説明

半導体装置の製造方法及び半導体製造装置

【課題】ウエハの外縁上に形成されたネガ型レジストに対して露光現像処理により所定のパターンを形成する場合に、ウエハの外縁上に位置するネガ型レジストに対する露光光の供給をより防止する遮光部の形成工程を備えて歩留まりの向上を実現することが可能な半導体装置の製造方法
【解決手段】ウエハ1の表面上に導電層2及びネガ型レジスト3が順次形成されたウエハ5を準備する工程と、ウエハ5の外縁の少なくとも一部にネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程と、ネガ型レジスト3に対して露光を行う工程と、遮光部材32を除去する工程と、ネガ型レジスト3を現像する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ上に形成されたネガ型レジストの特にウエハの外縁上に位置するネガ型レジストに対して露光現像処理により所定のパターンを形成する場合に、ウエハの外縁上に形成されたネガ型レジストに対する露光光の供給をより防止する遮光部を形成する工程を備えた半導体装置の製造方法、及びその製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能な半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ウエハにおいてめっき用電極を形成する方法については、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されためっき用電極形成方法を図9に概略的に示す。まず、ウエハ100の全面に導電層110とネガ型レジスト120とを順次形成し、ウエハの外縁上のネガ型レジスト120上に遮光部130を形成する。次に、所定のパターンが形成されたレチクルパターンを介してネガ型レジスト120に対して露光を行う。最後に、遮光部130を除去した上で現像処理を行う。これにより、ネガ型レジスト120において所望のパターンを形成するとともに、ウエハ100の外縁のネガ型レジスト120上に遮光部130を形成した領域の下方に位置する導電層110を露出させることにより所望のめっき用電極を形成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−5462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明では、上述の通りインクの印刷によりウエハ100の外縁上に位置するネガ型レジスト120上に遮光部130を形成している。しかしながら、同構成では、ネガ型レジスト120を露光する際に、ウエハ100の側面方向から遮光部130の下のネガ型レジスト120に対して露光光が回り込んでしまう場合がある。このため、露光光を照射した箇所が現像液に対して不溶性又は難溶性となるネガ型レジストの特性上、ネガ型レジスト120を現像した際に意図したパターン通りに導電層110を露出させることが難しく、所望のめっき用電極を形成することが困難となる問題があった。
また、めっき用電極を形成する場合に限らず、ウエハの外縁上に位置するネガ型レジストに対して露光現像処理により所定のパターンを形成する場合に、ウエハの外縁上に位置するネガ型レジストに対する露光光の供給を防止する遮光部を形成する工程を備えた半導体装置の製造方法においては、このウエハの側面からの露光光の回り込みは深刻な問題となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ウエハの外縁上に形成されたネガ型レジストに対して露光現像処理により所定のパターンを形成する場合に、ウエハの外縁上に位置するネガ型レジストに対する露光光のウエハ側面からの回り込みをより防止する遮光部の形成工程を備えて歩留まりの向上を実現することが可能な半導体装置の製造方法、及びその製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能な半導体製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる半導体装置の製造方法は、ウエハの表面上に導電層及びネガ型レジストが順次形成された第1のウエハを準備する工程と、前記第1のウエハの外縁の少なくとも一部に前記ネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材を塗布する工程と、前記ネガ型レジストに対して露光を行う工程と、前記遮光部材を除去する工程と、前記ネガ型レジストを現像する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる半導体製造装置は、ウエハを載置する載置面を備えたウエハ載置台を有する半導体製造装置であって、前記載置面の表面の重心をとおり且つ前記載置面の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線が、前記載置面に載置するウエハの直径の長さよりも短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、ネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材を塗布することとしたので、第1のウエハの外縁のネガ型レジストに対して露光現像処理により所定のパターンを形成する場合に、第1のウエハの外縁に位置するネガ型レジストに対する露光光のウエハの側面からの回り込みをより防止することが可能となる。このため、半導体装置の製造においてより歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0009】
また、本発明の半導体製造装置によれば、載置面の表面の重心をとおり且つ該載置面の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線が、該載置面に載置するウエハの直径の長さよりも短い構成としたので、ウエハの外縁が該載置面に対して突出するように該載置面にウエハを配置して、上述のネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材を塗布する工程を行った場合であっても、塗布した遮光部材はウエハの側面をつたって地面方向に滴り落ちることになるので、ウエハの裏面に回りこむおそれが軽減される。このため、その後の露光工程において、ウエハの裏面に遮光部材が回りこんだ状態でウエハを露光装置の載置面に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれが軽減される。よって、本発明にかかる半導体装置の製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体製造装置を概略的に示した斜視図である。
【図2】遮光部材供給部30からウエハ5に対して遮光部材を塗布する状態を概略的に示した図である。
【図3】遮光部材32を塗布後のウエハ5をウエハ5の表面側から見た上面図である。
【図4】ネガ型レジスト3に対してレチクルパターン40を用いて露光を行う工程を概略的に示した上面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる半導体製造装置を概略的に示した斜視図である。
【図6】遮光部材供給部30からウエハ5に対して遮光部材32を供給した状態、及びウエハ5の下方に配置された送風機構50から遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対してエアーが供給されている状態を概略的に示した図である。
【図7】本発明の第3の実施形態にかかる半導体製造装置を概略的に示した斜視図である。
【図8】遮光部材供給部30からウエハ5に対して遮光部材32を供給した状態、及び載置面22と同一平面であって載置面22と離間した位置から遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁の周辺の外気を吸引している状態を概略的に示した図である。
【図9】本発明の従来技術を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる半導体製造装置及び半導体装置の製造方法について、図面を参照して以下で詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
【0013】
図1は、本発明にかかる半導体製造装置の第1の実施形態を概略的に示した斜視図である。
【0014】
本発明の第1の実施形態にかかる半導体製造装置は、ウエハ1を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を有する半導体製造装置であって、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24が、載置面22に載置するウエハ1の直径の長さよりも短いことを特徴とする。なお、ウエハ1は本発明にかかる半導体製造装置には含まれないが、説明の便宜上、図1に示している。
【0015】
本発明の第1の実施形態にかかる半導体製造装置は、制御部10、ウエハ載置台20、及び遮光部材供給部30を備えており、例えば、ウエハの外縁に所望の液体を塗布することを目的とした液体塗布装置に適用可能である。
【0016】
ウエハ1は、一般的な半導体装置の製造に用いられるウエハであり、例えば6インチ、8インチ、又は12インチウエハである。点線矢印2は、ウエハ1の直径を示しており、6インチウエハであればその直径は150mm、8インチウエハであれば200mm、12インチであれば300mmである。
【0017】
制御部10は、ウエハ載置台20及び遮光部材供給部30の動作を制御する制御機構である。なお、第1の実施形態では制御部10をウエハ載置台20の動作制御と遮光部材供給部30の動作制御を行う機構として共通のものとして説明しているが、これに限られず、ウエハ載置台20の動作制御と遮光部材供給部30の動作制御が独立した制御機構によって各々独立して制御されても良いことはいうまでもない。また、制御部10においてウエハ載置台20及び遮光部材供給部30の動作以外の制御を行うことが可能であることもいうまでもない。
【0018】
ウエハ載置台20は、支柱21と載置面22とを備えており、載置面22が支柱21上に形成されて構成されている。支柱21は、制御部10の制御により載置面22を回転させる制御を行う。載置面22は、支柱21からの制御により、例えば載置面22の表面の重心23を回転軸として回転する。点線矢印24は、載置面22の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線であり、該第1の直線は、ウエハ1の直径よりも短く設計されている。載置面22は円形であることが好ましく、この場合には、載置面22の直径は、ウエハ1の直径よりも短く設計されている。また、載置面22が円形である場合には、載置面22は、載置面22の表面の中心を回転軸として回転する。半導体製造装置が6インチウエハに対応する場合には、第1の直線の長さは150mm未満であることが好ましく、8インチウエハに対応する場合には、第1の直線の長さは200mm未満であることが好ましく、12インチウエハに対応する場合には、第1の直線の長さは300mm未満であることが好ましい。また、半導体製造装置を6インチウエハと8インチウエハと12インチとに対応させる場合には、第1の直線の長さは150mm未満であることが好ましい。なお、載置面22の表面には、ウエハ1を真空吸着可能な吸着部25が少なくともひとつ設けられている。また、ウエハ載置台20は、支柱21と載置面22とが一体となっており、載置面22の回転は支柱21と一体的に行われる構成となっていても良い。
【0019】
遮光部材供給部30は、制御部10の制御に応じて供給口31より遮光部材を供給する。また、遮光供給部30は、制御部10の制御に応じてそれ自体が駆動可能であり配置を調整可能な構成となっている。遮光部材供給部30としては、連続、断続、又は局所的に液体を供給可能なディスペンサーが適用可能である。なお、供給される遮光部材は、遮光部材供給部30に蓄えられていても良いし、図示しない遮光部材貯蓄タンク等から遮光部材供給部30に供給される構成としても良い。
【0020】
続いて、図2乃至図4を用いて本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、ウエハ1の表面上に導電層2及びネガ型レジスト3が順次形成された第1のウエハとしてのウエハ5を準備する工程と、ウエハ5の外縁の少なくとも一部にネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程と、ネガ型レジスト3に対して露光を行う工程と、遮光部材32を除去する工程と、ネガ型レジスト3を現像する工程と、を有することを特徴とする。なお、図2は遮光部材供給部30からウエハ1に対して遮光部材を供給した状態を概略的に示した図である。図3は、遮光部材32を塗布後のウエハ5をウエハ5の表面側から見た上面図である。図4は、ネガ型レジスト3に対してレチクルパターン40を用いて露光を行う工程を概略的に示した上面図である。以下で詳細に説明する。
【0021】
まず、載置面22にウエハ1を配置する。ウエハ1の載置面22への配置は、種々知られた一般的な方法により行うことができる。このとき、ウエハ1の表面上には、ウエハ1を覆う導電層2と、導電層2を覆うネガ型レジスト3が順次形成された状態となっている。また、ネガ型レジスト3上にさらにネガ型レジスト3を覆って露光光を透過可能な保護膜4が形成されていても良い。保護膜4は、例えば、ポリエチレンテレフターレ(PET)を材料とし、ネガ型レジスト3を保護する役割を果たす。ネガ型レジスト3の厚さは、例えば120μmであり、保護膜4の厚さは22μmである。保護膜4はPETに限らず種々適用可能であり、その厚さも種々選択可能である。なお、ウエハ1上に導電層2、ネガ型レジスト3、及び保護膜4が順次形成されたウエハを、説明の便宜上、第1のウエハとしてのウエハ5と称する。
【0022】
次に、図示しないウエハ位置調整機構によって、ウエハ5の中心が載置面22の回転軸と一致するようにウエハ5の配置を調整する。このとき、ウエハ5は、ウエハ5の外縁が載置面22の端部から突出するように配置する。載置面22が円形である場合には、載置面22の中心とウエハ5の中心の位置とが載置面22の表面と垂直方向において一致するように配置調整される。なお、ウエハ位置調整機構の制御は、制御部10が行うようにしても良いし、これに限られない。また、ウエハ5の位置調整は、種々知られた一般的なウエハ位置調整機構により行うことができる。
【0023】
ウエハ5の載置面22上における配置調整が完了すると、図1に示した吸着部25によってウエハ5を載置面22に吸着固定する。
【0024】
次に、制御部10の制御により遮光部材供給部30を移動させ、ウエハ5との相対的な位置を調整する。遮光部材供給部30のウエハ5に対する配置は、遮光部材供給部30から供給される遮光部材をウエハ5の上方から、ウエハ5の外縁の少なくとも一部の表面上と側面とに跨って、厳密には、ウエハ5の外縁に位置するネガ型レジスト3の少なくとも一部の表面上と側面とに跨って塗布することが可能な位置とする。保護膜4が形成されている場合には、遮光部材供給部30から供給される遮光部材を、ネガ型レジスト3の表面上の少なくとも一部の保護膜4、保護膜4の側面、及びネガ型レジスト3の側面に跨って塗布することが可能な位置に遮光部材供給部30を配置することが好ましい。なお、遮光部材供給部30のウエハ5に対する配置は、上述の工程にて決定された実際のウエハ5の配置に基づいて決定されても良いし、ウエハ5の配置を考慮して予め定められた位置によって決定されても良い。遮光部材供給部30のウエハ5に対する配置を上述の工程にて決定されたウエハ5の配置に基づいて決定する場合には、ウエハ5の載置面22における位置情報を、図示しないカメラ等により確認し、該位置情報を制御部10に伝達し、制御部10が該位置情報に基づいて決定しても良い。遮光部材供給部30のウエハ5に対する配置をウエハ5の配置に基づいて決定することで、ウエハ5の配置を考慮して予め決定した位置とする場合に比べ、より精度の高いウエハ5に対する遮光部材32の配置を実現することが可能となる。
【0025】
次に、遮光部材供給部30から遮光部材32を供給し、ウエハ5の外縁のネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する。このとき、遮光部材供給部30から供給される遮光部材32は、上記遮光部材供給部30の配置調整の結果として、ウエハ5の外縁の少なくとも一部の表面上と側面、言い換えれば、ウエハ5の外縁のネガ型レジスト3の少なくとも一部の表面上と側面とに跨って塗布されることとなる。また、保護膜4が形成されている場合には、遮光部材供給部30から供給される遮光部材32は、ネガ型レジスト3の表面上の少なくとも一部の保護膜4、保護膜4の側面、及びネガ型レジスト3の側面に跨って塗布されることとなる。なお、遮光部材32としては、露光光であるG線、H線、I線の波長領域としての365nm〜436nmの波長領域に対して光を吸収するバンドギャップを備えたものであれば種々適用可能であり、例えばカーボンブラックを含有している。また、遮光部材32の粘度としては、ウエハ5の側面に塗布した際に該側面に一切密着しないということがない部材であれば広く適用可能であるが、例えば、5msecPa〜100msecPaであることが好ましい。
【0026】
また、制御部10から支柱21への制御により、支柱21は載置面22を回転させ、これに伴って吸着部25によって載置面22に吸着されたウエハ5が回転する。ウエハ5が回転すると、遮光部材供給部30から遮光部材32が連続的に供給され続けるに従い、遮光部材32がウエハ5の外縁に沿って連続的にネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って形成されることとなる。また、遮光部材供給部30からの遮光部材32の供給が断続的である場合には、遮光部材32がウエハ5の外縁に沿って断続的にネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って形成されることとなる。なお、ウエハ5の側面に塗布された遮光部材32は、ウエハ5の側面をつたって地面方向に滴り落ちることになるので、ウエハ5の裏面に回りこむおそれが少ない。
【0027】
遮光部材32をウエハ5に対して塗布した後、遮光部材32を硬化させる。但し、遮光部材32として別途の熱処理等が不要な自然乾燥可能な部材を使用することもでき、この場合には本硬化工程を省略することができるので製造コストの低減を図ることが可能である。
【0028】
ここで、図3に、遮光部材32を塗布後のウエハ5をウエハ5の表面側から見た上面図を示す。図3(a)は、ウエハ5の外縁に対して連続的に遮光部材32を塗布した場合のウエハ5を示しており、図3(b)は、ウエハ5の外縁に対して断続的に遮光部材32を塗布した場合のウエハ5を示している。なお、遮光部材32は、ウエハ5の外縁にてネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って形成されている箇所が少なくとも1箇所あれば、図3に挙げた例に限らず種々適用可能である。
【0029】
図4は、ネガ型レジスト3に対してレチクルパターン40を用いて露光を行う工程を概略的に示した上面図である。なお、本発明の第1の実施形態では、ステップ式投影露光によりネガ型レジスト3に対して露光を行う場合について説明するが、本発明を実施する場合においては、必ずしもレチクルパターン40を用いてネガ型レジスト3に対して露光を行う必要はない。
【0030】
まず、ネガ型レジスト3の上方に、図示しない所定のパターンが形成されたレチクルパターン40を配置し、さらにその上方に図示しないステップ式投影露光装置の露光光の照射口を配置する。そして、ステップ式投影露光装置の該照射口からレチクルパターン40を介してネガ型レジスト3に対して露光光を照射し、これによりネガ型レジスト3に対して所定のパターンを投影する。なお、ネガ型レジストは、露光光が照射された箇所が現像液に対して不溶性又は難溶性となり、露光光が照射されなかった箇所が現像液に対して溶性となる特性を持つ。このため、レチクルパターン40に形成されるパターンとしては、現像後にネガ型レジストを除去したい箇所に対して露光光が当たらないような遮光性のパターンが設定される。結果として、レチクルパターン40によって露光光が遮られたネガ型レジスト3の所定の箇所、及び遮光部材32によって露光光が遮られたネガ型レジスト3の所定の箇所が現像液に対して溶性となる。
【0031】
なお、図4に点線で示した格子状の領域の各々は、ステップ式投影露光による一回の露光処理により露光される領域であり、レチクルパターン40と一対一の関係にある。ステップ式投影露光法によれば、レチクルパターン40を介して図4の点線で示した領域を順次露光することでネガ型レジスト3に対して所定のパターンを照射することとなる。ここで、ステップ式投影露光を行う場合には、上述のようにレチクルパターン40によりネガ型レジスト3上の制限された領域に対して順次露光を行うこととなるが、ネガ型レジスト3に対し、所定のパターンを投影することに加え、ウエハ5の外縁にめっき用電極形成の目的のためにレチクルパターン40によらないパターンを形成する場合には、露光工程前にレチクルパターン40とは異なるパターンを形成する必要がある場合がある。本発明の第1の実施形態にかかる遮光部材32のウエハ5の外縁への塗布は、例えばこのような場合にも適用可能である。但し、本発明は、この場合に限られず、ウエハ5の外縁に遮光部材32を塗布する必要がある場合に広く適用可能だ得ることはいうまでもない。
【0032】
ネガ型レジスト3を露光後、遮光部材32を除去する。遮光部材32の除去は、例えばエタノール、アトセン、イソプロピルアルコール等によって行う。なお、ネガ型レジスト3上に保護膜4が形成されている場合には、保護膜4をネガ型レジスト3から剥離させることにより同時に遮光部材32をネガ型レジスト3から剥離させることができる。これは、ネガ型レジスト3上に保護膜4が形成されている場合には、遮光部材32が保護膜4の表面上に形成されていることと、保護膜4とウエハ5の側面とに跨って一体的に形成された遮光部材32が、保護膜4をネガ型レジスト3から剥離させる場合に一体的に剥離可能であることが理由である。なお、ネガ型レジスト3上に保護膜4を形成した場合であっても、遮光部材32を上述したエタノール等により行うことで、より遮光部材32の除去精度を向上させることが可能となる。
【0033】
遮光部材32を除去後、ネガ型レジスト3を現像する。ネガ型レジスト3の現像液としては一般に使用されている現像液が種々適用可能であるが、例えば濃度が1%程度の炭酸ナトリウム水溶液等のアクリル系の溶液を使用することができる。ネガ型レジスト3を現像すると、露光時にレチクルパターン40によってネガ型レジスト3に投影した所定のパターンに応じて導電層2が露出されるとともに、遮光部材32によって遮光されたパターンに応じて導電層2が露出される。
【0034】
ネガ型レジスト3を現像後は、例えば、遮光部材32に応じて露出した導電層2をめっき用電極として、レチクルパターン40によってネガ型レジスト3に投影した所定のパターンに応じて導電層2を露出させた箇所にめっき法により電極を形成することもできる。
【0035】
以上、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法によれば、ネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布することとしたので、ウエハ5の外縁のネガ型レジスト3に対して露光現像処理により所定のパターンを形成する場合に、ウエハ5の外縁に位置するネガ型レジスト3に対する露光光のウエハ5の側面からの回り込みをより防止することが可能となる。このため、半導体装置の製造においてより歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0036】
また、ネガ型レジスト上に保護膜を形成した場合には、保護膜上にのみ遮光部を形成していた特許文献1に開示された発明にあっては、保護膜の厚みに応じて生じた隙間から遮光部下のネガ型レジストにまで露光光が回り込んでしまう問題がより顕著に現れていたが、本発明の第1の実施形態に示すように、ネガ型レジスト3の表面上の少なくとも一部の保護膜4、保護膜4の側面、及びネガ型レジスト3の側面に跨って遮光部材32を塗布することとしたので、ネガ型レジスト3上に保護膜4を形成した場合であっても、ネガ型レジスト3を露光する工程においてウエハ4の側面側から回り込んだ露光光がネガ型レジスト3に照射されることがなくなる。
【0037】
また、本発明にかかる半導体製造装置によれば、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24が、載置面22に載置するウエハの直径の長さよりも短い構成としたので、ウエハ5の外縁が載置面22に対して突出するように載置面22にウエハ5を配置して、上述のネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程を行った場合であっても、塗布した遮光部材32はウエハ5の側面をつたって地面方向に滴り落ちることになるので、ウエハ5の裏面に回りこむことがなくなる。このため、その後の露光工程において、ウエハ5の裏面に遮光部材32が回り込んだ状態でウエハ5を露光装置の載置面22に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれが軽減される。よって、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【0038】
(第2の実施形態)
【0039】
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる半導体製造装置を概略的に示した斜視図である。
【0040】
第2の実施形態にかかる半導体製造装置は、ウエハ1を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を有する半導体製造装置であって、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24が、載置面22に載置するウエハ1の直径の長さよりも短いことを特徴とし、さらに、載置面22の中心側から端部側に向かうエアーを供給可能な送風機構50を備えていることを特徴とする。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一番号を付してその説明を省略する。
【0041】
送風機構50は、エアーを出力可能な送風口51を備えており、該送風口51から出力されるエアーが、載置面22の中心側から端部側向かって供給可能な構成となっている。また、送風機構50は制御部10により駆動可能となっており、該制御部10にて送風口51から出力される風向き、風圧を調整可能な構成となっている。なお、送風機構50が駆動可能となっていない場合には、送風口51は、載置面22の端部よりも支柱21側であって載置面22よりも下方に配置され、エアーが載置面22の下方から出力され、且つ載置面22の中心側から端部側に向かう方向に供給可能な構成となっている。また、送風機構50が駆動可能な構成となっていない場合であって、さらに遮光部材供給部30が駆動可能な構成となっていない場合には、送風口51は、送風口51から出力されるエアーが遮光部材供給部30の配置方向に対して送風可能な配置となっている。
【0042】
次に、図6を用いて本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、ウエハ5を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を備え、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24の長さが、載置面22に載置するウエハ5の直径の長さよりも短いことを特徴とする半導体製造装置を用い、ウエハ1の表面上に導電層2及びネガ型レジスト3が順次形成された第1のウエハとしてのウエハ5を準備する工程と、ウエハ5の外縁が載置面22の端部から突出するようにウエハ5を載置面22に載置する工程と、ウエハ5の外縁の少なくとも一部にネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程と、ネガ型レジスト3に対して露光を行う工程と、遮光部材32を除去する工程と、ネガ型レジスト3を現像する工程と、を備え、ウエハ5に対して遮光部材32を塗布する工程においては、ウエハ5の下方から、遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対して、載置面22の中心側から端部側向かって流れるエアーを供給することを特徴とする。なお、図6は遮光部材供給部30からウエハ5に対して遮光部材32を供給した状態、及びウエハ5の下方に配置された送風機構50から遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対してエアーが供給されている状態を概略的に示した図である。
【0043】
まず、第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法と同様に、ウエハ5を載置面22に配置し、ウエハ5の位置調整を行い、ウエハ5を載置面22に吸着固定する。また、遮光部材供給部30を移動させ、ウエハ5との相対的な位置を調整する。
【0044】
次に、送風機構50の位置調整を行う。送風機構50の配置を、送風口51から出力されるエアーが、ウエハ5の下方から、遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対して、載置面22の中心側から端部側に向かって供給可能な位置に調整する。なお、送風機構50の配置は、上述の工程にて決定された実際のウエハ5と遮光部材供給部30の配置に基づいて決定されても良いし、ウエハ5と遮光部材供給部30の配置を考慮して予め定められた位置によって定められても良い。送風機構50の配置を上述の工程にて決定されたウエハ5と遮光部材供給部30の配置に基づいて決定する場合には、ウエハ5及び遮光部材供給部30の各々の位置情報を、図示しないカメラ等により確認し、該位置情報を制御部10に伝達し、制御部10が該位置情報に基づいて決定しても良い。送風機構50の配置を、実際のウエハ5及び遮光部材供給部30の位置情報に基づいて決定することで、ウエハ5と遮光部材供給部30の配置を考慮して予め決定した位置とする場合に比べ、より精度の高いウエハ5及び遮光部材供給部30に対する送風機構50の配置を実現することが可能となる。
【0045】
次に、第1の実施形態と同様にして遮光部材供給部30から遮光部材32を供給し、ウエハ5の外縁のネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する。このとき、送風口51から出力されるエアーは、ウエハ5の下方から、遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対して、載置面22の中心側から端部側に向かって供給される。これにより、図6に示すように、送風口51から出力されたエアーによって、ウエハ5の側面を伝って滴り落ちた遮光部材32が載置面22の外側、すなわち載置面22の中心側とは逆側に向かって吹き飛ばされることとなる。このため、ウエハ5の側面を伝って滴り落ちた遮光部材32が表面張力等によってウエハ5の裏面に流れ込むおそれを軽減することができる。なお、載置面22が回転し、遮光部材供給部30からウエハ5の外縁に対して遮光部材32を連続的に供給している場合にはエアーは連続的に出力され、断続的に供給している場合には、エアーは遮光部材供給部30からウエハ5の外縁に対して遮光部材32が供給されるタイミングに同期して供給されても良い。また、送風口51から出力されるエアーの風圧は、例えば0.04MPaであるが、0.04MPa以上であって0.06MPaであることが好ましい。
【0046】
遮光部材32をウエハ5に対して塗布した後、遮光部材32を硬化させる。但し、遮光部材32として自然乾燥可能な部材を使用することもでき、この場合には本硬化工程を省略することができる。
【0047】
以上、本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法によれば、載置面22の中心側から端部側に向かうエアーを供給可能な送風機構50と、ウエハ5の外縁を載置面22の端部から突出するようにウエハ5を載置面22に配置する工程とを備え、ウエハ5の外縁のネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程において、ウエハ5の下方から、遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対して、載置面22の中心側から端部側に向かってエアーを供給するので、ウエハ5の側面をつたって滴り落ちる遮光部材32を載置面22の外側、すなわち載置面22の中心側とは逆側に吹き飛ばすことができ、遮光部材32が表面張力等によりウエハ5の裏面に流れ込むおそれを第1の実施形態に比べてさらに軽減することが可能となる。このため、その後の露光工程において、ウエハの裏面に遮光部材が回りこんだ状態でウエハを露光装置の載置面に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれが軽減される。よって、本発明にかかる半導体装置の製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【0048】
また、本発明の第2の実施形態にかかる半導体製造装置によれば、ウエハ1を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を有し、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24が、載置面22に載置するウエハ1の直径の長さよりも短いことを特徴とし、さらに、載置面22の中心側から端部側に向かうエアーを供給可能な送風機構50を備えているので、ウエハ5を載置面22の端部から突出させて載置面22に配置した上でウエハ5の外縁のネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程において、ウエハ5の下方から、遮光部材32が塗布されるウエハ5の外縁に対して、載置面22の中心側から端部側に向かってエアーを供給することができるので、ウエハ5の側面をつたって滴り落ちる遮光部材32を載置面22の外側、すなわち載置面22の中心側とは逆側に吹き飛ばすことができ、遮光部材32が表面張力等によりウエハ5の裏面に流れ込むおそれを第1の実施形態に比べてさらに軽減することが可能となる。このため、その後の露光工程において、ウエハの裏面に遮光部材が回りこんだ状態でウエハを露光装置の載置面に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれが軽減される。よって、本発明にかかる半導体装置の製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【0049】
(第3の実施形態)
【0050】
図7は、本発明の第3の実施形態にかかる半導体製造装置を概略的に示した斜視図である。
【0051】
第3の実施形態にかかる半導体製造装置は、ウエハ1を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を有する半導体製造装置であって、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24が、載置面22に載置するウエハ1の直径の長さよりも短いことを特徴とし、さらに、外気を吸引可能であり、且つ吸引孔が載置面22と同一平面上にて載置面22側を向いて配置可能な吸引機構60を備えていることを特徴とする。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一番号を付してその説明を省略する。
【0052】
吸引機構60は、図示しない吸引孔を備えており、外気を吸引可能な構成となっている。また、吸引機構60は制御部10により駆動可能となっており、制御部10の制御により、吸引孔が載置面22と同一平面上にて載置面22側を向いて配置可能な構成となっている。また、吸引機構60は、吸引力を調整可能な構成となっている。なお、吸引機構60が駆動可能となっていない場合には、吸引孔は、載置面22と離間し、且つ載置面22と同一平面上にて載置面22側を向いて配置されている。
【0053】
次に、図8を用いて本発明の第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。本発明の第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、ウエハ5を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を備え、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24の長さが、載置面22に載置するウエハ5の直径の長さよりも短いことを特徴とする半導体製造装置を用い、ウエハ1の表面上に導電層2及びネガ型レジスト3が順次形成された第1のウエハとしてのウエハ5を準備する工程と、ウエハ5の外縁が載置面22の端部から突出するようにウエハ5を載置面22に載置する工程と、ウエハ5の外縁の少なくとも一部にネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程と、ネガ型レジスト3に対して露光を行う工程と、遮光部材32を除去する工程と、ネガ型レジスト3を現像する工程と、を備え、ウエハ5に対して遮光部材32を塗布する工程においては、載置面22と同一平面であって載置面22と離間した位置から、遮光部材32を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を吸引することを特徴とする。なお、図8は、遮光部材供給部30からウエハ5に対して遮光部材32を供給した状態、及び遮光部材32を塗布する工程において、載置面22と同一平面であって載置面22と離間した位置から、遮光部材32を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を吸引している状態を概略的に示した図である。
【0054】
まず、第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法と同様に、ウエハ5を載置面22に配置し、ウエハ5の位置調整を行い、ウエハ5を載置面22に吸着固定する。また、遮光部材供給部30を移動させ、ウエハ5との相対的な位置を調整する。
【0055】
次に、吸引機構60の位置調整を行う。吸引機構60の配置を、吸引機構60の吸引孔が、載置面22と同一平面にて載置面22側を向き、載置面22と離間した位置から、遮光部材32を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を吸引可能な位置に調整する。なお、吸引孔がウエハの外縁の周辺の外気を吸引可能な位置とは、吸引機構60による吸引によって、後述の遮光部材32をウエハ5の外縁に塗布する工程において、ウエハ5の側面をつたって滴り落ちる遮光部材32の軌道を、吸引機構60側に少なからず引き寄せることが可能となる位置である。なお、吸引機構60の配置は、上述の工程にて決定された実際のウエハ5と遮光部材供給部30の配置に基づいて決定されても良いし、ウエハ5と遮光部材供給部30の配置を考慮して予め定められた位置によって定められても良い。吸引機構60の配置を上述の工程にて決定されたウエハ5と遮光部材供給部30の配置に基づいて決定する場合には、ウエハ5及び遮光部材供給部30の各々の位置情報を、図示しないカメラ等により確認し、該位置情報を制御部10に伝達し、制御部10が該位置情報に基づいて決定しても良い。吸引機構60の配置を、実際のウエハ5及び遮光部材供給部30の位置情報に基づいて決定することで、ウエハ5と遮光部材供給部30の配置を考慮して予め決定した位置とする場合に比べ、より精度の高いウエハ5及び遮光部材供給部30に対する吸引機構60の配置を実現することが可能となる。
【0056】
次に、第1の実施形態と同様にして遮光部材供給部30から遮光部材32を供給し、ウエハ5の外縁のネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する。このとき、吸引機構60は吸引孔からの吸引を行う。吸引機構60は、載置面22と同一平面であって載置面22と離間した位置から、遮光部材32を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を吸引する。これにより、図8に示されているように、ウエハ5の側面をつたって滴り落ちた遮光部材32は吸引機構60側に向かって地面方向に滴り落ちることとなる。このため、ウエハ5の側面を伝って滴り落ちた遮光部材32が表面張力等によってウエハ5の裏面に流れ込むおそれを軽減することができる。なお、載置面22が回転し、遮光部材供給部30からウエハ5の外縁に対して遮光部材32を連続的に供給している場合には吸引機構60による吸引を連続的に行い、連続的でない場合には、遮光部材供給部30からウエハ5の外縁に対して遮光部材32が供給されるタイミングに同期して吸引しても良い。
【0057】
遮光部材32をウエハ5に対して塗布した後、遮光部材32を硬化させる。但し、遮光部材32として自然乾燥可能な部材を使用することもでき、この場合には本硬化工程を省略することができる。
【0058】
以上、本発明の第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法によれば、ウエハ5の外縁を載置面22の端部から突出するようにウエハ5を載置面22に配置する工程を備え、ウエハ5の外縁のネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程において、載置面22と同一平面であって載置面22と離間した位置から、遮光部材32を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を吸引するので、ウエハ5の側面をつたって滴り落ちる遮光部材32を吸引機構60側に向かって地面方向に滴り落ちることとなり、遮光部材32が表面張力等によりウエハ5の裏面に流れ込むおそれを第1の実施形態に比べてさらに軽減することが可能となる。このため、その後の露光工程において、ウエハの裏面に遮光部材が回りこんだ状態でウエハを露光装置の載置面に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれが軽減される。よって、本発明にかかる半導体装置の製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【0059】
また、本発明の第3の実施形態にかかる半導体製造装置によれば、ウエハ1を載置する載置面22を備えたウエハ載置台20を有し、載置面22の表面の重心23をとおり且つ載置面22の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線としての点線矢印24が、載置面22に載置するウエハ1の直径の長さよりも短いことを特徴とし、さらに、外気が吸引可能であり、且つ吸引孔が載置面22と同一平面上に外気を吸引可能な吸引機構60を備えているので、ウエハ5を載置面22の端部から突出させて載置面22に配置した上でウエハ5の外縁のネガ型レジスト3の表面上と側面とに跨って遮光部材32を塗布する工程において、載置面22と同一平面であって載置面22と離間した位置から、遮光部材32を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を吸引することができるので、ウエハ5の側面をつたって滴り落ちる遮光部材32を吸引機構60側に向かって地面方向に滴り落ちることとなり、遮光部材32が表面張力等によりウエハ5の裏面に流れ込むおそれを第1の実施形態に比べてさらに軽減することが可能となる。このため、その後の露光工程において、ウエハの裏面に遮光部材が回りこんだ状態でウエハを露光装置の載置面に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれが軽減される。よって、本発明にかかる半導体装置の製造方法によって形成される半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【0060】
なお、本発明の第3の実施形態は、本発明の第2の実施形態と併用可能である。すなわち、第2の実施形態に示した送風機構50と、第3の実施形態に示した吸引機構60とを同一の半導体製造装置に適用可能であり、送風機構50と吸引機構60とを同一の半導体製造装置に適用した場合には、露光工程において、ウエハの裏面に遮光部材が回りこんだ状態でウエハを露光装置の載置面に配置した場合に想定される、露光光のネガ型レジストに対する焦点のずれが生じるという問題を引き起こすおそれを第2の実施形態及び第3の実施形態よりもさらに軽減することができ、さらなる半導体装置の歩留まりをより向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 ウエハ
2 導電層
3 ネガ型レジスト
4 保護膜
5 ウエハ
10 制御部
20 ウエハ載置台
21 支柱
22 載置面
23 重心
24 点線矢印
30 遮光部材供給部
31 遮光部材供給口
32 遮光部材
40 レチクルパターン
50 送風機構
51 送風口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの表面上に導電層及びネガ型レジストが順次形成された第1のウエハを準備する工程と、
前記第1のウエハの外縁の少なくとも一部の前記ネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材を塗布する工程と、
前記ネガ型レジストに対して露光を行う工程と、
前記遮光部材を除去する工程と、
前記ネガ型レジストを現像する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記遮光部材は、露光光を吸収するバンドギャップを備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記遮光部材は、365nm〜436nmの波長領域に対して光を吸収するバンドギャップを備えていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ネガ型レジストへの露光は、所定のパターンが形成された矩形のレチクルパターンを介して複数回に亘って前期ネガ型レジストに前記所定のパターンを投影することで行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ネガ型レジストの現像によって前記ネガ型レジスト除去して、前記レチクルパターンによって前記ネガ型レジストに投影した前記所定のパターンに応じて導電層を露出させるとともに、前記遮光部材に応じて前記導電層を露出させた後、
前記遮光部材に応じて露出した前記導電層をめっき用電極として、前記レチクルパターンによって前記ネガ型レジストに投影した前記所定のパターンに応じて導電層を露出させた箇所にめっき法により電極を形成することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1のウエハの前記ネガ型レジスト上には、露光光を透過可能な保護膜が形成されており、
前記保護膜を、前記ネガ型レジストへの露光後であって前記ネガ型レジストの現像前に除去する工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記遮光部材の塗布は、前記第1のウエハの外縁の少なくとも一部の前記ネガ型レジストの表面上の前記保護膜の表面と前記第1のウエハの側面とに跨って行うことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1のウエハを載置する載置面を備え、前記載置面の表面の重心をとおり且つ前記載置面の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線が、前記載置面に載置するウエハの直径の長さよりも短いウエハ載置台を有する半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記遮光部材を塗布する工程の前に、前記第1のウエハの外縁が前記載置面の端部から突出するように前記第1のウエハを前記載置面上に配置する工程を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載された半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体製造装置は、前記遮光部材を供給可能かつ駆動可能な遮光部材供給部を備え、
前記遮光部材を塗布する工程の前に、前記遮光部材供給部の配置を、前記第1のウエハの外縁の少なくとも一部に前記ネガ型レジストの表面上と側面とに跨って遮光部材を塗布可能な位置に調整することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記遮光部材供給部の配置は、前記載置面に配置された前記第1のウエハの位置情報に応じて行うことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記載置面の中心側から端部側向かって流れるエアーを供給可能な送風機構を備え、
前記遮光部材を塗布する工程においては、ウエハの下方から、前記遮光部材が塗布される前記ウエハの外縁に対して、前記載置面の中心側から端部側向かって流れるエアーを供給することを特徴とする請求項8乃至10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記送風機構は、前記ウエハの前記載置面上の位置情報と前記遮光部材供給部の位置情報に応じて移動可能であることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
外気を吸引可能な吸引機構を備え、
前記遮光部材を塗布する工程においては、吸引孔が前記載置面と同一平面であって前記載置面と離間した位置から、前記遮光部材を塗布する前記ウエハの外縁の周辺の外気を前記吸引機構にて吸引することを特徴とする請求項8乃至12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記吸引機構は、前記ウエハの前記載置面上の位置情報と前記遮光部材供給部の位置情報に応じて移動可能であることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
ウエハを載置する載置面を備えたウエハ載置台を有する半導体製造装置であって、
前記載置面の表面の重心をとおり且つ前記載置面の両端部を結ぶ直線のうち最も長い第1の直線が、前記載置面に載置するウエハの直径の長さよりも短いことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項16】
前記第1の直線の長さは、150mm未満であることを特徴とする請求項15に記載の半導体製造装置。
【請求項17】
前記載置面は、円形であることを特徴とする請求項15又は16に記載の半導体製造装置。
【請求項18】
前記載置面と同一平面よりも上方に、遮光部材を供給可能な供給口を移動可能な遮光部材供給機構を備えていることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項19】
前記載置面の中心側から端部側向かうエアーを供給可能な送風機構を備えていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項20】
外気を吸引可能であり、且つ吸引孔が前記載置面と同一平面にて載置面側を向いて配置可能である吸引機構を備えていることを特徴とする請求項15乃至19のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項21】
ウエハの外縁に液体を塗布することを目的とした液体塗布装置であることを特徴とする請求項15乃至20に記載の半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26520(P2013−26520A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161299(P2011−161299)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】