説明

半導体装置の製造方法及びプローブ装置

【課題】簡易な構成のプローブ装置により、検査効率を低下させることなく、プローブ針の位置補正を行う。
【解決手段】プローブ装置100は、検査対象品(例えば、半導体装置としてのチップ80)に接触されるプローブ針2と、プローブ針2を保持しているプローブユニット10を有する。プローブ装置100は、更に、プローブユニット10と検査対象品とを互いに近づく方向に相対移動させることによりプローブ針2を検査対象品に接触させる移動機構と、プローブユニット10を相対移動の方向に対して交差する面内で移動可能な状態で保持している保持部20を有する。プローブ装置100は、更に、プローブユニット10に固定されている位置決め部材30であって、プローブユニット10と検査対象品とが相対移動する際に、検査対象品の外周部によりガイドされて上記面内で位置補正される位置決め部材30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及びプローブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブ装置を用いて、検査対象品の検査を行う技術がある(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1には、プローブを保持するプローブ保持部と、プローブ保持部を弾性変形させることによって、回路基板の各電極(導体パターン)のピッチに適合するように、プローブの配列ピッチを変更する圧電アクチュエータと、を備えるプローブ装置について記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、プローブの位置を調整するアクチュエータを設けることによって、表示パネルの電極のピッチが異なっても対応可能な表示パネル用プローブ装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−350461号公報
【特許文献2】特開平11−65475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、半導体ウェハ(以下、ウェハ)のダイシングは、例えば、ウェハが貼り付けられたダイシングテープ(ダイシングシート)をウェハリングによって保持した状態で、ウェハを縦横に切断することによって行う。このダイシングにより、半導体ウェハを個々の半導体チップ(以下、チップ)へと個片化することができる。
【0007】
本願発明者は、以下のことを認識した。
ウェハリングにより保持されたダイシングテープ上に貼り付けられたウェハをダイシングすると、ダイシングテープの張力の影響や、ダイシングブレードからウェハ或いはチップに作用する力の影響により、チップのピッチがばらつく場合がある。そして、その後にプローブ装置を用いてチップの検査を行う際には、このばらつきに起因して、プローブ針をチップの電極に接触させることができない場合がある。
【0008】
なお、特許文献1、2の技術では、プローブの位置を補正するためのアクチュエータが必要であるとともに、そのアクチュエータの制御機構が必要になるため、プローブ装置の構成が大がかりとなり、そのコストが増大する。また、検査対象品毎に、電極の位置を認識する必要があるため、検査効率が悪い。
【0009】
このように、簡易な構成のプローブ装置により、検査効率を低下させることなく、プローブ針の位置補正を行うことは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、半導体装置の電極に接触されるプローブ針と、
前記プローブ針を保持しているプローブユニットと、
前記プローブユニットと前記半導体装置とを互いに近づく方向に相対移動させることにより前記プローブ針を前記電極に接触させる移動機構と、
前記プローブユニットを前記相対移動の方向に対して交差する面内で移動可能な状態で保持している保持部と、
前記プローブユニットに固定されている位置決め部材であって、前記プローブユニットと前記半導体装置とが前記相対移動する際に、前記半導体装置の外周部によりガイドされて前記面内で位置補正される位置決め部材と、
を有するプローブ装置を準備する工程と、
前記プローブユニットと前記半導体装置とを前記相対移動させて前記プローブ針を前記電極に接触させるとともに、前記位置決め部材及び前記プローブユニットを前記面内で位置補正する工程と、
前記プローブ針から前記電極に信号を入力し、前記半導体装置を検査する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0011】
この製造方法によれば、プローブ装置は、プローブユニットと半導体装置とが互いに近づく方向に相対移動させられる際に、半導体装置の外周部によりガイドされて、その相対移動の方向に対して交差する面内で位置補正される位置決め部材を有し、且つ、この位置決め部材はプローブユニットに固定されている。よって、プローブユニットと半導体装置とを相対移動させてプローブ針を半導体装置の電極に接触させる際に、位置決め部材及びプローブユニットを当該面内で位置補正することができる。
これにより、半導体装置の位置がずれている場合と、ずれていない場合とで、半導体装置とプローブ針との位置関係を同等にすることができる。よって、常に、半導体装置の所望の電極にプローブ針を接触させることが可能となる。
【0012】
また、この製造方法に用いられるプローブ装置は、一般的なプローブ装置のプローブユニットを、プローブユニットと半導体装置との相対移動の方向に対して交差する面内において保持部に対し移動可能なように、保持部に保持させ、且つ、プローブユニットに位置決め部材を設けるだけで、容易に実現できる。このため、プローブ装置の構成は簡易な構成でよい。しかも、半導体装置の位置の認識を個々の半導体装置毎に行う必要がないため、そのための機構も必要がなく、その認識のステップも不要である。
よって、簡易な構成のプローブ装置により、検査効率を低下させることなく、プローブ針の位置補正を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、検査対象品に接触されるプローブ針と、
前記プローブ針を保持しているプローブユニットと、
前記プローブユニットと前記検査対象品とを互いに近づく方向に相対移動させることにより前記プローブ針を前記検査対象品に接触させる移動機構と、
前記プローブユニットを前記相対移動の方向に対して交差する面内で移動可能な状態で保持している保持部と、
前記プローブユニットに固定されている位置決め部材であって、前記プローブユニットと前記検査対象品とが前記相対移動する際に、前記検査対象品の外周部によりガイドされて前記面内で位置補正される位置決め部材と、
を有することを特徴とするプローブ装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成のプローブ装置により、検査効率を低下させることなく、プローブ針の位置補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るプローブ装置の平面図である。
【図2】第1の実施形態に係るプローブ装置の正面図である。
【図3】プローブ装置のスライド機構を示す図である。
【図4】プローブ装置の位置決め部材を示す図である。
【図5】位置決め部材とプローブ針との位置関係を示す下面図である。
【図6】位置決め部材の動作を示す図である。
【図7】プローブ装置のブロック図である。
【図8】チップ間のピッチのずれを説明するための図である。
【図9】チップ間のピッチの分布を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るプローブ装置を示す図である。
【図11】第3の実施形態に係るプローブ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0017】
〔第1の実施形態〕
図1及び2は第1の実施形態に係るプローブ装置100を示す図であり、このうち図1は平面図、図2は図1の矢印A方向から見た正面図である。図3はプローブ装置100のスライド機構40を示す図であり、このうち図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のD−D線に沿った断面図である。図4はプローブ装置100の位置決め部材30を示す図であり、このうち図4(a)は正面図、図4(b)は下面図である。図5は位置決め部材30とプローブ針2との位置関係を示す下面図である。図6は位置決め部材30の動作を示す図である。図6においては、位置決め部材30が下降する前の状態を一点鎖線で示し、位置決め部材30が下降した後の状態を実線で示している。図7はプローブ装置100のブロック図である。図8はチップ80間のピッチのずれを説明するための図であり、このうち図8(a)はウェハをダイシングテープ3に貼り付けてダイシングすることにより個片化されたチップ80を示す平面図であり、図8(b)は続けて検査される2枚のチップ80間のピッチが設計値からずれている状態を示す平面図である。
【0018】
本実施形態に係るプローブ装置100は、検査対象品(例えば、半導体装置としてのチップ80)に接触されるプローブ針2と、プローブ針2を保持しているプローブユニット10と、プローブユニット10と検査対象品とを互いに近づく方向に相対移動させることによりプローブ針2を検査対象品に接触させる移動機構(例えば、昇降機構50(図7))と、プローブユニット10をその相対移動の方向に対して交差する面内(例えば、水平面内)で移動可能な状態で保持している保持部20と、プローブユニット10に固定されている位置決め部材30であって、プローブユニット10と検査対象品とが相対移動する際に、検査対象品の外周部によりガイドされて上記面内で位置補正される位置決め部材30と、を有する。以下、詳細に説明する。
【0019】
プローブ装置100は、例えば、プローブカードと呼ばれるものである。
図1及び図2に示すように、プローブ装置100は、それぞれチップ80の電極83に接触させられる複数のプローブ針2を有している。これらプローブ針2は、例えば、プローブユニット10から斜め下方に突出するように、該プローブユニット10に固定されている。各プローブ針2の先端は、チップ80の各電極83の位置と対応する位置に配置されている。
【0020】
プローブ針2は、保持部20に固定されたコネクタ6に接続されている。プローブ針2は、コネクタ6を介して、テスタ(図示略)或いは計測器(図示略)に接続される。
【0021】
プローブ針2をチップ80の電極83に接触させた状態で、テスタ或いは計測器から、コネクタ6及びプローブ針2を介してチップ80の一部の電極83に信号を入力し、当該チップ80の他の電極83から出力される信号をプローブ針2及びコネクタ6を介してテスタ或いは計測器に入力し、テスタ或いは計測器にてこの信号を解析することにより、チップ80の検査を行うことができる。
【0022】
プローブユニット10は、平板状に形成され、水平に配置されている。なお、プローブユニット10の中央部には、例えば、開口14が形成されている。
保持部20も平板状に形成され、且つ、水平に配置されている。
保持部20の中央には、開口21が形成されている。プローブユニット10は、この開口21内に配置され、且つ、スライド機構40(例えば一対のスライド機構40a、40b)を介して保持部20により保持されている。これにより、プローブユニット10は、この開口21内において、例えば水平方向に移動可能となっている(詳細後述)。
【0023】
図2に示すように、プローブ装置100は、検査対象のチップ80が載置されるステージ9を有している。ステージ9は、プローブユニット10及び保持部20の下方に位置している。
【0024】
昇降機構50(図7)は、プローブユニット10と検査対象のチップ80とが相対的に近づく方向、及び、その反対方向へと、保持部20とステージ9との少なくとも何れか一方を上下方向に移動させる。具体的には、昇降機構50は、保持部20を昇降させるように構成されており、昇降機構50が保持部20を昇降させるのに伴い、保持部20に設けられているスライド機構40及びプローブユニット10も、保持部20とともに昇降するようになっている。
昇降機構50がプローブユニット10、保持部20及びスライド機構40を下降させることにより、各プローブ針2をチップ80の電極83にそれぞれ接触させることができる。すなわち、昇降機構50は、プローブユニット10をチップ80側へ移動させることにより、プローブ針2をチップ80の電極83に接触させる。
また、昇降機構50がプローブユニット10、保持部20及びスライド機構40を上昇させることにより、各プローブ針2をチップ80の電極83から離間させることができる。
【0025】
次に、図3を参照して、プローブユニット10が、どのようにして、一対のスライド機構40(スライド機構40a、40b)を介して保持部20により保持されているのかを詳述する。
【0026】
スライド機構40は、例えば、開口21の内周に固定された本体部41と、本体部41に設けられた複数個の転動体42と、を含んで構成されている。
【0027】
本体部41は、水平方向において直線状に延在する長尺な部材である。本体部41には、横向きに開口する凹部43が、本体部41の長手方向に亘って延在するように形成されている。
【0028】
一対のスライド機構40a、40bの本体部41は、互いに平行に延在するように配置され、一対のスライド機構40a、40bの凹部43は、互いに対向している。
【0029】
凹部43内には、複数個の転動体42が、本体部41の長手方向に一列に並んで設けられている。各転動体42は、鉛直軸周りに回動可能となるように、本体部41に軸支されている。
【0030】
ここで、プローブユニット10は、例えば、平面視矩形状に形成されており、プローブユニット10の隣り合わない辺11と辺12(何れも図3(b)参照)は、互いに平行となって、それぞれ水平に延在している。
【0031】
そして、一方のスライド機構40aの凹部43には、プローブユニット10の辺11を含む一端部が収容され、該一端部が保持されている。
同様に、他方のスライド機構40bの本体部41の凹部43には、プローブユニット10の辺12を含む他端部が収容され、該他端部が保持されている。
【0032】
これにより、プローブユニット10は、一対のスライド機構40a、40bを介して、保持部20により保持されている。
【0033】
ここで、本体部41の長手方向における開口21の幅(図3(a)での左右幅)は、同方向におけるプローブユニット10の幅よりも広く、本体部41の長手方向において、プローブユニット10の両側には、保持部20との間に隙間22が存在している。
このため、プローブユニット10は、スライド機構40a、40bを介して保持部20により保持された状態で、保持部20の開口21内において、保持部20に対して相対的に、本体部41の長手方向に移動可能となっている。
すなわち、プローブユニット10は、例えば、水平面内において、保持部20に対して相対的に、矢印B方向と、その反対方向である矢印C方向と、に直線移動可能となっている(図3(a)参照)。
【0034】
このように、保持部20は、スライド機構40を介してプローブユニット10を保持することにより、プローブユニット10をその移動の方向(上下方向)に対して交差する面内(例えば、直交する面内、すなわち水平面内)で移動可能な状態で保持している。
【0035】
ここで、プローブユニット10の一端部には、横向き(一方のスライド機構40aの凹部43の開口方向と反対方向)に開口する凹部13が、辺11に沿って延在するように形成されている。そして、この凹部13が、一方のスライド機構40aの複数の転動体42に接している。
同様に、プローブユニット10の他端部には、横向き(他方のスライド機構40bの凹部43の開口方向と反対方向)に開口する凹部13が、辺12に沿って延在するように形成されている。そして、この凹部13が、他方のスライド機構40bの複数の転動体42に接している。
そして、プローブユニット10が保持部20に対して矢印B方向及びC方向に移動する際には、転動体42は、凹部13と接したまま、鉛直軸周りに転動し、いわゆる"ころ"として機能する。
このように、プローブ装置100は、保持部20とプローブユニット10との間に介在し、プローブユニット10が保持部20に対して水平面内で移動する際に転動する転動体42を有している。
これにより、保持部20に対するプローブユニット10の移動を、より少ない摩擦で、スムーズに行うことができるようになっている。
【0036】
なお、後述するように、検査対象品としてのチップ80間のピッチには、数十μm程度のばらつきが生じる場合があるため、このばらつきを補正できるように、保持部20に対するプローブユニット10の最大移動量は、数十μm以上(例えば、50μm以上)であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。
【0037】
次に、位置決め部材30について説明する。
【0038】
図1及び図2に示すように、プローブユニット10には、例えば、一対の位置決め部材30(位置決め部材30a及び30b)が固定されている。
図6に示すように、これら位置決め部材30は、プローブユニット10から下方に垂下するように、該プローブユニット10に固定されている。
なお、図5に示すように、プローブ針2は、例えば、位置決め部材30と干渉しないように配置されている。
【0039】
図4に示すように、位置決め部材30は、プローブユニット10に固定される本体部31と、この本体部31より下方に垂下する垂下部32と、を有し、この垂下部32にテーパー形状部33が形成されている。
位置決め部材30は、互いに対向するように配置され、テーパー形状部33は、各位置決め部材30の垂下部32において、互いに対向する面に、それぞれ形成されている。
図2及び図6に示すように、テーパー形状部33は、検査対象のチップ80側に向かうにつれて(つまり、下方に向かうにつれて)、このチップ80の中心から遠ざかるようなテーパー形状に形成されている。
【0040】
一対の位置決め部材30は、互いに同一形状に形成され、且つ、同一の高さ(鉛直位置)に配置され、これら位置決め部材30のテーパー形状部33が互いに対向している。
【0041】
一対の位置決め部材30は、スライド機構40に対してプローブユニット10がスライド移動する方向、すなわち矢印B方向(矢印C方向)において、並んで配置されている。
そして、一方の位置決め部材30aのテーパー形状部33は、矢印C方向側を向き、他方の位置決め部材30bのテーパー形状部33は、矢印B方向側を向いている。
一方の位置決め部材30aのテーパー形状部33は、検査対象のチップ80側に向かうにつれて、他方の位置決め部材30bから遠ざかるようなテーパー形状に形成されている。
同様に、他方の位置決め部材30bのテーパー形状部33は、検査対象のチップ80側に向かうにつれて、一方の位置決め部材30aから遠ざかるようなテーパー形状に形成されている。
【0042】
ここで、水平方向における一対のテーパー形状部33間の距離は、高さに応じて異なる。すなわち、高い位置ほど短く、低い位置ほど長くなる。そして、図6に示すように、水平方向における一対のテーパー形状部33間の距離のうち、最短距離DMINは、チップ80の互いに対向する辺81、82間の距離よりも短く、最大距離DMAXは、チップ80の互いに対向する辺81、82間の距離よりも長い。
【0043】
なお、チップ80は、平面視矩形状に形成され、且つ、チップ80は、その4つの側面がそれぞれ垂直に立設するような直方体形状となっている。
【0044】
例えば、本体部31は、断面形状が逆直角三角形状であり、一対の位置決め部材30の本体部31の対向面は、互いに平行に対向している。そして、本体部31の下端部より、垂下部32が垂下している。垂下部32の厚みは、隣り合うチップ80どうしの間隔よりも十分に小さく設定されている。
これらの構造的な特徴により、垂下部32及び本体部31が検査対象のチップ80以外のチップに接触してしまうことが抑制されている。
【0045】
図7に示すように、昇降機構50は、保持部20を昇降させる昇降アクチュエータ51(例えば、モータ、或いはシリンダ等)を有している。
なお、保持部20を昇降させることにより、保持部20に固定されているスライド機構40、保持部20により保持されているプローブユニット10、及び、プローブユニット10に固定されている位置決め部材30等が、保持部20とともに昇降する。
【0046】
プローブ装置100は、更に、プローブユニット10の各プローブ針2を所望のチップ80の上方に移動させることができるように、保持部20とステージ9とを相対的に水平移動させる水平移動機構70を有している。
具体的には、水平移動機構70は、例えば、保持部20を水平移動させる。この水平移動機構70は、保持部20を水平方向に移動させる水平移動アクチュエータ71(例えば、モータ等)を有している。
保持部20を水平方向に移動させることにより、スライド機構40、プローブユニット10、及び、位置決め部材30等が、保持部20とともに水平方向に移動するようになっている。
【0047】
プローブ装置100は、更に、昇降アクチュエータ51及び水平移動アクチュエータ71の動作制御を行う制御部60を有している。
【0048】
プローブ装置100は、上記のように構成されているため、プローブユニット10を下降させてプローブ針2をチップ80の電極83に接触させる過程で、プローブユニット10及びプローブ針2をチップ80に対して位置補正することができる。
【0049】
すなわち、プローブユニット10とともに一対の位置決め部材30を下降させる過程(図6の一点鎖線の状態から、実線の状態に移行させる過程)では、一対のテーパー形状部33は、チップ80の辺81、82に接触し、該辺81、82によりガイドされて、水平方向に位置補正される。すなわち、図6の位置関係の場合、一対のテーパー形状部33は、矢印B方向に位置補正される。
【0050】
また、テーパー形状部33を有する位置決め部材30は、プローブユニット10に固定されているため、テーパー形状部33の位置が補正されるのに伴い、プローブユニット10も、テーパー形状部33と同じ方向に、同じ距離だけ、位置補正される。すなわち、プローブユニット10は、保持部20に対して相対的に、水平方向に位置補正される。
つまり、プローブユニット10をチップ80に近づけることにより、チップ80の外周部の形状に倣って、位置決め部材30及びプローブユニット10が位置補正される。
【0051】
このようにプローブユニット10の位置が補正されるため、プローブユニット10が下降する前の段階で、チップ80とプローブユニット10との水平方向の位置ずれが生じている場合(例えば、図6の状態)と、このような位置ずれが生じていない場合とで、プローブユニット10の下降後におけるチップ80とプローブ針2との位置関係を同等にすることができる。よって、常に、チップ80の所望の電極83にプローブ針2を接触させることが可能となる。
【0052】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0053】
先ず、検査対象となるチップ80を作成する。
【0054】
このためには、先ず、半導体基板に素子分離膜を形成する。これにより、素子形成領域が分離される。素子分離膜は、例えばSTI法を用いて形成されるが、LOCOS法を用いて形成されても良い。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する。ゲート絶縁膜は酸化シリコン膜であってもよいし、酸化シリコン膜よりも誘電率が高い高誘電率膜(例えばハフニウムシリケート膜)であってもよい。ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、ゲート電極はポリシリコン膜により形成される。またゲート絶縁膜が高誘電率膜である場合、ゲート電極は、金属膜(例えばTiN)とポリシリコン膜の積層膜により形成される。また、ゲート電極がポリシリコンにより形成される場合、ゲート電極を形成する工程において、素子分離膜上にポリシリコン抵抗を形成しても良い。
【0055】
次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインのエクステンション領域を形成する。次に、ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する。次に、素子形成領域に位置する半導体基板に、ソース及びドレインとなる不純物領域を形成する。このようにして、半導体基板上にMOSトランジスタが形成される。
【0056】
次に、素子分離膜上及びMOSトランジスタ上に、多層配線層を形成する。最上層の配線層には、電極パッドが形成される。次いで、多層配線層上に、保護絶縁膜(パッシベーション膜)を形成する。保護絶縁膜には、電極パッド上に位置する開口が形成される。
こうして、それぞれチップ80となる複数のチップ構成領域を有するウェハが得られる。
【0057】
次に、このようにして得られたウェハの各チップ構成領域をダイシングにより相互に分離させることによって、個々のチップ80に個片化する。
【0058】
このためには、図8(a)に示すように、ウェハをダイシングテープ(ダイシングシート)3(図8(a))に貼り付け、このダイシングテープ3をウェハリング7により保持する。そして、ウェハをダイサーにより縦横に切断する。これにより、ウェハを個々のチップ80へと個片化することができる。なお、ダイシングは、ダイシングブレードを用いて行っても良いし、レーザーダイシングにより行っても良い。
このようにして得られたチップ80の各々は、複数の電極(電極パッド)83(図1)を有する。
【0059】
なお、このようにウェハリング7により保持されたダイシングテープ3上に貼り付けられたウェハをダイシングすると、ダイシングテープ3の張力の影響や、ダイシングブレードからウェハ或いはチップに作用する力の影響により、チップ80間のピッチがばらつく(例えば数μm程度ばらつく)場合がある。このようなピッチのばらつきはチップ80間の距離が離れるほど大きくなり、複数個離れたチップ80aとチップ80bとのピッチは、設計上のピッチとは数十μm程度異なる場合がある。すなわち、図8(b)に示すように、チップ80aとチップ80bとのピッチずれΔP(チップ80aとチップ80bとの実際のピッチP2と設計上のピッチP1との差)は、例えば数十μm程度となる。
【0060】
また、このピッチずれΔPは、ダイシングテープ3上におけるチップ80の位置によって異なる。
なぜなら、ウェハリング7によりダイシングテープ3を保持した状態、且つ、ダイシング前の状態では、ダイシングテープ3の張力はウェハリング7の周縁部では大きく、ウェハリング7の中心に近づくほど小さくなっており、その後でダイシングを行うと、それまでウェハにより拘束されていたダイシングテープ3が、その部分ごとの張力に応じた伸びを呈する結果、ウェハリング7の周辺でのチップ80間のピッチずれΔPは大きくなり、ウェハリング7の中心に近づくほどチップ80間のピッチずれΔPが小さくなるからである。
【0061】
図9は1つのウェハから個片化されたチップ80間のピッチの分布を示す図である。図9の横軸は隣り合うチップ80間のピッチ(μm)、縦軸はチップ80の個数である。図9に示すように、隣り合うチップ80間のピッチは0を中心として、例えば数十μmの範囲内でばらつく。
【0062】
次に、上述のプローブ装置100を準備し、このプローブ装置100を用いてチップ80の検査を行う。
【0063】
このためには、個片化されたチップ80が貼り付けられているダイシングテープ3をウェハリング7に貼り付けた状態でウェハリング7を検査用のステージ9(図2)上に載置する。なお、プローブ装置100のコネクタ6には、予め、テスタ或いは計測器を接続しておく
【0064】
次に、プローブユニット10の各プローブ針2が、最初に検査が行われるチップ80(例えばチップ80a)の上方に移動するように、プローブユニット10を水平方向に移動させる。
次に、昇降機構50によりプローブユニット10を下降させることにより、各プローブ針2をチップ80aの電極83に接触させる。
なお、最初に検査が行われるチップ80aとプローブユニット10との水平方向における位置合わせは、例えば、チップ80aの位置を画像認識等により認識し、その認識した位置の上方にプローブ針2が位置するようにプローブユニット10を水平に移動させることにより行う。
このため、原則的に、プローブユニット10の水平方向位置は、チップ80aに対して高精度に位置合わせされるため、位置決め部材30とチップ80の外周部(辺81及び82(図6))との接触によるプローブユニット10の位置補正は行われない。ただし、万一、プローブユニット10の位置が僅かにずれていた場合には、位置決め部材30とチップ80の外周部(辺81及び82(図6))との接触によるプローブユニット10の位置補正が行われる。
【0065】
次に、テスタ或いは計測器から、コネクタ6及びプローブ針2を介してチップ80の一部の電極83に信号を入力し、当該チップ80の他の電極83から出力される信号をプローブ針2及びコネクタ6を介してテスタ或いは計測器に入力し、テスタ或いは計測器にてこの信号を解析することにより、チップ80の検査を行う。
【0066】
次に、昇降機構50によりプローブユニット10を上昇させることにより、各プローブ針2をチップ80の電極83から離間させる。
【0067】
次に、プローブユニット10の各プローブ針2が、2番目に検査が行われるチップ80(例えばチップ80b)の上方に移動するように、プローブユニット10を水平方向に移動させる。このとき、制御部60は、規定量だけ、すなわち、チップ80aとチップ80bとの設計上のピッチP1だけ、チップ80aからチップ80bに向かう方向へとプローブユニット10を移動させる。
このため、チップ80aとチップ80bとの実際のピッチP2が、設計上のピッチP1からずれている場合(図8(b)参照)、そのピッチずれΔPの分だけ、プローブ針2の水平方向位置が、それぞれ対応する電極83の位置からずれた状態となる。
【0068】
次に、昇降機構50によりプローブユニット10を下降させることにより、各プローブ針2をチップ80bの電極83に接触させる。このようにプローブユニット10を下降させる過程で、図6に示すように、一対の位置決め部材30の各テーパー形状部33がチップ80(この場合チップ80b)の辺81、82に接触し、該辺81、82によりガイドされて、水平方向(矢印B方向又はC方向)に位置補正される。より具体的には、一対の位置決め部材30とチップ80とが図6のような位置関係の場合、先ず、右側の位置決め部材30bのテーパー形状部33がチップ80の辺82に接触する。その後、更にプローブユニット10及び位置決め部材30が下降する際に、当該辺82により該テーパー形状部33がガイドされることにより、位置決め部材30及びプローブユニット10が矢印B方向に位置補正される。その結果、プローブユニット10がチップ80に対して高精度に位置合わせされる。よって、各プローブ針2を、それぞれ所望の電極83に対し、適切に接触させることができる。その後、チップ80bに対する検査をチップ80aに対する検査と同様に行う。
【0069】
更に、その後は、残りのチップ80の検査についても、同様に行う。
【0070】
このようにチップ80の検査を行うことにより、各チップ80に対して、プローブ針2を適切に接触させることができるため、検査の信頼性、ひいては製造後のチップ80の信頼性を高めることができる。
【0071】
以上のような第1の実施形態によれば、プローブ装置100は、プローブユニット10とチップ80(半導体装置)とが互いに近づく方向に相対移動させられる際に、チップ80の外周部(例えば辺81、82)によりガイドされて、その相対移動の方向に対して交差する面内(例えば水平面内)で位置補正される位置決め部材30を有し、且つ、この位置決め部材30はプローブユニット10に固定されている。よって、プローブユニット10とチップ80とを相対移動させてプローブ針2をチップ80の電極83に接触させる際に、位置決め部材30及びプローブユニット10を当該面内で位置補正することができる。
これにより、プローブユニット10とチップ80との水平位置がずれている場合と、ずれていない場合とで、プローブユニット10を下降させた後の段階におけるチップ80とプローブ針2との位置関係を同等にすることができる。よって、常に、チップ80の所望の電極83にプローブ針2を接触させることが可能となる。
【0072】
また、このプローブ装置100は、一般的なプローブ装置のプローブユニットを、プローブユニットとチップ80との相対移動の方向に対して交差する面内において保持部20に対し移動可能なように、保持部20に保持させ、且つ、プローブユニットに位置決め部材30を設けるだけで、容易に実現できる。このため、プローブ装置100の構成は簡易な構成でよい。しかも、チップ80の位置の認識を個々のチップ80毎に行う必要がないため、そのための機構も必要がなく、その認識のステップも不要である。
よって、簡易な構成のプローブ装置100により、検査効率を低下させることなく、プローブ針2の位置補正を行うことができる。
【0073】
また、プローブユニット10の下降の動作を利用してプローブユニット10の位置補正を行うため、チップ80の位置の認識データに基づいてプローブユニット10を駆動するためのアクチュエータや制御方法を必要としない。
【0074】
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態に係るプローブ装置は、以下に説明する点でのみ、上記の第1の実施形態に係るプローブ装置100と相違し、その他の点では、プローブ装置100と同様に構成されている。また、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下に説明する点でのみ、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と相違し、その他の点では第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0075】
図10は第2の実施形態に係るプローブ装置200を示す図であり、このうち図10(a)は平面図、図10(b)は図1の矢印A方向から見た正面図である。
【0076】
このプローブ装置200は、上記の第1の実施形態に係るプローブ装置100の各構成に加えて、第2半導体装置に接触される第2プローブ針202と、第2プローブ針202を保持し、且つ、保持部20に固定されている第2プローブユニット210と、を有している。
【0077】
第2プローブユニット210は、平板状に形成され、プローブユニット10とは平面方向においてオフセットして配置されている。
【0078】
第2プローブ針202は、プローブ針2と同様のものであり、プローブ針2がプローブユニット10に設けられているのと同様の態様で、プローブユニット210に設けられている。
【0079】
第2プローブユニット210には、位置決め部材30は設けられていない。また、第2プローブユニット210と保持部20との間にスライド機構40は介在しておらず、第2プローブユニット210は保持部20に対し、例えば直接固定されている。
【0080】
このプローブ装置200は、プローブユニット10と第2プローブユニット210とを有しているため、2つのチップ80の検査を一度に行うことができる。
【0081】
プローブユニット10は、上記の第1の実施形態と同様に、保持部20に対して水平方向に相対的に移動可能となっており、且つ、プローブユニット10には、上記の第1の実施形態と同様に、一対の位置決め部材30が固定されている。このため、第1の実施形態と同様に、プローブユニット10は、チップ80の外形に合わせて位置補正することができる。
【0082】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、上記のプローブ装置200を用いて、一度に2つのチップ80(例えば、図10のチップ80c、80d)の検査を行う。
【0083】
すなわち、先ず、第2プローブユニット210の各第2プローブ針202が、チップ80cの上方に移動するように、保持部20を水平方向に移動させる。
ここで、チップ80cと第2プローブユニット210との水平方向における位置合わせは、例えば、チップ80cの位置を画像認識等により認識し、その認識した位置の上方に第2プローブ針202が位置するように第2プローブユニット210を水平に移動させることにより行う。このため、原則的に、第2プローブユニット10の水平方向位置は、チップ80cに対して高精度に位置合わせされる。
【0084】
一方、プローブユニット10は、チップ80cとチップ80dとの設計上のピッチ分だけ、第2プローブユニット210に対して水平方向にオフセットして配置されている。このため、プローブユニット10の各プローブ針2は、概ね、チップ80dの上方に移動するが、上述のピッチずれが生じている場合、各プローブ針2の水平位置は、ピッチずれに相当する距離だけチップ80dに対してずれている。
【0085】
次に、昇降機構50により保持部20を下降させることにより、第2プローブユニット210及びプローブユニット10を下降させる。そして、第2プローブユニット210の第2プローブ針202をチップ80cの電極83に接触させる。また、プローブユニット10のプローブ針2をチップ80dの電極83に接触させる。
【0086】
ここで、上記のように、第2プローブユニット10の水平方向位置は、チップ80cに対して高精度に位置合わせされているため、各第2プローブ針2を、それぞれチップ80cの所望の電極83に対し、適切に接触させることができる。
一方、各プローブ針2の水平位置は、ピッチずれに相当する距離だけチップ80dに対してずれている。このため、プローブユニット10を下降させる過程で、上記の第1の実施形態と同様に、位置決め部材30のテーパー形状部33がチップ80dの外周部によりガイドされることにより、位置決め部材30及びプローブユニット10が水平方向に位置補正される。その結果、プローブユニット10がチップ80dに対して高精度に位置合わせされる。よって、第1の実施形態と同様に、各プローブ針2を、それぞれ所望の電極83に対し、適切に接触させることができる。
【0087】
その後、チップ80c、80dに対する検査を一度に行う。
すなわち、テスタ或いは計測器から、コネクタ6及び第2プローブ針202を介してチップ80cの一部の電極83に信号を入力し、当該チップ80cの他の電極83から出力される信号を第2プローブ針202及びコネクタ6を介してテスタ或いは計測器に入力し、テスタ或いは計測器にてこの信号を解析することにより、チップ80cの検査を行う。
また、チップ80dに対する検査は、第1の実施形態での検査と同様に行う。
【0088】
以上のような第2の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。
すなわち、プローブ装置200は、チップ80cに接触される第2プローブ針202と、第2プローブ針202を保持し、且つ、保持部20に固定されている第2プローブユニット210と、を有しているので、複数のチップ80を一括して検査するに際し、各チップ80に対し、それぞれプローブ針(プローブ針2、第2プローブ針202)を適切に接触させることができる。
【0089】
なお、図10では、スライド機構40を介して保持部20に保持され、該保持部20に対して移動可能なプローブユニット10が1つだけの例を示しているが、スライド機構40を介して保持部20に保持され、該保持部20に対して移動可能なプローブユニット10が2つ以上備えられていても良く、この場合、プローブユニット10の数よりも1つ多い数のチップ80の検査を一度に行うことができる。
【0090】
〔第3の実施形態〕
図11は第3の実施形態に係るプローブ装置300を示す図であり、このうち図11(a)は平面図、図11(b)は図11(a)のE−E線に沿った断面図、図11(c)は図11(a)のF−F線に沿った断面図である。なお、E−E線とF−F線とは互いに直交している。
【0091】
本実施形態に係るプローブ装置300は、以下に説明する点でのみ、上記の第1の実施形態に係るプローブ装置100と相違し、その他の点では、プローブ装置100と同様に構成されている。
【0092】
プローブ装置300は、保持部20を有していない代わりに、保持部320を有している。更に、プローブ装置300は、一対のスライド機構340(340a、340b)と、第2保持部350と、を有している。更に、プローブ装置300は、上記の一対の位置決め部材30(30a、30b)を有しているのに加えて、一対の位置決め部材30(30c、30d)を有している。なお、図11において、コネクタ6は図示を省略している。
【0093】
本実施形態の場合、プローブユニット10は、上記の第1の実施形態においてプローブユニット10が一対のスライド機構40を介して保持部20により保持されているのと同様に、一対のスライド機構40を介して保持部320により保持されている。
【0094】
保持部320は、平板状に形成され、水平に配置されている。保持部320の中央には、開口21が形成されている。プローブユニット10は、この開口21内に配置され、且つ、スライド機構40(40a、40b)を介して保持部320により保持されている。これにより、プローブユニット10は、この開口21内において、保持部320に対して相対的に、水平方向(特に、矢印B方向及びC方向)に移動可能となっている。
【0095】
更に、この保持部320は、プローブユニット10が一対のスライド機構40を介して保持部20により保持されているのと同様に、一対のスライド機構340を介して、第2保持部350により保持されている。
【0096】
第2保持部350は、平板状に形成され、水平に配置されている。第2保持部350の中央には開口351が形成されている。保持部320は、この開口351内に配置され、且つ、スライド機構340(340a、340b)を介して第2保持部350により保持されている。これにより、保持部320は、この開口351内において、第2保持部350に対して相対的に、水平方向(特に、矢印G方向及びH方向)に移動可能となっている。
矢印G方向及びH方向は、水平面内おいて、矢印B方向及びC方向に対して直交する方向である。矢印G方向は、矢印H方向の反対方向である。
なお、矢印G方向(矢印H方向)における開口351の幅は、同方向における保持部320の幅よりも広く、同方向において、保持部320の両側には、第2保持部350との間に隙間342が存在している。
【0097】
スライド機構340は、スライド機構40と同様に構成されている(図11(c)参照)。スライド機構340の本体部41は、スライド機構40の本体部41と直交するように、水平方向に延在している。すなわち、スライド機構340の本体部41は、矢印G方向(H方向)に延在している。また、スライド機構340aの本体部41と、スライド機構340aの本体部41とは、互いに対向している。
【0098】
なお、保持部320が第2保持部350に対して相対的に水平方向(矢印G方向又はH方向)に移動するのに伴い、保持部320により保持されているプローブユニット10も、同方向に移動する。
【0099】
本実施形態の場合、プローブユニット10には、位置決め部材30c、30dが、該プローブユニット10から垂下するように固定されている。
これら位置決め部材30c、30dは、位置決め部材30a、30bと同様の形状に形成され、且つ、位置決め部材30a、30bと同じ高さ(鉛直位置)に配置されている。
【0100】
ただし、位置決め部材30c、30dは、位置決め部材30a、30bとは異なる向きに配置されている。
すなわち、位置決め部材30c、30dは、スライド機構340に対して保持部320がスライド移動する方向、すなわち矢印G方向(矢印H方向)において、並んで配置されている。
そして、一方の位置決め部材30cのテーパー形状部33(図4参照)は、矢印H方向側を向き、他方の位置決め部材30dのテーパー形状部33は、矢印G方向側を向いている。
一方の位置決め部材30cのテーパー形状部33は、検査対象のチップ80側に向かうにつれて、他方の位置決め部材30dから遠ざかるようなテーパー形状に形成されている。
同様に、他方の位置決め部材30dのテーパー形状部33は、検査対象のチップ80側に向かうにつれて、一方の位置決め部材30cから遠ざかるようなテーパー形状に形成されている。
【0101】
位置決め部材30c、30dのテーパー形状部33間の距離は、高さに応じて異なり、その最短距離は、チップ80の互いに対向する辺84、85間の距離よりも短く、その最大距離は、チップ80の互いに対向する辺84、85間の距離よりも長い。なお、辺84、85は、辺81、82に対して直交する辺である。
【0102】
本実施形態の場合、昇降機構50は、第2保持部350を昇降させる。また、水平移動機構70は、第2保持部350を水平方向に移動させる。
【0103】
なお、プローブ針2は、例えば、位置決め部材30c、30dを貫通し、その先端が、開口14の下方に導出されている。
【0104】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、上記のプローブ装置300を用いて、チップ80の検査を行う。
【0105】
検査対象のチップ80にピッチずれが生じていた場合、プローブユニット10を下降させることにより、各プローブ針2をチップ80の電極83に接触させる過程で、二対の位置決め部材30a、30b、30c、30dの各テーパー形状部33がチップ80の辺81、82、84、85に接触し、該辺81、82、84、85によりガイドされて、水平方向に位置補正される。
【0106】
本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、位置決め部材30a、30bを利用して、プローブユニット10を矢印B方向又はC方向において位置補正する。
それに加えて、本実施形態では、位置決め部材30c、30dを利用して、プローブユニット10を矢印G方向又はH方向において位置補正することができる。
【0107】
以上のような第3の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。
すなわち、プローブ装置300においては、プローブユニット10を矢印B方向及びC方向だけでなく、これら方向に対して直交する矢印G方向及びH方向にも位置補正することができるので、第1の実施形態よりも高精度に、プローブユニット10の位置補正を行うことができる。
【0108】
上記の各実施形態では、検査後においてプローブユニット10を開口14の中央位置に復帰させることができるように、プローブユニット10の両端に位置する隙間22にそれぞれ弾性体(図示略)を設けても良い。この弾性体は、プローブユニット10の側面と、該側面と対向する開口14の内周壁と、を互いに遠ざける方向に付勢するように、隙間22に設けられる。このような弾性体を設けた場合、検査後にプローブユニット10を上昇させて、テーパー形状部33がチップ80から離間させると、弾性体の弾性力によって、プローブユニット10を開口14の中央位置に復帰させることができる。
また、同様に、第3の実施形態では、検査後において保持部320を開口351の中央位置に復帰させることができるように、保持部320の両端に位置する隙間342にそれぞれ弾性体(図示略)を設けても良い。
【符号の説明】
【0109】
2 プローブ針
3 ダイシングテープ
6 コネクタ
7 ウェハリング
9 ステージ
10 プローブユニット
11 辺
12 辺
13 凹部
14 開口
20 保持部
21 開口
22 隙間
30、30a、30b、30c、30d 位置決め部材
31 本体部
32 垂下部
33 テーパー形状部
40、40a、40b スライド機構
41 本体部
42 転動体
43 凹部
50 昇降機構
51 昇降アクチュエータ
60 制御部
70 水平移動機構
71 水平移動アクチュエータ
80、80a、80b、80c、80d チップ
81、82、84、85 辺
83 電極
100 プローブ装置
200 プローブ装置
202 第2プローブ針
210 第2プローブユニット
300 プローブ装置
320 保持部
340、340a、340b スライド機構
342 隙間
350 第2保持部
351 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の電極に接触されるプローブ針と、
前記プローブ針を保持しているプローブユニットと、
前記プローブユニットと前記半導体装置とを互いに近づく方向に相対移動させることにより前記プローブ針を前記電極に接触させる移動機構と、
前記プローブユニットを前記相対移動の方向に対して交差する面内で移動可能な状態で保持している保持部と、
前記プローブユニットに固定されている位置決め部材であって、前記プローブユニットと前記半導体装置とが前記相対移動する際に、前記半導体装置の外周部によりガイドされて前記面内で位置補正される位置決め部材と、
を有するプローブ装置を準備する工程と、
前記プローブユニットと前記半導体装置とを前記相対移動させて前記プローブ針を前記電極に接触させるとともに、前記位置決め部材及び前記プローブユニットを前記面内で位置補正する工程と、
前記プローブ針から前記電極に信号を入力し、前記半導体装置を検査する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記半導体装置側に向かうにつれて前記半導体装置の中心から遠ざかるようなテーパー形状に形成されたテーパー形状部を有し、前記テーパー形状部が前記半導体装置の外周部によりガイドされることにより、当該位置決め部材が前記面内で位置補正されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記プローブ装置は、前記保持部と前記プローブユニットとの間に介在し、前記プローブユニットが前記保持部に対して前記面内で移動する際に転動する転動体を更に有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
第2半導体装置に接触される第2プローブ針と、
前記第2プローブ針を保持し、且つ、前記保持部に固定されている第2プローブユニットと、
を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
検査対象品に接触されるプローブ針と、
前記プローブ針を保持しているプローブユニットと、
前記プローブユニットと前記検査対象品とを互いに近づく方向に相対移動させることにより前記プローブ針を前記検査対象品に接触させる移動機構と、
前記プローブユニットを前記相対移動の方向に対して交差する面内で移動可能な状態で保持している保持部と、
前記プローブユニットに固定されている位置決め部材であって、前記プローブユニットと前記検査対象品とが前記相対移動する際に、前記検査対象品の外周部によりガイドされて前記面内で位置補正される位置決め部材と、
を有することを特徴とするプローブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−96935(P2013−96935A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242086(P2011−242086)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】