説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ワイヤの経路が所望の経路から外れてしまうことにより、隣り合うワイヤどうしが接触することを抑制する。
【解決手段】半導体装置は、電極上に形成されたバンプ10と、バンプ10に一端が接続されたワイヤ1と、を有している。バンプ10は、本体部11と、本体部11上に形成された複数の突起部12と、を有している。ワイヤ1と、複数の突起部12どうしの間に形成される谷間13とが、平面視において重なっている。複数の突起部12どうしの間に形成される谷間からのワイヤ1の脱落を抑制することができる。よって、ワイヤ1の経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤ1どうしが接触してしまうことを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤを用いて(半導体チップ等の)電極上にバンプを形成し、このバンプに対してワイヤボンディングを行う技術が知られている。この技術では、バンプの本体部の上に突起部を形成し、この突起部の上にワイヤが載るようにして、ワイヤをボンディングすることがある。
このような技術は、例えば、特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−071983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウェハ加工の微細化技術の進展と、半導体チップの高集積化及び高機能化に伴い、半導体チップの電極及び(ボンディング)ワイヤの狭ピッチ化が進んでいる。このため、平面視においてワイヤの経路が所望の経路から外れてしまうことにより、隣り合うワイヤどうしが接触する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電極上に形成されたバンプと、
前記バンプに一端が接続されたワイヤと、を有し、
前記バンプは、本体部と、前記本体部上に形成された複数の突起部と、を有し、
前記ワイヤと、前記複数の突起部どうしの間に形成される谷間とが、平面視において重なっていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0006】
この半導体装置によれば、バンプは、本体部上に形成された複数の突起部を有し、ワイヤと複数の突起部どうしの間に形成される谷間とが平面視において重なっているので、複数の突起部どうしの間に形成される谷間からのワイヤの脱落を抑制することができる。よって、ワイヤの経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤどうしが接触してしまうことを抑制することができる。
【0007】
また、本発明は、電極上に形成されたバンプと、
前記バンプに一端が接続されたワイヤと、を有し、
前記バンプは、本体部と、前記本体部上に形成された突起部と、を有し、
前記ワイヤの径方向における前記突起部の幅が、前記ワイヤの径の2倍以上であることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
この半導体装置によれば、バンプは、本体部上に形成された突起部を有し、ワイヤの径方向における突起部の幅がワイヤの径の2倍以上であるので、突起部上からのワイヤの脱落を抑制することができる。よって、ワイヤの経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤどうしが接触してしまうことを抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、電極上にバンプを形成する第1工程と、
前記バンプにワイヤの一端を接続する第2工程と、
を有し、
前記第1工程は、前記バンプの本体部を前記電極上に形成する工程と、前記本体部上に複数の突起部を形成する工程と、を含み、
前記第2工程では、前記ワイヤと、前記複数の突起部どうしの間に形成される谷間とが、平面視において重なるように、前記ワイヤを前記バンプに接続することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、電極上にバンプを形成する第1工程と、
前記バンプにワイヤの一端を接続する第2工程と、
を有し、
前記第1工程は、
前記バンプの本体部を前記電極上に形成する工程と、
前記本体部上に、前記ワイヤの径方向における幅が前記ワイヤの径の2倍以上である突起部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワイヤの経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤどうしが接触してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置のバンプを示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置のバンプにワイヤがボンディングされた状態を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の適例を示す模式的な断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る半導体装置のバンプの形成手順を示す側面図である。
【図6】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る半導体装置のバンプを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る半導体装置のバンプにワイヤがボンディングされた状態を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図10】第3の実施形態に係る半導体装置のバンプを示す図である。
【図11】第3の実施形態に係る半導体装置のバンプにワイヤがボンディングされた状態を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図13】第4の実施形態に係る半導体装置のバンプを示す図である。
【図14】第4の実施形態に係る半導体装置のバンプにワイヤがボンディングされた状態を示す図である。
【図15】第4の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図16】第5の実施形態に係る半導体装置のバンプを示す図である。
【図17】第5の実施形態に係る半導体装置のバンプにワイヤがボンディングされた状態を示す図である。
【図18】第5の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図19】ワイヤの垂れにより発生するショートを説明する半導体装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0014】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置100(図3)のバンプ10(半導体装置100に収納されている半導体チップ3a(図3)の電極4に形成されたバンプ10)を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図2は第1の実施形態に係る半導体装置100のバンプ10にワイヤ1がボンディングされた状態を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図3は第1の実施形態に係る半導体装置100の側断面図である。また、図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ第1の実施形態に係る半導体装置100の具体例を示す模式的な断面図である。
【0015】
本実施形態に係る半導体装置100は、電極4(図3参照)上に形成されたバンプ10と、バンプ10に一端が接続されたワイヤ1と、を有している。バンプ10は、本体部11と、本体部11上に形成された複数の突起部12(図1、図2参照)と、を有している。そして、ワイヤ1と、複数の突起部12どうしの間に形成される谷間13とが、平面視において重なっている(図2参照)。
以下、詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、バンプ10は、電極4(図3)上に形成された本体部11と、この本体部11上に形成された複数の突起部12とを有している。
本実施形態の場合、図1(a)及び図2(a)に示すように、複数の突起部12は、互いに底部12aが一体化している。ただし、突起部12の上部12bは、互いに平面方向において離間しており、これら突起部12(の上部12b)どうしの間には谷間13が形成されている。
なお、各突起部12の上面は、例えば、上に凸の曲面状となっている。
【0017】
図3に示すように、バンプ10の本体部11上にはワイヤ1の一端が接続されている。なお、図2(a)に示すように、バンプ10に対するワイヤ1の接続端1a(図3では図示を省略)は、ワイヤ1よりも幅広になっている。
【0018】
ここで、図2(b)に示すように、ワイヤ1は、平面視において谷間13と重なるような経路となるようにバンプ10に接続されている。これにより、ワイヤ1が突起部12上から脱落してしまうことが適切に抑制されている。
より具体的には、例えば、ワイヤ1は、谷間13を通過するような経路となるようにバンプ10に接続されている。換言すれば、ワイヤ1は、互いに離間している突起部12の上部12bどうしの間に挟まれている。これにより、一層適切に、ワイヤ1が突起部12上から脱落してしまうことが抑制されている。
【0019】
なお、電極4は、例えば、図3に示すように、層間絶縁膜7上に形成され、この層間絶縁膜7上には保護絶縁膜8が形成されている。保護絶縁膜8には、電極4を露出させる開口8aが形成されている。電極4には、図示しない配線が接続されている。
【0020】
次に、図4を参照して、半導体装置100の具体例について説明する。
【0021】
図4(a)は、複数の半導体チップ3a、3bが積層されているいわゆるスタック構造の半導体装置100において、いわゆる逆ボンディングを行う例を示している。すなわち、図4(a)の半導体装置100においては、基板(配線基板)2上に複数の半導体チップ3a、3bが積層して設けられ、各半導体チップ3a、3bの電極4(図3参照)上には上述したバンプ10がそれぞれ形成されている。一方、公知の熱圧着方式、または超音波併用熱圧着方式でのボールボンディングにより、基板2に形成された電極(図示略)から、半導体チップ3a、3b上のバンプ10へと、ワイヤ1がボンディングされている。この例では、各半導体チップ3a、3b上のバンプ10には、図2及び図3に示すようにワイヤ1が接続されている。また、基板2上の電極(図示略)には、ワイヤ1の先端に形成されたボールが圧着されることにより圧着ボール15が形成されている。
【0022】
図4(b)は、複数の半導体チップ3a、3bの(それぞれの電極4(図3参照))間でボンディングを行う例を示している。すなわち、図4(b)の半導体装置100においては、基板2上に複数の半導体チップ3a、3bが互いに離間して設けられ、一方の半導体チップ3aの電極4(図3参照)上には、上述したバンプ10が形成されている。そして、半導体チップ3bの電極4(図3参照)から、半導体チップ3a上のバンプ10へと、ワイヤ1がボンディングされている。この例では、一方の半導体チップ3a上のバンプ10には、図2及び図3に示すようにワイヤ1が接続されている。また、半導体チップ3bの電極4には、ワイヤ1の先端に形成されたボールが圧着されることにより圧着ボール15が形成されている。
【0023】
図4(c)は、スタック構造の半導体装置100において、複数の半導体チップ3a、3bの(それぞれの電極4(図3参照))間でボンディングを行う例を示している。すなわち、図4(c)の半導体装置100においては、基板2上に複数の半導体チップ3a、3bが積層して設けられ、上層の半導体チップ3bの電極4(図3参照)上には、上述したバンプ10が形成されている。そして、下層の半導体チップ3aの電極4(図3参照)から、上層の半導体チップ3b上のバンプ10へと、ワイヤ1がボンディングされている。この例では、一方の半導体チップ3b上のバンプ10には、図2及び図3に示すようにワイヤ1が接続されている。また、半導体チップ3aの電極4には、ワイヤ1の先端に形成されたボールが圧着されることにより圧着ボール15が形成されている。
【0024】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0025】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、電極4(図3参照)上にバンプ10を形成する第1工程と、バンプ10にワイヤ1の一端を接続する第2工程と、を有している。第1工程は、バンプ10の本体部11を電極4上に形成する工程と、本体部11上に複数の突起部12(図1、図2参照)を形成する工程と、を含む。第2工程では、ワイヤ1と、複数の突起部12どうしの間に形成される谷間13とが、平面視において重なるように、ワイヤ1をバンプ10に接続する(図2参照)。
以下、詳細に説明する。
【0026】
先ず、上述したバンプ10を、例えば半導体チップ3a、3bの電極4上に形成する。図5はこの形成の手順を示す一連の側面図である。
【0027】
先ず、図5(a)に示すように、ボンディング装置(全体図示略)のキャピラリ5によって、ワイヤ(ワイヤ材)1の先端に予め形成されているボール6を保持し、該ボール6を電極4上にボンディングする。これにより、ボール6により構成されるバンプ10の本体部11を電極4上に形成する。
【0028】
次に、図5(b)に示すように、本体部11に繋がったままのワイヤ1に沿ってキャピラリ5を上昇させる。次に、図5(c)に示すようにキャピラリ5を横(概ね、半導体チップの外周方向)に移動させることによって、キャピラリ5の先端から導出しているワイヤ1を屈曲させた後、図5(d)に示すように、その反対側(半導体チップのほぼ中心方向)に向けてキャピラリ5を斜めに下降させ、ワイヤ1を折り畳むようにして屈曲させる。この段階で、1つめの突起部12が本体部11上に形成される。
【0029】
引き続き、図5(e)に示すように、突起部12に繋がったままのワイヤ1に沿ってキャピラリ5を上昇させる。次に、図5(f)に示すようにキャピラリ5を横(例えば、図5(c)での移動方向に対して30°程度の方向)に移動させることによって、キャピラリ5の先端から導出しているワイヤ1を屈曲させる。次に、図5(g)に示すように、図5(f)での移動方向の反対側に向けてキャピラリ5を斜めに下降させ、ワイヤ1を折り畳むようにして屈曲させる。この段階で、2つめの突起部12が本体部11上に形成される(図1(a)参照)。
次に、図5(h)に示すようにワイヤ1を切断する。
こうして、電極4上に、本体部11と、2つの突起部12と、を有するバンプ10を形成することができる。
【0030】
図6は、例示として図4(a)の半導体装置100の製造方法の一連の工程を示す断面図である。
基板2の所定の位置に半導体チップ3aを接着剤(図示略)にて接着する。続いて、半導体チップ3a上に半導体チップ3bを接着剤(図示略)にて接着する(図6(a))。
【0031】
次に、下層の半導体チップ3aの所定の最初の電極4(図3参照)にバンプ10を形成する。尚、図6において、バンプ10の突起部12は図示を省略している。続いて、基板2の所定の最初の電極(図示略)から、当該形成したバンプ10へとワイヤ1をボンディングする。すなわち、キャピラリ5(図5参照)により、あらかじめボールが形成されたワイヤ1の一端を基板2の電極(図示略)に接続した後、ワイヤ1の他端をバンプ10に接続する。この際、基板2の電極(図示略)上には、ボールが圧着されることにより圧着ボール15が形成される。続いて、同様に、半導体チップ3aの所定の次の電極4(図示略)にバンプ10を形成後、基板2の所定の次の電極(図示略)から当該形成したバンプ10へとワイヤ1をボンディングする。以降、バンプ10の形成とワイヤ1のボンディングとを繰り返して、下層の半導体チップ3aのワイヤボンディングを完了する(図6(b))。
また、この際に、平面視においてワイヤ1が突起部12どうしの間の谷間13と重なるように、突起部12の形成方向を設定する(図2参照)。
【0032】
次に、下層の半導体チップ3aのワイヤボンディングと同様に、上層の半導体チップ3bの所定の電極4(図示略)へのバンプ10の形成と、基板2の所定の電極(図示略)から当該形成したバンプ10へのワイヤ1のボンディングと、を繰り返して、上層の半導体チップ3bのワイヤボンディングを完了する(図6(c))。
こうして、半導体装置100を製造することができる。
尚、ここでの説明では、バンプ10の形成と、ワイヤ1のボンディングとを交互に繰り返すとしたが、半導体チップ3a、3bを接着した後の段階で、半導体チップ3a、3bの所定の電極4のそれぞれの上にあらかじめバンプ10を形成することもできる。また、バンプ10は、基板2に下層の半導体チップ3aを接着した後の段階と、上層の半導体チップ3bを下層の半導体チップ3aに接着した後の段階で、それぞれ別々に形成することもできる。また、あらかじめバンプ10を形成しておいた半導体チップ3a,3bを、それぞれ基板2、下層の半導体チップ3aに接着しても良い。さらに、これらの組み合わせでもバンプ10を形成することができる。
【0033】
以上のような第1の実施形態によれば、バンプ10は、本体部11上に形成された複数の突起部12を有し、ワイヤ1と複数の突起部12どうしの間に形成される谷間13とが平面視において重なっている。このため、その谷間13からのワイヤ1の脱落を抑制することができる。よって、ワイヤ1の経路が所望の経路から外れてしまうことにより、隣り合うワイヤ1どうしが接触することを抑制することができる。
【0034】
なお、突起部12は、ワイヤ1(ワイヤ材)によって形成するため、ワイヤ1の細線化に伴い突起部12の寸法が小さくなる。突起部12が1つだけの場合、突起部12の寸法が小さくなると、突起部12からのワイヤ1の脱落が生じやすくなり、ワイヤ1の経路が所望の経路から外れてしまうことによる隣り合うワイヤ1どうしの接触が生じやすくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、上述のように、本体部11上に複数の突起部12を形成し、これら突起部12間の谷間13とワイヤ1とが平面視において重ならせるので、ワイヤ1が細線化しても、隣り合うワイヤ1どうしの接触を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の場合、複数の突起部12は互いに底部12aが一体化している。このため、ワイヤ1が下に垂れ下がってしまうことを抑制でき、半導体チップ3a、3bの上面エッジとワイヤ1とのクリアランスを充分に確保できる。よって、ワイヤ1の垂れによるワイヤ1と半導体チップ3a、3bの上面エッジとのショートを抑制することができる。
一方、半導体チップ3a、3bの上面エッジとワイヤ1とのクリアランスが充分でないと、例えば図19に示す模式的な断面図のように、ワイヤ1の垂れによりワイヤ1と半導体チップ3a、3bの上面エッジとのショート16が発生する懸念がある。
【0036】
また、各突起部12の上面は、上に凸の曲面状となっているので、ワイヤ1を谷間に位置決めしやすくなる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
図7は第2の実施形態に係る半導体装置200(図9)のバンプ10を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図8は第2の実施形態に係る半導体装置200のバンプ10にワイヤ1がボンディングされた状態を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図9は第2の実施形態に係る半導体装置200の側断面図である。
【0038】
図7及び図8に示すように、本実施形態の場合、複数の突起部12が互いに離間している。しかも、本実施形態の場合、例えば、図8に示すように、複数の突起部12どうしの間の空間の幅は、ワイヤ1の径以上となっている。
【0039】
また、本実施形態の場合、例えば、図7及び図8に示すように、複数の突起部12を、それらの長手方向が互いに平行となるように配置することができる。
【0040】
本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に谷間13からのワイヤ1の脱落を抑制することができ、ワイヤ1の経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤ1どうしが接触することを抑制することができる。
【0041】
〔第3の実施形態〕
図10は第3の実施形態に係る半導体装置300(図12)のバンプ10を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図11は第3の実施形態に係る半導体装置300のバンプ10にワイヤ1がボンディングされた状態を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図12は第3の実施形態に係る半導体装置300の側断面図である。
【0042】
図10及び図11に示すように、本実施形態の場合、第2の実施形態と同様に、複数の突起部12が互いに離間している。
ただし、本実施形態の場合は、図11に示すように、複数の突起部12どうしの間の空間は、その少なくとも一部分の幅が、ワイヤ1の径よりも小さくなっている。
このため、図12に示すように、上記の第2の実施形態(図9参照)と比べると、谷間13によってワイヤ1をより高い位置で支持することができるので、半導体チップ3a、3bの上面エッジとワイヤ1とのクリアランスを充分に確保することができる。
【0043】
本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に谷間13からのワイヤ1の脱落を抑制することができ、ワイヤ1の経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤ1どうしが接触することを抑制することができる。
しかも、上記の第2の実施形態と比べると、半導体チップ3a、3bの上面エッジとワイヤ1とのクリアランスを充分に確保することができ、ワイヤ1の垂れによるワイヤ1と半導体チップ3a、3bの上面エッジとのショートを抑制することができる。
【0044】
〔第4の実施形態〕
図13は第4の実施形態に係る半導体装置400(図15)のバンプ10を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図14は第4の実施形態に係る半導体装置400のバンプ10にワイヤ1がボンディングされた状態を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図15は第4の実施形態に係る半導体装置400の側断面図である。
【0045】
本実施形態に係る半導体装置400は、電極4(図15参照)上に形成されたバンプ10と、バンプ10に一端が接続されたワイヤ1と、を有している。バンプ10は、本体部11と、本体部11上に形成された突起部12(図13、図14参照)と、を有している。そして、ワイヤ1の径方向における突起部12の幅が、ワイヤ1の径の2倍以上である。
【0046】
図13及び図14に示すように、本実施形態の場合、バンプ10の本体部11上に1つの突起部12が形成されている。
この突起部12は、図14に示すように、ワイヤ1の径方向における幅が、ワイヤ1の径の2倍以上、より好ましくは3倍以上となっている。
【0047】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、電極4(図3参照)上にバンプ10を形成する第1工程と、バンプ10にワイヤ1の一端を接続する第2工程と、を有している。第1工程は、バンプ10の本体部11を電極4上に形成する工程と、本体部11上に、ワイヤ1の径方向における幅がワイヤ1の径の2倍以上である突起部12を形成する工程と、を含む。
【0048】
本実施形態の場合、突起部12を形成するには、例えば、図5(c)の段階でのキャピラリ5の移動方向と、図5(f)の段階での移動方向とを、互いに近接する横並びにすると良い。このようにすることにより、図5(d)の段階で形成される突起部12と図5(g)の段階で形成される突起部12とを一体化させて、1つの幅広の突起部12を形成することができる。
【0049】
以上のような第4の実施形態によれば、バンプ10は、本体部11上に形成された突起部12を有し、ワイヤ1の径方向における突起部12の幅がワイヤ1の径の2倍以上である。よって、突起部12上からのワイヤ1の脱落を抑制することができるので、ワイヤ1の経路が所望の経路から外れてしまうことにより隣り合うワイヤ1どうしが接触することを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態の場合、幅広の突起部12上にワイヤ1を支持させることができるので、ワイヤ1が下に垂れ下がってしまうことを抑制でき、半導体チップ3a、3bの上面エッジとワイヤ1とのクリアランスを充分に確保できる。よって、ワイヤ1の垂れによるワイヤ1と半導体チップ3a、3bの上面エッジとのショートを抑制することができる。
【0051】
〔第5の実施形態〕
図16は第5の実施形態に係る半導体装置500(図18)のバンプ10を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図17は第5の実施形態に係る半導体装置500のバンプ10にワイヤ1がボンディングされた状態を示す図であり、このうち(a)は平面図、(b)は(a)における矢印A方向から見た図である。図18は第5の実施形態に係る半導体装置500の側断面図である。
【0052】
本実施形態の場合も、第4の実施形態と同様に、ワイヤ1の径方向における突起部12の幅がワイヤ1の径の2倍以上である。この場合に、本実施形態では、突起部12の平面形状は、ワイヤ1の延伸方向における何れかの端部が開放するU字型、或いはV字型となっている。
なお、ワイヤ1の接続端1aは、例えば、突起部12により囲まれる領域12cにおいて、本体部11に接続されている。
【0053】
本実施形態の場合も、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
上記の各実施形態では、半導体チップ3a、3bの電極4上にバンプ10を形成する例を説明したが、基板2の電極(図示略)上にバンプ10を形成しても良い。
また、第1乃至第3の実施形態では、2つの突起部12を形成する例を説明したが、3つ以上の突起部12を形成し、その何れか2つの突起部12の間に形成される谷間13とワイヤ1とが平面視において重なるようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 ワイヤ
1a 接続端
2 基板
3a 半導体チップ
3b 半導体チップ
4 電極
5 キャピラリ
6 ボール
7 層間絶縁膜
8 保護絶縁膜
8a 開口
10 バンプ
11 本体部
12 突起部
12a 底部
12b 上部
12c 領域
13 谷間
15 圧着ボール
16 ショート
100 半導体装置
200 半導体装置
300 半導体装置
400 半導体装置
500 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極上に形成されたバンプと、
前記バンプに一端が接続されたワイヤと、を有し、
前記バンプは、本体部と、前記本体部上に形成された複数の突起部と、を有し、
前記ワイヤと、前記複数の突起部どうしの間に形成される谷間とが、平面視において重なっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の突起部は互いに底部が一体化していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の突起部は互いに離間していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の突起部の間の空間は、その少なくとも一部分の幅が、前記ワイヤの径よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の突起部の上面は、上に凸の曲面状となっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
電極上に形成されたバンプと、
前記バンプに一端が接続されたワイヤと、を有し、
前記バンプは、本体部と、前記本体部上に形成された突起部と、を有し、
前記ワイヤの径方向における前記突起部の幅が、前記ワイヤの径の2倍以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記突起部は、前記ワイヤの延伸方向の端部が開放するU字型ないしはV字型の平面形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
電極上にバンプを形成する第1工程と、
前記バンプにワイヤの一端を接続する第2工程と、
を有し、
前記第1工程は、前記バンプの本体部を前記電極上に形成する工程と、前記本体部上に複数の突起部を形成する工程と、を含み、
前記第2工程では、前記ワイヤと、前記複数の突起部どうしの間に形成される谷間とが、平面視において重なるように、前記ワイヤを前記バンプに接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
電極上にバンプを形成する第1工程と、
前記バンプにワイヤの一端を接続する第2工程と、
を有し、
前記第1工程は、
前記バンプの本体部を前記電極上に形成する工程と、
前記本体部上に、前記ワイヤの径方向における幅が前記ワイヤの径の2倍以上である突起部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1工程では、ボンディング装置のキャピラリを用いて、ワイヤ材により前記突起部を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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