半導体装置
【課題】消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置101は、制御電極が第1入力ノードに結合されたトランジスタMP1の第2導通電極に結合された第1導通電極と、第1出力ノードに結合された第2導通電極とを有するトランジスタMP3と、制御電極が第2入力ノードに結合されたトランジスタMP2の第2導通電極に結合された第1導通電極と、第2出力ノードに結合された第2導通電極とを有するトランジスタMP4と、第1出力ノード、トランジスタMP3の第2導通電極およびトランジスタMP4の制御電極に結合された第1端子を有する第1のキャパシタCL1と、第2出力ノード、トランジスタMP4の第2導通電極およびトランジスタMP3の制御電極に結合された第1端子を有する第2のキャパシタCL2とを備える。
【解決手段】半導体装置101は、制御電極が第1入力ノードに結合されたトランジスタMP1の第2導通電極に結合された第1導通電極と、第1出力ノードに結合された第2導通電極とを有するトランジスタMP3と、制御電極が第2入力ノードに結合されたトランジスタMP2の第2導通電極に結合された第1導通電極と、第2出力ノードに結合された第2導通電極とを有するトランジスタMP4と、第1出力ノード、トランジスタMP3の第2導通電極およびトランジスタMP4の制御電極に結合された第1端子を有する第1のキャパシタCL1と、第2出力ノード、トランジスタMP4の第2導通電極およびトランジスタMP3の制御電極に結合された第1端子を有する第2のキャパシタCL2とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、差動増幅動作を実行する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスのデジタル集積回路においてアナログ回路も集積するアナログ/デジタル混載集積回路が一般的に用いられている。そして、アナログ回路およびデジタル回路間を接続するインターフェイス部としてのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)回路の重要性が増している。
【0003】
ADC回路には、逐次比較型、パイプライン型、フラッシュ型、ΣΔ型および2重積分型等様々な方式があるが、いずれの方式であっても電圧比較を行なうコンパレータ回路が必要である。
【0004】
また、モバイル対応、電池の動作および発熱低減等、様々な理由によりCMOSアナログ/デジタル混載集積回路の低消費電流動作が求められており、CMOSアナログ/デジタル混載集積回路で構成されるコンパレータ回路およびADC回路等の低消費電流動作の必要性も増している。
【0005】
たとえば、特許文献1には、低消費電流動作を実現するコンパレータ回路が開示されている。すなわち、動作状態として、リセット動作期間ならびに比較動作期間を有するコンパレータ回路であって、所定の差動入力電圧と差動入力基準電圧とを受けて、これらの入力電圧の電圧レベルを比較照合する全差動チョッパ型比較手段と、全差動チョッパ型比較手段より出力される差動出力を容量結合経由で受けるとともに、比較動作期間においてはオフセット補償されたストローブラッチ手段として動作して所定の差動デジタル電圧を生成して出力する全差動型増幅手段とを備える。
【0006】
また、特許文献2にも、低消費電流動作を実現するコンパレータ回路が開示されている。すなわち、入力信号と基準信号とを比較するチョッパ型コンパレータであって、電源電位と基準電位との間に直列接続されている第1のPチャネルトランジスタおよび第1のNチャネルトランジスタと、第1のPチャネルトランジスタのゲートと入力ノードとの間に接続されている第1のキャパシタと、第1のNチャネルトランジスタのゲートと入力ノードとの間に接続されている第2のキャパシタと、基準信号を受ける第1の入力端子と入力ノードとの間に接続されている第1のスイッチと、入力信号を受ける第2の入力端子と入力ノードとの間に接続されている第2のスイッチと、第1のPチャネルトランジスタのゲートに供給する第1のゲートバイアス電圧および第1のNチャネルトランジスタのゲートに供給する第2のゲートバイアス電圧を生成するゲートバイアス電圧生成回路とを備える。そして、チョッパ型コンパレータは、第1のスイッチをオンさせることにより、第1および第2のゲートバイアス電圧をそれぞれ第1のPチャネルトランジスタのゲートおよび第1のNチャネルトランジスタのゲートに供給する制御回路を備える。そして、制御回路は、第1および第2のキャパシタをプリチャージした後、第1および第2のゲートバイアス電圧の供給を停止させ、第1のスイッチをオフさせ、第2のスイッチをオンさせることにより、第1および第2のキャパシタの容量結合によって、入力信号と基準信号との差分に応じた信号を第1のPチャネルトランジスタおよび第1のNチャネルトランジスタのゲートに供給する。
【0007】
また、特許文献3には、以下のようなコンパレータ回路が開示されている。すなわち、第3のトランジスタ及び第4のトランジスタのうちの一方のトランジスタの他方電極に一方電極が接続された第5のトランジスタと、第5のトランジスタの制御電極と他方電極との間に接続された容量と、第3のトランジスタ及び第4のトランジスタのうちの他方のトランジスタの他方電極に一方電極が接続された第6のトランジスタと、第6のトランジスタの制御電極と他方電極との間に接続された定電圧源と、制御信号を入力する制御信号入力手段と、制御信号に応じて能動化され、出力電圧に応じて容量を選択的に充放電する充放電手段と、制御信号に応じて第1,第2のトランジスタの制御電極に所定電圧を選択的に与える所定電圧供給手段とを備える。所定電圧供給手段は制御信号に応じて第1,第2のトランジスタの制御電極に選択的に所定電圧を与える。充放電手段は、制御信号に応じて能動化され、出力電圧に応じて容量を選択的に充放電する。第5のトランジスタの導通抵抗は、容量の充電電圧に応じて変化する。第6のトランジスタの導通抵抗は、制御電極に一定電圧が与えられているため一定となる。出力電圧のレベルが反転した時点で容量の充放電が中止される。容量の充放電が中止された時点で第1,第2のトランジスタに流れる電流が等しくなる。その結果、オフセット電圧が0になるという効果がある。
【特許文献1】特開平10−107600号公報
【特許文献2】特開2001−94425号公報
【特許文献3】特開平5−55880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、コンパレータ回路およびADC回路等では、低消費電力化に加えて差動増幅動作の高速化も要求されている。差動増幅動作を高速化するためには、たとえば差動増幅回路の差動入力段におけるMOSトランジスタの増幅率を大きくすることが考えられるが、レイアウト面積が増加してしまう。
【0009】
ここで、特許文献2および3記載のコンパレータ回路では、動作の高速化が考慮されていない。
【0010】
また、特許文献1記載のコンパレータ回路では、ストローブラッチ回路を等価的に2個のラッチ回路によって構成することにより、動作の高速化を図っているが、多数のトランジスタが必要となるため、小型化を図ることが困難である。
【0011】
それゆえに、本発明の目的は、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる半導体装置は、定電流源と、定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第1の入力電圧が供給される第1の入力ノードに結合された制御電極とを有する第1のトランジスタと、定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第2の入力電圧が供給される第2の入力ノードに結合された制御電極とを有する第2のトランジスタと、第1のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第1の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第3のトランジスタと、第2のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第2の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第4のトランジスタと、第1の出力ノード、第3のトランジスタの第2導通電極および第4のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第1のキャパシタと、第2の出力ノード、第4のトランジスタの第2導通電極および第3のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第2のキャパシタとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
【0016】
図1を参照して、差動増幅回路101は、定電流源IBSと、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2,MP3,MP4,MP5,MP6,MP7,MP8と、NチャネルMOSトランジスタMN1,MN2と、キャパシタCL1,CL2とを備える。
【0017】
なお、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6,MP7,MP8、およびNチャネルMOSトランジスタMN1,MN2の各々は、他のスイッチ素子であってもよい。たとえば、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。また、電圧レベルおよびオン抵抗の電圧依存性に問題がなければ、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路のように、1個のNチャネルMOSトランジスタまたは1個のPチャネルMOSトランジスタを用いて実現することができる。
【0018】
定電流源IBSの第1端子が電源電圧VDDの供給される電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP1のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがPチャネルMOSトランジスタMP3のソースに接続され、ゲートが入力ノードN1に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP5およびMP6の各々のソースが電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP2のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがPチャネルMOSトランジスタMP4のソースに接続され、ゲートが入力ノードN2に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP3のゲートがPチャネルMOSトランジスタMP5のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP7のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN3に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP4のゲートがPチャネルMOSトランジスタMP6のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP8のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN4に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP5およびMP6の各々のゲートに制御電圧VP1が供給される。PチャネルMOSトランジスタMP7およびMP8の各々のゲートに制御電圧VP1Bが供給される。PチャネルMOSトランジスタMP7のドレインが出力ノードN4に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP8のドレインが出力ノードN3に接続される。キャパシタCL1は、第1端子が出力ノードN3に接続され、第2端子が接地電圧VSSの供給される接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN1は、キャパシタCL1と並列に接続される。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN1のドレインがキャパシタCL1の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL1の第2端子に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN1のゲートに制御電圧VP0が供給される。キャパシタCL2の第1端子が出力ノードN4に接続され、第2端子が接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN2は、キャパシタCL2と並列に接続される。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN2のドレインがキャパシタCL2の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL2の第2端子に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN2のゲートに制御電圧VP0が供給される。
【0019】
入力ノードN1およびN2にそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路101は、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3およびN4へ出力する。
【0020】
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の動作について説明する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【0022】
図2を参照して、差動増幅回路101の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオンする。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、キャパシタCL1およびCL2に蓄えられている電荷が放電される。
【0023】
状態ST1においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1〜MP4を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路101において電流が消費されない。
【0024】
次に、差動増幅回路101の起動時から2μ秒経過した時刻において、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオフし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオンし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオフする。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオンする。
【0025】
また、状態ST2においては、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP1がオンすることにより、入力電圧VIPに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP3を介してキャパシタCL1へ流れる。また、PチャネルMOSトランジスタMP2がオンすることにより、入力電圧VINに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP2およびMP4を介してキャパシタCL2へ流れる。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP1は、入力電圧VIPに基づいて出力抵抗値を変更し、PチャネルMOSトランジスタMP2は、入力電圧VINに基づいて出力抵抗値を変更する。そして、定電流源IBSからの定電流Ibがこれらの出力抵抗値の比に基づいてPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へそれぞれ分配される。以上により、キャパシタCL1およびCL2が充電される。
【0026】
この結果、出力ノードN3には、キャパシタCL1に充電される電荷量とキャパシタCL1の容量値とに基づく出力電圧VOPが生じる。また、出力ノードN4には、キャパシタCL2に充電される電荷量とキャパシタCL2の容量値とに基づく出力電圧VONが生じる。
【0027】
このとき、出力電圧VOPが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP8を介してPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに供給される。また、出力電圧VONが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP7を介してPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに供給される。これにより、差動増幅回路101において以下のような正帰還動作が行なわれる。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における出力電圧の波形図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の消費電流を示すグラフ図である。
【0029】
図3および図4は、入力電圧VIPを2.49ボルトに設定し、入力電圧VINを2.5ボルトに設定した場合を示している。また、TAMPは差動増幅回路101の増幅時間を示している。
【0030】
図3を参照して、入力電圧VIPが入力電圧VINより大きい場合には、出力電圧VOPが出力電圧VONより大きくなり、キャパシタCL1およびCL2が充電されるにつれて出力電圧VOPと出力電圧VONとの差が大きくなっていく。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP3のゲート電圧とPチャネルMOSトランジスタMP4のゲート電圧との差が大きくなる。
【0031】
そして、差動増幅回路101の起動時から約2.1μ秒経過した時刻において、出力電圧VOPと出力電圧VONとの電圧差が所定値より大きくなると、正帰還動作が始まる、すなわちPチャネルMOSトランジスタMP4のソースおよびドレイン間を電流が流れにくくなる。
【0032】
このような正帰還動作により、出力電圧VOPおよびVONの電圧差が急速に大きくなり、出力電圧VOPが電源電圧VDDに近づく。すなわち、差動増幅回路101の差動増幅結果が短時間で得られるため、差動増幅動作の高速化を図ることができる。
【0033】
図4を参照して、正帰還動作が始まるとキャパシタCL1のみが充電されるため、差動増幅回路101の消費電流が、差動増幅回路101の起動時から約2.1秒経過した時刻から急速に減少している。すなわち、差動増幅回路101の消費電流が低減されている。
【0034】
再び図2を参照して、次に、差動増幅回路101の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフする。また、NチャネルMOSトランジスタMN1,MN2はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、差動増幅回路101の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0035】
状態ST3においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1〜MP4を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路101において電流が消費されない。
【0036】
このような構成により、状態ST2においてのみ電流が消費されるため、低消費電流にて差動増幅動作を行なう差動増幅回路を実現することができる。
【0037】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路では、消費電流を低減するとともに差動増幅動作の高速化を図ることができる。また、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路は、少数のトランジスタを備える簡易な構成であるため、小型化を図ることができる。また、差動増幅動作の高速化により、利得を増大させることができる。
【0038】
ここで、差動増幅回路101において、正帰還動作が行なわれないと仮定した場合、すなわち、出力電圧VOPがPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに伝達されず、かつ出力電圧VONがPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに伝達されないと仮定した場合について考える。
【0039】
この場合、出力電圧VOPおよびVONによるPチャネルMOSトランジスタMP3またはMP4の出力電流の制限がなくなることから、差動増幅回路101において、定電流源IBSからの定電流IbをPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へそれぞれ分配する能力が弱くなる。このため、キャパシタCL1へ流れる電流とキャパシタCL2へ流れる電流との差を大きくできなくなることから、キャパシタCL1のみが充電される状態をつくることができない。
【0040】
また、キャパシタCL1およびCL2のいずれか一方が満充電されると、入力電圧VIPと入力電圧VINとの差に基づかずに定電流Ibが他方のキャパシタへ流れることにより、入力電圧VIPおよびVINに基づかずに他方のキャパシタが充電されてしまう場合がある。これを防ぐために、一方のキャパシタが満充電されるまでに所望の出力電圧VOPおよびVONが得られるように、状態ST2の継続時間、キャパシタCL1およびCL2の容量値および定電流Ibの値を設定する必要がある。
【0041】
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路では、出力電圧VOPがPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに伝達され、かつ出力電圧VONがPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに伝達される。このような構成により、前述のような正帰還動作を行なうことができるため、キャパシタCL1のみが充電される状態をつくることができる。また、一方のキャパシタが満充電されるまでの時間に関係なく状態ST2の継続時間、キャパシタCL1およびCL2の容量値および定電流Ibの値を自由に設定することができる。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0043】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る差動増幅回路と比べて異なる範囲の入力電圧に対応する差動増幅回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0044】
[構成および基本動作]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【0045】
図5を参照して、差動増幅回路102は、定電流源IBSと、NチャネルMOSトランジスタMN21,MN22,MN23,MN24,MN25,MN26,MN27,MN28と、PチャネルMOSトランジスタMP21,MP22と、キャパシタCL21,CL22とを備える。
【0046】
なお、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26,MN27,MN28、およびPチャネルMOSトランジスタMP21,MP22の各々は、他のスイッチ素子であってもよい。たとえば、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。また、電圧レベルおよびオン抵抗の電圧依存性に問題がなければ、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路のように、1個のNチャネルMOSトランジスタまたは1個のPチャネルMOSトランジスタを用いて実現することができる。
【0047】
定電流源IBSの第1端子が接地電圧VSSの供給される接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN21のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがNチャネルMOSトランジスタMN23のソースに接続され、ゲートが入力ノードN1に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN25およびMN26の各々のソースが接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN22のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがNチャネルMOSトランジスタMN24のソースに接続され、ゲートが入力ノードN2に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN23のゲートがNチャネルMOSトランジスタMN25のドレインと、NチャネルMOSトランジスタMN27のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN3に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN24のゲートがNチャネルMOSトランジスタMN26のドレインと、NチャネルMOSトランジスタMN28のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN4に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN25およびMN26の各々のゲートに制御電圧VP1が供給される。NチャネルMOSトランジスタMN27およびMN28の各々のゲートに制御電圧VP1Bが供給される。NチャネルMOSトランジスタMN27のドレインが出力ノードN4に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN28のドレインが出力ノードN3に接続される。キャパシタCL21は、第1端子が出力ノードN3に接続され、第2端子が電源電圧VDDの供給される電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP21は、キャパシタCL21と並列に接続される。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP21のドレインがキャパシタCL21の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL21の第2端子に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP21のゲートに制御電圧VP0が供給される。キャパシタCL22の第1端子が出力ノードN4に接続され、第2端子が電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP22は、キャパシタCL22と並列に接続される。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP22のドレインがキャパシタCL22の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL22の第2端子に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP22のゲートに制御電圧VP0が供給される。
【0048】
入力ノードN1およびN2にそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路102は、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3およびN4へ出力する。
【0049】
[動作]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の動作について説明する。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【0051】
図6を参照して、差動増幅回路102の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL21およびCL22の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26がオンし、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフし、かつPチャネルMOSトランジスタMP21およびMP22がオンする。そして、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフする。以上により、キャパシタCL21およびCL22に蓄えられている電荷が放電される。
【0052】
状態ST1においては、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフ状態であるため、電源ノードVDDからキャパシタCL21およびCL22ならびにNチャネルMOSトランジスタMN21〜MN24を介して電流が流れない。また、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフ状態であるため、電源ノードVDDからNチャネルMOSトランジスタMN25〜MN28を介して接地ノードVSSへ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路102において電流が消費されない。
【0053】
次に、差動増幅回路102の起動時から2μ秒経過した時刻において、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL21およびCL22の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26がオフし、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオンし、かつPチャネルMOSトランジスタMP21およびMP22がオフする。そして、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオンする。
【0054】
また、状態ST2においては、NチャネルMOSトランジスタMN21,MN22のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN21がオンすることにより、入力電圧VIPに基づく電流が電源ノードVDDからキャパシタCL21ならびにNチャネルMOSトランジスタMN21およびMN23を介して定電流源IBSへ流れる。また、NチャネルMOSトランジスタMN22がオンすることにより、入力電圧VINに基づく電流が電源ノードVDDからキャパシタCL22ならびにNチャネルMOSトランジスタMN22およびMN24を介して定電流源IBSへ流れる。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN21は、入力電圧VIPに基づいて出力抵抗値を変更し、NチャネルMOSトランジスタMN22は、入力電圧VINに基づいて出力抵抗値を変更する。そして、これらの出力抵抗値の比に基づいてNチャネルMOSトランジスタMN21およびMN22から定電流源IBSへ定電流Ibが流れる。以上により、キャパシタCL21およびCL22が充電される。
【0055】
この結果、出力ノードN3には、キャパシタCL21に充電される電荷量とキャパシタCL21の容量値とに基づく出力電圧VOPが生じる。また、出力ノードN4には、キャパシタCL22に充電される電荷量とキャパシタCL22の容量値とに基づく出力電圧VONが生じる。
【0056】
このとき、出力電圧VOPが、オン状態のNチャネルMOSトランジスタMN28を介してNチャネルMOSトランジスタMN24のゲートに供給される。また、出力電圧VONが、オン状態のNチャネルMOSトランジスタMN27を介してNチャネルMOSトランジスタMN23のゲートに供給される。これにより、差動増幅回路102において以下のような正帰還動作が行なわれる。
【0057】
たとえば、入力電圧VIPが入力電圧VINより大きい場合には、出力電圧VOPが出力電圧VONより小さくなり、キャパシタCL1およびCL2が充電されるにつれて出力電圧VOPと出力電圧VONとの差が大きくなっていく。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN23のゲート電圧とNチャネルMOSトランジスタMN24のゲート電圧との差が大きくなる。
【0058】
そして、出力電圧VOPと出力電圧VONとの電圧差が所定値より大きくなると、正帰還動作が始まる、すなわちMチャネルMOSトランジスタMN24のソースおよびドレイン間を電流が流れにくくなる。
【0059】
このような正帰還動作により、出力電圧VOPおよびVONの電圧差が急速に大きくなり、出力電圧VOPが接地電圧VSSに近づく。すなわち、差動増幅回路102の差動増幅結果が短時間で得られるため、差動増幅動作の高速化を図ることができる。
【0060】
正帰還動作が始まるとキャパシタCL1のみが充電されるため、差動増幅回路102の消費電流が急速に減少する。すなわち、差動増幅回路102の消費電流を低減することができる。
【0061】
次に、差動増幅回路102の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26がオンし、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフする。また、PチャネルMOSトランジスタMP21,MP22はオフ状態のままである。そして、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフする。以上により、差動増幅回路102の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0062】
状態ST3においては、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフ状態であるため、電源ノードVDDからキャパシタCL21およびCL22ならびにNチャネルMOSトランジスタMN21〜MN24を介してへ電流が流れない。また、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフ状態であるため、電源ノードVDDからNチャネルMOSトランジスタMN25〜MN28を介して接地ノードVSSへ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路102において電流が消費されない。
【0063】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。
【0064】
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路101の入力電圧範囲は、0V側である。すなわち、0Vから電圧Vinr1である。電圧Vinr1は、定電流源IBSのオーバードライブ電圧ΔOV_IBと、PチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2が飽和領域で動作するために必要な電圧(閾値電圧VT_MP+オーバードライブ電圧ΔOV_MP)とを加えた電圧を電源電圧VDDから引いた電圧である。すなわち、Vinr1=VDD−ΔOV_IB−VT_MP−ΔOV_MPである。
【0065】
一方、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路102の入力電圧範囲は、電源電圧VDD側である。すなわち、電圧Vinr2から電源電圧VDDである。電圧Vinr2は、定電流源IBSのオーバードライブ電圧ΔOV_IBと、NチャネルMOSトランジスタMN21およびMN22が飽和領域で動作するために必要な電圧(閾値電圧VT_MN+オーバードライブ電圧ΔOV_MN)とを加えた電圧である。すなわち、Vinr2=ΔOV_IB+VT_MN+ΔOV_MNである。
【0066】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路では、第1の実施の形態に係る差動増幅回路と比べて異なる範囲の入力電圧に対応することができる。
【0067】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0068】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、オフセット電圧をキャンセルする機能を追加した差動増幅回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0069】
[構成および基本動作]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【0070】
図7を参照して、以下、差動増幅回路103の入力トランジスタすなわちPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2の製造ばらつきに起因するオフセット電圧をVOSとし、オフセット電圧VOSが差動増幅回路103の非反転入力端子に供給されているものとする。また、差動増幅回路103の利得をAとする。
【0071】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
図8を参照して、差動増幅回路103は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と比べて、さらに、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10を備える。
【0072】
なお、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10の各々は、他のスイッチ素子であってもよい。たとえば、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。また、電圧レベルおよびオン抵抗の電圧依存性に問題がなければ、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路のように、1個のPチャネルMOSトランジスタを用いて実現することができる。
【0073】
PチャネルMOSトランジスタMP9のソースがPチャネルMOSトランジスタMP1のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP3のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN4に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP10のソースがPチャネルMOSトランジスタMP2のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP4のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN3に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP9およびMP10の各々のゲートに制御電圧VP2が供給される。
【0074】
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の動作について説明する。
【0075】
図9(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の出力電圧の波形図である。
【0076】
図9(a)および(b)を参照して、差動増幅回路103の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7〜MP10がオフし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオンする。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、キャパシタCL1およびCL2に蓄えられている電荷が放電される。
【0077】
状態ST1においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4,MP9,MP10がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路103において電流が消費されない。
【0078】
次に、差動増幅回路103の起動時から2μ秒経過した時刻において、基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ローレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10がオンし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオフする。また、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6はオン状態のままであり、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4はオフ状態のままである。
【0079】
また、状態ST2においては、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2のゲートにそれぞれ基準電圧VREFが供給される。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP1がオン状態となることにより、基準電圧VREFに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP9を介してキャパシタCL2へ流れる。また、PチャネルMOSトランジスタMP2がオン状態となることにより、基準電圧VREFに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP2およびMP10を介してキャパシタCL1へ流れる。これにより、キャパシタCL1およびCL2が充電され、出力電圧VOPおよび出力電圧VONは、以下の式を満たす。
【0080】
VOP−VON=−A×VOS・・・(1)
ここで、基準電圧VREFは、差動増幅回路103の前段のアナログ回路における接地電圧であることが好ましい。たとえば、差動増幅回路103を含む回路が単電源すなわち電源電圧VDDのみで動作する場合、基準電圧VREFは、電源電圧VDDの1/2の電圧である。たとえば、電源電圧VDDが5Vである場合には、基準電圧VREFは2.5Vである。
【0081】
次に、差動増幅回路103の起動時から3μ秒経過した時刻において、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオフし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオンし、かつPチャネルMOSトランジスタMP9,MP10がオフする。また、NチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオンする。
【0082】
また、状態ST3においては、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP1がオンすることにより、入力電圧VIPに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP3を介してキャパシタCL1へ流れる。また、PチャネルMOSトランジスタMP2がオンすることにより、入力電圧VINに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP2およびMP4を介してキャパシタCL2へ流れる。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP1は、入力電圧VIPに基づいて出力抵抗値を変更し、PチャネルMOSトランジスタMP2は、入力電圧VINに基づいて出力抵抗値を変更する。そして、定電流源IBSからの定電流Ibがこれらの出力抵抗値の比に基づいてPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へそれぞれ分配される。以上により、キャパシタCL1およびCL2が充電される。
【0083】
この結果、出力ノードN3には、キャパシタCL1に充電される電荷量とキャパシタCL1の容量値とに基づく出力電圧VOPが生じる。また、出力ノードN4には、キャパシタCL2に充電される電荷量とキャパシタCL2の容量値とに基づく出力電圧VONが生じる。
【0084】
このとき、出力電圧VOPが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP8を介してPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに供給される。また、出力電圧VONが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP7を介してPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに供給される。これにより、差動増幅回路103においても本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様の正帰還動作が行なわれる。
【0085】
ここで、出力電圧VOPおよびVONの各々は、入力電圧VIP,VINの電圧値およびオフセット電圧VOSの電圧値に対応した値となる。そして、出力電圧VOPおよび出力電圧VONは、状態ST2においてキャパシタCL1およびCL2に充電された電荷を考慮しない場合、以下の式を満たす。
【0086】
VOP−VON=A×(VIP−VIN+VOS)・・・(2)
ここで、状態ST2においてキャパシタCL1およびCL2に充電された電荷は、状態ST3においてキャパシタCL1およびCL2に充電された電荷と極性が逆である。したがって、出力電圧VOPおよび出力電圧VONは、実際には以下の式を満たす。
【0087】
VOP−VON=A×(VIP−VIN+VOS)−A×VOS=A×(VIP−VIN)・・・(3)
次に、差動増幅回路101の起動時から4μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST4)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフする。また、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10およびNチャネルMOSトランジスタMN1,MN2はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、差動増幅回路101の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONは、式(3)の関係を維持する。
【0088】
状態ST4においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4,MP9,MP10がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路103において電流が消費されない。
【0089】
このように、状態ST2およびST3においてのみ電流が消費されるため、低消費電流にて差動増幅動作を行なう差動増幅回路を実現することができる。
【0090】
ところで、センサ等のCMOSアナログ/デジタル混載集積回路に内蔵されるADC回路の近年の高精度化により、ADC回路に搭載されるコンパレータ回路の電圧比較精度の向上が要求されている。ここで、コンパレータ回路の電圧比較精度を低下させる要因の一つとして、コンパレータ回路にオフセット電圧が生じることがあげられる。すなわち、コンパレータ回路内の差動増幅回路に含まれるMOSトランジスタ等の製造ばらつきによってオフセット電圧が生じる。特に、差動増幅回路の入力段におけるMOSトランジスタで生じるオフセット電圧が問題となる。
【0091】
しかしながら、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、式(3)の関係を満たす出力電圧VOPおよびVONを得ることができるため、出力電圧VOPおよびVONからオフセット電圧VOSをキャンセルすることができる。
【0092】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、オフセット電圧を低減することにより、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0093】
なお、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、状態ST2における基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作において、キャパシタCL1およびCL2が飽和しないような利得を設定することが好ましい。
【0094】
また、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路と同様に、差動増幅回路103におけるNチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとを入れ替えることにより、入力電圧範囲を電源電圧VDD側に設定することができる。
【0095】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0096】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る差動増幅回路にラッチ回路を加えたコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0097】
[構成および基本動作]
図10は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0098】
図10を参照して、コンパレータ回路201は、差動増幅回路101と、ラッチ回路51とを備える。なお、差動増幅回路101は、差動増幅回路102であってもよい。
【0099】
ラッチ回路51は、差動増幅回路101から受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0100】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるラッチ回路51の構成を示す回路図である。
【0101】
図11を参照して、ラッチ回路51は、ラッチ回路本体21と、バッファ回路22と、リセットセットフリップフロップ回路(RSフリップフロップ回路)23とを含む。ラッチ回路本体21は、PチャネルMOSトランジスタMP11,MP12,MP13,MP14と、NチャネルMOSトランジスタMN11,MN12,MN13,MN14,MN15,MN16,MN17,MN18とを含む。バッファ回路22は、インバータ回路G1,G2,G3,G4を含む。リセットセットフリップフロップ回路23は、NAND回路G5およびG6を含む。
【0102】
NチャネルMOSトランジスタMN11のゲートがラッチ回路51の非反転入力端子に該当する。NチャネルMOSトランジスタMN12のゲートがラッチ回路51の反転入力端子に該当する。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN11およびMN12のゲートには、それぞれ出力電圧VOPおよびVONが供給される。
【0103】
PチャネルMOSトランジスタMP11およびMP12ならびにNチャネルMOSトランジスタMN15およびMN16は、制御電圧VLATCHに基づいてラッチ動作を開始する。
【0104】
PチャネルMOSトランジスタMP13およびMP14ならびにNチャネルMOSトランジスタMN13およびMN14は、ラッチ回路本体21の出力電圧を急速に決定するための正帰還回路を構成する。
【0105】
NチャネルMOSトランジスタMN17およびMN18は、ラッチ回路51がラッチ動作を行なっていないときにラッチ回路本体21の出力電圧を一定に保つ。
【0106】
リセットセットフリップフロップ回路23は、バッファ回路22を介して受けたラッチ回路本体21の出力電圧を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして外部へ出力する。
【0107】
ラッチ回路51では、出力電圧VOPが出力電圧VONより大きい場合は出力電圧VOUTPが論理ハイレベルかつ出力電圧VOUTNが論理ローレベルとなり、出力電圧VOPが出力電圧VONより小さい場合は出力電圧VOUTPが論理ローレベルかつ出力電圧VOUTNが論理ハイレベルとなる。また、ラッチ回路51では、ラッチ動作を行なっていないときには電流が消費されない。
【0108】
[動作]
次に、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作について説明する。
【0109】
図12(a)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の消費電流の波形図である。
【0110】
図12(a)および(b)を参照して、コンパレータ回路201の起動時から3μ秒経過した時刻までは、制御電圧VLATCHは論理ローレベルに設定される(状態ST1およびST2)。
【0111】
次に、差動増幅回路101の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、差動増幅回路101の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0112】
そして、差動増幅回路101の起動時から3μ秒経過した時刻から所定時間経過後、制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルに設定される。ラッチ回路51に供給される制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルになると、ラッチ回路51は、差動増幅回路101から受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0113】
ラッチ回路51によるラッチ動作後は、任意の時間において入力電圧VIPおよびVINの比較結果をラッチ回路51の出力電圧から得ることができる。
【0114】
差動増幅回路101においては状態ST2においてのみ電流が消費され、かつラッチ回路51においては、状態ST3のうちのラッチ動作を行なっている期間のみ電流が消費されるため、低消費電流にて電圧比較動作を行なうコンパレータ回路を実現することができる。
【0115】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の差動増幅動作の高速化および差動増幅回路の利得の向上により、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0116】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0117】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路を複数段にしたコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0118】
[構成および基本動作]
図13は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0119】
図13を参照して、コンパレータ回路202は、差動増幅回路101Aおよび101Bと、ラッチ回路51とを備える。差動増幅回路101Aおよび101Bの構成は差動増幅回路101と同様である。
【0120】
入力ノードN1AおよびN2Aにそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路101Aは、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3およびN4へ出力する。
【0121】
差動増幅回路101Bは、出力ノードN3Aおよび出力ノードN4Aを介して差動増幅回路101Aからそれぞれ受けた電圧、すなわち入力ノードN1Bの電圧と入力ノードN2Bの電圧との差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3BおよびN4Bへ出力する。
【0122】
ラッチ回路51の非反転入力端子と出力ノードN3Bとが接続される。ラッチ回路51の反転入力端子と出力ノードN4Bとが接続される。ラッチ回路51は、差動増幅回路101Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0123】
[動作]
次に、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作について説明する。
【0124】
図14(a)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの消費電流の波形図である。
【0125】
図14(a)および(b)を参照して、コンパレータ回路202の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。このとき、差動増幅回路101Aおよび101Bの各々において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。この動作については本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0126】
次に、コンパレータ回路202の起動時から2μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST2)。このとき、差動増幅回路101AのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そして、差動増幅回路101Aにおいて、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0127】
さらに、差動増幅回路101AにおけるキャパシタCL1およびCL2の各々に充電された電圧は、差動増幅回路101Aの出力電圧VOPおよびVONとして差動増幅回路101BのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ供給される。そして、差動増幅回路101Bにおいて、差動増幅回路101Aの出力電圧VOPおよびVONによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0128】
これらの充電動作については本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0129】
ここで、コンパレータ回路202の起動時から3μ秒経過した時刻までは、制御電圧VLATCHは論理ローレベルに設定される(状態ST1およびST2)。
【0130】
次に、コンパレータ回路202の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。このとき、差動増幅回路101Aおよび101Bの各々において、出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0131】
そして、コンパレータ回路202の起動時から3μ秒経過した時刻から所定時間経過後、制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルに設定される。ラッチ回路51に供給される制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルになると、ラッチ回路51は、差動増幅回路101Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0132】
ラッチ回路51によるラッチ動作後は、任意の時間において入力電圧VIPおよびVINの比較結果をラッチ回路51の出力電圧から得ることができる。
【0133】
差動増幅回路101Aおよび101Bにおいては状態ST2においてのみ電流が消費され、かつラッチ回路51においては、状態ST3のうちのラッチ動作を行なっている期間のみ電流が消費されるため、低消費電流にて電圧比較動作を行なうコンパレータ回路を実現することができる。
【0134】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の差動増幅動作の高速化および差動増幅回路の利得の向上により、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0135】
また、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路では、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と比べて、差動増幅回路101Aおよび101Bを備える構成により、増幅能力が高くなるため、指数関数的に電圧比較結果を得る時間を早くすることができる。また、増幅能力が高くなることにより、入力電圧VIPおよびVINのより微小な差をラッチ回路51が判定できる電圧にまで増幅できるため、電圧比較精度をさらに向上することができる。
【0136】
なお、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路では、差動増幅回路の段数が2段であるとしたが、これに限定するものではない。段数をさらに増やすことで、より高速でかつ電圧比較精度の高いコンパレータ回路を実現することができる。
【0137】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0138】
<第6の実施の形態>
本実施の形態は、第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路を第3の実施の形態に係る差動増幅回路に変更したコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0139】
[構成および基本動作]
図15は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0140】
図15を参照して、コンパレータ回路203は、差動増幅回路103Aおよび103Bと、スイッチS1P,S1N,S2P,S2Nと、ラッチ回路51とを備える。差動増幅回路103Aおよび103Bの構成は差動増幅回路103と同様である。
【0141】
スイッチS1Pは、出力ノードN3Aと差動増幅回路103Bの非反転入力端子との間に接続される。スイッチS1Nは、出力ノードN4Aと差動増幅回路103Bの反転入力端子との間に接続される。スイッチS2Pは、基準電圧VREFが供給される基準電圧ノードN5Bと差動増幅回路103Bの非反転入力端子との間に接続される。スイッチS2Nは、基準電圧VREFが供給される基準電圧ノードN6Bと差動増幅回路103Bの反転入力端子との間に接続される。
【0142】
ラッチ回路51の非反転入力端子と出力ノードN3Bとが接続される。ラッチ回路51の反転入力端子と出力ノードN4Bとが接続される。
【0143】
入力ノードN1AおよびN2Aにそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路103Aは、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3AおよびN4Aへ出力する。
【0144】
差動増幅回路103Bは、出力ノードN3Aおよび出力ノードN4Aを介して差動増幅回路103Aからそれぞれ受けた電圧、すなわち入力ノードN1Bの電圧と入力ノードN2Bの電圧との差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3BおよびN4Bへ出力する。
【0145】
ラッチ回路51は、差動増幅回路103Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0146】
[動作]
次に、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作について説明する。
【0147】
図16(a)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの消費電流の波形図である。
【0148】
図16(a)および(b)を参照して、コンパレータ回路203の起動時から1μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1およびVS2が論理ローレベル、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、スイッチS1P,S1N,S2P,S2Nがオフする。また、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。この動作については本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0149】
次に、コンパレータ回路203の起動時から2μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1が論理ローレベル、制御電圧VS2が論理ハイレベル、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ローレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、スイッチS2P,S2Nがオンする。また、スイッチS1P,S1Nはオフ状態のままである。このとき、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々のPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ基準電圧VREFが供給される。そして、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々において、基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。この動作については本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0150】
次に、コンパレータ回路203の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1が論理ハイレベル、制御電圧VS2が論理ローレベル、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、スイッチS2P,S2Nがオフする。また、スイッチS1P,S1Nがオンする。このとき、差動増幅回路103AのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そして、差動増幅回路103Aにおいて、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0151】
さらに、差動増幅回路103AにおけるキャパシタCL1およびCL2の各々に充電された電圧は、差動増幅回路103Aの出力電圧VOPおよびVONとして差動増幅回路103BのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ供給される。そして、差動増幅回路103Bにおいて、差動増幅回路103Aの出力電圧VOPおよびVONによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0152】
これらの充電動作については本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0153】
ここで、コンパレータ回路203の起動時から3μ秒経過した時刻までは、制御電圧VLATCHは論理ローレベルに設定される(状態ST1〜ST3)。
【0154】
次に、コンパレータ回路203の起動時から4μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1および制御電圧VS2が論理ローレベル、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST4)。このとき、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々において、出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0155】
そして、コンパレータ回路203の起動時から4μ秒経過した時刻から所定時間経過後、制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルに設定される。ラッチ回路51に供給される制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルになると、ラッチ回路51は、差動増幅回路103Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0156】
ラッチ回路51によるラッチ動作後は、任意の時間において入力電圧VIPおよびVINの比較結果をラッチ回路51の出力電圧から得ることができる。
【0157】
差動増幅回路103Aおよび103Bにおいては状態ST2およびST3においてのみ電流が消費され、かつラッチ回路51においては、状態ST4のうちのラッチ動作を行なっている期間のみ電流が消費されるため、低消費電流にて電圧比較動作を行なうコンパレータ回路を実現することができる。
【0158】
その他の構成および動作は第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路におけるオフセット電圧のキャンセル、差動増幅回路の差動増幅動作の高速化および差動増幅回路の利得の向上により、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0159】
また、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路では、差動増幅回路103Aおよび103Bを備える構成により、増幅能力が高くなるため、指数関数的に電圧比較結果を得る時間を早くすることができる。また、増幅能力が高くなることにより、入力電圧VIPおよびVINのより微小な差をラッチ回路51が判定できる電圧にまで増幅できるため、電圧比較精度をさらに向上することができる。
【0160】
なお、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路では、差動増幅回路の段数が2段であるとしたが、これに限定するものではない。段数をさらに増やすことで、より高速でかつ電圧比較精度の高いコンパレータ回路を実現することができる。
【0161】
また、スイッチS1P,S1N,S2P,S2Nの各々は、1個のNチャネルMOSトランジスタであってもよいし、1個のPチャネルMOSトランジスタであってもよいし、また、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。この場合、各々のスイッチに供給される制御電圧のレベルは、上記状態ST1〜ST4を実現できるように適宜設定すればよい。
【0162】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0163】
<第7の実施の形態>
本実施の形態は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路を備えたADC回路に関する。以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0164】
[構成および基本動作]
図17は、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【0165】
図17を参照して、ADC回路501は、逐次比較ADC回路であり、コンパレータ回路201と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路31と、逐次比較レジスタ回路32とを備える。DAC回路31は、電荷再分配型であり、キャパシタC0〜Cn,CAと、スイッチS0〜Sn,SA,SCAとを含む。スイッチS0〜Sn,SA,SCAは、たとえば相補スイッチである。なお、コンパレータ回路201は、コンパレータ回路202であってもよい。
【0166】
VINはADC回路501のアナログ入力電圧であり、VREFはコンパレータ回路201およびDAC回路31の基準電圧であり、VDAC_OUTはDAC回路31の出力電圧である。ADC回路501は、たとえば1個の半導体集積回路として実現される。
【0167】
DAC回路31は、逐次比較レジスタ回路32から受けたn(nは1以上の自然数)ビットのデータに基づいて、キャパシタC0〜Cn,CAを用いて基準電圧VREFを分圧することにより、電圧VDAC_OUTを生成する。
【0168】
キャパシタC0はたとえば100fFの小さい容量値に設定され、キャパシタCAはキャパシタC0と同じ容量に設定される。キャパシタC0の容量値をC0とすると、キャパシタCnからキャパシタC0の各々の容量値Cnは、Cn=2n×C0に設定される。
【0169】
なお、容量値C0を小さく設定しすぎると、ADC回路501の変換結果に対するノイズが増大し、また、キャパシタ間の製造ばらつきによるADC回路501の変換結果の非線形性の増大を招くため、容量値C0を適切な値に設定する必要がある。
【0170】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
【0171】
図18は、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0172】
まず、逐次比較レジスタ回路32がリセットされ、逐次比較レジスタ回路32から出力されるデータのすべてのビットBn〜B0が0となる。ここで、ADC回路501が現在何ビット目の比較動作を行なっているかを示す変数をmとすると、m=nに設定される(ステップS1)。
【0173】
次に、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチS0〜Sn,SAを制御することにより、キャパシタC0〜Cn,CAの第1端とアナログ入力電圧VINが供給されるノードVINとをそれぞれ接続する。また、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチSCAをオンすることにより、キャパシタC0〜Cn,CAの第2端すなわちノードVDAC_OUTと基準電圧VREFが供給されるノードVREFとを接続する(ステップS2)。
【0174】
次に、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチS0〜Sn,SAを制御することにより、キャパシタC0〜Cn,CAの第1端と接地電圧VSSが供給される接地ノードVSSとをそれぞれ接続する。また、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチSCAをオフする(ステップS3)。
【0175】
ステップS2およびS3により、アナログ入力電圧VINの電圧値がDAC回路31に読み込まれる。
【0176】
次に、逐次比較レジスタ回路32は、ビットBmすなわちデータのmビット目を論理ハイレベル、ビットBmより下位のビットすなわちビットBm−1〜B0を論理ローレベルに設定する。そうすると、スイッチS0〜Snのうち、ビットBmに対応するスイッチSがオンし、他のスイッチがオフする(ステップS4)。このとき、DAC回路31から出力される電圧すなわちノードVDAC_OUTにおける電圧VDAC_OUTは以下の式で表わされる。
【0177】
【数1】
【0178】
次に、コンパレータ回路201は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの比較動作を行なう。
【0179】
より詳細には、コンパレータ回路201における差動増幅回路101は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをラッチ回路51へ出力する。すなわち、差動増幅回路101は、キャパシタCL1およびCL2の放電動作を行ない(ステップS5)、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作を行ない、出力電圧VOPおよびVONのレベル保持動作を行なう(ステップS6)。
【0180】
ラッチ回路51は、ラッチ動作を行なう、すなわち、差動増幅回路101から受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして逐次比較レジスタ回路32へ出力する(ステップS7)。
【0181】
逐次比較レジスタ回路32は、コンパレータ回路201から受けた出力電圧VOUTPおよびVOUTNを受けて、電圧VDAC_OUTが基準電圧VREFより小さい場合には(ステップS8でNO)、ビットBmを論理ハイレベルに決定する。一方、電圧VDAC_OUTが基準電圧VREF以上である場合には(ステップS8でYES)、ビットBmを論理ローレベルに決定する(ステップS9)。
【0182】
逐次比較レジスタ回路32は、最下位ビットB0まで比較動作が終了していない場合すなわち変数mが0より大きい場合には(ステップS10でYES)、変数mの値を1小さくしてビットBmの比較動作を行なう(ステップS4〜S7)。
【0183】
一方、逐次比較レジスタ回路32は、変数mが0である場合には、アナログ入力電圧VINのデジタル変換動作を終了する(ステップS10でNO)。
【0184】
以上により、出力電圧VDAC_OUTが基準電圧VREFをぎりぎり超えない状態で逐次比較動作が終了する。最下位ビットB0まで決定したときの逐次比較レジスタ回路32から出力されるビットBn〜B0の(n+1)bitのデータがアナログ入力電圧VINをデジタル値に変換した値となる。
【0185】
その他の構成および動作は第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の利得の向上により、アナログ/デジタル変換における有効分解能の向上を図ることができる。
【0186】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0187】
<第8の実施の形態>
本実施の形態は、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路における差動増幅回路を第3の実施の形態に係る差動増幅回路に変更したコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第6の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0188】
[構成および基本動作]
図19は、本発明の第8の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【0189】
図19を参照して、ADC回路502は、逐次比較ADC回路であり、コンパレータ回路203と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路31と、逐次比較レジスタ回路32とを備える。DAC回路31は、電荷再分配型であり、キャパシタC0〜Cn,CAと、スイッチS0〜Sn,SA,SCA,SC1,SC2とを含む。スイッチS0〜Sn,SA,SCA,SC1,SC2は、たとえば相補スイッチである。ここでは、説明を簡単にするために、コンパレータ回路203が、差動増幅回路103を1個だけ含む構成であると仮定する。
【0190】
スイッチSC1は、ノードVDAC_OUTに接続される第1端と、差動増幅回路103の非反転入力端子に接続される第2端とを有する。スイッチSC2は、基準電圧VREFが供給される基準電圧ノードVREFおよび差動増幅回路103の反転入力端子に接続される第1端と、差動増幅回路103の非反転入力端子に接続される第2端とを有する。
【0191】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
【0192】
図20は、本発明の第8の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0193】
図20を参照して、ステップS11〜S14までの動作は本発明の第6の実施の形態に係るADC回路におけるステップS1〜S4までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0194】
次に、コンパレータ回路203は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの比較動作を行なう。
【0195】
より詳細には、コンパレータ回路203における差動増幅回路103は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをラッチ回路51へ出力する。
【0196】
すなわち、差動増幅回路103は、キャパシタCL1およびCL2の放電動作を行なう(ステップS15)。
【0197】
そして、逐次比較レジスタ回路32におけるスイッチSC1がオフし、スイッチSC2がオンする。これにより、差動増幅回路103の非反転入力端子および反転入力端子の両方にそれぞれ基準電圧VREFが供給される。そして、差動増幅回路103は、オフセット電圧VOSをキャンセルするための、基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作を行なう(ステップS16)。
【0198】
そして、逐次比較レジスタ回路32におけるスイッチSC1がオンし、スイッチSC2がオフする。これにより、差動増幅回路103の非反転入力端子に電圧VDAC_OUTが供給され、差動増幅回路103の反転入力端子に基準電圧VREFが供給される。そして、差動増幅回路103は、電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作を行ない、出力電圧VOPおよびVONのレベル保持動作を行なう(ステップS17)。
【0199】
ステップS18〜S22の動作は本発明の第7の実施の形態に係るADC回路におけるステップS7〜S11の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0200】
したがって、本発明の第8の実施の形態に係るADC回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の利得の向上と、差動増幅回路におけるオフセット電圧のキャンセルによる電圧比較精度の向上とにより、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路と比べて、さらに、アナログ/デジタル変換における有効分解能の向上を図ることができる。
【0201】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における出力電圧の波形図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の消費電流を示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
【図9】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の出力電圧の波形図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるラッチ回路51の構成を示す回路図である。
【図12】(a)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の消費電流の波形図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの消費電流の波形図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図16】(a)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの消費電流の波形図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【図19】本発明の第8の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【図20】本発明の第8の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【符号の説明】
【0203】
21 ラッチ回路本体、22 バッファ回路、23 リセットセットフリップフロップ回路(RSフリップフロップ回路)、31 DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路、32 逐次比較レジスタ回路、51 ラッチ回路、101〜103,101A,101B,103A,103B 差動増幅回路、201〜203 コンパレータ回路、501,502 ADC回路、IBS 定電流源、MP1,MP2,MP3,MP4,MP5,MP6,MP7,MP8,MP9,MP10,MP11,MP12,MP13,MP14 PチャネルMOSトランジスタ、MN1,MN2,MN11,MN12,MN13,MN14,MN15,MN16,MN17,MN18,MN21,MN22,MN23,MN24,MN25,MN26,MN27,MN28 NチャネルMOSトランジスタ、CL1,CL2,CL21,CL22,C0〜Cn,CA キャパシタ、G1,G2,G3,G4 インバータ回路、G5,G6 NAND回路、S1P,S1N,S2P,S2N,S0〜Sn,SA,SCA,SC1,SC2 スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、差動増幅動作を実行する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスのデジタル集積回路においてアナログ回路も集積するアナログ/デジタル混載集積回路が一般的に用いられている。そして、アナログ回路およびデジタル回路間を接続するインターフェイス部としてのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)回路の重要性が増している。
【0003】
ADC回路には、逐次比較型、パイプライン型、フラッシュ型、ΣΔ型および2重積分型等様々な方式があるが、いずれの方式であっても電圧比較を行なうコンパレータ回路が必要である。
【0004】
また、モバイル対応、電池の動作および発熱低減等、様々な理由によりCMOSアナログ/デジタル混載集積回路の低消費電流動作が求められており、CMOSアナログ/デジタル混載集積回路で構成されるコンパレータ回路およびADC回路等の低消費電流動作の必要性も増している。
【0005】
たとえば、特許文献1には、低消費電流動作を実現するコンパレータ回路が開示されている。すなわち、動作状態として、リセット動作期間ならびに比較動作期間を有するコンパレータ回路であって、所定の差動入力電圧と差動入力基準電圧とを受けて、これらの入力電圧の電圧レベルを比較照合する全差動チョッパ型比較手段と、全差動チョッパ型比較手段より出力される差動出力を容量結合経由で受けるとともに、比較動作期間においてはオフセット補償されたストローブラッチ手段として動作して所定の差動デジタル電圧を生成して出力する全差動型増幅手段とを備える。
【0006】
また、特許文献2にも、低消費電流動作を実現するコンパレータ回路が開示されている。すなわち、入力信号と基準信号とを比較するチョッパ型コンパレータであって、電源電位と基準電位との間に直列接続されている第1のPチャネルトランジスタおよび第1のNチャネルトランジスタと、第1のPチャネルトランジスタのゲートと入力ノードとの間に接続されている第1のキャパシタと、第1のNチャネルトランジスタのゲートと入力ノードとの間に接続されている第2のキャパシタと、基準信号を受ける第1の入力端子と入力ノードとの間に接続されている第1のスイッチと、入力信号を受ける第2の入力端子と入力ノードとの間に接続されている第2のスイッチと、第1のPチャネルトランジスタのゲートに供給する第1のゲートバイアス電圧および第1のNチャネルトランジスタのゲートに供給する第2のゲートバイアス電圧を生成するゲートバイアス電圧生成回路とを備える。そして、チョッパ型コンパレータは、第1のスイッチをオンさせることにより、第1および第2のゲートバイアス電圧をそれぞれ第1のPチャネルトランジスタのゲートおよび第1のNチャネルトランジスタのゲートに供給する制御回路を備える。そして、制御回路は、第1および第2のキャパシタをプリチャージした後、第1および第2のゲートバイアス電圧の供給を停止させ、第1のスイッチをオフさせ、第2のスイッチをオンさせることにより、第1および第2のキャパシタの容量結合によって、入力信号と基準信号との差分に応じた信号を第1のPチャネルトランジスタおよび第1のNチャネルトランジスタのゲートに供給する。
【0007】
また、特許文献3には、以下のようなコンパレータ回路が開示されている。すなわち、第3のトランジスタ及び第4のトランジスタのうちの一方のトランジスタの他方電極に一方電極が接続された第5のトランジスタと、第5のトランジスタの制御電極と他方電極との間に接続された容量と、第3のトランジスタ及び第4のトランジスタのうちの他方のトランジスタの他方電極に一方電極が接続された第6のトランジスタと、第6のトランジスタの制御電極と他方電極との間に接続された定電圧源と、制御信号を入力する制御信号入力手段と、制御信号に応じて能動化され、出力電圧に応じて容量を選択的に充放電する充放電手段と、制御信号に応じて第1,第2のトランジスタの制御電極に所定電圧を選択的に与える所定電圧供給手段とを備える。所定電圧供給手段は制御信号に応じて第1,第2のトランジスタの制御電極に選択的に所定電圧を与える。充放電手段は、制御信号に応じて能動化され、出力電圧に応じて容量を選択的に充放電する。第5のトランジスタの導通抵抗は、容量の充電電圧に応じて変化する。第6のトランジスタの導通抵抗は、制御電極に一定電圧が与えられているため一定となる。出力電圧のレベルが反転した時点で容量の充放電が中止される。容量の充放電が中止された時点で第1,第2のトランジスタに流れる電流が等しくなる。その結果、オフセット電圧が0になるという効果がある。
【特許文献1】特開平10−107600号公報
【特許文献2】特開2001−94425号公報
【特許文献3】特開平5−55880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、コンパレータ回路およびADC回路等では、低消費電力化に加えて差動増幅動作の高速化も要求されている。差動増幅動作を高速化するためには、たとえば差動増幅回路の差動入力段におけるMOSトランジスタの増幅率を大きくすることが考えられるが、レイアウト面積が増加してしまう。
【0009】
ここで、特許文献2および3記載のコンパレータ回路では、動作の高速化が考慮されていない。
【0010】
また、特許文献1記載のコンパレータ回路では、ストローブラッチ回路を等価的に2個のラッチ回路によって構成することにより、動作の高速化を図っているが、多数のトランジスタが必要となるため、小型化を図ることが困難である。
【0011】
それゆえに、本発明の目的は、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる半導体装置は、定電流源と、定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第1の入力電圧が供給される第1の入力ノードに結合された制御電極とを有する第1のトランジスタと、定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第2の入力電圧が供給される第2の入力ノードに結合された制御電極とを有する第2のトランジスタと、第1のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第1の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第3のトランジスタと、第2のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第2の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第4のトランジスタと、第1の出力ノード、第3のトランジスタの第2導通電極および第4のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第1のキャパシタと、第2の出力ノード、第4のトランジスタの第2導通電極および第3のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第2のキャパシタとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
【0016】
図1を参照して、差動増幅回路101は、定電流源IBSと、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2,MP3,MP4,MP5,MP6,MP7,MP8と、NチャネルMOSトランジスタMN1,MN2と、キャパシタCL1,CL2とを備える。
【0017】
なお、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6,MP7,MP8、およびNチャネルMOSトランジスタMN1,MN2の各々は、他のスイッチ素子であってもよい。たとえば、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。また、電圧レベルおよびオン抵抗の電圧依存性に問題がなければ、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路のように、1個のNチャネルMOSトランジスタまたは1個のPチャネルMOSトランジスタを用いて実現することができる。
【0018】
定電流源IBSの第1端子が電源電圧VDDの供給される電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP1のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがPチャネルMOSトランジスタMP3のソースに接続され、ゲートが入力ノードN1に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP5およびMP6の各々のソースが電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP2のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがPチャネルMOSトランジスタMP4のソースに接続され、ゲートが入力ノードN2に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP3のゲートがPチャネルMOSトランジスタMP5のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP7のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN3に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP4のゲートがPチャネルMOSトランジスタMP6のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP8のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN4に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP5およびMP6の各々のゲートに制御電圧VP1が供給される。PチャネルMOSトランジスタMP7およびMP8の各々のゲートに制御電圧VP1Bが供給される。PチャネルMOSトランジスタMP7のドレインが出力ノードN4に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP8のドレインが出力ノードN3に接続される。キャパシタCL1は、第1端子が出力ノードN3に接続され、第2端子が接地電圧VSSの供給される接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN1は、キャパシタCL1と並列に接続される。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN1のドレインがキャパシタCL1の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL1の第2端子に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN1のゲートに制御電圧VP0が供給される。キャパシタCL2の第1端子が出力ノードN4に接続され、第2端子が接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN2は、キャパシタCL2と並列に接続される。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN2のドレインがキャパシタCL2の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL2の第2端子に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN2のゲートに制御電圧VP0が供給される。
【0019】
入力ノードN1およびN2にそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路101は、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3およびN4へ出力する。
【0020】
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の動作について説明する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【0022】
図2を参照して、差動増幅回路101の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオンする。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、キャパシタCL1およびCL2に蓄えられている電荷が放電される。
【0023】
状態ST1においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1〜MP4を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路101において電流が消費されない。
【0024】
次に、差動増幅回路101の起動時から2μ秒経過した時刻において、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオフし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオンし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオフする。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオンする。
【0025】
また、状態ST2においては、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP1がオンすることにより、入力電圧VIPに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP3を介してキャパシタCL1へ流れる。また、PチャネルMOSトランジスタMP2がオンすることにより、入力電圧VINに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP2およびMP4を介してキャパシタCL2へ流れる。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP1は、入力電圧VIPに基づいて出力抵抗値を変更し、PチャネルMOSトランジスタMP2は、入力電圧VINに基づいて出力抵抗値を変更する。そして、定電流源IBSからの定電流Ibがこれらの出力抵抗値の比に基づいてPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へそれぞれ分配される。以上により、キャパシタCL1およびCL2が充電される。
【0026】
この結果、出力ノードN3には、キャパシタCL1に充電される電荷量とキャパシタCL1の容量値とに基づく出力電圧VOPが生じる。また、出力ノードN4には、キャパシタCL2に充電される電荷量とキャパシタCL2の容量値とに基づく出力電圧VONが生じる。
【0027】
このとき、出力電圧VOPが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP8を介してPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに供給される。また、出力電圧VONが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP7を介してPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに供給される。これにより、差動増幅回路101において以下のような正帰還動作が行なわれる。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における出力電圧の波形図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の消費電流を示すグラフ図である。
【0029】
図3および図4は、入力電圧VIPを2.49ボルトに設定し、入力電圧VINを2.5ボルトに設定した場合を示している。また、TAMPは差動増幅回路101の増幅時間を示している。
【0030】
図3を参照して、入力電圧VIPが入力電圧VINより大きい場合には、出力電圧VOPが出力電圧VONより大きくなり、キャパシタCL1およびCL2が充電されるにつれて出力電圧VOPと出力電圧VONとの差が大きくなっていく。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP3のゲート電圧とPチャネルMOSトランジスタMP4のゲート電圧との差が大きくなる。
【0031】
そして、差動増幅回路101の起動時から約2.1μ秒経過した時刻において、出力電圧VOPと出力電圧VONとの電圧差が所定値より大きくなると、正帰還動作が始まる、すなわちPチャネルMOSトランジスタMP4のソースおよびドレイン間を電流が流れにくくなる。
【0032】
このような正帰還動作により、出力電圧VOPおよびVONの電圧差が急速に大きくなり、出力電圧VOPが電源電圧VDDに近づく。すなわち、差動増幅回路101の差動増幅結果が短時間で得られるため、差動増幅動作の高速化を図ることができる。
【0033】
図4を参照して、正帰還動作が始まるとキャパシタCL1のみが充電されるため、差動増幅回路101の消費電流が、差動増幅回路101の起動時から約2.1秒経過した時刻から急速に減少している。すなわち、差動増幅回路101の消費電流が低減されている。
【0034】
再び図2を参照して、次に、差動増幅回路101の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフする。また、NチャネルMOSトランジスタMN1,MN2はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、差動増幅回路101の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0035】
状態ST3においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1〜MP4を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路101において電流が消費されない。
【0036】
このような構成により、状態ST2においてのみ電流が消費されるため、低消費電流にて差動増幅動作を行なう差動増幅回路を実現することができる。
【0037】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路では、消費電流を低減するとともに差動増幅動作の高速化を図ることができる。また、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路は、少数のトランジスタを備える簡易な構成であるため、小型化を図ることができる。また、差動増幅動作の高速化により、利得を増大させることができる。
【0038】
ここで、差動増幅回路101において、正帰還動作が行なわれないと仮定した場合、すなわち、出力電圧VOPがPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに伝達されず、かつ出力電圧VONがPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに伝達されないと仮定した場合について考える。
【0039】
この場合、出力電圧VOPおよびVONによるPチャネルMOSトランジスタMP3またはMP4の出力電流の制限がなくなることから、差動増幅回路101において、定電流源IBSからの定電流IbをPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へそれぞれ分配する能力が弱くなる。このため、キャパシタCL1へ流れる電流とキャパシタCL2へ流れる電流との差を大きくできなくなることから、キャパシタCL1のみが充電される状態をつくることができない。
【0040】
また、キャパシタCL1およびCL2のいずれか一方が満充電されると、入力電圧VIPと入力電圧VINとの差に基づかずに定電流Ibが他方のキャパシタへ流れることにより、入力電圧VIPおよびVINに基づかずに他方のキャパシタが充電されてしまう場合がある。これを防ぐために、一方のキャパシタが満充電されるまでに所望の出力電圧VOPおよびVONが得られるように、状態ST2の継続時間、キャパシタCL1およびCL2の容量値および定電流Ibの値を設定する必要がある。
【0041】
しかしながら、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路では、出力電圧VOPがPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに伝達され、かつ出力電圧VONがPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに伝達される。このような構成により、前述のような正帰還動作を行なうことができるため、キャパシタCL1のみが充電される状態をつくることができる。また、一方のキャパシタが満充電されるまでの時間に関係なく状態ST2の継続時間、キャパシタCL1およびCL2の容量値および定電流Ibの値を自由に設定することができる。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0043】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る差動増幅回路と比べて異なる範囲の入力電圧に対応する差動増幅回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0044】
[構成および基本動作]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【0045】
図5を参照して、差動増幅回路102は、定電流源IBSと、NチャネルMOSトランジスタMN21,MN22,MN23,MN24,MN25,MN26,MN27,MN28と、PチャネルMOSトランジスタMP21,MP22と、キャパシタCL21,CL22とを備える。
【0046】
なお、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26,MN27,MN28、およびPチャネルMOSトランジスタMP21,MP22の各々は、他のスイッチ素子であってもよい。たとえば、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。また、電圧レベルおよびオン抵抗の電圧依存性に問題がなければ、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路のように、1個のNチャネルMOSトランジスタまたは1個のPチャネルMOSトランジスタを用いて実現することができる。
【0047】
定電流源IBSの第1端子が接地電圧VSSの供給される接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN21のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがNチャネルMOSトランジスタMN23のソースに接続され、ゲートが入力ノードN1に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN25およびMN26の各々のソースが接地ノードVSSに接続される。NチャネルMOSトランジスタMN22のソースが定電流源IBSの第2端子に接続され、ドレインがNチャネルMOSトランジスタMN24のソースに接続され、ゲートが入力ノードN2に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN23のゲートがNチャネルMOSトランジスタMN25のドレインと、NチャネルMOSトランジスタMN27のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN3に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN24のゲートがNチャネルMOSトランジスタMN26のドレインと、NチャネルMOSトランジスタMN28のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN4に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN25およびMN26の各々のゲートに制御電圧VP1が供給される。NチャネルMOSトランジスタMN27およびMN28の各々のゲートに制御電圧VP1Bが供給される。NチャネルMOSトランジスタMN27のドレインが出力ノードN4に接続される。NチャネルMOSトランジスタMN28のドレインが出力ノードN3に接続される。キャパシタCL21は、第1端子が出力ノードN3に接続され、第2端子が電源電圧VDDの供給される電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP21は、キャパシタCL21と並列に接続される。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP21のドレインがキャパシタCL21の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL21の第2端子に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP21のゲートに制御電圧VP0が供給される。キャパシタCL22の第1端子が出力ノードN4に接続され、第2端子が電源ノードVDDに接続される。PチャネルMOSトランジスタMP22は、キャパシタCL22と並列に接続される。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP22のドレインがキャパシタCL22の第1端子に接続され、ソースがキャパシタCL22の第2端子に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP22のゲートに制御電圧VP0が供給される。
【0048】
入力ノードN1およびN2にそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路102は、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3およびN4へ出力する。
【0049】
[動作]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の動作について説明する。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【0051】
図6を参照して、差動増幅回路102の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL21およびCL22の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26がオンし、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフし、かつPチャネルMOSトランジスタMP21およびMP22がオンする。そして、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフする。以上により、キャパシタCL21およびCL22に蓄えられている電荷が放電される。
【0052】
状態ST1においては、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフ状態であるため、電源ノードVDDからキャパシタCL21およびCL22ならびにNチャネルMOSトランジスタMN21〜MN24を介して電流が流れない。また、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフ状態であるため、電源ノードVDDからNチャネルMOSトランジスタMN25〜MN28を介して接地ノードVSSへ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路102において電流が消費されない。
【0053】
次に、差動増幅回路102の起動時から2μ秒経過した時刻において、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL21およびCL22の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26がオフし、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオンし、かつPチャネルMOSトランジスタMP21およびMP22がオフする。そして、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオンする。
【0054】
また、状態ST2においては、NチャネルMOSトランジスタMN21,MN22のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN21がオンすることにより、入力電圧VIPに基づく電流が電源ノードVDDからキャパシタCL21ならびにNチャネルMOSトランジスタMN21およびMN23を介して定電流源IBSへ流れる。また、NチャネルMOSトランジスタMN22がオンすることにより、入力電圧VINに基づく電流が電源ノードVDDからキャパシタCL22ならびにNチャネルMOSトランジスタMN22およびMN24を介して定電流源IBSへ流れる。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN21は、入力電圧VIPに基づいて出力抵抗値を変更し、NチャネルMOSトランジスタMN22は、入力電圧VINに基づいて出力抵抗値を変更する。そして、これらの出力抵抗値の比に基づいてNチャネルMOSトランジスタMN21およびMN22から定電流源IBSへ定電流Ibが流れる。以上により、キャパシタCL21およびCL22が充電される。
【0055】
この結果、出力ノードN3には、キャパシタCL21に充電される電荷量とキャパシタCL21の容量値とに基づく出力電圧VOPが生じる。また、出力ノードN4には、キャパシタCL22に充電される電荷量とキャパシタCL22の容量値とに基づく出力電圧VONが生じる。
【0056】
このとき、出力電圧VOPが、オン状態のNチャネルMOSトランジスタMN28を介してNチャネルMOSトランジスタMN24のゲートに供給される。また、出力電圧VONが、オン状態のNチャネルMOSトランジスタMN27を介してNチャネルMOSトランジスタMN23のゲートに供給される。これにより、差動増幅回路102において以下のような正帰還動作が行なわれる。
【0057】
たとえば、入力電圧VIPが入力電圧VINより大きい場合には、出力電圧VOPが出力電圧VONより小さくなり、キャパシタCL1およびCL2が充電されるにつれて出力電圧VOPと出力電圧VONとの差が大きくなっていく。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN23のゲート電圧とNチャネルMOSトランジスタMN24のゲート電圧との差が大きくなる。
【0058】
そして、出力電圧VOPと出力電圧VONとの電圧差が所定値より大きくなると、正帰還動作が始まる、すなわちMチャネルMOSトランジスタMN24のソースおよびドレイン間を電流が流れにくくなる。
【0059】
このような正帰還動作により、出力電圧VOPおよびVONの電圧差が急速に大きくなり、出力電圧VOPが接地電圧VSSに近づく。すなわち、差動増幅回路102の差動増幅結果が短時間で得られるため、差動増幅動作の高速化を図ることができる。
【0060】
正帰還動作が始まるとキャパシタCL1のみが充電されるため、差動増幅回路102の消費電流が急速に減少する。すなわち、差動増幅回路102の消費電流を低減することができる。
【0061】
次に、差動増幅回路102の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、NチャネルMOSトランジスタMN25,MN26がオンし、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフする。また、PチャネルMOSトランジスタMP21,MP22はオフ状態のままである。そして、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフする。以上により、差動増幅回路102の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0062】
状態ST3においては、NチャネルMOSトランジスタMN23,MN24がオフ状態であるため、電源ノードVDDからキャパシタCL21およびCL22ならびにNチャネルMOSトランジスタMN21〜MN24を介してへ電流が流れない。また、NチャネルMOSトランジスタMN27,MN28がオフ状態であるため、電源ノードVDDからNチャネルMOSトランジスタMN25〜MN28を介して接地ノードVSSへ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路102において電流が消費されない。
【0063】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。
【0064】
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路101の入力電圧範囲は、0V側である。すなわち、0Vから電圧Vinr1である。電圧Vinr1は、定電流源IBSのオーバードライブ電圧ΔOV_IBと、PチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2が飽和領域で動作するために必要な電圧(閾値電圧VT_MP+オーバードライブ電圧ΔOV_MP)とを加えた電圧を電源電圧VDDから引いた電圧である。すなわち、Vinr1=VDD−ΔOV_IB−VT_MP−ΔOV_MPである。
【0065】
一方、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路102の入力電圧範囲は、電源電圧VDD側である。すなわち、電圧Vinr2から電源電圧VDDである。電圧Vinr2は、定電流源IBSのオーバードライブ電圧ΔOV_IBと、NチャネルMOSトランジスタMN21およびMN22が飽和領域で動作するために必要な電圧(閾値電圧VT_MN+オーバードライブ電圧ΔOV_MN)とを加えた電圧である。すなわち、Vinr2=ΔOV_IB+VT_MN+ΔOV_MNである。
【0066】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路では、第1の実施の形態に係る差動増幅回路と比べて異なる範囲の入力電圧に対応することができる。
【0067】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0068】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、オフセット電圧をキャンセルする機能を追加した差動増幅回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0069】
[構成および基本動作]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【0070】
図7を参照して、以下、差動増幅回路103の入力トランジスタすなわちPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2の製造ばらつきに起因するオフセット電圧をVOSとし、オフセット電圧VOSが差動増幅回路103の非反転入力端子に供給されているものとする。また、差動増幅回路103の利得をAとする。
【0071】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
図8を参照して、差動増幅回路103は、本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と比べて、さらに、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10を備える。
【0072】
なお、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10の各々は、他のスイッチ素子であってもよい。たとえば、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。また、電圧レベルおよびオン抵抗の電圧依存性に問題がなければ、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路のように、1個のPチャネルMOSトランジスタを用いて実現することができる。
【0073】
PチャネルMOSトランジスタMP9のソースがPチャネルMOSトランジスタMP1のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP3のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN4に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP10のソースがPチャネルMOSトランジスタMP2のドレインと、PチャネルMOSトランジスタMP4のソースとに接続され、ドレインが出力ノードN3に接続される。PチャネルMOSトランジスタMP9およびMP10の各々のゲートに制御電圧VP2が供給される。
【0074】
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の動作について説明する。
【0075】
図9(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の出力電圧の波形図である。
【0076】
図9(a)および(b)を参照して、差動増幅回路103の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7〜MP10がオフし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオンする。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、キャパシタCL1およびCL2に蓄えられている電荷が放電される。
【0077】
状態ST1においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4,MP9,MP10がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路103において電流が消費されない。
【0078】
次に、差動増幅回路103の起動時から2μ秒経過した時刻において、基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ローレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10がオンし、かつNチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2がオフする。また、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6はオン状態のままであり、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4はオフ状態のままである。
【0079】
また、状態ST2においては、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2のゲートにそれぞれ基準電圧VREFが供給される。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP1がオン状態となることにより、基準電圧VREFに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP9を介してキャパシタCL2へ流れる。また、PチャネルMOSトランジスタMP2がオン状態となることにより、基準電圧VREFに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP2およびMP10を介してキャパシタCL1へ流れる。これにより、キャパシタCL1およびCL2が充電され、出力電圧VOPおよび出力電圧VONは、以下の式を満たす。
【0080】
VOP−VON=−A×VOS・・・(1)
ここで、基準電圧VREFは、差動増幅回路103の前段のアナログ回路における接地電圧であることが好ましい。たとえば、差動増幅回路103を含む回路が単電源すなわち電源電圧VDDのみで動作する場合、基準電圧VREFは、電源電圧VDDの1/2の電圧である。たとえば、電源電圧VDDが5Vである場合には、基準電圧VREFは2.5Vである。
【0081】
次に、差動増幅回路103の起動時から3μ秒経過した時刻において、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオフし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオンし、かつPチャネルMOSトランジスタMP9,MP10がオフする。また、NチャネルMOSトランジスタMN1およびMN2はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオンする。
【0082】
また、状態ST3においては、PチャネルMOSトランジスタMP1,MP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP1がオンすることにより、入力電圧VIPに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP3を介してキャパシタCL1へ流れる。また、PチャネルMOSトランジスタMP2がオンすることにより、入力電圧VINに基づく電流が定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP2およびMP4を介してキャパシタCL2へ流れる。すなわち、PチャネルMOSトランジスタMP1は、入力電圧VIPに基づいて出力抵抗値を変更し、PチャネルMOSトランジスタMP2は、入力電圧VINに基づいて出力抵抗値を変更する。そして、定電流源IBSからの定電流Ibがこれらの出力抵抗値の比に基づいてPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2へそれぞれ分配される。以上により、キャパシタCL1およびCL2が充電される。
【0083】
この結果、出力ノードN3には、キャパシタCL1に充電される電荷量とキャパシタCL1の容量値とに基づく出力電圧VOPが生じる。また、出力ノードN4には、キャパシタCL2に充電される電荷量とキャパシタCL2の容量値とに基づく出力電圧VONが生じる。
【0084】
このとき、出力電圧VOPが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP8を介してPチャネルMOSトランジスタMP4のゲートに供給される。また、出力電圧VONが、オン状態のPチャネルMOSトランジスタMP7を介してPチャネルMOSトランジスタMP3のゲートに供給される。これにより、差動増幅回路103においても本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様の正帰還動作が行なわれる。
【0085】
ここで、出力電圧VOPおよびVONの各々は、入力電圧VIP,VINの電圧値およびオフセット電圧VOSの電圧値に対応した値となる。そして、出力電圧VOPおよび出力電圧VONは、状態ST2においてキャパシタCL1およびCL2に充電された電荷を考慮しない場合、以下の式を満たす。
【0086】
VOP−VON=A×(VIP−VIN+VOS)・・・(2)
ここで、状態ST2においてキャパシタCL1およびCL2に充電された電荷は、状態ST3においてキャパシタCL1およびCL2に充電された電荷と極性が逆である。したがって、出力電圧VOPおよび出力電圧VONは、実際には以下の式を満たす。
【0087】
VOP−VON=A×(VIP−VIN+VOS)−A×VOS=A×(VIP−VIN)・・・(3)
次に、差動増幅回路101の起動時から4μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST4)。そうすると、PチャネルMOSトランジスタMP5,MP6がオンし、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフする。また、PチャネルMOSトランジスタMP9,MP10およびNチャネルMOSトランジスタMN1,MN2はオフ状態のままである。そして、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4がオフする。以上により、差動増幅回路101の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONは、式(3)の関係を維持する。
【0088】
状態ST4においては、PチャネルMOSトランジスタMP3,MP4,MP9,MP10がオフ状態であるため、定電流源IBSからPチャネルMOSトランジスタMP1およびMP2を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。また、PチャネルMOSトランジスタMP7,MP8がオフ状態であるため、電源ノードVDDからPチャネルMOSトランジスタMP5〜MP8を介してキャパシタCL1およびCL2へ電流が流れない。すなわち、差動増幅回路103において電流が消費されない。
【0089】
このように、状態ST2およびST3においてのみ電流が消費されるため、低消費電流にて差動増幅動作を行なう差動増幅回路を実現することができる。
【0090】
ところで、センサ等のCMOSアナログ/デジタル混載集積回路に内蔵されるADC回路の近年の高精度化により、ADC回路に搭載されるコンパレータ回路の電圧比較精度の向上が要求されている。ここで、コンパレータ回路の電圧比較精度を低下させる要因の一つとして、コンパレータ回路にオフセット電圧が生じることがあげられる。すなわち、コンパレータ回路内の差動増幅回路に含まれるMOSトランジスタ等の製造ばらつきによってオフセット電圧が生じる。特に、差動増幅回路の入力段におけるMOSトランジスタで生じるオフセット電圧が問題となる。
【0091】
しかしながら、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、式(3)の関係を満たす出力電圧VOPおよびVONを得ることができるため、出力電圧VOPおよびVONからオフセット電圧VOSをキャンセルすることができる。
【0092】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、オフセット電圧を低減することにより、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0093】
なお、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路では、状態ST2における基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作において、キャパシタCL1およびCL2が飽和しないような利得を設定することが好ましい。
【0094】
また、本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路と同様に、差動増幅回路103におけるNチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとを入れ替えることにより、入力電圧範囲を電源電圧VDD側に設定することができる。
【0095】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0096】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る差動増幅回路にラッチ回路を加えたコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0097】
[構成および基本動作]
図10は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0098】
図10を参照して、コンパレータ回路201は、差動増幅回路101と、ラッチ回路51とを備える。なお、差動増幅回路101は、差動増幅回路102であってもよい。
【0099】
ラッチ回路51は、差動増幅回路101から受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0100】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるラッチ回路51の構成を示す回路図である。
【0101】
図11を参照して、ラッチ回路51は、ラッチ回路本体21と、バッファ回路22と、リセットセットフリップフロップ回路(RSフリップフロップ回路)23とを含む。ラッチ回路本体21は、PチャネルMOSトランジスタMP11,MP12,MP13,MP14と、NチャネルMOSトランジスタMN11,MN12,MN13,MN14,MN15,MN16,MN17,MN18とを含む。バッファ回路22は、インバータ回路G1,G2,G3,G4を含む。リセットセットフリップフロップ回路23は、NAND回路G5およびG6を含む。
【0102】
NチャネルMOSトランジスタMN11のゲートがラッチ回路51の非反転入力端子に該当する。NチャネルMOSトランジスタMN12のゲートがラッチ回路51の反転入力端子に該当する。すなわち、NチャネルMOSトランジスタMN11およびMN12のゲートには、それぞれ出力電圧VOPおよびVONが供給される。
【0103】
PチャネルMOSトランジスタMP11およびMP12ならびにNチャネルMOSトランジスタMN15およびMN16は、制御電圧VLATCHに基づいてラッチ動作を開始する。
【0104】
PチャネルMOSトランジスタMP13およびMP14ならびにNチャネルMOSトランジスタMN13およびMN14は、ラッチ回路本体21の出力電圧を急速に決定するための正帰還回路を構成する。
【0105】
NチャネルMOSトランジスタMN17およびMN18は、ラッチ回路51がラッチ動作を行なっていないときにラッチ回路本体21の出力電圧を一定に保つ。
【0106】
リセットセットフリップフロップ回路23は、バッファ回路22を介して受けたラッチ回路本体21の出力電圧を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして外部へ出力する。
【0107】
ラッチ回路51では、出力電圧VOPが出力電圧VONより大きい場合は出力電圧VOUTPが論理ハイレベルかつ出力電圧VOUTNが論理ローレベルとなり、出力電圧VOPが出力電圧VONより小さい場合は出力電圧VOUTPが論理ローレベルかつ出力電圧VOUTNが論理ハイレベルとなる。また、ラッチ回路51では、ラッチ動作を行なっていないときには電流が消費されない。
【0108】
[動作]
次に、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作について説明する。
【0109】
図12(a)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の消費電流の波形図である。
【0110】
図12(a)および(b)を参照して、コンパレータ回路201の起動時から3μ秒経過した時刻までは、制御電圧VLATCHは論理ローレベルに設定される(状態ST1およびST2)。
【0111】
次に、差動増幅回路101の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、差動増幅回路101の差動増幅結果が保持される、すなわち出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0112】
そして、差動増幅回路101の起動時から3μ秒経過した時刻から所定時間経過後、制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルに設定される。ラッチ回路51に供給される制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルになると、ラッチ回路51は、差動増幅回路101から受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0113】
ラッチ回路51によるラッチ動作後は、任意の時間において入力電圧VIPおよびVINの比較結果をラッチ回路51の出力電圧から得ることができる。
【0114】
差動増幅回路101においては状態ST2においてのみ電流が消費され、かつラッチ回路51においては、状態ST3のうちのラッチ動作を行なっている期間のみ電流が消費されるため、低消費電流にて電圧比較動作を行なうコンパレータ回路を実現することができる。
【0115】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の差動増幅動作の高速化および差動増幅回路の利得の向上により、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0116】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0117】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路を複数段にしたコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0118】
[構成および基本動作]
図13は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0119】
図13を参照して、コンパレータ回路202は、差動増幅回路101Aおよび101Bと、ラッチ回路51とを備える。差動増幅回路101Aおよび101Bの構成は差動増幅回路101と同様である。
【0120】
入力ノードN1AおよびN2Aにそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路101Aは、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3およびN4へ出力する。
【0121】
差動増幅回路101Bは、出力ノードN3Aおよび出力ノードN4Aを介して差動増幅回路101Aからそれぞれ受けた電圧、すなわち入力ノードN1Bの電圧と入力ノードN2Bの電圧との差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3BおよびN4Bへ出力する。
【0122】
ラッチ回路51の非反転入力端子と出力ノードN3Bとが接続される。ラッチ回路51の反転入力端子と出力ノードN4Bとが接続される。ラッチ回路51は、差動増幅回路101Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0123】
[動作]
次に、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作について説明する。
【0124】
図14(a)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの消費電流の波形図である。
【0125】
図14(a)および(b)を参照して、コンパレータ回路202の起動時から1μ秒経過した時刻において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。すなわち、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。このとき、差動増幅回路101Aおよび101Bの各々において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。この動作については本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0126】
次に、コンパレータ回路202の起動時から2μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベルに設定される(状態ST2)。このとき、差動増幅回路101AのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そして、差動増幅回路101Aにおいて、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0127】
さらに、差動増幅回路101AにおけるキャパシタCL1およびCL2の各々に充電された電圧は、差動増幅回路101Aの出力電圧VOPおよびVONとして差動増幅回路101BのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ供給される。そして、差動増幅回路101Bにおいて、差動増幅回路101Aの出力電圧VOPおよびVONによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0128】
これらの充電動作については本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0129】
ここで、コンパレータ回路202の起動時から3μ秒経過した時刻までは、制御電圧VLATCHは論理ローレベルに設定される(状態ST1およびST2)。
【0130】
次に、コンパレータ回路202の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。このとき、差動増幅回路101Aおよび101Bの各々において、出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0131】
そして、コンパレータ回路202の起動時から3μ秒経過した時刻から所定時間経過後、制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルに設定される。ラッチ回路51に供給される制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルになると、ラッチ回路51は、差動増幅回路101Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0132】
ラッチ回路51によるラッチ動作後は、任意の時間において入力電圧VIPおよびVINの比較結果をラッチ回路51の出力電圧から得ることができる。
【0133】
差動増幅回路101Aおよび101Bにおいては状態ST2においてのみ電流が消費され、かつラッチ回路51においては、状態ST3のうちのラッチ動作を行なっている期間のみ電流が消費されるため、低消費電流にて電圧比較動作を行なうコンパレータ回路を実現することができる。
【0134】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の差動増幅動作の高速化および差動増幅回路の利得の向上により、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0135】
また、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路では、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と比べて、差動増幅回路101Aおよび101Bを備える構成により、増幅能力が高くなるため、指数関数的に電圧比較結果を得る時間を早くすることができる。また、増幅能力が高くなることにより、入力電圧VIPおよびVINのより微小な差をラッチ回路51が判定できる電圧にまで増幅できるため、電圧比較精度をさらに向上することができる。
【0136】
なお、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路では、差動増幅回路の段数が2段であるとしたが、これに限定するものではない。段数をさらに増やすことで、より高速でかつ電圧比較精度の高いコンパレータ回路を実現することができる。
【0137】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0138】
<第6の実施の形態>
本実施の形態は、第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路を第3の実施の形態に係る差動増幅回路に変更したコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様である。
【0139】
[構成および基本動作]
図15は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0140】
図15を参照して、コンパレータ回路203は、差動増幅回路103Aおよび103Bと、スイッチS1P,S1N,S2P,S2Nと、ラッチ回路51とを備える。差動増幅回路103Aおよび103Bの構成は差動増幅回路103と同様である。
【0141】
スイッチS1Pは、出力ノードN3Aと差動増幅回路103Bの非反転入力端子との間に接続される。スイッチS1Nは、出力ノードN4Aと差動増幅回路103Bの反転入力端子との間に接続される。スイッチS2Pは、基準電圧VREFが供給される基準電圧ノードN5Bと差動増幅回路103Bの非反転入力端子との間に接続される。スイッチS2Nは、基準電圧VREFが供給される基準電圧ノードN6Bと差動増幅回路103Bの反転入力端子との間に接続される。
【0142】
ラッチ回路51の非反転入力端子と出力ノードN3Bとが接続される。ラッチ回路51の反転入力端子と出力ノードN4Bとが接続される。
【0143】
入力ノードN1AおよびN2Aにそれぞれ比較対象である入力電圧VIPおよびVINが供給される。差動増幅回路103Aは、入力電圧VIPおよびVINの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3AおよびN4Aへ出力する。
【0144】
差動増幅回路103Bは、出力ノードN3Aおよび出力ノードN4Aを介して差動増幅回路103Aからそれぞれ受けた電圧、すなわち入力ノードN1Bの電圧と入力ノードN2Bの電圧との差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをそれぞれ出力ノードN3BおよびN4Bへ出力する。
【0145】
ラッチ回路51は、差動増幅回路103Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0146】
[動作]
次に、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路の動作について説明する。
【0147】
図16(a)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの消費電流の波形図である。
【0148】
図16(a)および(b)を参照して、コンパレータ回路203の起動時から1μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1およびVS2が論理ローレベル、制御電圧VP0が論理ハイレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST1)。そうすると、スイッチS1P,S1N,S2P,S2Nがオフする。また、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々において、キャパシタCL1およびCL2の放電動作が行なわれる。この動作については本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0149】
次に、コンパレータ回路203の起動時から2μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1が論理ローレベル、制御電圧VS2が論理ハイレベル、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベル、制御電圧VP2が論理ローレベルに設定される(状態ST2)。そうすると、スイッチS2P,S2Nがオンする。また、スイッチS1P,S1Nはオフ状態のままである。このとき、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々のPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ基準電圧VREFが供給される。そして、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々において、基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。この動作については本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0150】
次に、コンパレータ回路203の起動時から3μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1が論理ハイレベル、制御電圧VS2が論理ローレベル、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ハイレベル、制御電圧VP1Bが論理ローレベル、制御電圧VP2が論理ハイレベルに設定される(状態ST3)。そうすると、スイッチS2P,S2Nがオフする。また、スイッチS1P,S1Nがオンする。このとき、差動増幅回路103AのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ入力電圧VIPおよびVINが供給される。そして、差動増幅回路103Aにおいて、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0151】
さらに、差動増幅回路103AにおけるキャパシタCL1およびCL2の各々に充電された電圧は、差動増幅回路103Aの出力電圧VOPおよびVONとして差動増幅回路103BのPチャネルMOSトランジスタMP1のゲートおよびPチャネルMOSトランジスタMP2のゲートにそれぞれ供給される。そして、差動増幅回路103Bにおいて、差動増幅回路103Aの出力電圧VOPおよびVONによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作が行なわれる。
【0152】
これらの充電動作については本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0153】
ここで、コンパレータ回路203の起動時から3μ秒経過した時刻までは、制御電圧VLATCHは論理ローレベルに設定される(状態ST1〜ST3)。
【0154】
次に、コンパレータ回路203の起動時から4μ秒経過した時刻において、制御電圧VS1および制御電圧VS2が論理ローレベル、制御電圧VP0が論理ローレベル、制御電圧VP1が論理ローレベル、制御電圧VP1Bが論理ハイレベルに設定される(状態ST4)。このとき、差動増幅回路103Aおよび103Bの各々において、出力電圧VOPおよびVONのレベルが保持される。
【0155】
そして、コンパレータ回路203の起動時から4μ秒経過した時刻から所定時間経過後、制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルに設定される。ラッチ回路51に供給される制御電圧VLATCHが論理ローレベルから論理ハイレベルになると、ラッチ回路51は、差動増幅回路103Bから受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして出力する。
【0156】
ラッチ回路51によるラッチ動作後は、任意の時間において入力電圧VIPおよびVINの比較結果をラッチ回路51の出力電圧から得ることができる。
【0157】
差動増幅回路103Aおよび103Bにおいては状態ST2およびST3においてのみ電流が消費され、かつラッチ回路51においては、状態ST4のうちのラッチ動作を行なっている期間のみ電流が消費されるため、低消費電流にて電圧比較動作を行なうコンパレータ回路を実現することができる。
【0158】
その他の構成および動作は第3の実施の形態に係る差動増幅回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路におけるオフセット電圧のキャンセル、差動増幅回路の差動増幅動作の高速化および差動増幅回路の利得の向上により、電圧比較精度の向上を図ることができる。
【0159】
また、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路では、差動増幅回路103Aおよび103Bを備える構成により、増幅能力が高くなるため、指数関数的に電圧比較結果を得る時間を早くすることができる。また、増幅能力が高くなることにより、入力電圧VIPおよびVINのより微小な差をラッチ回路51が判定できる電圧にまで増幅できるため、電圧比較精度をさらに向上することができる。
【0160】
なお、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路では、差動増幅回路の段数が2段であるとしたが、これに限定するものではない。段数をさらに増やすことで、より高速でかつ電圧比較精度の高いコンパレータ回路を実現することができる。
【0161】
また、スイッチS1P,S1N,S2P,S2Nの各々は、1個のNチャネルMOSトランジスタであってもよいし、1個のPチャネルMOSトランジスタであってもよいし、また、NチャネルMOSトランジスタおよびPチャネルMOSトランジスタを組み合わせた相補スイッチであってもよい。この場合、各々のスイッチに供給される制御電圧のレベルは、上記状態ST1〜ST4を実現できるように適宜設定すればよい。
【0162】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0163】
<第7の実施の形態>
本実施の形態は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路を備えたADC回路に関する。以下で説明する内容以外は第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0164】
[構成および基本動作]
図17は、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【0165】
図17を参照して、ADC回路501は、逐次比較ADC回路であり、コンパレータ回路201と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路31と、逐次比較レジスタ回路32とを備える。DAC回路31は、電荷再分配型であり、キャパシタC0〜Cn,CAと、スイッチS0〜Sn,SA,SCAとを含む。スイッチS0〜Sn,SA,SCAは、たとえば相補スイッチである。なお、コンパレータ回路201は、コンパレータ回路202であってもよい。
【0166】
VINはADC回路501のアナログ入力電圧であり、VREFはコンパレータ回路201およびDAC回路31の基準電圧であり、VDAC_OUTはDAC回路31の出力電圧である。ADC回路501は、たとえば1個の半導体集積回路として実現される。
【0167】
DAC回路31は、逐次比較レジスタ回路32から受けたn(nは1以上の自然数)ビットのデータに基づいて、キャパシタC0〜Cn,CAを用いて基準電圧VREFを分圧することにより、電圧VDAC_OUTを生成する。
【0168】
キャパシタC0はたとえば100fFの小さい容量値に設定され、キャパシタCAはキャパシタC0と同じ容量に設定される。キャパシタC0の容量値をC0とすると、キャパシタCnからキャパシタC0の各々の容量値Cnは、Cn=2n×C0に設定される。
【0169】
なお、容量値C0を小さく設定しすぎると、ADC回路501の変換結果に対するノイズが増大し、また、キャパシタ間の製造ばらつきによるADC回路501の変換結果の非線形性の増大を招くため、容量値C0を適切な値に設定する必要がある。
【0170】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
【0171】
図18は、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0172】
まず、逐次比較レジスタ回路32がリセットされ、逐次比較レジスタ回路32から出力されるデータのすべてのビットBn〜B0が0となる。ここで、ADC回路501が現在何ビット目の比較動作を行なっているかを示す変数をmとすると、m=nに設定される(ステップS1)。
【0173】
次に、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチS0〜Sn,SAを制御することにより、キャパシタC0〜Cn,CAの第1端とアナログ入力電圧VINが供給されるノードVINとをそれぞれ接続する。また、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチSCAをオンすることにより、キャパシタC0〜Cn,CAの第2端すなわちノードVDAC_OUTと基準電圧VREFが供給されるノードVREFとを接続する(ステップS2)。
【0174】
次に、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチS0〜Sn,SAを制御することにより、キャパシタC0〜Cn,CAの第1端と接地電圧VSSが供給される接地ノードVSSとをそれぞれ接続する。また、逐次比較レジスタ回路32は、スイッチSCAをオフする(ステップS3)。
【0175】
ステップS2およびS3により、アナログ入力電圧VINの電圧値がDAC回路31に読み込まれる。
【0176】
次に、逐次比較レジスタ回路32は、ビットBmすなわちデータのmビット目を論理ハイレベル、ビットBmより下位のビットすなわちビットBm−1〜B0を論理ローレベルに設定する。そうすると、スイッチS0〜Snのうち、ビットBmに対応するスイッチSがオンし、他のスイッチがオフする(ステップS4)。このとき、DAC回路31から出力される電圧すなわちノードVDAC_OUTにおける電圧VDAC_OUTは以下の式で表わされる。
【0177】
【数1】
【0178】
次に、コンパレータ回路201は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの比較動作を行なう。
【0179】
より詳細には、コンパレータ回路201における差動増幅回路101は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをラッチ回路51へ出力する。すなわち、差動増幅回路101は、キャパシタCL1およびCL2の放電動作を行ない(ステップS5)、入力電圧VIPおよびVINによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作を行ない、出力電圧VOPおよびVONのレベル保持動作を行なう(ステップS6)。
【0180】
ラッチ回路51は、ラッチ動作を行なう、すなわち、差動増幅回路101から受けた出力電圧VOPおよび出力電圧VONを比較し、比較結果を表わす論理ハイレベルまたは論理ローレベルのデジタル信号を保持するとともに出力電圧VOUTPおよびVOUTNとして逐次比較レジスタ回路32へ出力する(ステップS7)。
【0181】
逐次比較レジスタ回路32は、コンパレータ回路201から受けた出力電圧VOUTPおよびVOUTNを受けて、電圧VDAC_OUTが基準電圧VREFより小さい場合には(ステップS8でNO)、ビットBmを論理ハイレベルに決定する。一方、電圧VDAC_OUTが基準電圧VREF以上である場合には(ステップS8でYES)、ビットBmを論理ローレベルに決定する(ステップS9)。
【0182】
逐次比較レジスタ回路32は、最下位ビットB0まで比較動作が終了していない場合すなわち変数mが0より大きい場合には(ステップS10でYES)、変数mの値を1小さくしてビットBmの比較動作を行なう(ステップS4〜S7)。
【0183】
一方、逐次比較レジスタ回路32は、変数mが0である場合には、アナログ入力電圧VINのデジタル変換動作を終了する(ステップS10でNO)。
【0184】
以上により、出力電圧VDAC_OUTが基準電圧VREFをぎりぎり超えない状態で逐次比較動作が終了する。最下位ビットB0まで決定したときの逐次比較レジスタ回路32から出力されるビットBn〜B0の(n+1)bitのデータがアナログ入力電圧VINをデジタル値に変換した値となる。
【0185】
その他の構成および動作は第4の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の利得の向上により、アナログ/デジタル変換における有効分解能の向上を図ることができる。
【0186】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0187】
<第8の実施の形態>
本実施の形態は、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路における差動増幅回路を第3の実施の形態に係る差動増幅回路に変更したコンパレータ回路に関する。以下で説明する内容以外は第6の実施の形態に係るコンパレータ回路と同様である。
【0188】
[構成および基本動作]
図19は、本発明の第8の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【0189】
図19を参照して、ADC回路502は、逐次比較ADC回路であり、コンパレータ回路203と、DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路31と、逐次比較レジスタ回路32とを備える。DAC回路31は、電荷再分配型であり、キャパシタC0〜Cn,CAと、スイッチS0〜Sn,SA,SCA,SC1,SC2とを含む。スイッチS0〜Sn,SA,SCA,SC1,SC2は、たとえば相補スイッチである。ここでは、説明を簡単にするために、コンパレータ回路203が、差動増幅回路103を1個だけ含む構成であると仮定する。
【0190】
スイッチSC1は、ノードVDAC_OUTに接続される第1端と、差動増幅回路103の非反転入力端子に接続される第2端とを有する。スイッチSC2は、基準電圧VREFが供給される基準電圧ノードVREFおよび差動増幅回路103の反転入力端子に接続される第1端と、差動増幅回路103の非反転入力端子に接続される第2端とを有する。
【0191】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
【0192】
図20は、本発明の第8の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0193】
図20を参照して、ステップS11〜S14までの動作は本発明の第6の実施の形態に係るADC回路におけるステップS1〜S4までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0194】
次に、コンパレータ回路203は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの比較動作を行なう。
【0195】
より詳細には、コンパレータ回路203における差動増幅回路103は、DAC回路31から受けた電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFの電圧差を増幅し、増幅結果を表わす出力電圧VOPおよびVONをラッチ回路51へ出力する。
【0196】
すなわち、差動増幅回路103は、キャパシタCL1およびCL2の放電動作を行なう(ステップS15)。
【0197】
そして、逐次比較レジスタ回路32におけるスイッチSC1がオフし、スイッチSC2がオンする。これにより、差動増幅回路103の非反転入力端子および反転入力端子の両方にそれぞれ基準電圧VREFが供給される。そして、差動増幅回路103は、オフセット電圧VOSをキャンセルするための、基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作を行なう(ステップS16)。
【0198】
そして、逐次比較レジスタ回路32におけるスイッチSC1がオンし、スイッチSC2がオフする。これにより、差動増幅回路103の非反転入力端子に電圧VDAC_OUTが供給され、差動増幅回路103の反転入力端子に基準電圧VREFが供給される。そして、差動増幅回路103は、電圧VDAC_OUTおよび基準電圧VREFによるキャパシタCL1およびCL2の充電動作を行ない、出力電圧VOPおよびVONのレベル保持動作を行なう(ステップS17)。
【0199】
ステップS18〜S22の動作は本発明の第7の実施の形態に係るADC回路におけるステップS7〜S11の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0200】
したがって、本発明の第8の実施の形態に係るADC回路では、消費電流を低減し、差動増幅動作の高速化を図り、かつ小型化を図ることができる。また、差動増幅回路の利得の向上と、差動増幅回路におけるオフセット電圧のキャンセルによる電圧比較精度の向上とにより、本発明の第7の実施の形態に係るADC回路と比べて、さらに、アナログ/デジタル変換における有効分解能の向上を図ることができる。
【0201】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路における出力電圧の波形図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の消費電流を示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す回路図である。
【図9】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路における制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る差動増幅回路の出力電圧の波形図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路におけるラッチ回路51の構成を示す回路図である。
【図12】(a)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路の消費電流の波形図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路101Aおよび101Bの消費電流の波形図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図16】(a)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの制御電圧の波形図である。(b)は、本発明の第6の実施の形態に係るコンパレータ回路における差動増幅回路103Aおよび103Bの消費電流の波形図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【図19】本発明の第8の実施の形態に係るADC回路の構成を示す図である。
【図20】本発明の第8の実施の形態に係るADC回路がアナログ/デジタル変換を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【符号の説明】
【0203】
21 ラッチ回路本体、22 バッファ回路、23 リセットセットフリップフロップ回路(RSフリップフロップ回路)、31 DAC(デジタル/アナログコンバータ)回路、32 逐次比較レジスタ回路、51 ラッチ回路、101〜103,101A,101B,103A,103B 差動増幅回路、201〜203 コンパレータ回路、501,502 ADC回路、IBS 定電流源、MP1,MP2,MP3,MP4,MP5,MP6,MP7,MP8,MP9,MP10,MP11,MP12,MP13,MP14 PチャネルMOSトランジスタ、MN1,MN2,MN11,MN12,MN13,MN14,MN15,MN16,MN17,MN18,MN21,MN22,MN23,MN24,MN25,MN26,MN27,MN28 NチャネルMOSトランジスタ、CL1,CL2,CL21,CL22,C0〜Cn,CA キャパシタ、G1,G2,G3,G4 インバータ回路、G5,G6 NAND回路、S1P,S1N,S2P,S2N,S0〜Sn,SA,SCA,SC1,SC2 スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流源と、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第1の入力電圧が供給される第1の入力ノードに結合された制御電極とを有する第1のトランジスタと、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第2の入力電圧が供給される第2の入力ノードに結合された制御電極とを有する第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第1の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第3のトランジスタと、
前記第2のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第2の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第4のトランジスタと、
前記第1の出力ノード、前記第3のトランジスタの第2導通電極および前記第4のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第1のキャパシタと、
前記第2の出力ノード、前記第4のトランジスタの第2導通電極および前記第3のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第2のキャパシタとを備える半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は、さらに、
前記第3のトランジスタをオフするための電圧が供給されるノードと、前記第3のトランジスタの制御電極との間に接続された第2端とを有する第1のスイッチと、
前記第4のトランジスタをオフするための電圧が供給されるノードと、前記第4のトランジスタの制御電極との間に接続された第2端とを有する第2のスイッチと、
前記第2のキャパシタの第1端子と前記第3のトランジスタの制御電極との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1のキャパシタの第1端子と前記第4のトランジスタの制御電極との間に接続された第4のスイッチとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、かつ前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、かつ前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1のキャパシタと並列に接続され、前記第1のキャパシタを放電するための第5のスイッチと、
前記第2のキャパシタと並列に接続され、前記第2のキャパシタを放電するための第6のスイッチとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、かつ前記第5のスイッチおよび前記第6のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、かつ前記第5のスイッチおよび前記第6のスイッチがオフし、
前記第2の状態の後の第3の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチないし前記第6のスイッチがオフする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1のトランジスタの第2導通電極と前記第2のキャパシタの第1端子との間に接続される第7のスイッチと、
前記第2のトランジスタの第2導通電極と前記第1のキャパシタの第1端子との間に接続される第8のスイッチとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、かつ前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、かつ前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオフし、
前記第2の状態の後の第3の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、かつ前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオフする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の入力ノードと前記第1のトランジスタの制御電極との間に接続される第9のスイッチと、
前記第2の入力ノードと前記第2のトランジスタの制御電極との間に接続される第10のスイッチと、
基準電圧が供給される基準電圧ノードと前記第1のトランジスタの制御電極との間に接続される第11のスイッチと、
前記基準電圧ノードと前記第2のトランジスタの制御電極との間に接続される第12のスイッチとを備える請求項6記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオンし、前記第9のスイッチおよび前記第10のスイッチがオフし、かつ前記第11のスイッチおよび前記第12のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオフし、前記第9のスイッチおよび前記第10のスイッチがオンし、かつ前記第11のスイッチおよび前記第12のスイッチがオフし、
前記第2の状態の後の第3の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチないし前記第12のスイッチがオフする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、さらに、
定電流源と、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、前記第1の出力ノードに結合された制御電極とを有する第5のトランジスタと、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、前記第2の出力ノードに結合された制御電極とを有する第6のトランジスタと、
前記第5のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第3の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第7のトランジスタと、
前記第6のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第4の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第8のトランジスタと、
前記第3の出力ノード、前記第7のトランジスタの第2導通電極および前記第8のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第3のキャパシタと、
前記第4の出力ノード、前記第8のトランジスタの第2導通電極および前記第7のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第4のキャパシタとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の出力ノードの電圧および前記第2の出力ノードの電圧を比較することにより、前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わす信号を出力するラッチ回路を備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体装置は、さらに、
1ビットまたは複数ビットのデータを出力する逐次比較レジスタ回路と、
アナログ入力電圧および前記逐次比較レジスタ回路の出力データに基づいて比較対象電圧を生成するDAC回路とを備え、
前記第1の入力ノードに前記比較対象電圧が供給され、前記第2の入力ノードに基準電圧が供給され、
前記逐次比較レジスタ回路は、前記ラッチ回路から受けた信号に基づいて前記データを生成し、前記アナログ入力電圧のデジタル変換結果として出力する請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の出力ノードの電圧および前記第2の出力ノードの電圧を比較することにより、前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わす信号を出力するラッチ回路と、
1ビットまたは複数ビットのデータを出力する逐次比較レジスタ回路と、
アナログ入力電圧および前記逐次比較レジスタ回路の出力データに基づいて比較対象電圧を生成するDAC回路と、
前記比較対象電圧を受ける第1端と、前記第1の入力ノードに結合される第2端とを有する第13のスイッチと、
基準電圧が供給されるノードおよび前記第2の入力ノードに結合される第1端と、前記第1の入力ノードに結合される第2端とを有する第14のスイッチとを備え、
前記逐次比較レジスタ回路は、前記ラッチ回路から受けた信号に基づいて前記データを生成し、前記アナログ入力電圧のデジタル変換結果として出力する請求項6記載の半導体装置。
【請求項1】
定電流源と、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第1の入力電圧が供給される第1の入力ノードに結合された制御電極とを有する第1のトランジスタと、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、第2の入力電圧が供給される第2の入力ノードに結合された制御電極とを有する第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第1の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第3のトランジスタと、
前記第2のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第2の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第4のトランジスタと、
前記第1の出力ノード、前記第3のトランジスタの第2導通電極および前記第4のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第1のキャパシタと、
前記第2の出力ノード、前記第4のトランジスタの第2導通電極および前記第3のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第2のキャパシタとを備える半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は、さらに、
前記第3のトランジスタをオフするための電圧が供給されるノードと、前記第3のトランジスタの制御電極との間に接続された第2端とを有する第1のスイッチと、
前記第4のトランジスタをオフするための電圧が供給されるノードと、前記第4のトランジスタの制御電極との間に接続された第2端とを有する第2のスイッチと、
前記第2のキャパシタの第1端子と前記第3のトランジスタの制御電極との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1のキャパシタの第1端子と前記第4のトランジスタの制御電極との間に接続された第4のスイッチとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、かつ前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、かつ前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1のキャパシタと並列に接続され、前記第1のキャパシタを放電するための第5のスイッチと、
前記第2のキャパシタと並列に接続され、前記第2のキャパシタを放電するための第6のスイッチとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、かつ前記第5のスイッチおよび前記第6のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、かつ前記第5のスイッチおよび前記第6のスイッチがオフし、
前記第2の状態の後の第3の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチないし前記第6のスイッチがオフする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1のトランジスタの第2導通電極と前記第2のキャパシタの第1端子との間に接続される第7のスイッチと、
前記第2のトランジスタの第2導通電極と前記第1のキャパシタの第1端子との間に接続される第8のスイッチとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、かつ前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、かつ前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオフし、
前記第2の状態の後の第3の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、かつ前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオフする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の入力ノードと前記第1のトランジスタの制御電極との間に接続される第9のスイッチと、
前記第2の入力ノードと前記第2のトランジスタの制御電極との間に接続される第10のスイッチと、
基準電圧が供給される基準電圧ノードと前記第1のトランジスタの制御電極との間に接続される第11のスイッチと、
前記基準電圧ノードと前記第2のトランジスタの制御電極との間に接続される第12のスイッチとを備える請求項6記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオフし、前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオンし、前記第9のスイッチおよび前記第10のスイッチがオフし、かつ前記第11のスイッチおよび前記第12のスイッチがオンし、
前記第1の状態の後の第2の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオフし、前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチがオンし、前記第7のスイッチおよび前記第8のスイッチがオフし、前記第9のスイッチおよび前記第10のスイッチがオンし、かつ前記第11のスイッチおよび前記第12のスイッチがオフし、
前記第2の状態の後の第3の状態において、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチがオンし、前記第3のスイッチないし前記第12のスイッチがオフする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、さらに、
定電流源と、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、前記第1の出力ノードに結合された制御電極とを有する第5のトランジスタと、
前記定電流源に結合された第1導通電極と、第2導通電極と、前記第2の出力ノードに結合された制御電極とを有する第6のトランジスタと、
前記第5のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第3の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第7のトランジスタと、
前記第6のトランジスタの第2導通電極に結合された第1導通電極と、第4の出力ノードに結合された第2導通電極と、制御電極とを有する第8のトランジスタと、
前記第3の出力ノード、前記第7のトランジスタの第2導通電極および前記第8のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第3のキャパシタと、
前記第4の出力ノード、前記第8のトランジスタの第2導通電極および前記第7のトランジスタの制御電極に結合された第1端子と、第2端子とを有する第4のキャパシタとを備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の出力ノードの電圧および前記第2の出力ノードの電圧を比較することにより、前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わす信号を出力するラッチ回路を備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体装置は、さらに、
1ビットまたは複数ビットのデータを出力する逐次比較レジスタ回路と、
アナログ入力電圧および前記逐次比較レジスタ回路の出力データに基づいて比較対象電圧を生成するDAC回路とを備え、
前記第1の入力ノードに前記比較対象電圧が供給され、前記第2の入力ノードに基準電圧が供給され、
前記逐次比較レジスタ回路は、前記ラッチ回路から受けた信号に基づいて前記データを生成し、前記アナログ入力電圧のデジタル変換結果として出力する請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体装置は、さらに、
前記第1の出力ノードの電圧および前記第2の出力ノードの電圧を比較することにより、前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧の比較結果を表わす信号を出力するラッチ回路と、
1ビットまたは複数ビットのデータを出力する逐次比較レジスタ回路と、
アナログ入力電圧および前記逐次比較レジスタ回路の出力データに基づいて比較対象電圧を生成するDAC回路と、
前記比較対象電圧を受ける第1端と、前記第1の入力ノードに結合される第2端とを有する第13のスイッチと、
基準電圧が供給されるノードおよび前記第2の入力ノードに結合される第1端と、前記第1の入力ノードに結合される第2端とを有する第14のスイッチとを備え、
前記逐次比較レジスタ回路は、前記ラッチ回路から受けた信号に基づいて前記データを生成し、前記アナログ入力電圧のデジタル変換結果として出力する請求項6記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−141755(P2009−141755A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317173(P2007−317173)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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