説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ダイオードのpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、最適なキャリアライフタイムの制御が可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1のn型半導体基板2の上主面近傍で、低濃度n型不純物層3とp型拡散領域5との界面でpn接合が形成されている。この半導体装置1の上主面上にアブゾーバからなるマスク15を載置して電子線照射を行い、その後、熱処理する。この結果、結晶欠陥密度のピークはn型半導体基板2の上主面近傍となり、結晶欠陥密度は下主面に向かって漸減するように分布する。これにより、ダイオードのpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、最適なキャリアライフタイムの制御が可能な半導体装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関し、特に、基板にキャリアライフタイムキラーを導入して、特性及び信頼性を向上させた半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等の電力半導体素子では、通常、基板内にpn接合を含むダイオードが設けられている。このダイオードがオン状態となる際には、pn接合を介して少数キャリアが注入される。ダイオードがオフ状態となる際、少数キャリアが過剰である場合には、逆方向電流が発生してエネルギー損失が大きくなる。
【0003】
上記エネルギー損失を小さく抑えるため、基板内には、結晶欠陥などのキャリアライフタイムキラーが設けられている。キャリアライフタイムキラーは、少数キャリアと再結合することにより逆方向電流を小さくし、エネルギー損失を小さく抑えることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
基板内にライフタイムキラーを導入する方法として、基板内に金や白金などの重金属を拡散させる方法や、基板の表面から電子線、プロトン、ヘリウム等を照射する方法などが挙げられる。一般に、基板の表面から所定の深さに結晶欠陥を形成する場合には、プロトン照射又はヘリウム照射を用いる方法が適している。また、基板の深さ方向全体に亘って結晶欠陥を形成する場合には、電子線照射を用いる方法が適している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−326366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したプロトン照射又はヘリウム照射を用いる方法では、pn接合の耐圧特性が変化しやすい。電子線照射を用いる方法では、ダイオードの順方向の電圧降下(Vf)とエネルギー損失のトレードオフ曲線が、プロトン照射又はヘリウム照射を用いる方法と比較して劣化する。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、電子線照射を用いて基板内に結晶欠陥を形成する半導体装置及びその製造方法において、ダイオードのpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、最適なキャリアライフタイムの制御が可能な半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板の内部にpn接合を有し、前記pn接合を介して注入された少数キャリアと再結合する結晶欠陥が設けられた半導体装置であって、前記結晶欠陥は、前記半導体基板の一方の主面側から他方の主面側に向かって漸減して分布することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、pn接合を有する半導体基板の主面上から、400keV以上かつ500keV以下の加速エネルギーで電子線照射を行い、前記半導体基板の内部に結晶欠陥を形成する工程と、前記半導体基板を熱処理する工程とを含むことを特徴とする。本発明のその他の特徴については、以下において詳細に説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子線照射を用いて基板内に結晶欠陥を形成する半導体装置及びその製造方法において、ダイオードのpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、最適なキャリアライフタイムの制御が可能な半導体装置及びその製造方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一符号を付して、その説明を簡略化ないし省略する。
【0012】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る半導体装置について説明する。ここでは、素子耐圧定格が2000V以上のダイオードを有し、電鉄などに用いられる半導体装置について説明する。
【0013】
上述した半導体装置1の断面図を図1に示す。半導体装置1は、n型半導体基板(以下、単に「基板」という)2を用いて形成されている。基板2の上主面側には、低濃度のn型不純物を含む、低濃度n型不純物層3が設けられている。この層の厚さは250μm以上であり、比抵抗は150Ωcm以上である。基板2の下主面側には、高濃度のn型不純物を含む高濃度n型不純物層4が、低濃度n型不純物層3に接するように設けられている。基板2の上主面の近傍には、p型拡散領域5が選択的に設けられている。この領域の厚さは3〜5μm程度である。このようにして、p型拡散領域5と低濃度n型不純物層3との界面には、pn接合が形成されている。
【0014】
基板2の上主面の近傍において、p型拡散層領域5の両外側には、ガードリングのp型拡散層5aが複数設けられている。さらに、基板2の上主面の近傍において、ガードリングのp型拡散領域5aの両外側には、低濃度n型不純物層3に電位を与えるためn型拡散層6が設けられている。
【0015】
ガードリングのp型拡散層領域5aの上面と、p型拡散領域5の端部の上面を覆うように、リンガラス保護膜7が設けられている。基板2の上で、p型拡散領域5に接するようにアノード電極8が設けられている。この電極は、アルミニウムなどからなっている。また、基板2の上で、n型拡散層6と接触するように、表面電極9が設けられている。また、基板2の下主面側には、高濃度n型不純物層4に接するように、カソード電極10が設けられている。
【0016】
上述したように、基板2の上主面側では、アノード電極8がp型拡散領域5と接するように設けられている。p型拡散領域5は、低濃度n型不純物層3との界面でpn接合を形成している。さらに、低濃度n型不純物層3は高濃度n型不純物層4と電気的に接続され、高濃度n型不純物層4はカソード電極10に接続されている。このようにして、アノード電極8側を陽極とし、カソード電極10側を陰極とするダイオードが構成されている。
【0017】
ここで、アノード電極8とカソード電極10との間に所定値以上の順方向電圧を印加すると、上述したダイオードがオン状態となり、順方向に電流が流れる。このとき、上記pn接合を介して少数キャリアが注入される。具体的には、p型拡散領域5には電子が注入され、低濃度n型不純物層3にはホールが注入される。ダイオードがオフ状態となる際、注入された少数キャリアが少ない場合には、これらの少数キャリアは、多数キャリア再結合して消滅する。しかし、少数キャリアが過剰に注入された場合には、一部の少数キャリアは消滅せず、消滅しなかった少数キャリアにより逆方向電流が発生する。この電流が大きくなると、逆回復損失が大きくなる。
【0018】
上記損失を小さくするため、図1に示した半導体装置1では、基板2の内部に、少数キャリアと再結合させるための結晶欠陥(ライフタイムキラー)が形成されている。これらの結晶欠陥は、基板2の上主面側から下主面側に向かって漸減するように分布している。基板2の内部の領域を上主面側から下主面側に向かって順に第1領域11、第2領域12、第3領域13とすると、第1領域11の結晶欠陥密度が最も大きく、第2領域12、第3領域13の順に小さくなる。また、各領域内では、基板2の上主面側から下主面側に向かって、結晶欠陥密度が小さくなるように、結晶欠陥が分布している。
【0019】
すなわち、基板2の内部に形成された結晶欠陥の密度は、基板2の上主面近傍が最も高く、下主面に向かって漸減している。つまり結晶欠陥密度のピークの深さを、基板2の上主面近傍とすることができる。これにより、上記ピークの深さが基板2の上主面から所定深さにある場合と比較して、ライフタイムキラーの分布のばらつきを抑えることができる。従って、基板2の内部に設けられたpn接合の耐圧特性の変化や、耐圧リーク特性の変化を抑制することができる。
【0020】
次に、図1に示した半導体装置1の製造方法について説明する。まず、図2に示すように、基板2の上主面側に低濃度n型不純物層3を形成し、下主面側に高濃度n型不純物層4を形成する。そして、基板2の上主面近傍にp型拡散層領域5、ガードリングのp型拡散層領域5a、n型拡散層6、リンガラス保護膜7、アノード電極8、表面電極9を形成する。さらに基板2の下主面側にカソード電極10を形成する。この結果、基板2の上主面近傍で、p型拡散層領域5と低濃度n型不純物層3との界面にpn接合が形成された半導体装置1が得られる。
【0021】
次に、図3に示すように、基板2の上主面上に、電子線を吸収するアブゾーバからなるマスク15を載置して、マスク15を介して、基板2の上主面上から電子線14を照射する。上記アブゾーバとしては、300〜400μm程度の厚さのSi基板(比重2.33)や、アルミニウム等を用いる。また、電子線照射の加速エネルギーは、500keVより大きい値とする。ここでは、加速エネルギーを750keV、ドーズ量を8×1014cm−2として行う。この結果、基板2の内部に結晶欠陥16が形成される。
【0022】
このとき、基板2の内部の領域を上主面側から下主面側に向かって第1領域11、第2領域12、第3領域13とすると、第1領域11の結晶欠陥密度が最も大きく、第2領域12、第3領域13の順に小さくなるように、結晶欠陥が形成される。また各領域内では、基板2の上主面側から下主面側に向かって結晶欠陥密度が小さくなるように、結晶欠陥が形成される。
【0023】
次に、図3に示した半導体装置1を熱処理する。例えば、窒素雰囲気中で、340℃、90分程度の熱処理を行う。この結果、基板2の内部に形成された結晶欠陥が安定化し、図1に示す構造が得られる。
【0024】
次に、基板2の上主面上にマスク15を載置して電子線照射を行う効果について説明する。基板2の上主面上にマスク15を載置した場合と、載置ない場合とについて、基板2の内部に形成される結晶欠陥の分布を比較した。アブソーバの厚さが300μm、400μmの場合と、マスク15を載置しない場合の、基板2の上主面からの深さに対する結晶欠陥の相対線量(ピーク値を100%とした場合の相対的な欠陥の密度)を図4に示す。電子線照射の加速エネルギーは、全て750keVで行った。
【0025】
図4に示すように、マスク15を載置しない場合は、相対線量は基板2の上主面から300〜350μm程度の深さにピークを有し、それよりも深くなるに従い相対線量が漸減している。これに対して、マスク15を載置して電子線照射を行った場合には、アブゾーバの厚さが300μm、400μmのいずれの場合も、相対線量のピークは、基板2の上主面近傍に存在する。そして、基板2の上主面から深くなるに従い、相対線量が漸減している。
【0026】
この結果より、基板2の上主面上に300μm〜400μm程度のアブゾーバからなるマスク載置して、電子線照射を行うことにより、結晶欠陥密度のピークを、基板2の上主面の近傍とすることができる。これにより、上記マスクを載置しない場合と比較して、p型拡散層領域5と低濃度n型不純物層3とによるpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、最適なキャリアライフタイムの制御が可能となる。
【0027】
本実施の形態1に係る半導体装置及びその製造方法によれば、基板の内部に形成されたpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、最適なキャリアライフタイムの制御が可能な半導体装置及びその製造方法を得ることができる。
【0028】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る半導体装置の製造方法について説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0029】
まず、実施の形態1と同様にして、基板2の上主面近傍で、p型拡散層領域5と低濃度n型不純物層3との界面にpn接合が設けられた半導体装置1を形成する(図2参照)。
【0030】
次に、図5に示すように、基板2の上主面の上から電子線照射を行い、基板2の内部に結晶欠陥16を形成する。このとき、電子線照射の加速エネルギーは、400〜500keVの範囲で行う。例えば、加速エネルギーを400keV、ドーズ量を3×1015cm−2として電子線照射を行う。または、加速エネルギーを500keV、ドーズ量を1×1015cm−2として電子線照射を行う。なお、実施の形態1では、基板2の上主面上にアブゾーバからなるマスクを載置して電子線照射を行うようにした。これに対して本実施の形態2では、基板2の上主面上に上記マスクを載置することなく、電子線照射を行う。
【0031】
次に、実施の形態1と同様にして、図5に示した半導体装置1を熱処理する。この結果、基板2の内部に形成された結晶欠陥16が安定化し、図1と同様の構造が得られる。
【0032】
次に、図5に示した電子線照射を行う効果について説明する。基板2の上主面上にアブゾーバからなるマスクを載置することなく、加速エネルギーを400keV、500keV、750keVとして電子線照射を行った場合の、基板2の内部に形成される結晶欠陥の相対線量を図6に示す。
【0033】
加速エネルギーが750keVであるとき、相対線量のピークは、基板2の上主面から300〜400μmの深さとなる。これに対して、加速エネルギーを400keVとした場合は、相対線量のピークは、基板2の上主面の表面近傍となる。また、加速エネルギーを500keVとした場合は、相対線量のピークは、基板2の上主面から100μm程度の深さとなる。すなわち、電子線照射の加速エネルギーを400keV〜500keVの範囲とすることにより、相対線量のピークの深さを、基板2の上主面から100μm以下とすることができる。
【0034】
本実施の形態2では、実施の形態1で示したアブゾーバからなるマスクを用いることなく、結晶欠陥密度のピークの深さを基板2の上主面近傍とすることができる。これにより、実施の形態1と同様に、ライフタイムキラーの分布のばらつきを抑えることができる。よって、基板2の内部に設けられたpn接合の耐圧特性の変化や、耐圧リーク特性の変化を抑制することができる。さらに本実施の形態2では、実施の形態1で用いたマスクを必要としないので、実施の形態1よりも工程を簡略化できる。
【0035】
次に、実施の形態1、2で得られる半導体装置のダイオードの特性について説明する。ダイオードの順方向降下電圧Vfと、逆回復電流Irrとのトレードオフ曲線を図7に示す。ここでは、基板2の上主面上に厚さ300μmのアブゾーバからなるマスクを載置して、750keVの加速エネルギーで電子線照射を行った場合と、上記マスクを載置せずに、加速エネルギーを400keV、450keV、500keVとして電子線照射を行った場合とについて示している。
【0036】
図7に示すように、厚さ300μmのアブゾーバからなるマスクを載置して電子線照射を行った場合のトレードオフ曲線に対して、上記マスク無しで加速エネルギーを400、450、500keVとした場合には、トレードオフ曲線は、A方向(左下側)にシフトしている。この結果より、実施の形態1で上記マスクを用いて電子線照射を行った場合よりも、実施の形態2のように上記マスクを用いることなく加速エネルギーを400〜500keVとして電子線照射を行うことにより、ダイオードの特性が向上することが確認された。
【0037】
次に、実施の形態1、2で得られる半導体装置の製造方法において、電子線照射を行う際の電子線照射量(ドーズ量)と、ダイオードの順方向降下電圧Vfとの関係について説明する。図8に示すように、電子線照射を行う際に、厚さ300μmのアブゾーバからなるマスクを用いた場合には、電子線の照射量に依存したVfの変化が得られる。これに対して、上記マスクを用いない場合には、電子線の照射量に対するVfの変化量は、電子線照射の加速エネルギーの減少に伴い小さくなる。そして、加速エネルギーが400keVの場合には、Vfの変化量は極めて小さくなる。この結果より、加速エネルギーを400keV未満とした場合には、電子線照射量を増加させてもVfの変化は極めて小さくなり、所望のライフタイム制御が困難になると考えられる。
【0038】
図6〜図8の結果を考慮すると、アブゾーバからなるマスクを用いることなく電子線照射を行う際には、加速エネルギーを400〜500keVの範囲とすることが好適である。これにより、基板の内部に形成されたpn接合の耐圧特性の変化を小さく抑え、ダイオード特性を向上させ、かつ最適なキャリアライフタイムの制御が可能となる。
【0039】
本実施の形態2の半導体装置の製造方法によれば、実施の形態1で示したマスクを用いることなく、結晶欠陥密度のピークの深さを基板2の上主面近傍とすることができる。これにより、実施の形態1で得られる効果に加えて、ダイオード特性を向上させ、かつ、半導体装置の製造方法を簡略化できる。
【0040】
実施の形態3.
本実施の形態3に係る半導体装置の製造方法について説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0041】
まず、実施の形態1と同様にして、基板2の上主面近傍で、p型拡散層領域5と低濃度n型不純物層3との界面にpn接合が設けられた半導体装置1を形成する(図2参照)。
【0042】
次に、図9に示すように、基板2の上主面上に、開口部Aを有するマスク15aを載置して、基板2の上主面上から、このマスク15aを介して電子線14を照射する。このマスク15aの材料としては、比重が7.9のステンレス等を用いる。その後、図示しないが、実施の形態1と同様にして、半導体装置を熱処理する。
【0043】
この結果、図9に示すように、半導体装置1の位置17では、基板2の上主面から下主面に向かって結晶欠陥密度が漸減するように、結晶欠陥が分布する。また、半導体装置1の位置18では、基板2の上主面からの結晶欠陥密度のピークの深さを、所望の値とすることができる。従って、半導体装置1の所望の位置で、所望のダイオード特性(リカバリー特性、リカバリー耐量)を有する素子を形成できる。
【0044】
本実施の形態3によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、半導体装置の所望の位置に、所望のダイオード特性を有する素子を形成できる。
【0045】
実施の形態4.
本実施の形態4に係る半導体装置の製造方法について説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0046】
まず、実施の形態1と同様にして、基板2の上主面近傍で、p型拡散層領域5と低濃度n型不純物層3との界面にpn接合が設けられた半導体装置1を形成する(図2参照)。
【0047】
次に、図10に示すように、基板2の上主面上にアブゾーバからなるマスク15bを載置して、基板2の主面上からこのマスク15bを介して電子線14を照射する。このとき、マスク15bは、第1の厚みtを有する領域と、第1の厚みtよりも薄い第2の厚みtを有する領域とを含んでいる。例えば、マスク15bは、厚みtが100μmである領域と、厚みtが10μmである領域とを有している。この後、図示しないが、実施の形態1と同様にして、半導体装置1を熱処理する。
【0048】
このため、図10に示す半導体装置1の位置19よりも、位置20の方が、上主面上に載置されたアブゾーバの厚さが薄くなる。従って、半導体装置1の位置19よりも、位置20の方が、基板2の上主面からの結晶欠陥密度のピークが深くなる。つまり、半導体装置1の位置により、ダイオード特性(リカバリー特性、リカバリー耐量)を異ならせることができる。従って、半導体装置1の所望の位置に、所望のダイオード特性を有する素子を形成できる。
【0049】
本実施の形態4によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、半導体装置の所望の位置に、ダイオード特性を他の位置と異ならせた素子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の構造を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体装置の結晶欠陥の相対線量を示す図である。
【図5】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る半導体装置の結晶欠陥の相対線量を示す図である。
【図7】実施の形態1、2に係る半導体装置のダイオード特性を示す図である。
【図8】実施の形態1、2に係る半導体装置のダイオード特性を示す図である。
【図9】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図10】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体装置、2 n型半導体基板、3 低濃度n型不純物層、4 高濃度n型不純物層、5 p型拡散領域、6 n型拡散層、8 アノード電極、10 表面電極、14 電子線、15、15a、15b マスク、16 結晶欠陥。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の内部にpn接合を有し、前記pn接合を介して注入された少数キャリアと再結合する結晶欠陥が設けられた半導体装置であって、
前記結晶欠陥は、前記半導体基板の一方の主面側から他方の主面側に向かって漸減して分布することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
pn接合を有する半導体基板の主面上から、400keV以上かつ500keV以下の加速エネルギーで電子線照射を行い、前記半導体基板の内部に結晶欠陥を形成する工程と、
前記半導体基板を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
pn接合を有する半導体基板の主面上に電子線を吸収するためのマスクを載置して、前記マスクを介して前記半導体基板の主面上から500keVより大きい加速エネルギーで電子線照射を行い、前記半導体基板の内部に結晶欠陥を形成する工程と、
前記半導体基板を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記マスクには開口部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記マスクは、第1の厚みを有する領域と、前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する領域とを含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−91705(P2008−91705A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272062(P2006−272062)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)