半導体装置及びその製造方法
【課題】簡単な製造方法でハンダを用いた接合部の強度を高める。
【解決手段】半導体装置41は、実装基板1の上に電極パッド5を有し、電極パッド5の表面には触媒層10を形成した後に、カーボンナノチューブ15を成長させている。カーボンナノチューブ15は、実装基板1に垂直に多数形成されている。実装基板1に実装される半導体素子31は、基板32の他方の面32Aに形成された電極パッド35にハンダボール36が形成されている。ハンダボール36は、カーボンナノチューブ15が食い込むように実装基板1の電極パッド5に接合される。
【解決手段】半導体装置41は、実装基板1の上に電極パッド5を有し、電極パッド5の表面には触媒層10を形成した後に、カーボンナノチューブ15を成長させている。カーボンナノチューブ15は、実装基板1に垂直に多数形成されている。実装基板1に実装される半導体素子31は、基板32の他方の面32Aに形成された電極パッド35にハンダボール36が形成されている。ハンダボール36は、カーボンナノチューブ15が食い込むように実装基板1の電極パッド5に接合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、半導体装置に搭載される半導体素子やその他の電子部品は、小型化が進み、プリント基板への実装も高密度化が図られている。半導体素子や電子部品を高密度に実装する場合、特にノートパソコンやビデオカメラ、携帯電話等においては、BGA(Ball Grid Array)やCPS(Chip Size Package)を用いた実装が多く行われている。
【0003】
BGAやCSPを用いて半導体素子をプリント基板に実装するときは、最初に、半導体素子の電極パッド上にハンダボールを形成する。ハンダボールを電極パッド上に形成するときは、例えば、各電極パッドにフラックスを塗布し、フラックスの粘着力を利用してハンダボールを電極パッドに接着させる。続いて、ハンダボールをリフロー工程で加熱してハンダボールを電極に接合させる。
さらに、半導体素子をプリント基板に実装するときは、プリント基板の電極パッドの上に半導体素子のハンダボールを位置決めして載置する。この後に、リフロー工程を実施し、ハンダボールとプリント基板の電極パッドを接合させる。これにより、半導体素子の電極がプリント基板の電極パッドに電気的に接続される。
【0004】
ここで、半導体装置の使用時には、半導体素子等の発熱によって半導体装置の温度が上昇する。また、半導体装置を停止させると、半導体素子等が発熱しなくなるので、半導体装置の温度が低下する。このように、半導体装置は、半導体素子等の動作状態によって加熱と冷却を繰り返す熱サイクルに晒される。
また、半導体装置の使用環境によっては、半導体装置が高温雰囲気と低温雰囲気のそれぞれに交互に晒されることがある。このような場合、半導体装置は、半導体素子等の動作状態によらずに熱サイクルに晒されることになる。
【0005】
半導体素子が発熱すると、半導体素子とプリント基板との間に温度差が生じるので、半導体素子とプリント基板とのハンダ接合部に熱応力が発生する。また、使用環境によって半導体装置が熱サイクルに晒される場合には、半導体素子とプリント基板の熱膨張係数の差によって、半導体素子とプリント基板の間のハンダ接合部に熱応力が発生する。
ここで、半導体素子とプリント基板の接合部に用いられるハンダの強度や耐熱疲労強度が低いと、ハンダボールと電極パッドの間の接合が破壊され易くなる。このため、ハンダボールの材料には、優れた耐熱疲労特性が要求される。
【0006】
ところで、半導体素子の実装が高密度化されるのに伴って、半導体素子及びプリント基板のそれぞれの電極パッドの面積も縮小している。このため、ハンダ接合部に用いられるハンダの量が少なく、かつハンダ接合部の接合面積が小さくなる傾向にある。ハンダ接合部の接合面積が小さくなると、ハンダ接合部に熱応力が発生したときに、ハンダ接合部が破断し易くなる。
また、携帯電話のように、持ち運びが可能な製品では、使用中に誤って床面に落下させたり、ぶつけたりすることがある。このときにも、ハンダ接合部に応力が加えられる。
【0007】
また、近年では、鉛を含むハンダが環境に与える影響を考慮し、鉛フリーハンダと呼ばれるSn、Ag、Cuを含有するハンダの実用化が進んでいる。しかしながら、この鉛フリーハンダは、融点が鉛含有ハンダに比べて高い。このため、鉛フリーハンダの融点より耐熱温度が低い部品をプリント基板に実装するときは、鉛フリーハンダを用いて半導体素
子をプリント基板に実装した後に、耐熱性の低い他の部品を実装しなければならなかった。
また、樹脂製のプリント基板は、半導体素子の材料であるSiなどに比べて変形し易い。このため、鉛フリーハンダを用いた高温のリフロー工程を実施したときに、半導体素子の変形量よりプリント基板の変形量が大きくなるので、ハンダ接合部に応力が集中し易かった。
【0008】
さらに、鉛フリーハンダを用いたときにハンダ接合部の応力集中を緩和する方法としては、半導体素子とプリント基板との間にアンダーフィル(UF)樹脂を注入することが知られている。UF樹脂は、半導体素子とプリント基板の間のハンダ接合部のせん断応力を分散させることでハンダ接合部の破断を防ぐ役割を有する。しかしながら、UF樹脂を使用すると、UF樹脂を注入するための時間が必要になる。また、ハンダ接合後にUF樹脂を注入するので、ハンダ接合時と、UF樹脂を熱硬化させるときの2回、リフロー工程が必要になる。
これらのことから、UF樹脂を使用すると、リフロー工程の増加による消費電力の増大や、半導体装置の製造のスループットの低下の原因になっていた。また、UF樹脂を硬化させた後では、ハンダ接合部の不良を修理することが困難であるという課題も有していた。
【0009】
そこで、従来では、UF樹脂を用いず、半導体素子のコーナー部分にダミーピンを設け、ハンダや接着剤でダミーピンとプリント基板とを接続させ、ハンダ接合部分の応力を緩和させることが検討されている。例えば、ダミーピンが、半導体素子側のハンダボールの高さより短いときは、ダミーピンが接着剤でプリント基板に固定される。また、ダミーピンが、半導体素子側のハンダボールの高さより長いときは、プリント基板にホールを設け、このホールにダミーピンを挿入させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−339316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ダミーピンはハンダボールと電極パッドの接合部とは異なる位置に配置されるので、ハンダボールの接合部に生じる応力を十分に緩和させることは困難であった。また、ダミーピンを設けることで、半導体素子のサイズが大きくなるので、高密度な実装ができなくなる。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、簡単な製造方法でハンダを用いた接合部の強度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の一観点によれば、基板に形成した電極パッドの上にカーボンナノチューブを形成する工程と、前記電極パッドの上に、金属層をめっきにより形成し、前記カーボンナノチューブを先端部を除いて埋める工程と、前記金属層の上に、ハンダペーストを印刷し、前記カーボンナノチューブを覆う工程と、半導体素子の電極上に形成したハンダを前記ハンダペーストの上に接触させ、加熱処理により前記ハンダと前記ハンダペーストを溶融させ、前記電極と前記電極パッドを電気的に接合すると共に、前記ハンダと前記ハンダペーストが形成する接合部内にカーボンナノチューブを入れる工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の別の観点によれば、電極パッドを有する基板と、電極にハンダが取り付
けられた半導体素子と、前記電極パッドの上に設けられ、一部が前記ハンダ内に入り込んだカーボンナノチューブと、を含む半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
カーボンナノチューブがハンダボール内に入り込むことで、ハンダ接合部が補強され、ハンダ接合部の強度が向上する。基板と半導体素子の間にアンダーフィル材を充填する必要がなくなり、製造時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図1B】図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図1D】図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図1E】図1Eは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図1F】図1Fは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その6)である。
【図1G】図1Gは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その7)である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図3C】図3Cは、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4A】図4Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図4B】図4Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図4C】図4Cは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4D】図4Dは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図4E】図4Eは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図5A】図5Aは、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図5B】図5Bは、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせ
によって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【0017】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1A〜図1Gは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
最初に、図1Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、実装基板1上にTi膜2を例えば5nmの膜厚に形成する。続いて、Ti膜2上にPt膜3を例えば50nmの膜厚に形成し、その上にAu膜4を例えば300nmの膜厚に形成する。Ti膜2、Pt膜3、Au膜4の形成には、真空蒸着法やスパッタ法などが用いられる。
【0018】
続いて、Au膜4上にレジスト膜を塗布する。さらに、レジスト膜を硬化露光、及び現像して、所定形状のレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクにしてウェットエッチングを行い、レジストパターンから露出しているTi膜2、Pt膜3、及びAu膜4を除去する。この後、レジストパターンを除去すると、実装基板1の所定位置にTi膜2、Pt膜3、Au膜4の積層膜からなる電極パッド(導電性パッド)5が形成される。なお、電極パッド5は、Au膜4の代わりに、Ag膜、Ni膜、Cu膜、Cr膜を用いても良い。
【0019】
次に、図1Bに示すように、実装基板1及び電極パッド5を覆うように、レジストを塗布してから、硬化及び露光、現像を行い、電極パッド5が露出する開口部6Aを有するレジストパターン6を形成する。
【0020】
次に、図1Cに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
電極パッド5上及びレジストパターン6上に、TiN膜8を例えばスパッタ法を用いて5nmの膜厚に堆積させる。さらに、TiN膜8の上に、Co膜9を例えばスパッタ法を用いて1nmの膜厚で堆積させる。この後、実装基板1からレジストパターン6を除去する。これにより、電極パッド5の上に、TiN膜8とCo膜9を積層させた触媒層10が形成される。この触媒層10は、カーボンナノチューブを成長させるときの触媒として使用される。なお、実装基板1は、スパッタによって生じる熱に耐えられるように、Siやサファイア、ガラスなどから製造されている。このため、ここまでの工程で実装基板1の変形はほとんどない。
【0021】
次に、図1Dに示すように、触媒層10を用いて電極パッド5上にカーボンナノチューブ15をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で成長させる。カーボンナノチューブ15の成長には、例えば、プロセスガスにアセチレンガスを用い、キャリアガスにArガス又は水素ガスを用いる。成長時の圧力は、例えば100Pa、基板温度は例えば600℃とする。さらに、カーボンナノチューブ15の成長時には、実装基板1に垂直な方向に電界をかける。これにより、カーボンナノチューブ15が電界と平行に、すなわち実装基板1に対して垂直な方向に成長する。
【0022】
ここで、図1Dに示すカーボンナノチューブ15の長さは、カーボンナノチューブ15の成長時間によって制御できる。例えば、前記のプロセス条件では、約1μm/分の成長速度が得られるので、成長時間を100分にすれば、約100μmの長さのカーボンナノチューブ15が得られる。
【0023】
なお、この実施の形態において、カーボンナノチューブ15は、単層の管状の単層カーボンナノチューブである。しかしながら、カーボンナノチューブ15は、複数の管が同軸に配置された多層カーボンナノチューブや、カーボンナノホーンやフラーレンのような粒子状のカーボンナノ材料であっても良い。また、カーボンナノチューブ15には、カーボンナノチューブの束も含まれるものとする。
【0024】
次に、図1Eに示すように、実装基板1の電極パッド5の上にめっき層21を形成する。めっき層21の形成にあたっては、最初に電極パッド5上に、例えばCu膜を無電界めっきにより、例えば、5μmの厚さに形成する。これにより、めっき層21が電極パッド5の上に形成される。めっき層21は、例えばCuからなり、カーボンナノチューブ15の隙間を埋めるように、電極パッド5上に形成される。めっき層21は、Cuの代わりに、Ag、Ni、Au、Crで形成しても良い。
【0025】
ここで、めっき層21の膜厚は、カーボンナノチューブ15の高さより小さくする。これにより、めっき層21の表面からは、カーボンナノチューブ15の一部が突出する。なお、めっき層21は、電解めっきを用いて形成することもできる。この場合には、実装基板1をめっき槽に浸漬させて、電解めっきを行い、電極パッド5上にめっき層21を形成する。
【0026】
続いて、図1Fに示すように、めっき層21の上にハンダペースト22を印刷する。ハンダペースト22を印刷する際には、例えば、実装基板1の上に図示を省略するマスクを配置し、マスクの開口部内にハンダペースト22をスキージを用いて充填する。ハンダペースト22は、ハンダ粉末にフラックス機能を有する有機成分を混入して調製されており、流動性を有するので、容易にマスクの開口部内に充填することができる。したがって、マスクの開口部をめっき層21の位置及び形状に合わせて形成しておけば、めっき層21の上にハンダペースト22が印刷により塗布される。
【0027】
ここで、ハンダペースト22の膜厚は、カーボンナノチューブ15がめっき層21から突出する長さより大きく、例えば、150μmである。このため、カーボンナノチューブ15は、ハンダペースト22内に完全に埋まる。なお、ハンダペースト22のハンダ材料には、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかが用いられる。なお、ハンダベースト22には、ハンダ材料が入っていなくても良い。
【0028】
次に、図1Gに示すように、実装基板1に半導体素子31を実装する。
ここで、半導体素子31は、例えば、半導体回路が形成された基板32を樹脂33でモールドした構成を有する。半導体素子31の基板32の下面32Aには、複数の電極パッド35が形成されており、これら電極パッド35のそれぞれにハンダボール36が接合されている。この半導体素子31は、電極パッド35及びハンダボール36がアレイ状に配置され、BGA(Ball Grid Array)を形成している。
【0029】
電極パッド35上にハンダボール36を形成するときには、例えば、電極パッド35の表面にフラックスを塗布する。次に、ハンダボール36を吸引しながら保持し、フラックスを塗布した電極パッド35の表面にハンダボール36を搭載する。この後に、リフロー炉でハンダボール36を電極パッド35に溶着させる。なお、ハンダボール36は、電極パッド35上に印刷したハンダペーストをリフロー炉で溶融させることで形成しても良い。
【0030】
ハンダボール36には、鉛フリーハンダが用いられる。ハンダボール36の材料としては、例えば、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInがあげられる。半導体素子31のパッケージには、CSPを用いても良い。また、ハンダボール36の配列は、
アレイ状でなくても良い。
【0031】
半導体素子31を実装基板1に実装するときは、最初に、実装基板1の電極パッド5の上にハンダボール36が載るように位置を合わせつつ、半導体素子31を実装基板1の上に載置する。この状態で、実装基板1及び半導体チップ32をリフロー炉に入れて、例えば、最大値で240℃まで加熱する。図2に示すように、ハンダペースト22とハンダボール36が溶融してハンダ接合部38が形成される。このとき、カーボンナノチューブ15の一部がハンダボール36内に入り込む。また、めっき層21とハンダボール36との間に、合金層37が形成される。合金層37は、めっき層21がCuである場合には、SnとCuの合金になる。
これにより、図1Gに示すように、半導体素子31の電極パッド35と実装基板1の電極パッド5とがハンダ接合部38を介して電気的に接続された半導体装置41が形成される。なお、半導体装置41には、図示を省略するその他の電子部品等を実装しても良い。
【0032】
以上、説明したように、この半導体装置41は、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15を形成し、カーボンナノチューブ15を接合後のハンダボール36内に入り込ませることでハンダ接合部38を補強した。実装基板1側の電極パッド5とハンダボール36の界面付近が、カーボンナノチューブ15によってナノレベルで補強されるので、仮にハンダ接合部38にクラックが生じた場合でも、クラックの伝播が抑制される。これにより、ハンダ接合部38の強度が向上する。このため、半導体装置41が、半導体素子31の発熱による熱サイクルや、使用環境によるサイクルに晒されても、ハンダ接合部38が破断することが防止される。また、カーボンナノチューブ15によってハンダ接合部38の強度が向上することから、半導体装置41に衝撃が加えられたときでも、ハンダ接合部38の破断が防止される。
【0033】
また、電極パッド5とハンダボール36のハンダ層の界面付近にカーボンナノチューブ15が多数配置されることで、ハンダボール36のハンダ層のSnと、めっき層21との接触が抑制される。これにより、硬くて脆い合金層37の形成が抑制され、ハンダ接合部38の強度の低下が抑制される。
【0034】
カーボンナノチューブ15は、金属と同様に電流を流し易いので、ハンダ接合部38にひびが入っても、電流特性は低下しない。また、カーボンナノチューブ15によってハンダ接合部38が補強されるために、実装基板1と半導体素子31の間にアンダーフィル材を充填する必要がなくなる。これにより、アンダーフィル材を充填する製造方法に比べて製造時間を短縮できる。
【0035】
なお、カーボンナノチューブ15の長さL1は、ハンダボール36の大きさや、電極パッド5の大きさによって異なるが、ハンダボール36の高さH1の1/5〜1/3程度で、より好ましくは1/4である。カーボンナノチューブL1の長さがこの範囲より短いと、ハンダ接合部38の補強効果が得られ難くなる。また、カーボンナノチューブL1の長さがこの範囲より長いと、無荷重条件でのSMT(Surface mount technology)実装の不良が起き易い。
【0036】
ここで、本実施の形態のハンダ接合部38と、カーボンナノチューブ15の代わりに金属ピラーを電極パッド5の上に形成したハンダ接合部とを比較する。金属ピラーは、一般的にレジストパターンの開口部にめっき法によって成長させる。
しかしながら、レジストパターンの開口部のアスペクト比の限界が一般には2程度とされている。このため、高密度な実装を行う場合に、微細な金属ピラーを例えば100μm程度の高さに形成することは困難である。仮に、微細な金属ピラーをCuで製造しても、Cuがハンダボール36のSnと合金を形成してしまうので、金属ピラー自身が脆くなっ
て、補強効果が得られ難い。これに対し、本実施の形態のカーボンナノチューブ15は、微細で細長い形状を容易に形成でき、Snとの反応も防止できる。
【0037】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図3Aに示すように、電極パッド5の上にカーボンナノチューブ15を成長させる際に、電界をかけないと、カーボンナノチューブ15が実装基板1に対してランダムな向きに成長する。
この場合は、図3Bに示すように、カーボンナノチューブ15をランダムに形成した電極パッド5の上に、例えばCuからなるめっき層21を電解めっき又は無電解めっきを用いて形成する。さらに、図3Cに示すように、めっき層21上にハンダペースト22をカーボンナノチューブ15を覆うように塗布してから、半導体素子31を実装する。ランダムな向きに成長させたカーボンナノチューブ15の一部がハンダボール36内に入り込んで、ハンダ接合部38が補強される。
【0038】
(第2の実施の形態)
この実施の形態では、実装基板の耐熱性が低いときなどに、カーボンナノチューブを実装基板とは別の基板を用いて製造することを特徴とする。
図4Aに示すように、最初に、実装基板1とは別の基板である支持基板51の表面に、触媒層52を形成する。支持基板51は、例えばガラスなど、高温のプロセスに耐える材料から製造されている。触媒層52は、例えば、5nmのTiN膜53と、1nmのCo膜54とを順番に積層した積層膜からなる。このような触媒層52は、例えば真空蒸着又はスパッタ法により形成される。
【0039】
次に、図4Bに示すように、触媒層52の上にカーボンナノチューブ15をCVD法により成長させる。カーボンナノチューブ15の形成条件は、第1の実施の形態と同様である。なお、この実施の形態では、カーボンナノチューブ15の形成時に実装基板51に垂直な方向に電界をかけて、カーボンナノチューブ15を実装基板51に対して垂直な方向に成長させる。
【0040】
続いて、図4Cに示すように、支持基板51上に、可溶性樹脂55を、例えば、スクリーン印刷法により塗布する。この後、可溶性樹脂55の一部をO2アッシングより除去し、カーボンナノチューブ15の先端部を露出させる。可溶性樹脂55には、例えば、ポリスチレン系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが用いられる。可溶性樹脂55の厚さは、カーボンナノチューブ15の長さより小さい。このため、カーボンナノチューブ15の先端部分が、可溶性樹脂55の表面から上方に突出する。これにより、可溶性樹脂55に、カーボンナノチューブ15が先端部分を除いて埋め込まれる。
【0041】
次に、図4Dに示すように、可溶性樹脂55から露出するカーボンナノチューブ15の先端部分を有機官能基Xで修飾する。なお、カーボンナノチューブ15の先端部分は、一部が5員環になっており、他の部分に比べて反応し易くなっているので、先端部分を容易に有機官能基Xで修飾することができる。
【0042】
ここで、有機官能基Xとしては、例えば、チオール基(―SH)や、カルボン酸構造を有するカルボニル基(―COOH:カルボン酸)、ジアゾニウム基(―N+2)があげられる。
【0043】
カーボンナノチューブ15の先端部分をチオール基で修飾する場合には、カーボンナノチューブ15を例えば、C6H4(N+2BF4−)SHの溶液に浸して電界をかける。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部分の一部が、C6H4SHで修飾される。この後、可溶性樹脂55で一体となったカーボンナノチューブ15を支持基板51ごと
溶液から取り出す。
【0044】
また、カーボンナノチューブ15の先端部分をカルボン酸で修飾する場合には、カーボンナノチューブ15を例えば、二塩基酸アシル過酸化物、例えば琥珀酸過酸化アシルやグルタル酸過酸化アシルなどの溶液に浸して熱を加える。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部分の一部が、(CH2)n−COOHで修飾される。この後、可溶性樹脂55で一体となったカーボンナノチューブ15を支持基板51ごと溶液から取り出す。
【0045】
さらに、カーボンナノチューブ15の先端部分をジアゾニウム基で修飾する場合には、カーボンナノチューブ15を例えば、C6H4(NH2)N2Clの溶液に浸して電界をかける。その後、0℃で亜硝酸ナトリウム/塩酸を加えると、カーボンナノチューブ15の先端部分の一部が、C6H4(N2Cl)で修飾される。この後、可溶性樹脂55で一体となったカーボンナノチューブ15を支持基板51ごと溶液から取り出す。
【0046】
このようにして、カーボンナノチューブ15の先端部分が有機官能基Xからなる被覆部56が形成されたら、この後、図4Eに示すように、カーボンナノチューブ15の有機官能基Xで修飾された被覆部56を実装基板1の電極パッド5に当接させる。さらに、この状態で、加熱すると共に電界をかける。なお、ここでの処理は、加熱のみでも良い。
カーボンナノチューブ15の先端に設けられた、チオール基、カルボン酸基、又はアゾニウム基が電極パッド5のCuと反応してキレート化合物(アゾニウム基の場合共有結合)を形成し、これによりカーボンナノチューブ15が電極パッド5に接合される。
【0047】
続いて、支持基板51とカーボンナノチューブ15の界面部分をHClなどの酸性の溶液に晒す。酸性の溶液によって、触媒層52が溶けて、支持基板51からカーボンナノチューブ15が可溶性樹脂55ごと取り外される。これにより、カーボンナノチューブ15及び可溶性樹脂55が電極パッド5上に残される。さらに、可溶性樹脂55を有機溶剤で溶解して取り除くと、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15のみが残り、これによって、図1Dと同様の構造が得られる。
【0048】
この後、図1Fと同様に、カーボンナノチューブ15を接合した電極パッド5上にめっき層21を形成し、続いてハンダペースト22を印刷する。さらに、図1Gと同様に、半導体素子31のハンダボール36を実装基板1の電極パッド5に接合する。これにより、実装基板1と半導体素子31との間に、ハンダ接合部38が形成される。図2に示すように、ハンダボール36の中に、カーボンナノチューブ15が入り込むことで、ハンダ接合部38が補強される。
【0049】
以上、説明したように、この半導体装置41では、カーボンナノチューブ15の一端を有機官能基Xで修飾することで電極パッド5にカーボンナノチューブ15を接合するようにした。したがって、実装基板1の耐熱温度が低い場合にも、ハンダ接合をカーボンナノチューブ15によって補強することが可能になる。
【0050】
なお、カーボンナノチューブ15の先端部を有機官能基Xで修飾した後、カーボンナノチューブ15を支持基板51から取り外してから実装基板1の電極パッド5に接合しても良い。
また、カーボンナノチューブ15の一部を可溶性樹脂55で覆わずに、有機官能基Xで修飾しても良い。
さらに、カーボンナノチューブ15を支持基板51の上方にランダムに形成し、可溶性樹脂55で先端部分を除いて覆っても良い。
【0051】
(第3の実施の形態)
この実施の形態では、実装基板の耐熱性が低いときなどに、カーボンナノチューブを実装基板とは別の基板を用いて製造することを特徴とする。
最初に、図4A、図4B及び図4Cと同様に、例えばガラス製の支持基板51の表面に、触媒層52を形成する。さらに、触媒層52の上にカーボンナノチューブ15をCVD法により成長させ、その後に触媒層52の上に、可溶性樹脂55を形成する。続いて、可溶性樹脂55の一部をO2アッシングより除去し、カーボンナノチューブ15の先端部を露出させる。これにより、カーボンナノチューブ15が先端部分を除いて可溶性樹脂55に埋められる。なお、触媒層52、カーボンナノチューブ15、可溶性樹脂55の形成条件は、第2の実施の形態と同様である。
【0052】
次に、図5Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、カーボンナノチューブ15の先端部分にVUV(真空紫外線)照射を行う。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部分の不純物が除去される。また、カーボンナノチューブ15の先端部分のカーボン原子間の結合が切断され、めっき液に対する親水性が高められる。続いて、カーボンナノチューブ15に対してAu、Ag、Cuのいずれかを、例えば数十nmの厚さに電解めっき法により形成する。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部に金属の被覆部61が形成される。なお、金属の被覆部61は、蒸着法や、無電解めっき法で形成しても良い。
【0053】
この後、図5Bに示すように、カーボンナノチューブ15の被覆部61を実装基板1の電極パッド5を当接させ、例えば200℃に加熱しながら、所定の荷重をかける。電極パッド5と被覆部61の間の固相拡散によりカーボンナノチューブ15が電極パッド5に接合される。
続いて、支持基板51とカーボンナノチューブ15の界面部分をHClなどの酸性の溶液に晒して触媒層52を溶かす。これにより、支持基板51からカーボンナノチューブ15が可溶性樹脂55ごと取り外される。さらに、可溶性樹脂55を有機溶剤で溶解して取り除くと、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15のみが残り、これによって、図1Dと同様の構造が得られる。
【0054】
この後、図1F及び図1Gと同様に、カーボンナノチューブ15を接合した電極パッド5上にめっき層21を形成し、ハンダペースト22を印刷し、半導体素子31のハンダボール36を実装基板1の電極パッド5に接合する。これにより、実装基板1と半導体素子31との間に、ハンダ接合部38が形成される。ハンダボール36の中に、図2と同様にカーボンナノチューブ15が入り込むことで、ハンダ接合部38が補強される。
【0055】
以上、説明したように、この半導体装置41では、カーボンナノチューブ15の一端に金属の被覆部61を形成し、この被覆部61を利用して電極パッド5にカーボンナノチューブ15を接合するようにした。したがって、実装基板1の耐熱温度が低い場合にも、ハンダ接合をカーボンナノチューブ15によって補強することが可能になる。
【0056】
なお、カーボンナノチューブ15の先端部に被覆部61を形成した後、カーボンナノチューブ15を支持基板51から取り外してから実装基板1の電極パッド5に接合しても良い。
また、カーボンナノチューブ15の一部を可溶性樹脂55で覆わずに、被覆部61を形成しても良い。ここで、実装基板1に接合する前に、支持基板51からカーボンナノチューブ15を取り外す場合には、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15がランダムに配列される。
さらに、カーボンナノチューブ15を支持基板51の上方にランダムに形成し、可溶性樹脂55で先端部分を除いて覆っても良い。
【0057】
(第4の実施の形態)
図6に、第4の実施の形態の半導体装置のハンダ接合部の断面図を示す。
半導体装置71は、実装基板1の電極パッド5の上に、カーボンナノチューブ15が形成されており、カーボンナノチューブ15を覆うようにハンダペースト22が形成されている。さらに、ハンダペースト22には、半導体素子31の基板32に取り付けられたハンダボール36が接合されている。
ここで、ハンダボール36には、例えばSnAgCuが用いられ、ハンダペースト22には、ハンダボール36より融点の低い材料、例えばSnBiが用いられる。
【0058】
半導体装置71を製造するときは、図1Aから図1F、又は図3Aから図5Bに示すように、実装基板1上に電極パッド5とカーボンナノチューブ15及びハンダペースト22を形成する。さらに、基板32上にハンダボール36を形成する。
実装基板1に半導体素子31を実装するときは、電極パッド5のハンダペースト22上にハンダボール36を位置決めして載置する。続いて、リフロー工程でハンダペースト22を溶融させ、ハンダボール36に接合させる。このときの加熱温度は、ハンダペースト22は溶融するが、融点が相対的に高いハンダボール36を溶融しない温度が用いられる。その結果、ハンダペースト22のみが溶融してハンダボール36と接合され、ハンダペースト22とハンダボール36によるハンダ接合部72が形成される。ハンダボール36は溶融していないので、カーボンナノチューブ15は、ハンダボール36内には入らない。そして、このようなハンダ接合部72を介して半導体素子31の電極パッド35と実装基板1の電極パッド5とがハンダ接合部38を介して電気的に接続される。
【0059】
この半導体装置71では、ハンダペースト22とハンダボール36を有するハンダ接合部72がカーボンナノチューブ15で補強される。実装基板1側の電極パッド5とハンダボール36の界面付近が、カーボンナノチューブ15によってナノレベルで補強されるので、ハンダ接合部72の強度が向上する。
なお、カーボンナノチューブ15は、電極パッド5に対してランダムな向きに形成しても良い。
【0060】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる。
【0061】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 基板に形成した電極パッドの上にカーボンナノチューブを形成する工程と、前記電極パッドの上に、金属層をめっきにより形成し、前記カーボンナノチューブを先端部を除いて埋める工程と、前記金属層の上に、ハンダペーストを印刷し、前記カーボンナノチューブを覆う工程と、半導体素子の電極上に形成したハンダを前記ハンダペーストの上に接触させ、加熱処理により前記ハンダと前記ハンダペーストを溶融させ、前記電極と前記電極パッドを電気的に接合すると共に、前記ハンダと前記ハンダペーストが形成する接合部内にカーボンナノチューブを入れる工程と、を含む半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記接合部を形成する工程は、前記ハンダを溶融させ、前記ハンダ内に前記カーボンナノチューブを入れる付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、前記カーボンナノチューブを支持基板の上方で成長させる工程と、前記カーボンナノチューブの先端部分に前記電極パッドに接続可能な被覆部を形成する工程と、前記被覆部を前記電極パッドに反応又は熱圧着させることで、前記電極パッド上に前記カーボンナノチューブを
取り付ける工程と、前記支持基板を前記カーボンナノチューブから取り外す工程と、を含む付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記被覆部は、前記カーボンナノチューブの先端部分に有機官能基を修飾させることで形成され、前記有機官能基を前記電極パッドと反応させて前記カーボンナノチューブを前記電極パッドに取り付ける付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記有機官能基は、チオール基、ジアゾニウム基、カルボン酸基のいずれかを有する付記4に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記被覆部は、前記カーボンナノチューブの先端部分に金属を蒸着又はめっきすることで形成され、前記被覆部を前記電極パッドに熱圧着させて前記カーボンナノチューブを前記電極パッドに取り付ける付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、前記電極パッドの上に触媒層を設けた後、前記カーボンナノチューブをCVD法により成長させる付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記金属層として、Cu、Ni、Ag、Auのいずれかの膜を形成する付記1乃至付記7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9) 前記ハンダは、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかを含んで形成される付記1乃至付記8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)電極パッドを有する基板と、電極にハンダボールが取り付けられた半導体素子と、前記電極パッドの上に設けられ、一部が前記ハンダボール内に入り込んだカーボンナノチューブと、を含む半導体装置。
(付記11) 前記ハンダボールは、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかを含んで形成される付記10に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0062】
1 実装基板
5 電極パッド
15 カーボンナノチューブ
21 めっき層(金属層)
22 ハンダペースト
31 半導体素子
35 電極パッド(電極)
36 ハンダボール
38 ハンダ接合部
41 半導体装置
51 支持基板(別の基板)
55 可溶性樹脂
56,61 被覆部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、半導体装置に搭載される半導体素子やその他の電子部品は、小型化が進み、プリント基板への実装も高密度化が図られている。半導体素子や電子部品を高密度に実装する場合、特にノートパソコンやビデオカメラ、携帯電話等においては、BGA(Ball Grid Array)やCPS(Chip Size Package)を用いた実装が多く行われている。
【0003】
BGAやCSPを用いて半導体素子をプリント基板に実装するときは、最初に、半導体素子の電極パッド上にハンダボールを形成する。ハンダボールを電極パッド上に形成するときは、例えば、各電極パッドにフラックスを塗布し、フラックスの粘着力を利用してハンダボールを電極パッドに接着させる。続いて、ハンダボールをリフロー工程で加熱してハンダボールを電極に接合させる。
さらに、半導体素子をプリント基板に実装するときは、プリント基板の電極パッドの上に半導体素子のハンダボールを位置決めして載置する。この後に、リフロー工程を実施し、ハンダボールとプリント基板の電極パッドを接合させる。これにより、半導体素子の電極がプリント基板の電極パッドに電気的に接続される。
【0004】
ここで、半導体装置の使用時には、半導体素子等の発熱によって半導体装置の温度が上昇する。また、半導体装置を停止させると、半導体素子等が発熱しなくなるので、半導体装置の温度が低下する。このように、半導体装置は、半導体素子等の動作状態によって加熱と冷却を繰り返す熱サイクルに晒される。
また、半導体装置の使用環境によっては、半導体装置が高温雰囲気と低温雰囲気のそれぞれに交互に晒されることがある。このような場合、半導体装置は、半導体素子等の動作状態によらずに熱サイクルに晒されることになる。
【0005】
半導体素子が発熱すると、半導体素子とプリント基板との間に温度差が生じるので、半導体素子とプリント基板とのハンダ接合部に熱応力が発生する。また、使用環境によって半導体装置が熱サイクルに晒される場合には、半導体素子とプリント基板の熱膨張係数の差によって、半導体素子とプリント基板の間のハンダ接合部に熱応力が発生する。
ここで、半導体素子とプリント基板の接合部に用いられるハンダの強度や耐熱疲労強度が低いと、ハンダボールと電極パッドの間の接合が破壊され易くなる。このため、ハンダボールの材料には、優れた耐熱疲労特性が要求される。
【0006】
ところで、半導体素子の実装が高密度化されるのに伴って、半導体素子及びプリント基板のそれぞれの電極パッドの面積も縮小している。このため、ハンダ接合部に用いられるハンダの量が少なく、かつハンダ接合部の接合面積が小さくなる傾向にある。ハンダ接合部の接合面積が小さくなると、ハンダ接合部に熱応力が発生したときに、ハンダ接合部が破断し易くなる。
また、携帯電話のように、持ち運びが可能な製品では、使用中に誤って床面に落下させたり、ぶつけたりすることがある。このときにも、ハンダ接合部に応力が加えられる。
【0007】
また、近年では、鉛を含むハンダが環境に与える影響を考慮し、鉛フリーハンダと呼ばれるSn、Ag、Cuを含有するハンダの実用化が進んでいる。しかしながら、この鉛フリーハンダは、融点が鉛含有ハンダに比べて高い。このため、鉛フリーハンダの融点より耐熱温度が低い部品をプリント基板に実装するときは、鉛フリーハンダを用いて半導体素
子をプリント基板に実装した後に、耐熱性の低い他の部品を実装しなければならなかった。
また、樹脂製のプリント基板は、半導体素子の材料であるSiなどに比べて変形し易い。このため、鉛フリーハンダを用いた高温のリフロー工程を実施したときに、半導体素子の変形量よりプリント基板の変形量が大きくなるので、ハンダ接合部に応力が集中し易かった。
【0008】
さらに、鉛フリーハンダを用いたときにハンダ接合部の応力集中を緩和する方法としては、半導体素子とプリント基板との間にアンダーフィル(UF)樹脂を注入することが知られている。UF樹脂は、半導体素子とプリント基板の間のハンダ接合部のせん断応力を分散させることでハンダ接合部の破断を防ぐ役割を有する。しかしながら、UF樹脂を使用すると、UF樹脂を注入するための時間が必要になる。また、ハンダ接合後にUF樹脂を注入するので、ハンダ接合時と、UF樹脂を熱硬化させるときの2回、リフロー工程が必要になる。
これらのことから、UF樹脂を使用すると、リフロー工程の増加による消費電力の増大や、半導体装置の製造のスループットの低下の原因になっていた。また、UF樹脂を硬化させた後では、ハンダ接合部の不良を修理することが困難であるという課題も有していた。
【0009】
そこで、従来では、UF樹脂を用いず、半導体素子のコーナー部分にダミーピンを設け、ハンダや接着剤でダミーピンとプリント基板とを接続させ、ハンダ接合部分の応力を緩和させることが検討されている。例えば、ダミーピンが、半導体素子側のハンダボールの高さより短いときは、ダミーピンが接着剤でプリント基板に固定される。また、ダミーピンが、半導体素子側のハンダボールの高さより長いときは、プリント基板にホールを設け、このホールにダミーピンを挿入させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−339316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ダミーピンはハンダボールと電極パッドの接合部とは異なる位置に配置されるので、ハンダボールの接合部に生じる応力を十分に緩和させることは困難であった。また、ダミーピンを設けることで、半導体素子のサイズが大きくなるので、高密度な実装ができなくなる。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、簡単な製造方法でハンダを用いた接合部の強度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の一観点によれば、基板に形成した電極パッドの上にカーボンナノチューブを形成する工程と、前記電極パッドの上に、金属層をめっきにより形成し、前記カーボンナノチューブを先端部を除いて埋める工程と、前記金属層の上に、ハンダペーストを印刷し、前記カーボンナノチューブを覆う工程と、半導体素子の電極上に形成したハンダを前記ハンダペーストの上に接触させ、加熱処理により前記ハンダと前記ハンダペーストを溶融させ、前記電極と前記電極パッドを電気的に接合すると共に、前記ハンダと前記ハンダペーストが形成する接合部内にカーボンナノチューブを入れる工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の別の観点によれば、電極パッドを有する基板と、電極にハンダが取り付
けられた半導体素子と、前記電極パッドの上に設けられ、一部が前記ハンダ内に入り込んだカーボンナノチューブと、を含む半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
カーボンナノチューブがハンダボール内に入り込むことで、ハンダ接合部が補強され、ハンダ接合部の強度が向上する。基板と半導体素子の間にアンダーフィル材を充填する必要がなくなり、製造時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図1B】図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図1D】図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図1E】図1Eは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図1F】図1Fは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その6)である。
【図1G】図1Gは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その7)である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図3C】図3Cは、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4A】図4Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図4B】図4Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図4C】図4Cは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4D】図4Dは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図4E】図4Eは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図5A】図5Aは、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図5B】図5Bは、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせ
によって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【0017】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1A〜図1Gは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
最初に、図1Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、実装基板1上にTi膜2を例えば5nmの膜厚に形成する。続いて、Ti膜2上にPt膜3を例えば50nmの膜厚に形成し、その上にAu膜4を例えば300nmの膜厚に形成する。Ti膜2、Pt膜3、Au膜4の形成には、真空蒸着法やスパッタ法などが用いられる。
【0018】
続いて、Au膜4上にレジスト膜を塗布する。さらに、レジスト膜を硬化露光、及び現像して、所定形状のレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクにしてウェットエッチングを行い、レジストパターンから露出しているTi膜2、Pt膜3、及びAu膜4を除去する。この後、レジストパターンを除去すると、実装基板1の所定位置にTi膜2、Pt膜3、Au膜4の積層膜からなる電極パッド(導電性パッド)5が形成される。なお、電極パッド5は、Au膜4の代わりに、Ag膜、Ni膜、Cu膜、Cr膜を用いても良い。
【0019】
次に、図1Bに示すように、実装基板1及び電極パッド5を覆うように、レジストを塗布してから、硬化及び露光、現像を行い、電極パッド5が露出する開口部6Aを有するレジストパターン6を形成する。
【0020】
次に、図1Cに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
電極パッド5上及びレジストパターン6上に、TiN膜8を例えばスパッタ法を用いて5nmの膜厚に堆積させる。さらに、TiN膜8の上に、Co膜9を例えばスパッタ法を用いて1nmの膜厚で堆積させる。この後、実装基板1からレジストパターン6を除去する。これにより、電極パッド5の上に、TiN膜8とCo膜9を積層させた触媒層10が形成される。この触媒層10は、カーボンナノチューブを成長させるときの触媒として使用される。なお、実装基板1は、スパッタによって生じる熱に耐えられるように、Siやサファイア、ガラスなどから製造されている。このため、ここまでの工程で実装基板1の変形はほとんどない。
【0021】
次に、図1Dに示すように、触媒層10を用いて電極パッド5上にカーボンナノチューブ15をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で成長させる。カーボンナノチューブ15の成長には、例えば、プロセスガスにアセチレンガスを用い、キャリアガスにArガス又は水素ガスを用いる。成長時の圧力は、例えば100Pa、基板温度は例えば600℃とする。さらに、カーボンナノチューブ15の成長時には、実装基板1に垂直な方向に電界をかける。これにより、カーボンナノチューブ15が電界と平行に、すなわち実装基板1に対して垂直な方向に成長する。
【0022】
ここで、図1Dに示すカーボンナノチューブ15の長さは、カーボンナノチューブ15の成長時間によって制御できる。例えば、前記のプロセス条件では、約1μm/分の成長速度が得られるので、成長時間を100分にすれば、約100μmの長さのカーボンナノチューブ15が得られる。
【0023】
なお、この実施の形態において、カーボンナノチューブ15は、単層の管状の単層カーボンナノチューブである。しかしながら、カーボンナノチューブ15は、複数の管が同軸に配置された多層カーボンナノチューブや、カーボンナノホーンやフラーレンのような粒子状のカーボンナノ材料であっても良い。また、カーボンナノチューブ15には、カーボンナノチューブの束も含まれるものとする。
【0024】
次に、図1Eに示すように、実装基板1の電極パッド5の上にめっき層21を形成する。めっき層21の形成にあたっては、最初に電極パッド5上に、例えばCu膜を無電界めっきにより、例えば、5μmの厚さに形成する。これにより、めっき層21が電極パッド5の上に形成される。めっき層21は、例えばCuからなり、カーボンナノチューブ15の隙間を埋めるように、電極パッド5上に形成される。めっき層21は、Cuの代わりに、Ag、Ni、Au、Crで形成しても良い。
【0025】
ここで、めっき層21の膜厚は、カーボンナノチューブ15の高さより小さくする。これにより、めっき層21の表面からは、カーボンナノチューブ15の一部が突出する。なお、めっき層21は、電解めっきを用いて形成することもできる。この場合には、実装基板1をめっき槽に浸漬させて、電解めっきを行い、電極パッド5上にめっき層21を形成する。
【0026】
続いて、図1Fに示すように、めっき層21の上にハンダペースト22を印刷する。ハンダペースト22を印刷する際には、例えば、実装基板1の上に図示を省略するマスクを配置し、マスクの開口部内にハンダペースト22をスキージを用いて充填する。ハンダペースト22は、ハンダ粉末にフラックス機能を有する有機成分を混入して調製されており、流動性を有するので、容易にマスクの開口部内に充填することができる。したがって、マスクの開口部をめっき層21の位置及び形状に合わせて形成しておけば、めっき層21の上にハンダペースト22が印刷により塗布される。
【0027】
ここで、ハンダペースト22の膜厚は、カーボンナノチューブ15がめっき層21から突出する長さより大きく、例えば、150μmである。このため、カーボンナノチューブ15は、ハンダペースト22内に完全に埋まる。なお、ハンダペースト22のハンダ材料には、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかが用いられる。なお、ハンダベースト22には、ハンダ材料が入っていなくても良い。
【0028】
次に、図1Gに示すように、実装基板1に半導体素子31を実装する。
ここで、半導体素子31は、例えば、半導体回路が形成された基板32を樹脂33でモールドした構成を有する。半導体素子31の基板32の下面32Aには、複数の電極パッド35が形成されており、これら電極パッド35のそれぞれにハンダボール36が接合されている。この半導体素子31は、電極パッド35及びハンダボール36がアレイ状に配置され、BGA(Ball Grid Array)を形成している。
【0029】
電極パッド35上にハンダボール36を形成するときには、例えば、電極パッド35の表面にフラックスを塗布する。次に、ハンダボール36を吸引しながら保持し、フラックスを塗布した電極パッド35の表面にハンダボール36を搭載する。この後に、リフロー炉でハンダボール36を電極パッド35に溶着させる。なお、ハンダボール36は、電極パッド35上に印刷したハンダペーストをリフロー炉で溶融させることで形成しても良い。
【0030】
ハンダボール36には、鉛フリーハンダが用いられる。ハンダボール36の材料としては、例えば、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInがあげられる。半導体素子31のパッケージには、CSPを用いても良い。また、ハンダボール36の配列は、
アレイ状でなくても良い。
【0031】
半導体素子31を実装基板1に実装するときは、最初に、実装基板1の電極パッド5の上にハンダボール36が載るように位置を合わせつつ、半導体素子31を実装基板1の上に載置する。この状態で、実装基板1及び半導体チップ32をリフロー炉に入れて、例えば、最大値で240℃まで加熱する。図2に示すように、ハンダペースト22とハンダボール36が溶融してハンダ接合部38が形成される。このとき、カーボンナノチューブ15の一部がハンダボール36内に入り込む。また、めっき層21とハンダボール36との間に、合金層37が形成される。合金層37は、めっき層21がCuである場合には、SnとCuの合金になる。
これにより、図1Gに示すように、半導体素子31の電極パッド35と実装基板1の電極パッド5とがハンダ接合部38を介して電気的に接続された半導体装置41が形成される。なお、半導体装置41には、図示を省略するその他の電子部品等を実装しても良い。
【0032】
以上、説明したように、この半導体装置41は、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15を形成し、カーボンナノチューブ15を接合後のハンダボール36内に入り込ませることでハンダ接合部38を補強した。実装基板1側の電極パッド5とハンダボール36の界面付近が、カーボンナノチューブ15によってナノレベルで補強されるので、仮にハンダ接合部38にクラックが生じた場合でも、クラックの伝播が抑制される。これにより、ハンダ接合部38の強度が向上する。このため、半導体装置41が、半導体素子31の発熱による熱サイクルや、使用環境によるサイクルに晒されても、ハンダ接合部38が破断することが防止される。また、カーボンナノチューブ15によってハンダ接合部38の強度が向上することから、半導体装置41に衝撃が加えられたときでも、ハンダ接合部38の破断が防止される。
【0033】
また、電極パッド5とハンダボール36のハンダ層の界面付近にカーボンナノチューブ15が多数配置されることで、ハンダボール36のハンダ層のSnと、めっき層21との接触が抑制される。これにより、硬くて脆い合金層37の形成が抑制され、ハンダ接合部38の強度の低下が抑制される。
【0034】
カーボンナノチューブ15は、金属と同様に電流を流し易いので、ハンダ接合部38にひびが入っても、電流特性は低下しない。また、カーボンナノチューブ15によってハンダ接合部38が補強されるために、実装基板1と半導体素子31の間にアンダーフィル材を充填する必要がなくなる。これにより、アンダーフィル材を充填する製造方法に比べて製造時間を短縮できる。
【0035】
なお、カーボンナノチューブ15の長さL1は、ハンダボール36の大きさや、電極パッド5の大きさによって異なるが、ハンダボール36の高さH1の1/5〜1/3程度で、より好ましくは1/4である。カーボンナノチューブL1の長さがこの範囲より短いと、ハンダ接合部38の補強効果が得られ難くなる。また、カーボンナノチューブL1の長さがこの範囲より長いと、無荷重条件でのSMT(Surface mount technology)実装の不良が起き易い。
【0036】
ここで、本実施の形態のハンダ接合部38と、カーボンナノチューブ15の代わりに金属ピラーを電極パッド5の上に形成したハンダ接合部とを比較する。金属ピラーは、一般的にレジストパターンの開口部にめっき法によって成長させる。
しかしながら、レジストパターンの開口部のアスペクト比の限界が一般には2程度とされている。このため、高密度な実装を行う場合に、微細な金属ピラーを例えば100μm程度の高さに形成することは困難である。仮に、微細な金属ピラーをCuで製造しても、Cuがハンダボール36のSnと合金を形成してしまうので、金属ピラー自身が脆くなっ
て、補強効果が得られ難い。これに対し、本実施の形態のカーボンナノチューブ15は、微細で細長い形状を容易に形成でき、Snとの反応も防止できる。
【0037】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図3Aに示すように、電極パッド5の上にカーボンナノチューブ15を成長させる際に、電界をかけないと、カーボンナノチューブ15が実装基板1に対してランダムな向きに成長する。
この場合は、図3Bに示すように、カーボンナノチューブ15をランダムに形成した電極パッド5の上に、例えばCuからなるめっき層21を電解めっき又は無電解めっきを用いて形成する。さらに、図3Cに示すように、めっき層21上にハンダペースト22をカーボンナノチューブ15を覆うように塗布してから、半導体素子31を実装する。ランダムな向きに成長させたカーボンナノチューブ15の一部がハンダボール36内に入り込んで、ハンダ接合部38が補強される。
【0038】
(第2の実施の形態)
この実施の形態では、実装基板の耐熱性が低いときなどに、カーボンナノチューブを実装基板とは別の基板を用いて製造することを特徴とする。
図4Aに示すように、最初に、実装基板1とは別の基板である支持基板51の表面に、触媒層52を形成する。支持基板51は、例えばガラスなど、高温のプロセスに耐える材料から製造されている。触媒層52は、例えば、5nmのTiN膜53と、1nmのCo膜54とを順番に積層した積層膜からなる。このような触媒層52は、例えば真空蒸着又はスパッタ法により形成される。
【0039】
次に、図4Bに示すように、触媒層52の上にカーボンナノチューブ15をCVD法により成長させる。カーボンナノチューブ15の形成条件は、第1の実施の形態と同様である。なお、この実施の形態では、カーボンナノチューブ15の形成時に実装基板51に垂直な方向に電界をかけて、カーボンナノチューブ15を実装基板51に対して垂直な方向に成長させる。
【0040】
続いて、図4Cに示すように、支持基板51上に、可溶性樹脂55を、例えば、スクリーン印刷法により塗布する。この後、可溶性樹脂55の一部をO2アッシングより除去し、カーボンナノチューブ15の先端部を露出させる。可溶性樹脂55には、例えば、ポリスチレン系の樹脂や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが用いられる。可溶性樹脂55の厚さは、カーボンナノチューブ15の長さより小さい。このため、カーボンナノチューブ15の先端部分が、可溶性樹脂55の表面から上方に突出する。これにより、可溶性樹脂55に、カーボンナノチューブ15が先端部分を除いて埋め込まれる。
【0041】
次に、図4Dに示すように、可溶性樹脂55から露出するカーボンナノチューブ15の先端部分を有機官能基Xで修飾する。なお、カーボンナノチューブ15の先端部分は、一部が5員環になっており、他の部分に比べて反応し易くなっているので、先端部分を容易に有機官能基Xで修飾することができる。
【0042】
ここで、有機官能基Xとしては、例えば、チオール基(―SH)や、カルボン酸構造を有するカルボニル基(―COOH:カルボン酸)、ジアゾニウム基(―N+2)があげられる。
【0043】
カーボンナノチューブ15の先端部分をチオール基で修飾する場合には、カーボンナノチューブ15を例えば、C6H4(N+2BF4−)SHの溶液に浸して電界をかける。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部分の一部が、C6H4SHで修飾される。この後、可溶性樹脂55で一体となったカーボンナノチューブ15を支持基板51ごと
溶液から取り出す。
【0044】
また、カーボンナノチューブ15の先端部分をカルボン酸で修飾する場合には、カーボンナノチューブ15を例えば、二塩基酸アシル過酸化物、例えば琥珀酸過酸化アシルやグルタル酸過酸化アシルなどの溶液に浸して熱を加える。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部分の一部が、(CH2)n−COOHで修飾される。この後、可溶性樹脂55で一体となったカーボンナノチューブ15を支持基板51ごと溶液から取り出す。
【0045】
さらに、カーボンナノチューブ15の先端部分をジアゾニウム基で修飾する場合には、カーボンナノチューブ15を例えば、C6H4(NH2)N2Clの溶液に浸して電界をかける。その後、0℃で亜硝酸ナトリウム/塩酸を加えると、カーボンナノチューブ15の先端部分の一部が、C6H4(N2Cl)で修飾される。この後、可溶性樹脂55で一体となったカーボンナノチューブ15を支持基板51ごと溶液から取り出す。
【0046】
このようにして、カーボンナノチューブ15の先端部分が有機官能基Xからなる被覆部56が形成されたら、この後、図4Eに示すように、カーボンナノチューブ15の有機官能基Xで修飾された被覆部56を実装基板1の電極パッド5に当接させる。さらに、この状態で、加熱すると共に電界をかける。なお、ここでの処理は、加熱のみでも良い。
カーボンナノチューブ15の先端に設けられた、チオール基、カルボン酸基、又はアゾニウム基が電極パッド5のCuと反応してキレート化合物(アゾニウム基の場合共有結合)を形成し、これによりカーボンナノチューブ15が電極パッド5に接合される。
【0047】
続いて、支持基板51とカーボンナノチューブ15の界面部分をHClなどの酸性の溶液に晒す。酸性の溶液によって、触媒層52が溶けて、支持基板51からカーボンナノチューブ15が可溶性樹脂55ごと取り外される。これにより、カーボンナノチューブ15及び可溶性樹脂55が電極パッド5上に残される。さらに、可溶性樹脂55を有機溶剤で溶解して取り除くと、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15のみが残り、これによって、図1Dと同様の構造が得られる。
【0048】
この後、図1Fと同様に、カーボンナノチューブ15を接合した電極パッド5上にめっき層21を形成し、続いてハンダペースト22を印刷する。さらに、図1Gと同様に、半導体素子31のハンダボール36を実装基板1の電極パッド5に接合する。これにより、実装基板1と半導体素子31との間に、ハンダ接合部38が形成される。図2に示すように、ハンダボール36の中に、カーボンナノチューブ15が入り込むことで、ハンダ接合部38が補強される。
【0049】
以上、説明したように、この半導体装置41では、カーボンナノチューブ15の一端を有機官能基Xで修飾することで電極パッド5にカーボンナノチューブ15を接合するようにした。したがって、実装基板1の耐熱温度が低い場合にも、ハンダ接合をカーボンナノチューブ15によって補強することが可能になる。
【0050】
なお、カーボンナノチューブ15の先端部を有機官能基Xで修飾した後、カーボンナノチューブ15を支持基板51から取り外してから実装基板1の電極パッド5に接合しても良い。
また、カーボンナノチューブ15の一部を可溶性樹脂55で覆わずに、有機官能基Xで修飾しても良い。
さらに、カーボンナノチューブ15を支持基板51の上方にランダムに形成し、可溶性樹脂55で先端部分を除いて覆っても良い。
【0051】
(第3の実施の形態)
この実施の形態では、実装基板の耐熱性が低いときなどに、カーボンナノチューブを実装基板とは別の基板を用いて製造することを特徴とする。
最初に、図4A、図4B及び図4Cと同様に、例えばガラス製の支持基板51の表面に、触媒層52を形成する。さらに、触媒層52の上にカーボンナノチューブ15をCVD法により成長させ、その後に触媒層52の上に、可溶性樹脂55を形成する。続いて、可溶性樹脂55の一部をO2アッシングより除去し、カーボンナノチューブ15の先端部を露出させる。これにより、カーボンナノチューブ15が先端部分を除いて可溶性樹脂55に埋められる。なお、触媒層52、カーボンナノチューブ15、可溶性樹脂55の形成条件は、第2の実施の形態と同様である。
【0052】
次に、図5Aに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、カーボンナノチューブ15の先端部分にVUV(真空紫外線)照射を行う。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部分の不純物が除去される。また、カーボンナノチューブ15の先端部分のカーボン原子間の結合が切断され、めっき液に対する親水性が高められる。続いて、カーボンナノチューブ15に対してAu、Ag、Cuのいずれかを、例えば数十nmの厚さに電解めっき法により形成する。これにより、カーボンナノチューブ15の先端部に金属の被覆部61が形成される。なお、金属の被覆部61は、蒸着法や、無電解めっき法で形成しても良い。
【0053】
この後、図5Bに示すように、カーボンナノチューブ15の被覆部61を実装基板1の電極パッド5を当接させ、例えば200℃に加熱しながら、所定の荷重をかける。電極パッド5と被覆部61の間の固相拡散によりカーボンナノチューブ15が電極パッド5に接合される。
続いて、支持基板51とカーボンナノチューブ15の界面部分をHClなどの酸性の溶液に晒して触媒層52を溶かす。これにより、支持基板51からカーボンナノチューブ15が可溶性樹脂55ごと取り外される。さらに、可溶性樹脂55を有機溶剤で溶解して取り除くと、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15のみが残り、これによって、図1Dと同様の構造が得られる。
【0054】
この後、図1F及び図1Gと同様に、カーボンナノチューブ15を接合した電極パッド5上にめっき層21を形成し、ハンダペースト22を印刷し、半導体素子31のハンダボール36を実装基板1の電極パッド5に接合する。これにより、実装基板1と半導体素子31との間に、ハンダ接合部38が形成される。ハンダボール36の中に、図2と同様にカーボンナノチューブ15が入り込むことで、ハンダ接合部38が補強される。
【0055】
以上、説明したように、この半導体装置41では、カーボンナノチューブ15の一端に金属の被覆部61を形成し、この被覆部61を利用して電極パッド5にカーボンナノチューブ15を接合するようにした。したがって、実装基板1の耐熱温度が低い場合にも、ハンダ接合をカーボンナノチューブ15によって補強することが可能になる。
【0056】
なお、カーボンナノチューブ15の先端部に被覆部61を形成した後、カーボンナノチューブ15を支持基板51から取り外してから実装基板1の電極パッド5に接合しても良い。
また、カーボンナノチューブ15の一部を可溶性樹脂55で覆わずに、被覆部61を形成しても良い。ここで、実装基板1に接合する前に、支持基板51からカーボンナノチューブ15を取り外す場合には、電極パッド5上にカーボンナノチューブ15がランダムに配列される。
さらに、カーボンナノチューブ15を支持基板51の上方にランダムに形成し、可溶性樹脂55で先端部分を除いて覆っても良い。
【0057】
(第4の実施の形態)
図6に、第4の実施の形態の半導体装置のハンダ接合部の断面図を示す。
半導体装置71は、実装基板1の電極パッド5の上に、カーボンナノチューブ15が形成されており、カーボンナノチューブ15を覆うようにハンダペースト22が形成されている。さらに、ハンダペースト22には、半導体素子31の基板32に取り付けられたハンダボール36が接合されている。
ここで、ハンダボール36には、例えばSnAgCuが用いられ、ハンダペースト22には、ハンダボール36より融点の低い材料、例えばSnBiが用いられる。
【0058】
半導体装置71を製造するときは、図1Aから図1F、又は図3Aから図5Bに示すように、実装基板1上に電極パッド5とカーボンナノチューブ15及びハンダペースト22を形成する。さらに、基板32上にハンダボール36を形成する。
実装基板1に半導体素子31を実装するときは、電極パッド5のハンダペースト22上にハンダボール36を位置決めして載置する。続いて、リフロー工程でハンダペースト22を溶融させ、ハンダボール36に接合させる。このときの加熱温度は、ハンダペースト22は溶融するが、融点が相対的に高いハンダボール36を溶融しない温度が用いられる。その結果、ハンダペースト22のみが溶融してハンダボール36と接合され、ハンダペースト22とハンダボール36によるハンダ接合部72が形成される。ハンダボール36は溶融していないので、カーボンナノチューブ15は、ハンダボール36内には入らない。そして、このようなハンダ接合部72を介して半導体素子31の電極パッド35と実装基板1の電極パッド5とがハンダ接合部38を介して電気的に接続される。
【0059】
この半導体装置71では、ハンダペースト22とハンダボール36を有するハンダ接合部72がカーボンナノチューブ15で補強される。実装基板1側の電極パッド5とハンダボール36の界面付近が、カーボンナノチューブ15によってナノレベルで補強されるので、ハンダ接合部72の強度が向上する。
なお、カーボンナノチューブ15は、電極パッド5に対してランダムな向きに形成しても良い。
【0060】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる。
【0061】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 基板に形成した電極パッドの上にカーボンナノチューブを形成する工程と、前記電極パッドの上に、金属層をめっきにより形成し、前記カーボンナノチューブを先端部を除いて埋める工程と、前記金属層の上に、ハンダペーストを印刷し、前記カーボンナノチューブを覆う工程と、半導体素子の電極上に形成したハンダを前記ハンダペーストの上に接触させ、加熱処理により前記ハンダと前記ハンダペーストを溶融させ、前記電極と前記電極パッドを電気的に接合すると共に、前記ハンダと前記ハンダペーストが形成する接合部内にカーボンナノチューブを入れる工程と、を含む半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記接合部を形成する工程は、前記ハンダを溶融させ、前記ハンダ内に前記カーボンナノチューブを入れる付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、前記カーボンナノチューブを支持基板の上方で成長させる工程と、前記カーボンナノチューブの先端部分に前記電極パッドに接続可能な被覆部を形成する工程と、前記被覆部を前記電極パッドに反応又は熱圧着させることで、前記電極パッド上に前記カーボンナノチューブを
取り付ける工程と、前記支持基板を前記カーボンナノチューブから取り外す工程と、を含む付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記被覆部は、前記カーボンナノチューブの先端部分に有機官能基を修飾させることで形成され、前記有機官能基を前記電極パッドと反応させて前記カーボンナノチューブを前記電極パッドに取り付ける付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記有機官能基は、チオール基、ジアゾニウム基、カルボン酸基のいずれかを有する付記4に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記被覆部は、前記カーボンナノチューブの先端部分に金属を蒸着又はめっきすることで形成され、前記被覆部を前記電極パッドに熱圧着させて前記カーボンナノチューブを前記電極パッドに取り付ける付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、前記電極パッドの上に触媒層を設けた後、前記カーボンナノチューブをCVD法により成長させる付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記金属層として、Cu、Ni、Ag、Auのいずれかの膜を形成する付記1乃至付記7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9) 前記ハンダは、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかを含んで形成される付記1乃至付記8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)電極パッドを有する基板と、電極にハンダボールが取り付けられた半導体素子と、前記電極パッドの上に設けられ、一部が前記ハンダボール内に入り込んだカーボンナノチューブと、を含む半導体装置。
(付記11) 前記ハンダボールは、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかを含んで形成される付記10に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0062】
1 実装基板
5 電極パッド
15 カーボンナノチューブ
21 めっき層(金属層)
22 ハンダペースト
31 半導体素子
35 電極パッド(電極)
36 ハンダボール
38 ハンダ接合部
41 半導体装置
51 支持基板(別の基板)
55 可溶性樹脂
56,61 被覆部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成した電極パッドの上にカーボンナノチューブを形成する工程と、
前記電極パッドの上に、金属層をめっきにより形成し、前記カーボンナノチューブを先端部を除いて埋める工程と、
前記金属層の上に、ハンダペーストを印刷し、前記カーボンナノチューブを覆う工程と、
半導体素子の電極上に形成したハンダを前記ハンダペーストの上に接触させ、加熱処理により前記ハンダと前記ハンダペーストを溶融させ、前記電極と前記電極パッドを電気的に接合すると共に、前記ハンダと前記ハンダペーストが形成する接合部内にカーボンナノチューブを入れる工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、
前記カーボンナノチューブを支持基板の上方に成長させる工程と、
前記カーボンナノチューブの先端部分に前記電極パッドに接続可能な被覆部を形成する工程と、
前記被覆部を前記電極パッドに反応又は熱圧着させることで、前記電極パッド上に前記カーボンナノチューブを取り付ける工程と、
前記支持基板を前記カーボンナノチューブから取り外す工程と、
を含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、
前記電極パッドの上に触媒層を設けた後、前記カーボンナノチューブをCVD法により成長させる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
電極パッドを有する基板と、
電極にハンダが取り付けられた半導体素子と、
前記電極パッドの上に設けられ、一部が前記ハンダ内に入り込んだカーボンナノチューブと、を含む半導体装置。
【請求項5】
前記ハンダは、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかを含んで形成される請求項4に記載の半導体装置。
【請求項1】
基板に形成した電極パッドの上にカーボンナノチューブを形成する工程と、
前記電極パッドの上に、金属層をめっきにより形成し、前記カーボンナノチューブを先端部を除いて埋める工程と、
前記金属層の上に、ハンダペーストを印刷し、前記カーボンナノチューブを覆う工程と、
半導体素子の電極上に形成したハンダを前記ハンダペーストの上に接触させ、加熱処理により前記ハンダと前記ハンダペーストを溶融させ、前記電極と前記電極パッドを電気的に接合すると共に、前記ハンダと前記ハンダペーストが形成する接合部内にカーボンナノチューブを入れる工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、
前記カーボンナノチューブを支持基板の上方に成長させる工程と、
前記カーボンナノチューブの先端部分に前記電極パッドに接続可能な被覆部を形成する工程と、
前記被覆部を前記電極パッドに反応又は熱圧着させることで、前記電極パッド上に前記カーボンナノチューブを取り付ける工程と、
前記支持基板を前記カーボンナノチューブから取り外す工程と、
を含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電極パッドの上に前記カーボンナノチューブを形成する工程は、
前記電極パッドの上に触媒層を設けた後、前記カーボンナノチューブをCVD法により成長させる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
電極パッドを有する基板と、
電極にハンダが取り付けられた半導体素子と、
前記電極パッドの上に設けられ、一部が前記ハンダ内に入り込んだカーボンナノチューブと、を含む半導体装置。
【請求項5】
前記ハンダは、Sn、SnAgCu、SnBi、SnZn、SnInのいずれかを含んで形成される請求項4に記載の半導体装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【公開番号】特開2011−238789(P2011−238789A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109298(P2010−109298)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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