説明

半導体装置

【課題】半導体チップ内ワイヤボンディングの電極パッド面積抑制が可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体チップ11の表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する周辺部パッド13a、半導体チップ11の表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する中央部パッド15、半導体チップ11の外側にあり、周辺部パッド13aと中央部パッド15とを結ぶ線分を含み、半導体チップ11の表面に垂直な面上にある外部接続端子である内部リード22、及び、中央部パッド15を周辺部パッド13aに接続し、周辺部パッド13aを内部リード22に接続する1本の連続するワイヤ25を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップの表面周辺部及び中央部に電極パッドを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路等の半導体装置は、処理速度を速くし、容量を増やし、機能を増加させる等の要求が強く、大面積化と共に、消費電力の増加が進む方向にある。半導体装置は、電源、接地、制御信号等が、外部からワイヤを介して接続された電極パッドにもたらされ、そこから内部にある配線を経由して供給されることが多い。
【0003】
半導体装置に形成される電極パッドは、数に制限があるために、電極パッドから各機能ブロック等に供給される電源配線、接地配線等は長い距離を引き回されることが少なくない。配線は、長さに比例して抵抗が大きくなり、また、比較的大きな電流が流されるために、電極パッドから遠く離れると、電圧の降下が顕著になり、各機能ブロック等は正常動作から外れる可能性がある。
【0004】
この、電圧の降下を抑制するために、半導体チップ(半導体基板)の周辺部の電極パッド(ボンディングパッド)に接続された電源配線(電源パターン)上の電極パッドと、半導体チップ内部の電極パッドに接続されていない電源配線上の電極パッドとをワイヤ(ボンディングワイヤ)によって接続された半導体装置(半導体集積回路)が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この開示された半導体装置は、ワイヤによって電源配線間を短く接続できるので、電圧の降下を抑制することが可能となるが、外部配線と接続する周辺部の電極パッドのワイヤボンディングと、半導体チップ内部の電極パッド間を接続するワイヤボンディングとは、別々のワイヤで接続され、電極パッド面積が大きくなるという問題がある。
【特許文献1】特開平2−84746号公報(第1、2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、半導体チップ内ワイヤボンディングの電極パッド面積抑制が可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップの表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第1の電源パッドと、前記半導体チップの表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第2の電源パッドと、前記半導体チップの外側にあり、前記第1の電源パッドと前記第2の電源パッドとを結ぶ線分を含み、前記半導体チップの表面に垂直な面上にある外部接続端子と、前記第2の電源パッドを、前記第1の電源パッドに接続し、前記第1の電源パッドを前記外部接続端子に接続する連続するワイヤとを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別態様の半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップの表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第1の電源パッドと、前記半導体チップの表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第2の電源パッドと、前記半導体チップの表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有し、前記第1の電源パッドと前記第2の電源パッドとを結ぶ線分の延長上にある第3の電源パッドと、前記半導体チップの外側にあり、前記線分を含み、前記半導体チップの表面に垂直な面上にある第1及び第3の電源パッドのそれぞれ外側にある第1及び第2の外部接続端子と、第1の外部接続端子を前記第1の電源パッドに接続し、前記第1の電源パッドを前記第2の電源パッドに接続し、前記第2の電源パッドを前記第3の電源パッドに接続し、前記第3の電源パッドを前記第2の外部接続端子に接続する連続するワイヤとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体チップ内ワイヤボンディングの電極パッド面積抑制が可能な半導体装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。各図では、同一の構成要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1に係る半導体装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は半導体装置の一部を切り欠いて構造を模式的に示す平面図である。図2は半導体装置のワイヤボンディングを模式的に示す図であって、図2(a)は図1のA−A線に沿った断面図、図2(a)は図1のB−B線に沿った断面図である。
【0012】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体チップ11が中央部に配置され、リード端子21の内部リード22が、半導体チップ11の周辺に配置された構造を有している。そして、半導体装置1は、半導体チップ11の表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第1の電源パッドである周辺部パッド13a、半導体チップ11の表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第2の電源パッドである中央部パッド15、半導体チップ11の外側にあり、周辺部パッド13aと中央部パッド15とを結ぶ線分を含み、半導体チップ11の表面に垂直な面上にある外部接続端子である内部リード22、及び、中央部パッド15を周辺部パッド13aに接続し、周辺部パッド13aを内部リード22に接続する1本の連続するワイヤ25を備えている。なお、内部リード22は、対向する2方向に配置された構造等であってもよい。
【0013】
半導体チップ11は、例えば、シリコン基板の表面に、半導体素子等が機能別の機能ブロック等に構成されて、形成されている。それぞれの機能ブロックまたは半導体素子等に必要な電源、接地、及び、多くの制御信号等は、外部から、半導体チップ11の周縁部に形成された周辺部パッド13、13aを経由して供給される。中央部パッド15に接続される電源及び接地のための周辺部パッド13aの他に、中央部パッド15に接続されない電源及び接地のための周辺部パッド13も形成されている。
【0014】
周辺部パッド13aは、中央部パッド15及び内部リード22とワイヤ25により接続されるが、この接続方向、すなわち、ワイヤ25が張られて行く方向に伸びた長方形をなしている。周辺部パッド13aの接続方向の寸法は、ほぼ正方形の他の周辺部パッド13と同様であり、接続方向に90度の方向の寸法は、他の周辺部パッド13より短く形成されている。後述するように、周辺部パッド13は、通常、ネイルヘッド状の接続部を形成するために比較的大きな正方形に形成される。なお、周辺部パッド13、13aが等間隔で形成される場合は、周辺部パッド13aは、他の周辺部パッド13と同様な形状であってもよい。
【0015】
電源及び接地用の中央部パッド15は、周辺部パッド13の配列よりも内側に形成され、周辺部パッド13aと同様に、ワイヤ25が張られて行く方向に伸びた長方形をなしている。中央部パッド15、周辺部パッド13a、及びリード端子21は、半導体チップ11の上方から見ると、ほぼ一直線に配列され、従って、中央部パッド15及び周辺部パッド13aは、この直線の方向に伸びた長方形をなしている。
【0016】
半導体チップ11は、リードフレームの一部をなすダイパッド18の上に固定されている。ダイパッド18の周辺部に配置されたリード端子21は、パッケージの形態に合わせて、例えば、外部リード23が曲げて成形されている。ダイパッド18側の内部リード22はワイヤボンディング用のパッドをなしている。半導体装置1は、半導体チップ11及びワイヤ25等が封止樹脂31で封止され、外部リード23が実装用の端子として、互いに90度離れた方向に突出して配置されている。
【0017】
図2(a)に示すように、中央部パッド15、周辺部パッド13a、及び内部リード22は、例えば、Auからなるワイヤ25で接続されている。中央部パッド15上の接続部27は、半導体チップ11上方からワイヤ25が押圧変形された結果生じる、半導体チップ11の面方向に伸びたほぼ楕円形の広がり(図1参照)を有している。接続部27のワイヤ25が接続されて行く方向とは反対側に押圧されてないワイヤ25が残っている。ワイヤ25は、接続部27で立ち上がって、横に張られて、立ち下げられて周辺部パッド13aに接続されている。
【0018】
周辺部パッド13a上の接続部27は、中央部パッド15上の接続部27と同様に、半導体チップ11上方からワイヤ25が押圧変形された結果生じる、半導体チップ11の面方向に伸びたほぼ楕円形の広がり(図1参照)を有している。ワイヤ25は、接続部27で立ち上がって、横に張られて、立ち下げられて内部リード22に接続されている。
【0019】
内部リード22上の接続部27は、中央部パッド15及び周辺部パッド13a上の接続部27と同様に、内部リード22上方からワイヤ25が押圧された結果生じる、リード端子21の面方向に伸びたほぼ楕円形の広がり(図1参照)を有している。接続部27のワイヤ25は、押圧変形された広がりの端部で切断されている。ワイヤ25は、例えば、ウェッジボンディング法を利用して、荷重、熱、超音波を加えて、接続部27で接続される。ワイヤ25は、Al等であってもよく、Auに比較して、径のより大きなワイヤを張ることが可能となる。
【0020】
図2(b)に示すように、中央部パッド15に接続されない周辺部パッド13と内部リード22とは、例えば、Auからなるワイヤ25で接続されている。周辺部パッド13上の接続部28は、ネイルヘッド状を有している。つまり、半導体チップ11上方から先端ボールを有するワイヤ25の先端ボールが押圧変形されて、半導体チップ11の面方向に伸びた円形の広がり(図1参照)を有している。ワイヤ25は、接続部28から立ち上がって、横に張られて、立ち下げられて内部リード22に接続されている。
【0021】
内部リード22上の接続部29は、内部リード22上方からワイヤ25が押圧変形された結果生じる、リード端子21の面方向に伸びたほぼ楕円形の一部をなす広がり(図1参照)を有している。接続部29のワイヤ25は、押圧された楕円形の途中で切断されている。ワイヤ25は、例えば、ボールボンディング法を利用して、荷重、熱、超音波を加えて、接続することが可能である。
【0022】
なお、中央部パッド15、周辺部パッド13a、及び内部リード22は、ウェッジボンディング法を利用して接続する他に、ボールボンディング装置を利用して接続することが可能である。つまり、ワイヤ25は、内部リード22に、ネイルヘッド状の接続部28が形成され、横に張られて、周辺部パッド13aで、接続部29が形成された後、ワイヤ25を切断することなく、横に張られて、中央部パッド15で、接続部29を形成した後、切断される構造となる。このとき、中央部パッド15及び周辺部パッド13aには、ネイルヘッド状の接続部28が形成されないので、周辺部パッド13のように正方形に形成する必要はなく、ウェッジボンディング法と同様な長方形のパッド形状とすることが可能となる。
【0023】
上述したように、半導体装置1は、電源及び接地用に、半導体チップ11の表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた長方形の周辺部パッド13a、半導体チップ11の表面中央部にあり、接続される方向に伸びた長方形の中央部パッド15、半導体チップ11の外側にあり、周辺部パッド13aと中央部パッド15とを結ぶ線分を含み、半導体チップ11表面に垂直な面上にある内部リード22、及び、中央部パッド15を周辺部パッド13aに接続し、周辺部パッド13aを内部リード22に接続する1本の連続するワイヤ25を備えている。
【0024】
その結果、中央部パッド15と周辺部パッド13aとの接続、周辺部パッド13aと内部リード22との接続を別々に行う必要がなく、周辺部パッド13a及び周辺部パッド13aに関わるパッドの面積を小さくすることが可能となる。また、中央部パッド15及び周辺部パッド13aは、長方形となり、正方形からの面積削減が可能となる。また、中央部パッド15、周辺部パッド13a、及び内部リード22の接続は、連続して行えるので、ボンディング時間の短縮が可能となる。更に、ワイヤ25は、半導体チップ11表面に垂直な方向から見るとほぼ直線状に張られるので、距離を短くでき、電源電圧の降下を抑制することが可能となる。また、ワイヤ25で、半導体チップ11の周辺部パッド13aと中央部パッド15の電源及び接地とを接続するので、半導体チップ11の表面に抵抗のより少ない配線層を新たに追加形成する必要はなく、半導体装置製造プロセスの短縮が可能となる。
【実施例2】
【0025】
本発明の実施例2に係る半導体装置について、図3を参照しながら説明する。図3は半導体装置の一部を切り欠いて構造を模式的に示す平面図である。実施例1の半導体装置1とは、半導体チップ中央部の電源及び接地が、半導体チップを挟んだ両外側から1本の連続するワイヤで接続されている点が異なる。なお、実施例1と同一構成部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0026】
図3に示すように、半導体装置2は、半導体チップ41の表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する中央部パッド15が、ワイヤ25によって、ほぼ直線上にある両側の周辺部パッド13aを経由して、それぞれの外側にある内部リード22に接続されている。中央部パッド15が2個乃至それ以上連続して接続されることも可能である。その他は、実施例1の半導体装置1と同様である。
【0027】
半導体チップ41の表面には、一方の周辺部の周辺部パッド13aと対向する周辺部の周辺部パッド13aとを結ぶ直線上で、電源及び接地が必要とされる位置に、中央部パッド15が形成されている。そして、この直線の延長上にある周辺部パッド13aのそれぞれの外側に内部リード22が配置される。ワイヤ25は、例えば、図の左側の内部リード22、左側の周辺部パッド13a、左側の中央部パッド15、右側の中央部パッド15、右側の周辺部パッド13a、右側の内部リード22の順に、1本で接続されている。ウェッジボンディング法を利用して接続されるので、接続部は、実施例1と同様な押圧変形された形状を有している。
【0028】
上述したように、半導体装置2は、電源及び接地用に、1本のワイヤ25で、内部リード22が周辺部パッド13aに接続され、周辺部パッド13aが中央部パッド15に接続され、中央部パッド15が周辺部パッド13aに接続され、周辺部パッド13aが反対側の内部リード22に接続されている。
【0029】
その結果、半導体装置2は、実施例1の半導体装置1が有する効果を同様に有している。その他に、半導体装置2は、両端の内部リード22から電源供給がなされるので、電源電圧の降下をより一層抑制することが可能となる。
【0030】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々、変形して実施することができる。
【0031】
例えば、実施例では、半導体チップはシリコン基板を使用する例を示したが、GaAs、InP、GaN等の化合物基板を使用した半導体装置、及び、表面にSi、SiGe、化合物半導体等を形成した半導体装置等に適用することは可能である。
【0032】
また、実施例では、リードフレームを使用するパッケージ構造に基づき、リード端子が曲げられて成形されている例を示したが、リード端子はフラット形状、その他の形状でもよいし、更に、リードフレームを使用しない、例えば、BGA(Ball Grid Array)等のパッケージに適用することは可能である。BGA等の場合、半導体チップの周辺部パッドは、インターポーザ等に形成された電極パッドと接続される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の一部を切り欠いて構造を模式的に示す平面図。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置のワイヤボンディングを模式的に示す図であって、図2(a)は図1のA−A線に沿った断面図、図2(a)は図1のB−B線に沿った断面図。
【図3】本発明の実施例2に係る半導体装置の一部を切り欠いて構造を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
【0034】
1、2 半導体装置
11、41 半導体チップ
13、13a 周辺部パッド
15 中央部パッド
18 ダイパッド
21 リード端子
22 内部リード
23 外部リード
25 ワイヤ
27、28、29 接続部
31 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
前記半導体チップの表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第1の電源パッドと、
前記半導体チップの表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第2の電源パッドと、
前記半導体チップの外側にあり、前記第1の電源パッドと前記第2の電源パッドとを結ぶ線分を含み、前記半導体チップの表面に垂直な面上にある外部接続端子と、
前記第2の電源パッドを、前記第1の電源パッドに接続し、前記第1の電源パッドを前記外部接続端子に接続する連続するワイヤと、
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ワイヤは、少なくとも前記第1の電源パッドの接続部で、切断されることはなく、押圧変形されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体チップと、
前記半導体チップの表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第1の電源パッドと、
前記半導体チップの表面中央部にあり、接続される方向に伸びた形状を有する第2の電源パッドと、
前記半導体チップの表面周縁部にあり、接続される方向に伸びた形状を有し、前記第1の電源パッドと前記第2の電源パッドとを結ぶ線分の延長上にある第3の電源パッドと、
前記半導体チップの外側にあり、前記線分を含み、前記半導体チップの表面に垂直な面上にある第1及び第3の電源パッドのそれぞれ外側にある第1及び第2の外部接続端子と、
第1の外部接続端子を前記第1の電源パッドに接続し、前記第1の電源パッドを前記第2の電源パッドに接続し、前記第2の電源パッドを前記第3の電源パッドに接続し、前記第3の電源パッドを前記第2の外部接続端子に接続する連続するワイヤと、
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記第2の電源パッドは複数個からなり、前記第1の電源パッドと前記第3の電源パッドとの間を、前記線分に沿って、順次、前記ワイヤにより接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記ワイヤは、少なくとも前記第1、第2、及び第3の電源パッドの接続部で、切断されることはなく、押圧変形されていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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