説明

半導体試験装置

【課題】ユーザの使い勝手を向上することが可能な半導体試験装置を実現する。
【解決手段】異なる速度の低速レート信号と高速レート信号を用いて被試験対象デバイスの試験を行う半導体試験装置において、高速レート信号のレート長が設定されるレート長設定レジスタと、パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出し、この組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換え、低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて調整レート番号のレート長を算出して調整レート番号のレート長設定レジスタに設定する演算制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる速度の低速レート信号と高速レート信号を用いて被試験対象デバイス(以下、DUT(Device Under Test)という)の試験を行う半導体試験装置に関し、詳しくは、ユーザの使い勝手を向上することが可能な半導体試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの種類によっては、高速で動作する回路部分とこの信号よりも低速で動作する回路部分とをそれぞれ有するデバイスが出てきている。このようなデバイスには、例えば、液晶ディスプレイの液晶セルを駆動するLCD(Liquid Crystal Display)ドライバIC(Integrated Circuit)等がある。
【0003】
このような、動作速度の異なる回路部分を有する半導体デバイスの試験に対応するため、近年の半導体試験装置は、高速で動作するブロックと低速で動作するブロックとを有している場合が多くなってきている。このような構成をとる理由の1つとして、半導体試験装置の全てのブロック(ピン)を高速信号に対応させてしまうと、装置自体のコストが大幅にアップしてしまうということが挙げられる。
【0004】
図4は、従来の半導体試験装置の一例を示した構成図である。
図4において、演算制御部1は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等から構成されると共にCPUバスに相互に接続され、半導体試験装置を統括的に制御する。バス変換部2は、CPUバスとローカルバスにそれぞれ相互に接続され、CPUバスサイクルをローカルバスサイクルに変換するブリッジ機能を有する。
【0005】
パターン制御部3は、ローカルバスに相互に接続され、DUTの試験時に演算制御部1の指示に応じてパターンの走行開始を示すパターン走行開始トリガ信号を出力する。高速パターン発生部4は、レート長設定レジスタ4aを有し、レート長設定レジスタ4aの設定に基づいた高速レート信号と、予め記憶されている高速インストラクションに基づいた高速レート番号をそれぞれ発生する。レート長設定レジスタ4aは、高速レート番号毎に用意され、高速レート信号のレート長の設定値が設定される。
【0006】
低速パターン発生部5は、レート長設定レジスタ5aを有し、レート長設定レジスタ5aの設定に基づいた低速レート信号と、予め記憶されている低速インストラクションに基づいた低速レート番号をそれぞれ発生する。レート長設定レジスタ5aは、低速レート番号毎に用意され、低速レート信号のレート長の設定値が設定される。ここで、レート長とは、高速レート信号または低速レート信号の1周期の時間のことをいう。
【0007】
動作を説明する前に、高速信号と低速信号間の同期を取るための高速レート信号のレート長の調整について図5を用いて説明する。図5は、低速/高速同期パターンプログラムの一例である。図4に示す半導体試験装置では、DUTに対し、速度の異なる高速信号と低速信号の2系統の信号が入出力する。ここで、高速信号は、DUTへ出力される高速出力信号およびDUTから入力される信号を期待値と比較して一致/不一致を判定する高速ストローブ信号のことをいう。一方、低速信号は、DUTへ出力される低速出力信号およびDUTから入力される信号を期待値と比較して一致/不一致を判定する低速ストローブ信号のことをいう。
【0008】
高速出力信号および低速出力信号はドライバ回路(図示せず)を介してDUTへ出力され、DUTからの高速入力信号および低速入力信号はコンパレータ回路(図示せず)を介して半導体試験装置に入力される。
【0009】
高速タイミング発生部(図示せず)は、高速レート信号の立ち上がりエッジ間で示される時間(高速レート信号の1周期の時間)毎にタイミングエッジを発生させる。同様に、低速タイミング発生部(図示せず)は、低速レート信号のエッジ間で示される時間(低速レート信号の1周期の時間)毎にタイミングエッジを発生させる。発生できるタイミングエッジの数は、半導体試験装置の仕様で決まる。また、コンパレータ回路(図示せず)は、予め設定された比較電圧とDUTからの入力信号を比較して比較結果信号を出力する。そして、判定部(図示せず)にて、ストローブ信号のタイミングで比較結果信号と期待値を比較して一致/不一致を判定する。
【0010】
これらのタイミングエッジの設定は、高速レート信号または低速レート信号の立ち上がりエッジからの時間で定義され、エッジ設定レジスタ(図示せず)によりレート毎/タイミングエッジ毎/ピン毎に設定することができる。なお、高速レート信号または低速レート信号が立ち下がりエッジでその期間の開始または終了を示す場合には、タイミングエッジの設定は、高速レート信号または低速レート信号の立ち下がりエッジからの時間で定義される。
【0011】
一例として、図5に示すように、高速パターン発生部4および低速パターン発生部5が同期して動作するようなパターンプログラムをユーザが記述すると仮定する。高速パターン発生部4は、図5における高速インストラクションおよび高速レートに従い動作し、低速パターン発生部5は、図5における低速インストラクションおよび低速レートに従い動作する。同様に、高速タイミング発生部(図示せず)は、図5における高速ピン設定に従い動作し、低速タイミング発生部(図示せず)は、図5における低速ピン設定に従い動作する。
【0012】
図5において、HTm(mは1以上の整数)は高速レート番号を表し、Tn(nは1以上の整数)は低速レート番号を表している。高速レート番号に対応するレート長は、高速パターン発生部4のレート長設定レジスタ4aに設定され、低速レート番号に対応するレート長は、低速パターン発生部5のレート長設定レジスタ5aに設定される。また、高速レート番号に対応するピン毎、タイミングエッジ毎のエッジ設定は、高速タイミング発生部(図示せず)のエッジ設定レジスタに設定され、低速レート番号に対応するピン毎、タイミングエッジ毎のエッジ設定は、低速タイミング発生部(図示せず)のエッジ設定レジスタに設定される。
【0013】
半導体試験装置の制約により、図5に示すブロックの区切りの度に低速レート信号のレート長と高速レート信号の合計のレート長を揃える必要がある。例えば、図5のブロック2では、
T4=HT4+(HT5×10)+(HT4×106)+(HT6×10)+(HT4×15)+(HT4×598)+HT4 (1)
となる必要がある。
【0014】
実際には、高速レート信号のレート長は、ユーザによりテストプログラムに記述されるが、低速レート信号のレート長は、演算制御部1が、テストプログラムの実行時に自動的に算出した値となる。例えば、図5のブロック2では、低速レート番号T4のレート長は、(1)式の右辺で示される高速レート信号の合計のレート長となる。なお、テストプログラムは、DUTの試験内容(手順)が記載されており、半導体試験装置は、このテストプログラムに従って試験を実行する。
【0015】
上述した前提を基に、図4に示す半導体試験装置の動作を説明する。演算制御部1は、CPUバス、バス変換部2およびローカルバスを介して、高速パターン発生部4のレート長設定レジスタ4aに高速レート信号のレート長を設定すると共に低速パターン発生部5のレート長設定レジスタ5aに低速レート信号のレート長を設定し、その他のパターン走行に必要な設定を行う。
【0016】
そして、演算制御部1は、パターン制御部3へパターン走行の開始を指示する。パターン制御部3は、演算制御部1からの指示を受けて、高速パターン発生部4および低速パターン発生部5に対して、パターン走行開始トリガ信号を出力する。高速パターン発生部4は、演算制御部1からのパターン走行開始トリガ信号を受けて、高速インストラクションに従い動作し、高速レート信号と高速レート番号を高速タイミング発生部(図示せず)へ出力する。同様に、低速パターン発生部5は、演算制御部1からのパターン走行開始トリガ信号を受けて、低速インストラクションに従い動作し、低速レート信号と低速レート番号を低速タイミング発生部(図示せず)へ出力する。そして、高速レート信号、高速レート番号、低速レート信号および低速レート番号を用いてDUTの試験を行う。
【0017】
特許文献1には、比較的低速なLSIテスタを基本に安価な構成で、チャネル数の減少及びパターンの発生に関して制約を伴わずにより高速な試験モードを可能とし、且つ、フォーマット・オンザフライも可能とするLSIテスタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平5−87883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、図4および図5に示す従来例において、高速レート信号および低速レート信号のレート長の時間設定の分解能(設定可能な最小単位時間)が異なるため、(1)式に示すように、高速レート信号の合計のレート長が低速レート信号のレート長の時間分解能に必ずしも一致するとは限らない。そのため、一致させるために、ユーザが高速レート信号のレート長の微調整や高速パターン数の追加等を行う必要がある。
【0020】
ユーザが行う高速レート信号のレート長の微調整を図6および図7を用いて説明する。図6は、低速/高速同期パターンプログラムを変換した一例である。図7は、低速パターン信号および高速パターン信号のタイミングチャートの一例である。
【0021】
例えば、図6に示すように、ブロック2の最後のサイクルに使用されている高速レート番号HT4をHT16に置き換え、ブロック5の最後のサイクルに使用されている高速レート番号HT1をHT17に置き換えることにより、高速レート信号の合計のレート長を低速レート信号のレート長の時間分解能に一致させる。この時、図7に示すように、置き換えた高速レート番号のレート長は微調整が必要となる。
【0022】
一方、タイミングエッジの設定は変更不要となる。ただし、高速レート番号は、調整用の高速レート番号(調整レート番号)に変更されるため、調整レート番号のタイミングエッジ設定を、調整前の高速レート番号のタイミングエッジ設定と同じ設定にする必要がある。図6の例では、高速レート番号HT16のタイミングエッジ設定を高速レート番号HT4のタイミングエッジ設定と同じ設定にし、高速レート番号HT17のタイミングエッジ設定を高速レート番号HT1のタイミングエッジ設定と同じ設定にする。
【0023】
しかし、半導体試験装置のユーザが、DUTのファンクションテストで使用するパターンプログラムにおいて、置き換えた高速レート番号のレート長の調整作業を、高速レート番号の組み合わせが異なる全ての同期区間に対して手動で行わなければならないのは、非常に負担が大きいという問題があった。
【0024】
また、調整レート番号に未使用の高速レート番号を割り当てるため(図6の例ではHT16とHT17)、試験で使用できる高速レート番号が減少して数が足りなくなるという問題もあった。
【0025】
そこで本発明の目的は、ユーザの使い勝手を向上することが可能な半導体試験装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
請求項1記載の発明は、
異なる速度の低速レート信号と高速レート信号を用いて被試験対象デバイスの試験を行う半導体試験装置において、
前記高速レート信号のレート長が設定されるレート長設定レジスタと、
パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出し、この組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換え、前記低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて前記調整レート番号のレート長を算出して前記調整レート番号の前記レート長設定レジスタに設定する演算制御部と
を備えたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記レート長設定レジスタは、
高速レート用レジスタと調整レート用レジスタを有し、前記調整レート用レジスタは前記高速レート用レジスタと同じ数だけ用意されていることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、
前記演算制御部は、
前記パターンプログラムに設定されている前記高速レート番号の組み合わせを抽出する高速レート抽出手段と、
抽出された前記高速レート番号の組み合わせの中の1つの高速レート番号を前記調整レート番号に置き換える高速レート置き換え手段と、
前記低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて前記調整レート番号のレート長を算出するレート値算出手段と、
このレート値算出手段で算出された前記レート長を前記調整レート番号の前記レート長設定レジスタに設定するレート値設定手段と
を有することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、
前記演算制御部は、
前記レート長以外の設定に関して、置換前の前記高速レート番号に関係するレジスタの設定値を置換後の前記調整レート番号に関係するレジスタに設定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、以下のような効果がある。
異なる速度の低速レート信号と高速レート信号を用いて被試験対象デバイスの試験を行う半導体試験装置において、高速レート信号のレート長が設定されるレート長設定レジスタと、パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出し、この組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換え、低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて調整レート番号のレート長を算出して調整レート番号のレート長設定レジスタに設定する演算制御部とを備えたことにより、ユーザが低速レート信号の分解能に一致するように高速レート信号のレート長を微調整する必要が無くなるので、ユーザの使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の半導体試験装置の一実施例を示した構成図である。
【図2】演算制御部の一実施例を示した構成図である。
【図3】図5に示す低速/高速同期パターンプログラムを変換した一例である。
【図4】従来の半導体試験装置の一例を示した構成図である。
【図5】低速/高速同期パターンプログラムの一例である。
【図6】低速/高速同期パターンプログラムを変換した一例である。
【図7】低速パターン信号および高速パターン信号のタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の半導体試験装置の一実施例を示した構成図である。ここで、図4と同一のものは同一符号を付し、説明を省略する。図1において、図4に示す構成と異なる点は、演算制御部1の代わりに演算制御部10が設けられている点、高速パターン発生部4の代わりに高速パターン発生部20が設けられている点である。
【0030】
演算制御部10は、図4に示す演算制御部1と同様に、CPUやメモリ等から構成されると共にCPUバスに相互に接続され、半導体試験装置を統括的に制御する。また、演算制御部10は、パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出し、この組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換え、低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて調整レート番号のレート長を算出して調整レート番号のレート長設定レジスタに設定する。
【0031】
高速パターン発生部20は、レート長設定レジスタ20aを有し、レート長設定レジスタ20aの設定に基づいた高速レート信号と、予め記憶されている高速インストラクションに基づいた高速レート番号をそれぞれ発生する。レート長設定レジスタ20aは、高速レート番号毎に用意され、高速レート信号のレート長の設定値が設定される。また、レート長設定レジスタ20aは、高速レート用レジスタと調整レート用レジスタを有し、調整レート用レジスタは高速レート用レジスタと同じ数だけ用意されている。
【0032】
また、図2は、演算制御部10の一実施例を示した構成図である。図2において、演算制御部10は、高速レート抽出手段11、高速レート置き換え手段12、レート値算出手段13およびレート値設定手段14を有している。高速レート抽出手段11は、パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出する。高速レート置き換え手段12は、高速レート抽出手段11で抽出された高速レート番号の組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換える。
【0033】
レート値算出手段13は、低速レート信号のレート長の分解能に基づいて、高速レート置き換え手段12で置き換えた調整レート番号のレート長を算出する。具体的には、レート値算出手段13は、高速レート置き換え手段12で置き換えた組み合わせで示される高速レート信号のレート長の合計が低速レート信号のレート長の時間分解能の整数倍のレート長と一致するように、置き換えた調整レート番号のレート長を算出する。
【0034】
例えば、レート値算出手段13は、高速レート置き換え手段12で置き換えられた高速レート番号のレート長以上であり、低速レート信号のレート長の時間分解能に一致する最小値を調整レート番号のレート長として算出する。レート値設定手段14は、レート値算出手段13で算出されたレート長を調整レート番号のレート長設定レジスタ20aに設定する。
【0035】
このような半導体試験装置の動作を図3を用いて説明する。
図3は、図5に示す低速/高速同期パターンプログラムを変換した一例である。図5に示すように、例えば、ブロック2およびブロック5のパターンにおいて、高速レート信号の合計のレート長が低速レート信号のレート長の時間分解能に一致していないものとする。
【0036】
また、本実施例の半導体試験装置は、高速レート番号がHT1〜HT32の32個の高速レート信号が設定でき、高速レート信号のレート長の調整用に調整レート番号がHT33〜HT64の32個の高速レート信号を用意しているものとする。さらに、調整レート番号HT33〜HT64は、ユーザ非公開として、テストプログラムまたはパターンプログラムでユーザが記述できないものとする。
【0037】
演算制御部10の高速レート抽出手段11は、図5に示すパターンプログラムのビルド時に、このパターンプログラムに出現する全ての同期区間のサイクルを自動的に解析し、高速レート番号の組み合わせを抽出する。具体的には、(2)式に示す図5のブロック2の組み合わせと(3)式に示す図5のブロック5の組み合わせを抽出する。
T4=HT4+(HT5×10)+(HT4×106)+(HT6×10)+(HT4×15)+(HT4×598)+HT4 (2)
T4=HT1+(HT1×10)+(HT8×106)+(HT1×10)+(HT4×15)+(HT1×598)+HT1 (3)
【0038】
そして、演算制御部10の高速レート置き換え手段12は、図5のブロック2の最後のサイクルに使用されている高速レート番号HT4を調整レート番号HT33に置き換える。同様に、高速レート置き換え手段12は、図5のブロック5の最後のサイクルに使用されている高速レート番号HT1を調整レート番号HT34に置き換える。なお、パターンプログラムのビルドデータには、(2)式に示す組み合わせ、置換前の高速レート番号HT4および置換後の調整レート番号HT33の情報が格納され、(3)式に示す組み合わせ、置換前の高速レート番号HT1および置換後の調整レート番号HT34の情報が格納される。
【0039】
演算制御部10のレート値算出手段13は、DUTのファンクションテスト実行時(パターン走行前)に、ユーザがテストプログラムに記述した高速レート番号HT4のレート長に基づき、高速レート番号HT4のレート長以上で低速レート信号のレート長の時間分解能に一致する最小値を調整レート番号HT33のレート長として算出する。同様に、演算制御部10のレート値算出手段13は、ユーザがテストプログラムに記述した高速レート番号HT1のレート長に基づき、高速レート番号HT1のレート長以上で低速レート信号のレート長の時間分解能に一致する最小値を調整レート番号HT34のレート長として算出する。
【0040】
そして、演算制御部10のレート値設定手段14は、レート値算出手段13で算出された高速レート番号HT33のレート長と高速レート番号HT34のレート長を高速パターン発生部20のレート長設定レジスタ20aへそれぞれ設定する。
【0041】
また、演算制御部10は、レート長以外の設定に関して、置換前の高速レート番号HT4(HT1)に関係するレジスタの設定値を置換後の調整レート番号HT33(HT34)に関係するレジスタに設定する。各部の設定が完了すると、演算制御部10は、パターンを走行させてDUTの試験を実行する。
【0042】
このように、演算制御部10が、パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出し、この組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換え、低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて調整レート番号のレート長を算出して調整レート番号のレート長設定レジスタに設定することにより、ユーザが低速レート信号のレート長の時間分解能に一致するように高速レート信号のレート長を微調整する必要が無くなるので、ユーザの使い勝手を向上することができる。
【0043】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示すようなものでもよい。
(1)図1〜3に示す実施例において、演算制御部10の高速レート置き換え手段12が、高速レート抽出手段11で抽出された高速レート番号の組み合わせのうち、最後のサイクルに使用されている高速レート番号を調整レート番号に置き換える構成を示したが、置き換える高速レート番号は最後のサイクルに限定されず、組み合わせのうちのどのサイクルの高速レート番号を置き換えてもよい。
【0044】
(2)図1〜3に示す実施例において、調整レート番号HT33〜HT64をユーザ非公開とする構成を示したが、ユーザに公開してもよい。ただし、この場合、低速レート信号の分解能に一致させるために高速レート信号のレート長の微調整が必要な時は、ユーザが調整レート番号HT33〜HT64を使用できなくなるという制限を設けることになる。
【0045】
(3)図1〜3に示す実施例において、演算制御部10のレート値算出手段13が、高速レート置き換え手段12で置き換えの対象となった高速レート番号のレート長に基づき、この高速レート番号のレート長以上で低速レート信号のレート長の時間分解能に一致する最小値を調整レート番号のレート長として算出する構成を示したが、必ずしも低速レート信号のレート長の時間分解能に一致する最小値でなくてもよく、低速レート信号のレート長の時間分解能に一致する値であればよい。この場合、パターンの走行時間(テスト時間)が長くなる。
【符号の説明】
【0046】
10 演算制御部
11 高速レート抽出手段
12 高速レート置き換え手段
13 レート値算出手段
14 レート値設定手段
20a レート長設定レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる速度の低速レート信号と高速レート信号を用いて被試験対象デバイスの試験を行う半導体試験装置において、
前記高速レート信号のレート長が設定されるレート長設定レジスタと、
パターンプログラムに設定されている高速レート番号の組み合わせを抽出し、この組み合わせの中の1つの高速レート番号を調整レート番号に置き換え、前記低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて前記調整レート番号のレート長を算出して前記調整レート番号の前記レート長設定レジスタに設定する演算制御部と
を備えたことを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記レート長設定レジスタは、
高速レート用レジスタと調整レート用レジスタを有し、前記調整レート用レジスタは前記高速レート用レジスタと同じ数だけ用意されていることを特徴とする請求項1記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記演算制御部は、
前記パターンプログラムに設定されている前記高速レート番号の組み合わせを抽出する高速レート抽出手段と、
抽出された前記高速レート番号の組み合わせの中の1つの高速レート番号を前記調整レート番号に置き換える高速レート置き換え手段と、
前記低速レート信号のレート長の時間分解能に基づいて前記調整レート番号のレート長を算出するレート値算出手段と、
このレート値算出手段で算出された前記レート長を前記調整レート番号の前記レート長設定レジスタに設定するレート値設定手段と
を有することを特徴とする請求項1または2記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記演算制御部は、
前記レート長以外の設定に関して、置換前の前記高速レート番号に関係するレジスタの設定値を置換後の前記調整レート番号に関係するレジスタに設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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