説明

半導体集積回路およびスイッチング電源装置

【課題】専用の端子を新たに設けることなく、外部から入力されたモード切替信号を検出できるようにする。
【解決手段】制御用IC10は、ゼロ電流検出端子ZCDに入力される補助巻線N3の電圧から半導体スイッチQ1のターンオフを検出する比較器CP1と、そのターンオフ検出から所定時間をカウントするタイマ21と、電流検出端子ISに入力される電圧から半導体スイッチQ1がオンしている時の通常の第1の電圧信号とは異なる第2の電圧信号を検出する比較器CP2とを備え、既存の電流検出端子ISでモード切替回路15a,15bにより供給される第2の電圧信号をも検出できるようにした。半導体スイッチQ1のターンオフから所定時間後に第2の電圧信号を検出することにより、専用の端子を新設することなく、たとえば過電流制限スレッシュレベル変更回路28による動作モードの切り替えが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に絶縁トランスの一次側巻線に流れる電流値と出力電圧から帰還されたフィードバック信号とを比較して出力電圧の安定化を行う電流モード制御タイプのスイッチング電源装置の制御用集積回路に適用して好適な半導体集積回路およびこのような半導体集積回路を備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置は、たとえば携帯電話機、デジタルカメラなどの電子機器に搭載され、入力電圧を昇圧または降圧して負荷へ供給するために用いられている。こうしたスイッチング電源装置においては電子機器が要求する電源仕様に応じて、電源動作に関する状態を様々な方法で設定している。
【0003】
スイッチング電源装置に関するスイッチング周波数などの重要パラメータは、電源ノイズ特性、部品サイズ、部品の耐圧、温度上昇などに影響を与えるため、いくつかの設定方法が考えられている。下記の特許文献1に示されるスイッチング電源回路は、直流電源から供給される直流電圧を昇圧して負荷である6個直列接続の白色発光ダイオードに供給し、これらの白色発光ダイオードを駆動しようとするものである。このスイッチング電源回路には、スイッチング周波数を調整するために、昇圧チョッパレギュレータの発振回路に外付け抵抗が調整抵抗として設けられている。
【0004】
通常、スイッチング電源回路を携帯機器、液晶テレビ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤなどの電子機器に使用する場合、スイッチング電源回路から発生するノイズには、電子機器内の他の集積回路に悪影響を及ぼすノイズと及ぼさないノイズとがある。特許文献1に示されたスイッチング電源回路の発明は、外付け抵抗の抵抗値とスイッチング周期とが線形関係にあることから、スイッチング周期を外付け抵抗一つの取替えで自由に変化させることができるようにして、発生ノイズの調整を容易にしている。しかし、昇圧チョッパレギュレータを含む電源制御IC(集積回路)に対してこの発明を適用するためには、新たに周波数調整抵抗を接続する専用端子が必要になるといった問題が残されている。
【0005】
スイッチング電源装置を制御するための電源制御ICは、コストやパッケージ面積などを抑えるという要請からその端子数が限られてくる。そのため、電源制御ICには、上述したスイッチング周波数以外のパラメータを設定する専用端子が設けられていないケースが多い。この場合、多様な電子機器の電源仕様に応じるために、電源制御IC自体のラインアップを増やすことで対応せざるをえない。
【0006】
しかし、電子機器の電源仕様別に電源制御ICのラインアップが増えれば、製品のコストアップにも繋がる。そこで、電子機器のコスト低減のためには、一つの電源制御ICで必要な複数種類の動作状態の選択が可能な製品が求められてくる。
【0007】
こうした要請に応じるものとして、下記の特許文献2には多機能キャパシタを利用して電源制御ICの端子数を増やすことなしに、電源制御ICの初期化期間中に動作状態の設定を行う発明が開示されている。この発明は、複数の機能パラメータや動作モードから選択を行うために、たとえば集積回路のピンに結合される特定の多機能キャパシタの容量値を選択するなどして、単一部品で複数の動作状態の設定を実現しようとするものである。ここで、多機能キャパシタとは、初期化期間において機能パラメータ、動作モードまたは他のデバイス特性を設定する以外に、通常の集積回路の動作中に何らかの通常機能を有するものである。たとえば、電源ピンデカップリングキャパシタまたはフィードバックピンループ補償キャパシタなどが初期化中におけるパラメータ/モード選択キャパシタとして利用することができる。
【0008】
この特許文献2では、上述した電源ピンデカップリングキャパシタやフィードバックピンループ補償キャパシタなど、本来は他の目的で配置されたキャパシタをモード設定に流用すべく、キャパシタの容量値が決定され、適切にモード設定が行われる。しかし、初期化期間でのモード設定が終了した後には、当該キャパシタはその本来の目的のために使われることになる。そのため、これらのキャパシタの容量値は、その本来の目的を実現するために適した大きさに設定されていなければならない。
【0009】
ここで、フィードバックピンループ補償キャパシタは、本来の目的が電源制御ICのフィードバックピンループの周波数特性を補償することであって、スイッチング電源装置における電源制御のフィードバックループが不安定にならないように配置されるものである。このフィードバックピンループ補償キャパシタは、容量値がフィードバックループの安定に最適な値より小さく設定されていれば、系は不安定になって発振する。反対に、最適値より大きく設定されていれば、電源システムとしての応答が遅くなり、たとえば負荷が変動してもすぐには出力電圧を回復できない。したがって、このキャパシタの容量値は、フィードバック系の応答へ与える影響が大きく、その変更によって位相補償の調整が制限されたり、電源が異常発振したりするなど、スイッチング電源装置の設計自体を制約するという問題があった。
【0010】
また、一般に、電源制御ICに電源電圧を供給する方法には、次の3種類のケースが想定される。第1のケースは、上述した特許文献2のように別の端子に接続された外部電源から内部レギュレータで電源電圧を作るものである。第2のケースは、起動時の初期化期間には外部電源に接続された(第1のケースの内部レギュレータに相当する)起動回路により生成される起動電流で電源電圧を作り、通常動作時には補助巻線から電源電圧の供給を受けるものである。第3のケースは、外部の電源を利用するものである。
【0011】
電源ピンデカップリングキャパシタを多機能キャパシタとして利用するために、当該キャパシタを充電するための定電流を生成するレギュレータが電源制御IC内に必要である。電源ピンデカップリングキャパシタは、電源制御IC自体に電源を供給するために、電源制御ICの電源ピン(とグランドピンとの間)に接続されるものだからである。ところが、電源ピンデカップリングキャパシタは、電源制御ICの消費電流が大きくなって電源供給が間に合わなくなったり、電源電圧の変動があったりしたときのバッファとして機能するものである。また、電源ピンデカップリングキャパシタは、電源ライン上のリップルなどのノイズを除去するためにも機能している。そこで、こうした本来の目的を実現する上では、電源ピンデカップリングキャパシタの容量値をある程度大きくする必要がある。そのため、短期間に定電流で電源ピンデカップリングキャパシタの大きな容量値を充電しようとするとき、レギュレータからの定電流値を大きく設定しておく必要があり、大きい定電流を発生させるために規模の大きなレギュレータを用いなければならない。したがって、多機能キャパシタの利用には、コスト上の問題が生じる。
【0012】
また、第3のケースでは、電源ピンを外部電源に接続して電源を供給しているため、常に電源ピンデカップリングキャパシタが外部電源と接続された状態になる。ところが、このような接続状態で電源ピンデカップリングキャパシタを定電流により充電しても、外部電源からの電流で充電されたのか、電源制御ICで生成された定電流で充電されたのかの判別ができない。すなわち、電源ピンデカップリングキャパシタを初期化期間にモード設定に利用するには、電源ピンを外部電源から切り離す必要があって、この切り離しのための回路が電源制御ICの外部に設けられることになる。したがって、特許文献2の方法は、第3のケースに適用してパラメータ/モードを設定するには不適切なものといえる。
【0013】
以上、特許文献2の多機能キャパシタを利用する方法は、通常の機能に直接影響してしまうため使い方が難しい、規模の大きなレギュレータを設ける必要があってコストアップに繋がる、電源電圧の供給方式によっては適用することができない、などの問題があった。
【0014】
さらに別の特許文献3には、端子数を増加させずにモード切替信号を入力するようにした半導体集積回路についての記載がある。ここでは、通常動作に必要な端子のうち通常動作時の入力電圧範囲が電源電圧および接地電位との間に差がある端子を利用して、当該端子に電源電圧近くの電圧または接地電位近くの電圧を入力したとき、半導体集積回路のモードの切り替えを行うようにしている。したがって、特許文献3の技術によれば、端子数を増加させることなくモード切替信号を入力することができる半導体集積回路が提供できる。
【0015】
ところが、特許文献3では、電源制御ICのフィードバック信号が入力されるフィードバック端子を使って、テストモードと通常動作モードの切り替えを行うようにしている。したがって、フィードバック端子に対してモード設定信号とフィードバック信号とを切り替えて供給するためには、電源制御ICの外部に、モード設定信号を発生するとともにモード設定信号とフィードバック信号とを切り替える回路を設けなければならない。こうしたモード切り替えのやり方は、電源制御ICを製品に実装する前のテストであれば問題ないが、スイッチング電源装置に実装した後では実行することは困難である。
【0016】
特許文献1〜3における上記の問題に対し、本出願人は、PCT/JP2010/054218を出願した。これは、制御出力用の端子またはセンス電流信号入力用の端子に状態判定用の抵抗を付加し、電源の立ち上がり時にこの抵抗値を読み込み、その大きさによって動作モードを設定するようにするものである。ただし、初期にモード設定することを前提としていて、動作中のモード変更に対応するものではない。
【0017】
これに対し、特許文献4ではトランスの二次側出力巻線の出力電圧を検出するための制御巻線(補助巻線)の出力をフォトカプラでプルダウンさせることにより、モードの変更を制御部に指示するものである。制御部を構成する電源制御ICからすると、これは制御巻線の出力を受ける専用端子を必要とするということになる。交流電源を整流したものまたは高電圧の直流電源を入力とするトランスを用いたスイッチング電源装置を構成する場合、補助巻線はまず制御部を構成する電源制御ICに電源を供給することに使われるのが一般的だからである。
【0018】
すなわち、電源供給を補助巻線から受ける場合、それを受ける端子には電源供給を安定化させるためにある程度容量値の大きいコンデンサを接続させるので、専用端子を設けずにこの端子に特許文献4の方法を適用しても、モード切り替えのための信号をうまく伝えられない場合がある。モード切り替えのための信号をうまく伝えられる場合でも、電源安定化用コンデンサの電荷を放電させてしまうので電源制御ICの動作が不安定になったり消費電流が増えたりするなどの問題を引き起こしてしまうという問題点がある。したがって、どうしてもモード変更の信号を受けるための別端子を設ける必要があった。この別端子を設けた具体的構成例を以下に示す。
【0019】
図4は従来のスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図、図5は従来のスイッチング電源装置の基本部分の動作波形を示す図である。
図示のスイッチング電源装置は、自励発振を利用したスイッチングを行うスイッチング電源であり、トランスTと、半導体スイッチQ1と、制御用IC100と、フィードバック回路11とを有している。トランスTは、一次巻線N1、二次巻線N2および補助巻線N3を有している。トランスTの一次巻線N1の一端には、直流電源12が接続されている。トランスTの一次巻線N1の他端は、半導体スイッチQ1および電流検出用の抵抗R1を介して接地されている。トランスTの二次巻線N2は、ダイオードD1および出力コンデンサC1による整流平滑回路を介してこのスイッチング電源装置の出力端子13に接続されている。
【0020】
半導体スイッチQ1は、ここではNチャネルのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)としている。半導体スイッチQ1のドレインは、トランスTの一次巻線N1に接続され、ソースは、抵抗R1に接続され、ゲートは、制御用IC100の制御出力端子OUTに接続されている。
【0021】
トランスTの補助巻線N3は、制御用IC100のゼロ電流検出端子ZCDに接続され、ダイオードD2を介して制御用IC100の電源端子VCCに接続されている。
スイッチング電源装置の正極側の出力端子13には、フィードバック回路11が接続されている。このフィードバック回路11は、出力端子13の出力電圧の変動を検出する抵抗R2,R3と、シャントレギュレータ14と、フォトカプラPC1e,PC1rと、電流制限用の抵抗R4とを有している。受光側のフォトカプラPC1rは、制御用IC100のフィードバック端子FBに接続されている。シャントレギュレータ14は、抵抗R2,R3によって検出された出力電圧の変動に応じた電流を発光側のフォトカプラPC1eに流し、受光側のフォトカプラPC1rがその変動に対応する誤差信号を制御用IC100のフィードバック端子FBに入力する。
【0022】
ここで、制御用IC100が半導体スイッチQ1をオフさせているとき、抵抗R1には電流が流れないので、電流検出端子ISに入力される信号は0になっている。制御出力端子OUTから半導体スイッチQ1をオンさせる信号が出力されると、半導体スイッチQ1は、オンとなる。これにより、トランスTの一次巻線N1および半導体スイッチQ1に電流が流れ、一次巻線N1には電磁エネルギが蓄積される。この期間に一次巻線N1に蓄えられた電磁エネルギは、半導体スイッチQ1がオフの期間に二次巻線N2からダイオードD1を通して出力コンデンサC1に放出される。
【0023】
スイッチング電源装置の出力電圧は、直流電源12の入力電圧や負荷の大小により変動してしまうので、規定の出力電圧に対する誤差分をフィードバック回路11が制御用IC100にフィードバックする。このフィードバック信号と一次巻線N1および半導体スイッチQ1に流れる電流を抵抗R1により電圧変換した信号とを比較することにより、半導体スイッチQ1がオンしているデューティをコントロールし、出力電圧の安定化を図る動作を行う。
【0024】
したがって、図5の波形に示すように、半導体スイッチQ1がオンからオフに変化するタイミングは、フィードバック端子FBにおけるフィードバック端子電圧/n(またはこれをレベルシフトした電圧)と電流検出端子ISにおける電圧とが一致したときとなる。一方、半導体スイッチQ1がオンするタイミングは、ゼロ電流検出端子ZCDの検出電圧が0に近づいたときである。すなわち、半導体スイッチQ1がオフして一次巻線N1に蓄えられた電磁エネルギが二次巻線N2を通して出力に放出されると、二次巻線N2の電圧および一次巻線N1の電圧が低下する。この状態は、補助巻線N3にも伝達されるので、この電圧をゼロ電流検出端子ZCDに入力して、その検出電圧が0に近づいたことを検出すると、半導体スイッチQ1をONさせる。すなわち、ゼロ電流検出端子ZCDは、半導体スイッチQ1をターンオンさせるべきタイミングを検出するためのものである。この半導体スイッチQ1のオン/オフを繰り返すことにより、出力電圧の安定化制御を行っている。
【0025】
たとえば、このスイッチング電源装置の出力電圧が低下しようとする場合、フィードバック端子FBの電圧は上昇してくる。すると、フィードバック端子電圧/nが電流検出端子ISの電圧(またはこれをレベルシフトした電圧)と一致するまでの半導体スイッチQ1のオン期間が長くなり、一次巻線N1へのエネルギ蓄積量が多くなるので、出力電圧を上昇させるように働く。
【0026】
また、このスイッチング電源装置は、モード切替回路15を備えている。このモード切替回路15は、モード切替信号入力端子16を有し、このモード切替信号入力端子16は、抵抗R5を介してトランジスタQ2のベースに接続されている。トランジスタQ2のベースとエミッタとの間には、抵抗R6が接続され、エミッタは接地されている。トランジスタQ2のコレクタは、発光側のフォトカプラPC2eおよび抵抗R7を介してスイッチング電源装置の正極側の出力端子13に接続されている。受光側のフォトカプラPC2rは、制御用IC100の切替信号検出端子MCに接続され、プルアップ抵抗R8を介して制御用IC100の電源端子VCCに接続されている。
【0027】
モード切替信号入力端子16に入力されるモード切替信号がH(High)レベルであると、トランジスタQ2がオンして発光側のフォトカプラPC2eが発光する。これにより受光側のフォトカプラPC2rがオンして、切替信号検出端子MCの電位がL(Low)レベルになる。また、モード切替信号がLレベルであると、トランジスタQ2がオフして発光側のフォトカプラPC2eは発光しない。これにより受光側のフォトカプラPC2rがオフして、切替信号検出端子MCの電位がHレベルになる。制御用IC100は、切替信号検出端子MCの電位がLレベルであるかHレベルであるかによってモードの切り替えを行う。
【0028】
以上のように、従来のスイッチング電源装置の回路では、モードの切り替えを行いたい場合、制御用IC100に切替信号検出端子MCを別個に設けていた。また、一次側と二次側の絶縁状態を保ちたい場合は、フォトカプラPC2e,PC2rを使用していた。そして、動作モードを切り替えるときには、外部からモード切替信号を入力して、切替信号検出端子MCの論理状態を変化させ、これを制御用IC100の内部回路で検出して所定の動作に切り替えることを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2007−14082号公報(段落番号〔0039〕〜〔0046〕など参照)
【特許文献2】特開2007−73954号公報(段落番号〔0003〕〜〔0028〕など参照)
【特許文献3】特開2007−258294号公報(段落番号〔0023〕〜〔0027〕など参照)
【特許文献4】特開2002−136124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかし、このような切替信号の検出方法では、外部から入力された切替信号を制御用ICが検出するために、制御用ICに専用の端子を設ける必要がある。たとえば、現在の標準的なAC/DC、DC/DCのスイッチング電源のための制御用ICには8ピンのものがある。最低限必要となる機能がその8ピンに盛り込まれていて空きピンがない場合、他の便利な端子機能を削除したり、最悪の場合、端子数を増加させるためにパッケージを変更したりする必要があり、機能不足やコストアップとなってしまう。
【0031】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、専用の端子を新たに設けることなく、外部から入力されたモード切替信号を検出することができる半導体集積回路およびこのような半導体集積回路を備えたスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明では、上記の課題を解決するために、トランスの一次巻線に接続された半導体スイッチを駆動する信号を出力する制御出力端子と、前記半導体スイッチに流れる電流を電圧変換した第1の電圧信号を入力する電流検出端子と、二次側出力電圧の誤差分がフィードバックされるフィードバック端子と、前記トランスの補助巻線に接続されて前記トランスの補助巻線の出力から前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングまたは前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングおよび前記半導体スイッチのターンオフを検出するためのゼロ電流検出端子とを備えた半導体集積回路であって、前記半導体スイッチがターンオフしたタイミングから所定時間をカウントするタイマと、前記電流検出端子に接続されて前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を検出する比較器と、前記タイマが前記半導体スイッチのターンオフから所定時間カウントした後の前記半導体スイッチがオフしている期間に前記比較器が前記第2の電圧信号を検出したかどうかに応じて動作モードの切り替えを行う動作モード切替部と、を備えていることを特徴とする半導体集積回路が提供される。
【0033】
また、本発明では、一次巻線、二次巻線および補助巻線を有するトランス、前記一次巻線に接続された半導体スイッチ、前記二次巻線から出力された出力電圧の誤差分をフィードバックするフィードバック回路、および、前記半導体スイッチに流れる電流を電圧変換した第1の電圧信号を入力する電流検出端子と、前記フィードバック回路による前記誤差分を入力するフィードバック端子と、前記補助巻線に接続されて前記補助巻線の出力から前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングまたは前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングおよび前記半導体スイッチのターンオフを検出するためのゼロ電流検出端子とを有して前記第1の電圧信号と前記誤差分とから前記出力電圧を安定化するよう前記半導体スイッチを制御する半導体集積回路を備えたスイッチング電源装置であって、外部からのモード切替信号に応じて前記半導体スイッチがオフしている期間に前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を前記電流検出端子に供給できるモード切替回路を備え、前記半導体集積回路は、前記半導体スイッチがターンオフしたタイミングから所定時間をカウントするタイマと、前記電流検出端子に接続されて前記第2の電圧信号を検出する比較器と、前記タイマが前記半導体スイッチのターンオフから所定時間カウントした後の前記半導体スイッチがオフしている期間に前記比較器が前記第2の電圧信号を検出したかどうかに応じて動作モードの切り替えを行う動作モード切替部とを有している、ことを特徴とするスイッチング電源装置が提供される。
【0034】
このような半導体集積回路およびこのような半導体集積回路を備えたスイッチング電源装置によれば、半導体集積回路にタイマ、比較器および動作モード切替部を設けている。これにより、電流検出端子は、半導体スイッチがターンオンしたときの第1の電圧信号以外に、半導体スイッチがターンオフしたときに第2の電圧信号を検出することができるようになる。タイマが半導体スイッチのターンオフからカウントして所定時間経過後に比較器が第2の電圧信号を検出できるようにしたことにより、専用の端子を新たに設けることなく、動作モード切替部による動作モードの切り替えを可能にしている。
【発明の効果】
【0035】
上記構成の半導体集積回路およびスイッチング電源装置によれば、半導体スイッチがオンしている期間における半導体集積回路の電流検出端子の機能である通常動作時の第1の電圧信号の入力以外に、半導体スイッチがオフしている期間に外部から入力されたモード切替信号による第2の電圧信号を検出できるようにしている。半導体スイッチがオフしている期間に通常では電流検出端子に現れるはずのない第2の電圧信号を検出できるようにしたことにより、新たに外部信号検出のための専用端子を追加したり、外部信号検出機能を追加するために現存する有用な機能を削除したりすることなく、所定のモード切り替えが可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の基本部分の動作波形を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。
【図4】従来のスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。
【図5】従来のスイッチング電源装置の基本部分の動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図、図2はこのスイッチング電源装置の基本部分の動作波形を示す図である。
【0038】
このスイッチング電源装置は、トランスTと、半導体スイッチQ1と、制御用IC10と、フィードバック回路11とを有している。トランスTは、一次巻線N1、二次巻線N2および補助巻線N3を有している。トランスTの一次巻線N1の一端には、直流電源12が接続されている。この直流電源12は、商用交流電源をダイオードブリッジで全波整流したものでもよい。トランスTの一次巻線N1の他端は、半導体スイッチQ1および電流検出用の抵抗R1を介して接地されている。トランスTの二次巻線N2は、ダイオードD1および出力コンデンサC1による整流平滑回路を介してこのスイッチング電源装置の出力端子13に接続されている。
【0039】
半導体スイッチQ1は、ここではNチャネルのMOSFETとしている。半導体スイッチQ1のドレインは、トランスTの一次巻線N1に接続され、ソースは、抵抗R1および制御用IC10の電流検出端子ISに接続され、ゲートは、制御用IC10の制御出力端子OUTに接続されている。半導体スイッチQ1のドレインおよびソース間には、共振用のコンデンサCdが接続されている。
【0040】
トランスTの補助巻線N3は、ダイオードD2を介して制御用IC10の電源端子VCCに接続されるとともに、制御用IC10のゼロ電流検出端子ZCDに接続されている。
スイッチング電源装置の正極側の出力端子13には、フィードバック回路11が接続されている。このフィードバック回路11は、正極側の出力端子13と二次側のグランドとの間に接続されて出力端子13の出力電圧の変動を検出する直列接続の抵抗R2,R3を有している。また、正極側の出力端子13と二次側のグランドとの間には、電流制限用の抵抗R4と、発光側のフォトカプラPC1eと、シャントレギュレータ14とが直列に接続されている。シャントレギュレータ14のリファレンス端子は、抵抗R2と抵抗R3との共通の接続部が接続されている。一方、発光側のフォトカプラPC1eと対の受光側のフォトカプラPC1rは、制御用IC10のフィードバック端子FBに接続されている。シャントレギュレータ14は、抵抗R2,R3によって検出された出力電圧の変動に応じた電流を発光側のフォトカプラPC1eに流し、受光側のフォトカプラPC1rがその変動に対応する誤差信号を制御用IC10のフィードバック端子FBに入力する。
【0041】
これにより、半導体スイッチQ1に流れる電流を電圧変換した電圧値と、出力電圧の誤差分をフィードバックした電圧とを比較し、出力電圧を安定化制御する電流モード制御タイプのスイッチング電源を構成している。
【0042】
このスイッチング電源装置は、さらに、モード切替回路15a,15bを備えている。モード切替回路15aは、モード切替信号を入力するモード切替信号入力端子16を有し、このモード切替信号入力端子16は、抵抗R5を介してNPNタイプのトランジスタQ2のベースに接続されている。トランジスタQ2のベースは、抵抗R6の一端に接続され、抵抗R6の他端とトランジスタQ2のエミッタとは、二次側のグランドに接続されている。トランジスタQ2のコレクタは、発光側のフォトカプラPC2eおよび抵抗R7を介してスイッチング電源装置の正極側の出力端子13に接続されている。
【0043】
一方、モード切替回路15bは、制御用IC10のゼロ電流検出端子ZCDに接続された補助巻線N3と電流検出端子ISとの間に、ダイオードD3、レベル調整用の抵抗R9、PNPタイプのトランジスタQ3が直列に接続されている。トランジスタQ3のエミッタとベースとの間には抵抗R10が接続され、ベースは抵抗R11を介して一次側のグランドに接続されている。また、トランジスタQ3のエミッタとレベル調整用の抵抗R9との接続点Aには、発光側のフォトカプラPC2eと対をなす受光側のフォトカプラPC2rが接続されている。
【0044】
制御用IC10は、電源端子VCCおよびグランド端子GNDを有し、電源端子VCCは、補助巻線N3から電源の供給を受け、グランド端子GNDは、一次側のグランドに接続されている。
【0045】
制御用IC10は、比較器CP1を有し、その非反転入力端子には、ゼロ電流検出端子ZCDが接続され、反転入力端子には、電圧源VP1が接続されている。この電圧源VP1は、半導体スイッチQ1がターンオフしたときに補助巻線N3に現れる電圧よりも低いスレッシュレベルを設定している。比較器CP1の出力端子には、タイマ21が接続されている。タイマ21は、比較器CP1が半導体スイッチQ1のターンオフを検出したタイミングからカウントを開始し、所定の時間が経過した後、パルス信号を出力する機能を有している。
【0046】
制御用IC10のゼロ電流検出端子ZCDは、また、バレー検出部22および1ショット回路23を介してRSフリップフロップ回路24のセット端子Sに接続されている。RSフリップフロップ回路24の出力端子Qは、ドライバ25を介してこの制御用IC10の制御出力端子OUTに接続されている。
【0047】
制御用IC10のフィードバック端子FBは、レベルシフト回路26を介して電流比較器27の反転入力端子に接続されている。電流比較器27の出力端子は、RSフリップフロップ回路24のリセット端子Rに接続されている。
【0048】
制御用IC10の電流検出端子ISは、電流比較器27の非反転入力端子と、比較器CP2の非反転入力端子とに接続されている。比較器CP2の反転入力端子には、電圧源VP2が接続されている。この電圧源VP2は、半導体スイッチQ1がターンオフしたときに補助巻線N3に現れる電圧がモード切替回路15bのダイオードD3、抵抗R9およびトランジスタQ3を介して電流検出端子ISに印加される電圧よりも低いスレッシュレベルを設定している。
【0049】
比較器CP2の出力端子は、Dフリップフロップ回路28のデータ入力端子Dに接続され、Dフリップフロップ回路28のクロック入力端子CKには、タイマ21のパルス信号出力が接続されている。
【0050】
Dフリップフロップ回路28の出力端子Qは、過電流制限スレッシュレベル変更回路29に接続されている。この過電流制限スレッシュレベル変更回路29は、外部からモード切替信号入力端子16にモード切替信号が入力されたときに切り替えられる動作モード切替部の一例として示したものである。本実施の形態では、モード切替信号に応じて電流比較器27の反転入力端子に印加される過電流制限スレッシュレベルを変更する場合を示している。そのため、この過電流制限スレッシュレベル変更回路29は、2つの電圧源VP3,VP4を備え、スイッチSW1,SW2を介して電流比較器27の反転入力端子に接続されている。スイッチSW1は、Dフリップフロップ回路28の出力を受けるインバータ30によって開閉駆動され、スイッチSW2は、Dフリップフロップ回路28の出力によって開閉駆動される。
【0051】
以上のスイッチング電源装置の回路において、図2に示したように、制御用IC10の制御出力端子OUTからHレベルの信号を受けて半導体スイッチQ1がオンすると、トランスTの一次巻線N1に電流が流れ、一次巻線N1に電磁エネルギが蓄積される。このとき、一次巻線N1の電流値は、抵抗R1によって電圧に変換され、電流検出端子ISに入力される。また、トランスTの補助巻線N3には、入力電圧×補助巻線数/一次巻線数で表される負電圧が発生する。
【0052】
電流検出端子ISに入力された検出電圧がフィードバック端子FBにフィードバックされてレベルシフト回路26によりレベルシフトされたフィードバック端子電圧/nに達すると、リセット信号がRSフリップフロップ回路24に入力される。これにより、ドライバ25は、半導体スイッチQ1をオフ制御する。
【0053】
半導体スイッチQ1がオフされると、トランスTの一次巻線N1に蓄えられた電磁エネルギは、二次巻線N2からダイオードD1を介して出力コンデンサC1に放出される。半導体スイッチQ1がオフの期間、二次巻線N2にはダイオードD1に順方向に電流を流す方向に電圧Vs(=電源出力電圧+二次側のダイオードD1の順電圧)が発生する。このとき、補助巻線N3には、Vs×補助巻線数/二次巻線数となる正電圧が発生する。この電圧は、ダイオードD2で整流されて、制御用IC10の電源端子VCCに供給され、制御用IC10の電源として使用される。
【0054】
出力コンデンサC1への電磁エネルギの放出が終了すると、一次巻線N1とコンデンサCdとの共振により半導体スイッチQ1のドレイン電圧が急速に低下し、補助巻線N3に誘起されていた電圧も低下する。この補助巻線N3の電圧は、ゼロ電流検出端子ZCDに入力されている。ゼロ電流検出端子ZCDに入力された電圧がバレー検出部22のスレッシュレベルよりも低くなると、1ショット回路23がセット信号を出力してRSフリップフロップ回路24に入力し、半導体スイッチQ1を再びオンする。以上の半導体スイッチQ1のスイッチング動作が繰り返されることで、出力端子13には、所定の電源電圧が連続供給される。
【0055】
ここで、スイッチング電源装置の動作モードがHレベル(第1の論理状態)のモード切替信号を入力しているAモードであるとき、モード切替回路15aのトランジスタQ2は、オンになり、フォトカプラPC2eのLEDがオン(発光)となる。このため、モード切替回路15bのフォトカプラPC2rのフォトトランジスタがオンとなり、トランジスタQ3のエミッタ側の接続点Aが接地される。これにより、トランジスタQ3は、逆バイアスによりオフとなり、補助巻線N3の電圧は、電流検出端子ISの電圧に何ら影響を与えない。したがって、電流検出端子ISにおける電圧波形は、従来回路と同様に、半導体スイッチQ1がオンしたときのみ、電流を電圧変換した三角波形が発生するだけとなる。
【0056】
このAモードのとき、比較器CP2の非反転入力に、半導体スイッチQ1がターンオフしたときに補助巻線N3に現れる高い正電圧が入力されることはないので、比較器CP2は、常にLレベルの信号を出力している。一方、比較器CP1は、半導体スイッチQ1がターンオフする毎に補助巻線N3から供給される高い正電圧を検出し、タイマ21がその検出時点から所定時間後にパルス信号を出力している。したがって、Dフリップフロップ回路28は、クロック入力端子CKにタイマ21からのパルス信号を受けた時点で比較器CP2が出力しているLレベルの信号を保持し、次のパルス信号をクロック入力端子CKに受けるまで、そのLレベルの信号を出力端子Qに出力している。これにより、過電流制限スレッシュレベル変更回路29では、インバータ30によって反転されたHレベルの信号を受けているスイッチSW1がオン(閉:導通状態)になって、電流比較器27には、電圧源VP3の電圧が過電流制限スレッシュレベルとして供給されている。なお、スイッチSW2はオフ(開:遮断状態)となっている。
【0057】
次に、Lレベル(第2の論理状態)のモード切替信号がモード切替信号入力端子16に入力された場合、モード切替回路15aは、そのトランジスタQ2がオフするので、フォトカプラPC2eのLEDがオフする(発光しない)。これにより、モード切替回路15bのフォトカプラPC2rのフォトトランジスタがオフすることになる。このため、半導体スイッチQ1がオフの期間に補助巻線N3に正電圧が発生すると、トランジスタQ3がオンになり、電流検出端子ISにその正電圧が供給されることになる。
【0058】
なお、半導体スイッチQ1がオンの期間では、補助巻線N3は負電圧になるため、そのままでは、電流検出端子ISの電圧を負側に引っ張り、フィードバック信号との正常な比較ができなくなる。これを避けるために設けられたのがダイオードD3であり、このダイオードD3によって電流検出端子ISが負側へ引っ張られることを防止している。
【0059】
半導体スイッチQ1がオフの期間になると、電流検出用の抵抗R1には、半導体スイッチQ1の電流が流れない代わりに補助巻線N3にて発生された電流が流れ、電流検出端子ISの電圧は正側に持ち上げられる。このとき、レベル調整用の抵抗R9によって、電流検出端子ISの電圧値を調整することができる。たとえば、比較器CP2の電圧源VP2によって決められるスレッシュレベルが0.5ボルトとした場合、電流検出端子ISが1ボルト程度となるようにレベル調整用の抵抗R9が選定される。
【0060】
制御用IC10では、比較器CP1がゼロ電流検出端子ZCDの電圧を、電圧源VP1によるスレッシュレベルと比較し、半導体スイッチQ1のターンオフのタイミングを検出している。一方、比較器CP2は、電流検出端子ISの電圧を、電圧源VP2によるスレッシュレベルと比較し、半導体スイッチQ1のオフ期間に供給されているはずの電圧を検出している。タイマ21は、半導体スイッチQ1がターンオフした瞬間のノイズによる電流検出端子ISの電圧波形の歪の影響を受けないようにし、また、電流検出端子ISの電圧が十分に上昇しきるまで待つためのものである。
【0061】
半導体スイッチQ1がオフの期間の、半導体スイッチQ1がターンオフしたタイミングから所定時間後の時点で、電流検出端子ISの電圧が電圧源VP2によるスレッシュレベルを超えていれば、動作モードは、Bモードに切り替えられる。このBモードでは、Dフリップフロップ回路28の出力端子Qは、Hレベルの信号を出力しているので、過電流制限スレッシュレベル変更回路29では、そのインバータ30がスイッチSW1を開制御し、Dフリップフロップ回路28の出力によりスイッチSW2が閉制御される。これにより、電流比較器27には、電圧源VP4の電圧が過電流制限スレッシュレベルとして供給されることになる。
【0062】
その後、半導体スイッチQ1がターンオンして、電流検出端子ISの電圧がVP2より低下しても、Dフリップフロップ回路28のクロック入力端子CKにタイマ21からのパルス信号の入力がないので、出力端子Qの信号は、Hレベルのままである。したがって、半導体スイッチQ1がオフ状態からターンオンしても、動作モードがBモードからAモードに戻ることはない。
【0063】
なお、電流検出端子ISの電圧は、半導体スイッチQ1がオフの期間に上昇させていた状態から、ターンオンと同時に0ボルト近くまで下降する。このとき、ノイズなどにより、誤ってすぐにターンオフすることが懸念される。これは、バレー検出部22が半導体スイッチQ1をターンオンすべき電圧を検出したとき、1ショット回路23がRSフリップフロップ回路24のセット端子Sに所定時間(たとえば最小オン幅が数百ナノ秒に設定)セット信号を入力し続けることで回避している。これにより、半導体スイッチQ1がターンオンするときのスイッチングノイズが大きくても、オンしてから所定時間の間はオフすることがないので、オンした直後にノイズによりオフしてしまう誤動作を防止することができる。
【0064】
この動作モードがモード切替信号をLレベルとするBモードの具体例としては、スイッチング電源装置をスタンバイモードとする場合がある。スタンバイモードでは、制御用IC10内の過電流制限スレッシュレベルを下げて(VB3の電圧>VB4の電圧に設定)、通常時より軽い負荷で制限をかけるようにすることができる。また、スタンバイモードでは、余計な電力消費を抑え待機電力を低減する必要があるが、このBモードでは、フォトカプラPC2e,PC2rがオフとなるので、その分、余計な消費電力を抑えることが可能になる。
【0065】
図3は本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。
この第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置と比較して、半導体スイッチQ1のターンオフを検出する方法で相違している。すなわち、第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の制御用IC40では、RSフリップフロップ回路24の反転出力端子Qバーとタイマ21とを接続している。これにより、タイマ21は、半導体スイッチQ1のターンオフ時にHレベルとなるオフ制御信号を受けてカウントを開始し、所定時間経過後にパルス信号を出力し、Dフロップフロップ回路28のクロック入力端子CKに供給する。
【0066】
制御用IC40の他の構成は、第1の実施の形態の制御用IC10と同じであり、制御用IC40以外のスイッチング電源装置の構成についても第1の実施の形態のものと同じである。したがって、制御用IC40およびこれを使用したスイッチング電源装置の作用も、第1の実施の形態のものと同じであるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0067】
10 制御用IC
11 フィードバック回路
12 直流電源
13 出力端子
14 シャントレギュレータ
15,15a,15b モード切替回路
16 モード切替信号入力端子
21 タイマ
22 バレー検出部
23 1ショット回路
24 RSフリップフロップ回路
25 ドライバ
26 レベルシフト回路
27 電流比較器
28 Dフリップフロップ回路
29 過電流制限スレッシュレベル変更回路
30 インバータ
40 制御用IC
CP1,CP2 比較器
FB フィードバック端子
GND グランド端子
IS 電流検出端子
OUT 制御出力端子
VCC 電源端子
ZCD ゼロ電流検出端子
Q1 半導体スイッチ
T トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスの一次巻線に接続された半導体スイッチを駆動する信号を出力する制御出力端子と、前記半導体スイッチに流れる電流を電圧変換した第1の電圧信号を入力する電流検出端子と、二次側出力電圧の誤差分がフィードバックされるフィードバック端子と、前記トランスの補助巻線に接続されて前記トランスの補助巻線の出力から前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングまたは前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングおよび前記半導体スイッチのターンオフを検出するためのゼロ電流検出端子とを備えた半導体集積回路であって、
前記半導体スイッチがターンオフしたタイミングから所定時間をカウントするタイマと、
前記電流検出端子に接続されて前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を検出する比較器と、
前記タイマが前記半導体スイッチのターンオフから所定時間カウントした後の前記半導体スイッチがオフしている期間に前記比較器が前記第2の電圧信号を検出したかどうかに応じて動作モードの切り替えを行う動作モード切替部と、
を備えていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記ゼロ電流検出端子に入力された信号から前記半導体スイッチのターンオフを検出する別の比較器を備え、
前記タイマは、前記別の比較器が前記半導体スイッチのターンオフを検出したタイミングでカウントを開始することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記タイマは、前記半導体スイッチを駆動する信号が入力され、前記制御出力端子に前記半導体スイッチをオフ制御する信号を出力したタイミングでカウントを開始することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項4】
一次巻線、二次巻線および補助巻線を有するトランス、前記一次巻線に接続された半導体スイッチ、前記二次巻線から出力された出力電圧の誤差分をフィードバックするフィードバック回路、および、前記半導体スイッチに流れる電流を電圧変換した第1の電圧信号を入力する電流検出端子と、前記フィードバック回路による前記誤差分を入力するフィードバック端子と、前記補助巻線に接続されて前記補助巻線の出力から前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングまたは前記半導体スイッチがターンオンすべきタイミングおよび前記半導体スイッチのターンオフを検出するためのゼロ電流検出端子とを有して前記第1の電圧信号と前記誤差分とから前記出力電圧を安定化するよう前記半導体スイッチを制御する半導体集積回路を備えたスイッチング電源装置であって、
外部からのモード切替信号に応じて前記半導体スイッチがオフしている期間に前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を前記電流検出端子に供給できるモード切替回路を備え、
前記半導体集積回路は、前記半導体スイッチがターンオフしたタイミングから所定時間をカウントするタイマと、前記電流検出端子に接続されて前記第2の電圧信号を検出する比較器と、前記タイマが前記半導体スイッチのターンオフから所定時間カウントした後の前記半導体スイッチがオフしている期間に前記比較器が前記第2の電圧信号を検出したかどうかに応じて動作モードの切り替えを行う動作モード切替部とを有している、
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記モード切替回路は、前記ゼロ電流検出端子と前記電流検出端子との間にて前記ゼロ電流検出端子から前記電流検出端子へ順方向に直列に接続された整流素子、レベル調整用の抵抗および前記モード切替信号に応じてオン/オフを切り替える第1のトランジスタを有することを特徴とする請求項4記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記レベル調整用の抵抗は、前記半導体スイッチと前記第1のトランジスタがともにオフしているときの前記半導体集積回路の前記比較器への入力電圧が前記半導体スイッチのターンオフを検出する基準電圧よりも高い電圧値となるよう選定されていることを特徴とする請求項5記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記半導体集積回路の前記動作モード切替部は、前記モード切替信号の第1または第2の論理状態に応じて過電流制限スレッシュレベルを変更する過電流制限スレッシュレベル変更回路であることを特徴とする請求項4記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−19632(P2012−19632A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155974(P2010−155974)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】