、記録が完了した光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するようにマイコン43が位置制御回路45に位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、光ピックアップ3がこの領域に移動するよう位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0172】
ステップF0609の位置制御の処理が終了すると、マイコン43は、光ディスク1を再生して、信号品質測定を実行する(F0610)。ステップF0610において、マイコン43は信号品質評価を行うための再生を実行するようにレーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力して、再生が実行される。すなわち、光ピックアップ3はレーザを光ディスク1に照射して、光ディスク1からの反射光を受光して、反射光を電気信号S04に変換して、信号処理LSI4のAFE41に出力する。AFE41は電気信号S04の増幅等のアナログ信号処理の実行によりアナログ信号S05を生成して、信号品質測定回路42に出力する。信号品質測定回路42はアナログ信号S05のジッタを測定して測定結果を算出して、測定結果情報S06をマイコン43に出力する。するとマイコン43は、測定結果情報S06をメモリ44に格納するものである。
【0173】
ステップF0610の信号品質測定の処理が終了すると、マイコン43は、ステップF0602で決定した調整幅の範囲での全ての信号品質測定が完了しているか否かを判定する(F0611)。ステップF0611において、調整幅の範囲の全ての信号品質測定が完了していないと判定された場合には、ステップF0608に戻り、完了していない評価データの信号品質測定が実行される。
【0174】
一方、ステップF0611において、調整幅の範囲での全ての信号品質測定が完了していると判定された場合には、ラストパルス幅Ltを決定する(F0612)。具体的には、マイコン43は、メモリ部44に格納された測定結果情報を読み出し、読み出した測定結果情報に基づいてラストパルス幅Ltを決定する。ラストパルス幅Ltの決定方法について図9を用いて詳細に説明する。
【0175】
図13は、ラストパルス幅Ltの決定方法の概念を示す説明図である。同図において、横軸はラストパルス幅Ltを、縦軸はジッタを表している。Jtargetは、前述のように目標ジッタ値である。
【0176】
ラストパルス幅Ltを変化させて記録を行うと、同図に示されるようなジッタ対ラストパルス幅Lt特性が得られる。ステップ0612では、例えば、Jtarget以下のジッタ値を取り得るラストパルス幅Ltの範囲における中央値を所望のラストパルス幅Ltとして決定する。これにより、対象記録マークにとって最適なラストパルス幅Ltとなる記録ストラテジーが第3の調整記録ストラテジーとして決定される。なお、ステップF0612では、ジッタ対ストパルス幅Ltの特性を取得し、その特性を近似した近似曲線からジッタが最小値となるストパルス幅Ltを算出し、算出したストパルス幅Ltとなる記録ストラテジーを最適な記録ストラテジーとして決定することも可能である。
【0177】
ステップF0612のLt決定の処理が終了すると、マイコン43は、レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスの記録ストラテジーによって形成される記録マークの全てについて、Lt調整が完了したか否かを判定する(F0613)。ステップF0613において、Lt調整が完了していないと判定された場合には、マイコン43は調整していない記録マークについてのラストパルス幅Ltの調整を行うために、ステップF0601に以降し、上記と同様の処理を実行する。一方、ステップF0613においてLt調整が完了したと判定された場合には、Lt調整の処理を終了する。
【0178】
以上のLt調整によれば、微調整I及び微調整IIによってエッジシフト量を調整した上で更に、ラストパルスを含むレーザパルス波形によって形成される特定の対象エッジのジッタが小さくなるようにラストパルス幅Ltを調整するから、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することができる。
【0179】
(7)微調整II(Lt調整後)
マイコン43は、ステップF06のLt調整によってラストパルス幅Ltが最適化された第3の調整記録ストラテジーについて前記微調整IIを再度実行する。具体的な処理の方法は、前述の(5)微調整IIと同様である。
【0180】
初めの微調整IIによって記録マークの前端エッジのエッジシフト量のみならず、後端エッジのエッジシフト量を調整している場合、Lt調整によるラストパルスのパルス幅Ltの調整によって、記録マークの後端エッジが最適値から多少ずれる可能性がある。そこで、Lt調整後の記録ストラテジーに基づいて微調整IIを行うことで、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0181】
当該処理によって調整された記録ストラテジーは、第4の調整記録ストラテジーとして決定される。
【0182】
(8)ターゲットベータ調整
図14は、ターゲットベータ調整の流れの一例を示すフロー図である。
【0183】
先ず、マイコン43は、記録回数カウンタNbetarecの値と再生回数カウンタNbetaplayの値を夫々“1”にリセットし、記録と再生を行う回数を規定する最大記録再生数Nbetarpmaxを定義する(F0801)。最大記録再生数Nbetarpmaxの値は、例えば、レジスタ等に設定される。
【0184】
次にマイコン43は、記録レーザパワー(ライトパワーPw)を決定する(F0802)。具体的には、マイコン43は、例えば前述した粗調整のステップF010204で決定した記録レーザパワーの範囲内のいずれかの記録レーザパワーを選択する。そして、マイコン43は、ステップF07で調整された第4の調整記録ストラテジーにおけるライトパワーPwのパラメータ値を前記選択した記録レーザパワーに応じた値に変更した記録ストラテジーを生成する。
【0185】
次に、マイコン43は、記録時のモータ回転数の制御を実行する(F0803)。ステップF0803では、所定の記録速度となるようにマイコン43が、モータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の記録速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0186】
ステップF0803でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、記録時の光ピックアップ位置の制御を実行する(F0804)。ステップF0804では、マイコン43が位置制御回路45にターゲットベータ調整を実行するための記録を行う光ディスク1の領域に光ピックアップ3が移動するよう位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、この領域に光ピックアップ3が移動するように位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0187】
ステップF0804での所望の位置への光ピックアップ3の移動が完了すると、マイコン43は、ステップF0802で記録レーザパワーが調整された記録ストラテジーに従って、光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0805)。ステップF0805では、ターゲットベータ調整の実行のためにステップF0802で記録レーザパワーが調整された記録ストラテジーに従って記録するようにマイコン43はレーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置にてレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力し、所定のサイズの記録が実行される。
【0188】
ステップF0805で所定のサイズの記録が完了すると、マイコン43は、記録回数カウンタNbetarecと最大記録再生数Nbetarpmaxの比較を実行する(F0806)。ステップF0806において、記録回数カウンタNbetarecが最大記録再生数Nbetarpmaxよりも小さい場合には、記録回数カウンタNbetarecを“1”インクリメントし(F0812)、ステップF0802に戻ってライトパワーPwを変更して、再度所定のサイズの評価データの記録を行う(F0802〜F0805)。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初のライトパワーPwで記録した記録領域とは異なる領域である。
【0189】
一方、ステップF0806において、記録回数カウンタNbetarecの値が最大記録再生数Nbetarpmaxよりも大きい場合には、マイコン43は、所定のレーザパワー範囲による記録が終了したと判断し、ステップ0807以降で記録した評価データの再生を行う。
【0190】
評価データの再生では、マイコン43は、再生時のモータ回転数の制御を実行する(F0807)。ステップF0807では、所定の再生速度となるようにマイコン43がモータ制御回路47にモータ制御信号S09を出力する。モータ制御回路47はモータ制御信号S09に応答して、所定の再生速度となるようにスピンドルモータ2の回転数を制御するためのモータ制御信号S01をスピンドルモータ2に出力する。
【0191】
ステップF0807でスピンドルモータ2の回転数の所望の回転数への制御が完了すると、マイコン43は、再生時の光ピックアップ位置の制御が実行する(F0808)。ステップF0808では、マイコン43が位置制御回路45にターゲットベータ調整のための記録を行った光ディスク1の領域に光ピックアップ3を移動するように位置制御信号S07を出力する。位置制御回路45は位置制御信号S07に応答して、光ピックアップ3がこの領域に移動するように位置制御信号S02を光ピックアップ3に出力する。
【0192】
ステップF0808のピックアップ位置制御の処理が終了すると、マイコン43は、光ディスク1を再生して、信号品質測定を実行する(F0809)。具体的には、マイコン43は信号品質評価を行うための再生を実行するようにレーザパルス制御回路46にレーザパルス制御信号S08を出力する。レーザパルス制御回路46はレーザパルス制御信号S08に応答して、光ディスク1上の所定のアドレス位置でレーザパルス制御信号S03を光ピックアップ3に出力して、再生が実行される。光ピックアップ3はレーザを光ディスク1に照射して、光ディスク1からの反射光を受光して、反射光を電気信号S04に変換して、信号処理LSI4のAFE41に出力する。AFE41は電気信号S04の増幅等のアナログ信号処理を実行してアナログ信号S05を生成して、信号品質測定回路42に出力する。この信号品質測定回路42はアナログ信号S05のジッタとベータおよびPIエラーを測定して測定結果を算出して、測定結果情報S06をマイコン43に出力する。マイコン43は、測定結果情報S06をメモリ部44に格納する。
【0193】
ステップF0809の信号品質測定が終了すると、マイコン43は、再生回数カウンタNbetaplayと最大記録再生数Nbetarpmaxの比較を行う(F0810)。ステップF0809において、再生回数カウンタNbetaplayが最大記録再生数Nbetarpmaxよりも小さいと判定された場合には、マイコン43は、再生回数カウンタNbetaplayを“1”インクリメントし(F0813)、ステップF0807に戻って別のライトパワーPwの記録ストラテジーで記録された評価データの信号品質測定を実行する(F0807〜F0809)。
【0194】
一方、ステップF0810において、再生回数カウンタNbetaplayが最大記録再生数Nbetarpmaxよりも大きいと判定された場合には、ステップF0802で決定した全ての記録レーザパワー(ライトパワーPw)での信号品質測定結果が取得されたことになるので、マイコン43は次に、ターゲットベータを決定する処理を開始する(F0811)。ステップF0811におけるターゲットベータの決定方法について、図15を用いて詳細に説明する。
【0195】
図15は、ステップF0811におけるターゲットベータ決定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0196】
先ず、マイコン43は、図14のステップF0809で測定した測定結果情報S06をメモリ部44から読み出し、ジッタ指標のベータマージンBJ02を算出して、ベータマージンが10%以上あるか否かを判断する(F081101)。
【0197】
図16に、ジッタ指標のベータマージンの概念図を示す。同図において、横軸はベータ、縦軸はジッタを表す。参照符号BJ01は、ステップF8011までに取得された測定結果情報のうち評価対象とされる対象エッジの全体ジッタに基づく全体ジッタ対ベータ特性を近似した近似曲線である。また参照符号BJ02は、目標ジッタJtarget以下のベータの範囲を表すベータマージンであり、参照符号BJ03はベータマージンBJ02の中央値を表すセンタベータである。また、参照符号BJ04とBJ05は近似曲線BJ01とJtargetとの交点であり、参照符号BJ04はより大きなベータ値を持つ点を示し、参照符号BJ05はより小さなベータ値を持つ点を示す。
【0198】
ステップF081101において、ベータマージンBJ02が10%以上あると判断されれば、ステップF081102においてターゲットベータを前記センタベータBJ03と決定して、ターゲットベータの決定処理は終了する。一方、ベータマージンBJ02が10[%]未満であると判断された場合には、マイコン43は、図14のステップF0809で測定した測定結果情報S06をメモリ部44から読み出し、PIエラー指標のベータマージンBJ03を算出して、ベータマージンが0%以上あるか否かを判断する(F081103)。
【0199】
図17に、PIエラー指標のベータマージンの概念図を示す。同図において、横軸はベータ、縦軸はPIエラーを表す。参照符号BP01は、ステップF8011までに取得された測定結果情報のうち評価対象とされる対象エッジのPIエラーに基づくPIエラー対ベータ特性を近似した近似曲線である。また参照符号BP02は、目標ジッタJtarget以下のベータの範囲を表すベータマージンであり、参照符号BP03はベータマージンBP02の中央値を表すセンタベータである。また、参照符号BP04とBP05は近似曲線BP01とJtargetとの交点であり、参照符号BP04はより大きなベータ値を持つ点を示し、参照符号BP05はより小さなベータ値を持つ点を示す。
【0200】
ステップF081103において、センタベータBP03が0%以上あると判断されれば、ステップF081104において、マイコン43はターゲットベータを前記センタベータBP03と決定して、ターゲットベータ決定の処理を終了する。
【0201】
一方、ベータマージンBP02が0[%]未満であると判断された場合には、マイコン43は、図17に示すPI対ベータの特性において近似曲線BP01とJtargetの交点BP04の値が5%以上であるか否かを判断する(F081105)。ステップF081105において、BP04が5[%]以上あると判断されれば、ステップF081106において、マイコン43は、ターゲットベータをBP04から5%引いた値と決定して、ターゲットベータ決定の処理を終了する。
【0202】
ステップF081105において前記BP04の値が5[%]未満であると判断された場合には、ステップF081107において、マイコン43はターゲットベータを0%と決定して、ターゲットベータ決定の処理を終了する。
【0203】
以上ターゲットベータ決定処理によれば、微調整Iや微調整IIによってエッジシフト量が調整されることで、粗調整において設定した記録レーザパワーが最適値から多少ずれた場合であっても、微調整Iや微調整IIの後にターゲットベータを決定することで、最適な記録レーザパワーとなる記録ストラテジーを生成することが可能となる。なお、上記の説明では、データの記録中のOPC誤差によって引き起こされる記録品質の悪化に対処するため、ベータマージンBj02が10%以上確保されるようにすること、ターゲットベータのBJ03下限値が0%とすること、且つ正側のベータマージンを5%以上確保することを考慮し、ステップF081102、F081104、およびF081106において判断基準に用いる閾値を上記のように定めたが、これに限られない。
【0204】
以上、実施の形態1に係る光ディスク装置100によれば、粗調整及び微調整Iによって記録マーク全体の記録品質を考慮して記録ストラテジーを調整し、且つ、微調整IIによって出現率の低い長マークのような個別の記録マークのエッジシフト量を選択的に調整することで、記録マーク全体として記録品質を高くするこができ、且つ個別の記録マークの記録品質も高くすることができる記録ストラテジーを効率よく生成することが可能となる。更に、Lt調整、ターゲットベータ調整、及び再度の微調整IIを実行することで、より記録品質の高い記録ストラテジーの生成が可能となる。
【0205】
また、ステップF08で最適な記録ストラテジーを生成された後に、当該記録ストラテジーをメモリ部44に保持することも可能である。これによれば、次回以降の光ディスク装置100の電源投入等によるシステム起動時に図6の記録ストラテジー調整処理を省略することができ、且つメモリ部44に格納された最適記録ストラテジーを使用して記録を行うことができる。更に、最適記録ストラテジー自体をメモリ部44に格納するのではなく、初期ストラテジーと最適記録ストラテジーとの差分の情報(例えば、各マーク長とスペース長の組み合わせに係るエッジシフト量の差分情報)をメモリ部44に格納してもよい。
【0206】
≪実施の形態2≫
図18は、光ディスク装置100における記録ストラテジー調整の処理の流れの別の一例を示すフロー図である。同図に示される処理フローは、マイコン43のソフトウェア処理による処理フローとして例示しているが、処理の一部または全てを専用ハードウェアで実現することも可能である。
【0207】
実施の形態2に係る記録ストラテジー調整は、再度の微調整II(F07)の処理が無い点で、前述の図6に示した実施の形態1に係る記録ストラテジー調整とは異なる。すなわち、実施の形態2に係る記録ストラテジーの調整では、ステップF06のLt調整後に微調整IIを行わず、ターゲットベータ調整が実行される。その他の処理は、実施の形態1に係る記録ストラテジーの調整の処理と同様である。
【0208】
実施の形態2に係る記録ストラテジーの調整方法は、品質に差のある多数の光ディスクの中でも、品質の良い光ディスクに応じた記録ストラテジーの調整を実行する場合に特に有効である。すなわち、品質の良い光ディスクについては再度の微調整IIを省略し、記録ストラテジー調整時の処理負荷を軽減することで、効率良く記録品質の良い記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0209】
≪実施の形態3≫
図19は、光ディスク装置100における記録ストラテジー調整の処理の流れの別の一例を示すフロー図である。同図に示される処理フローは、マイコン43のソフトウェア処理による処理フローとして例示しているが、処理の一部または全てを専用ハードウェアで実現することも可能である。
【0210】
実施の形態3に係る記録ストラテジー調整は、Lt調整(F06)と再度の微調整II(F07)の処理が無い点で、前述の図6に示した実施の形態1に係る記録ストラテジー調整とは異なる。すなわち、実施の形態3に係る記録ストラテジーの調整では、微調整II後にLt調整が行われず、ターゲットベータ調整が実行される。その他の処理は、実施の形態1に係る記録ストラテジーの調整の処理と同様である。
【0211】
実施の形態3に係る記録ストラテジーの調整方法は、記録においてラストパルスを含まない記録ストラテジーの調整を行う場合に特に有効であり、記録ストラテジー調整時の処理負荷を軽減した上で、効率良く記録品質の良い記録ストラテジーを調整することが可能となる。
【0212】
≪実施の形態4≫
図20は、光ディスク装置100における記録ストラテジー調整の処理の流れの別の一例を示すフロー図である。同図に示される処理フローは、マイコン43のソフトウェア処理による処理フローとして例示しているが、処理の一部または全てを専用ハードウェアで実現することも可能である。
【0213】
実施の形態4に係る記録ストラテジー調整は、Lt調整(F06)、再度の微調整II(F07)、及びターゲットベータ調整(F08)の処理が無い点で、前述の図6に示した実施の形態1に係る記録ストラテジー調整とは異なる。すなわち、実施の形態4に係る記録ストラテジーの調整では、微調整II後に微調整IIが正常終了していると判断されれば、記録ストラテジー調整の処理が正常終了される。その他の処理は、実施の形態1に係る記録ストラテジーの調整の処理と同様である。
【0214】
実施の形態4に係る記録ストラテジーの調整方法によれば、より記録ストラテジー調整時の処理負荷を軽減し、より短時間で記録ストラテジーを調整することが可能となる。
【0215】
≪実施の形態5≫
(1)光ディスク装置の構成
図21は、実施の形態5に係る光ディスク装置の構成の一例を示すブロック図である。図1の実施の形態1に係る光ディスク装置100と同様の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0216】
同図に示される光ディスク装置200は、実施の形態1に係る光ディスク装置100と同様に光ディスク1に対するデータの書き込みと読み出しを行うが、内部に備えるインターフェース回路(I/F)48を介して、外部のホストPC5と標準通信方式の通信路S10を利用した通信が可能とされる。前記標準通信方式の通信路S10は、例えばSATA(Serial ATA)やUSB(Universal Serial Bus)やIEEE1394等である。メモリ部6は、例えば同期型ダイナミックメモリ(SDRAM:Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備え、例えば標準初期ストラテジー、ホストPC5によるデータ処理結果等のデータ、及びソフトウェアプログラム等を格納する。
【0217】
実施の形態1乃至4では光ディスク装置100のマイコン43が主体となって記録ストラテジーの調整処理を実現したが、実施の形態5では、ホストPC5と光ディスク装置200による協働した処理によって記録ストラテジーの調整処理が実現される。
【0218】
実施の形態5に係る記録ストラテジーの調整処理は、例えば、光ディスク装置200の出荷時の製品評価段階等において実行される。ホストPC5が前記メモリ部6に格納された記録ストラテジー調整用のプログラムに従って処理を実行し、光ディスク装置200を制御することで記録ストラテジーの調整が実現される。当該処理によって生成された光ディスクの種類毎の最適記録ストラテジーは、マイコン43内部に設けられたROM431に格納される。出荷後、実際にユーザが光ディスク装置200により光ディスクに対するデータの書き込みを行う場合には、光ディスク装置200のマイコン43がPC等からのデータの書き込み命令等に応答して、マウントされた光ディスクの種類に応じた記録ストラテジーを前記ROM431から読み出し、読み出した記録ストラテジーに従って、マウントされた光ディスクに対するデータの書き込みを実行する。
【0219】
以下、実施の形態5に係る記録ストラテジーの調整方法について、前述の図6に示される記録ストラテジーの調整処理を行う場合を一例として詳細に説明する。
【0220】
(2)光ディスク装置200とホストPC5による記録ストラテジー調整方法の概要
光ディスク装置200とホストPC5による記録ストラテジー調整方法の概要は、前述した図6と同様である。
【0221】
(3)粗調整
光ディスク装置200とホストPC5による粗調整の大まかな処理フローは、実施の形態1に係る図8の処理フローと同様であるが、ステップF0102の調整開始ストラテジー選択の処理は実施の形態1に係る図9の処理と異なる。そこで、実施の形態1と共通の処理についての詳細な説明は省略し、異なる処理について説明する。
【0222】
図22は、実施の形態5の粗調整における調整開始ストラテジーの選択処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0223】
先ず、ホストPC5が、粗調整カウンタNevalを“1”にリセットして、粗調整回数最大値Nevalmaxを定義する(F010231)。次にホストPC5は複数の初期ストラテジーを算出して、前記複数の初期ストラテジーのうち、いずれの初期ストラテジーで信号品質評価を行うかを選択する(F010232)。ステップF010232が終了すると、ホストPC5は記録回数カウンタNrecと再生回数カウンタNplayとをそれぞれ“1”にリセットして、最大記録再生数Nrpmaxを定義する(F010233)。ステップF010233が終了すると、ホストPC5は記録レーザパワーを決定する(F010234)。その後、ホストPC5は光ディスク装置200に記録コマンドデータの転送を実行する(F010235)。ステップF010235では、記録レーザパワー、記録データ、記録速度、記録位置、記録サイズ及び記録ストラテジーを指定して、一定線速度(CLV:Constant Linear Velocity)モードで記録するように、ホストPC5はコマンドデータを光ディスク装置200へ送信する。尚、記録データの指定は、評価データとしてのランダムデータを生成して指定することができる。それ以外に、光ディスク装置200が評価データとしてのランダムデータを記録するモードを装備している場合には、ホストPC5がこのモードを指定することでデータの記録を実行させることができる。また、記録位置および記録サイズの指定は、記録開始アドレスと記録終了アドレスとの指定によって実行することができる。
【0224】
その後、光ディスク装置200のマイコン43は、通信路S10およびインターフェース回路48を介してステップF010235で送信された記録コマンドデータを受信する(F010236)。ステップF010236が完了すると、マイコン43は、図9のステップF010205〜F010207と同様に、記録時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、記録データの記録を実行する(F010237〜F010239)。この記録では、ステップF10202においてホストPC5により指定された初期ストラテジーに従ってマイコン43は光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する。ステップF010239で記録が完了すると、マイコン43は記録が成功したか否かを示す情報を含む返信データをホストPC5に送信する(F010240)。そして、ホストPC5は返信データを受信する(F010241)。
【0225】
ホストPC5による返信データの受信が完了すると、ホストPC5は記録回数カウンタNrecと最大記録再生数Nrpmaxとの比較を実行する(F010242)。この比較は、図9のステップF010408と同様である。ステップF010242において、記録回数カウンタNrecの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも小さいと判定された場合には、ステップF010255にてホストPC5は記録回数カウンタNrecを“1”インクリメントした後、ステップF010234に戻って異なる記録レーザパワーを決定して、さらにステップF010234〜F010239で以前に記録した領域とは異なる領域に所定のサイズの記録を行う。
【0226】
ステップF010242において、記録回数カウンタNrecの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも大きいと判定された場合には、所定のレーザパワー範囲による記録が終了したと判断され、ホストPC5は以降のステップで再生処理を実行する。先ずホストPC5は、光ディスク装置200へ信号品質測定のコマンドデータの送信を実行する(F010243)。この信号品質測定コマンドデータの送信では、測定速度および測定位置を指定したコマンドデータが光ディスク装置へ送信される。そして、光ディスク装置200は前記信号品質測定のコマンドデータを受信する(F010244)。
【0227】
光ディスク装置200による信号品質測定コマンドデータの受信が完了すると、マイコン43は、図9のステップF010209〜F010211と同様に、再生時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、信号品質測定を実行する(F010245〜F010247)。この信号品質測定では、実施の形態1の図9のステップF010211と同様にマイコン43は測定結果情報をメモリ部44に格納する。測定結果情報のメモリ部44への格納が完了すると、マイコン43はメモリ部44に格納された測定結果情報を読み出して信号品質データを生成し、インターフェース回路48および通信路S10を介してホストPC5に送信する(F010248)。そして、ホストPC5は信号品質データを受信する(F010249)。
【0228】
ステップF010249が終了すると、ホストPC5は、再生回数カウンタNplayと最大記録再生数Nrpmaxとの比較を実行する(F010250)。この比較は、図9のステップF010212と同様である。再生回数カウンタNplayの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも小さい場合には、ホストPC5は、再生回数カウンタNplayを“1”インクリメントした後、別の記録データの信号品質測定の指示を実行する(F010254)。
【0229】
一方、ステップF010250において、再生回数カウンタNplayの値が最大記録再生数Nrpmaxよりも大きい場合には、ホストPC5はカウンタNevalと調整開始ストラテジー選択回数最大値Nevalmaxを比較する(F010251)。ステップF010251において、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalが調整開始ストラテジー選択回数最大値Nevalmaxよりも小さい場合には、ホストPC5は、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalを“1”カウントアップし(F010256)、ステップF010232の初期ストラテジー選択に戻る。
【0230】
一方、ステップF010251において、調整開始ストラテジー選択カウンタNevalが調整開始ストラテジー選択回数最大値Nevalmaxよりも大きい場合には、ホストPC5は評価関数演算を実行し、演算結果をメモリ部6に格納する(F010252)。演算方法は、図9のステップF010214と同様である。
【0231】
ステップF010252の評価関数演算が終了すると、ホストPC5は、評価関数演算の演算結果が正常であるか否かを判断する(F010253)。ステップF010253において、全ての初期ストラテジーにおいて評価関数Fevalが0であれば、ホストPC5は、評価関数の演算結果を異常と判断し、調整開始ストラテジー選択処理(F0102)を異常終了させる。一方、ステップF010253において、評価関数Fevalが0でない初期ストラテジーが一つでもあれば、ステップF010252の評価関数の演算結果を正常と判断し、最大の評価関数Fevalである記録ストラテジーを調整開始ストラテジーとして選択し、調整開始ストラテジーの選択処理(F0102)を正常終了させる。
【0232】
以上手順で調整開始ストラテジーの選択処理(F0102)が完了すると、ホストPC5は、図8に示されるように、調整開始ストラテジーが正常に終了したか否かを判断する(F0103)。ステップF0103において、調整開始ストラテジー選択が正常終了されたと判断された場合には、ホストPC5は、粗調整の処理を正常終了する。一方、調整開始ストラテジー選択が異常終了されたと判断された場合には、ホストPC5は、粗調整の処理を異常終了する。粗調整の処理が異常終了した場合には、前述の図6に示すようにステップF02において粗調整異常終了と判断され、記録ストラテジー調整は異常終了する。
【0233】
以上の粗調整によれば、実施の形態1と同様に、対象エッジの全体ジッタが最小となるようにライトパワーPwを調整した記録ストラテジーを生成することができる。
【0234】
(4)微調整I
図23は、実施の形態5に係る微調整Iの流れの一例を示すフロー図である。同図に示される微調整Iは、実施の形態1の図10に示される微調整Iに対応される。
【0235】
先ず、ホストPC5は、光ディスク1に記録される記録マークのマーク長と前方スペース長及び後方スペース長の組み合わせで特定される複数のエッジの中から所定の対象エッジを選択する(F0321)。ステップF0321の処理内容は、図10のステップF0101と同様である。
【0236】
次にホストPC5は、ステップF0321で選択された対象エッジに係るエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)の調整幅を決定する(F0322)。ステップF0322の処理内容は、図10のステップF0102と同様である。
【0237】
ステップF0322でエッジシフト量の調整幅を決定した後、ホストPC5は選択した対象エッジに係るエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、又は後端エッジシフト量Ttr2)を前記調整幅の範囲内で決定し、記録ストラテジーを決定する(F0323)。ステップF0323の処理内容は、図10のステップF0103と同様である。
【0238】
ステップF0323で記録ストラテジーの決定を完了したら、ホストPC5は光ディスク装置200へ記録コマンドデータの送信を実行する(F0324)。このときの記録ストラテジーは、ステップF0323でホストPC5が決定した記録ストラテジーによって指定されたものである。そして、光ディスク装置200は通信路S10を介して記録コマンドデータを受信する(F0325)。
【0239】
ステップF0325で記録コマンドデータを受信すると、光ディスク装置200は、図10のステップF0304からF0306と同様に、記録時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、ステップF0333にて決定された記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0326〜F0328)。ステップF010328で記録が完了すると、マイコン43は記録が成功したか否かを示す情報を含む返信データをホストPC5に送信する(F0329)。そして、ホストPC5は返信データを受信する(F0330)。
【0240】
その後ホストPC5は、ステップF0322で決定した全ての調整幅について記録が完了したか否かを判定する(F0331)。ステップF0331において、全ての調整幅について記録が完了していないと判断されると、ステップF0323に戻り、ホストPC5は、記録が完了していない調整幅に対応した記録ストラテジーを生成し、再度所定のサイズの評価データの記録を行う。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初調整幅で記録した記録領域とは異なる領域である。
【0241】
一方、ステップF0331において、全ての調整幅について記録が完了していると判断されると、ホストPC5は、光ディスク装置200へ信号品質測定のコマンドデータの送信を実行する(F0332)。この信号品質測定コマンドデータの送信では、測定速度および測定位置を指定したコマンドデータが光ディスク装置へ送信される。そして、光ディスク装置200は前記信号品質測定のコマンドデータを受信する(F0333)。
【0242】
光ディスク装置200による信号品質測定コマンドデータの受信が完了すると、マイコン43は、図10のステップF0308〜F0310と同様に、再生時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、信号品質測定を実行する(F0334〜F0336)。この信号品質測定では、マイコン43は測定結果情報をメモリ部44に格納する。測定結果情報のメモリ部44への格納が完了すると、マイコン43はメモリ部44に格納された測定結果情報を読み出して信号品質データを生成し、インターフェース回路48および通信路S10を介してホストPC5に送信する(F0337)。そして、ホストPC5は信号品質データを受信する(F0338)。
【0243】
信号品質データを受信したホストPC5は、ステップF0322で決定した全ての調整幅に対応する評価データの信号品質測定が完了しているか否かを判定する(F0339)。ステップF0339で全ての調整幅に対応する評価データの信号品質測定が完了していないと判定された場合には、ステップF0332に戻り、別の記録ストラテジーによる評価データの再生を実行するようにホストPC5は信号品質測定コマンドデータを光ディスク装置に送信する。
【0244】
一方、全ての調整幅に対応する評価データの信号品質測定が完了していると判定された場合には、ホストPC5は、最適なエッジシフト量となる記録ストラテジーを決定する(F0340)。ステップF0340では、ホストPC5はメモリ部6に格納された測定結果情報を読み出し、最も全体ジッタが小さくなるエッジシフト量(前端エッジシフト量Tld、後端エッジシフト量Ttr2)の調整幅の記録ストラテジーを決定する。
【0245】
ステップF0340のエッジシフト量決定の処理が終了すると、ホストPC5は、全ての対象エッジについてエッジシフト量の調整が完了したか否かを判定する(F0341)。ステップF0341において、全ての対象エッジについてエッジシフト量の調整が完了していないと判定された場合には、調整していないマーク長およびエッジについて調整を行うためにステップF0321以降の処理に戻り、同様の処理を実行する(F0321〜F0324)。一方、ステップF0341にて、全ての対象エッジについてエッジシフト量の調整が完了したと判定された場合には、微調整Iの処理を終了する。
【0246】
以上の微調整Iによれば、実施の形態1と同様に、対象エッジの全体ジッタが最小となるようにエッジシフト量を調整した記録ストラテジーを生成することができる。
【0247】
(5)微調整II
図24は、実施の形態5に係る微調整IIの流れの一例を示すフロー図である。同図に示される微調整IIは、実施の形態1の図11に示される微調整IIに対応される。
【0248】
先ず、ホストPC5は、実施の形態1の図11のステップF0401〜F0402と同様に、微調整IIを実行する対象エッジを決定し、前記微調整Iにおいて選択された第1の調整記録ストラテジーの信号品質測定結果のうち、前記対象エッジに設定した各エッジにおいてシフト値の絶対値が所定の閾値を超えるエッジがあるか否かを判別する(F0421〜F0422)。前記所定の閾値は、実施の形態1と同様に、例えば6%とする。
【0249】
ステップF0422において、対象エッジのシフト値の絶対値が6%以内であれば、ホストPC5は第1の調整記録ストラテジーを最適ストラテジーと判断し、第2の調整記録ストラテジーとして決定する(F0439)。
【0250】
一方、シフト値の絶対値が6%を超える対象エッジが存在する場合には、ホストPC5は、ステップF0423以降で当該エッジに係るエッジシフト量を調整する処理を実行する。先ず、ホストPC5は、シフト値の絶対値が6%を超える対象エッジの中から、所望の対象エッジを選択する(F0423)。ここで、マイコン43は、例えばシフト値の絶対値が6%を超える対象エッジのうち、1つのエッジを選択してもよいし、複数のエッジを選択してもよい。
【0251】
ステップF0423が終了したら、次にホストPC5は、前記第1の調整記録ストラテジーのエッジシフト量を調整した記録ストラテジーを生成する(F0424)。具体的には、マイコン43は、ステップF0403で決定した記録マークのエッジについては、現状のシフト値と、エッジシフト量を1ステップの変動させたときのシフト値の最大の変化量に基づいて、シフト値の絶対値が最小になるようにエッジシフト量を調整する。なお、ステップF0424のエッジシフト量の調整において、ステップF0423で決定した記録マークのエッジ以外のエッジについては、前記第1の調整記録ストラテジーのエッジシフト量を継承し、変更しない。ステップF0424で記録ストラテジーの決定を完了したら、ホストPC5は光ディスク装置200へ記録コマンドデータの送信を実行する(F0425)。そして、光ディスク装置200は通信路S10を介して記録コマンドデータを受信する(F0426)。
【0252】
ステップF0426で記録コマンドデータを受信すると、光ディスク装置200は、図11のステップF0405からF0407と同様に、記録時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、ステップF0404にて決定された記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0427〜F0429)。ステップF0429で記録が完了すると、マイコン43は記録が成功したか否かを示す情報を含む返信データをホストPC5に送信する(F0430)。そして、ホストPC5は返信データを受信する(F0431)。
【0253】
ステップF0431において、返信データを受信したホストPC5は、光ディスク装置200へ信号品質測定のコマンドデータの送信を実行する(F0432)。この信号品質測定コマンドデータの送信では、測定速度および測定位置を指定したコマンドデータが光ディスク装置へ送信される。そして、光ディスク装置200は前記信号品質測定のコマンドデータを受信する(F0433)。
【0254】
光ディスク装置200による信号品質測定コマンドデータの受信が完了すると、マイコン43は、図11のステップF0408〜F0410と同様に、再生時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、信号品質測定を実行する(F0434〜F0436)。この信号品質測定では、マイコン43は測定結果情報をメモリ部44に格納する。測定結果情報のメモリ部44への格納が完了すると、マイコン43はメモリ部44に格納された測定結果情報を読み出して信号品質データを生成し、インターフェース回路48および通信路S10を介してホストPC5に送信する(F0437)。そして、ホストPC5は信号品質データを受信する(F0438)。
【0255】
ステップF0438において信号品質データを受信したホストPC5は、対象エッジの除外を実行する(F0438)。具体的な方法は、実施の形態1の図11におけるステップF413と同様である。ステップF0438の対象エッジの除外が終了すると、再度ステップF0422に戻り、上記と同様の処理が実行される。なお、2回目以降のステップ0424では、前回のステップ0424で調整された記録ストラテジーを基準としてエッジシフト量の調整が行われる。
【0256】
ステップF0422〜F0441の処理が複数回実行され、ステップF0422において、対象エッジのシフト値の絶対値が全て6%以内と判断された場合には、ステップF0439に移行し、ステップF0402〜F0441の処理で最終的に調整された記録ストラテジーを第2の記録ストラテジーとして決定する。
【0257】
ステップF0439で記録ストラテジーの決定が終了すると、ホストPC5は、評価対象とされる全記録マークのエッジの全体ジッタの値Jadjと目標ジッタ値Jtargetとを比較する(F0440)。ステップF0440において、全体ジッタJadjが目標ジッタ値Jtargetよりも小さい場合には、微調整IIは正常終了する。一方、全体ジッタの値Jadjが目標ジッタ値Jtargetよりも大きい場合には微調整IIは異常終了し、前述の図6のフローに示す通り、ステップF05において微調整II異常終了と判断され、記録ストラテジー調整は異常終了する。
【0258】
以上の微調整IIによれば、実施の形態1と同様に、微調整Iでは調整され難い長マーク等の位相ずれを低減させた記録ストラテジーを、効率よく生成することができる。
【0259】
(6)Lt調整
図25は、実施の形態5に係るLt調整の流れの一例を示すフロー図である。同図に示されるLt調整は、実施の形態1の図12に示されるLt調整に対応される。
【0260】
先ず、ホストPC5は、実施の形態1の図12のステップF0601からF0602と同様に、レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスの記録ストラテジーによって形成される記録マークのうち、Lt調整を実行する記録マークを選択し、選択した対象記録マークについてのラストパルス幅Ltの調整幅を決定する(F0621〜F0622)。前記調整幅は、実施の形態1と同様である。
【0261】
ステップF0622でラストパルスLtの調整幅を決定した後、ホストPC5は、実施の形態1の図12のF0603と同様に、前記調整幅の範囲内でラストパルスLtの調整した記録ストラテジーを生成する(F0623)。
【0262】
ステップF0623で記録ストラテジーを決定した後、ホストPC5は光ディスク装置200へ記録コマンドデータの送信を実行する(F0624)。そして、光ディスク装置200は通信路S10を介して記録コマンドデータを受信する(F0625)。
【0263】
記録コマンドデータを受信した光ディスク装置200は、図12のステップF0604からF0606と同様に、記録時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、ステップF0604にて決定された記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0626〜F0628)。ステップF0628で記録が完了すると、マイコン43は記録が成功したか否かを示す情報を含む返信データをホストPC5に送信する(F0629)。そして、ホストPC5は返信データを受信する(F0630)。
【0264】
ステップF0630において、返信データを受信したホストPC5は、ステップF0622で決定した全ての調整幅についての評価データの記録が完了しているか否かを判定する(F0631)。ステップF0631において、全ての調整幅についての評価データの記録が完了していないと判定されると、ホストPC5、ステップF0623に戻り、記録が完了していないラストパルス幅Ltに対応した記録ストラテジーが生成され、再度所定のサイズの評価データの記録を行うように記録コマンドデータを光ディスク装置200に送信する。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初調整幅で記録した記録領域とは異なる領域である。
【0265】
ステップF0631において、全ての調整幅について評価データの記録が完了していると判定されると、光ディスク装置200へ信号品質測定のコマンドデータの送信を実行する(F0632)。この信号品質測定コマンドデータの送信では、測定速度および測定位置を指定したコマンドデータが光ディスク装置へ送信される。そして、光ディスク装置200は前記信号品質測定のコマンドデータを受信する(F0633)。
【0266】
光ディスク装置200による信号品質測定コマンドデータの受信が完了すると、マイコン43は、図12のステップF0608〜F0610と同様に、再生時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、信号品質測定を実行する(F0634〜F0636)。この信号品質測定では、マイコン43は測定結果情報をメモリ部44に格納する。測定結果情報のメモリ部44への格納が完了すると、マイコン43はメモリ部44に格納された測定結果情報を読み出して信号品質データを生成し、インターフェース回路48および通信路S10を介してホストPC5に送信する(F0637)。そして、ホストPC5は信号品質データを受信する(F0638)。
【0267】
信号品質データを受信したホストPC5は、ステップF0622で決定した調整幅の範囲での全ての信号品質測定が完了しているか否かを判定する(F0639)。ステップF0639において、調整幅の範囲の全ての信号品質測定が完了していないと判定された場合には、ステップF0632に戻り、ホストPC5は、完了していない評価データの信号品質測定コマンドデータを送信する。
【0268】
一方、ステップF0639において、調整幅の範囲での全ての信号品質測定が完了していると判定された場合には、ホストPC5はラストパルス幅Ltを決定する(F0640)。具体的な方法は、実施の形態1に係る図12のステップF0612と同様である。
【0269】
ステップF0640のLt決定の処理が終了すると、ホストPC5は、レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスの記録ストラテジーによって形成される記録マークの全てについて、Lt調整が完了したか否かを判定する(F0641)。ステップF0641において、Lt調整が完了していないと判定された場合には、ホストPC5は調整していない記録マークについてのラストパルス幅Ltの調整を行うために、ステップF0621に以降し、上記と同様の処理を実行する。一方、ステップF0641においてLt調整が完了したと判定された場合には、Lt調整の処理を終了する。
【0270】
以上のLt調整によれば、実施の形態1と同様に、微調整I及び微調整IIによってエッジシフト量を調整した上で更にラストパルスを含むレーザパルス波形によって形成される特定の対象エッジのジッタが小さくなるようにラストパルス幅Ltを調整するから、より品質の高い記録が可能な記録ストラテジーを生成することができる。
【0271】
(7)微調整II(Lt調整後)
ホストPC5は、ステップF06のLt調整によってラストパルス幅Ltが最適化された第3の調整記録ストラテジーについて、前述の微調整IIを再度実行し、第4の調整記録ストラテジーを決定する。具体的な処理の方法は、図24と同様である。
【0272】
(8)ターゲットベータ調整
図26は、実施の形態5に係るターゲットベータ調整の流れの一例を示すフロー図である。同図に示されるターゲットベータ調整は、実施の形態1の図14に示されるターゲットベータ調整に対応される。
【0273】
先ず、ホストPC5は、記録回数カウンタNbetarecの値と再生回数カウンタNbetaplayの値を夫々“1”にリセットし、記録と再生を行う回数を規定する最大記録再生数Nbetarpmaxを定義する(F0821)。次にホストPC5は、実施の形態1の図14のF0802と同様に、ステップF07で調整された第4の調整記録ストラテジーにおけるライトパワーPwのパラメータ値を前記選択した記録レーザパワーに応じた値に変更した記録ストラテジーを生成する(F0822)。
【0274】
ステップF0802で記録ストラテジーを決定した後、ホストPC5は光ディスク装置200へ記録コマンドデータの送信を実行する(F0823)。そして、光ディスク装置200は通信路S10を介して記録コマンドデータを受信する(F0824)。
【0275】
記録コマンドデータを受信した光ディスク装置200は、図14のステップF0803からF0805と同様に、記録時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、ステップF0822にて決定された記録ストラテジーに従って光ディスク1に評価データとしてのランダムデータの記録を実行する(F0825〜F0827)。ステップF0827で記録が完了すると、マイコン43は記録が成功したか否かを示す情報を含む返信データをホストPC5に送信する(F0828)。そして、ホストPC5は返信データを受信する(F0829)。
【0276】
ステップF0829において、返信データを受信したホストPC5は、記録回数カウンタNbetarecと最大記録再生数Nbetarpmaxの比較を実行する(F0830)。ステップF0830において、記録回数カウンタNbetarecが最大記録再生数Nbetarpmaxよりも小さい場合には、記録回数カウンタNbetarecを“1”インクリメントし(F0831)、ステップF0822に戻ってライトパワーPwを変更して、再度所定のサイズの評価データの記録を行うように記録コマンドデータを送信する(F0822〜F0823)。このとき、データが記録される光ディスク上の記録領域は、最初のライトパワーPwで記録した記録領域とは異なる領域である。
【0277】
一方、ステップF0830において、記録回数カウンタNbetarecの値が最大記録再生数Nbetarpmaxよりも大きい場合には、ホストPC5は、所定のレーザパワー範囲による記録が終了したと判断し、光ディスク装置200へ信号品質測定のコマンドデータの送信を実行する(F0832)。この信号品質測定コマンドデータの送信では、測定速度および測定位置を指定したコマンドデータが光ディスク装置へ送信される。そして、光ディスク装置200は前記信号品質測定のコマンドデータを受信する(F0833)。
【0278】
光ディスク装置200による信号品質測定コマンドデータの受信が完了すると、マイコン43は、図14のステップF0807〜F0809と同様に、再生時のモータ回転数の制御及び光ピックアップ位置の制御を行い、信号品質測定を実行する(F0834〜F0836)。この信号品質測定では、マイコン43は測定結果情報をメモリ部44に格納する。測定結果情報のメモリ部44への格納が完了すると、マイコン43はメモリ部44に格納された測定結果情報を読み出して信号品質データを生成し、インターフェース回路48および通信路S10を介してホストPC5に送信する(F0837)。そして、ホストPC5は信号品質データを受信する(F0838)。
【0279】
信号品質データを受信したホストPC5は、再生回数カウンタNbetaplayと最大記録再生数Nbetarpmaxの比較を行う(F0839)。ステップF0838において、再生回数カウンタNbetaplayが最大記録再生数Nbetarpmaxよりも小さいと判定された場合には、ホストPC5は、再生回数カウンタNbetaplayを“1”インクリメントし(F0840)、別のライトパワーPwの記録ストラテジーで記録された評価データの信号品質測定を実行させるように信号品質測定コマンドデータを送信する(F0832)。
【0280】
一方、ステップF0839において、再生回数カウンタNbetaplayが最大記録再生数Nbetarpmaxよりも大きいと判定された場合には、ステップF0822で決定した全ての記録レーザパワー(ライトパワーPw)での信号品質測定結果が取得されたことになるので、マイコン43は次に、ターゲットベータを決定する処理を開始する(F0841)。ステップF0841におけるターゲットベータの決定に係る処理内容は、処理の主体がホストPC5に代わる点を除いて実施の形態1に係る図15、図16、及び図17と同様であるため、その詳細な説明は省略する。ステップF841にてターゲットベータが決定されると、ターゲットベータ決定処理は終了となる。
【0281】
以上ターゲットベータ決定処理によれば、実施の形態1と同様に、前記微調整Iや微調整IIによって、前記粗調整で設定した記録レーザパワーが最適値からずれたとしても、前記微調整Iや微調整IIの後にターゲットベータを決定することで、最適な記録レーザパワーとなる記録ストラテジーを生成することが可能となる。
【0282】
以上実施の形態5によれば、実施の形態1でマイコン43が実行していた処理の一部をホストPC5が実行することで、マイコン43の処理の負荷を軽減することができ、信号処理LSI4の回路面積の削減を図ることができる。また、上記の記録ストラテジーの調整処理を製品出荷前に行い、調整された記録ストラテジーを光ディスク装置200内のROM等の記憶領域に格納しておくことで、実際に光ディスク装置200によってマウントされた光ディスクへデータの書き込みを行う段階で記録ストラテジーの調整処理を行う必要がないので、ユーザにとってより使い勝手のよい光ディスク装置を提供することができる。
【0283】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0284】
例えば、実施の形態1乃至5において、AFE41、信号品質測定回路42、マイコン43、メモリ44、位置制御回路45、レーザパルス制御回路46、及びモータ制御回路47の全てが信号処理LSI4内に構成される場合を一例として示したが、これに限られず、これらの一部又は全部を専用ハードウェアとして構成してもよい。また、マイコン43による処理の一部又は全部を専用ハードウェアによって実現してもよい。
【0285】
実施の形態1乃至5において、標準初期ストラテジーが予めメモリ部44に格納される場合を一例として示したが、これに限られず、光ディスク装置100及び200が、マウントされた光ディスク1のディスク管理情報に記録された推奨ストラテジーを読み出し、それを標準初期ストラテジーとして調整を行うことも可能である。
【0286】
実施の形態1乃至5において、粗調整、微調整I、微調整II、及びターゲットベータ調整での信号品質の指標としてジッタやシフト値を用いたが、これに限られず、信号品質指標としてエラーレートを用いることも可能である。
【0287】
実施の形態1乃至5において、信号品質を測定するための評価データとして光ディスク1にランダムデータを書き込む場合を一例として示したが、これに限られず、マーク長とスペース長の全ての組み合わせが記録可能なデータパターンを評価データとして利用することも可能である。
【0288】
実施の形態5において、ホストPC5と光ディスク装置200による記録ストラテジーの調整方法として図6の処理を行う場合を一例として示したが、これに限られず、例えば実施の形態2乃至4で示した図18、図19、図20等の処理を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0289】
100、200 光ディスク装置
1 光ディスク
2 スピンドルモータ
3 光ピックアップ
4、14 信号処理LSI
41 AFE
42 信号品質測定回路
43 マイコン
431 ROM
44 メモリ部
45 位置制御回路
46 レーザパルス制御回路
47 モータ制御回路
48 インターフェース回路
5 ホストPC
6 ホストPC用メモリ
S01 モータ制御信号
S02 位置制御信号
S03 レーサパルス制御信号
S04 電気信号
S05 アナログ信号
S06 測定結果情報
S07 位置制御信号
S08 レーザパルス制御信号
S09 モータ制御信号
S10 通信路
S11 測定開始信号
2501〜2503 位相エラー
2505〜2507 ゼロクロス点
M01 マークの前端エッジ
M02 マークの後端エッジ
M03 全体シフト値及び全体ジッタ
M0101 前方スペース・後方マークのシフト値
M0102 前方スペース・後方マークのジッタ
M0201 前方マーク・後方スペースのシフト値
M0202 前方マーク・後方スペースのジッタ
301 チャネルクロック信号
302 記録マーク
303 マルチパルス型の記録レーザパルス波形
304 キャッスル型の記録レーザパルス波形
Pw ライトパワー
Pm ミドルパワー
Tld 前端エッジシフト量
Ttr2 後端エッジシフト量
Lt ラストパルス幅
M0501 微調整I前の前方スペース・後方マークのシフト値
M0502 微調整I前の前方スペース・後方マークのジッタ
J0501 微調整I前の前方スペース6T・後方マーク5Tのシフト値
J0502 微調整I前の前方スペース6T・後方マーク5Tのジッタ
M0511 微調整I後の前方マーク・後方スペースのシフト値
M0512 微調整I後の前方マーク・後方スペースのジッタ
J0511 微調整I後の前方スペース6T・後方マーク5Tのシフト値
J0512 微調整I後の前方スペース6T・後方マーク5Tのジッタ
M0503 微調整I前の全体シフト値及び全体ジッタ
M0513 微調整I後の全体シフト値及び全体ジッタ
M0101 前方スペース・後方マークのシフト値
BJ01 全体ジッタ対ベータ特性の近似曲線
BJ02 ジッタ指標のベータマージン
BJ03 センタベータ
BJ04、BJ05 近似曲線BJ01とJtargetとの交点
BP01 PIエラー対ベータ特性の近似曲線
BP02 PI指標のベータマージン
BP03 センタベータ
BP04、BP05 近似曲線BP01とJtargetとの交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク装置に搭載され、光ディスクに対するデータの書き込み及び読み出しに係る制御を行う半導体装置であって、
前記制御のためのデータ処理を実行するデータ処理制御部と、
前記光ディスクから読み出された再生信号に基づいて、当該光ディスクへの書き込みに係る記録品質を評価するための評価情報を生成する測定部と
を有し、
前記評価情報は、データ再生のためのチャネルクロック信号に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報を含み、
前記データ処理制御部は、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となるように記録ストラテジーを調整する第1処理と、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように記録ストラテジーを調整する第2処理とを行う
半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記所望の記録マークは、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーによって記録された記録マークのうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マークである
半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2処理による記録ストラテジーの調整は、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーにおける前記所望の記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータの調整である
半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記エラー情報は、再生信号のエッジのずれ量とずれ方向を示す位相シフト値を含み、
前記第2処理は、前記所望の記録マークのエッジを、当該エッジの前記すれ量に応じて当該エッジの前記ずれ方向と反対方向にシフトさせるように前記パラメータを変更して前記位相シフト値を小さくする処理である
半導体装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記データ処理制御部は、更に、レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスによって形成される記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記第2処理により調整された記録ストラテジーにおける未調整のラストパルスのパルス幅を定めるパラメータを調整する第3処理を行う
半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記データ処理制御部は、前記第3処理によって調整された記録ストラテジーに対して再度前記第2処理を行う
半導体装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記エラー情報は、再生信号のジッタを含み、
前記第1処理は、初期記録ストラテジーに基づいてレーザパワーを定めるパラメータを変更した複数の記録ストラテジーを生成し、生成した記録ストラテジーによる記録マークのうち評価対象とされる複数の記録マークに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを選択する第4処理を含む
半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1処理は、前記第4処理によって選択された記録ストラテジーに基づいて、記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータを変更した記録ストラテジーを複数生成し、生成した記録ストラテジーによる記録マークのうち評価対象とされる複数の記録マークに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを選択する第5処理を含む
半導体装置。
【請求項9】
請求項3において、
前記評価情報は、前記再生信号のベータ値を含み、
前記データ処理制御部は、更に、前記エッジをシフトさせるためのパラメータが調整され、レーザパワーを定めるパラメータが変更された記録ストラテジーによって記録したデータの再生信号に基づいて、記録品質の目標とされるジッタ以下となるジッタを取り得るベータ値の範囲を表わす余裕度を算出し、前記余裕度に応じてレーザパワーを定めるパラメータを決定する第6処理を行う
半導体装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記評価情報は、前記再生信号のPIエラーを含み、
前記データ処理制御部は、更に、前記エッジをシフトさせるためのパラメータが調整され、レーザパワーを定めるパラメータが変更された記録ストラテジーによって記録したデータの再生信号に基づいて、記録品質の目標とされるPIエラー以下となるPIエラーを取り得るベータ値の範囲を表わす余裕度を算出し、前記余裕度に応じてレーザパワーを定めるパラメータを決定する第7処理を行う
半導体装置。
【請求項11】
光ディスクへの書き込みに係る記録品質を評価するための評価情報を入力して記録ストラテジーを生成する記録ストラテジー生成方法であって、
前記評価情報は、前記光ディスクから読み出された再生信号に応じて生成され、かつ、データ再生のためのチャネルクロック信号に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報を含み、
入力された、複数の記録ストラテジーに従って記録された記録マークに係る前記エラー情報のうち、評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となる記録ストラテジーを、前記複数の記録ストラテジーの中から選択する第1処理と、
入力された前記エラー情報のうち、所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記第1処理によって選択された記録ストラテジーの前記パラメータを調整した記録ストラテジーを生成する第2処理と
を含む記録ストラテジー生成方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記所望の記録マークは、前記第1処理によって選択された記録ストラテジーに従って記録された記録マークのうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マークである
記録ストラテジー生成方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記第2処理による前記パラメータの調整は、前記所望の記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータの調整である
記録ストラテジー生成方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記エラー情報は、再生信号のエッジのずれ量とずれ方向を示す位相シフト値を含み、
前記第2処理は、前記所望の記録マークのエッジを、当該エッジの前記ずれ量に応じて当該エッジの前記ずれ方向と反対方向にシフトさせるように、前記所望の記録マークのエッジをシフトさせて前記位相シフト値を小さくするためのパラメータを変更する処理である
記録ストラテジー生成方法。
【請求項15】
請求項13において、
レーザパルス波形の終端に位置するラストパルスを含むレーザパルスによって形成される記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記第2処理により調整された記録ストラテジーにおける未調整のラストパルスのパルス幅を定めるパラメータを調整する第3処理を更に含む
記録ストラテジー生成方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記第3処理によって調整された記録ストラテジーによって記録された記録マークのうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マークに係るエラー情報の値が小さくなるように、前記パラメータを調整する第4処理を更に含む
記録ストラテジー生成方法。
【請求項17】
請求項13において、
前記エラー情報は、再生信号のジッタを含み、
前記第1処理は、
初期記録ストラテジーにおけるレーザパワーを定めるパラメータが変更されて生成された複数の記録ストラテジーに従って記録された記録マークのうち、評価対象とされる複数の記録マークのエッジに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを、前記複数の記録ストラテジーの中から選択する第5処理と、
前記第5処理によって選択された記録ストラテジーにおける前記記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータが変更されて生成された複数の記録ストラテジーに従って記録された記録マークのうち、評価対象とされる複数の記録マークに係るジッタが全体として最小となる記録ストラテジーを、複数の記録ストラテジーの中から選択する第6処理と
を含む
記録ストラテジー生成方法。
【請求項18】
請求項13において、
前記評価情報は、前記再生信号のベータ値を含み、
前記エッジをシフトさせるためのパラメータが調整され、レーザパワーを定めるパラメータが変更された記録ストラテジーによって記録したデータの前記再生信号に基づいて、記録品質の目標とされるジッタ以下となるジッタを取り得るベータ値の範囲を表わす余裕度を算出し、前記余裕度に応じてレーザパワーを定めるパラメータを決定する第7処理を更に含む
記録ストラテジー生成方法。
【請求項19】
コンピュータ装置により実行され、光ディスクから読み出された再生信号に応じて生成された記録品質を評価するための評価情報に基づいて新たな記録ストラテジーを生成するための記録ストラテジー生成用プログラムであって、
前記評価情報は、データ再生のためのチャネルクロック信号に対する前記再生信号の位相のずれに応じたエラー情報を含み、
評価対象とされる複数の記録マークに係る前記エラー情報の値が全体として最小となるように、記録ストラテジーにおける書き込みのためのレーザパルス波形を定めるパラメータを調整する第1処理と、
所望の記録マークに係る前記エラー情報の値が小さくなるように、前記パラメータを調整する第2処理と、
を制御するための制御データを含む
記録ストラテジー生成用プログラム。
【請求項20】
請求項19において、
前記第2処理による記録ストラテジーの調整は、前記第1処理によって調整された記録ストラテジーによって記録された記録マークのうち、前記エラー情報の値が所定の閾値以上である記録マークのエッジをシフトさせるためのパラメータの調整である
記録ストラテジー生成用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−185875(P2012−185875A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47235(P2011−47235)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】