説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】導電性シールド層とグランド配線との接続面積をより増加させて、より信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、絶縁基材11と、絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、絶縁基材の第1の主面から下面にまで貫通する複数のビア14と、を有する回路基板10と、回路基板において、絶縁基材の第1の主面側に搭載された半導体素子20と、半導体素子を封止する封止樹脂層30と、封止樹脂層を覆う導電性シールド層40と、を備える。複数の第1配線層のいずれかは、回路基板の端部側において露出し、導電性シールド層は、半導体素子の側に向かい封止樹脂層内に延在するようにして、回路基板の端部側において露出する第1配線層に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、外部への不要電磁波の漏洩を抑制することが求められる。例えば、携帯型通信機器等に用いられる半導体装置には、通信特性への悪影響を抑制するために、外部への不要電磁波の漏洩を抑制することが求められる。このため、シールド機能を有する半導体装置が必要とされる。シールド機能を有する半導体装置としては、回路基板上に搭載された半導体素子を封止する封止樹脂層の外面に沿って導電性シールド層を設けた構造を有するものがある。
【0003】
また、回路基板の側面からの不要電磁波の漏洩を抑制するために、導電性シールド層を回路基板のグランド配線に接続させた半導体装置がある。しかしながら、導電性シールド層と回路基板のグランド配線との接続面積が小さくなると、不要電磁波の漏洩を充分に抑制できず、半導体装置の信頼性が低下する。従って、このような半導体装置については、導電性シールド層とグランド配線との接続面積をより増加させて、より信頼性を高くすることが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−103574号公報
【特許文献2】特開2006−287016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より信頼性の高い半導体装置、その半導体装置を製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1の主面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板と、前記回路基板において、前記絶縁基材の前記第1の主面側に搭載された半導体素子と、前記半導体素子を封止する封止樹脂層と、前記封止樹脂層を覆う導電性シールド層と、を備える。前記複数の第1配線層のいずれかは、前記回路基板の端部側において露出し、前記導電性シールド層は、前記半導体素子の側に向かい前記封止樹脂層内に延在するようにして、前記回路基板の前記端部側において露出する前記第1配線層に電気的に接続されている。
【0007】
実施形態の半導体装置は、絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1主面から前記第2主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板と、前記回路基板において、前記絶縁基材の前記第1の主面側に搭載された半導体素子と、前記半導体素子を封止する封止樹脂層と、前記封止樹脂層を覆う導電性シールド層と、を備える。前記複数のビア接続部のいずれかは、前記回路基板の端部側において露出し、前記導電性シールド層は、前記半導体素子の側に向かい前記封止樹脂層内に延在するようにして、前記回路基板の前記端部側において露出する前記ビア接続部に電気的に接続されている。
【0008】
実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1の主面から前記第2の主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板が、前記回路基板の主面に対して略平行な方向に複数連続して設けられた基板を準備する工程と、前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記第1の主面側に半導体素子を搭載する工程と、前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記複数の第1配線層のいずれかの所定の面に、マスク部材を形成する工程と、前記半導体素子および前記複数の第1配線層を封止樹脂層で封止する工程と、前記隣接する前記回路基板のそれぞれの間の前記封止樹脂層を分割し、前記封止樹脂層から前記マスク部材を露出させるとともに、前記隣接する前記回路基板のそれぞれの間の前記基板に溝を形成し、前記基板から前記第1配線層を露出させる工程と、前記マスク部材を除去し、前記マスク部材が形成された前記第1配線層の前記所定の面を露出させる工程と、それぞれの前記封止樹脂層を導電性シールド層で覆いつつ、前記露出した前記第1配線層の前記所定の面に前記導電性シールド層を接触させる工程と、を備える。
を備える。
【0009】
実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1の主面から前記第2の主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板が、前記回路基板の主面に対して略平行な方向に複数連続して設けられた基板を準備する工程と、前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記第1の主面側に半導体素子を搭載する工程と、前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記複数のビア接続部のいずれかの所定の面に、マスク部材を形成する工程と、前記半導体素子および前記複数の第1配線層を封止樹脂層で封止する工程と、前記隣接する回路基板のそれぞれの間の前記封止樹脂層を分割し、前記封止樹脂層から前記マスク部材を露出させるとともに、前記隣接する前記回路基板のそれぞれの間の前記基板に溝を形成し、前記基板から前記ビア接続部を露出させる工程と、前記マスク部材を除去し、前記マスク部材が形成された前記ビア接続部の前記所定の面を露出させる工程と、それぞれの前記封止樹脂層を導電性シールド層で覆いつつ、前記露出した前記ビア接続部の前記所定の面に前記導電性シールド層を接触させる工程と、を備える。
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概要を説明するための断面模式図であり、(a)は、全体図、(b)は、拡大図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置を説明する平面模式図である。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の模式図であり、(a)は、断面模式図、(b)は、平面模式図である。
【図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図8】第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための斜視模式図である。
【図9】第4実施形態に係る半導体装置の模式図であり、(a)は、断面模式図、(b)は、平面模式図である。
【図10】第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図11】第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図12】第5実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図13】第5実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図14】第6実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図15】第6実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図16】第7実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の表面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【図17】第7実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図18】第7実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の別の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の表面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【図19】第8実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の下面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【図20】第8実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【図21】第8実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の別の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の下面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、以下に説明する各実施形態は、適宜複合させることができる。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を説明するための断面模式図であり、(a)は、全体図、(b)は、拡大図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を説明する平面模式図である。
【0013】
図1(a)には、図2のX−X’断面が示され、図1(b)には、図1(a)の破線100で囲った部分が示されている。
第1実施形態に係る半導体装置1は、FBGA(Fine pitch Ball Grid Array)型の半導体パッケージである。半導体装置1は、回路基板10を有する。回路基板10は、インターポーザ基板とも称される。回路基板10は、基体である絶縁基材11と、絶縁基材11の上面側の外周に設けられた複数の配線層12と、配線層12の内側に設けられた複数の配線層15と、絶縁基材11の下面側に設けられた複数の配線層13と、を有する。配線層12の側面は、回路基板10の側面(端部側)10wにおいて回路基板10から露出している。配線層12の電位については、グランド(GND)電位にすることができる。また、回路基板10の上面および下面には、各配線層の一部を被覆するためのソルダレジスト層16が形成されている。実施形態において、第1配線層は、配線層12または配線層15によって構成される。第2配線層は、配線層13によって構成される。
【0014】
回路基板10は、さらに絶縁基材11の上面(第1主面)から下面(第2主面)にまで貫通する複数のビア(ビア接続部)14を有する。ビア14については、図示する数に限らず、回路基板10に複数設けられている。配線層12のいずれかは、回路基板10内のビアを介して外部接続端子17のいずれかに接続されている。
【0015】
複数の配線層13のそれぞれは、ランド状の電極である。複数の配線層13のそれぞれには、半田ボールである外部接続端子17が接続されている。複数の外部接続端子17のそれぞれは、例えば、実装基板(図示しない)に実装される。半導体装置1においては、外部接続端子17を取り除いたLGA(Land Grid Array)構造としてもよい。
【0016】
回路基板10の上面側には、半導体素子20が搭載されている。半導体素子20の上面には、ワイヤ(ボンディングワイヤ)21の一方の端が接続されている。ワイヤ21の他方の端は、配線層15に接続されている。ワイヤ21は、配線層15の少なくとも1つと、半導体素子の表面に設けられた電極(図示しない)と、を電気的に接続する。
【0017】
半導体素子20の外周およびワイヤ21は、回路基板10の上面側に設けられた封止樹脂層30によって封止されている。半導体素子20と回路基板10との間隙には、ダイボンディング材(マウント材)22が形成されている。
【0018】
封止樹脂層30の上面および側面は、導電性シールド層40によって覆われている。導電性シールド層40は、配線層12の上方において封止樹脂層30の側面から半導体素子20の側に向かって封止樹脂層30内に侵入している。さらに、導電性シールド層40は、配線層12に接触している。例えば、導電性シールド層40の内面からは突起部40pが延出している。導電性シールド層40は、半導体素子20の側に向かい封止樹脂層30内に延在するようにして、回路基板10の端部側において露出する配線層12に電気的に接続されている。突起部40pが封止樹脂層30の側面に侵入することにより、導電性シールド層40が配線層12の上面および側面に接触することになる。
【0019】
回路基板10の端部側において露出する配線層12は、グランド電位となるように構成されている。配線層12の電位がグランド電位になると、配線層12を通じて導電性シールド層40の電位をグランド電位にすることができる。配線層12と導電性シールド層40との接点は、半導体装置1の各辺において複数設けられている(図2参照)。グランド電位と導電性シールド層40との接点の数、位置は上述した例に限られない。また、グランド電位にある配線層12と導電性シールド層40との接点間の距離は、半導体素子20等から放出される不要電磁波(電磁ノイズ、またはノイズ電波とも称する)の波長の半分以下に調整されている。
【0020】
半導体素子20は、フラッシュメモリ、DRAM等の記憶素子、マイクロプロセッサ等の演算素子である。ワイヤ21は、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属線である。
【0021】
配線層12、配線層13、および配線層15は、銅(Cu)箔、銀(Ag)または銅(Cu)を含む導電性ペースト等である、配線層12、配線層13、および配線層15には、必要に応じて表面にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっき処理が施される。ビア14は、例えば、柱状電極である。ビア14は、全ての材が導電材で構成された柱状電極でもよく、この柱状電極のほか、筒状の円筒電極と、この円筒電極内の中空に埋設された樹脂等と、を含む形態でもよい。ビア14の材質は、銅(Cu)、タングステン(W)等である。
【0022】
導電性シールド層40は、半導体素子20から放出される高周波ノイズを遮断するために、なるべく抵抗率が低い材料が選択される。導電性シールド層40の材質としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。より具体的には、導電性シールド層40は、銀(Ag)ペーストを硬化させた銀(Ag)含有層であり、そのシート抵抗が0.1(Ω/□)以下に調整されている。導電性シールド層40の厚さは、数10μmであり、より好ましくは、10〜90μmである。
【0023】
次に、半導体装置1の製造過程について説明する。
図3および図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
図3には、(a)〜(c)の3つの段階の製造過程が例示されている。各段階の右側には、左側の破線100で囲まれた部分の拡大図が示されている。
【0024】
まず、図3(a)に示すように、回路基板10が回路基板10の主面に対して平行な方向に複数連続して設けられた基板10Aを準備する。続いて、複数の回路基板10のそれぞれに半導体素子20を搭載する。そして、複数の配線層15の少なくとも1つと、半導体素子20と、をワイヤ21を介して電気的に接続する。この段階では、回路基板10は、切断前の状態にあり、基板10A上には、複数の半導体素子20が搭載される。これにより、絶縁基材11と、絶縁基材11の第1の主面側に設けられた複数の配線層12と、絶縁基材11の第2の主面側に設けられた複数の配線層13と、絶縁基材11の第1の主面から第2の主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板10が、回路基板の主面に対して略平行な方向に複数連続して設けられた基板10Aが準備される。さらに複数の回路基板10のそれぞれにおいて、第1の主面側には、半導体素子20が搭載される。
【0025】
続いて、複数の回路基板10のそれぞれにおいて、複数の配線層12のいずれかの所定の面に、マスク部材50を形成する。例えば、複数の配線層12の中のいずれかの配線層12の上面の少なくとも一部に、マスク部材50を形成する。マスク部材50は、複数の回路基板10のそれぞれにおいて設けられる。例えば、図2に示す複数の配線層12のそれぞれの上にマスク部材50を設ける。これにより、それぞれの配線層12の上面の少なくとも一部がマスク部材50によって被覆される。
【0026】
マスク部材50の材質は、生分解性樹脂、水溶性樹脂、加水分解性樹脂、酵素分解性樹脂、有機酸溶解性樹脂のいずれかである。生分解性樹脂かつ水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)が選択される。生分解性樹脂かつ加水分解性樹脂としては、ポリL乳酸樹脂(PLLA)、澱粉樹脂が選択される。加水分解性樹脂かつ酵素分解性樹脂としては、ポリブチレンサクシネートラクテート樹脂(PBSL)が選択される。有機酸溶解性樹脂としては、共重合ナイロン、ポリアミドとポリアミドポアミンの交換反応したポリアミドが選択される。必要に応じて、マスク部材50に紫外線吸収剤を含有させてもよい。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、複数の半導体素子20、ワイヤ21、配線層12、およびマスク部材50を封止樹脂層30によって封止する。
【0028】
次に、図3(c)に示すように、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30を分割し、封止樹脂層30からマスク部材50を露出させるとともに、隣接する回路基板10のそれぞれの間の基板10Aに溝を形成し、基板10Aから配線層12を露出させる。例えば、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30を分割し、さらに、基板10Aの上面に切削溝が形成する程度に溝30tを形成する。溝30tは、いわゆるハーフカットダイシング加工により形成する。ハーフカットダイシング加工では、封止樹脂層30については分割するものの、回路基板10については完全に分割しない。溝30tが形成されることにより、マスク部材50の側面が封止樹脂層30から露出するとともに、配線層12の側面が基板10Aから露出する。溝30tの内部においては、封止樹脂層30、マスク部材50、および配線層12のそれぞれの側面が面一になっている。この後、封止樹脂層30を、必要に応じて硬化させる。
【0029】
次に、図4(a)に示すように、マスク部材50を除去する。これにより、マスク部材が形成された配線層12の前記所定の面が露出する。
例えば、マスク部材50の材質がポリブチレンサクシネートラクテート樹脂の場合は、アルカリ水溶液とリパーゼ酵素液との混合液によるアルカリ分解と酵素分解とを併用してマスク部材50を除去する。
【0030】
マスク部材50の材質がポリ乳酸等樹脂の場合は、アルカリ水溶液分解並びに加水分解によってマスク部材50を除去する。ポリ乳酸樹脂は、アルカリ水溶液で加水分解する性質を有する。ポリ乳酸樹脂は、酸性水溶液に対して耐性を示すが、アルカリ水溶液では簡単に除去される。
【0031】
このように、マスク部材50の素材に応じて、アルカリ水溶液によるアルカリ分解、並びに加水分解によりマスク部材50を除去したり、アルカリ水溶液とリパーゼ酵素液との混合液によりアルカリ分解と酵素分解とを併用してマスク部材50を除去したりする。すなわち、実施形態では、マスク部材50を、アルカリ分解および酵素分解、または、アルカリ水溶液分解および加水分解によって除去する。
マスク部材50が除去されると、配線層12の上面の少なくとも一部が露出する。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、それぞれの封止樹脂層30を導電性シールド層40で覆いつつ、露出した配線層12の前記所定の面に導電性シールド層40を接触させる。例えば、それぞれの封止樹脂層30の上面および側面に、導電性シールド層40を形成する。導電性シールド層40の形成は、例えば、転写法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ジェットディスペンス法、インクジェット法、エアロゾル法、無電解めっき法、電解めっき法、または真空処理法等で行われる。
【0033】
溝30t内に埋設された導電性シールド層40は、マスク部材50が取り除かれた部分(空間)にも侵入する。すなわち、導電性シールド層40の内面からは、突起部40pが延出して、突起部40pは、マスク部材50が取り除かれた部分に侵入する。これにより、導電性シールド層40が配線層12の上面および側面に接触することになる。この後、外部接続端子17を形成する。
【0034】
次に、図4(c)に示すように、溝30t内に形成された導電性シールド層40および溝30tの下の基板10Aを、ダイシングにより分断する。すなわち、連続した回路基板10は個片化されて、半導体装置1が形成される。
【0035】
なお、導電性シールド層40は、必要に応じて耐食性や耐マイグレーション性に優れる保護膜で覆ってもよい。保護膜としては、ポリイミド樹脂等が用いられる。導電性シールド層40、保護膜については、必要に応じて、焼成または紫外線照射で硬化させる。
【0036】
半導体装置1によれば、導電性シールド層40が配線層12の側面だけでなく、配線層12の上面および側面に接触する。従って、導電性シールド層40と、グランド配線(すなわち、配線層12)との接触面積は、導電性シールド層40を配線層12の側面のみで接触させる形態に比べ著しく増加する。その結果、半導体素子20等からの不要電磁波は、導電性シールド層40によって効率よく遮蔽される。特に、配線層12の厚みが薄く、配線層12の上面の面積が側面の面積よりも著しく大きい場合は、導電性シールド層40が配線層12の上面に接触することで、配線層12と導電性シールド層40との接触面積が著しく増大する。
【0037】
また、半導体装置1によれば、導電性シールド層40が配線層12の上方において封止樹脂層30にくい込んでいる。従って、導電性シールド層40がくい込んだ部分においては、アンカー効果が生じる。アンカー効果によって、導電性シールド層40と配線層12とは機械的に強固に接続する。すなわち、半導体装置1においては、導電性シールド層40と配線層12との機械的な接続信頼性が向上する。
【0038】
また、半導体装置1によれば、導電性シールド層40を配線層12の上方において封止樹脂層30にくい込ませるだけで、導電性シールド層40と、グランド配線との接触面積を増加させている。従って、半導体装置1の面積増加が抑制される。
【0039】
このように、回路基板10を含む半導体装置1からは効率よく不要電磁波の漏洩が抑制される。これにより、半導体装置1の信頼性がより向上する。
【0040】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る半導体装置の模式図であり、(a)は、断面模式図、(b)は、平面模式図である。図5(a)には、図5(b)のX−X’断面が示されている。
【0041】
第2実施形態に係る半導体装置2の基本構成は、半導体装置1と同じである。但し、半導体装置2では、導電性シールド層40の突起部40pが配線層12の上面から封止樹脂層30の上面にかけて、ライン状に延在している。導電性シールド層40は、樹脂封止層30内においてライン状に延在し、回路基板10の端部側において露出する配線層12に接触している。換言すれば、配線層12の上面から封止樹脂層30の上面にかけて、導電性シールド層40がライン状に侵入している。
【0042】
図6および図7は、第2実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【0043】
半導体装置2の製造過程は、マスク部材50とは形状の異なるマスク部材51を用いるほかは、半導体装置1の製造過程と同じである。マスク部材51は、金属または樹脂を含むコア材と、コア材の表面にマスク部材50の材質の樹脂を形成した層と、を有する。あるいは、マスク部材51の全体の材質をマスク部材50と同じにしてもよい。
【0044】
まず、図6(a)に示すように、基板10Aを準備した後、回路基板10のそれぞれに半導体素子20を搭載する。続いて、複数の配線層15の少なくとも1つと、半導体素子20と、をワイヤ21を介して電気的に接続する。
【0045】
続いて、複数の配線層12の中のいずれかの配線層12の上面の少なくとも一部に、マスク部材51を形成する。マスク部材51は、複数の回路基板10のそれぞれにおいて設けられる。例えば、図5(b)に示す複数の配線層12のそれぞれの上にマスク部材51を設ける。マスク部材51は、配線層12の上面から後工程で形成される封止樹脂層30の上面にまで延びる棒材である。
【0046】
次に、図6(b)に示すように、複数の半導体素子20、ワイヤ21およびマスク部材51を封止樹脂層30によって封止する。すなわち、マスク部材51の高さと、封止樹脂層30と、の高さは略等しい。
【0047】
次に、図6(c)に示すように、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30を分割し、さらに、基板10Aの上面に切削溝が形成する程度に溝30tを形成する。溝30tは、いわゆるハーフカットダイシング加工により形成する。溝30tが形成されることにより、配線層12の側面およびマスク部材51の側面が封止樹脂層30から露出する。溝30tにおいては、封止樹脂層30、マスク部材51、および配線層12のそれぞれの側面が面一になっている。この後、封止樹脂層30を、必要に応じて硬化させる。
【0048】
次に、図7(a)に示すように、マスク部材51を除去する。
マスク部材51がコア材と、樹脂層と、を有する場合、樹脂層の材質がポリブチレンサクシネートラクテート樹脂の場合は、アルカリ水溶液とリパーゼ酵素液との混合液によるアルカリ分解と酵素分解とを併用して樹脂層を除去する。樹脂層の材質がポリ乳酸等樹脂の場合は、アルカリ水溶液分解並びに加水分解によって樹脂層を除去する。ポリ乳酸樹脂は、アルカリ水溶液で加水分解する性質を有する。ポリ乳酸樹脂は、酸性水溶液に対して耐性を示すが、アルカリ水溶液では簡単に除去される。さらに、残ったコア材を封止樹脂層30から取り除く。
【0049】
マスク部材51の全体の材質がマスク部材50と同じである場合は、マスク部材51を除去する方法は、マスク部材50を除去する方法と同じである。
マスク部材51が除去されると、配線層12の上面の少なくとも一部が露出する。
【0050】
次に、図7(b)に示すように、それぞれの封止樹脂層30の上面および側面に、導電性シールド層40を形成する。溝30t内に埋設された導電性シールド層40は、マスク部材51が取り除かれた部分にも侵入する。すなわち、導電性シールド層40の内面からは、突起部40pが延出して、突起部40pは、マスク部材51が取り除かれた部分に侵入する。これにより、導電性シールド層40が配線層12の上面および側面に接触することになる。この後、外部接続端子17を形成する。
【0051】
次に、図7(c)に示すように、溝30t内に形成された導電性シールド層40および溝30tの下の基板10Aを、ダイシングにより分断する。すなわち、連続した回路基板10は個片化されて、半導体装置2が形成される。
【0052】
半導体装置2によれば、導電性シールド層40が配線層12の側面だけでなく、配線層12の上面および側面に接触する。従って、導電性シールド層40と、グランド配線(すなわち、配線層12)との接触面積は、導電性シールド層40を配線層12の側面のみで接触させる形態に比べ著しく増加する。その結果、半導体素子20等からの不要電磁波は、導電性シールド層40によって効率よく遮蔽される。また、半導体装置2では、ライン状の突起部40pを設けることにより、導電性シールド層40の側面の一部の厚さがより厚くなる。従って、半導体装置2では、半導体装置1に比べ、さらに効率よく半導体素子20等からの不要電磁波が導電性シールド層40によって遮蔽される。
【0053】
また、半導体装置2によれば、導電性シールド層40が配線層12の上方において封止樹脂層30にくい込んでいる。従って、導電性シールド層40がくい込んだ部分においては、アンカー効果が生じる。アンカー効果によって、導電性シールド層40と配線層12とは機械的に強固に接続する。すなわち、半導体装置2においては、導電性シールド層40と配線層12との機械的な接続信頼性が向上する。
【0054】
また、半導体装置2によれば、導電性シールド層40を配線層12の上方において封止樹脂層30にくい込ませるだけで、導電性シールド層40と、グランド配線との接触面積を増加させている。従って、半導体装置2の面積増加が抑制される。
【0055】
このように、回路基板10を含む半導体装置2からは効率よく不要電磁波の漏洩が抑制される。これにより、半導体装置2の信頼性がより向上する。
【0056】
(第3実施形態)
上述したマスク部材50、51に関しては、それぞれ単独で用いる製造過程のほか、マスク部材50とマスク部材51とを併用する半導体装置の製造方法も実施形態に含まれる。
【0057】
図8は、第3実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための斜視模式図である。
【0058】
図8(a)には、マスク部材50、51を配線層12上に配置した後の状態が示され、図8(b)には、ハーフカットダイシング加工後の封止樹脂層30および回路基板10の状態が例示されている。
【0059】
図8(a)に示すように、回路基板10の配線層12上に、マスク部材50とマスク部材51とを交互に配置してもよい。この状態で、封止樹脂層30を形成した後、ハーフカットダイシング加工を行うと、図8(b)に示すように、配線層12の側面およびマスク部材50、51の側面が封止樹脂層30から露出する。この後、マスク部材50、51を取り除き、第1および第2実施形態のごとく導電性シールド層40を形成する。このような製造過程も、本発明の実施形態に含まれる。
【0060】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係る半導体装置の模式図であり、(a)は、断面模式図、(b)は、平面模式図である。図9(a)には、図9(b)のX−X’断面が示されている。
【0061】
第4実施形態に係る半導体装置3の回路基板10は、絶縁基材11と、複数の配線層12と、複数の配線層15と、複数の配線層13と、を有する。回路基板10は、さらに絶縁基材11の上面から下面にまで貫通する複数のビア14を有する。
【0062】
第4実施形態においては、回路基板10の側面10wにおいて、ビア14が露出している。回路基板10の端部側において露出するビア接続部は、グランド電位となるように構成されている。すなわち、回路基板10の側面10wにおいて露出したビア14の電位については、グランド電位にすることができる。
【0063】
封止樹脂層30の上面および側面は、導電性シールド層40によって覆われている。導電性シールド層40は、ビア14の上方において封止樹脂層30の側面から半導体素子20の側に向かって封止樹脂層30内に侵入している。さらに、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて露出したビア14に接触している。例えば、導電性シールド層40の内面からは突起部40pが延出している。導電性シールド層40は、半導体素子20の側に向かい封止樹脂層30内に延在するようにして、回路基板10の端部側において露出するビア接続部に電気的に接続されている。突起部40pが封止樹脂層30の側面に侵入することにより、導電性シールド層40が回路基板10の側面10wにおいて露出したビア14の上面および側面に接触することになる。
【0064】
回路基板10の側面10wにおいて露出したビア14の電位がグランド電位になると、グランド電位にあるビア14を通じて導電性シールド層40の電位をグランド電位にすることができる。グランド電位にあるビア14と導電性シールド層40との接点は、半導体装置3の各辺において複数設けられている(図9(b)参照)。グランド電位にあるビア14と導電性シールド層40との接点間の距離は、半導体素子20等から放出される不要電磁波の波長の半分以下に調整されている。
【0065】
回路基板10の側面10wにおいて露出したビア14の露出面は、例えば、ハーフカットダイシングによって形成される。ビア14が回路基板10の厚さ方向において切断された切断面を回路基板10の側面10wにおいて露出させる。
【0066】
ビア14の切断面は必ずしもビア14の中心である必要はなく、切断面にビア14の一部が含まれている。ビア14と、導電性シールド層40と、の接触面積を増加させるには、ビア14の切断面はビア14の中心に近いほうが望ましい。
【0067】
図10および図11は、第4実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【0068】
まず、図10(a)に示すように、基板10Aを準備した後、回路基板10のそれぞれに半導体素子20を搭載する。続いて、複数の配線層15の少なくとも1つと、半導体素子20と、をワイヤ21を介して電気的に接続する。すなわち、絶縁基材11と、絶縁基材11の第1の主面側に設けられた複数の配線層12と、絶縁基材11の第2の主面側に設けられた複数の配線層13と、絶縁基材11の第1の主面から第2の主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板10が、回路基板10の主面に対して略平行な方向に複数連続して設けられた基板10Aが準備される。さらに、複数の回路基板10のそれぞれにおいて、第1の主面側に半導体素子20が搭載される。
【0069】
続いて、複数の回路基板10のそれぞれにおいて、複数のビア接続部のいずれかの所定の面に、マスク部材50を形成する。例えば、複数のビア14の中のいずれかのビア14の上面の少なくとも一部に、マスク部材50を形成する。マスク部材50は、複数の回路基板10のそれぞれにおいて設けられる。
【0070】
次に、図10(b)に示すように、複数の半導体素子20、ワイヤ21、配線層12、およびマスク部材50を封止樹脂層30によって封止する。
【0071】
次に、図10(c)に示すように、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30を分割し、封止樹脂層30からマスク部材50を露出させるとともに、隣接する回路基板10のそれぞれの間の基板10Aに溝を形成し、基板10Aからビア接続部を露出させる。例えば、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30を分割し、さらに、基板10Aの上面に切削溝が形成する程度に溝30tを形成する。溝30tは、いわゆるハーフカットダイシング加工により形成する。溝30tが形成されることにより、マスク部材50の側面が封止樹脂層30から露出するとともに、ビア14の側面が基板10Aから露出する。溝30tの内部においては、封止樹脂層30、マスク部材50、およびビア14のそれぞれの側面が面一になっている。この後、封止樹脂層30を、必要に応じて硬化させる。
【0072】
次に、図11(a)に示すように、マスク部材50を除去する。これにより、マスク部材50が形成されたビア接続部の前記所定の面が露出する。
マスク部材50が除去されると、ビア14の上面の少なくとも一部が露出する。
【0073】
次に、図11(b)に示すように、それぞれの封止樹脂層30を導電性シールド層40で覆いつつ、露出したビア接続部の前記所定の面に導電性シールド層40を接触させる。例えば、それぞれの封止樹脂層30の上面および側面に、導電性シールド層40を形成する。溝30t内に埋設された導電性シールド層40は、マスク部材50が取り除かれた部分にも侵入する。すなわち、導電性シールド層40の内面からは、突起部40pが延出して、突起部40pは、マスク部材50が取り除かれた部分に侵入する。これにより、導電性シールド層40がビア14の上面および側面に接触することになる。この後、外部接続端子17を形成する。
【0074】
次に、図11(c)に示すように、溝30t内に形成された導電性シールド層40および溝30tの下の基板10Aを、ダイシングにより分断する。すなわち、連続した回路基板10は個片化されて、半導体装置3が形成される。
【0075】
半導体装置3においても、半導体装置1と同様の効果を得る。但し、導電性シールド層40は、ビア14の側面に接するので、半導体装置1に比べ、さらに導電性シールド層40と、グランド配線(すなわち、ビア14)との接触面積が増加する。その結果、半導体素子20等からの不要電磁波は、導電性シールド層40によってより効率よく遮蔽される。 また、半導体装置3の製造過程では、マスク部材50に代えてマスク部材51を用いてもよい。これにより、導電性シールド層40は、樹脂封止層30内においてライン状に延在し、回路基板10の端部側において露出するビア接続部に接触する。
【0076】
(第5実施形態)
次に、実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例について説明する。
図12および図13は、第5実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【0077】
まず、図12(a)に示すように、回路基板10が回路基板10の主面に対して平行な方向に複数連続して設けられた基板10Aを準備する。続いて、複数の回路基板10のそれぞれに半導体素子20を搭載する。そして、複数の配線層15の少なくとも1つと、半導体素子20と、をワイヤ21を介して電気的に接続する。この段階では、回路基板10は、切断前の状態にあり、基板10A上には、複数の半導体素子20が搭載される。
【0078】
続いて、複数の配線層12の中のいずれかの配線層12の上面の少なくとも一部に、マスク部材50を形成する。マスク部材50は、複数の回路基板10のそれぞれにおいて設けられる。例えば、複数の配線層12のそれぞれの上にマスク部材50を設ける。これにより、それぞれの配線層12の上面の少なくとも一部がマスク部材50によって被覆される。
【0079】
次に、図12(b)に示すように、複数の半導体素子20、配線層12およびワイヤ21等を封止樹脂層30によって封止する。これにより、基板10Aの上面側に封止樹脂層30が形成される。続いて、基板10Aの下面側を下地に接触させる。下地は、ダイシングシート(ダイシングテープ)200を含む。ダイシングシート200の表面には、必要に応じて粘着層を設けてもよい。
【0080】
次に、図12(c)に示すように、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30および基板10Aを分割し、さらに、ダイシングシート200の上面に溝200tを形成する。すなわち、封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれを個片化するとともに、個片化された回路基板10のそれぞれの間のダイシングシート200に、溝200tを形成する。
【0081】
なお、個片化された回路基板10のそれぞれの間の距離は、例えば、250μmである。封止樹脂層30の厚みは、例えば、600μmである。回路基板10の厚みは、例えば、100μmである。
【0082】
封止樹脂層30および回路基板10の個片化、溝200tの形成は、ダイシングブレード(図示しない)を用いたダイシング加工により形成する。個片化により、配線層12のいずれかが回路基板10の側面10wにおいて露出する。また、個片化により、封止樹脂層30および配線層12のそれぞれの側面が面一になる。この後、封止樹脂層30を、必要に応じて硬化させる。
【0083】
次に、図13(a)に示すように、マスク部材50を除去する。
次に、図13(b)に示すように、それぞれの封止樹脂層30の上面を、導電性シールド層40により被覆するとともに、それぞれの封止樹脂層30の側面、およびそれぞれの回路基板10の側面の少なくとも一部を導電性シールド層40により被覆する。図13(a)には、スキージ板300を用いたスクリーン印刷法が例示されている。スクリーン印刷法は、大気圧下で実施してもよく、減圧下で実施してもよい。
【0084】
溝30t内に埋設された導電性シールド層40は、マスク部材50が取り除かれた部分(空間)にも侵入する。すなわち、導電性シールド層40の内面からは、突起部40pが延出して、突起部40pは、マスク部材50が取り除かれた部分に侵入する。これにより、導電性シールド層40が配線層12の上面および側面に接触することになる。
【0085】
さらに、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間においては、導電性シールド層40を封止樹脂層30から溝200tに向かう方向に侵入させる。この際、ダイシングシート200には、溝200tが設けられているので、溝200tが空気の逃げ道として機能する。これにより、導電性シールド層40は、個片化された回路基板10のそれぞれの間に円滑に侵入する。
【0086】
すなわち、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間の空気は、上から来る導電性シールド層40によって下方に押し出され、溝200tと導電性シールド層40とによって取り囲まれた空間200sに収められる。そして、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて露出した配線層12に確実に接触する。これにより、導電性シールド層40と配線層12とが電気的に接続される。
【0087】
仮に、溝200tが形成されていない場合は、次のような不具合をもたらす。例えば、個片化された回路基板10のそれぞれの間においては、導電性シールド層40が封止樹脂層30から回路基板10に向かう方向に侵入させる際には、個片化された回路基板10のそれぞれの間に存在する空気の逃げ道がない。従って、個片化された回路基板10のそれぞれの間の空気は、上から来る導電性シールド層40によって下方に充分に押し出すことができずに、封止樹脂層30の側面近傍や回路基板10の側面10w近傍で、ボイドとなって残存する場合がある。
【0088】
特に、導電性シールド層40と配線層12との間にボイドが形成された場合は、配線層12と導電性シールド層40とが充分に接触しない場合がある。つまり、導電性シールド層40と配線層12とが電気的に接続されない可能性がある。その結果、導電性シールド層40を設けても、不要電磁波を充分に遮蔽できなくなる可能性がある。
【0089】
これに対し、実施形態では、空気を配線層12の下方の溝200tに収めるので、封止樹脂層30の側面近傍や回路基板10の側面10w近傍にボイドが形成しない。これにより、配線層12と導電性シールド層40とが確実に接触する。
【0090】
このように、実施形態では、封止樹脂層30の側面および回路基板10の側面の少なくとも一部を導電性シールド層40により被覆する際には、互いに隣接する封止樹脂層30の間に形成された隙間30sの上から下に導電性シールド層40を侵入させる。さらに、導電性シールド層40が配線層12に接するまで導電性シールド層40を溝200tに向かって侵入させる。
【0091】
次に、ダイシングシート200を取り除き、回路基板10の下面側に外部接続端子17を形成した後、図13(c)に示すように、導電性シールド層40をダイシングにより分断する。すなわち、連続した導電性シールド層40は個片化されて、半導体装置1が形成される。
【0092】
このような製造方法によれば、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて配線層12に確実に接触する。これにより、半導体装置1においては、不要電磁波の漏洩が効率よく抑制される。従って、半導体装置1の信頼性がより向上する。
【0093】
なお、第5実施形態では、第1実施形態で例示した回路基板10を例に説明したが、第4実施形態で例示した回路基板10を用いてもよい。
【0094】
(第6実施形態)
図14および図15は、第6実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【0095】
まず、図14(a)に示す状態は、図12(a)に示す状態と同じである。
次に、図14(b)に示すように、複数の半導体素子20、配線層12およびワイヤ21等を封止樹脂層30によって封止する。これにより、基板10Aの上面側に封止樹脂層30が形成される。続いて、基板10Aの下面側を下地に接触させる。下地は、ダイシングシート200と、ダイシングシート200の上に設けられたシート部材201と、を含む。シート部材201は、例えば、樹脂製の板部材である。シート部材201の主面には、必要に応じて粘着層を設けてもよい。
【0096】
次に、図14(c)に示すように、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30および基板10Aを分割し、さらに、シート部材201の上面に溝201tを形成する。すなわち、封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれを個片化するとともに、個片化された回路基板10のそれぞれの間のシート部材201に溝201tを形成する。
【0097】
封止樹脂層30および回路基板10の個片化、溝201tの形成は、ダイシング加工により形成する。個片化により、配線層12のいずれかが回路基板10の側面10wにおいて露出する。また、個片化により、封止樹脂層30および配線層12のそれぞれの側面が面一になっている。この後、封止樹脂層30を、必要に応じて硬化させる。
【0098】
次に、図15(a)に示すように、マスク部材50を除去する。
次に、図15(b)に示すように、それぞれの封止樹脂層30の上面を、導電性シールド層40により被覆するとともに、それぞれの封止樹脂層30の側面、およびそれぞれの回路基板10の側面の少なくとも一部を導電性シールド層40により被覆する。図15(a)には、スキージ板300を用いたスクリーン印刷法が例示されている。スクリーン印刷法は、大気圧下で実施してもよく、減圧下で実施してもよい。
【0099】
溝30t内に埋設された導電性シールド層40は、マスク部材50が取り除かれた部分(空間)にも侵入する。すなわち、導電性シールド層40の内面からは、突起部40pが延出して、突起部40pは、マスク部材50が取り除かれた部分に侵入する。これにより、導電性シールド層40が配線層12の上面および側面に接触することになる。
【0100】
さらに、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間においては、導電性シールド層40を封止樹脂層30から溝201tに向かう方向に侵入させる。この際、シート部材201には、溝201tが設けられているので。溝201tが空気の逃げ道として機能する。これにより、導電性シールド層40は、個片化された回路基板10のそれぞれの間に円滑に侵入する。
【0101】
すなわち、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間の空気は、上から来る導電性シールド層40によって下方に押し出され、溝201tと導電性シールド層40とによって取り囲まれた空間201sに収められる。そして、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて露出した配線層12に確実に接触する。これにより、導電性シールド層40と配線層12とが電気的に接続される。
【0102】
次に、ダイシングシート200およびシート部材201を取り除き、回路基板10の下面側に外部接続端子17を形成した後、図15(c)に示すように、導電性シールド層40をダイシングにより分断する。すなわち、連続した導電性シールド層40は、個片化されて、半導体装置1が形成される。
【0103】
このような製造方法によれば、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて配線層12に確実に接触する。これにより、半導体装置1においては、不要電磁波の漏洩が効率よく抑制される。従って、半導体装置1の信頼性がより向上する。
【0104】
なお、第6実施形態では、第1実施形態で例示した回路基板10を例に説明したが、第4実施形態で例示した回路基板10を用いてもよい。
【0105】
(第7実施形態)
図16は、第7実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の表面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【0106】
図16(a)には、個片化された封止樹脂層30(または、回路基板10)の位置が併せて表示されている。
【0107】
第7実施形態においては、封止樹脂層30および回路基板10をダイシングにより個片化する過程で、ダイシングシート200と、シート部材202と、を含む下地を用いる。シート部材202は、ダイシングシート200の上に設けられている。
【0108】
シート部材202は、例えば、樹脂製の板状体である。シート部材202の上面と下面には、必要に応じて粘着層を設けてもよい。
【0109】
さらに、シート部材202は、シート基材202bと、シート基材202bの上に設けられた層202aと、を有する。層202aには、空気の逃げ道となる溝が複数設けられている。例えば、隣接する封止樹脂層30の間に形成された隙間30sが延在する方向に対して略平行に延びる溝202xと、隙間30sが延びる方向に対して略垂直に延びる202yと、がシート部材202に設けられている。
【0110】
図17は、第7実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
このようなシート部材202を含む下地をダイシング工程で用いれば、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間において、上から下に導電性シールド層40を侵入させても、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間に存在する空気は、層202a中の溝202x、202yを通じて効率よく排気される(図17(b)の矢印参照)。これにより、導電性シールド層40が個片化された回路基板10のそれぞれの間に円滑に侵入する。
【0111】
すなわち、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間の空気は、上から来る導電性シールド層40によって下方に押し出され、さらに層202aの溝202x、202yに排気される。そして、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて露出した配線層12に確実に接触する。これにより、導電性シールド層40と配線層12とが電気的に接続される。このような製造過程も、実施形態に含まれる。
【0112】
また、ダイシングシート200の上に設けるシート部材には、上述した形態に限らず、ドット状の凸部を周期的に設けてもよい。
【0113】
図18は、第7実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の別の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の表面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【0114】
図18(a)には、個片化された封止樹脂層30(または、回路基板10)の位置が併せて表示されている。
【0115】
実施形態においては、封止樹脂層30および回路基板10をダイシングにより個片化する過程で、ダイシングシート200と、シート部材203と、を含む下地を用いることができる。シート部材203は、ダイシングシート200の上に設けられている。
【0116】
シート部材203は、例えば、樹脂製の板状体である。シート部材203の上面と下面には、必要に応じて粘着層を設けてもよい。
【0117】
シート部材203は、シート基材203bと、シート基材203bの上に設けられた層202aと、を有する。層203aには、ドット状に凸部203dが周期的に設けられている。
【0118】
このようなシート部材203を用いれば、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間において、上から下に導電性シールド層40を侵入させても、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間に存在する空気は、凸部203dの間の隙間を通じて効率よく排気することができる。このような下地も、実施形態に含まれる。
【0119】
なお、層202a、203aについては、溝202x、202yや凸部203dを設けず、多孔質体としてもよい。
【0120】
(第8実施形態)
図19は、第8実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の下面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【0121】
図19(a)には、個片化された封止樹脂層30(または、回路基板10)の位置が併せて表示されている。
【0122】
第8実施形態においては、封止樹脂層30および回路基板10をダイシングにより個片化する過程で、ダイシングシート200と、シート部材204と、を含む下地を用いる。シート部材204は、ダイシングシート200の上に設けられている。
【0123】
シート部材204は、例えば、樹脂製の板状体である。シート部材204の上面と下面主面には、必要に応じて粘着層を設けてもよい。
【0124】
さらに、シート部材204は、シート基材204aと、シート基材204aの下に設けられた層204bと、を有する。層204bには、空気の逃げ道となる溝が複数設けられている。例えば、隣接する封止樹脂層30の間に形成された隙間30sが延在する方向に対して略平行に延びる溝204xと、隙間30sが延びる方向に対して略垂直に延びる204yと、がシート部材204に設けられている。
【0125】
図20は、第8実施形態に係る半導体装置の製造過程を説明するための断面模式図である。
【0126】
このようなシート部材204を含む下地をダイシング工程で用いる場合には、図20(a)に示すように、シート基材204aにダイシングブレード(図示しない)で溝204tを形成する。溝204tを形成することにより、層204bの表面を露出させる。層204bの表面が露出されると、ダイシングブレードで形成した溝204tと、層204b中の溝204x、204yとが連通する。
【0127】
すなわち、隙間30sから溝204tへ、さらに層204b中の溝204x、204yへ通じる通路が形成する。これにより、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間において、上から下に導電性シールド層40を侵入させても、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間に存在する空気は、層204b中の溝204x、204yを通じて効率よく排気される(図20(b)の矢印参照)。これにより、導電性シールド層40が個片化された回路基板10のそれぞれの間に円滑に侵入する。
【0128】
すなわち、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間の空気は、上から来る導電性シールド層40によって下方に押し出され、さらに層204bの溝204x、204yに排気される。そして、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて露出した配線層12に確実に接触する。これにより、導電性シールド層40と配線層12とが電気的に接続される。
【0129】
また、ダイシングシート200の上に設けるシート部材は、上述した形態に限らず、ドット状の凸部を周期的に設けてもよい。
【0130】
図21は、第8実施形態に係る半導体装置の製造過程で用いられる半導体装置の別の下地を説明するための模式図であり、(a)は、下地の下面模式図、(b)は、(a)のX−X’位置の断面模式図であり、(c)は、(a)のY−Y’位置の断面模式図である。
【0131】
図21(a)には、個片化された封止樹脂層30(または、回路基板10)の位置が併せて表示されている。
【0132】
第8実施形態においては、封止樹脂層30および回路基板10をダイシングにより個片化する過程で、ダイシングシート200と、シート部材205と、を含む下地を用いることができる。シート部材205は、ダイシングシート200の上に設けられている。
【0133】
シート部材205は、例えば、樹脂製の板状体である。シート部材205の上面と下面には、必要に応じて粘着層を設けてもよい。
【0134】
さらに、シート部材205は、シート基材205aと、シート基材205aの下に設けられた層205bと、を有する。層205bには、ドット状に凸部205dが周期的に設けられている。
【0135】
このようなシート部材205を用いても、上述した溝204tを形成して、層205bの表面を露出させれば、溝204tと、層205b中の凸部205d間の隙間とが連通する。従って、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間において、上から下に導電性シールド層40を侵入させても、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間に存在する空気は、凸部203dの間の隙間を通じて効率よく排気することができる。このような下地も実施形態に含まれる。
【0136】
このようなシート部材205を用いれば、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間において、上から下に導電性シールド層40を侵入させても、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間に存在する空気は、層205bに効率よく排気される(図21(b)参照)。これにより、導電性シールド層40が個片化された回路基板10のそれぞれの間に円滑に侵入する。
【0137】
すなわち、個片化された封止樹脂層30および回路基板10のそれぞれの間の空気は、上から来る導電性シールド層40によって下方に押し出され、さらに層205bに排気される。そして、導電性シールド層40は、回路基板10の側面10wにおいて露出した配線層12に確実に接触する。これにより、導電性シールド層40と配線層12とが電気的に接続される。このような製造過程も実施形態に含まれる。
【0138】
なお、層204b、205bについては、溝204x、204yや凸部205dを設けず、多孔質体としてもよい。
【0139】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、実施形態はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、実施形態の特徴を備えている限り、実施形態の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0140】
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも実施形態の特徴を含む限り実施形態の範囲に包含される。その他、実施形態の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても実施形態の範囲に属するものと了解される。
【0141】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0142】
1、2、3 半導体装置
10 回路基板
10A 基板
10w 側面
11 絶縁基材
12 配線層(第1配線層)
13 配線層(第2配線層)
14 ビア(ビア接続部)
15 配線層
16 ソルダレジスト層
17 外部接続端子
20 半導体素子
21 ワイヤ
22 ダイボンディング材
30 封止樹脂層
30s 隙間
30t 溝
40 導電性シールド層
40p 突起部
50、51 マスク部材
100 破線
200 ダイシングシート
200s 空間
200t 溝
201、202、203、204、205 シート部材
201s 空間
201t、204t、202x、202y、204x、204y 溝
202a、203a、204b、205b 層
202b、203b、204a、205a シート基材
203d、205d 凸部
300 スキージ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1の主面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板と、
前記回路基板において、前記絶縁基材の前記第1の主面側に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止樹脂層と、
前記封止樹脂層を覆う導電性シールド層と、
を備え、
前記複数の第1配線層のいずれかは、前記回路基板の端部側において露出し、
前記導電性シールド層は、前記半導体素子の側に向かい前記封止樹脂層内に延在するようにして、前記回路基板の前記端部側において露出する前記第1配線層に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記導電性シールド層は、前記樹脂封止層内においてライン状に延在し、前記回路基板の前記端部側において露出する前記第1配線層に接触していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記回路基板の前記端部側において露出する前記第1配線層は、グランド電位となるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1主面から前記第2主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板と、
前記回路基板において、前記絶縁基材の前記第1の主面側に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止樹脂層と、
前記封止樹脂層を覆う導電性シールド層と、
を備え、
前記複数のビア接続部のいずれかは、前記回路基板の端部側において露出し、
前記導電性シールド層は、前記半導体素子の側に向かい前記封止樹脂層内に延在するようにして、前記回路基板の前記端部側において露出する前記ビア接続部に電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記導電性シールド層は、前記樹脂封止層内においてライン状に延在し、前記回路基板の前記端部側において露出する前記ビア接続部に接触していることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記回路基板の前記端部側において露出する前記ビア接続部は、グランド電位となるように構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1の主面から前記第2の主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板が、前記回路基板の主面に対して略平行な方向に複数連続して設けられた基板を準備する工程と、
前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記第1の主面側に半導体素子を搭載する工程と、
前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記複数の第1配線層のいずれかの所定の面に、マスク部材を形成する工程と、
前記半導体素子および前記複数の第1配線層を封止樹脂層で封止する工程と、
前記隣接する前記回路基板のそれぞれの間の前記封止樹脂層を分割し、前記封止樹脂層から前記マスク部材を露出させるとともに、前記隣接する前記回路基板のそれぞれの間の前記基板に溝を形成し、前記基板から前記第1配線層を露出させる工程と、
前記マスク部材を除去し、前記マスク部材が形成された前記第1配線層の前記所定の面を露出させる工程と、
それぞれの前記封止樹脂層を導電性シールド層で覆いつつ、前記露出した前記第1配線層の前記所定の面に前記導電性シールド層を接触させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面側に設けられた複数の第1配線層と、前記絶縁基材の第2の主面側に設けられた複数の第2配線層と、前記絶縁基材の前記第1の主面から前記第2の主面にまで貫通する複数のビア接続部と、を有する回路基板が、前記回路基板の主面に対して略平行な方向に複数連続して設けられた基板を準備する工程と、
前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記第1の主面側に半導体素子を搭載する工程と、
前記複数の回路基板のそれぞれにおいて、前記複数のビア接続部のいずれかの所定の面に、マスク部材を形成する工程と、
前記半導体素子および前記複数の第1配線層を封止樹脂層で封止する工程と、
前記隣接する回路基板のそれぞれの間の前記封止樹脂層を分割し、前記封止樹脂層から前記マスク部材を露出させるとともに、前記隣接する前記回路基板のそれぞれの間の前記基板に溝を形成し、前記基板から前記ビア接続部を露出させる工程と、
前記マスク部材を除去し、前記マスク部材が形成された前記ビア接続部の前記所定の面を露出させる工程と、
それぞれの前記封止樹脂層を導電性シールド層で覆いつつ、前記露出した前記ビア接続部の前記所定の面に前記導電性シールド層を接触させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記マスク部材は、生分解性樹脂、水溶性樹脂、加水分解性樹脂、酵素分解性樹脂、有機酸溶解性樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記マスク部材を、アルカリ分解および酵素分解、または、アルカリ水溶液分解および加水分解によって除去することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−160579(P2012−160579A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19282(P2011−19282)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】