説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】サイリスタの第2n型領域n2表面に金属シリサイド層を形成しても、第2n型領域n2と第2p型領域p2間でショートを起こさないようにすることを可能とする。
【解決手段】第1p型領域p1(第1領域)と、第1n型領域n1(第2領域)と、第2p型領域p2(第3領域)と、第2n型領域n2(第4領域)とが順に接合されたサイリスタT1が形成された半導体装置1であって、第2p型領域p2は、素子分離領域13で分離された半導体基板11に形成され、第2p型領域p2上にゲート絶縁膜21を介して形成されたゲート電極22と、ゲート電極22の両側の側壁に形成されたサイドウォール23、24を有し、2n型領域n2は、その一方側が第2p型領域p2の他方側と素子分離領域13(13−1)との接合部上を被覆し、その他方側がサイドウォール23の他方側に接合していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイリスタを用いた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイリスタを用い、サイリスタのターンオン、ターンオフ特性をサイリスタ上に実現したゲート電極により制御し、アクセストランジスタと直列に接続したメモリ(特にSRAM向け)が提案されている(以下、T−RAMと呼ぶ)。これは、サイリスタのオフ領域を「0」、オン領域を「1」としてメモリー動作させるものである。
【0003】
サイリスタは基本的に第1p型領域p1と第1n型領域n1と第2p型領域p2と第2n型領域n2とを順に接合したもので、例えば、n型シリコンとp型シリコンとが4層に構成されたものである。
以下、この基本構造をp1/n1/p2/n2と記す。T−RAM社から、2種類の構造が提案されている。
一つは、p1/n1/p2/n2構造をシリコン基板上に縦型に構成したものである。
もう一つは、SOI基板を用いて、p1/n1/p2/n2構造をシリコン層に横型に構成したものである。
いずれの構成においても、n1/p2/n2のp2上にMOS構造を有するゲート電極を設けることで高速動作を可能にしている(例えば、非特許文献1、2、3、特許文献1参照)。
【0004】
本発明の出願人およびT−RAM社から、選択エピタキシャル成長技術を使う製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
例えば、図6に示すように、第1p型領域p1と第1n型領域n1のプロセスマージンを大きく確保するために、第1p型領域p1と第1n型領域n1を選択エピタキシャル成長によって形成する方法が提案されている。
同様に、プロセスマージンを確保するために、第2n型領域n2を選択エピタキシャル成長によって形成する方法が提案されている。
選択エピタキシャル成長によって、第1p型領域p1と第1n型領域n1を形成するには、第1p型領域p1と第2p型領域p2との間のショートを抑制すること求められる。
同様に、選択エピタキシャル成長によって、第2n型領域n2を形成するには、第2n型領域n2の表面に金属シリサイド層26を形成したときに、金属シリサイド層26を介した第2n型領域n2と第2p型領域p2間のショートを抑制すること求められる。
【0006】
しかしながら、第2p型領域p2上に第1n型領域n1、第2n型領域n2を選択エピタキシャル成長で形成するとき、下地のシリコン基板領域の外側、つまり素子分離領域13へ成長が進まない場合がある。
【0007】
そして上記第2n型領域n2表面に金属シリサイド層26を形成すると、金属シリサイド層26と第2p型領域p2とが接触して、金属シリサイド層26を介した第2n型領域n2と第2p型領域p2間のショートが発生することになる。
また第1n型領域n1を形成した状態で、さらに第1p型領域p1を形成する選択エピタキシャル成長を行って、第1n型領域n1上に第1p型領域p1を形成すると、第1n型領域n1のファセット領域の膜厚が薄くなるので、第1n型領域n1の裾部分において第1p型領域p1と第2p型領域p2とが接触して、ショートが発生することになる。
金属シリサイド層26を介して第2n型領域n2と第2p型領域p2との間でショートが発生する、または第1p型領域p1と第2p型領域p2との間でショートが発生すると、p1/n1/p2/n2接合は単なるp−n接合と同等となってしまうため、サイリスタ特性が得られずメモリとして動作させることが不可能となる。
したがって、金属シリサイド層26と第2p型領域p2との距離や、第1p型領域p1と第2p型領域p2との距離を物理的に離してショートを防止する必要がある。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6462359号明細書(B1)
【特許文献2】米国特許第6888176号明細書(B1)
【非特許文献1】Farid Nemati and James D. Plummer著 「A Novel High Density,Low Voltage SRAM Cell with a Vertical NDR Device」 1998 IEEE, VLSI Technology Tech.Dig. p.66 1998年
【非特許文献2】Farid Nemati and James D. Plummer著 「A Novel Thyristor-based SRAM Cell(T-RAM) for High-Speed, Low-Voltage, Giga-scale Memories」 1999 IEEE IEDM Tech., p.283 1999年
【非特許文献3】Farid Nemati, Hyun-Jin Cho, Scott Robins, Rajesh Gupta, Marc Tarabbia, Kevin J. Yang, Dennis Hayes, Vasudevan Gopalakrishnan著 「Fully Planar 0.562μm2 T-RAM Cell in a 130nm SOI CMOS Logic Technology for High-Density High-Performance SRAMs」 2004 IEEE IEDM Tech., p.273 2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、第2n型領域表面に金属シリサイド層を形成すると、金属シリサイド層と第2p型領域とが接触してショートが発生する点である。
【0010】
本発明は、第2n型領域表面に金属シリサイド層を形成しても、第2n型領域と第2p型領域との間でショートを起こさないようにすることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置は、第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたサイリスタが形成された半導体装置であって、前記第3領域は、素子分離領域で分離された半導体基板に形成され、前記第3領域上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の両側の側壁に形成されたサイドウォールを有し、前記第4領域は、その一方側が前記第3領域の他方側と前記素子分離領域との接合部上を被覆し、その他方側が前記サイドウォールの他方側に接合していることを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体装置では、第4領域は、その一方側が前記第3領域の他方側と前記素子分離領域との接合部上を被覆し、その他方側が前記サイドウォールの他方側に接合していることから、第4領域の表面側にシリサイド層が形成されても、第3領域の他方側と素子分離領域との接合部上を第4領域が被覆するように形成されているので、シリサイド層と第3領域とがショートすることはない。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたサイリスタが形成される半導体装置の製造方法であって、半導体基板に素子分離領域を形成する工程と、前記素子分離領域で分離された前記半導体基板に前記第3領域を形成する工程と、前記第3領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、さらにそのゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程と、前記ゲート電極の一方側の前記第3領域上に第2領域を形成する工程と、前記第2領域上に前記第1領域を形成する工程と、前記ゲート電極の他方側の第3領域に前記第4領域を形成する工程とを有し、前記第4領域を形成するときに、前記第3領域の他方側と前記素子分離領域との接合部上を前記第4領域の一方側で被覆し、かつ前記他方側のサイドウォールの側壁に前記第4領域の他方側を接合させることを特徴とする。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法では、上記第4領域を形成するときに、第3領域の他方側と素子分離領域との接合部上を第4領域の一方側で被覆し、かつ他方側のサイドウォールの側壁に第4領域の他方側を接合させることから、第4領域の表面側にシリサイド層を形成しても、第3領域の他方側と素子分離領域との接合部上が第4領域によって被覆されるので、シリサイド層と第3領域とがショートすることはない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置によれば、第4領域の表面側にシリサイド層が形成されても、第3領域の他方側と素子分離領域との接合部上を第4領域が被覆するように形成されているので、シリサイド層と第3領域とがショートすることはない。
よって、第3領域と第4領域との接合が機能することができるので、正常なサイリスタ特性が得られる半導体装置を得ることができるという利点がある。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、第4領域の表面側にシリサイド層を形成しても、第3領域の他方側と素子分離領域との接合部上を第4領域が被覆するので、シリサイド層と第3領域とがショートすることはない。
よって、第3領域と第4領域との接合が機能するように製造できるので、正常なサイリスタ特性が得られる半導体装置を製造することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(実施例)を、図1の概略構成断面図および図2のレイアウト平面図によって説明する。
【0018】
図1および図2に示すように、半導体基板11に、サイリスタT1を形成する素子形成領域12を分離するための素子分離領域13が形成されている。上記半導体基板11には例えばシリコン基板を用いる。上記素子分離領域13は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成されたものである。
【0019】
この素子形成領域12およびその上部に、第1伝導型(p型)の第1p型領域p1(第1領域)と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型(n型)の第1n型領域n1(第2領域)と、第1伝導型(p型)の第2p型領域p2(第3領域)と、第2伝導型(n型)の第2n型領域n2(第4領域)とが順に接合されたサイリスタT1で構成される半導体装置1が形成されている。
ここでは、第1伝導型をp型、第2伝導型をn型として説明するが、逆に第1伝導型をn型、第2伝導型をp型としてもよい。
【0020】
以下、その詳細を説明する。
上記素子形成領域12の下部には、例えばnウエル領域(図示せず)が形成されていてもよい。さらに、半導体基板11の素子形成領域12の上部に第1伝導型(p型)の領域が形成されている。このp型領域がサイリスタの第2p型領域p2(第3領域)になっている。
上記第2p型領域p2は、上記半導体基板11にホウ素(B)をドーピング(例えば、イオン注入、固相拡散等)して形成され、その濃度は、例えば5×1018cm-3であり、1×1018cm-3から1×1019cm-3程度が望ましい。基本的には、後に説明する第2伝導型(n型)の第1n型領域n1のドーパント濃度より低いことが必要である。
また、上記p型ドーパントは、ホウ素(B)の他にインジウム(In)等のp型ドーパントを用いることができる。インジウムを用いたときの濃度はホウ素を用いたときと同等である。
【0021】
上記半導体基板11上には、ゲート絶縁膜21が形成されている。このゲート絶縁膜21は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成され、1nm〜10nm程度の厚さに成膜されている。
なお、上記ゲート絶縁膜21は、酸化シリコン(SiO2)に限らず、窒化酸化シリコン(SiON)はもちろんのこと、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化酸化ハフニウム(HfON)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ランタン(La23)など通常のCMOSにおいて検討されているゲート絶縁膜材料を用いることもできる。
【0022】
上記ゲート絶縁膜21上には、ゲート電極22が形成されている。上記ゲート電極22は、通常多結晶シリコンで形成されている。または金属ゲート電極とすることもでき、またシリコンゲルマニウム(SiGe)などで形成することもできる。
【0023】
また、上記ゲート電極22上にハードマスクとして、酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(Si34)膜等が形成されていてもよい。
【0024】
ゲート電極22の側壁には、サイドウォール23、24が形成されている。上記サイドウォール23、24は、酸化シリコン(SiO2)または窒化シリコン(Si34)のどちらで形成してもよく、またそれらの積層膜で形成してもよい。
【0025】
上記ゲート電極22の一方側には、第2伝導型(n型)の第1n型領域n1(第2領域)が形成されている。この第1n型領域n1は、上記第2p型領域p2の一方側と上記素子分離領域13(13−2)との接合部上を上記第1n型領域n1の一方側で被覆し、かつ上記一方側のサイドウォール24の側壁に上記第1n型領域n1の他方側を接合させている。
このような第1n型領域n1は、上記第2p型領域p2上より横方向にもエピタキシャル成長させたエピタキシャル成長層で形成されている。
また上記第1n型領域n1は、その膜中のn型ドーパントの濃度を例えば1.5×1019cm-3としている。この濃度は、1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましいが、上記第2p型領域p2のドーパント濃度より高いことが必要であり、また下記に説明する第1p型領域p1(第1領域)より低いことが必要である。
上記n型ドーパントには、リン(P)を用いることができ、またリンの代わりにヒ素、アンチモン等のn型ドーパントを用いることもできる。ヒ素、アンチモン等のn型ドーパントを用いたときの濃度はリンを用いたときと同等である。
また上記第1n型領域n1の膜厚は、例えばエピタキシャル成長層部分の膜厚で50nm〜300nm程度が望ましい。
【0026】
上記第1n型領域n1は、上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層と、上記第1n型領域n1と上記第2p型領域p2の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層の和以上の実効的な膜厚を有することが好ましい。特に、上記第1n型領域n1は上記第2p型領域p2に接合する部分から第1n型領域n1のファセット面に向かう最小膜厚tn1が少なくとも上記実効的膜厚以上となっている。
上記のように、第1n型領域n1を実効的な膜厚になるように設定することにより、上記第1p型領域p1から上記第2p型領域p2へのパンチスルーの発生は防止できる。
また、第1p型領域p1と上記第2p型領域p2とのショートも防止できる。
【0027】
さらに、上記第1p型領域p1表面には、後に説明する金属シリサイド層25が形成される。このため、金属シリサイド層25を介した上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1のショートを回避するために、上記第1p型領域p1は、金属シリサイド層25が形成された後の上記第1n型領域n1のファセット面の裾部における膜厚tp1が確保されている。
これによって、金属シリサイド層25を介した上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1のショートを回避することができる。
【0028】
なお、上記空乏層は、空乏層幅をW、半導体(第1n型領域n1)の誘電率をεS、電荷をq、アクセプタの不純物濃度をNA、ドナーの不純物濃度をND、内蔵電位をVbiとすると、空乏層幅Wは(1)式で表せる。この式は一般的に知られている式であり、例えば、S.M.ジイー著、「半導体デバイス−基礎理論とプロセス技術」第2版、産業図書、p76、2004年発行に開示されている。
【0029】
【数1】

【0030】
上記第1n型領域n1上には、第1伝導型(p型)の第1p型領域p1(第1領域)が形成されている。
この第1p型領域p1は、上記第1n型領域n1上に形成されていて、上記素子分離領域13(13−2)表面に一端が接合するように形成されている。また、上記第1p型領域p1は、その他端が上記サイドウォール24の側壁に接合されている。
この第1p型領域p1は、例えばp型ドーパントを導入したエピタキシャル成長層で形成され、その膜中のp型ドーパントの濃度が例えば1×1020cm-3となるようにしてある。上記p型ドーパントの濃度は、1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましい。
上記p型ドーパントには、ホウ素(B)が用いられているが、その代わりにインジウム等の他のp型ドーパントを用いることもできる。他のp型ドーパントを用いたときの濃度はホウ素(B)を用いたときと同等である。
また上記膜厚は、例えばエピタキシャル成長層部分の膜厚で50nm〜300nm程度が望ましいが、第1p型領域p1がアノード電極として機能を果たせる範囲であればよい。
【0031】
上記ゲート電極22の他方側の半導体基板11(第2p型領域p2)上には、第2n型領域n2(第4領域)が形成されている。
この第2n型領域n2は、n型のドーパントを導入してなるエピタキシャル成長層からなる。例えばドーパントにリン(P)が用いられており、濃度は例えば5×1020cm-3になるように設定されている。この濃度は、1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましいが、上記第2p型領域p2のドーパント濃度より高いことが必要であり、またその膜厚は半導体基板11表面から50nmから300nm程度が望ましいが、第2n型領域n2がカソード電極として機能する膜厚を有していることが重要である。
また、上記n型のドーパントには、リンの代わりにヒ素、アンチモン等を用いることもできる。ヒ素、アンチモン等のn型ドーパントを用いたときの濃度はリンを用いたときと同等である。
【0032】
また、上記第1p型領域p1表面、上記第2n型領域n2表面、上記ゲート電極22上に、低抵抗化のために、金属シリサイド層25、26、27が形成されている。金属シリサイド層25、26、27には、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド等、通常のMOSデバイス等に用いられている金属シリサイドを用いることができる。
【0033】
上記金属シリサイド層26が形成された部分を除く上記第2n型領域n2は、上記第2n型領域n2と上記第2p型領域p2との界面で生じる上記第2n型領域n2側の空乏層以上の膜厚を有することが好ましい。
なお、空乏層幅は、前記(1)式により求めることができる。
このように上記第2n型領域n2が形成されていることにより、第2n型領域n2と第2p型領域p2とのショートが防止される。
【0034】
上記半導体装置1では、上記第2n型領域n2の一方側によって、第2p型領域p2の他方側と素子分離領域13(13−1)との接合部上が被覆され、かつ上記第2n型領域n2の他方側が、他方側のサイドウォール23の側壁に接合されていることから、第2n型領域n2の表面側に金属シリサイド層26が形成されても、第2n型領域n2の他方側と素子分離領域13(13−1)との接合部上は第2n型領域n2で被覆されているので、第2n型領域n2と第2p型領域p2とがショートすることを防止できる。
また、上記第1n型領域n1の一方側で第2p型領域p2の一方側と素子分離領域13(13−2)との接合部上を被覆し、かつ上記第1n型領域n1の他方側が一方側のサイドウォール24の側壁に接合させていることから、第1p型領域p1を素子分離領域13(13−2)上にまで形成しても、第2p型領域p2の一方側と素子分離領域13(13−2)との接合部上は、第1n型領域n1によって被覆されている。このため、第1p型領域p1と第2p型領域p2とは、第1n型領域n1と素子分離領域13(13−2)とによって離間されるので、第1p型領域p1と第2p型領域p2とがショートすることを防止できる。
さらに、上記第1n型領域n1は、上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層と、上記第1n型領域n1と上記第2p型領域p2の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層の和以上の実効的な膜厚を有するように形成されていることによって、上記第1p型領域p1から上記第2p型領域p2へのパンチスルーの発生が防止できる。
【0035】
よって、第1p型領域p1(第1領域)と第1n型領域n1(第2領域)と第2p型領域p2(第3領域)と第2n型領域n2(第4領域)とが順に接合されたサイリスタにおける第1p型領域p1と第1n型領域n1との接合、第1n型領域n1と第2p型領域p2との接合、第2p型領域p2と第2n型領域n2との接合が機能することができるので、正常なサイリスタ特性を得ることができる。
【0036】
次に、本発明の半導体装置の製造方法(第1製造方法)に係る一実施の形態(実施例)を、図3〜図5の製造工程断面図によって説明する。この第1製造方法は、前記第1半導体装置の第1実施例の半導体装置1を製造する方法の一例である。
【0037】
図3(1)に示すように、半導体基板11を用意する。この半導体基板11には例えばシリコン基板を用いる。そして上記半導体基板11に素子形成領域12を分離する素子分離領域13を形成する。この素子分離領域13は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)、STI(Shallow Trench Isolation)、DTI(Deep Trench Isolation)などの技術により形成される。上記素子形成領域12の下部には、例えばnウエル領域(図示せず)が形成されていてもよい。
【0038】
その後、半導体基板11の素子形成領域12の上部を第1伝導型(p型)の領域に形成する。このp型領域がサイリスタの第2p型領域p2(第3領域)になる。このイオン注入条件の一例としては、ドーパントにp型ドーパントであるホウ素(B)を用い、濃度は、例えば5×1018cm-3であり、1×1018cm-3から1×1019cm-3程度が望ましい。基本的には、後に形成される第2伝導型(n型)の第1n型領域のドーパント濃度より低いことが必要である。
また、上記p型ドーパントは、ホウ素(B)の他にインジウム(In)等のp型ドーパントを用いることができる。インジウムを用いたときの濃度はホウ素を用いたときと同等である。
【0039】
次に、図3(2)に示すように、上記半導体基板11上にゲート絶縁膜21を形成する。このゲート絶縁膜21は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜で形成され、1nm〜10nm程度の厚さに成膜される。なお、上記ゲート絶縁膜21は、酸化シリコン(SiO2)に限らず、窒化酸化シリコン(SiON)はもちろんのこと、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化酸化ハフニウム(HfON)、酸化アルミニウム(Al23)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化ランタン(La23)など通常のCMOSにおいて検討されているゲート絶縁膜材料を用いることもできる。
【0040】
次に、上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極22を形成する。上記ゲート電極22は、通常多結晶シリコンで形成されている。または金属ゲート電極とすることもでき、またシリコンゲルマニウム(SiGe)などで形成することもできる。
【0041】
上記ゲート電極22は、例えば、上記ゲート絶縁膜21上にゲート電極形成膜を成膜した後、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術によるエッチングマスクの形成、そのエッチングマスクを用いたエッチング技術により、上記ゲート電極形成膜をエッチング加工されて形成される。このエッチング技術には、通常のドライエッチング技術を用いることができる。もしくはウエットエッチングにより形成することも可能である。また、ゲート電極形成膜上にハードマスクとして、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜等を形成してもよい。
【0042】
次に、上記ゲート電極22の側壁にサイドウォール23、24を形成する。例えば、ゲート電極22を被覆するようにサイドウォール形成膜を成膜した後、このサイドウォール形成膜をエッチバックすることで、ゲート電極22の側壁に上記サイドウォール23、24を形成することができる。上記サイドウォール23、24は、酸化シリコンまたは窒化シリコンのどちらで形成してもよく、またそれらの積層膜で形成してもよい。
続いて、活性化のアニールとして例えば900℃に加熱した後直ちに冷却過程に入る、例えば900℃に加熱した後1秒未満で冷却過程に入るスパイクアニールを行う。
【0043】
次に、図4(3)に示すように、上記ゲート電極22の一方側の上記第2p型領域p2上に開口部32を有する第1エピタキシャル成長マスク31を形成する。
この第1エピタキシャル成長マスク31を形成するには、例えば、上記ゲート電極22、サイドウォール23、24等を被覆するように、マスク形成膜を形成する。このマスク形成膜は、例えば窒化シリコン膜を20nmの厚さに堆積して形成する。
その後、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術によって、上記ゲート電極22の一方側の上記第2p型領域p2上で、上記第2p型領域p2の一方側と上記素子分離領域13(13−2)との接合部上および上記一方側のサイドウォール24の側壁上にかかるように、開口部を有するレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、それをエッチングマスクに用いて、上記第1エピタキシャル成長マスク31を形成する。
これによって、第1n型領域が形成される領域の上記第2p型領域p2が露出される。このとき、開口部32は、上記第2p型領域p2の一方側と上記素子分離領域13(13−2)との接合部上および上記一方側のサイドウォール24の側壁上にかかるように、形成される。
このように、エピタキシャル成長させる領域以外は、上記第1エピタキシャル成長マスク31、素子分離領域13等の酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等で被覆する。
上記第1エピタキシャル成長マスク31には、一例として窒化シリコン膜を用いたが、エピタキシャル成長時に選択性が維持できる膜種であれば、窒化シリコン以外の膜種、例えば酸化シリコン、酸窒化シリコン等の絶縁膜であってもよい。
【0044】
次に、上記第1エピタキシャル成長マスク31を用いた選択エピタキシャル成長技術により、上記開口部32の半導体基板11(第2p型領域p2)上に上記第1n型領域n1(第2領域)を形成する。
このとき、上記第2p型領域p2の一方側と上記素子分離領域13(13−2)との接合部上を上記第1n型領域n1の一方側で被覆し、かつ上記一方側のサイドウォール24の側壁に上記第1n型領域n1の他方側を接合させる。
上記第1n型領域n1は、例えば100nmの厚さに形成される。この第1n型領域n1の膜厚は50nm以上300nm以下の膜厚が望ましい。
【0045】
ここで、上記第1n型領域n1を素子分離領域13(13−2)上に横方向成長させる選択エピタキシャル成長条件の具体例を説明する。
選択エピタキシャル成長装置には、例えば反応室の容積が5L〜20Lのエピタキシャル成長装置を用いる。
エピタキシャル成長時の反応室内の圧力は、例えば101.325kPaとする。
基板温度は、例えば750℃〜800℃とする。
ガス条件は、例えば、以下のようにする。
ジクロロシラン(SiH2Cl2):50cm3/min〜500cm3/min、
ホスフィン(PH3)(1%H2希釈):5cm3/min〜200cm3/min、
塩化水素(HCl):15cm3/min〜200cm3/min、
水素(H2):10L/min〜30L/min。
【0046】
上記条件は一例であり、n型不純物がドーピングされたエピタキシャル成長層を形成することができる条件であればよい。
なお、反応室の体積比からプロセスガス流量比を上記値の範囲内で選択することで、一例として、200mmバッチ式エピタキシャル成長装置、300mmの枚葉式エピタキシャル成長装置、バッチ式エピタキシャル成長装置であっても実現可能である。
【0047】
また、上記素子分離領域13の表面を通常の酸化シリコンではなく窒化シリコン(例えばSi34)で形成することで、上記第1n型領域n1が素子分離領域13(13−2)上に横方向成長しやすくなる。また、上記第1n型領域n1の横方向成長には、第2p型領域p2と素子分離領域13(13−2)との接合部における段差を無くすことも有効である。
【0048】
次に、図4(4)に示すように、上記第1n型領域n1上に第1伝導型(p型)の第1p型領域p1(第1領域)を形成する。このとき、第1p型領域p1の一端が素子分離領域13(13−2)表面に接合されるように形成されてもよい。
この第1p型領域p1は、例えば、上記第1エピタキシャル成長マスク31を用いた選択エピタキシャル成長により形成され、膜中のホウ素(B)濃度が1×1020cm-3となるようにした。上記ドーパント(ホウ素)濃度は、1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましい。
このときの選択エピタキシャル成長条件は、例えばシラン系ガスとともにドーパントの原料ガスにジボラン(B26)ガスを用い、成膜時の基板温度を例えば750℃に設定するとともに、原料ガスの供給量、エピタキシャル成長雰囲気の圧力等を調整して、膜厚は例えば100nmとした。
【0049】
また上記膜厚は50nm〜300nm程度が望ましいが、第1p型領域p1がアノード電極として機能を果たせる範囲であればよい。
上記ドーパントに用いるガスは、p型不純物を含むものであればよく、p型不純物を含む有機ソースなどを用いることもできる。
また、このとき必要に応じて、エピタキシャル成長表面をフッ酸(HF)などの薬液や水素(H2)ガスなどを用いてクリーニングを行ってもよい。
また、必要に応じて、続いて、活性化のアニールとして例えば900℃に加熱した後直ちに冷却過程に入る、例えば900℃に加熱した後1秒未満で冷却過程に入るスパイクアニールを行う。このときの条件はドーパントの活性化が行える範囲でよい。
【0050】
ここで、上記第1p型領域p1の選択エピタキシャル成長条件の具体例を説明する。
選択エピタキシャル成長装置には、例えば反応室の容積が5L〜20Lのエピタキシャル成長装置を用いる。
エピタキシャル成長時の反応室内の圧力は、例えば101.325kPaとする。
基板温度は、例えば750℃〜800℃とする。
ガス条件は、例えば、以下のようにする。
ジクロロシラン(SiH2Cl2):50cm3/min−500cm3/min、
ジボラン(B26)(1%H2希釈):5cm3/min−200cm3/min、
塩化水素(HCl):15cm3/min〜200cm3/min、
水素(H2):10L/min〜30L/min。
【0051】
上記条件は一例であり、p型不純物がドーピングされたエピタキシャル成長層を形成することができる条件であればよい。
なお、反応室の体積比からプロセスガス流量比を上記値の範囲内で選択することで、一例として、200mmバッチ式エピタキシャル成長装置、300mmの枚葉式エピタキシャル成長装置、バッチ式エピタキシャル成長装置であっても実現可能である。
【0052】
上記図4によって説明した工程において、上記第1n型領域n1を、上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層と、上記第1n型領域n1と上記第2p型領域p2の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層の和以上の実効的な膜厚を有するように形成する。特に、上記第1n型領域n1は上記第2p型領域p2に接合する端部から第1n型領域n1のファセット面に向かう最小膜厚tn1が少なくとも上記実効的膜厚以上となるようにする。
上記のように、第1n型領域n1を実効的な膜厚になるように設定することにより、上記第1p型領域p1から上記第2p型領域p2へのパンチスルーの発生は防止できる。
また、第1p型領域p1と上記第2p型領域p2とのショートも防止できる。
【0053】
次に、図5(5)に示すように、上記ゲート電極22の他方側の上記第2p型領域p2上に開口部35を有する第2エピタキシャル成長マスク34を形成する。
この第2エピタキシャル成長マスク34は、例えば、上記第1エピタキシャル成長マスク31、第1p型領域p1等を被覆するように、マスク形成膜を形成する。このマスク形成膜は、例えば窒化シリコン膜を20nmの厚さに堆積して形成する。
【0054】
その後、通常のレジスト塗布、リソグラフィー技術によって、上記ゲート電極22の他方側の上記第2p型領域p2上に開口部を有するレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、それをエッチングマスクに用いて、上記開口部35を有する第2エピタキシャル成長マスク34を形成する。このエッチングでは、第1エピタキシャル成長マスク31にも開口部35が形成される。これによって、第2n型領域n2が形成される領域の上記第2p型領域p2が露出される。
このように、エピタキシャル成長させる領域以外は、上記第2エピタキシャル成長マスク34、素子分離領域13等の酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等で被覆する。
上記第2エピタキシャル成長マスク34には、一例として窒化シリコン膜を用いたが、エピタキシャル成長時に選択性が維持できる膜種であれば、窒化シリコン以外の膜種、例えば酸化シリコン、酸窒化シリコン等の絶縁膜であってもよい。
【0055】
次に、上記第2エピタキシャル成長マスク34を用いた選択エピタキシャル成長技術により、上記開口部35の半導体基板11(第2p型領域p2)上にn型不純物(例えば、リン、ヒ素等)をドーピングしたエピタキシャル成長層からなる第2n型領域n2(第4領域)を形成する。
上記第2n型領域n2を形成するときに、上記第2p型領域p2の他方側と上記素子分離領域13(13−1)との接合部上を上記第2n型領域n2の一方側で被覆し、かつ上記他方側のサイドウォール23の側壁に上記第2n型領域n2の他方側を接合させる。
このエピタキシャル成長におけるドーピングガスには、ホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)や有機ソースなど、n型不純物を含むガスを用いることができる。
また、このときのドーパント濃度は、例えば1×1018cm-3から1×1021cm-3程度が望ましい。また、第2n型領域n2の膜厚は、50nmから300nmが望ましく、第2n型領域n2がカソード電極として機能を果たせる範囲の膜厚であればよい。
【0056】
ここで、上記第2n型領域n2の選択エピタキシャル成長条件の具体例を説明する。
選択エピタキシャル成長装置には、例えば反応室の容積が5L〜20Lのエピタキシャル成長装置を用いる。
エピタキシャル成長時の反応室内の圧力は、例えば101.325kPaとする。
基板温度は、例えば750℃〜800℃とする。
ガス条件は、例えば、以下のようにする。
ジクロロシラン(SiH2Cl2):50cm3/min〜500cm3/min、
ホスフィン(PH3)(1%H2希釈):5cm3/min〜200cm3/min、
塩化水素(HCl):15cm3/min〜200cm3/min、
水素(H2):10L/min〜30L/min。
【0057】
上記条件は一例であり、n型不純物がドーピングされたエピタキシャル成長層を形成することができる条件であればよい。
なお、反応室の体積比からプロセスガス流量比を上記値の範囲内で選択することで、一例として、200mmバッチ式エピタキシャル成長装置、300mmの枚葉式エピタキシャル成長装置、バッチ式エピタキシャル成長装置であっても実現可能である。
【0058】
また、上記素子分離領域13の表面を通常の酸化シリコンではなく窒化シリコン(例えばSi34)で形成することで、上記第2n型領域n2が素子分離領域13(13−1)上に横方向成長しやすくなる。また、上記第2n型領域n2の横方向成長には、第2p型領域p2と素子分離領域13(13−1)との接合部における段差を無くすことも有効である。
【0059】
上記第2n型領域n2は、上記第1エピタキシャル成長マスク31、第1n型領域n1と第1p型領域p1を形成する前に行うことも可能である。この場合、先に第2エピタキシャル成長マスク34を形成して第2n型領域n2を形成し、その後、第1エピタキシャル成長マスク31を形成して、第1n型領域n1と第1p型領域p1を形成すればよい。
【0060】
また、必要に応じて、第1p型領域p1または第2n型領域n2を形成した後、いずれかまたは両方において活性化アニールを行ってもよい。活性化のアニールとして例えば加熱を1050℃まで行った後、直ぐに冷却工程に入るスパイクアニールを行う。このときのアニール条件は上記ドーパントの活性化が行える範囲でよい。
【0061】
次に、ゲート電極22、第1p型領域p1と第2n型領域n2を露出させるため、各領域上の上記第1エピタキシャル成長マスク31、第2エピタキシャル成長マスク34を除去する。
そして、層間絶縁膜(図示せず)を形成する前に、図5(6)に示すように、各露出された第1p型領域p1、第2n型領域n2、サイドウォールゲート電極22上に、サリサイド工程によって、それぞれに金属シリサイド層25、26、27を形成する。この金属シリサイド層25、26、27は、例えばチタンシリサイド、コバルトシリサイドもしくはニッケルシリサイドで形成する。
上記金属シリサイド層25、26、27を形成した後であっても、上記第2n型領域n2の一方側によって、上記第2p型領域p2の他方側と上記素子分離領域13(13−1)との接合部上を被覆している。また、上記第2n型領域n2の他方側は、上記サイドウォール23に接合されている。
【0062】
上記のように形成するには、上記金属シリサイド層26が形成された部分を除く上記第2n型領域n2が、上記第2n型領域n2と上記第2p型領域p2との界面で生じる上記第2n型領域n2側の空乏層以上の膜厚を有するように形成する。
なお、空乏層幅は、前記(1)式により求めることができる。
このように上記第2n型領域n2が形成されていることにより、上記金属シリサイド層26を介した第2n型領域n2と第2p型領域p2とのショートが防止される。
【0063】
また、上記第1p型領域p1表面に形成した金属シリサイド層25を介した上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1のショートを回避するために、上記第1p型領域p1は、金属シリサイド層25が形成された後の上記第1n型領域n1のファセット面の裾部における膜厚tp1が確保されるように形成する。
これによって、金属シリサイド層25を介した上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1のショートを回避することができる。
【0064】
その後、層間絶縁膜を形成し、通常のCMOS工程と同様の配線工程を行う。
【0065】
上記半導体装置の製造方法では、上記第2n型領域n2を形成するときに、第2p型領域p2の他方側と素子分離領域13(13−1)との接合部上を第2n型領域n2の一方側で被覆し、かつ他方側のサイドウォール23の側壁に第2n型領域n2の他方側を接合させることから、第2n型領域n2の表面側に金属シリサイド層26が形成されても、第2n型領域n2の他方側と素子分離領域13(13−1)との接合部上を第2n型領域n2が被覆するので、金属シリサイド層26と第2p型領域p2とがショートすることはない。
また、上記第1n型領域n1を形成するときに、第2p型領域p2の一方側と素子分離領域13(13−2)との接合部上を第1n型領域n1の一方側で被覆し、かつ一方側のサイドウォール24の側壁に第1n型領域n1の他方側を接合させることから、たとえ、第1p型領域p1が素子分離領域13(13−2)上にまで形成されたとしても、第2p型領域p2の一方側と素子分離領域13(13−2)との接合部上を被覆するように形成されているので、第1p型領域p1と第2p型領域p2とは第1n型領域n1と素子分離領域13(13−2)とによって離間されるので、第1p型領域p1と第2p型領域p2とがショートすることはない。
さらに、上記第1n型領域n1は、上記第1p型領域p1と上記第1n型領域n1の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層と、上記第1n型領域n1と上記第2p型領域p2の界面で生じる上記第1n型領域n1側の空乏層の和以上の実効的な膜厚を有するように形成することができるので、上記第1p型領域p1から上記第2p型領域p2へのパンチスルーの発生が防止される。
【0066】
よって、第1p型領域p1(第1領域)と第1n型領域n1(第2領域)と第2p型領域p2(第3領域)と第2n型領域n2(第4領域)とが順に接合されたサイリスタにおける第1p型領域p1と第1n型領域n1との接合、第1n型領域n1と第2p型領域p2との接合、第2p型領域p2と第2n型領域n2との接合が機能する、正常なサイリスタ特性が得られる半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(実施例)を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置に係る一実施の形態(実施例)を示したレイアウト平面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(実施例)を示した製造工程断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(実施例)を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(実施例)を示した製造工程断面図である。
【図6】従来の半導体装置を示した概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…半導体装置、11…半導体基板、12…ゲート絶縁膜、13(13−1,13−2)…素子分離領域、22…ゲート電極、23,24…サイドウォール、p1…第1p型領域(第1領域)、n1…第1n型領域(第2領域)、p2…第1p型領域(第3領域)、n2…第2n型領域(第4領域)、T1…サイリスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたサイリスタが形成された半導体装置であって、
前記第3領域は、素子分離領域で分離された半導体基板に形成され、
前記第3領域上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の両側の側壁に形成されたサイドウォールを有し、
前記第4領域は、その一方側が前記第3領域の他方側と前記素子分離領域との接合部上を被覆し、その他方側が前記サイドウォールの他方側に接合している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
金属シリサイド層が形成される部分を除く前記第4領域は、前記第4領域と前記第3領域との界面で生じる前記第4領域側の空乏層以上の膜厚を有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2領域は、その一方側が前記第3領域の一方側と前記素子分離領域との接合部上を被覆するように形成され、その他方側が前記サイドウォールの一方側に接合して形成される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2領域は、前記第1領域と前記第2領域の界面で生じる前記第2領域側の空乏層と、前記第2領域と前記第3領域の界面で生じる前記第2領域側の空乏層の和以上の膜厚を有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
第1伝導型の第1領域と、前記第1伝導型とは逆伝導の第2伝導型の第2領域と、第1伝導型の第3領域と、第2伝導型の第4領域とが順に接合されたサイリスタが形成される半導体装置の製造方法であって、
半導体基板に素子分離領域を形成する工程と、
前記素子分離領域で分離された前記半導体基板に前記第3領域を形成する工程と、
前記第3領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、さらにそのゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する工程と、
前記ゲート電極の一方側の前記第3領域上に第2領域を形成する工程と、
前記第2領域上に前記第1領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の他方側の第3領域に前記第4領域を形成する工程と
を有し、
前記第4領域を形成するときに、前記第3領域の他方側と前記素子分離領域との接合部上を前記第4領域の一方側で被覆し、かつ前記他方側のサイドウォールの側壁に前記第4領域の他方側を接合させる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1領域の表面、前記第4領域の表面および前記ゲート電極上に金属シリサイド層を形成する工程を有し、
前記金属シリサイド層を形成した後、前記第3領域の他方側と前記素子分離領域との接合部上を前記第4領域の一方側で被覆している
ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2領域を形成するときに、前記第3領域の一方側と前記素子分離領域との接合部上を前記第2領域の一方側で被覆し、かつ前記一方側のサイドウォールの側壁に前記第2領域の他方側を接合させる
ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate