説明

半導体装置の製造方法

【課題】成形金型クリーニング用シートを用いた半導体装置の組み立てにおいて製造性を向上させる。
【解決手段】クリーニング用シート29は、成形金型のキャビティに対応した箇所に貫通孔29aが形成され、かつこれに加えて貫通孔29aの外周部の隅部にスリット29bやフローキャビティ用切り込み部29cが形成されており、前記成形金型の第1金型と第2金型との間に配置して前記成形金型の内部をクリーニングする際に用いられるものであり、前記成形金型のクリーニング効果の向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造技術に関し、特に、半導体装置用の成形金型内のクリーニングのクリーニング効果および製造性向上に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームを成形金型の主面間にクランプした状態で、メラミン樹脂などによって形成されるクリーニング用樹脂を成形金型内に注入し、リードフレーム上で硬化させることで、クリーニング用樹脂とともに汚れを除去して成形金型をクリーニングする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
型開きした金型のパーティング面同士の間に、溶融状態のクリーニング用樹脂が含浸および透過可能なシート状部材を介挿し、型閉じめした成形金型のキャビティ内に溶融状態のクリーニング用樹脂を充填する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−95010号公報
【特許文献2】特開平6−254866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂封止形の半導体装置の樹脂封止工程では、幾度も樹脂成形が繰り返されるため、封止用樹脂が充填される成形金型の内部、つまり一対の成形金型を形成する上金型および下金型のキャビティやランナおよびエアーベント、カルブロック周辺などに樹脂バリ、油分または塵埃などの汚れが蓄積する。
【0006】
このような汚れは、成形品質に悪影響を与え、また、成形金型から製品を取り出す時の離型性の低下にもなるので、一定のショット数おきに作業者が成形金型をクリーニングする必要がある。
【0007】
しかし、作業者による成形金型のクリーニングは、それが手作業であるためにかなりの時間を要することになるので、短時間で成形金型をクリーニングできる技術が要請されている。
【0008】
そこで、このような要請に応えるものとして、特開平1−95010号公報(特許文献1)に記載されているように、半導体チップの搭載されていないリードフレーム(以降、ダミーリードフレームと呼ぶ)を成形金型の主面(合わせ面)間にクランプし、メラミン樹脂などによって形成されるクリーニング用樹脂を成形金型内に注入、硬化させることで、クリーニング用樹脂表面に汚れを付着させ、クリーニング用樹脂とともに汚れを除去してクリーニングする方法が行われている。
【0009】
また、ダミーリードフレーム等を使わず、直接クリーニング用樹脂を高圧または常圧でキャビティ内に流し込む方法もある。
【0010】
しかし、この技術によれば、クリーニング用として高価なダミーリードフレームを使用することになるので不経済であるのみならず、成形金型にはそれに適合した特定形状のダミーリードフレームを所定の位置にセットしてクランプすることになるので、成形金型とダミーリードフレームとの位置決めのための精度が必要となる。さらに、成形したクリーニング用樹脂においてカル部やランナ部に形成された樹脂は、リードフレームから外れて分離し、この分離した樹脂を成形金型から除去するのにはかなりの時間を要するため作業性が悪い。また、分離したカル、ランナは、モールド装置摺動部にはさまり、その結果、故障の原因となることもある。
【0011】
そこで、このような問題を解決する技術として、以下に説明する技術が考案された。
【0012】
特開平6−254866号公報(特許文献2)に記載されているように、型開きした金型間に、クリーニング用樹脂が含浸および透過可能な綿布(不織布)からなるシート状部材をクランプし、型閉じめした成形金型のキャビティ内に溶融状態のクリーニング用樹脂を充填する工程からなるものである。
【0013】
前記公知例に記載されているように、クリーニング用樹脂および薬品が含浸および透過可能なシートを上下の金型の主面(合わせ面)の間に挟んだ状態で、液状のクリーニング用樹脂を注入することにより、成形金型とシートとの間で要求される位置決めの精度を低くすることができるばかりか、シートが上下の金型の主面の間に挟まれている部分にもク
リーニング用樹脂および薬品が浸透し、金型のクリーニングが行えるという利点がある。
【0014】
ところが、前記技術において、クリーニング用樹脂をキャビティに充填させる際に、シート状部材がキャビティ内で上下動(リフト)し、これにより、クリーニング用樹脂の流れに対してシート状部材が抵抗となってキャビティ内の隅々までクリーニング用樹脂が行き渡らないような現象が起こる。
【0015】
その結果、キャビティの隅に汚れが残存し、キャビティ内のクリーニングが不十分になることが問題とされる。
【0016】
ここで、成形金型の合わせ面には、キャビティの外周部の隅部にこれと連通するフローキャビティ(エアーや封止用樹脂をこれに逃がして、ゲートからのエアーの巻き込みやキャビティ内の封止用樹脂の充填バランスを良くするもの)やエアベントなどの凹部が形成されている。
【0017】
しかし、成形金型クリーニング用シートを用いた成形金型のクリーニングでは、キャビティの隅部付近にはクリーニング用樹脂が回り込み難く、その結果、クリーニング時にフローキャビティやエアベントにクリーニング用樹脂が入り込まずにフローキャビティやエアベントがクリーニングされず、したがって、クリーニング後の製品のモールド時にキャビティへの封止用樹脂の充填不足の問題が起こる。
【0018】
さらに、キャビティの隅部付近に封止用樹脂が回り込み難ければ、成形金型クリーニング用シートのキャビティの隅部付近に対応した箇所にクリーニング用樹脂が絡みつかないため、クリーニング終了後、成形金型の合わせ面から成形金型クリーニング用シートごとクリーニング用樹脂を離脱させる際にも、クリーニング用樹脂が残留して成形金型クリーニング用シートおよびクリーニング用樹脂の合わせ面からの除去に手間が掛かることが問題となる。
【0019】
また、細長い封止部を有するSOP(Small Outline Package)やマトリクスフレームを用いたQFN(Quad Flat Non−leaded Package)などのモールドを行う成形金型の合わせ面において、キャビティの外側端部と合わせ面の縁部との距離が比較的短い場合(例えば、10mm以下の場合)には、成形金型のクリーニング時に、キャビティから漏出したクリーニング用樹脂が成形金型クリ
ーニング用シートからはみ出て、成形金型の合わせ面から繋がる側面に亘って付着する。
【0020】
このような場合、成形金型の側面に付着したクリーニング用樹脂を除去するのには時間
がかかり、その結果、成形金型のクリーニング作業の効率が低下することが問題となる。
【0021】
本発明の目的は、成形金型のクリーニング効果の向上とクリーニング作業の時間短縮化とを図って製造性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0022】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0024】
すなわち、本発明は、(a)半導体チップを封止するためのキャビティを規定する凹部を含む上型と、前記上型に対向し、かつ半導体チップを封止するためのキャビティを規定する凹部を含む下型とを有する金型を準備する工程と、(b)その形状が前記キャビティの辺に沿って形成されている貫通孔を有する前記金型用のクリーニング用シートを準備する工程と、(c)前記クリーニング用シートの前記貫通孔が前記キャビティに配置され、かつ前記上型と前記下型の間に配置されるように前記クリーニング用シートを前記金型にセットする工程と、(d)前記クリーニング用シートを前記上型と前記下型で挟持する工程と、(e)その一部が前記クリーニング用シートの一部に接着されるように前記金型用のクリーニング用樹脂を前記キャビティ内に充填する工程と、(f)前記(e)工程の後、前記クリーニング用シートと前記クリーニング用樹脂を前記金型から除去する工程と、(g)前記(f)工程の後、前記半導体チップが前記キャビティ内に配置されるように、前記半導体チップを有するリードフレームを前記金型に配置する工程と、(h)前記(g)工程の後、封止用樹脂を前記キャビティ内に充填し、前記半導体チップを封止する工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0025】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0026】
成形金型のクリーニング作業の大幅な時間短縮を図ることができることと、成形金型のクリーニング効果を向上できることとにより、半導体装置の製造性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1の成形金型クリーニング用シートを用いてモールドを行うトランスファーモールド装置の構造の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すトランスファーモールド装置における樹脂成形部の構造を示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の成形金型クリーニング用シートの構造の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す樹脂成形部に設けられた成形金型の第2金型の合わせ面に成形金型クリーニング用シートを配置した状態の一例を示す平面図である。
【図5】図3に示す成形金型クリーニング用シートを用いた成形金型内のクリーニング時の状態の一例を示す部分断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置の構造の一例を一部断面にして示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2の成形金型クリーニング用シートの構造の一例を示す平面図である。
【図8】図7に示す成形金型クリーニング用シートを成形金型の合わせ面に配置した状態の一例を示す拡大部分平面図である。
【図9】図7に示す成形金型クリーニング用シートに対する変形例の成形金型クリーニング用シートの構造を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態3の成形金型クリーニング用シートの構造の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図11】図10に示す成形金型クリーニング用シートを成形金型の合わせ面に配置した状態の一例を示す平面図である。
【図12】図11に示すC−C線に沿う拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0029】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0030】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の成形金型クリーニング用シートを用いてモールドを行うトランスファーモールド装置の構造の一例を示す斜視図、図2は図1に示すトランスファーモールド装置における樹脂成形部の構造を示す部分断面図、図3は本発明の実施の形態1の成形金型クリーニング用シートの構造の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、図4は図2に示す樹脂成形部に設けられた成形金型の第2金型の合わせ面に成形金型クリーニング用シートを配置した状態の一例を示す平面図、図5は図3に示す成形金型クリーニング用シートを用いた成形金型内のクリーニング時の状態の一例を示す部分断面図、図6は本発明の半導体装置の製造方法によって製造された半導体装置の構造の一例を一部断面にして示す斜視図である。
【0033】
図1に示すトランスファーモールド装置はマルチポット型のものであり、例えば、図6に示す半導体チップ24およびこの半導体チップ24と電気的に接続されたインナリード20などを樹脂によって封止するために使用されるものである。
【0034】
このトランスファーモールド装置は、上金型である第1金型3と、これと一対を成す下金型である第2金型4と、第1金型3および第2金型4を備えた樹脂成形部5と、ワーク(ここでは、例えば、ダイボンディングとワイヤボンディングとを終えたリードフレーム)を樹脂成形部5に搬入するローダ1と、前記ワークを樹脂成形部5から取り出すアンローダ2とを有しており、前記トランスファーモールド装置において、半導体チップ24(図6参照)がボンディングされたリードフレームは、図1に示すローダ1から樹脂成形部5に搬入され、この樹脂成形部5で半導体チップ24などが樹脂封止される。なお、樹脂成形を終了した樹脂封止形の半導体装置であるQFP(Quad Flat Package)19は、アンローダ2に搬出されてここに収容される。
【0035】
さらに、図2に示す樹脂成形部5には、図6に示すQFP19の封止部22に対応した形状のキャビティ6と、カル7と、ランナ8と、ポット9と、プランジャ10と、エジェクタプレート11,15と、エジェクタピン12,16と、ゲート13と、エアベント14とが設けられている。
【0036】
また、図4に示すように、成形金型28(図2参照)の第2金型4の合わせ面26には、半導体チップ24が配置される所定形状のキャビティ6が複数箇所に形成されている(なお、キャビティ6は第1金型3の合わせ面26にも第2金型4と同様に形成されている)。
【0037】
また、第2金型4の所定の位置には、タブレットなどの封止用樹脂がセットされるシリンダ状のポット9が複数貫通して形成され、ポット9に対応する第1金型3のそれぞれの部分には、図2に示すようにカル7が設けられている。
【0038】
さらに、このカル7からは、前記した複数のキャビティ6が連通された複数のランナ8が分岐して形成されており、第1金型3と第2金型4とが密着された状態において、ポット9の上辺がカル7によって閉止されるとともに、カル7およびランナ8を介してポット9が複数のキャビティ6に連通されるようになっている。なお、キャビティ6の外側には、キャビティ6のエアーを外部に逃がして樹脂の充填を完全にするためのエアベント14が形成されている。
【0039】
次に、図3に示す本実施の形態1の成形金型クリーニング用シート(以降、単にクリーニング用シートと呼ぶ)17について説明する。
【0040】
クリーニング用シート17は、半導体チップ24のモールドを行っていない時に、成形金型28の第1金型3と第2金型4との間に配置して成形金型28の内部をクリーニングするものであり、第1金型3と第2金型4との間に配置された際に成形金型28の合わせ面(キャビティ以外のパーティング面)26全体を覆うとともに、成形金型28のキャビティ6に対応した貫通孔17aが形成されているものである。
【0041】
なお、本実施の形態1のクリーニング用シート17に形成された貫通孔17aは、キャビティ6の開口部6a(図2参照)とほぼ同形状に形成されている。
【0042】
すなわち、貫通孔17aは、第1金型3および第2金型4のキャビティ6の開口部6aの形状・大きさとほぼ同じか、それより僅かに小さい程度の四角形に形成されている。
【0043】
これにより、クリーニング時には、第1金型3と第2金型4とによってこのクリーニング用シート17のみをクランプし、この状態で図5に示すクリーニング用樹脂25をキャビティ6に供給することにより、キャビティ6内でクリーニング用樹脂25がクリーニング用シート17の貫通孔17aを通り抜け、その結果、キャビティ6内でクリーニング用樹脂25が抵抗となってクリーニング用シート17はリフトすることなくキャビティ6内の隅々に充填される。
【0044】
したがって、キャビティ6内を十分にクリーニングできる。
【0045】
また、本実施の形態1のクリーニング用シート17は、図4に示すように、第2金型4(第1金型3についても同様)の合わせ面26全体を覆う大きさ・形状のものである。
【0046】
すなわち、第2金型4の合わせ面26の外周各辺に設けられた上下金型の位置決め用の位置決めウェッチ18に案内される程度の大きさに形成されており、これにより、第2金型4の合わせ面26上にクリーニング用シート17を載置する際には、各辺の位置決めウェッチ18に合わせてクリーニング用シート17を載置すればよく、成形金型28との間で高精度な位置決めを行わなくて済む。
【0047】
また、本実施の形態1のクリーニング用シート17は、耐熱性および柔軟性を有する例えば100%の紙、布または不織布などによって形成されているが、そのうち不織布によって形成されていることが好ましい。
【0048】
さらに、クリーニング用シート17の厚さは、例えば、第1金型3と第2金型4とをクランプした際に、例えば、約0.6mm程度になるものである。
【0049】
また、図6に示すQFP19は、図1に示すトランスファーモールド装置によってモールドが行われて組み立てられた半導体装置の一例であり、半導体チップ24の電極とこれに対応するインナリード20とを電気的に接続するボンディングワイヤ21と、半導体チップ24、インナリード20およびボンディングワイヤ21を樹脂封止して形成された封止部22と、インナリード20と繋がり、かつこの封止部22から外部に突出する外部端子である複数のアウタリード23とによって構成され、それぞれのアウタリード23がガルウィング状に形成されているものである。
【0050】
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
【0051】
なお、前記半導体装置の製造方法は、図1に示すトランスファーモールド装置を用いた半導体チップ24のモールド(樹脂封止)工程と、図3に示すクリーニング用シート17を用いた前記トランスファーモールド装置の成形金型28の内部のクリーニング工程とを有するものである。
【0052】
まず、ワイヤボンディング工程において、半導体チップ24とワークであるリードフレームのインナリード20とをボンディングワイヤ21によって電気的に接続する。
【0053】
その後、モールド工程において、図1に示すトランスファーモールド装置を用いて半導体チップ24およびこの半導体チップ24と電気的に接続されたインナリード20、さらにボンディングワイヤ21を封止用樹脂によって樹脂封止する。
【0054】
ここで、本実施の形態1のモールド工程における前記樹脂封止(モールド)工程について説明する。
【0055】
まず、図2に示すプランジャ10の上に、プレヒータによって加熱された固体状の封止用樹脂(タブレット)をセットし、その後、半導体チップ24とインナリード20とがワイヤボンディングされたリードフレームを、図1に示すローダ1から樹脂成形部5に搬送する。
【0056】
この状態で、第2金型4を第1金型3に向けて接近移動させることにより、成形金型28を形成する第1金型3と第2金型4との間にキャビティ6を含めた空間を形成する。その後、溶融状態となった前記封止用樹脂をプランジャ10によってカル7へ押し出すと、前記封止用樹脂はランナ8およびゲート13を通ってキャビティ6内に流入する。
【0057】
さらに、キャビティ6に充填された前記封止用樹脂が、熱とキュアとにより熱硬化し、その後、第2金型4を下降移動すると型開きが行われる。
【0058】
続いて、エジェクタプレート15を下降移動させるとともに、エジェクタプレート11を上昇移動させる。これにより、エジェクタピン12,16が突出して型開きを完了し、樹脂封止された樹脂封止形のQFP(半導体装置)19の取り出しを行う。この樹脂封止では、一日に何百ショットと繰り返すため、前記封止用樹脂を充填する成形金型28の内部、つまり成形金型28の第1金型3と第2金型4との合わせ面(エアベント14やキャビティ6さらにランナ8やカル7周辺を含む)26に樹脂バリおよび油分や塵埃などの汚れ(付着物)が蓄積することになる。
【0059】
したがって、前記汚れを除去するために前記モールド工程における成形金型28のクリーニング工程を施す必要がある。
【0060】
なお、QFP19に対しては、その後、切断工程においてリードフレームの切断を行い、これにより、図6に示すようなQFP19の組み立てを終了する。
【0061】
続いて、本実施の形態1の前記クリーニング工程(成形金型のクリーニング方法)について説明する。
【0062】
まず、不織布によって形成され、かつ成形金型28の合わせ面26全体を覆うとともに、成形金型28のキャビティ6に対応した貫通孔17aが形成された図3に示すクリーニング用シート17を準備する。
【0063】
続いて、成形金型28の金型温度を、例えば、170℃〜180℃に設定する。
【0064】
その後、図4に示すように、貫通孔17aをキャビティ6に対応させてクリーニング用シート17を合わせ面26全体に配置し、この状態で、第2金型4を第1金型3に向けて接近移動させる。
【0065】
この接近移動により、クリーニング用シート17を第1金型3と第2金型4とによって挟んでクランプし、その後、クリーニング用樹脂25をキャビティ6に供給する。
【0066】
その際、図5に示すように、キャビティ6内においてクリーニング用樹脂25をクリーニング用シート17の貫通孔17aに通してキャビティ6内の隅々にクリーニング用樹脂25を充填させる。
【0067】
続いて、クリーニング用樹脂25を硬化させ、その後、第2金型4を下降移動させることにより、第1金型3と第2金型4とを離反させて型開きを行う。
【0068】
さらに、エジェクタプレート15を下降移動させるとともに、エジェクタプレート11を上昇移動させる。これにより、エジェクタピン12,16が突出して型開きを完了する。
【0069】
その後、クリーニング用樹脂25およびクリーニング用シート17を成形金型28から離型する。
【0070】
すなわち、クリーニング用シート17とこのシート上に樹脂成形されたクリーニング用樹脂25の取り出しを行う。
【0071】
これにより、成形金型28内のクリーニングが行われる。
【0072】
なお、図3に示すクリーニング用シート17を用いて成形金型28内をクリーニングした後、再び、着工(モールド)する際には、成形金型28のキャビティ6に半導体チップ24を配置し、その後、前記モールド方法と同様の方法により、キャビティ6に封止用樹脂を供給して半導体チップ24を樹脂封止する。
【0073】
本実施の形態1の成形金型クリーニング用シートおよびそれを用いた半導体装置の製造方法によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0074】
すなわち、クリーニング用シート17に、キャビティ6に対応した貫通孔17aが形成されていることにより、キャビティ6にクリーニング用樹脂25を供給して充填させる際に、クリーニング用樹脂25がクリーニング用シート17の貫通孔17aを通過できるため、クリーニング用樹脂25に含まれるフィラーや樹脂注入圧力に係わらず、キャビティ6内におけるクリーニング用樹脂25の流れを妨げずにキャビティ6の隅々までクリーニング用樹脂25を行き渡らせることができる。
【0075】
その結果、キャビティ6の隅々まで行き渡ったクリーニング用樹脂25によってキャビティ6の隅の汚れも除去することができる。
【0076】
これにより、成形金型28のキャビティ6のクリーニングを十分に行うことができ、したがって、クリーニング効果の向上を図ることができる。
【0077】
また、クリーニング用シート17が、クリーニング時に成形金型28の合わせ面26全体を覆うことにより、キャビティ6、合わせ面26(パーティング面)、カル7およびゲート13によって形成されるクリーニング用樹脂25がクリーニング用シート17によって繋がった状態となるため、クリーニング用樹脂25の硬化後、クリーニング用シート17を取り出す際に、クリーニング用シート17上でばらばらにならず一体となった状態で取り出すことができる。
【0078】
したがって、成形金型28へのクリーニング用シート17の着脱を容易に行うことができ、これにより、クリーニング後のクリーニング用シート17の処理も容易に行うことができる。
【0079】
その結果、クリーニング用シート17を用いたクリーニング作業の時間短縮化を図ることができる。
【0080】
また、クリーニング用シート17が成形金型28の合わせ面26全体を覆うことにより、成形金型28のポット9入り口やカル7周辺、さらにはエアベント14などでもクリーニング用樹脂25をクリーニング用シート17に絡ませて汚れを除去でき、その結果、レジンバリを除去でき、また、大幅な作業時間の低減を図れる。
【0081】
さらに、クリーニング用シート17が成形金型28の合わせ面26全体を覆うことにより、成形金型28においてクリーニング用樹脂25が接触しない箇所をクリーニングすることも可能である。
【0082】
また、成形金型28内にセットするリードフレームなどの枚数に限らず、クリーニング用シート1枚によって成形金型28の合わせ面26全体を覆うため、クリーニング用シート17の成形金型28に対しての高精度な位置決めが不要となる。
【0083】
その際、本実施の形態1のように、不織布によって形成されたクリーニング用シート17を用いることにより、従来のようなダミーリードフレームを用いる場合のような、成形金型28に対しての位置決め用ピンの加工や、位置決めピン孔の加工が不要になる。
【0084】
したがって、成形金型28のコストを低減できる。
【0085】
また、ダミーリードフレームを用いないため、ダミーリードフレームのずれに起因するずれ成形が発生しない。
【0086】
また、クリーニング用シート1枚によって成形金型28の合わせ面26全体を覆うため、モールド時に成形金型28内にセットする前記リードフレームの枚数に限らず、クリーニング用シート17を1枚セットすればよく、その結果、クリーニング作業の低コスト化を図ることができる。
【0087】
なお、本実施の形態1のクリーニング用シート17を用いることにより、クリーニング用の高価なダミーリードフレームを使用せずに済むため、成形金型28のクリーニング作業の低コスト化を図ることができる。
【0088】
また、クリーニング用シート17が、キャビティ6の開口部6aに対応した貫通孔17aを有し、かつクリーニング時に成形金型28の合わせ面26全体を覆うことにより、クリーニングの作業性を低下させることなく、クリーニング効果を向上できる。
【0089】
なお、本実施の形態1のQFP19などの半導体装置の製造工程においては、成形金型28のクリーニング作業の大幅な時間短縮を図ることができることと、成形金型28のクリーニング効果を向上できることとにより、前記半導体装置の製造性を向上できる。
【0090】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2の成形金型クリーニング用シートの構造の一例を示す平面図、図8は図7に示す成形金型クリーニング用シートを成形金型の合わせ面に配置した状態の一例を示す拡大部分平面図、図9は図7に示す成形金型クリーニング用シートに対する変形例の成形金型クリーニング用シートの構造を示す平面図である。
【0091】
本実施の形態2では、実施の形態1で説明した半導体装置の製造工程における図2に示す成形金型28のクリーニング工程で用いられる成形金型クリーニング用シートの変形例について説明する。
【0092】
すなわち、図7に示すクリーニング用シート(成形金型クリーニング用シート)29は、前記実施の形態1で説明したクリーニング用シート17と同様に成形金型28のキャビティ6に対応した箇所に貫通孔29aが形成されているとともに、これに加えて貫通孔29aの外周部の隅部にスリット29bやフローキャビティ用切り込み部29cなどの切り込み部が形成されているものである。
【0093】
なお、貫通孔29aは、成形金型28のキャビティ6とほぼ同じ大きさか、もしくはそれより僅かに小さい程度の大きさである。
【0094】
また、スリット29bおよびフローキャビティ用切り込み部29cは、図8に示すように、第2金型4のキャビティ6に連通するフローキャビティ27(凹部)に対応した箇所に形成されたものであり、そのうち、フローキャビティ用切り込み部29cは、フローキャビティ27の形状とほぼ同じ形状に形成された切り込み部である。
【0095】
ここで、フローキャビティ27は、樹脂注入時のキャビティ6内のエアーや封止用樹脂をこれに逃がして、ゲート13からのエアーの巻き込みやキャビティ6内の封止用樹脂の充填バランスを良くするものである。
【0096】
したがって、スリット29bおよびフローキャビティ用切り込み部29cは、成形金型28のクリーニング時に、キャビティ6に連通する凹部であるフローキャビティ27やエアベント14に対して、図5に示すクリーニング用樹脂25を十分に充填させるためのものである。
【0097】
すなわち、キャビティ6にクリーニング用樹脂25を注入すると、クリーニング用樹脂25がクリーニング用シート29の貫通孔29aを通ってキャビティ6に充填され、さらに、キャビティ6の隅部において、クリーニング用樹脂25がクリーニング用シート29のフローキャビティ用切り込み部29cやスリット29bを通り抜けてフローキャビティ27やエアベント14に流れ込む。
【0098】
これにより、フローキャビティ用切り込み部29cやスリット29bを介してクリーニング用樹脂25をクリーニング用シート29に絡みつかせることができ、この状態でクリーニング用樹脂25をフローキャビティ27やエアベント14に充填できる。
【0099】
その結果、クリーニング用樹脂25の硬化後のクリーニング用樹脂25の第2金型4からの除去を、クリーニング用シート29の成形金型28からの取り外しとともに行うことができる。
【0100】
なお、切り込み部としてスリット29bを形成するか、もしくはフローキャビティ用切り込み部29cを形成するかについては、第2金型4のゲート13から遠い箇所に配置されたフローキャビティ27にはクリーニング用樹脂25が比較的流れ込み難いため、スリット29bではなくフローキャビティ用切り込み部29cを形成することが好ましい。
【0101】
また、ゲート13側のフローキャビティ27にはクリーニング用樹脂25が比較的流れ込み易いため、ここにはスリット29bを形成する。
【0102】
したがって、図7、図8に示す変形例(図6に示すQFP19用のクリーニング用シート29)では、ゲート13から最も遠い箇所に配置されたフローキャビティ27のみをフローキャビティ用切り込み部29cとし、それ以外の三隅は、スリット29bとしている。
【0103】
これに対して、図9に示す変形例(BGA(Ball Grid Array)用のクリーニング用シート29)は、四隅にスリット29bを形成した場合を示しており、フローキャビティ用切り込み部29c(図7参照)やスリット29bをキャビティ6のいずれの隅部に形成するかは特に限定されるものではなく、また、スリット29bの幅や長さあるいはフローキャビティ用切り込み部29cの形状についても特に限定されるものではない。
【0104】
なお、本実施の形態2のクリーニング用シート29の素材や厚さについては、実施の形態1のクリーニング用シート17と同様である。
【0105】
さらに、本実施の形態2のクリーニング用シート29のその他の構造およびクリーニング用シート29を用いた半導体装置の製造方法については、実施の形態1で説明したクリーニング用シート17を用いた半導体装置の製造方法と同様であるため、その重複説明は省略する。
【0106】
本実施の形態2のクリーニング用シート29およびそれを用いた半導体装置の製造方法によれば、図2に示す成形金型28のクリーニング時にキャビティ6にクリーニング用樹脂25を注入した際に、クリーニング用シート29のスリット29bやフローキャビティ用切り込み部29cなどの切り込み部にクリーニング用樹脂25を通過させることができる。
【0107】
これにより、クリーニング時に、フローキャビティ27やエアベント14などの凹部にクリーニング用樹脂25を充填できるとともに、前記切り込み部を介してクリーニング用シート29にクリーニング用樹脂25を絡ませて付着させることができる。
【0108】
したがって、クリーニング用樹脂25の硬化後、第2金型4からクリーニング用シート29を剥離することにより、第2金型4の合わせ面26の前記凹部(フローキャビティ27やエアベント14)に充填されたクリーニング用樹脂25が除去されるため、前記凹部のクリーニング効果を向上できるとともに、クリーニング用シート29ごと確実にクリーニング用樹脂25を除去でき、したがって、クリーニング用樹脂25の前記凹部からの除去を容易に行うことができる。
【0109】
その結果、クリーニング用シート29を用いた成形金型28のクリーニング時間の短縮化を図ることができる。
【0110】
なお、第2金型4のゲート13に対向する箇所(ゲート13から比較的離れた箇所)の前記凹部に対応したフローキャビティ用切り込み部29cやスリット29bなどの前記切り込み部を、この凹部に応じた形状とすることにより、前記凹部のクリーニング効果をさらに向上できる。
【0111】
(実施の形態3)
図10は本発明の実施の形態3の成形金型クリーニング用シートの構造の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図、図11は図10に示す成形金型クリーニング用シートを成形金型の合わせ面に配置した状態の一例を示す平面図、図12は図11に示すC−C線に沿う拡大部分断面図である。
【0112】
本実施の形態3では、実施の形態2と同様、実施の形態1で説明した半導体装置の製造工程における図2に示す成形金型28のクリーニング工程で用いられる成形金型クリーニング用シートの変形例について説明する。
【0113】
すなわち、図10に示す枠付きクリーニング用シート(成形金型クリーニング用シート)30は、前記実施の形態1で説明したクリーニング用シート17と同様に、成形金型28の合わせ面26全体を覆うとともにキャビティ6に対応した箇所に貫通孔30bが形成されたクリーニング用シート30aと、成形金型28の合わせ面26の複数のキャビティ6の外側に合わせ面26の周縁部26aに沿って配置可能な枠状の補強シート30cとからなるものである。
【0114】
なお、クリーニング用シート30aに形成された貫通孔30bは、成形金型28のキャビティ6とほぼ同じ大きさか、もしくはそれより僅かに小さい程度の大きさである。
【0115】
ここで、本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30は、図12に示すように成形金型28のクリーニング時のクリーニング用樹脂25(図5参照)の注入の際に、下金型である第2金型4と上金型である第1金型3とによる成形金型28のクランプ時のキャビティ6の外側のクランプ力を大きくして、成形金型28の合わせ面26からのクリーニング用樹脂25の漏出を防ぐものである。
【0116】
すなわち、図10に示すように、枠付きクリーニング用シート30は、図11に示すキャビティ6に応じて貫通孔30bが形成されたクリーニング用シート30aと、第2金型4の合わせ面26の複数のキャビティ6の外側に合わせ面26の周縁部26aに沿って配置可能な枠状の補強シート30cとを張り合わせたものである。
【0117】
これにより、成形金型28のクリーニングを行う際には、図11に示すように、クリーニング用シート30aの貫通孔30bをキャビティ6に対応させて合わせ面26全体にクリーニング用シート30aを配置し、かつ、枠状の補強シート30cを複数のキャビティ6の外側に合わせ面26の周縁部26aに沿って合わせ面26に配置する。
【0118】
なお、本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30は、図10に示すようなクリーニング用シート30aと補強シート30cとが予め張り付けられているものであり、したがって、クリーニングを行う際には、枠付きクリーニング用シート30を第2金型4の合わせ面26上に配置する。
【0119】
その後、図12に示すように、クリーニング用シート30aおよび補強シート30cを第1金型3と第2金型4とによってクランプし、さらに、このクランプ状態のキャビティ6に、図5に示すように、クリーニング用樹脂25を注入してキャビティ6にクリーニング用樹脂25を充填し、クリーニング用樹脂25を硬化させた後、成形金型28の合わせ面26からクリーニング用シート30aごとクリーニング用樹脂25を取り除いて成形金型28をクリーニングする。
【0120】
なお、図10に示す枠付きクリーニング用シート30は、例えば、半導体装置において比較的細長い封止部22(図6参照、ただし、図6に示すQFP19は、封止部22がほぼ正方形である)を有したSOPやマトリクスフレームを用いたQFNなどの半導体装置のモールドを行う際に、これらの成形金型28の合わせ面26において、キャビティ6の外側端部と合わせ面26の周縁部26aとの距離(図11および図12に示すL)が比較的短い場合(例えば、Lが10mm以下の場合)には、成形金型28のクリーニング時にキャビティ6から漏出したクリーニング用樹脂25が成形金型クリーニング用シートからはみ出て、成形金型28の合わせ面26から繋がる側面に亘って付着することがあるため、前記Lが10mm以下となるようなSOPやQFN用の成形金型28のクリーニングに対して、より有効である。
【0121】
ここで、枠状の補強シート30cは、例えば、厚さ0.1〜0.2mm程度であって、不織布、紙、銅またはフッ素樹脂などによって形成されていることが好ましい。
【0122】
さらに、本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30のように、クリーニング用シート30aと補強シート30cとが予め張り付けられていてもよく、あるいは両者を張り付けずにそれぞれ準備して、クリーニング時に、成形金型28の合わせ面26に順次配置してクリーニングのモールドを行ってもよい。
【0123】
また、本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30は、SOPやQFN以外のマトリクスフレームを用いた半導体装置、あるいはテープ基板を用いたBGAなどに対しても有効である。
【0124】
なお、本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30におけるクリーニング用シート30aの素材や厚さについては、実施の形態1のクリーニング用シート17と同様である。
【0125】
さらに、本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30を用いた半導体装置の製造方法については、実施の形態1で説明したクリーニング用シート17を用いた半導体装置の製造方法と同様であるため、その重複説明は省略する。
【0126】
本実施の形態3の枠付きクリーニング用シート30およびそれを用いた半導体装置の製造方法によれば、成形金型28のクリーニング時に、枠付きクリーニング用シート30のクリーニング用シート30aの貫通孔30bをキャビティ6に対応させて合わせ面26全体に配置するとともに、補強シート30cを複数のキャビティ6の外側に合わせ面26の周縁部26aに沿って合わせ面26に配置して、枠付きクリーニング用シート30を成形金型28の第1金型3と第2金型4とによってクランプしてクリーニングを行うことにより、成形金型28のクランプ力を向上でき、その結果、クリーニング時のクリーニング用樹脂25の成形金型28の合わせ面26からの漏出を防止できる。
【0127】
したがって、成形金型28の側面にクリーニング用樹脂25が付着することを防げるため、これを除去する手間がなくなり、その結果、成形金型28のクリーニング作業の効率を向上できる。
【0128】
また、補強シート30cが張り付けられた枠付きクリーニング用シート30を用いることにより、クリーニング時のクリーニング用樹脂25の成形金型28の合わせ面26からの漏出を防止できるため、クリーニング用樹脂25をキャビティ6およびフローキャビティ用切り込み部29c(図8参照)などの凹部に十分に充填することができ、その結果、キャビティ6およびフローキャビティ用切り込み部29cなどの凹部のクリーニング効果を向上できる。
【0129】
なお、特に、成形金型28におけるキャビティ6の外側端部と合わせ面26の周縁部26aとの距離が比較的短い際に(例えば、図11に示す距離Lが10mm以下の場合)、補強シート30cを有した枠付きクリーニング用シート30は特に効果的である。
【0130】
また、補強シート30cを有した枠付きクリーニング用シート30を用いることにより、クリーニング時のクリーニング用樹脂25の成形金型28の合わせ面26からの漏出を防止できるため、成形金型28の合わせ面26に対しての枠付きクリーニング用シート30の装着および取り外しを容易に行うことが可能になる。
【0131】
さらに、クリーニング用シート30aが不織布である場合に、補強シート30cを用いることにより、クリーニング用シート30aの伸縮を防止することができ、その結果、成形金型28のクリーニング作業の効率をさらに向上できる。
【0132】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0133】
例えば、前記実施の形態1,2,3においては、クリーニング用シート17,29,30aが不織布によって形成されている場合を説明したが、クリーニング用シート17,29,30aの材質は、不織布に限定されずに紙や他の布などの他の材質のものであってもよい。
【0134】
また、クリーニング用シート17,29,30aの厚さについても前記実施の形態1,2,3で説明したものに限定されず、種々の厚さのものを用いることができる。
【0135】
さらに、クリーニング用シート17,29,30aの大きさについても、成形金型28の合わせ面26をほぼ全体に亘って覆う大きさであれば、合わせ面26より若干小さくてもよい。
【0136】
また、クリーニング用シート17,29,30aに形成された貫通孔17a,29a,30bについても、その形状や形成数は、前記実施の形態1,2,3のものに限定されずに様々な形状や形成数であってよく、さらに、大きさについても、キャビティ6の開口部6aとほぼ同じか、あるいはクリーニング用樹脂25が通過可能な程度の大きさであればキャビティ6の開口部6aより大きくても、または小さくてもよい。
【0137】
なお、前記実施の形態1,2,3の成形金型28は、リードフレームが多連の一列形のものであってもよく、また、マトリクスフレームであってもよく、何れの場合であっても、クリーニング作業の低コスト化を図ることができる。
【0138】
また、前記実施の形態1,2においては、図1に示すトランスファーモールド装置によってモールドされる半導体装置が、図6に示すQFP19の場合について説明したが、前記半導体装置は、QFP19に限らず、前記トランスファーモールド装置によってモールドが行われて組み立てられる半導体装置であれば、SOPなどの他の半導体装置であってもよい。
【0139】
さらに、前記実施の形態1,2,3の成形金型28においては、第1金型3を上型とし、第2金型4を下型として説明したが、これと反対に第1金型3を下型とし、第2金型4を上型としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、成形金型クリーニング用シートを用いた半導体装置の製造技術に好適である。
【符号の説明】
【0141】
1 ローダ
2 アンローダ
3 第1金型
4 第2金型
5 樹脂成形部
6 キャビティ
6a 開口部
7 カル
8 ランナ
9 ポット
10 プランジャ
11 エジェクタプレート
12 エジェクタピン
13 ゲート
14 エアベント
15 エジェクタプレート
16 エジェクタピン
17 クリーニング用シート(成形金型クリーニング用シート)
17a 貫通孔
18 位置決めウェッチ
19 QFP(半導体装置)
20 インナリード
21 ボンディングワイヤ
22 封止部
23 アウタリード
24 半導体チップ
25 クリーニング用樹脂
26 合わせ面
26a 周縁部
27 フローキャビティ
28 成形金型
29 クリーニング用シート
29a 貫通孔
29b スリット
29c フローキャビティ用切り込み部
30 枠付きクリーニング用シート
30a クリーニング用シート
30b 貫通孔
30c 補強シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)第1金型、前記第1金型に形成された第1キャビティ、前記第1キャビティに繋がるゲート、前記第1キャビティに繋がるフローキャビティ、および前記第1金型と対向する第2金型を備えた成形金型を準備する工程;
(b)半導体チップを有するリードフレームを、前記半導体チップが前記第1キャビティの内部に位置するように、前記第1金型と前記第2金型との間に配置し、前記ゲートを介して前記第1キャビティ内に封止用樹脂を供給し、前記封止用樹脂で前記半導体チップを封止する工程;
(c)前記第1金型と前記第2金型との間にクリーニング用シートを配置し、前記ゲートを介して前記第1キャビティ内にクリーニング用樹脂を供給し、前記成形金型をクリーニングする工程;
ここで、
前記第1キャビティの平面形状は、四角形から成り、
前記ゲートは、前記第1キャビティの第1角部に繋がっており、
前記フローキャビティは、平面視において、前記第1キャビティの中心部を介して前記第1角部と対向する第2角部に繋がっており、
前記(b)工程では、前記封止用樹脂は前記第1キャビティを介して前記フローキャビティ内に供給され、
前記(c)工程では、前記クリーニング用樹脂は前記第1キャビティを介して前記フローキャビティ内に供給される。
【請求項2】
請求項1において、
前記クリーニング用シートは、前記フローキャビティ用の切り込み部を有しており、
前記(c)工程では、前記クリーニング用シートは、平面視において、前記切り込み部が前記フローキャビティと重なるように、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、
前記(c)工程では、前記クリーニング用樹脂は、前記第1キャビティおよび前記切り込み部を介して前記フローキャビティ内に供給されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1金型は、前記第1キャビティの第3角部に形成され、前記第1キャビティに繋がるエアベントを備えており、
前記(b)工程では、前記第1キャビティ内に残存するエアを前記エアベントを介して押し出すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記クリーニング用シートは、前記エアベント用のスリットを有しており、
前記(c)工程では、前記クリーニング用シートは、平面視において、前記スリットが前記エアベントと重なるように、前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、
前記(c)工程では、前記クリーニング用樹脂は、前記第1キャビティおよび前記スリットを介して前記エアベント内に供給されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3において、
前記第2金型は、前記第1キャビティと対向する第2キャビティを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−10702(P2010−10702A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230070(P2009−230070)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願2006−243586(P2006−243586)の分割
【原出願日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(000233594)株式会社ルネサス北日本セミコンダクタ (34)
【Fターム(参考)】