半導体装置の製造方法
【課題】半導体素子と一対の電極とを1回の接合で、一対の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を適切に規定した状態で互いに接合することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の電極4上に、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2を介して、半導体素子1を配置する工程と、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する工程と、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させて、半導体素子1と第1のはんだ2および第2のはんだ3とをそれぞれ接合させるリフロー工程とを有し、リフロー工程において、第1のはんだ2が溶融することで、位置決め部材21により第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向の位置が決定され、第2のはんだ3が溶融することで、第2の電極5に対する半導体素子1の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【解決手段】第1の電極4上に、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2を介して、半導体素子1を配置する工程と、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する工程と、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させて、半導体素子1と第1のはんだ2および第2のはんだ3とをそれぞれ接合させるリフロー工程とを有し、リフロー工程において、第1のはんだ2が溶融することで、位置決め部材21により第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向の位置が決定され、第2のはんだ3が溶融することで、第2の電極5に対する半導体素子1の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子を、第1の電極と第2の電極との間に配置し、半導体素子と、第1の電極および第2の電極とをそれぞれ接合してなる半導体装置の製造方法において、まず、半導体素子と第1の電極とを接合して、第1の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を規定し、その後、半導体素子と第2の電極とを接合して、第2の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を規定する半導体装置の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−274177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、半導体素子と第1の電極とを接合し、その後、半導体素子と第2の電極とを接合する、すなわち、2回の接合を行う必要があるため、半導体装置の製造工程が多くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、半導体素子と一対の電極とを、1回の接合で、一対の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を適切に規定した状態で、互いに接合することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の電極上に、第1の電極に対する半導体素子の厚み方向の位置を規定するための位置決め部材を含有する第1のはんだを介して、半導体素子を配置するとともに、半導体素子の第1の電極に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだを介して、第2の電極を配置し、第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させて、半導体素子と第1の電極、および、半導体素子と第2の電極とを、それぞれ接合することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させた際に、第1の電極に対する半導体素子の厚み方向の位置を位置決め部材で規定することができるため、一対の電極に対して半導体素子が傾いてしまうことを有効に防止しつつ、一回の接合により、半導体素子と一対の電極とを接合して、半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【図4】第1のはんだの厚みと、半導体素子の傾きとの関係を説明するための図である。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【図8】第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【図11】第1の電極のメッキ処理と、半導体素子の傾きとの関係を説明するための図である。
【図12】第4実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図13】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図14】第4実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の本実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の半導体装置の一例を示す断面図、図2は、図1に係る半導体装置の製造方法を説明するための図であり、図3は、図1に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【0011】
本実施形態に係る半導体装置100は、図1に示すように、三相インバータブリッジ回路を個別に構成するIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのトランジスタまたはダイオード(整流素子)からなる半導体素子1を有している。そして、この半導体装置100は、スイッチング素子の導通/非導通を制御することにより、直流電源からの直流電流を三相交流電流に変換することが可能となっており、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等の電動車両用駆動モーターへ電力を供給するインバータ装置に用いられる。
【0012】
半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向側)の面上には、第1のはんだ2を介して、第1の電極4が電気的に接続されている。また、半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向側)の面上には、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が電気的に接続されている。なお、半導体素子1がIGBTの場合には、半導体素子1の第1の電極4が接続される主面がコレクタ電極となり、半導体素子1の第2の電極5が接続される主面がエミッタ電極となる。
【0013】
第1の電極4および第2の電極5は、電気導電性および熱伝導性が良好な材料からなり、このような材料としては、たとえば、銅、アルミニウム、または、これらの合金が挙げられる。また、第1の電極4および第2の電極5は、特に図示しないが、半導体装置100外部の配線部材を介して、モーター、コンデンサまたはバッテリー等の強電回路に電気的に接続されている。なお、第1の電極4および第2の電極5は、図1に示すように、それぞれ、半導体装置100の外部に露出しており、半導体素子1から伝達された熱を半導体装置100の外部に放熱する放熱板としての機能も有する。
【0014】
第1のはんだ2および第2のはんだ3は、後述するリフロー工程において、溶融、凝固させることが可能な組成からなるはんだであり、同じ組成のはんだとすることが好ましい。本実施形態では、第1のはんだ2および第2のはんだ3として、スズが90重量%以上のものが用いられる。
【0015】
また、第1のはんだ2には、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定するための位置決め部材21が複数含有されている。これら複数の位置決め部材21は、たとえば、第1のはんだ2よりも高い融点を有する金属などからなり、それぞれ、同じ大きさの球状に形成されている。なお、位置決め部材21の形状は、球状に特に限定されず、たとえば、立方体などの形状としてもよい。
【0016】
第1の電極4上には、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するためのスペーサ61,62が設けられている。スペーサ61,62は、たとえば、耐熱性の絶縁部材である樹脂やセラミックスなどからなり、図1に示すように、Z軸方向における第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定する。
【0017】
半導体素子1、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間には、半導体素子1、第1の電極4、および第2の電極5を封止するための樹脂封止部7が形成されている。樹脂封止部7は、たとえば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの熱硬化性の樹脂からなり、このような樹脂を、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62により囲われた空間内に充填した後に、充填した樹脂を熱硬化させることで形成される。
【0018】
次いで、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。
【0019】
まず、第1の電極4上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられる。
【0020】
そして、図2に示すように、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して、重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1を配置する第1の配置工程が行われる。
【0021】
次いで、図2に示すように、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して、重力方向上側(Z軸正方向)に位置するように、半導体素子1の第1の電極3に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する第2の配置工程が行われる。これにより、図2に示す半導体素子1のモジュールが構成される。
【0022】
そして、図2に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れ、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および半導体素子1と第2の電極5とを、それぞれ同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0023】
ここで、図3は、第1実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。本実施形態では、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図3(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FBとが、半導体素子1にかかる。
【0024】
半導体素子1の重力方向上側に配置された第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAは、図3(B)に示すように、第2のはんだ3自体の自重による力FA1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FA2とを合成した力であり、下記式(1)のように表すことができる。
FA=FA1−FA2 ・・・(1)
【0025】
また、半導体素子1の重力方向下側に配置された第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FBは、図3(C)に示すように、半導体素子1に対する第1のはんだ2の表面張力FB1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FB2とを合成した力であり、下記式(2)のように表すことができる。
FB=FB1−FB2 ・・・(2)
【0026】
そして、第1実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを融解させた際における、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FBとが、下記式(3)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた場合に、半導体素子1は重力方向下側(Z軸負方向側)に押され、半導体素子1が、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み込む。
FG+FB>FA ・・・(3)
【0027】
このように、半導体素子1が、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み込むことで、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置が、位置決め部材21により規定される。
【0028】
さらに、本実施形態では、このリフロー工程において、図示しない重りを介して、第2の電極5が、第1の電極4が位置するZ軸負方向側に押圧される。これにより、第2のはんだ3が押し潰されて、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みが、第1の電極4に設けられたスペーサ61,62により規定された厚みにされるとともに、第2の電極5に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置が規定される。
【0029】
そして、半導体素子1、第1の電極4、および第2の電極5を封止するために、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行われる。このように樹脂封止部7を形成することで、半導体素子1、第1の電極4、および第2の電極5を封止することができる。そして、以上の工程により、図1に示す半導体装置100が製造される。
【0030】
なお、上記第1の配置工程において、第1の電極4上に第1のはんだ2を配置する際に、第1のはんだ2の量は、半導体素子1と第1の電極4との接合を確保することができ、かつ、リフロー工程において第1のはんだ2を溶融させた後に、位置決め部材21により、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定することができる量とされる。これにより、半導体素子1と第1の電極4との接合を確保しながら、半導体素子1を、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み易くさせることができ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、より容易に規定することができる。なお、本実施形態では、位置決め部材21の厚みが50〜80μm、第1のはんだ2の厚みが80〜120μmとなるように設計されている。
【0031】
また、上記第2の配置工程において、第2のはんだ3を半導体素子1上に配置する際に、第2のはんだ3の厚みは、リフロー工程後の第2のはんだ3の設計上の厚みよりも厚くなるように形成される。図1に示すように、第1の電極4および第2の電極5の間の厚みはスペーサ61,62により規定されるため、リフロー工程後の第2のはんだ3の厚みは、スペーサ61,62により規定されている第1の電極4および第2の電極5との間の厚みから、位置決め部材21の厚みおよび半導体素子1の厚みを除いた厚みとなる。そのため、スペーサ61,62、位置決め部材21、および半導体素子1の厚みを予め設計しておくことで、リフロー工程後の第2のはんだ3の厚みを予め設計することができ、これにより、第2の配置工程において半導体素子1に配置する第2のはんだ3の厚みを決定することができる。このように、第2の配置工程において半導体素子1に配置する第2のはんだ3の厚みを、リフロー工程後の第2のはんだ3の設計上の厚みよりも厚くすることで、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させて、半導体素子1が重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込んだ場合に、第2のはんだ3が不足しまうことを有効に防止することができる。また、このように、第2のはんだ3の厚みを厚くすることで、第2のはんだ3の重量が増え、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込ませることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態では、図2に示すように、第1のはんだ2が半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1を、第1のはんだ2を介して、第1の電極4上に配置する第1の配置工程が行われ、そして、第2のはんだ3が、半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極2に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する第2の配置工程が行われる。そして、第1のはんだ2および第2のはんだ3をはんだ付け炉で溶融、凝固させるリフロー工程が行われる。これにより、本実施形態では、1回のリフロー工程において、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを、それぞれ同時に接合することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、第1のはんだ2に位置決め部材21を含有しており、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力が上記式(3)の関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されている。そのため、リフロー工程において第1のはんだ2を溶融させることで、半導体素子1が重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込み、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21の高さ位置で適切に規定することができる。また、本実施形態では、第1の電極4と第2の電極5との間の厚さをスペーサ61,62が設けられており、リフロー工程において第2のはんだ3を溶融させて、第1の電極4と第2の電極5との間の厚さをスペーサ61,62により規定することで、第2の電極5に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を適切に規定することができる。
【0034】
さらに、第1実施形態では、半導体素子1が位置決め部材21の位置まで沈み込み、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置が規定されることにより、半導体素子1の傾きを、位置決め部材21で有効に抑制することができる。そのため、第1実施形態では、半導体素子1が傾いてしまうことで、半導体素子1上に配置された第2のはんだ3が流れ落ちてしまうことを有効に防止することができ、その結果、第1の電極4と第2の電極5との間で短絡が生じてしまうことを有効に防止することができる。
【0035】
特に、本実施形態では、第1の配置工程において、第1の電極4上に配置する第1のはんだ2の量を、半導体素子1と第1の電極4との接合を確保することができ、かつ、リフロー工程において第1のはんだ2を溶融させた後に、位置決め部材21により、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定することができる量とすることで、半導体素子1を、位置決め部材21の高さ位置まで沈み込み易くすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に防止することができる。
【0036】
ここで、図4は、第1のはんだ2の厚みと、半導体素子1の傾きとの関係を示す図であり、図4(A)は、半導体素子1がFRD(Fast Recovery Diode)である場合、図4(B)は、半導体素子1がIGBTである場合に、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測した結果を示すグラフである。また、図4(A)、図4(B)に示すグラフにおいて、(a)は、第1の配置工程において、第1の電極4上に配置した第1のはんだ2の厚みを、120μmとした場合の結果を示しており、(b)は、第1の配置工程において、第1の電極4上に配置した第1のはんだ2の厚みを、250μmとした場合の結果を示している。なお、図4(A)、図4(B)に示すグラフでは、位置決め部材21の厚みを80μmとして、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測している。
【0037】
図4(A)に示す結果のうち、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果では、リフロー工程後に、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約100μmの差が生じている。すなわち、リフロー工程前に第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約100μmの厚さ分だけ傾いている。
【0038】
これに対して、図4(A)に示す結果のうち、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、リフロー工程後において、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約40μmの差が生じている。すなわち、リフロー工程前に第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約40μmの厚さ分だけ傾いている。
【0039】
このように、第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0040】
また、図4(B)に示すように、半導体素子1をIGBTとした場合でも、図4(A)に示す場合と同様に、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)に示す結果では、半導体素子1が約30μmの厚さ分だけ傾いており、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)に示す結果では、半導体素子1が約250μmの厚さ分だけ傾いている。このように、図4(B)に示す場合でも、第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0041】
このように、本実施形態では、第1の配置工程において第1の電極4に配置される第1のはんだ2の量を、位置決め部材21の厚みにできる限り近い厚みとなる量とすることで、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0042】
≪第2実施形態≫
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係る半導体装置100aの断面図であり、図6は、第2実施形態に係る半導体装置100aの製造方法を説明するための図であり、図7は、第2実施形態に係る半導体装置100aを製造する際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第2実施形態に係る半導体装置100aは、以下に説明する点において、第1実施形態の半導体装置100と異なる以外は、上述の第1実施形態と同様の構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
【0043】
図5に示すように、第2実施形態に係る半導体装置100aでは、複数の位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1が配置されているとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置されており、これらの点において、第1実施形態に係る半導体装置100と異なる。
【0044】
次に、第2実施形態に係る半導体装置100aの製造方法について説明する。
【0045】
まず、第2の電極5上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられた後、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して、重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、第2の電極5上に、第2のはんだ3を介して、半導体素子1が配置される。
【0046】
続いて、図6に示すように、位置決め部材21を有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して、重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1の第2の電極5に対向する面と反対側の面上に、第1のはんだ2を介して、第1の電極4が配置される。これにより、図6に示すような半導体素子1のモジュールが形成される。
【0047】
そして、図6に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れて、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0048】
ここで、図7は、第2実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1に係る力を説明するための図である。第2実施形態では、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図7(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FDとが、半導体素子1にかかる。
【0049】
第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCは、図7(B)に示すように、半導体素子1に対する第2のはんだ3の表面張力FC1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FC2とを合成した力であり、下記式(4)のように表すことができる。
FC=FC1−FC2 ・・・(4)
【0050】
また、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FDは、図7(C)に示すように、第1のはんだ2自体の自重による力FD1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FD2とを合成した力であり、下記式(5)のように表すことができる。
FD=FD1−FD2 ・・・(5)
【0051】
そして、第2実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた際に、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FDとが、下記式(6)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押され、半導体素子1が位置決め部材21により規定される高さ位置まで押し上げられる。
FC>FG+FD ・・・(6)
【0052】
次いで、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行われ、これにより、図5に示す半導体装置100aが製造される。
【0053】
以上のように、第2実施形態では、図6に示すように、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1を、第1のはんだ2を介して、第1の電極4上に配置するとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する工程が行われる。そして、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させるリフロー工程が行われる。このリフロー工程においては、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力が上記式(6)の関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されており、これにより、第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げられ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21により規定することができるとともに、半導体素子1の傾きを位置決め部材21により有効に抑制することができる。
【0054】
≪第3実施形態≫
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る半導体装置100bの断面図であり、図9は、第3実施形態に係る半導体装置100bの製造方法を説明するための図であり、図10は、第3実施形態に係る半導体装置100bを製造する際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第3実施形態に係る半導体装置100bは、以下に説明する点において、第1実施形態の半導体装置100と異なる以外は、上述の第1実施形態と同様の構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
【0055】
図8に示すように、第3実施形態に係る半導体装置100bでは、第1の電極4に、第1のはんだ2に対する濡れ性を向上させるためのメッキ処理が施されている。具体的には、第1の電極4に、第1のはんだ2が濡れ広がり易い金(Au)などの材質を使ってメッキ処理が施されており、これにより、第1の電極4上に、メッキ処理によるメッキ層41が形成されている。なお、このメッキ層41は、0.1μm以上の厚さで形成することが好適である。
【0056】
次に、図9を参照して、第3実施形態に係る半導体装置100bの製造方法について説明する。
【0057】
まず、第1の電極4にメッキ処理を施し、第1の電極4の面上に、メッキ層41を形成する工程が行われる。そして、メッキ処理した第1の電極4上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられた後、第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1が配置される。
【0058】
続いて、図9に示すように、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置される。これにより、図9に示す半導体素子1のモジュールが構成される。
【0059】
そして、図9に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れて、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0060】
ここで、図10は、第3実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第3実施形態では、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図10(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第2のはんだ3が、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第1のはんだ2が、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’とが、半導体素子1にかかる。
【0061】
第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAは、図10(B)に示すように、第2のはんだ3自体の自重による力FA1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FA2とを合成した力であり、下記式(7)のように表すことができる。
FA=FA1−FA2 ・・・(7)
【0062】
また、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’は、図10(C)に示すように、半導体素子1に対する第1のはんだ2の表面張力FB1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FB2’とを合成した力であり、下記式(8)のように表すことができる。
FB’=FB1−FB2’ ・・・(8)
【0063】
そして、第3実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを融解させた際に、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’とが、下記式(9)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた場合に、半導体素子1は重力方向下側(Z軸負方向側)に押され、半導体素子1が、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み込む。
FG+FB’>FA ・・・(9)
【0064】
なお、第3実施形態では、第1の電極4上にメッキ層41が形成されており、これにより、第1実施形態と比べて、第1のはんだ2の濡れ性が高くなっている。そのため、第3実施形態では、第1実施形態と比べて、第1のはんだ2が濡れ広がる力FB3が大きくなり、第1のはんだ2がより濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FB2’が大きくなる。そのため、第3実施形態では、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’が、第1実施形態と比べて小さくなり、その結果、半導体素子1が重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み易くなり、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21によって規定し易くなっている。
【0065】
次いで、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行わる。これにより、図8に示す半導体装置100bが製造される。
【0066】
以上のように、第3実施形態では、図8に示すように、位置決め部材21を有する第1のはんだ2の濡れ性を向上させるために、第1の電極4にメッキ処理が施され、第1の電極4にメッキ層4が形成されている。これにより、第3実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、第1のはんだ2の濡れ性を向上させることができ、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’を小さくすることができる。そのため、第3実施形態では、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込み易くすることができ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定し易くすることができる。そして、このように、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込み易くして、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定し易くすることで、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0067】
ここで、図11は、第1のはんだ2のメッキ処理と、半導体素子1の傾きとの関係を示す図であり、図11(A)は、半導体素子1がFRD(Fast Recovery Diode)である場合、図11(B)は、半導体素子1がIGBTである場合に、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測した結果を示すグラフである。また、図11(A)、図11(B)に示すグラフにおいて、(a)は、第1の電極4にメッキ層41を形成した場合の結果を示しており、(b)は、第1の電極4にメッキ層41を形成していない場合の結果を示している。なお、図11(A)、図11(B)に示すグラフでは、位置決め部材21の厚みを80μmとし、かつ、第1の電極4上に配置する第1のはんだ2の厚み120μmとして、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測している。すなわち、図11(A)、図11(B)に示すグラフのうち、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果は、上述した図4(A)、図11(B)に示すグラフにおいて、第1の電極4上に配置した第1のはんだ2の厚み120μmとした(a)の結果と同じ条件の結果を示している。
【0068】
図11(A)に示す結果のうち、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果では、リフロー工程後に、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約40μmの差が生じている。すなわち、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約40μmの厚さ分だけ傾いている。
【0069】
これに対して、図11(A)に示す結果のうち、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、リフロー工程後に、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約5μmの差が生じている。すなわち、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約5μmの厚さ分だけ傾いている。
【0070】
このように、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0071】
また、図11(B)に示すように、半導体素子1をIGBTとした場合でも、図11(A)に示す場合と同様に、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)に示す結果では、半導体素子1が約15μmの厚さ分だけ傾いており、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)に示す結果では、半導体素子1が約30μmの厚さ分だけ傾いている。このように、図11(B)に示す場合でも、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0072】
≪第4実施形態≫
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。図12は、第4実施形態に係る半導体装置100cの断面図であり、図13は、第4実施形態に係る半導体装置100cの製造方法を説明するための図であり、図14は、第4実施形態に係る半導体装置100cを製造する際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第4実施形態に係る半導体装置100cは、以下に説明する点において、第1実施形態の半導体装置100と異なる以外は、上述の第1実施形態と同様の構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
【0073】
図12に示すように、第4実施形態に係る半導体装置100cでは、第2実施形態と同様に、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1が配置されているとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置されている。
【0074】
また、第4実施形態に係る半導体装置100cでは、第3実施形態と同様に、第1の電極4に、第1のはんだ2に対する濡れ性を向上させるためのメッキ処理が施されており、これにより、第1の電極4上にメッキ層41が形成されている。
【0075】
次に、図13を参照して、第4実施形態に係る半導体装置100cの製造方法について説明する。
【0076】
まず、第4実施形態では、第1の電極4にメッキ処理が施され、第1の電極4に、メッキ層41を形成する工程が行われる。そして、第2の電極5上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられた後、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向)に位置するように、第2の電極5上に、第2のはんだ3を介して、半導体素子1が配置される。
【0077】
続いて、図13に示すように、第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向)に位置するように、半導体素子1の第2の電極5に対向する面と反対側の面上に、第1のはんだ2を介して、第1の電極4が配置される。これにより、図13に示す半導体素子1のモジュールが形成される。
【0078】
そして、図13に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れて、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0079】
ここで、図14は、第4実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第4実施形態では、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図14(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第2のはんだ3が、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第1のはんだ2が、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’とが、半導体素子1にかかる。
【0080】
第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCは、図14(B)に示すように、半導体素子1に対する第2のはんだ3の表面張力FC1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FC2とを合成した力であり、下記式(10)のように表すことができる。
FC=FC1−FC2 ・・・(10)
【0081】
また、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’は、図14(C)に示すように、第1のはんだ2の自重による力FD1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FD2’とを合成した力であり、下記式(11)のように表すことができる。
FD’=FD1−FD2’ ・・・(11)
【0082】
そして、第4実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた際に、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’とが、下記式(12)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押され、半導体素子1が位置決め部材21により規定される高さ位置まで押し上げられる。
FC>FG+FD’ ・・・(12)
【0083】
なお、第4実施形態でも、第3実施形態と同様に、第1の電極4上にメッキ層41が形成されており、第1実施形態と比べて、第1のはんだ2の濡れ性が高くなっている。そのため、第4実施形態では、第1のはんだ2の濡れ広がり力FD3が大きくなり、これにより、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FD2’が、第2実施形態と比べて大きくなっている。そのため、第4実施形態では、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’が、第1実施形態と比べて小さくなり、その結果、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げ易くなり、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定し易くなっている。
【0084】
次いで、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行われ、これにより、図12に示す半導体装置100cが製造される。
【0085】
以上のように、第4実施形態では、図12に示すように、位置決め部材21を有する第1のはんだ2が、半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向)に位置するように、半導体素子1を、第1のはんだ2を介して、第1の電極4上に配置するとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向)に位置するように、半導体素子1の第1の電極2に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置する工程が行われる。そして、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させるリフロー工程が行われる。また、第4実施形態では、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力が、上記式(12)の関係を満たすように設計されており、これにより、第4実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げられ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21の高さ位置で規定することができるとともに、半導体素子1の傾きを位置決め部材21で有効に抑制することができる。
【0086】
さらに、第4実施形態では、第1の電極4にメッキ層41が形成されており、これにより、第1のはんだ2の濡れ性が高くなっている。そのため、第4実施形態では、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’を小さくすることができるため、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げ易くすることができ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、より適切に規定することができる。
【0087】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0088】
なお、上述した実施形態の半導体素子1は本発明の半導体素子に、第1のはんだ2は本発明の第1のはんだに、位置決め部材21は本発明の位置決め部材に、第2のはんだ3は本発明の第2のはんだに、第1の電極4は本発明の第1の電極に、第2の電極5は本発明の第2の電極に、それぞれ相当する。
【符号の説明】
【0089】
100,100a,100b,100c…半導体装置
1…半導体素子
2…第1のはんだ
3…第2のはんだ
4…第1の電極
41…メッキ層
5…第2の電極
61,62…スペーサ
7…樹脂封止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子を、第1の電極と第2の電極との間に配置し、半導体素子と、第1の電極および第2の電極とをそれぞれ接合してなる半導体装置の製造方法において、まず、半導体素子と第1の電極とを接合して、第1の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を規定し、その後、半導体素子と第2の電極とを接合して、第2の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を規定する半導体装置の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−274177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、半導体素子と第1の電極とを接合し、その後、半導体素子と第2の電極とを接合する、すなわち、2回の接合を行う必要があるため、半導体装置の製造工程が多くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、半導体素子と一対の電極とを、1回の接合で、一対の電極に対する半導体素子の厚さ方向の位置を適切に規定した状態で、互いに接合することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の電極上に、第1の電極に対する半導体素子の厚み方向の位置を規定するための位置決め部材を含有する第1のはんだを介して、半導体素子を配置するとともに、半導体素子の第1の電極に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだを介して、第2の電極を配置し、第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させて、半導体素子と第1の電極、および、半導体素子と第2の電極とを、それぞれ接合することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させた際に、第1の電極に対する半導体素子の厚み方向の位置を位置決め部材で規定することができるため、一対の電極に対して半導体素子が傾いてしまうことを有効に防止しつつ、一回の接合により、半導体素子と一対の電極とを接合して、半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【図4】第1のはんだの厚みと、半導体素子の傾きとの関係を説明するための図である。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図6】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【図8】第3実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【図11】第1の電極のメッキ処理と、半導体素子の傾きとの関係を説明するための図である。
【図12】第4実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図13】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【図14】第4実施形態に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の本実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の半導体装置の一例を示す断面図、図2は、図1に係る半導体装置の製造方法を説明するための図であり、図3は、図1に係る半導体装置を製造する際に、半導体素子にかかる力を説明するための図である。
【0011】
本実施形態に係る半導体装置100は、図1に示すように、三相インバータブリッジ回路を個別に構成するIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのトランジスタまたはダイオード(整流素子)からなる半導体素子1を有している。そして、この半導体装置100は、スイッチング素子の導通/非導通を制御することにより、直流電源からの直流電流を三相交流電流に変換することが可能となっており、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等の電動車両用駆動モーターへ電力を供給するインバータ装置に用いられる。
【0012】
半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向側)の面上には、第1のはんだ2を介して、第1の電極4が電気的に接続されている。また、半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向側)の面上には、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が電気的に接続されている。なお、半導体素子1がIGBTの場合には、半導体素子1の第1の電極4が接続される主面がコレクタ電極となり、半導体素子1の第2の電極5が接続される主面がエミッタ電極となる。
【0013】
第1の電極4および第2の電極5は、電気導電性および熱伝導性が良好な材料からなり、このような材料としては、たとえば、銅、アルミニウム、または、これらの合金が挙げられる。また、第1の電極4および第2の電極5は、特に図示しないが、半導体装置100外部の配線部材を介して、モーター、コンデンサまたはバッテリー等の強電回路に電気的に接続されている。なお、第1の電極4および第2の電極5は、図1に示すように、それぞれ、半導体装置100の外部に露出しており、半導体素子1から伝達された熱を半導体装置100の外部に放熱する放熱板としての機能も有する。
【0014】
第1のはんだ2および第2のはんだ3は、後述するリフロー工程において、溶融、凝固させることが可能な組成からなるはんだであり、同じ組成のはんだとすることが好ましい。本実施形態では、第1のはんだ2および第2のはんだ3として、スズが90重量%以上のものが用いられる。
【0015】
また、第1のはんだ2には、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定するための位置決め部材21が複数含有されている。これら複数の位置決め部材21は、たとえば、第1のはんだ2よりも高い融点を有する金属などからなり、それぞれ、同じ大きさの球状に形成されている。なお、位置決め部材21の形状は、球状に特に限定されず、たとえば、立方体などの形状としてもよい。
【0016】
第1の電極4上には、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するためのスペーサ61,62が設けられている。スペーサ61,62は、たとえば、耐熱性の絶縁部材である樹脂やセラミックスなどからなり、図1に示すように、Z軸方向における第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定する。
【0017】
半導体素子1、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間には、半導体素子1、第1の電極4、および第2の電極5を封止するための樹脂封止部7が形成されている。樹脂封止部7は、たとえば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの熱硬化性の樹脂からなり、このような樹脂を、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62により囲われた空間内に充填した後に、充填した樹脂を熱硬化させることで形成される。
【0018】
次いで、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。
【0019】
まず、第1の電極4上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられる。
【0020】
そして、図2に示すように、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して、重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1を配置する第1の配置工程が行われる。
【0021】
次いで、図2に示すように、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して、重力方向上側(Z軸正方向)に位置するように、半導体素子1の第1の電極3に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する第2の配置工程が行われる。これにより、図2に示す半導体素子1のモジュールが構成される。
【0022】
そして、図2に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れ、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および半導体素子1と第2の電極5とを、それぞれ同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0023】
ここで、図3は、第1実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。本実施形態では、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図3(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FBとが、半導体素子1にかかる。
【0024】
半導体素子1の重力方向上側に配置された第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAは、図3(B)に示すように、第2のはんだ3自体の自重による力FA1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FA2とを合成した力であり、下記式(1)のように表すことができる。
FA=FA1−FA2 ・・・(1)
【0025】
また、半導体素子1の重力方向下側に配置された第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FBは、図3(C)に示すように、半導体素子1に対する第1のはんだ2の表面張力FB1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FB2とを合成した力であり、下記式(2)のように表すことができる。
FB=FB1−FB2 ・・・(2)
【0026】
そして、第1実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを融解させた際における、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FBとが、下記式(3)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた場合に、半導体素子1は重力方向下側(Z軸負方向側)に押され、半導体素子1が、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み込む。
FG+FB>FA ・・・(3)
【0027】
このように、半導体素子1が、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み込むことで、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置が、位置決め部材21により規定される。
【0028】
さらに、本実施形態では、このリフロー工程において、図示しない重りを介して、第2の電極5が、第1の電極4が位置するZ軸負方向側に押圧される。これにより、第2のはんだ3が押し潰されて、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みが、第1の電極4に設けられたスペーサ61,62により規定された厚みにされるとともに、第2の電極5に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置が規定される。
【0029】
そして、半導体素子1、第1の電極4、および第2の電極5を封止するために、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行われる。このように樹脂封止部7を形成することで、半導体素子1、第1の電極4、および第2の電極5を封止することができる。そして、以上の工程により、図1に示す半導体装置100が製造される。
【0030】
なお、上記第1の配置工程において、第1の電極4上に第1のはんだ2を配置する際に、第1のはんだ2の量は、半導体素子1と第1の電極4との接合を確保することができ、かつ、リフロー工程において第1のはんだ2を溶融させた後に、位置決め部材21により、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定することができる量とされる。これにより、半導体素子1と第1の電極4との接合を確保しながら、半導体素子1を、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み易くさせることができ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、より容易に規定することができる。なお、本実施形態では、位置決め部材21の厚みが50〜80μm、第1のはんだ2の厚みが80〜120μmとなるように設計されている。
【0031】
また、上記第2の配置工程において、第2のはんだ3を半導体素子1上に配置する際に、第2のはんだ3の厚みは、リフロー工程後の第2のはんだ3の設計上の厚みよりも厚くなるように形成される。図1に示すように、第1の電極4および第2の電極5の間の厚みはスペーサ61,62により規定されるため、リフロー工程後の第2のはんだ3の厚みは、スペーサ61,62により規定されている第1の電極4および第2の電極5との間の厚みから、位置決め部材21の厚みおよび半導体素子1の厚みを除いた厚みとなる。そのため、スペーサ61,62、位置決め部材21、および半導体素子1の厚みを予め設計しておくことで、リフロー工程後の第2のはんだ3の厚みを予め設計することができ、これにより、第2の配置工程において半導体素子1に配置する第2のはんだ3の厚みを決定することができる。このように、第2の配置工程において半導体素子1に配置する第2のはんだ3の厚みを、リフロー工程後の第2のはんだ3の設計上の厚みよりも厚くすることで、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させて、半導体素子1が重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込んだ場合に、第2のはんだ3が不足しまうことを有効に防止することができる。また、このように、第2のはんだ3の厚みを厚くすることで、第2のはんだ3の重量が増え、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込ませることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態では、図2に示すように、第1のはんだ2が半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1を、第1のはんだ2を介して、第1の電極4上に配置する第1の配置工程が行われ、そして、第2のはんだ3が、半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極2に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する第2の配置工程が行われる。そして、第1のはんだ2および第2のはんだ3をはんだ付け炉で溶融、凝固させるリフロー工程が行われる。これにより、本実施形態では、1回のリフロー工程において、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを、それぞれ同時に接合することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、第1のはんだ2に位置決め部材21を含有しており、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力が上記式(3)の関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されている。そのため、リフロー工程において第1のはんだ2を溶融させることで、半導体素子1が重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込み、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21の高さ位置で適切に規定することができる。また、本実施形態では、第1の電極4と第2の電極5との間の厚さをスペーサ61,62が設けられており、リフロー工程において第2のはんだ3を溶融させて、第1の電極4と第2の電極5との間の厚さをスペーサ61,62により規定することで、第2の電極5に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を適切に規定することができる。
【0034】
さらに、第1実施形態では、半導体素子1が位置決め部材21の位置まで沈み込み、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置が規定されることにより、半導体素子1の傾きを、位置決め部材21で有効に抑制することができる。そのため、第1実施形態では、半導体素子1が傾いてしまうことで、半導体素子1上に配置された第2のはんだ3が流れ落ちてしまうことを有効に防止することができ、その結果、第1の電極4と第2の電極5との間で短絡が生じてしまうことを有効に防止することができる。
【0035】
特に、本実施形態では、第1の配置工程において、第1の電極4上に配置する第1のはんだ2の量を、半導体素子1と第1の電極4との接合を確保することができ、かつ、リフロー工程において第1のはんだ2を溶融させた後に、位置決め部材21により、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定することができる量とすることで、半導体素子1を、位置決め部材21の高さ位置まで沈み込み易くすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に防止することができる。
【0036】
ここで、図4は、第1のはんだ2の厚みと、半導体素子1の傾きとの関係を示す図であり、図4(A)は、半導体素子1がFRD(Fast Recovery Diode)である場合、図4(B)は、半導体素子1がIGBTである場合に、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測した結果を示すグラフである。また、図4(A)、図4(B)に示すグラフにおいて、(a)は、第1の配置工程において、第1の電極4上に配置した第1のはんだ2の厚みを、120μmとした場合の結果を示しており、(b)は、第1の配置工程において、第1の電極4上に配置した第1のはんだ2の厚みを、250μmとした場合の結果を示している。なお、図4(A)、図4(B)に示すグラフでは、位置決め部材21の厚みを80μmとして、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測している。
【0037】
図4(A)に示す結果のうち、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果では、リフロー工程後に、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約100μmの差が生じている。すなわち、リフロー工程前に第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約100μmの厚さ分だけ傾いている。
【0038】
これに対して、図4(A)に示す結果のうち、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、リフロー工程後において、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約40μmの差が生じている。すなわち、リフロー工程前に第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約40μmの厚さ分だけ傾いている。
【0039】
このように、第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0040】
また、図4(B)に示すように、半導体素子1をIGBTとした場合でも、図4(A)に示す場合と同様に、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)に示す結果では、半導体素子1が約30μmの厚さ分だけ傾いており、リフロー工程前の第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)に示す結果では、半導体素子1が約250μmの厚さ分だけ傾いている。このように、図4(B)に示す場合でも、第1のはんだ2の厚みを120μmとした(a)の結果では、第1のはんだ2の厚みを250μmとした(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0041】
このように、本実施形態では、第1の配置工程において第1の電極4に配置される第1のはんだ2の量を、位置決め部材21の厚みにできる限り近い厚みとなる量とすることで、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0042】
≪第2実施形態≫
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係る半導体装置100aの断面図であり、図6は、第2実施形態に係る半導体装置100aの製造方法を説明するための図であり、図7は、第2実施形態に係る半導体装置100aを製造する際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第2実施形態に係る半導体装置100aは、以下に説明する点において、第1実施形態の半導体装置100と異なる以外は、上述の第1実施形態と同様の構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
【0043】
図5に示すように、第2実施形態に係る半導体装置100aでは、複数の位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1が配置されているとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置されており、これらの点において、第1実施形態に係る半導体装置100と異なる。
【0044】
次に、第2実施形態に係る半導体装置100aの製造方法について説明する。
【0045】
まず、第2の電極5上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられた後、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して、重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、第2の電極5上に、第2のはんだ3を介して、半導体素子1が配置される。
【0046】
続いて、図6に示すように、位置決め部材21を有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して、重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1の第2の電極5に対向する面と反対側の面上に、第1のはんだ2を介して、第1の電極4が配置される。これにより、図6に示すような半導体素子1のモジュールが形成される。
【0047】
そして、図6に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れて、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0048】
ここで、図7は、第2実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1に係る力を説明するための図である。第2実施形態では、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図7(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FDとが、半導体素子1にかかる。
【0049】
第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCは、図7(B)に示すように、半導体素子1に対する第2のはんだ3の表面張力FC1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FC2とを合成した力であり、下記式(4)のように表すことができる。
FC=FC1−FC2 ・・・(4)
【0050】
また、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FDは、図7(C)に示すように、第1のはんだ2自体の自重による力FD1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FD2とを合成した力であり、下記式(5)のように表すことができる。
FD=FD1−FD2 ・・・(5)
【0051】
そして、第2実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた際に、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FDとが、下記式(6)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押され、半導体素子1が位置決め部材21により規定される高さ位置まで押し上げられる。
FC>FG+FD ・・・(6)
【0052】
次いで、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行われ、これにより、図5に示す半導体装置100aが製造される。
【0053】
以上のように、第2実施形態では、図6に示すように、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1を、第1のはんだ2を介して、第1の電極4上に配置するとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5を配置する工程が行われる。そして、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させるリフロー工程が行われる。このリフロー工程においては、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力が上記式(6)の関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されており、これにより、第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げられ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21により規定することができるとともに、半導体素子1の傾きを位置決め部材21により有効に抑制することができる。
【0054】
≪第3実施形態≫
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る半導体装置100bの断面図であり、図9は、第3実施形態に係る半導体装置100bの製造方法を説明するための図であり、図10は、第3実施形態に係る半導体装置100bを製造する際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第3実施形態に係る半導体装置100bは、以下に説明する点において、第1実施形態の半導体装置100と異なる以外は、上述の第1実施形態と同様の構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
【0055】
図8に示すように、第3実施形態に係る半導体装置100bでは、第1の電極4に、第1のはんだ2に対する濡れ性を向上させるためのメッキ処理が施されている。具体的には、第1の電極4に、第1のはんだ2が濡れ広がり易い金(Au)などの材質を使ってメッキ処理が施されており、これにより、第1の電極4上に、メッキ処理によるメッキ層41が形成されている。なお、このメッキ層41は、0.1μm以上の厚さで形成することが好適である。
【0056】
次に、図9を参照して、第3実施形態に係る半導体装置100bの製造方法について説明する。
【0057】
まず、第1の電極4にメッキ処理を施し、第1の電極4の面上に、メッキ層41を形成する工程が行われる。そして、メッキ処理した第1の電極4上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられた後、第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1が配置される。
【0058】
続いて、図9に示すように、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置される。これにより、図9に示す半導体素子1のモジュールが構成される。
【0059】
そして、図9に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れて、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0060】
ここで、図10は、第3実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第3実施形態では、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図10(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第2のはんだ3が、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第1のはんだ2が、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’とが、半導体素子1にかかる。
【0061】
第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAは、図10(B)に示すように、第2のはんだ3自体の自重による力FA1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FA2とを合成した力であり、下記式(7)のように表すことができる。
FA=FA1−FA2 ・・・(7)
【0062】
また、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’は、図10(C)に示すように、半導体素子1に対する第1のはんだ2の表面張力FB1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FB2’とを合成した力であり、下記式(8)のように表すことができる。
FB’=FB1−FB2’ ・・・(8)
【0063】
そして、第3実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを融解させた際に、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FAと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’とが、下記式(9)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた場合に、半導体素子1は重力方向下側(Z軸負方向側)に押され、半導体素子1が、位置決め部材21により規定される高さ位置まで沈み込む。
FG+FB’>FA ・・・(9)
【0064】
なお、第3実施形態では、第1の電極4上にメッキ層41が形成されており、これにより、第1実施形態と比べて、第1のはんだ2の濡れ性が高くなっている。そのため、第3実施形態では、第1実施形態と比べて、第1のはんだ2が濡れ広がる力FB3が大きくなり、第1のはんだ2がより濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FB2’が大きくなる。そのため、第3実施形態では、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’が、第1実施形態と比べて小さくなり、その結果、半導体素子1が重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み易くなり、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21によって規定し易くなっている。
【0065】
次いで、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行わる。これにより、図8に示す半導体装置100bが製造される。
【0066】
以上のように、第3実施形態では、図8に示すように、位置決め部材21を有する第1のはんだ2の濡れ性を向上させるために、第1の電極4にメッキ処理が施され、第1の電極4にメッキ層4が形成されている。これにより、第3実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、第1のはんだ2の濡れ性を向上させることができ、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FB’を小さくすることができる。そのため、第3実施形態では、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込み易くすることができ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定し易くすることができる。そして、このように、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に沈み込み易くして、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定し易くすることで、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0067】
ここで、図11は、第1のはんだ2のメッキ処理と、半導体素子1の傾きとの関係を示す図であり、図11(A)は、半導体素子1がFRD(Fast Recovery Diode)である場合、図11(B)は、半導体素子1がIGBTである場合に、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測した結果を示すグラフである。また、図11(A)、図11(B)に示すグラフにおいて、(a)は、第1の電極4にメッキ層41を形成した場合の結果を示しており、(b)は、第1の電極4にメッキ層41を形成していない場合の結果を示している。なお、図11(A)、図11(B)に示すグラフでは、位置決め部材21の厚みを80μmとし、かつ、第1の電極4上に配置する第1のはんだ2の厚み120μmとして、リフロー工程後の第1のはんだ2の厚みを計測している。すなわち、図11(A)、図11(B)に示すグラフのうち、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果は、上述した図4(A)、図11(B)に示すグラフにおいて、第1の電極4上に配置した第1のはんだ2の厚み120μmとした(a)の結果と同じ条件の結果を示している。
【0068】
図11(A)に示す結果のうち、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果では、リフロー工程後に、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約40μmの差が生じている。すなわち、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約40μmの厚さ分だけ傾いている。
【0069】
これに対して、図11(A)に示す結果のうち、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、リフロー工程後に、第1のはんだ2の厚みが最も小さい部分と、第1のはんだ2の厚みが最も大きい部分とで、約5μmの差が生じている。すなわち、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、リフロー工程によって、半導体素子1が、約5μmの厚さ分だけ傾いている。
【0070】
このように、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0071】
また、図11(B)に示すように、半導体素子1をIGBTとした場合でも、図11(A)に示す場合と同様に、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)に示す結果では、半導体素子1が約15μmの厚さ分だけ傾いており、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)に示す結果では、半導体素子1が約30μmの厚さ分だけ傾いている。このように、図11(B)に示す場合でも、第1の電極4にメッキ層41を形成した(a)の結果では、第1の電極4にメッキ層41を形成していない(b)の結果と比べて、リフロー工程後の半導体素子1の傾きをより小さくすることができ、半導体素子1の傾きをより有効に抑制することができる。
【0072】
≪第4実施形態≫
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。図12は、第4実施形態に係る半導体装置100cの断面図であり、図13は、第4実施形態に係る半導体装置100cの製造方法を説明するための図であり、図14は、第4実施形態に係る半導体装置100cを製造する際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第4実施形態に係る半導体装置100cは、以下に説明する点において、第1実施形態の半導体装置100と異なる以外は、上述の第1実施形態と同様の構成と作用を有し、その重複する説明は省略する。
【0073】
図12に示すように、第4実施形態に係る半導体装置100cでは、第2実施形態と同様に、位置決め部材21を含有する第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向側)に位置するように、第1の電極4上に、第1のはんだ2を介して、半導体素子1が配置されているとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向側)に位置するように、半導体素子1の第1の電極4に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置されている。
【0074】
また、第4実施形態に係る半導体装置100cでは、第3実施形態と同様に、第1の電極4に、第1のはんだ2に対する濡れ性を向上させるためのメッキ処理が施されており、これにより、第1の電極4上にメッキ層41が形成されている。
【0075】
次に、図13を参照して、第4実施形態に係る半導体装置100cの製造方法について説明する。
【0076】
まず、第4実施形態では、第1の電極4にメッキ処理が施され、第1の電極4に、メッキ層41を形成する工程が行われる。そして、第2の電極5上に、第1の電極4と第2の電極5との間の厚みを規定するスペーサ61,62が設けられた後、第2のはんだ3が、半導体素子1に対して重力方向下側(Z軸負方向)に位置するように、第2の電極5上に、第2のはんだ3を介して、半導体素子1が配置される。
【0077】
続いて、図13に示すように、第1のはんだ2が、半導体素子1に対して重力方向上側(Z軸正方向)に位置するように、半導体素子1の第2の電極5に対向する面と反対側の面上に、第1のはんだ2を介して、第1の電極4が配置される。これにより、図13に示す半導体素子1のモジュールが形成される。
【0078】
そして、図13に示す半導体素子1のモジュールを、はんだ付け炉に入れて、はんだ付け炉で、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させることで、半導体素子1と第1の電極4、および、半導体素子1と第2の電極5とを同時に接合するリフロー工程が行われる。
【0079】
ここで、図14は、第4実施形態において、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力を説明するための図である。第4実施形態では、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、図14(A)に示すように、半導体素子1自体の自重による力FGと、半導体素子1の重力方向下側に配置された第2のはんだ3が、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、半導体素子1の重力方向上側に配置された第1のはんだ2が、半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’とが、半導体素子1にかかる。
【0080】
第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCは、図14(B)に示すように、半導体素子1に対する第2のはんだ3の表面張力FC1と、第2のはんだ3が濡れ広がることで、第2のはんだ3が半導体素子1を第2の電極5側に引っ張る力FC2とを合成した力であり、下記式(10)のように表すことができる。
FC=FC1−FC2 ・・・(10)
【0081】
また、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’は、図14(C)に示すように、第1のはんだ2の自重による力FD1と、第1のはんだ2が濡れ広がることで、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FD2’とを合成した力であり、下記式(11)のように表すことができる。
FD’=FD1−FD2’ ・・・(11)
【0082】
そして、第4実施形態では、第1のはんだ2と第2のはんだ3とを溶融させた際に、半導体素子1自体の自重による力FGと、第2のはんだ3が半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押す力FCと、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’とが、下記式(12)に示す関係を満たすように、半導体素子1、第1のはんだ2、および第2のはんだ3が設計されている。これにより、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押され、半導体素子1が位置決め部材21により規定される高さ位置まで押し上げられる。
FC>FG+FD’ ・・・(12)
【0083】
なお、第4実施形態でも、第3実施形態と同様に、第1の電極4上にメッキ層41が形成されており、第1実施形態と比べて、第1のはんだ2の濡れ性が高くなっている。そのため、第4実施形態では、第1のはんだ2の濡れ広がり力FD3が大きくなり、これにより、第1のはんだ2が半導体素子1を第1の電極4側に引っ張る力FD2’が、第2実施形態と比べて大きくなっている。そのため、第4実施形態では、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’が、第1実施形態と比べて小さくなり、その結果、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げ易くなり、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を規定し易くなっている。
【0084】
次いで、第1の電極4、第2の電極5、およびスペーサ61,62で囲まれた空間内に、樹脂封止部7を形成するための樹脂が充填され、充填された樹脂を熱硬化させることで、樹脂封止部7を形成する工程が行われ、これにより、図12に示す半導体装置100cが製造される。
【0085】
以上のように、第4実施形態では、図12に示すように、位置決め部材21を有する第1のはんだ2が、半導体素子1の重力方向上側(Z軸正方向)に位置するように、半導体素子1を、第1のはんだ2を介して、第1の電極4上に配置するとともに、第2のはんだ3が、半導体素子1の重力方向下側(Z軸負方向)に位置するように、半導体素子1の第1の電極2に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだ3を介して、第2の電極5が配置する工程が行われる。そして、第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融・凝固させるリフロー工程が行われる。また、第4実施形態では、このリフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1にかかる力が、上記式(12)の関係を満たすように設計されており、これにより、第4実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、半導体素子1が重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げられ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、位置決め部材21の高さ位置で規定することができるとともに、半導体素子1の傾きを位置決め部材21で有効に抑制することができる。
【0086】
さらに、第4実施形態では、第1の電極4にメッキ層41が形成されており、これにより、第1のはんだ2の濡れ性が高くなっている。そのため、第4実施形態では、リフロー工程において第1のはんだ2および第2のはんだ3を溶融させた際に、第1のはんだ2が半導体素子1を重力方向下側(Z軸負方向側)に押す力FD’を小さくすることができるため、半導体素子1を重力方向上側(Z軸正方向側)に押し上げ易くすることができ、第1の電極4に対する半導体素子1の厚み方向(Z軸方向)の位置を、より適切に規定することができる。
【0087】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0088】
なお、上述した実施形態の半導体素子1は本発明の半導体素子に、第1のはんだ2は本発明の第1のはんだに、位置決め部材21は本発明の位置決め部材に、第2のはんだ3は本発明の第2のはんだに、第1の電極4は本発明の第1の電極に、第2の電極5は本発明の第2の電極に、それぞれ相当する。
【符号の説明】
【0089】
100,100a,100b,100c…半導体装置
1…半導体素子
2…第1のはんだ
3…第2のはんだ
4…第1の電極
41…メッキ層
5…第2の電極
61,62…スペーサ
7…樹脂封止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極上に、半導体素子の厚み方向の位置を規定するための位置決め部材を含有する第1のはんだを介して、前記半導体素子を配置する第1の配置工程と、
前記半導体素子の前記第1の電極に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだを介して、第2の電極を配置する第2の配置工程と、
前記第1のはんだおよび前記第2のはんだを溶融させて、前記半導体素子と前記第1のはんだ、および、前記半導体素子と前記第2のはんだを、それぞれ接合させるリフロー工程と、を有し、
前記リフロー工程において、前記第1のはんだが溶融することで、前記第1のはんだに含有されている前記位置決め部材により、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されるとともに、前記第2のはんだが溶融することで、前記第2の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の配置工程において、前記第1のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向下側に位置するように、前記第1の電極上に、前記第1のはんだを介して、前記半導体素子を配置し、
前記第2の配置工程において、前記第2のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向上側に位置するように、前記半導体素子の前記第1の電極に対向する面と反対側の面上に、前記第2のはんだを介して、前記第2の電極を配置し、
前記第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させた際に、前記半導体素子、前記第1のはんだ、および、前記第2のはんだの関係が、下記式(1)の条件を満たすことで、前記リフロー工程において、前記半導体素子が、前記位置決め部材により規定される高さ位置まで沈み込むことにより、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
G+A>B ・・・(1)
(なお、上記式(1)中、Gは、半導体素子の自重、Aは、「第2のはんだの自重A1」−「第2のはんだが濡れ広がることにより第2のはんだが半導体素子を第2の電極側に引っ張る力A2」、Bは、「半導体素子に対する第1のはんだの表面張力B1」−「第1のはんだが濡れ広がることにより第1のはんだが半導体素子を第1の電極側に引っ張る力B2」である。)
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の配置工程において、前記第1のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向上側に位置するように、前記第1の電極上に、前記第1のはんだを介して、前記半導体素子を配置し、
前記第2の配置工程において、前記第2のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向下側に位置するように、前記半導体素子の前記第1の電極に対向する面と反対側の面上に、前記第2のはんだを介して、前記第2の電極を配置し、
前記第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させた際に、前記半導体素子、前記第1のはんだ、および、前記第2のはんだの関係が、下記式(2)の条件を満たすことで、前記リフロー工程において、前記半導体素子が、前記位置決め部材により規定された高さ位置まで押し上げられることにより、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
C>D+G ・・・(2)
(なお、上記式(2)中、Gは、半導体素子の自重、Cは、「半導体素子に対する第2のはんだの表面張力C1」−「第2のはんだが濡れ広がることにより第2のはんだが半導体素子を第2の電極側に引っ張る力C2」、Dは、「第1のはんだの自重D1」−「第1のはんだが濡れ広がることにより第1のはんだが半導体素子を第1の電極側に引っ張る力D2」である。)
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の配置工程において、前記第1の電極上に配置される前記第1のはんだの量を、前記半導体素子と前記第1の電極との接合を確保することができ、かつ、前記リフロー工程により前記第1のはんだを溶融させた後に、前記位置決め部材により、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置を規定することができる量とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2の配置工程において、前記第2のはんだの厚みを、前記リフロー工程後の前記第2のはんだの設計上の厚みよりも厚くなるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の電極には、前記第1のはんだに対する濡れ性を向上させるためのメッキ処理が施されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体素子が介在している前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記半導体素子、前記第1の電極、および前記第2の電極を封止するための樹脂を充填する工程をさらに有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
第1の電極上に、半導体素子の厚み方向の位置を規定するための位置決め部材を含有する第1のはんだを介して、前記半導体素子を配置する第1の配置工程と、
前記半導体素子の前記第1の電極に対向する面と反対側の面上に、第2のはんだを介して、第2の電極を配置する第2の配置工程と、
前記第1のはんだおよび前記第2のはんだを溶融させて、前記半導体素子と前記第1のはんだ、および、前記半導体素子と前記第2のはんだを、それぞれ接合させるリフロー工程と、を有し、
前記リフロー工程において、前記第1のはんだが溶融することで、前記第1のはんだに含有されている前記位置決め部材により、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されるとともに、前記第2のはんだが溶融することで、前記第2の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の配置工程において、前記第1のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向下側に位置するように、前記第1の電極上に、前記第1のはんだを介して、前記半導体素子を配置し、
前記第2の配置工程において、前記第2のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向上側に位置するように、前記半導体素子の前記第1の電極に対向する面と反対側の面上に、前記第2のはんだを介して、前記第2の電極を配置し、
前記第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させた際に、前記半導体素子、前記第1のはんだ、および、前記第2のはんだの関係が、下記式(1)の条件を満たすことで、前記リフロー工程において、前記半導体素子が、前記位置決め部材により規定される高さ位置まで沈み込むことにより、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
G+A>B ・・・(1)
(なお、上記式(1)中、Gは、半導体素子の自重、Aは、「第2のはんだの自重A1」−「第2のはんだが濡れ広がることにより第2のはんだが半導体素子を第2の電極側に引っ張る力A2」、Bは、「半導体素子に対する第1のはんだの表面張力B1」−「第1のはんだが濡れ広がることにより第1のはんだが半導体素子を第1の電極側に引っ張る力B2」である。)
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の配置工程において、前記第1のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向上側に位置するように、前記第1の電極上に、前記第1のはんだを介して、前記半導体素子を配置し、
前記第2の配置工程において、前記第2のはんだが、前記半導体素子に対して、重力方向下側に位置するように、前記半導体素子の前記第1の電極に対向する面と反対側の面上に、前記第2のはんだを介して、前記第2の電極を配置し、
前記第1のはんだおよび第2のはんだを溶融させた際に、前記半導体素子、前記第1のはんだ、および、前記第2のはんだの関係が、下記式(2)の条件を満たすことで、前記リフロー工程において、前記半導体素子が、前記位置決め部材により規定された高さ位置まで押し上げられることにより、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置が決定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
C>D+G ・・・(2)
(なお、上記式(2)中、Gは、半導体素子の自重、Cは、「半導体素子に対する第2のはんだの表面張力C1」−「第2のはんだが濡れ広がることにより第2のはんだが半導体素子を第2の電極側に引っ張る力C2」、Dは、「第1のはんだの自重D1」−「第1のはんだが濡れ広がることにより第1のはんだが半導体素子を第1の電極側に引っ張る力D2」である。)
【請求項4】
請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の配置工程において、前記第1の電極上に配置される前記第1のはんだの量を、前記半導体素子と前記第1の電極との接合を確保することができ、かつ、前記リフロー工程により前記第1のはんだを溶融させた後に、前記位置決め部材により、前記第1の電極に対する前記半導体素子の厚み方向の位置を規定することができる量とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2の配置工程において、前記第2のはんだの厚みを、前記リフロー工程後の前記第2のはんだの設計上の厚みよりも厚くなるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1の電極には、前記第1のはんだに対する濡れ性を向上させるためのメッキ処理が施されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体素子が介在している前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記半導体素子、前記第1の電極、および前記第2の電極を封止するための樹脂を充填する工程をさらに有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−115206(P2013−115206A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259425(P2011−259425)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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