説明

半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法

【課題】 基板が平坦な状態で電子部品同士を確実に圧着し、電気的な接合の信頼性を高めることができる半導体装置の製造装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ボンディングステージ14上に基板4を載置する。基板4上面側から圧搾空気24を吹き付ける。ボンディングステージ14に基板4を押し付ける。基板4下面側から空気を排出する。ボンディングステージ14に基板4を吸着させる。基板4に半導体チップ2をボンディングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ノートパソコン、携帯電話などの電子機器は、ますます小型化、軽量化、高機能化している。また、半導体ICの配線もさらに高精細化している。IC,LSIなどの電子部品を実装するチップオンフィルム(COF)方式に用いられるフレキシブル銅張り積層板においても、形成される配線パターンが現状よりさらにファインピッチ化されることは必須である。
【0003】
一方、フレキシブル銅張り積層板はポリイミドフィルムに代表される耐熱性フィルムの表面に、エポキシ系樹脂接着剤などにより形成される接着剤を介して銅箔のような金属箔を張り合わせ、この金属箔を所定のパターンにエッチングすることにより製造されている。従来のフレキシブル銅張り積層板では、耐熱性フィルムの厚さ(平均厚さ)は75μmが主流であるが、最近の軽量化あるいはファインピッチ化に伴って、厚さ50μm以下の耐熱性フィルムの使用が検討されている。
【特許文献1】特開平10−214865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品と配線パターンとを熱を加えながら圧着する際、その熱によって耐熱性フィルムが変形し、フレキシブル銅張り積層板の反りや浮きとして現れ、下記のようにIC実装の際にかなりの影響を与える。
【0005】
電子機器の小型化、軽量化に伴って、フレキシブル銅張り積層板に形成される配線パターンは数十μm以下と著しくファインピッチになっており、わずかなフレキシブル銅張り積層板の変形によってもボンディング不良の原因となりやすい。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決し、基板が平坦な状態で電子部品同士を確実に圧着し、電気的な接合の信頼性を高めることができる半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る半導体装置の製造装置の製造方法は、ボンディングステージ上に基板を載置すること、
前記基板上面側から圧搾空気を吹き付けることにより、前記ボンディングステージに前記基板を押し付けること、
前記基板下面側から空気を排出することにより、前記ボンディングステージに前記基板を吸着させること、及び、
前記基板に半導体チップをボンディングすること、
を含む。本発明によれば、基板を載置するボンディングステージの基板載置面に基板を基板上面側から押し付けるように圧搾空気を吹き付けることにより、基板載置面に基板を基板下面側から吸着することが容易になるので、基板の反り、浮きが低減され、基板が平坦な状態で電子部品同士の圧着が確実に行うことができる。したがって、電気的な接合の信頼性を高めることができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
(2)本発明に係る半導体装置の製造装置は、半導体チップを実装すべき基板を載置し、前記基板下面側の空気を排出する空気排出口を備えているボンディングステージと、
前記ボンディングステージに前記基板を前記基板上面側から押し付けるように圧搾空気を吹き付けるブロワと、
前記基板に前記半導体チップをボンディングするボンディングツールと、
を有する。本発明によれば、基板を載置するボンディングステージの基板載置面に基板を基板上面側から押し付けるように圧搾空気を吹き付けることにより、基板載置面に基板を基板下面側から吸着することが容易になるので、基板の反り、浮きが低減され、基板が平坦な状態で電子部品同士の圧着が確実に行うことができる。したがって、電気的な接合の信頼性を高めることができる半導体装置の製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置を示す図である。本実施の形態に係る半導体装置は、半導体チップ2と基板4を有する。半導体チップ2は、集積回路チップである。半導体チップ2は、複数の電極6を有する。各電極6は、パッド8及びバンプ10からなるが、バンプ10を無くしてパッド8のみが電極であってもよい。パッド8は、例えばアルミニウムから形成され、バンプ10は、例えば金から形成されている。バンプ10は、メッキで形成してもよいし、ワイヤーボンディングのボールによって形成してもよい。基板4は、フレキシブル基板であってもよいし、フィルムであってもよいし、リジット基板であってもよい。基板4は、例えばポリイミド樹脂から形成されるベース基板の上に複数のリード12が形成されたものでもよい。この場合、複数のリード12によって配線パターンが形成される。半導体チップ2は、基板4にフェースダウンボンディングされている。電極6とリード12とが接合されている。
【0010】
次に、図2は、本実施の形態に係る半導体装置の製造装置を示す図である。
【0011】
図2に示すように、本実施の形態による半導体装置の製造装置は、垂直方向の下方に配置された固定側のボンディングステージ14を有している。ボンディングステージ14は、基板4下面側の空気を排出する空気排出口16及び加熱ヒータ18を備え、上面平坦加工された圧着面20を有する。ボンディングステージ14は、加熱されて使用される。ボンディングステージ14の圧着面20に基板4がセットされる。
【0012】
半導体装置の製造装置は、ブロワ22を有する。ブロワ22は、ボンディングステージ14の圧着面20に基板4を押し付けるように基板4上面側に圧搾空気24を吹き付ける。ブロワ22は、支持台(図示せず)に支持されている。
【0013】
半導体装置の製造装置は、ボンディングツール26を有する。ボンディングツール26は、加熱ヒータ28を備え、先端にボンディング面30を有する。ボンディングツール26は、加熱されて使用される。例えば、ボンディングツール26は、400〜500℃程度で使用される。ボンディングツール26は、基板4の複数のリード12と、半導体チップ2の複数の電極6とを一括してボンディングする。ボンディング面30は、平坦であることが好ましい。特に、ボンディングツール26を加熱して使用するので、ボンディング面30は、加熱された状態で平坦であることが好ましい。ボンディングツール26は、ロッド32を介して加圧ピストン(図示せず)に取り付けられ、ピストン駆動により図の上下方向へ昇降自在となっている。
【0014】
次に、半導体装置の製造方法は、半導体チップ2の電極6と基板4に形成されたリード12とを、加圧及び加熱して接合することを含む。例えば、フェースダウンボンディング工程によって、半導体チップ2を基板4に実装する。詳しくは、図2に示すように、半導体チップ2の電極6が形成された面と、基板4のリード12が形成された面とが対向するように、半導体チップ2をボンディングツール26にセットする。さらに、基板4をボンディングステージ14にレール34上を移動させてセットする。次に、ブロワ22により基板4上面側に圧搾空気24を吹き付けることにより基板上面側を高圧空間にするとともに、ボンディングステージ14の空気排出口16より基板4下面側の空気を排出することにより基板4下面側を低圧空間にする。基板4上面側の高圧空間は、基板4上面側を下方に押圧し、基板4をボンディングステージ14の圧着面20に押し付ける。基板4下面側の低圧空間は、基板4をボンディングステージ14に吸着させる。図3は、圧搾空気24による基板4上面側の高圧化及び空気排出口16の排出による基板4下面側の低圧化によって基板4がボンディングステージ14の圧着面20に密着している状態を示している。
【0015】
次に、ボンディングステージ14上で、電極6とリード12(半導体チップ2と基板4)を位置決めする。次に、ボンディングツール26が加圧ピストン(図示せず)の作動により図の下方へ降下を開始して、電極6及びリード12に対する加圧を行う。そして、電極6及びリード12に対する加圧の開始と同時または加圧の開始後に、ボンディングツール26及びボンディングステージ14のうち少なくとも一方の加熱を開始する。こうして、電極6またはリード12に対する加圧の開始時又は開始後に、電極6及びリード12を昇温し、電極6及びリード12の接合部の温度を電極6及びリード12の接合温度以上にする。
【0016】
以上の工程によって、電極6とリード12を接合することにより、基板4に半導体チップ2をボンディングすることができる。その後、半導体チップ2と電極6との間に、図1に示すように、アンダーフィル材36を充填してもよい。
【0017】
本発明によれば、基板が平坦な状態で電極6及びリード12を位置合わせするので、電極6とリード12の接合位置のズレが少なくなる。この後、電極6及びリード12を加圧及び昇温する。このため、電極6とリード12との接合不良による半導体装置の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0018】
(変形例)
図4は、本発明の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造装置を示す図である。図5は、図4のV−V線断面図である。図4及び図5に示す例では、半導体装置の製造装置は、ブロワ38を有する。ブロワ38は、複数の噴出口40が設けられている。複数の噴出口40は、レール34と交差するように2列に配置されている。複数の噴出口40は、2列に配置された内側を向くように設けられている。ブロワ38は、複数の噴出口40により、圧搾空気24を基板4上面側の広い範囲に吹き付ける。その他の構成については、上記実施の形態で説明した内容を適用することができる。図4に示す半導体装置の製造方法には、上記実施の形態で説明した事項を適用することができる。ただし、ブロワ38により基板4上面側に圧搾空気を吹き付けることにより基板4上面側を高圧空間にする。
【0019】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。さらに、本発明は、実施の形態で説明した技術的事項のいずれかを限定的に除外した内容を含む。あるいは、本発明は、上述した実施の形態から公知技術を限定的に除外した内容を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造装置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る基板が圧着面に密着している状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造装置を示す図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【符号の説明】
【0021】
2…半導体チップ 4…基板 6…電極 8…パッド 10…バンプ 12…リード 14…ボンディングステージ 16…空気排出口 18…加熱ヒータ 2…0圧着面 22…ブロワ 24…圧搾空気 26…ボンディングツール 28…加熱ヒータ 30…ボンディング面 32…ロッド 34…レール 36…アンダーフィル材 38…ブロワ 40…噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングステージ上に基板を載置すること、
前記基板上面側から圧搾空気を吹き付けることにより、前記ボンディングステージに前記基板を押し付けること、
前記基板下面側から空気を排出することにより、前記ボンディングステージに前記基板を吸着させること、及び、
前記基板に半導体チップをボンディングすること、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体チップを実装すべき基板を載置し、前記基板下面側の空気を排出する空気排出口を備えているボンディングステージと、
前記ボンディングステージに前記基板を前記基板上面側から押し付けるように圧搾空気を吹き付けるブロワと、
前記基板に前記半導体チップをボンディングするボンディングツールと、
を有する半導体装置の製造装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2列に配置されたブロワと、前記ブロワの各々に設けられ、前記2列の内側を向くように設けられた複数の噴出口と、ボンディングステージと、を有する半導体装置の製造装置を用意すること、
前記ボンディングステージ上に基板を載置すること、
前記複数の噴出口から、前記基板上面側に圧搾空気を吹き付けることにより、前記ボンディングステージに前記基板を押し付けること、
前記基板下面側から空気を排出することにより、前記ボンディングステージに前記基板を吸着させること、及び、
前記基板に半導体チップをフェースダウンボンディングすること、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体チップを実装すべき基板を載置し、前記基板下面側の空気を排出する空気排出口を備えているボンディングステージと、
前記ボンディングステージに前記基板を前記基板上面側から押し付けるように圧搾空気を吹き付ける、2列に配置されたブロワと、
前記ブロワの各々に設けられ、前記2列の内側を向くように設けられた複数の噴出口と、
前記基板に前記半導体チップをフェースダウンボンディングするボンディングツールと、
を有する半導体装置の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate