説明

半導体装置及びテスト方法

【課題】高速シリアル転送試験のテストコストの増大を抑止する。
【解決手段】チャネル毎に、シリアルパラレル変換回路と、フレーム同期回路と、スキュー補正回路と、パラレルシリアル変換回路と、セレクタと、出力バッファを備え、複数チャネルに共通に、同期調整用フレーム、スタートデリミタ、同期確認用フレーム、エンドデリミタを含むパラレルデータを生成する同期パタン発生器と、割り込みイネーブル信号と割り込みフレームを生成する割り込みパタン発生器と、フレーム同期されたパラレルデータから、スタートデリミタを検出すると検出フラグを割り込みパタン発生器に出力するパタンモニタと、スルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較するパタンモニタを備え、チップA、Bを2つ対向配置してテストを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリアルインタフェースを備えた半導体装置に関し、特にテストに好適な装置及びテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体集積回路の動作周波数の高速化は顕著であり、例えばDIMM(Dual Inline Memory Module)インタフェース等、ギガビット帯域の高速シリアル転送を実現するシリアルインタフェース(「SerDesインタフェース」、「Advanced Memory Buffer」ともいう)は、各チャネル毎に、入力バッファにシリアルに入力されるデータに同期したクロック及びデータを復元しパラレルデータに変換するデシリアライザと、送信パラレルデータをシリアルデータに変換するシリアライザを含み、チャネル間で同期してデータを受信する構成として、送信側からシリアルに伝送されるデータには所定の位置にフレーム同期パタンが周期的に挿入されており、受信側でフレーム・パタンを検出し、チャネル間でのフレーム同期が確保される。
【0003】
図3は、従来のシリアルインタフェース回路を備えた半導体装置のテスト構成の一例を示す図である。図3を参照すると、半導体装置(チップ)10において、0チャネル〜Nチャネル(ただし、Nは1以上の整数)のそれぞれは同一構成とされ、各チャネル毎に、受信シリアルデータを入力する入力バッファ回路101と、入力バッファ回路101で入力した受信シリアルデータをパラレルデータに変換するシリアルパラレル変換回路(SP)102と、シリアルパラレル変換回路102からのパラレルデータからフレーム同期パタンを検出しチャネル間でのフレーム同期を行うとともに、フレーム同期に際しての自チャネルのスキュー情報を取得するフレーム同期回路103と、パタン発生器(割り込みパタン発生器)109’で生成された割り込みイネーブル信号110と割り込みフレームデータ111を入力し、フレーム同期回路103からのスキュー情報(チャネル間でのフレーム同期タイミングに対する自チャネルの同期タイミング遅れ、進みの情報)112を受けスキューの補正を行うスキュー補正回路107と、スキュー補正回路107でスキューが補正されたパラレルパタンを受けシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換回路(PS)104と、パラレルシリアル変換回路104からのシリアルデータと、入力バッファ回路101からの受信シリアルデータとを受け、スキュー補正回路107でスキュー補正された割り込みイネーブル信号が送信シリアルデータを示すとき、パラレルシリアル変換回路104からのシリアルデータを選択し、スキュー補正された割り込みイネーブル信号がスルーフレーム(入力バッファ回路101の出力)を示す時には、入力バッファ回路101から出力される受信シリアルデータを選択して出力するセレクタ106と、セレクタ106からの出力を、伝送路にシリアルに出力する出力バッファ回路105と、を備えている。
【0004】
そして、チップ10は、全チャネルに共通に、0〜Nチャネルの各フレーム同期回路103から出力されるフレーム同期されたパタンを受け取り期待値パタンと一致するか比較・監視するパタンモニタ108と、パタンモニタ108からの指示に基づき、割り込みイネーブル信号110と割り込みフレームデータ111の発生を行うパタン発生器109’を備えている。
【0005】
なお、図3において、入力バッファ回路101とシリアルパラレル変換回路102の間には、入力シリアルデータからクロック及びデータを抽出するクロックアンドデータリカバリ回路(不図示)が設けられ、セレクタ106へのスルーデータ、及び、シリアルパラレル変換回路102には、不図示のクロックアンドデータリカバリ回路でサンプル出力されるデータが供給され、シリアルパラレル変換回路102の変換用のクロック信号も、不図示のクロックアンドデータリカバリ回路で抽出されたクロック信号が用いられる。
【0006】
LSIテスタ等の測定装置20は、被試験デバイス(DUT)であるチップ10の入力バッファ回路101にテストパタンを供給し、チップ10の出力バッファ回路105から出力されるパタンデータを、期待値パタンと比較して、チップ10のパス・フェイル(ファンクショナル試験)、あるいはAC試験、マージン試験等の各種試験を行う。
【0007】
割り込みの確認を行うには、測定装置20からシリアルデータを、チップ10の入力バッファ回路101に入力し、チップ10では割り込みデータ(フレーム)をセレクタ106にてスルーフレーム(受信シリアルデータ)にマージし、出力バッファ回路105からシリアル出力し、測定装置20はマージされたシリアルデータを入力して期待値パタンと比較する等の測定を行う。
【0008】
なお、高速シリアルデータ伝送のテストとして、送信部から受信部に接続するループバックテストが知られている(特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−39226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近時、高速シリアルインタフェースにおけるシリアルデータの転送周波数の上昇は著しく、LSIテスタのテスト周波数は、高速シリアルデータの転送周波数に対応できない。あるいは、高速シリアルデータの転送周波数に対応するには、テスタの価格は極めて高価なものとなる。
【0011】
このため、実使用時の高速でのシリアル伝送・割り込みのテストを行うことはできていない。
【0012】
そして、転送レートが例えばGHzオーダの高速テストを行うには、高価な高速テスタが必要とされ、テストコストが増大し、製品コストの上昇を招く。
【0013】
一方、図4に示すように、一つのチップ10において、1つのチャネルの出力バッファ回路105からのシリアルデータを同一チャネルの入力バッファ回路101に折り返し入力して、パタンモニタ108で期待値パタンと比較するというループバック形態でテストを行う場合、低速テスタにて高速シリアル転送に対処可能であるが、スルーフレームに割り込みフレームを割り込ませてテストを行うことはできない。これは、複数のチャネル0からNに対してパタン発生器109’が1つであるためである。また、1つのチップを用いたループバックテストであるためでもある。なお、図4のループバックテストにおいて、チップ1の端子11からは判定結果(パス/フェイル)が出力される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願で開示される発明は、上記課題を解消するため、概略以下の構成とされる。
【0015】
本発明の一のアスペクトに係る装置は、割り込みイネーブル信号と割り込みデータを生成する割り込み発生器と、入力シリアルデータをそのままシリアル出力する経路のスルーデータと、前記割り込みデータをパラレルシリアル変換して得られるシリアルデータとを入力し、前記割り込みイネーブル信号が非活性状態、活性状態のとき、前記スルーデータ、前記割り込みデータをそれぞれ選択してシリアル出力するセレクタと、前記入力シリアルデータから、前記スルーデータに対して前記割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込み発生器に対して前記割り込みデータの生成と前記割り込みイネーブル信号の活性化を指示するように制御する回路と、を備えている。
【0016】
本発明において、前記スルーデータに対して前記割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を、対向装置が受信する入力シリアルデータに挿入し前記対向装置に送信する回路を備えた構成としてもよい。
【0017】
本発明に係る装置において、複数のチャネルの各々が、シリアルデータを入力する入力バッファ回路と、前記入力バッファ回路に入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換するシリアルパラレル変換回路と、同期調整用フレームを検出してチャネル間のフレーム同期をとるフレーム同期回路と、前記フレーム同期回路からスキュー情報を受け、割り込みイネーブル信号と割り込みフレームのスキューの補正を行うスキュー補正回路と、前記スキュー補正回路からの割り込みフレームをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換回路と、前記パラレルシリアル変換回路からの割り込みフレームと、前記入力バッファ回路からのスルーフレームとを受け、前記スキュー補正回路からの割り込みイネーブル信号が活性状態のとき、前記割り込みフレームを選択して出力し、割り込みイネーブル信号が非活性状態のとき、前記入力バッファ回路からのスルーフレームとを選択して出力するセレクタと、を備えている。本発明に係る装置においては、複数のチャネルに共通に、同期調整用フレーム、同期確認用フレームの開始を示すスタートデリミタ、同期確認用フレーム、同期確認用フレームの終わりを示すエンドデリミタを含むパラレルデータを生成する同期パタン発生器と、割り込みイネーブル信号と割り込みフレームを生成する割り込みパタン発生器と、前記フレーム同期回路でフレーム同期されたパラレルデータからスタートデリミタを検出すると、検出フラグを前記割り込みパタン発生器に出力する第1のパタンモニタと、を備え、前記割り込みパタン発生器は、前記第1のパタンモニタからの検出フラグを受け、前記割り込みイネーブル信号と割り込みフレームを生成し、さらに、スルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較し、比較判定結果を出力する第2のパタンモニタを備えている。
【0018】
本発明の他のアスペクトに係る方法において、割り込みイネーブル信号と割り込みデータを生成する割り込み発生器と、入力シリアルデータをスルーしてシリアル出力する経路のスルーデータと、前記割り込みデータをパラレルシリアル変換したシリアルデータとを入力し、前記割り込みイネーブル信号が非活性状態、活性状態のとき、前記スルーデータ、前記割り込みデータをそれぞれ選択してシリアル出力するセレクタと、前記入力シリアルデータから、前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込み発生器に、割り込みデータの生成、及び割り込みイネーブル信号の活性化を指示するように制御する回路と、前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を前記入力シリアルデータに挿入する回路と、前記第1の半導体装置から出力されるスルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較するパタンモニタと、を備えている半導体装置を少なくとも2つ用意し、
一の前記半導体装置から他の前記半導体装置に、前記入力シリアルデータを供給する工程と、
他の前記半導体装置が、一の前記半導体装置から受信したシリアルデータから前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込み発生器に、割り込みデータの生成、及び割り込みイネーブル信号の活性化を指示する工程と、
他の前記半導体装置が、割り込みイネーブル信号に基づき、前記セレクタにてスルーデータと割り込みデータを切替え、スルーデータと割り込みデータをマージしたパタンをシリアルに一の前記半導体装置に送信する工程と、
一の前記半導体装置が、他の前記半導体装置から送信されたスルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較し、比較判定結果を、試験装置に出力する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報をシリアルデータに挿入して対向装置に送信し、対向装置側で入力シリアルデータから該情報を検出したとき割り込みデータを生成し、割り込みイネーブル信号の活性化してスルーデータから割り込みデータに切り替えるようにしたことにより、ループバックテストにおいて割り込みテストを可能としている。
【0020】
また、本発明によれば、シリアルインタフェースの高速テストを行う場合にも、高価な高速テスタは不要とされ、テストコストの増大を抑止低減可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記した本発明についてさらに詳細に説述すべく、添付図面を参照して説明する。本発明は、図1を参照すると、割り込みイネーブル信号と割り込みデータを生成する割り込みパタン発生器(109)と、入力シリアルデータをスルーしてシリアル出力する経路のスルーデータと、前記割り込みデータをパラレルシリアル変換したシリアルデータとを入力し、前記割り込みイネーブル信号が非活性状態、活性状態のとき、前記スルーデータ、前記割り込みデータをそれぞれ選択してシリアル出力するセレクタ(106)と、前記入力シリアルデータから、前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込みパタン発生器に、割り込みデータの生成、及び割り込みイネーブル信号の活性化を指示するように制御する回路(114)と、前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を前記入力シリアルデータに挿入する回路(113)と、前記第1の半導体装置から出力されるスルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較するパタンモニタ(115)と、を備えている半導体装置を2つ用意して対向配置し、ループバックテストにより、高速シリアル転送の試験を可能としており、さらに、スルーフレームと割り込みフレームをマージした割り込みフレームテストを可能としている。
【0022】
本発明においては、テストの際に、対向配置される2つの半導体装置の一方から他の半導体装置に、入力シリアルデータを供給する。
【0023】
他の半導体装置において、一方の半導体装置から受信したシリアルデータからスルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、割り込み割り込みパタン発生器に、割り込みデータの生成、及び、割り込みイネーブル信号の活性化を指示する。
【0024】
前記他の半導体装置において、割り込みイネーブル信号に基づき、前記セレクタにてスルーデータと割り込みデータを切替え、スルーデータと割り込みデータをマージしたパタンをシリアルに一方の半導体装置に送信する。
【0025】
前記一方の半導体装置において、前記他の半導体装置から送信されたスルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較し、比較判定結果を、試験装置に出力する。以下実施例に即して詳細に説明する。
【実施例】
【0026】
図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。図1において、図3と同一の要素には同一の参照符号が付されている。図1を参照すると、本実施例は、同一構成の2つのチップ(A、B)10A、10Bを備え、各チップは、同期調整用フレーム、スタートデリミタ、同期確認用フレーム、エンドデリミタを含むパラレルデータを生成する同期パタン発生器113と、割り込みイネーブル信号110と割り込みフレーム(割り込みデータ)111とを生成する割り込みパタン発生器109と、対向チップの同期パタン発生器113で生成され対向チップから送信された受信データのパタンを比較する第1のパタンモニタ114と、対向チップ側から送信された、スルーデータと割り込みデータをマージした受信データのパタンを期待値パタンと比較する第2のパタンモニタ115と、を備えている。複数チャネルに共通に、同期パタン発生器113、割り込みパタン発生器109、第1のパタンモニタ114、第2のパタンモニタ115を備えた構成は、図3を参照して説明した従来の構成と相違しており、本発明の特徴の1つをなしている。
【0027】
そして、各チップは、チャネル毎に、入力バッファ回路101と、入力バッファ回路101に入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換するシリアルパラレル変換回路102と、同期調整用フレームを検出してチャネル間のフレーム同期をとるフレーム同期回路103と、フレーム同期回路103におけるフレーム同期におけるスキュー情報112(全チャネルでフレーム同期をとるに際して調整された自チャネルのスキュー値)を受け、割り込みイネーブル信号110と割り込みフレーム111のスキューの補正を行うスキュー補正回路107と、スキュー補正回路107でスキューが補正された割り込みイネーブル信号を選択制御信号として受け、パラレルシリアル変換回路104からの割り込みフレームと、入力バッファ回路101からのスルーフレーム(不図示のクロックアンドデータリカバリ回路で復元されたシリアルデータ)とを切り替えるセレクタ106と、を備えている。なお、図1においても、図3と同様、入力バッファ回路101とシリアルパラレル変換回路102の間には、入力シリアルデータからクロック及びデータを抽出するクロックアンドデータリカバリ回路(不図示)が設けられており、セレクタ106へのスルーデータ、及び、シリアルパラレル変換回路102には、不図示のクロックアンドデータリカバリ回路でサンプル出力されるデータが供給され、シリアルパラレル変換回路102の変換用のクロック信号も、不図示のクロックアンドデータリカバリ回路で抽出されたクロック信号が用いられる。
【0028】
図1に示すように、本実施例では、同一構成の2つのチップを対向配置する。かかるテスト設定(セットアップ)により、例えばGHzオーダーの高速シリアル転送の割り込みフレームテストを、低速テスタで試験することができる。かかる構成は、本発明の特徴の1つをなしている。以下では、チップ10Bが被試験デバイス(DUT;Device Under Test)、チップ10Aはテスタのロードボード等試験治具に搭載される基準デバイス(KGD;Known Good Device)であるものとする。なお、チップ10AをDUTとし、チップ10Bをロードボード等の試験治具に搭載するKGDとし、チップ10Aのテスト結果をチップ10Aの端子11からテスタに供給するようにしてもよいことは勿論である。以下、図1を参照して、本実施例の動作を説明する。
【0029】
チップ10Aにおいて、同期パタン発生器113で同期調整用フレーム、スタートデリミタ、同期確認用フレーム、エンドデリミタを含むパラレルデータを生成する。同期パタン発生器113は、テスト用に、チャネル間でスキューを可変に付加する機能を備えている。
【0030】
チップ10Aのスキュー補正回路107では、スキュー補正は行わず(スキュー補正を行わないパスが、スキュー補正回路107内で選択される)、同期パタン発生器113からのパラレルデータを入力し、そのまま、チップ10Aのパラレルシリアル変換回路104に送信する。
【0031】
チップ10Aのパラレルシリアル変換回路104は、同期パタン発生器113からのパラレルデータをパラレルシリアル変換し、セレクタ106に供給する。
【0032】
チップ10Aのセレクタ106では、パラレルシリアル変換回路104からのシリアルデータを選択し、チップ10Aの出力バッファ回路105から、チップ10Bの対応するチャネルの入力バッファ回路101に送信する。
【0033】
チップ10Bにおいては、チップ10Aから受信したシリアルデータを入力バッファ回路101で受け取り、シリアルパラレル変換回路102においてシリアルデータをパラレルデータに変換し、フレーム同期回路103で、同期調整用フレーム検出し、チャネル間でのフレーム同期を行う。
【0034】
チップ10Bのパタンモニタ114において、フレーム同期されたパラレルデータから、スタートデリミタを検出すると、検出フラグを、チップ10Bの割り込みパタン発生器109に送信する。
【0035】
チップ10Bの割り込みパタン発生器109は、パタンモニタ114から出力された検出フラグを受信すると、割り込みフレーム111を生成し、予め定められた所定時間経過後、割り込みイネーブル信号110を生成し、チップ10Bのスキュー補正回路107に送信する。
【0036】
チップ10Bのスキュー補正回路107は、割り込みパタン発生器109からの割り込みフレームを受け、チップ10Bのフレーム同期回路107でのフレーム同期処理で吸収したチャネル間のスキューを補正し(自チャネルのスキューをキャンセルする)、チップ10Bのパラレルシリアル変換回路104に送信し、パラレルシリアル変換回路104はシリアルデータをセレクタ106に出力する。
【0037】
チップ10Bのセレクタ106では、割り込みイネーブル信号110により、スルーフレームと、パラレルシリアル変換回路104からの割り込みデータを切替える。
【0038】
チップ10Bの出力バッファ回路105は、セレクタ106で選択されたシリアルデータをチップ10Aの対応するチャネルの入力バッファ回路101に送信する。
【0039】
チップ10Aにおいて、入力バッファ回路101で受信したシリアルデータを、シリアルパラレル変換回路102でパラレルデータに変換し、フレーム同期回路103で同期調整用フレームを検出し、チャネル間のフレーム同期を行う。
【0040】
チップ10Aのパタンモニタ115は、スルーフレームのパタンと期待値パタンの比較を行い、スタートデリミタの検出後、予め定められた所定時間後に、割り込みフレームを期待値パタンと比較する。
【0041】
これにより、スルーフレームと割り込みフレームの両方の判定(受信したスルーフレームと割り込みフレームが期待値パタンと一致するか)を行う。
【0042】
チップ10Aのパタンモニタ115での判定結果は、低速な信号に変換して出力端子11から出力される。低速なテスタ(不図示)では、出力端子11の出力値から、パス/フェイル等のテストを可能としている。なお、低速なテスタ(不図示)で、チップ10A、チップ10Bでの高速転送を可能とするため、該テスタからチップに供給するクロック信号は、テスタの治具上に配設された逓倍回路で周波数を逓倍し、この逓倍クロック信号をチップに供給するようにしてもよい。
【0043】
図2は、図1に示した本発明の一実施例の動作を説明するためのタイミング図である。
【0044】
チップ10Aの同期パタン発生器113で、同期調整用フレーム、スタートデリミタ、同期確認割り込み確認パタン、エンドデリミタを含むパラレルデータを生成し、スキュー調整は行わず、パラレルシリアル変換回路104でパラレルシリアル変換し、出力バッファ回路105から対応するチャネルのチップ10Bの入力バッファ回路101に送信する。
【0045】
図2において、スルーデータは、図1のチップ10Bの入力バッファ回路101に入力され、不図示のクロックアンドデータリカバリ回路で復元されたデータであって、セレクタ106、出力バッファ回路105を介して、対応するチャネルのチップ10Aの入力バッファ回路101に入力されるシリアルデータである。割り込みデータは、チップ10Bの割り込みパタン発生器109から出力される割り込みフレームである。割り込みイネーブル信号は、チップ10Bの割り込みパタン発生器109から出力される割り込みイネーブル信号110である(スキュー補正回路107でスキュー補正されている)。マージデータは、チップ10Bのセレクタ106で割り込みデータとスルーデータをマージし、チップ10Aの入力バッファ回路101に入力される信号である。
【0046】
チップ10Bにおいて、チップ10Aの各チャネルから送信される同期調整用フレームを受け取ったチップ10Bのフレーム同期回路103では、フレーム同期を行う。この間、チップ10Bにおいて、割り込みイネーブル信号がLOWレベルとされ、チップ10Aはチップ10Bからのスルーデータを受信する。
【0047】
チップ10Bのパタンモニタ114でスタートデリミタ(同期確認/割り込み確認パタンの開始を指示する予め定められたパタン)を検出すると、割り込みパタン発生器109が割り込みパタン111を生成し(図2の ̄UP1、 ̄UP2、…、 ̄UP6)、所定時間経過後、割り込みイネーブル信号110を所定の期間HIGHレベルとする。図2では、スタートデリミタの検出から単位期間の2倍の期間遅れて、単位期間の2倍のパルス幅で、割り込みイネーブル信号がHIGHレベルとされ、この期間、チップ10Bのセレクタ106は、割り込みデータ(パラレルシリアル変換回路104からのシリアルデータ)( ̄UP3と ̄UP4)を選択出力する。割り込みイネーブル信号がHIGHレベルからLOWレベルとなると、チップ10Bのセレクタ106は、入力バッファ回路101からのスルーデータを選択し、チップ10Bのパタンモニタ114によるエンドデリミタの検出で同期確認/割り込み確認パタンのシーケンスが終了する。図2に示す例では、チップ10Aにチップ10Bから送信されるマージパタンは、スルーデータのUP1、UP2と、切り替えられた割り込みデータの ̄UP3、 ̄UP4、さらに割り込みデータからスルーデータに切り替えられたデータUP5、UP6となる。
【0048】
チップ10Aのパタンモニタ115は、スタートデリミタの検出後のスルーデータUP1、UP2のあと、割り込みデータ ̄UP3、 ̄UP4を期待値パタンと比較し、つづいて、スルーデータUP5、UP6を期待値パタンと比較し、比較判定結果を出力端子11に出力する。
【0049】
少なくとも2つのチップ10A、10Bを用いることで、スルーフレームと割り込みフレームの2種類のフレームを生成し、ループバック試験によるフレーム割り込みテストを可能としている。
【0050】
すなわち、本実施例によれば、高速シリアルインタフェースの出力バッファと入力バッファを対向してつなぎ、送受信の判定は、チップ内部のモニタ回路で処理するため、高速動作でのフレーム割り込みテストを、低速なテスタ等の測定装置でテスト可能としている。
【0051】
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例の動作を説明するタイミング図である。
【図3】従来の高速インタフェース回路のテストセットアップを示す図である。
【図4】従来の高速インタフェース回路のループバックテストを示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10、10A、10B チップ
11 出力端子
20 測定装置(テスタ)
101 入力バッファ回路
102 シリアルパラレル変換回路
103 フレーム同期回路
104 パラレルシリアル変換回路
105 出力バッファ回路
106 セレクタ
107 スキュー補正回路
108 パタンモニタ
109 割り込みパタン発生器
109’ パタン発生器
110 割り込みイネーブル信号
111 割り込みデータ(割り込みフレーム)
112 スキュー情報
113 同期パタン発生器
114 第1のパタンモニタ
115 第2のパタンモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
割り込みイネーブル信号と割り込みデータを生成する割り込み発生器と、
入力シリアルデータをそのままシリアル出力する経路のスルーデータと、前記割り込みデータをパラレルシリアル変換して得られるシリアルデータとを入力し、前記割り込みイネーブル信号が非活性状態、活性状態のとき、前記スルーデータ、前記割り込みデータをそれぞれ選択してシリアル出力するセレクタと、
前記入力シリアルデータから、前記スルーデータに対して前記割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込み発生器に対して前記割り込みデータの生成と前記割り込みイネーブル信号の活性化を指示するように制御する回路と、
を備えている、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記スルーデータに対して前記割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を、対向装置が受信する入力シリアルデータに挿入し前記対向装置に送信する回路を備えている、ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
複数のチャネルの各々が、
シリアルデータを入力する入力バッファ回路と、
前記入力バッファ回路に入力されたシリアルデータをパラレルデータに変換するシリアルパラレル変換回路と、
同期調整用フレームを検出してチャネル間のフレーム同期をとるフレーム同期回路と、
前記フレーム同期回路からスキュー情報を受け、割り込みイネーブル信号と割り込みフレームのスキューの補正を行うスキュー補正回路と、
前記スキュー補正回路からの割り込みフレームをシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換回路と、
前記パラレルシリアル変換回路からの割り込みフレームと、前記入力バッファ回路からのスルーフレームとを受け、前記スキュー補正回路からの割り込みイネーブル信号が活性状態のとき、前記割り込みフレームを選択して出力し、割り込みイネーブル信号が非活性状態のとき、前記入力バッファ回路からのスルーフレームを選択して出力するセレクタと、
を備え、
複数のチャネルに共通に、同期調整用フレーム、同期確認用フレームの開始を示すスタートデリミタ、同期確認用フレーム、同期確認用フレームの終わりを示すエンドデリミタを含むパラレルデータを生成する同期パタン発生器と、
割り込みイネーブル信号と割り込みフレームを生成する割り込みパタン発生器と、
前記フレーム同期回路でフレーム同期されたパラレルデータからスタートデリミタを検出すると、検出フラグを前記割り込みパタン発生器に出力する第1のパタンモニタと、
を備え、
前記割り込みパタン発生器は、前記第1のパタンモニタからの検出フラグを受け、前記割り込みイネーブル信号と割り込みフレームを生成し、
さらに、
スルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較し、比較判定結果を出力する第2のパタンモニタ、
を備えている、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の前記半導体装置を少なくとも2つ用意し、
一の前記半導体装置において、
前記同期パタン発生器で同期調整用フレーム、スタートデリミタ、同期確認用フレーム、エンドデリミタを含むパラレルデータを生成し、
前記スキュー補正回路ではスキュー補正は行わず、前記パラレルデータを前記パラレルシリアル変換回路に送信してパラレルシリアル変換し、前記セレクタは、前記パラレルシリアル変換回路からのシリアルデータを選択し、出力バッファ回路から、他の半導体装置の対応するチャネルの入力バッファ回路に送信し、
一の前記半導体装置に対向配置される他の前記半導体装置において、
一の前記半導体装置から受信したシリアルデータを前記入力バッファ回路で受け取り、前記シリアルパラレル変換回路でパラレルデータに変換し、
前記フレーム同期回路で同期調整用フレーム検出してチャネル間でのフレーム同期を行い、
前記第1のパタンモニタにおいて、フレーム同期されたパラレルデータからスタートデリミタを検出すると、検出フラグを前記割り込みパタン発生器に送信し、
前記割り込みパタン発生器は、前記検出フラグを受信すると、割り込みフレームを生成し、所定時間経過後、割り込みイネーブル信号を活性化して前記スキュー補正回路に送信し、
前記スキュー補正回路は、割り込みフレームに対して、前記フレーム同期回路における同期処理で吸収したチャネル間スキューを相殺し、前記パラレルシリアル変換回路に送信し、
前記パラレルシリアル変換回路はシリアルデータを送信し、前記セレクタは、割り込みイネーブル信号により、スルーフレームと割り込みフレームを切り替え、
前記出力バッファ回路は、前記セレクタで選択されたシリアルデータを、前記一の半導体装置の対応するチャネルの入力バッファ回路に送信し、
一の前記半導体装置において、
前記入力バッファ回路で受信したシリアルデータを前記シリアルパラレル変換回路でパラレルデータに変換し、
前記フレーム同期回路で同期調整用フレームを検出しチャネル間のフレーム同期を行い、
前記第2のパタンモニタは、スルーフレームのパタンと期待値パタンの比較を行い、スタートデリミタの検出後、所定時間後に割り込みフレームを期待値パタンと比較し、スルーフレームと割り込みフレームの両方の判定を行い、判定結果を、相対的に低速な信号に変換して、出力端子から出力する、ことを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
割り込みイネーブル信号と割り込みデータを生成する割り込み発生器と、
入力シリアルデータをスルーしてシリアル出力する経路のスルーデータと、前記割り込みデータをパラレルシリアル変換したシリアルデータとを入力し、前記割り込みイネーブル信号が非活性状態、活性状態のとき、前記スルーデータ、前記割り込みデータをそれぞれ選択してシリアル出力するセレクタと、
前記入力シリアルデータから、前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込み発生器に、割り込みデータの生成、及び割り込みイネーブル信号の活性化を指示するように制御する回路と、
前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を前記入力シリアルデータに挿入する回路と、
前記第1の半導体装置から出力されるスルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを比較するパタンモニタと、
を備えている半導体装置を少なくとも2つ用意し、
一の前記半導体装置から他の前記半導体装置に、前記入力シリアルデータを供給する工程と、
他の前記半導体装置が、一の前記半導体装置から受信したシリアルデータから前記スルーデータに対して割り込みデータを予め定められた位置にマージするように指示する情報を検出したとき、前記割り込み発生器に、割り込みデータの生成、及び割り込みイネーブル信号の活性化を指示する工程と、
他の前記半導体装置が、割り込みイネーブル信号に基づき、前記セレクタにてスルーデータと割り込みデータを切替え、スルーデータと割り込みデータをマージしたパタンをシリアルに一の前記半導体装置に送信する工程と、
一の前記半導体装置が、他の前記半導体装置から送信されたスルーデータと割り込みデータをマージしたパタンを期待値パタンと比較し、比較判定結果を、試験装置に出力する工程と、
を含む、ことを特徴とするテスト方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−57387(P2007−57387A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243372(P2005−243372)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】