説明

半嵌合防止コネクタ

【課題】コネクタ同士が完全嵌合した状態でレバーを拘束して、コネクタの端子同士が外れないようにし、アークが飛ばないコネクタを提供する。
【解決手段】筒状ケース10Cと、その前半部に摺動可能に内装されたコネクタ本体10Mと、その後半部に回動可能に装着されたレバー10Lと、コネクタ本体10Mを先端に取り付け、レバー10Lに枢着されレバー10Lの回動操作により筒状ケース10C内を移動するハンドル10Hとを備え、かつ次のようなホルダ11をハンドル10Hに設けた。ホルダ11はホルダ本体11Hと、ホルダ本体11に摺動可能に取り付けられ、常時一方向にバネ11Cで付勢されるスライダ11Sとから構成し、スライダ11Sの内部にレバー収容室11Rを設け、レバー10Lを握ってコネクタ本体10Mが完全嵌合した状態でレバー10Lの端部10Sがレバー収容室11Rに収容されて拘束されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車の充電に用いられる給電コネクタに関し、給電側と受電側の両コネクタの嵌合作業が低挿入力で行われ、かつ半嵌合状態をなくし、したがって通電時に端子同士が離脱することを防止して、離脱の際に生じるアーク放電が起こらないようにした給電コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体などに固定される受電側コネクタと嵌合される給電側コネクタで、低挿入力レバーを備えた給電側コネクタは公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
〈特許文献1記載の給電コネクタの構成〉
図5は特許文献1記載の給電コネクタを示す縦断面図である。
図5において、給電側コネクタ100は、筒状ケース100Cと、筒状ケース100Cの前半部に摺動可能に装着され、後端をハンドル100Hに押圧されることでコイルバネの反発力に抗して前進し、内部に複数の端子を収容したコネクタ本体100Mと、筒状ケース100Cの後半部の横長孔に挿着したピン100P2で軸支されたハンドル100Hと、中間部が筒状ケース100C内でレバー軸100P1により枢着され、先端がハンドル100Hの軸孔と共に筒状ケース100Cの横長孔に挿着したピン100P2で軸支されたレバー100Lと、コネクタ本体100Mが相手側コネクタと嵌合した状態でレバー100Lの回動を阻止するリリースレバー101とを備えて成り、レバー100Lをハンドル100H側に握り込むとレバー軸100P1を中心にレバー100Lの作用側先端が回動してコネクタ本体100Mを相手側コネクタ方向に前進させ、相手側コネクタと嵌合させるものである。
嵌合が完了したとき、リリースレバー101の先端に形成された係止突部101Kが、図5(1)の拡大図で示すように、レバー100Lの作用部の先端に形成された係止段部100Kと係合して、レバー100Lはリリースレバー101によりロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−85926号公報
【0005】
〈特許文献1記載の給電コネクタの課題〉
給電コネクタ100を嵌合操作する際に、通常はレバー100Lを握り込むことで嵌合ができるようになっているが、レバー100Lを握ったとき相手側コネクタ200との嵌合操作中に両コネクタハウジング間で干渉摩擦が発生することがある。例えば、図5の丸A内に示すのコネクタハウジング100C1と相手側のコネクタハウジング200C1との干渉摩擦や、丸B内に示すコネクタハウジング100C2と相手側のコネクタハウジング200C2との干渉摩擦などである。このような干渉摩擦が生じると、レバー100Lを握りきらない状態でレバー100Lが止まってしまい、そうすると図5(1)の拡大図で示すリリースレバー101の先端の係止突部101Kがレバー100Lの係止段部100Kと係合する状態にならずに、図5(2)の拡大図で示すリリースレバー101の先端の係止突部101Kがレバー100Lの係止段部100Kと半係合する状態が発生する。このような半係合状態では、コネクタの端子100Tと相手側コネクタの端子200Tは互いに接続された状態(図5の丸C参照)であるが、レバー100Lが半係合状態で止まっているため、レバー100Lがロックされていない。
このため、何らかの衝撃が加わると、リリースレバー101の先端の係止突部101Kとレバー100Lの係止段部100Kとがその半係合状態から外れてしまうことが起こりうる。そうすると、コネクタの端子100Tと相手側コネクタの端子200Tが互いに接続された状態(すなわち、充電中の状態)から端子同士が外れてしまうので、外れる際に端子間にアーク放電が起こり、端子が損傷する恐れがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、レバーが半嵌合状態では止まらないようにして必ず完全嵌合させ、かつその完全嵌合状態でレバーを物理的にロックしてしまって、元の位置に戻ることを防止し、したがってまた、アークが飛ばないようにした半嵌合防止コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は半嵌合防止コネクタに係り、次の(1)〜(3)をそれぞれ特徴としている。
(1)筒状ケースと、前記筒状ケースの前半部に摺動可能に内装された給電側のコネクタ本体と、前記筒状ケースの後半部に回動可能に装着されたレバーと、を備え、前記レバーに枢着され前記レバーを握ることでその回動操作により前記筒状ケース内を移動する半嵌合防止コネクタにおいて、
前記レバーの端部を収容するレバー収容空間を備えたホルダを前記レバーの回動軌跡上に設け、前記レバーを握って前記コネクタ本体が相手側コネクタと完全嵌合した状態での前記レバーの端部が前記レバー収容空間内に収容されるようになること。
(2)前記ホルダが、前記コネクタ本体を先端に取り付け、前記レバーを握ることで前記コネクタ本体と共にスライドするハンドルに取り付けられるホルダ本体と、前記ホルダ本体に摺動可能に取り付けられ、常時一方向にバネ付勢されるスライダとから構成され、前記スライダが内部に前記レバー収容空間を備えかつ外部にテーパ付き突起を備え、前記レバーを深く握っていくに従って、前記レバーの端部が前記テーパ付き突起のテーパに当接して、前記スライダを前記バネ付勢に抗して反対方向にスライドさせ、最終的に前記レバーの端部が前記テーパ付き突起の端から前記レバー収容空間の中に収容されるようになること。
(3)前記ホルダが、前記コネクタ本体を先端に取り付け、前記レバーを握ることで前記コネクタ本体と共にスライドするハンドルに取り付けられるホルダ本体と、前記ホルダ本体の下端に取り付けられるレバー保持部とを備え、前記レバー保持部は縁部の両端からそれぞれ前記レバー方向に延びる延出部と、前記延出部の先端から互いに向き合う方向に円弧状に曲折する弾性曲折部を備え、前記レバー保持部の縁部と前記弾性曲折部とで形成される空間を前記レバー収容空間としたこと。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、上記(1)の発明によれば、コネクタ同士が完全嵌合した状態でレバーをレバー収容空間の中に収容させて拘束するので、端子同士が外れなくなり、したがってアークが飛ばないためコネクタの損傷がなくなる。
上記(2)の発明によれば、簡単な構成でレバーをレバー収容空間の中に収容し拘束するので、コネクタの端子同士が外れなくなり、したがってアークが飛ばず、コネクタの損傷がなくなる。
上記(3)の発明によれば、(2)よりもさらに簡単な構成でレバーをレバー収容空間の中に収容し拘束するので、コネクタの端子同士が外れなくなり、したがってアークが飛ばず、コネクタの損傷がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る半嵌合防止コネクタを示す正面図で、図1(1)は嵌合前、図1(2)は嵌合開始直後、図1(3)は嵌合完了直前、図1(4)は嵌合完了の図である。
【図2】図2は実施例1に係るホルダを説明する図で、図2(A)は斜視図、図2(B)はコイルバネの縦断面で切った断面図である。
【図3】図3は図2(A)のホルダの分解斜視図で、図3(A)はスライダ側から見た分解斜視図、図3(B)はコイルバネ側から見た分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係るハンドル半嵌合防止コネクタを示す正面図で、図4(1)は嵌合前、図4(2)は嵌合完了直前、図4(3)は嵌合完了の図である。
【図5】図5は引用文献1記載のハンドル付きコネクタを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈本発明の実施例1に係る半嵌合防止コネクタ〉
次に、本発明の実施例1に係る半嵌合防止コネクタについて図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施例1に係る半嵌合防止コネクタを示す正面図で、図1(1)は嵌合前の正面図である。
図1(1)において、半嵌合防止コネクタ10は、自動車に搭載のバッテリの受電側コネクタと嵌合する給電側コネクタで、筒状ケース10Cとコネクタ本体10M(図1(2)参照)とレバー10Lとハンドル10Hとを備えている。
以下、筒状ケース10Cとコネクタ本体10Mとレバー10Lとハンドル10Hについて説明する。筒状ケース10Cとコネクタ本体10Mとレバー10Lとハンドル10Hは、それぞれ図5の筒状ケース100Cとコネクタ本体100Mとレバー100Lとハンドル100Hと同じ構造であるので、必要に応じて図5を引用する。
【0011】
《筒状ケース10C》
筒状ケース10C(図5の100Cに相当)は、その前半部にコネクタ本体10M(図1(2)参照)を摺動可能に内装し、その後半部の横長孔に挿着したピン100P2(図5参照)でハンドル10Hを軸支し、さらに、レバー10Lの中間部をレバー軸100P1(図5参照)により枢着している。
【0012】
《コネクタ本体10M》
コネクタ本体10M(図5の100Mに相当)は内部に複数の端子を収容して成り、筒状ケース10Cの前半部に摺動可能に内装されており、また、コネクタ本体10Mはコイルスプリング100S(図5参照)の反発力で常時後方(反嵌合方向)へ付勢されているが、その後端をハンドル10Hによって押圧されることで筒状ケース10Cの中をコイルスプリング100Sの反発力に抗して嵌合方向へ前進する。
【0013】
《レバー10L》
レバー10L(図5の100Lに相当)はその中間部が筒状ケース10Cの後半部にレバー軸100P1(図5参照)により枢着され、その先端がハンドル10Hの軸孔と共に筒状ケース10Cの横長孔に挿着したピン100P2(図5参照)で軸支されている。
【0014】
《ハンドル10H》
ハンドル10H(図5の100Hに相当)は、くの字形状をした管状の長尺体で、内部には電線ケーブルを挿通し、電線ケーブルの先端はコネクタ本体10M内の端子に接続されている。ハンドル10Hは筒状ケース10Cの後半部の横長孔に挿着したピン100P2(図5参照)でレバー10Lの先端部と共に筒状ケース10Cに軸支している。
したがって、レバー10Lをハンドル10H側に握り込むとレバー軸10P1を中心にレバー10Lの作用側先端が回動してハンドル10Hが前進し、ハンドル10Hがコネクタ本体10Mの後端を押圧し、コネクタ本体10Mはコイルスプリング100Sの反発力に抗して筒状ケース10Cの中を前進し、相手側コネクタ(受電側コネクタ)と嵌合するようになる。
この給電側コネクタのこの他の構成自体も公知であり(例えば特許文献1など)、また本願発明に直接関係ないので説明は割愛する。
【0015】
本発明の実施例1に係る半嵌合防止コネクタ10は、ハンドル10Hに次のようなホルダ11を設けたのが特徴である。
【0016】
〈ホルダ11〉
以下、実施例1に係るホルダ11について図2および図3に基づいて説明する。
図2は実施例1に係るホルダ11を説明する図で、図2(A)は斜視図、図2(B)はコイルバネの縦断面で切った断面図である。図3は図2(A)のホルダ11の分解斜視図で、図3(A)はスライダ側から見た分解斜視図、図3(B)はコイルバネ側から見た分解斜視図である。
図2および図3において、ホルダ11は、ハンドル10H(図1(1)参照)に取り付けられるホルダ本体11Hと、ホルダ本体11Hに摺動可能に取り付けられるスライダ11Sと、コイルバネ11Cとから構成される。
【0017】
〈ホルダ本体11H〉
ホルダ本体11Hは、ハンドル10Hに固着されるハンドル固着部11Fと、ハンドル固着部11Fから反ハンドル側に膨出するスライダ載置部11Lとから構成される。
【0018】
《ハンドル固着部11F》
ハンドル固着部11Fは、ハンドル10Hの円筒部分を包み込む半円筒状部を含む長尺状の樋型形状をしており、半円筒状部をハンドル10Hに宛(あてが)い、同じくこの半円筒状部を覆うもう1つの半円筒状部を含む長尺状の樋型形状部材(図示省略)をこれと対向させ宛って、互いの当接部の一致するネジ孔11Nにネジを螺合させることでハンドル固着部11Fはハンドル10Hに固着される。
ハンドル固着部11Fには、断面がカギ型をしたカギ型長溝11M1、11M1(図3(A))が長手方向の両端に沿って形成されている。このカギ型長溝11M1、11M1には後述のスライダ11Sのカギ型突起11N1、11N1(図3(A))がそれぞれ嵌入する。
【0019】
《スライダ載置部11L》
スライダ載置部11Lはハンドル固着部11Fから反ハンドル側にハンドル固着部11Fと一体成形された外形が直方体形状をしており、その長尺方向の長さはハンドル固着部11Fの長さの約半分となっている。
スライダ載置部11Lのハンドル固着部11Fとの結合部位近傍には、長溝11M2、11M2(図3(A))が長手方向の両端に沿って形成されている。この長溝11M2、11M2には後述のスライダ11Sの突起11N2、11N2(図3(A))がそれぞれ嵌入する。スライダ載置部11Lの直方体の中心を通り長手方向に円筒状のコイルバネ収容室11D(図2(B)、」図3(A))が形成されている。このコイルバネ収容室11Dには後述のコイルバネ11Cの後方が収容される。
【0020】
〈スライダ11S〉
スライダ11Sはホルダ本体11Hに摺動可能に取り付けられる部材で、レバー10L(図1(1)参照)の先端10S(図1(3)参照)が入り込むレバー収容室11R(図1(4)、図2(A)および(B)、図3(A)参照)がレバー10Lに面する側に形成され、レバー収容室11Rの奥壁の裏側にコイルバネ先端係止部11E(図3(B))が形成されている。レバー収容室11Rの天井側(ハンドル10Hに面する側)にはカギ型突起11N1、11N1(図3(A)および(B))が所定間隔をあけて形成されている。この所定間隔はスライダ載置部11Lに形成されたカギ型長溝11M1、11M1間の間隔となっている。レバー収容室11Rの両側壁延出部の内側上方に、突起11N2、11N2(図3(A))が所定間隔をあけて形成されている。この所定間隔はスライダ載置部11Lに形成された長溝11M2、11M2間の間隔となっている。
レバー収容室11Rの両側壁延出部の両側の外側に、ツマミ11Gが形成されている。
レバー収容室11Rの底部外側に、テーパ付き突起11T(図2(B))が形成されている。
【0021】
〈コイルバネ11C〉
コイルバネ11Cは、スライダ11Sがホルダ本体11Hに摺動可能に取り付けられたときスライダ11Sのコイルバネ先端係止部11E(図3(B))とスライダ載置部11Lのコイルバネ収容室11D(図3(A))との間に形成される空間に収容され、コイルバネ11Cの弾性力でコイルバネ収容室11Dを常時レバー10L(図1(1)参照)側に付勢し、したがってスライダ11Sはホルダ本体11Hの上で常に一端に(図2(B)で左端に)付勢されている。
【0022】
〈実施例1に係る半嵌合防止コネクタの動作〉
さて、図1(1)に戻って実施例1に係る半嵌合防止コネクタの動作について説明する。図1(1)は嵌合前、図1(2)は嵌合開始直後、図1(3)は嵌合完了直前、図1(4)は嵌合完了の図である。以下、この順で説明する。
《嵌合前》
嵌合前の図1(1)では、レバー10Lはまだ握られていないので、コネクタ本体10M(図1(2)参照)は筒状ケース10Cの中に収容されたままであり、コネクタ本体10Mはこの図では見えない。
《嵌合開始直後》
嵌合開始直後の図1(2)では、レバー10Lが握られて、レバー10Lの先端10Sがスライダ11Sのテーパ付き突起11Tに当接している。しかし、スライダ11Sはまだ後退しない。この状態で、コネクタ本体10Mは筒状ケース10Cから一部露出し始めている。
《嵌合完了直前》
嵌合完了直前の図1(3)では、レバー10Lが深く握られて、コネクタ本体10Mは筒状ケース10Cからさらに露出している。レバー10Lの先端10Sがスライダ11Sのテーパ付き突起11Tのテーパ部分に当たってこれを後方へ押しやっている。
《嵌合完了》
嵌合完了の図1(4)では、レバー10Lがさらに深く握られることで、コネクタ本体10Mは筒状ケース10Cから露出し、この状態で相手側コネクタ(図示省略)と完全嵌合している。また、レバー10Lの先端10Sはテーパ付き突起11Tのテーパを降りきってスライダ11Sのレバー収容部11Lに嵌り込み、スライダ11Sはコイルバネ11Cの弾性力で元の位置に押し戻され、これにより、レバー10Lはレバー収容部11Lから脱出できず、ロックされた状態となり、レバー10Lは元の位置に復帰できない。外す際は、意識的にスライダ11Sの側面にあるツマミ11Gを手で引くことでスライダ11Sは押し下がり、レバー10Lはスライダ11Sのレバー収容部11Lから開放されバネ力によって元の位置に復帰する。
このように、本発明によれば、レバー10Lを通常通りに握る一連の動作だけでレバー収容部11Lに嵌まる構造となっているのが特徴である。
また、スライダ11Sを押し下げる力を加えることで、スライダ11Sを押し下げた後の握り力の慣性力によって最後までレバー10Lが握り込める。
なお、スライダ11Sの当接時は、(1)メイン端子がオン、信号端子がオフとなるようにしておくか、(2)メイン端子がオフ、信号端子がオフとなるようにしておくか、のいずれでもよい。
【0023】
〈本発明の実施例2に係る半嵌合防止コネクタ〉
次に、本発明の実施例2に係る半嵌合防止コネクタについて図面に基づいて説明する。図4は本発明の実施例2に係る半嵌合防止コネクタを示す正面図で、図4(1)は嵌合前の正面図と、四角の中は図4(1)のレバーとホルダ部分のA−A矢視断面図で、図4(2)は嵌合完了直前の正面図と、四角の中は図4(2)のレバーとホルダ部分のB−B矢視断面図で、図4(3)は嵌合完了の正面図と、四角の中は図4(3)のレバーとホルダ部分のC−C矢視断面図である。
本発明の実施例2に係る半嵌合防止コネクタ20は、ハンドル20Hに次のようなホルダ21を設けたのが特徴である。
【0024】
〈ホルダ21〉
ホルダ21は、ハンドル10H(図1(1)参照)に取り付けられるホルダ本体21Hと、ホルダ本体21Hの下端に取り付けられるレバー保持部21Lとから構成される。
【0025】
〈ホルダ本体21H〉
ホルダ本体21Hはハンドル10Hに固着される部材であり、原則、実施例1のようなハンドル10Hの円筒部分を包み込む半円筒状部を含む長尺状の樋型形状のものと、同じくこの半円筒状部を覆うもう1つの半円筒状部を含む長尺状の樋型形状部材とから成るものでよいし、あるいは、簡単なベルト状の巻回タイプのものでもよい。
【0026】
〈レバー保持部21L〉
レバー保持部21Lはホルダ本体21Hに取り付けられる部材で、図4(1)の断面図において、レバー保持部21Lは縁部の両端からレバー20方向に延びる延出部21A、21Aと延出部21A、21Aの先端から互いに向き合う方向に円弧状に曲折する弾性曲折部21B、21Bを備え、弾性曲折部21B、21Bの頂部21C、21C同士の間隔T1が、レバー20Lの先端20Sの断面の呈する外径T2よりも小さくなっている。レバー保持部21Lの縁部と弾性曲折部21B、21Bとその頂部21C、21Cとで形成される空間がレバー収容空間21Rである。
【0027】
〈実施例2に係る半嵌合防止コネクタの動作〉
さて、図4(1)に戻って実施例2に係る半嵌合防止コネクタの動作について説明する。図4(1)は嵌合前、図4(2)は嵌合完了直前、図4(3)は嵌合完了の図である。以下、この順で説明する。
《嵌合前》
嵌合前の図4(1)では、レバー20Lはまだ握られていないので、コネクタ本体20M(図4(2)参照)は筒状ケース20Cの中に収容されたままであり、この図では見えない。
《嵌合完了直前》
嵌合完了直前の図4(2)では、レバー20Lが深く握られて、レバー20Lの先端20Sがレバー保持部21Lの弾性曲折部21Bに当接し、弾性曲折部21B、21Bを押し拡げて、頂部21Cを乗り越える寸前である。コネクタ本体20Mは筒状ケース20Cから露出している。
《嵌合完了》
嵌合完了の図4(3)では、レバー20Lがさらに深く握られることで、コネクタ本体20Mは筒状ケース20Cから露出し、この状態で相手側コネクタ(図示省略)と完全嵌合している。また、レバー20Lの先端20Sは弾性曲折部21B、21Bの頂部21Cを乗り越えて、レバー収容空間21R内に収容されている。
これにより、レバー20Lはレバー収容空間21Rから脱出できず、ロックされた状態となり、レバー20Lは元の位置に復帰できない。外す際は、意識的にレバー20Lを手で強く反対側に引くことで弾性曲折部21B、21Bは押し下げられ、レバー20Lはレバー収容空間21Rから開放され、バネ力によって元の位置に復帰する。
【0028】
このように、本発明によれば、レバー20Lを通常通り握るだけでレバー保持部21Lに嵌まる構造となっている。
また、レバー保持部21Lの弾性曲折部21B、21Bを押し拡げる力を加えることで、レバー保持部21Lを押し拡げた後の握り力の慣性力によって最後までレバー20Lが握り込める。
なお、レバー保持部21Lの当接時は、(1)メイン端子がオン、信号端子がオフとなるようにしておくか、(2)メイン端子がオフ、信号端子がオフとなるようにしておくか、のいずれでもよい。
【0029】
〈その他の実施例〉
以上の実施例1および2に係るホルダはコネクタと共にスライドするハンドルに取り付けていたが、本発明はもちろんこれに限定されるものではなく、スライド機構を持たないハンドルに対しても同じようにして適用可能である。
【0030】
〈まとめ〉
以上のように、本発明によれば、コネクタ同士が完全嵌合した状態でレバーをレバー収容空間の中に収容させて拘束するので、したがってコネクタの端子同士が外れないため、アークが飛ばないようになり、コネクタの損傷がなくなる。
【符号の説明】
【0031】
10:実施例1に係る半嵌合防止コネクタ
10C:筒状ケース
10H:ハンドル
10L:レバー
10M:コネクタ本体
10S:レバー先端
11:実施例1に係るホルダ
11C:コイルバネ
11D:コイルバネ収容室
11E:コイルバネ先端係止部
11F:ハンドル固着部
11G:ツマミ
11H:ホルダ本体
11L:スライダ載置部
11M1:カギ型長溝
11M2:長溝
11N:ネジ孔
11N1:カギ型突起
11N2:突起
11R:レバー収容室
11S:スライダ
11T:テーパ付き突起
20:実施例2に係る半嵌合防止コネクタ
21:実施例2に係るホルダ
21A:延出部
21B:弾性曲折部
21C:頂部
21H:ホルダ本体
21L:レバー保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケースと、前記筒状ケースの前半部に摺動可能に内装された給電側のコネクタ本体と、前記筒状ケースの後半部に回動可能に装着されたレバーと、を備え、前記レバーに枢着され前記レバーを握ることでその回動操作により前記筒状ケース内を移動する半嵌合防止コネクタにおいて、
前記レバーの端部を収容するレバー収容空間を備えたホルダを前記レバーの回動軌跡上に設け、前記レバーを握って前記コネクタ本体が相手側コネクタと完全嵌合した状態での前記レバーの端部が前記レバー収容空間内に収容されるようになることを特徴とする半嵌合防止コネクタ。
【請求項2】
前記ホルダが、前記コネクタ本体を先端に取り付け、前記レバーを握ることで前記コネクタ本体と共にスライドするハンドルに取り付けられるホルダ本体と、前記ホルダ本体に摺動可能に取り付けられ、常時一方向にバネ付勢されるスライダとから構成され、前記スライダが内部に前記レバー収容空間を備えかつ外部にテーパ付き突起を備え、前記レバーを深く握っていくに従って、前記レバーの端部が前記テーパ付き突起のテーパに当接して、前記スライダを前記バネ付勢に抗して反対方向にスライドさせ、最終的に前記レバーの端部が前記テーパ付き突起の端から前記レバー収容空間の中に収容されるようになることを特徴とする請求項1記載の半嵌合防止コネクタ。
【請求項3】
前記ホルダが、前記コネクタ本体を先端に取り付け、前記レバーを握ることで前記コネクタ本体と共にスライドするハンドルに取り付けられるホルダ本体と、前記ホルダ本体の下端に取り付けられるレバー保持部とを備え、前記レバー保持部は縁部の両端からそれぞれ前記レバー方向に延びる延出部と、前記延出部の先端から互いに向き合う方向に円弧状に曲折する弾性曲折部を備え、前記レバー保持部の縁部と前記弾性曲折部とで形成される空間を前記レバー収容空間としたことを特徴とする請求項1記載の半嵌合防止コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243637(P2012−243637A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113930(P2011−113930)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】