半径方向荷重下で均一に分布した応力を有する生体吸収性血管インプラント
体腔に移植するための生体吸収性血管インプラントはチューブ状骨組を有し、1つ以上の環状支持部材を含む。前記した1つ以上の環状支持部材の各々はヒンジ領域により相互接続されている複数のストラットを含む。複数のストラットの各々は中央部分をも含む。血管インプラントは、該血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料をも含む。複数のストラット及びヒンジ領域の各々が断面を規定する。移行を調整し、膨張コンフィギュレーションでの血管インプラントに負荷される半径方向荷重に抵抗するために惰性モーメントは中央部分からヒンジ領域に向かって増加している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には介入的治療処置または血管手術のための植え込み型血管デバイス、より具体的には収縮及び膨張コンフィギュレーションの両方で均一の応力分布を示す生体吸収性ポリマースカフォードに関する。
【背景技術】
【0002】
介入的治療及び手術の技術及び科学は、治療部位の周りの組織損傷を小さくすべく血管系または体内開口を介する切り口またはアクセス部分をずっと小さくすることにより内部欠陥及び疾患の治療のために絶えず進歩している。前記治療の1つの重要な態様はステントまたはスカフォードを所与の1つ以上の治療部位に経皮的に配置することを含む。
【0003】
典型的には、ステントを収縮コンフィギュレーションで血管内に導入した後、血管の開放性を維持するために血管中に配置したときに膨張させる。ステント膨張は記憶をベースとする(すなわち、自己膨張)、変形をベースとする(すなわち、バルーン膨張)、または両方の組合せである。変形ベース技術を用いて膨張させたステントは変形をコントロールするために所定域に集中した応力のエリアを含む。例えば、バルーン膨張性ステントは、コントロールしたクリンプ加工及びその後の膨張を促進するためにヒンジに高応力エリアを有する。
【0004】
しかしながら、この構成の結果、適用されたとき応力はこれらのエリアで、例えば血管または体内開口から半径方向荷重下で膨張状態で最高である。ポリマーステントまたはスカフォードの場合、これらの集中した応力エリアはポリマー材料の粘弾性のために変形を受け、よってステントに対して望ましくない有害な作用(すなわち、ステント崩壊または反動)をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、体腔に移植するための生体吸収性血管インプラントは1つ以上の環状支持部材を含むチューブ状骨組を有する。前記した1つ以上の環状支持部材の各々はヒンジ領域により相互接続されている複数のストラットを含む。複数のストラットの各々は中央部分をも含む。血管インプラントは、血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料から構成されている。複数のストラット及びヒンジ領域の各々が断面を規定する。移行を調整し、膨張コンフィギュレーションでの血管インプラントに負荷される半径方向荷重に抵抗するために惰性モーメントは中央部分からヒンジ領域に向かって増加している。
【0006】
本発明の上記した及び他の要件は、添付図面を参照しながら以下の記載を読むことから本発明が関する当業者には自明になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の1つの態様に従って構成されている膨張コンフィギュレーションでの生体吸収性血管インプラントを示す略図である。
【図1B】収縮コンフィギュレーションでの血管インプラント(図1A)の拡大部分を示す略図である。
【図2A】図1Aの血管インプラントの一部を示す略図である。
【図2B】図2Aの血管インプラントの拡大部分(点線で囲んだ長方形)を示す略図である。
【図2C】図2Aの血管インプラントの拡大部分(点線で囲んだ円)を示す略図である。
【図2D】図2Cの線2D−2Dに沿って取った断面図である。
【図2E】図2Cの線2E−2Eに沿って取った断面図である。
【図3A】図1Aの血管インプラントのヒンジ領域の拡大側面図を示す略図である。
【図3B】図3Aのヒンジ領域の一部に負荷される荷重(矢印)を示す略図である。
【図3C】図3Bのヒンジ領域の自由体図を示す略図である。
【図4A】先細ヒンジ領域を有する従来のスカフォードを示す略図である。
【図4B】図4Aのスカフォードのヒンジ領域の拡大側面図を示す略図である。
【図4C】図4Bのヒンジ領域の一部に負荷される荷重(矢印)を示す略図である。
【図4D】図4Cのヒンジ領域の自由体図を示す略図である。
【図5A】等しい大きさの断面を有するヒンジ領域及びストラット中央部分を有する別の従来スカフォードを示す略図である。
【図5B】図5Aのスカフォードのヒンジ領域の拡大側面図を示す略図である。
【図5C】図5Bのヒンジ領域の一部に負荷される荷重(矢印)を示す略図である。
【図5D】図5Cのヒンジ領域の自由体図を示す略図である。
【図6】図1A〜Bの血管インプラントについての応力対ひずみ曲線であり、この曲線から最大応力及び降伏応力を読取ることができる。ステントを37℃の水に浸し、2分後MPT Europe(Mulderspark 9−1,9351 NR Leek,オランダ国)製ラジアルテスターRCM−60−WBを用いて3つの連続サイクルで半径方向に圧縮した。第1サイクル(曲線A)の間に15%直径縮小を加えた。第2サイクル(曲線B)の間に追加の15%直径縮小を加えた。第2サイクル(曲線C)の間にステント直径は1.7mmに縮小した。分かるように、ステントは第1サイクル後当初の直径に戻り、第2サイクル後ステントは可塑的に変形した。
【図7A】動脈壁に対して完全に対向しており、動脈壁に対して明らかな半径方向支持を与える本発明の生体吸収性血管インプラントを示す一連のOCT画像である。
【図7B】動脈壁に対して完全に対向しており、動脈壁に対して明らかな半径方向支持を与える本発明の生体吸収性血管インプラントを示す一連のOCT画像である。
【図8】ブタ血管系に30日間移植後の図7A〜Bの生体吸収性血管インプラントのクロスストラットの破断を示す拡大写真である。
【図9A】ブタ血管系に30日間移植後の図7A〜Bの生体吸収性血管インプラントの良好な生体適合性を示す一連の病理スライドである。
【図9B】ブタ血管系に30日間移植後の図7A〜Bの生体吸収性血管インプラントの良好な生体適合性を示す一連の病理スライドである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されている技術用語はすべて本発明が属する業界の当業者が通常理解しているのと同じ意味を有する。
【0009】
本発明の関係で、用語「被験者」は温血生物を指し得、その中にはヒト、ブタ、ラット、マウス、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿、家兎、ウシ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書中で使用されている用語「生体吸収性ポリマー」は、その分解副生成物が生体同化されるかまたは被験者の身体中の自然経路を介して排泄され得るポリマーを指し得る。
【0011】
本明細書中で使用されている用語「クリンプ加工」は、血管インプラントの構造成分(例えば、壁またはストラット)に実質的に悪影響を及ぼすことなく血管インプラントの直径を縮小させるための血管インプラントに対する半径方向圧締を含むプロセスを指し得る。
【0012】
本明細書中で使用されている用語「分解性ポリマー」は、被験者の身体または水溶液中に置き、生理学的媒体によく似た温度、浸透圧モル濃度、pH等の条件下に維持したとき、好ましくは被験者の抗原−抗体防御系を誘発するリスクを最小限とするために酵素分解に関与することなくモノマー及びオリゴマーに分解するポリマーを指し得る。
【0013】
本明細書中で使用されている用語「最終的に所定の形状及び直径」は、体腔に配置した血管インプラントの所望の直径、長さ、設計及び壁厚を指し得る。
【0014】
本明細書中で使用されている用語「負の反動」は、膨張した血管インプラントの直径の望ましくない縮小を指し得る。
【0015】
本明細書中で使用されている「正の反動」は、所望の最終直径を有するように教育されているが、所望の最終直径まで十分に膨張されていない血管インプラントの直径の増大を指し得る。
【0016】
本明細書中で使用されている用語「ガラス転移温度」及び「Tg」は、ポリマーがガラス状態からゴム状態、または逆に変化する温度を指し得る。
【0017】
本明細書中で使用されている用語「緩和関連反動」は、分子配座が粘弾性ポリマー材料の公知の挙動に従って時間依存的にゆっくり再配列するために血管インプラントの直径がゆっくり変化することを指し得る。再配列は、一部は血管インプラントを構成するポリマー材料を熱力学的平衡にゆっくりもたらす永久の静的または動的荷重に起因する。
【0018】
本発明は、一般的には介入的治療処置または血管手術のための植え込み型血管デバイス、より具体的には収縮及び膨張コンフィギュレーションの両方で均一の応力分布を示す生体吸収性ポリマースカフォードまたはステントに関する。本発明の1つの態様の代表として、図1A〜Bは体腔に移植するための1つ以上の環状支持部材12を含む生体吸収性血管インプラント10を図示している。1つ以上の環状支持部材12は複数のストラット14を含み、その各々は中央部分16及びヒンジ領域18を含む。(例えば、ヒンジに)高応力の所定エリアを含む従来技術のバルーン膨張性血管インプラント(例えば、ステント)とは異なり、本発明の血管インプラント10は膨張コンフィギュレーションで動的荷重状態で(例えば、体腔中で膨張させたとき、クリンプ加工の間、または拍動している体腔において)改善された半径方向抵抗性を示す。半径方向抵抗性は、高頻度の半径方向荷重によるクリープを避けるために最大に生ずる応力を散らし、制限することにより改良される。その結果、変形はストラット14の中央部分16から最高モーメントエリアにより均一に分布または吸収される。
【0019】
I.生体吸収性血管インプラント
本発明の1つの態様は、1つ以上の環状支持部材12を含む生体吸収性血管インプラント10を包含する。血管インプラント10は、実質的にチューブ状の骨組を有し、体腔に移植することができる任意の部材、デバイスまたは器具を含み得る。以下により詳細に記載するように、血管インプラント10は、血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料から構成される。
【0020】
本発明の1つの例では、血管インプラント10はスカフォードを含む。スカフォードの非限定例には、支持部材、収縮性部材、膨張性部材、伸展性部材、一体構造物、メッシュ構造物、網状デバイス、多孔質構造物、ストラット、膜、ブラダー、傘型デバイス、リブ、スポーク、フレーム及びその組合せが含まれ得る。スカフォードは完全に被覆されていても、部分的に被覆されていても、または被覆されていなくてもよい。被覆されているスカフォードは、膜、ファブリック、フィルム、多層により部分的または完全に被覆されている及び/またはコーティングされている骨格を含み得る。
【0021】
本発明の別の例では、スカフォードはステントからなり得る。
【0022】
図1に示すように、血管インプラント10は1つ以上の環状支持部材12を含む。血管インプラント10が2つの環状支持部材12を含む場合、少なくとも1つのクロスストラット20が環状支持部材を横断し得る。少なくとも1つのクロスストラット20は1つ以上の環状支持部材12と同一または異なる粘弾性材料から構成され得る。少なくとも1つのクロスストラット20は1つ以上の環状支持部材12の分解または再吸収速度より遅い、速いまたは同じ分解または再吸収速度を有し得る。例えば、少なくとも1つのクロスストラット20は約90日以上、約60日、或いは約30日以下の分解または再吸収速度を有し得る。
【0023】
血管インプラント10は多数のクロスストラット20を含み得る。曲がりくねった血管系に移植するときに良好な可撓性を有する血管インプラント10を提供するためには、例えば血管インプラントがクロスストラットの分解(例えば、解体または破断)または再吸収時に血管系の形状により短時間で適合し得るように少数のクロスストラット20を含めることが望ましいことがある。血管インプラント10の一部としてクロスストラット20を含めたり排除することは血管インプラントが意図する具体的用途に依存すること、及び分解または再吸収のための時間はクロスストラットを形成するために使用される材料グレード、クロスストラットの断面形状、血管系の構造及びクロスストラットの数に依存することが認識されている。加えて、クロスストラット20が図2A〜Cに示すロッド形コンフィギュレーション以外の適切な大きさ及び形状を有し得ることが認識されている。
【0024】
1つ以上の環状支持部材12の各々は第1末端22、第2末端24、及び両末端間に広がるチャネル26(図1A)を含む。上述したように、1つ以上の環状支持部材12の各々(図2A〜C)はヒンジ領域18により相互接続されている複数のストラット14をも含む。複数のストラット14及びヒンジ領域18の各々が断面を規定する。ストラット14及びヒンジ領域18の各々の断面は長方形、円形、卵形、正方形または任意の他の所望形状であり得る。
【0025】
本発明の1つの例では、ストラット14の各々(図2A〜E)は幅WSを規定する中央部分16を含み、ヒンジ領域18の各々は幅WHを規定する。図2Aに示すように、第1環状支持部材12’はヒンジ領域18により接続されている一連の反復V形ストラット14を含み、第2環状支持部材12”は同様にヒンジ領域により接続されている一連の反復V形ストラットを含む。環状支持部材12を含むストラット14の各々は血管インプラント10の意図する用途に応じて同一または異なるコンフィギュレーション(例えば、形状及び大きさ)を有し得ることが認識されている。
【0026】
環状支持部材12の各々はストラット14及びヒンジ領域18により規定される複数のセル28を含む。セル28により、クロスストラット20または環状支持部材12の構造を実質的に変化せることなく血管インプラント10をより大きな直径(すなわち、膨張コンフィギュレーション)からより小さな直径(すなわち、収縮コンフィギュレーション)にクリンプ加工することができる。セル28は標準の加工技術、例えば成形、レーザー切断、エングレービングまたはホトリソグラフィーにより形成され得る。各環状支持部材12は所望数のセル28を含み得る。例えば、各環状支持部材12は約4〜約15個のセル28を含み得、好ましくは約5〜約6個のセルであり得る。
【0027】
本発明は図3A〜Cを参照することにより最もうまく理解され得る。図3A〜Cに示すように、各ストラット14の少なくとも一部の幅WSは各ヒンジ領域18の幅WHより狭い。例えば、中央部分16での幅WSは約150μm以上であり得、ヒンジ領域18の幅WHは約250μm以上であり得る。本発明の1つの例では、中央部分16での幅WSは約160μmであり得、ヒンジ領域18での幅WHは約300μmであり得る。
【0028】
幅WHは各ストラット14のヒンジ領域18から中央部分16に実質的に連続的に先細りし得る。この先細りの効果により、血管インプラント10(すなわち、膨張コンフィギュレーションで)に負荷される半径方向荷重またはその接線方向誘導成分に抵抗するように惰性モーメントが中央部分16からヒンジ領域18に向かって増加する。換言すると、その効果はヒンジ領域18(すなわち、曲げモーメレントが高い場所)での変形に対してより高い抵抗性であり、全体の応力変形をより均一にすることである。従って、1つ以上の環状支持部材12の全体にわたる応力の均一分布により、血管インプラントを膨張させた後、半径方向荷重にかけたときに血管インプラント10の接線方向に誘導される半径方向強度及び機械的強度が弱められない。
【0029】
幅の理想的縮小は、曲げ半径を一定に維持するための努力により動かされる複雑な相関関係である。例えば、長方形ビームの曲げは式:
1/R=12FL/(ETW3)
によりコントロールされる。ここで、Rはヒンジ領域18の曲率の半径であり、Fは適用した力であり、Lはエンドポイントからの距離であり、Eはヤング率であり、Tはストラット14の厚さであり、Wはストラット幅である。よって、ガイドラインとして、ストラット幅Wはストラット14の末端の1つからの距離の立方根として変化しなければならない。すなわち、ストラット14の中央部分16に沿った任意のポイントで、幅Wは該ポイントに最も近い末端の1つからの距離の立方根に比例していなければならない。しかしながら、先細はたとえ幅Wが単純に直線的に先細り減少しても、一定幅のストラットよりも有意な改善を与える。ストラット14はそのヒンジ領域18で幅広いので、全血管インプラント10はより大きい圧縮及び膨張力を処理することができる。従って、血管インプラント10はより大きい疲労応力を処理することができ、その結果より持続性のより強い血管インプラントが得られ得る。
【0030】
ヒンジ領域18にかかる最大応力を最小限とする試みにおいて、本発明は他のエリアよりも破損を受けにくいストラット14のエリア(例えば、中央部分16)に応力を分布する構造幾何学を利用している。例えば、従来のステント構造物の最も傷つきやすいエリアの1つは、ステントが膨張するのでヒンジの内側の半径である。ヒンジの内側半径は通常ステント構造物に対する応力が最高レベルのエリアである。
【0031】
図4A〜D及び図5A〜Dはそれぞれ従来のステント構造物30及び32の例を図示している。図4A〜Dに示すように、ある従来のステント構造物30はストラット38の中央部分36の幅WSより狭い幅WHを有する先細ヒンジ34を含む。このステントコンフィギュレーションは、半径方向荷重を負荷すると惰性モーメントがヒンジ34から中央部分36に増加し、よってヒンジでの応力が増すので不利である。同様に、図5A〜Dに示すように、他の従来のステント構造物32は等しい幅WH及びWSを有するヒンジ40及びストラット中央部分42を含む。このステントコンフィギュレーションは、半径方向荷重を負荷すると惰性モーメントはヒンジ40から中央部分42まで一定のままであり、よってステント構造物32の全体にわたって不均一な応力分布が生ずるので不利である。
【0032】
従来のステント構造物の他の例は、Duerigらに対する米国特許No.6,190,406、Roederらに対する米国特許No.7,753,948(以後、“Roeder I”)及びRoederらに対する米国特許出願No.11/454,303(以後、“Roeder II”)に開示されている。Duerigは、均一に分布したひずみを示し、超弾性材料(例えば、ニチノール)から作成されている自己膨張性ステントを教示している。Roeder Iは、収縮コンフィギュレーションに移動し、血管内デリバリーのためにステントを収縮状態で維持するために必要なシース中に配置し得る均一に分布した応力を有する自己膨張性ステントを教示している。Roeder Iは、ステントが弾性、非弾性及び超弾性材料(例えば、ニチノール)から作成されることをも教示しているが、ステントが粘弾性ポリマーから作成されることを教示していない。Roeder IIは、収縮状態で永久的ダメージを呈することなく大量のひずみを調整することができる自己膨張性ステントを教示している。Roeder IIは、ステントが弾性、非弾性及び超弾性材料(例えば、ニチノール)から作成されることをも教示しているが、ステントが粘弾性ポリマーから作成されることを教示していない。
【0033】
上述したように、本発明の作用効果の1つは、半径方向荷重を負荷したとき応力が血管インプラント10の全体にわたってより均一に分布されることである。特に、応力レベルはヒンジ領域18から離れて再分布され、ストラット14の長さに沿って、例えば各ストラットの中央部分16またはその近くに分布され得る。その結果、ヒンジ領域18での最大応力レベルを減らすことができる。
【0034】
本発明の別の作用効果は、応力を血管インプラント10の全体にわたって均質に分布させることにより血管インプラントの疲労寿命を延ばすことができることである。疲労寿命は、移植した後でもステントが動脈壁または他の組織構造により僅かに圧締されたままであるので従来のステント構造物では問題であり得る。この圧締によりステント構造物に作動応力が導入される。被験者の心臓は典型的には血管系中の動脈を拍動毎に膨張及び収縮させるので、移植したステントは通常心臓が拍動する毎に少し膨張し、収縮する。従来のステント構造物では、作動応力のサイクルがヒンジに集中しているのでこれはステント構造物のヒンジで疲労破損を引き起こす恐れがある。対照的に、本発明の血管インプラント10は、作動応力レベルを最小限とすることにより屈曲部またはヒンジでの破損のリスクを抑えることができる。
【0035】
血管インプラント10の全部または一部のみを少なくとも1つの粘弾性材料から形成し得る。本発明の粘弾性材料には、変形を受けたとき粘性及び/または弾性特性の両方を示す材料の1つ以上が含まれ得る。粘性挙動は、応力を加えたときに剪断流及びひずみが時間と共に線形に変化し、初期状態の記憶がなくなることにより特徴づけられる。弾性材料は伸縮させるとすぐにひずみが生じ、応力を除くとその元の状態に直ちに戻る。粘弾性材料は温度及び変形率に応じて粘性及び/または弾性挙動を示し得る。粘弾性ポリマーの場合、弾性は通常秩序固体で結晶面に沿った結合伸縮または(すなわち、ガラス転移温度以下の温度、或いは変形の高い率、速度で)高分子構造物が変形する時間の不足の結果であり、粘度は(ガラス転移温度を超える温度、或いは変形の低い率、速度で)高分子の一部及び/または高分子及び/または高分子骨格の移動の結果である。植え込み型ポリマーデバイスの場合、応力−ひずみ挙動は体温に対するガラス転移の位置に依存する。本発明の血管インプラント10を形成するために使用される粘弾性材料は上記特性の両方の要素を有し、よって時間依存性ひずみを示す。
【0036】
本発明の1つの例では、血管インプラント10は生分解性及び生体吸収性ポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)のような粘弾性材料の1つ以上から形成され得る。血管インプラント10は、約32℃<Tg<100℃、より特に約35℃<Tg<68℃のガラス転移温度(Tg)を有する生分解性及び生体吸収性ポリマーから形成され得る。例えば、血管インプラント10は、幾つかの材料(例えば、スチール)は高温で若干の粘弾性を示し得るのでより低い作業温度範囲(例えば、約37℃のTg)を有する1つ以上の生分解性及び生体吸収性ポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)から形成され得る。
【0037】
血管インプラント10を形成するポリマーは1つ以上の非晶質生体吸収性ポリマー、すなわち室温で結晶性でないポリマーの薄層から形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり得る。血管インプラント10を形成するために使用されるポリマーはインビボで分解したとき結晶性残渣を生じず、架橋されていてもいなくてもよい。血管インプラント10を教育、クリンプ加工及び配置することができる熱性及び粘弾性特性が十分に維持されるならば、例えば光架橋を使用し得る。
【0038】
血管インプラント10を形成するために使用され得るポリマーの例には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びその関連コポリマー、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリジオキサノン及びポリヒドロキシブチレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、多糖、ポリアミン、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリスルホネート、ポリスルホンアミド、ポリホスファゼン、ポリノルボルネン及びポリノルボルネンのコポリマー、ポリノルボルネンのKRATON(登録商標)(熱可塑性エラストマー)及びポリエチレンとのブレンド、スチレンブロックコポリマーエラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリカプロラクトン及びポリカプロラクトンのコポリマー、ポリ乳酸のコポリマー、ポリグリコール酸のコポリマー、ポリエン、ナイロン、ポリシクロオクテン(PCO)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ酢酸ビニル/ポリフッ化ビニリデン(PVAc/PVDF)のブレンド、ポリメタクリル酸メチル/ポリ酢酸ビニル/ポリフッ化ビニリデン(PVAc/PVDF/PMMA)のブレンド、ポリ塩化ビニル(PVC)、そのブレンド、誘導体、コポリマー、及び/または組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の1つの例では、血管インプラント10は、乳酸を主成分とするステレオコポリマー(L及びD単位から構成されるPLAxコポリマー、ここでXはL−ラクチル単位のパーセンテージである)(55<Tg<60)、乳酸及びグリコール酸のコポリマー(PLAxGAy、ここでXはL−ラクチル単位のパーセンテージであり、Yはグリコリル単位のパーセンテージであり、コポリマーのTgは約45℃を超える)、及びグルコニル単位のOH基が多かれ少なかれ置換されていてもよいポリ(乳酸−コ−グリコール酸−コ−グルコン酸)(pLAxGayGLz、ここでターポリマーのTgが約45℃を超えるようにXはL−ラクチル単位のパーセンテージであり、Yはグリコリル単位のパーセンテージであり、Zはグルコニル単位のパーセンテージである)から形成され得る。
【0040】
本発明の別の例では、血管インプラント10はL及びDLラクチドから生成されるポリ乳酸ステレオコポリマーから形成され得る。このポリマーを本明細書中では“PLAX”(ここで、Xはラクチドを生成するために使用したモノマーの混合物中のL−乳酸単位のパーセンテージを表す)と称する。Xは約2〜約98(例えば、約20〜約80)の範囲であり得る。
【0041】
本発明の更に別の例では、血管インプラント10はL及びDLラクチド及びグリコリドから生成されるポリ乳酸及びグリコール酸コポリマーから形成され得る。このポリマーを本明細書中では“PLAXGAY”(ここで、Yはコポリマーを生成するために使用したモノマーの混合物中のグリコール酸単位のパーセンテージを表す)と称する。このコポリマーは、グリコリル反復単位がラクチル反復単位よりも強い炎症性を有することが公知であるのでグリコリル反復単位を含有していない。このポリマーは、開始剤としてZn金属またはZn乳酸塩を用いて製造され得る。血管インプラント10の良好な初期機械的特性を確保するために、コポリマーの分子量は約20,000ダルトンを超え、例えば約100,000ダルトン以上であり得る。多分散性I=Mw/Mnは約2未満であり得、約2,000ダルトン(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定)より小さい低分子量オリゴマーの存在を大きく反映してはならない。
【0042】
II.生体吸収性血管インプラントの教育及びクリンプ加工
血管インプラント10は標準の技術(例えば、押し出し、成形、紡糸、射出成形、レーザー切断、その組合せ)、或いは粘弾性ポリマーをチューブ状骨組を有する中空デバイスに変形させる他の加工技術により形成され得る。これらの方法の1つ以上により形成される血管インプラント10は、血管インプラントを利用しようとする用途に対して取捨選択される最終的所定コンフィギュレーション(例えば、形状、長さ、厚さ、直径)を有するように構成され得る。例えば、血管インプラント10を初期直径に予備形成した後、選択したガラス転移温度またはそれを超える温度に加熱し得る。次いで、血管インプラント10を体腔にデリバリーするのに適したより小さい収縮プロフィールまで(例えば、機械的手段及び/または冷却を用いて)クリンプ加工し得る。次いで、血管インプラント10を冷却し、移植前にガイドカテーテル(図示せず)または他のデリバリーシステム(例えば、バルーン)上で組立て得る。血管インプラント10を形成するために使用され得る方法のより詳細な検討は、全文を参照により本明細書に組み入れるPCT公開No.WO2005/096992 A1に開示されている。
【0043】
血管インプラント10は、各種材料または治療薬が粘弾性ポリマーと固溶体を形成せず、インプラントの機能性を大きく変更させる可塑剤として作用しない限り、これらの材料または治療薬を運び、デリバリーするように処方され得る。材料または治療薬は衝撃または化学的カップリングにより血管インプラント10の外面または内面上に堆積され得る。材料または治療薬には医薬、医薬活性物質、薬物、ジェネリック薬、非ジェネリック薬及び細胞が含まれ得る。心血管疾患や癌のような各種の疾患及び状態の治療(すなわち、疾患または状態の予防、疾患または状態に関連する症状の軽減または除去、或いは疾患または状態の実質的または完全除去)のために使用されるものを含めた各種の治療薬が本発明と一緒に使用され得る。
【0044】
III.生体吸収性血管インプラントの教育及びクリンプ加工のための時間及び温度を決定するための手順
血管インプラント10を教育し、これにより負の反動に対して抵抗性の血管インプラントを配置するために適した温度及び時間は、まず血管インプラントをバルーンカテーテル上でクリンプ加工することにより評価され得る。次いで、血管インプラント10の膨張を開始するためにバルーンを膨らませる。バルーンを除去し、血管インプラント10を約37℃で保存する。保存中、血管インプラント10の正の反動特性のために血管インプラント10の直径が増大することがあり得る。血管インプラント10がこれらの条件下で約4〜6週間(例えば、動脈壁をPTC血管形成術から回復させるために推定される時間)保存しても負の反動を全くまたは殆ど示さないならば、血管インプラント10を教育するために使用した時間及び温度は適切である。血管インプラント10が少量の反動を示す場合には、血管インプラントを少量の負の反動を補償するために最終的所定直径よりも僅かに大きい直径で教育し得る。
【0045】
血管インプラント10をより小さい直径にクリンプ加工するための温度及び時間は、血管インプラントを載置したバルーンカテーテルをほぼ室温または保存温度でとどめることにより評価され得る。クリンプ加工した血管インプラント10がこれらの条件下で萎んだバルーンに相当する小さい直径で収縮したままならば、クリンプ加工中に使用した時間及び温度は適切である。血管インプラント10の付与された機械的特性(例えば、正の反動)の最適化は最終製品を約20℃以下の室温で保存することにより達成され得る。例えば、最終製品は約6〜約8℃で冷蔵され得る。
【0046】
IV.生体吸収性血管インプラントの配置
血管インプラント10を形成後、血管インプラントを疾患または状態(例えば、狭窄または不安定プラーク)の1つ以上を治療するために体腔に移植し得る。血管インプラント10を移植し得る体腔または通路の例には、胃腸管(例えば、胆管、結腸、十二指腸)、食道、気管、気管支、尿管(例えば、尿道、前立腺、尿管)、膵管系、消化管、涙管、精管及び卵管、並びに血管系、例えば動脈及び静脈(例えば、大腿腸管動脈、頸動脈、椎骨脳底動脈、腎動脈、冠状血管、末梢血管、頭蓋内血管等)が含まれる。
【0047】
血管インプラント10は各種方法により配置され得る。例えば、血管インプラント10を例えばガイドカテーテルを用いて体腔または通路に導入した後、体腔内の標的部位(例えば、狭窄または不安定プラークの部位)まで進めることができる。血管インプラント10の直径及び配置は任意の方法により決定され得る。例えば、移植中血管インプラントをリアルタイムで視覚化できるように血管インプラント10の一部または全部を放射線不透過性材料でコーティングしても包んでもよい。放射線不透過性材料の1例には、非刺激性であり、実質的に非アレルギー性であり、非常に薄い層で高い蛍光透視可視性を与え且つ血栓形成を減少させると考えられている金が含まれ得る。
【0048】
本発明の1つの例では、血管インプラント10は、血管インプラントの直径をリアルタイムで調べられ得るように配置された少なくとも2つのマーカー(図示せず)を含み得る。マーカーは多数の方法で、例えば血管インプラントのストラット上にクリンプ加工されるリボン及び/または部分的にスパッタリングした重金属コーティングを用いて血管インプラント10に適用され得る。以下に更に記載するように、マーカーは、血管インプラント10が適切に膨張しているか、血管インプラントの直径が所与の時間で増大または縮小しているかを調べるために役立ち得る。
【0049】
マーカーを検出するためのイメージング手順は当業界で公知であり、X線、磁気共鳴イメージング(MRI)及び超音波イメージングを含み得る。マーカーは被験者の身体中を移動するので血管インプラント10の位置を追跡するために使用され得、これは血管インプラントが被験者中の正確な道を移動しているかを調べるのを大いに助ける。更に、これは血管インプラント10を体腔内の正確な部位に配置するのを助ける。
【0050】
或いは、血管インプラント10が少なくとも3つのマーカーを含み得ることが認識されている。少なくとも3つのマーカーを使用すると、移植中の任意の時間に血管インプラント10の三次元位置を調べることができる。この要件により、血管インプラント10が血管直径の外直径が血管インプラントを配置する体腔の内径より狭いと起こり得る体腔内での回転運動を呈さないことが保証される。血管インプラント10の体腔内での回転運動は、血流の濁りを増やし、よって血餅形成を高める恐れがあるので好ましくない。血管インプラント10の移植中に回転運動が検出された場合には、血管インプラントの直径を適切に増大させなければならないと理解される。
【0051】
血管インプラント10を体腔内の標的部位に配置したら、血管インプラントをその最終的所定形状に膨張させ得る。血管インプラント10は1つ以上の公知の技術、例えばバルーン、インフレーション流体及び/または被験者の体熱を用いて膨張され得る。例えば、血管インプラント10は、全文を参照により本明細書に組み入れる米国特許出願No.12/282,738に開示されている持続的バルーン膨張と記憶回復の組合せを用いて(すなわち、ステントの選択したTgに達するので)膨張され得る。
【0052】
血管インプラント10のゆっくりした持続的記憶に基づく正の反動は、標的部位の組織にダメージを与える恐れがある血管インプラントの制御されない過剰膨張を予防または軽減する。加えて、血管インプラント10の粘弾性材料は時間依存性ひずみを示すので、血管インプラントをゆっくりと持続的に配置すると典型的にはポリマースカフォードまたはステントの配置に関係する亀裂及びひび割れが避けられる。膨張中及びその後、血管インプラント10の全体にわたって均一に分布されている応力により、インプラントの半径方向強度及び機械的耐性が弱まることなく、これによりステントに対する望ましくないまたは有害な作用(すなわち、ステントの崩壊または反動)の予防または軽減が保証される。その結果、配置した血管インプラント10は弾性動脈反動を維持するように高い半径方向剛性を示すだけでなく、降伏応力を超える応力を軽減または防止することにより粉砕も避ける。
【0053】
以下の実施例は例示の目的のみであり、添付されている特許請求の範囲を限定すると意図されていない。
【0054】
[実施例]
32匹のブタ、16匹のイエブタ及び16匹のミニブタの冠血管系にブタ1匹あたり2つの(図1A〜2Eに概略的に図示されている)生体吸収性ステントを移植した。すべてのステントを適切な指示に従ってそれぞれの標的部位に送達させ、適切に配置した。イエブタは28日目に、ミニブタは90日目に殺した。
【0055】
ステント移植から1ヶ月後、再狭窄のパーセンテージは50%未満であり、約0.6mmの平均遠隔期内腔損失が観察された。図7A〜Bで認められ得るように、ステントが30日目及び90日目に完全に動脈壁に対向し、よって明らかな半径方向支持を与えた。
【0056】
更に、幾つかのステントを酵素消化プロトコルにより膨張させ、処理した。残留半径方向力が回収したステントで測定された。図8に示すように、回収したステントの1つでリンク破断が証明された。30日目の半径方向強度及び剛性は移植前の値と比較して劣っていなかった。加えて、組織分析は30日目にステントの良好な生体適合性を証明した(図9A〜B)。組織分析は02421 米国マサチューセッツ州レキシントン,500 Patriot Wayに所在のCBSETにより実施した。
【0057】
本発明の先の記載から、当業者は改良、変化及び修飾を認めている。そのような改良、変化及び修飾は当業界の技術の範囲内であり、添付されている特許請求の範囲により包含されると意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には介入的治療処置または血管手術のための植え込み型血管デバイス、より具体的には収縮及び膨張コンフィギュレーションの両方で均一の応力分布を示す生体吸収性ポリマースカフォードに関する。
【背景技術】
【0002】
介入的治療及び手術の技術及び科学は、治療部位の周りの組織損傷を小さくすべく血管系または体内開口を介する切り口またはアクセス部分をずっと小さくすることにより内部欠陥及び疾患の治療のために絶えず進歩している。前記治療の1つの重要な態様はステントまたはスカフォードを所与の1つ以上の治療部位に経皮的に配置することを含む。
【0003】
典型的には、ステントを収縮コンフィギュレーションで血管内に導入した後、血管の開放性を維持するために血管中に配置したときに膨張させる。ステント膨張は記憶をベースとする(すなわち、自己膨張)、変形をベースとする(すなわち、バルーン膨張)、または両方の組合せである。変形ベース技術を用いて膨張させたステントは変形をコントロールするために所定域に集中した応力のエリアを含む。例えば、バルーン膨張性ステントは、コントロールしたクリンプ加工及びその後の膨張を促進するためにヒンジに高応力エリアを有する。
【0004】
しかしながら、この構成の結果、適用されたとき応力はこれらのエリアで、例えば血管または体内開口から半径方向荷重下で膨張状態で最高である。ポリマーステントまたはスカフォードの場合、これらの集中した応力エリアはポリマー材料の粘弾性のために変形を受け、よってステントに対して望ましくない有害な作用(すなわち、ステント崩壊または反動)をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、体腔に移植するための生体吸収性血管インプラントは1つ以上の環状支持部材を含むチューブ状骨組を有する。前記した1つ以上の環状支持部材の各々はヒンジ領域により相互接続されている複数のストラットを含む。複数のストラットの各々は中央部分をも含む。血管インプラントは、血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料から構成されている。複数のストラット及びヒンジ領域の各々が断面を規定する。移行を調整し、膨張コンフィギュレーションでの血管インプラントに負荷される半径方向荷重に抵抗するために惰性モーメントは中央部分からヒンジ領域に向かって増加している。
【0006】
本発明の上記した及び他の要件は、添付図面を参照しながら以下の記載を読むことから本発明が関する当業者には自明になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の1つの態様に従って構成されている膨張コンフィギュレーションでの生体吸収性血管インプラントを示す略図である。
【図1B】収縮コンフィギュレーションでの血管インプラント(図1A)の拡大部分を示す略図である。
【図2A】図1Aの血管インプラントの一部を示す略図である。
【図2B】図2Aの血管インプラントの拡大部分(点線で囲んだ長方形)を示す略図である。
【図2C】図2Aの血管インプラントの拡大部分(点線で囲んだ円)を示す略図である。
【図2D】図2Cの線2D−2Dに沿って取った断面図である。
【図2E】図2Cの線2E−2Eに沿って取った断面図である。
【図3A】図1Aの血管インプラントのヒンジ領域の拡大側面図を示す略図である。
【図3B】図3Aのヒンジ領域の一部に負荷される荷重(矢印)を示す略図である。
【図3C】図3Bのヒンジ領域の自由体図を示す略図である。
【図4A】先細ヒンジ領域を有する従来のスカフォードを示す略図である。
【図4B】図4Aのスカフォードのヒンジ領域の拡大側面図を示す略図である。
【図4C】図4Bのヒンジ領域の一部に負荷される荷重(矢印)を示す略図である。
【図4D】図4Cのヒンジ領域の自由体図を示す略図である。
【図5A】等しい大きさの断面を有するヒンジ領域及びストラット中央部分を有する別の従来スカフォードを示す略図である。
【図5B】図5Aのスカフォードのヒンジ領域の拡大側面図を示す略図である。
【図5C】図5Bのヒンジ領域の一部に負荷される荷重(矢印)を示す略図である。
【図5D】図5Cのヒンジ領域の自由体図を示す略図である。
【図6】図1A〜Bの血管インプラントについての応力対ひずみ曲線であり、この曲線から最大応力及び降伏応力を読取ることができる。ステントを37℃の水に浸し、2分後MPT Europe(Mulderspark 9−1,9351 NR Leek,オランダ国)製ラジアルテスターRCM−60−WBを用いて3つの連続サイクルで半径方向に圧縮した。第1サイクル(曲線A)の間に15%直径縮小を加えた。第2サイクル(曲線B)の間に追加の15%直径縮小を加えた。第2サイクル(曲線C)の間にステント直径は1.7mmに縮小した。分かるように、ステントは第1サイクル後当初の直径に戻り、第2サイクル後ステントは可塑的に変形した。
【図7A】動脈壁に対して完全に対向しており、動脈壁に対して明らかな半径方向支持を与える本発明の生体吸収性血管インプラントを示す一連のOCT画像である。
【図7B】動脈壁に対して完全に対向しており、動脈壁に対して明らかな半径方向支持を与える本発明の生体吸収性血管インプラントを示す一連のOCT画像である。
【図8】ブタ血管系に30日間移植後の図7A〜Bの生体吸収性血管インプラントのクロスストラットの破断を示す拡大写真である。
【図9A】ブタ血管系に30日間移植後の図7A〜Bの生体吸収性血管インプラントの良好な生体適合性を示す一連の病理スライドである。
【図9B】ブタ血管系に30日間移植後の図7A〜Bの生体吸収性血管インプラントの良好な生体適合性を示す一連の病理スライドである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されている技術用語はすべて本発明が属する業界の当業者が通常理解しているのと同じ意味を有する。
【0009】
本発明の関係で、用語「被験者」は温血生物を指し得、その中にはヒト、ブタ、ラット、マウス、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿、家兎、ウシ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書中で使用されている用語「生体吸収性ポリマー」は、その分解副生成物が生体同化されるかまたは被験者の身体中の自然経路を介して排泄され得るポリマーを指し得る。
【0011】
本明細書中で使用されている用語「クリンプ加工」は、血管インプラントの構造成分(例えば、壁またはストラット)に実質的に悪影響を及ぼすことなく血管インプラントの直径を縮小させるための血管インプラントに対する半径方向圧締を含むプロセスを指し得る。
【0012】
本明細書中で使用されている用語「分解性ポリマー」は、被験者の身体または水溶液中に置き、生理学的媒体によく似た温度、浸透圧モル濃度、pH等の条件下に維持したとき、好ましくは被験者の抗原−抗体防御系を誘発するリスクを最小限とするために酵素分解に関与することなくモノマー及びオリゴマーに分解するポリマーを指し得る。
【0013】
本明細書中で使用されている用語「最終的に所定の形状及び直径」は、体腔に配置した血管インプラントの所望の直径、長さ、設計及び壁厚を指し得る。
【0014】
本明細書中で使用されている用語「負の反動」は、膨張した血管インプラントの直径の望ましくない縮小を指し得る。
【0015】
本明細書中で使用されている「正の反動」は、所望の最終直径を有するように教育されているが、所望の最終直径まで十分に膨張されていない血管インプラントの直径の増大を指し得る。
【0016】
本明細書中で使用されている用語「ガラス転移温度」及び「Tg」は、ポリマーがガラス状態からゴム状態、または逆に変化する温度を指し得る。
【0017】
本明細書中で使用されている用語「緩和関連反動」は、分子配座が粘弾性ポリマー材料の公知の挙動に従って時間依存的にゆっくり再配列するために血管インプラントの直径がゆっくり変化することを指し得る。再配列は、一部は血管インプラントを構成するポリマー材料を熱力学的平衡にゆっくりもたらす永久の静的または動的荷重に起因する。
【0018】
本発明は、一般的には介入的治療処置または血管手術のための植え込み型血管デバイス、より具体的には収縮及び膨張コンフィギュレーションの両方で均一の応力分布を示す生体吸収性ポリマースカフォードまたはステントに関する。本発明の1つの態様の代表として、図1A〜Bは体腔に移植するための1つ以上の環状支持部材12を含む生体吸収性血管インプラント10を図示している。1つ以上の環状支持部材12は複数のストラット14を含み、その各々は中央部分16及びヒンジ領域18を含む。(例えば、ヒンジに)高応力の所定エリアを含む従来技術のバルーン膨張性血管インプラント(例えば、ステント)とは異なり、本発明の血管インプラント10は膨張コンフィギュレーションで動的荷重状態で(例えば、体腔中で膨張させたとき、クリンプ加工の間、または拍動している体腔において)改善された半径方向抵抗性を示す。半径方向抵抗性は、高頻度の半径方向荷重によるクリープを避けるために最大に生ずる応力を散らし、制限することにより改良される。その結果、変形はストラット14の中央部分16から最高モーメントエリアにより均一に分布または吸収される。
【0019】
I.生体吸収性血管インプラント
本発明の1つの態様は、1つ以上の環状支持部材12を含む生体吸収性血管インプラント10を包含する。血管インプラント10は、実質的にチューブ状の骨組を有し、体腔に移植することができる任意の部材、デバイスまたは器具を含み得る。以下により詳細に記載するように、血管インプラント10は、血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料から構成される。
【0020】
本発明の1つの例では、血管インプラント10はスカフォードを含む。スカフォードの非限定例には、支持部材、収縮性部材、膨張性部材、伸展性部材、一体構造物、メッシュ構造物、網状デバイス、多孔質構造物、ストラット、膜、ブラダー、傘型デバイス、リブ、スポーク、フレーム及びその組合せが含まれ得る。スカフォードは完全に被覆されていても、部分的に被覆されていても、または被覆されていなくてもよい。被覆されているスカフォードは、膜、ファブリック、フィルム、多層により部分的または完全に被覆されている及び/またはコーティングされている骨格を含み得る。
【0021】
本発明の別の例では、スカフォードはステントからなり得る。
【0022】
図1に示すように、血管インプラント10は1つ以上の環状支持部材12を含む。血管インプラント10が2つの環状支持部材12を含む場合、少なくとも1つのクロスストラット20が環状支持部材を横断し得る。少なくとも1つのクロスストラット20は1つ以上の環状支持部材12と同一または異なる粘弾性材料から構成され得る。少なくとも1つのクロスストラット20は1つ以上の環状支持部材12の分解または再吸収速度より遅い、速いまたは同じ分解または再吸収速度を有し得る。例えば、少なくとも1つのクロスストラット20は約90日以上、約60日、或いは約30日以下の分解または再吸収速度を有し得る。
【0023】
血管インプラント10は多数のクロスストラット20を含み得る。曲がりくねった血管系に移植するときに良好な可撓性を有する血管インプラント10を提供するためには、例えば血管インプラントがクロスストラットの分解(例えば、解体または破断)または再吸収時に血管系の形状により短時間で適合し得るように少数のクロスストラット20を含めることが望ましいことがある。血管インプラント10の一部としてクロスストラット20を含めたり排除することは血管インプラントが意図する具体的用途に依存すること、及び分解または再吸収のための時間はクロスストラットを形成するために使用される材料グレード、クロスストラットの断面形状、血管系の構造及びクロスストラットの数に依存することが認識されている。加えて、クロスストラット20が図2A〜Cに示すロッド形コンフィギュレーション以外の適切な大きさ及び形状を有し得ることが認識されている。
【0024】
1つ以上の環状支持部材12の各々は第1末端22、第2末端24、及び両末端間に広がるチャネル26(図1A)を含む。上述したように、1つ以上の環状支持部材12の各々(図2A〜C)はヒンジ領域18により相互接続されている複数のストラット14をも含む。複数のストラット14及びヒンジ領域18の各々が断面を規定する。ストラット14及びヒンジ領域18の各々の断面は長方形、円形、卵形、正方形または任意の他の所望形状であり得る。
【0025】
本発明の1つの例では、ストラット14の各々(図2A〜E)は幅WSを規定する中央部分16を含み、ヒンジ領域18の各々は幅WHを規定する。図2Aに示すように、第1環状支持部材12’はヒンジ領域18により接続されている一連の反復V形ストラット14を含み、第2環状支持部材12”は同様にヒンジ領域により接続されている一連の反復V形ストラットを含む。環状支持部材12を含むストラット14の各々は血管インプラント10の意図する用途に応じて同一または異なるコンフィギュレーション(例えば、形状及び大きさ)を有し得ることが認識されている。
【0026】
環状支持部材12の各々はストラット14及びヒンジ領域18により規定される複数のセル28を含む。セル28により、クロスストラット20または環状支持部材12の構造を実質的に変化せることなく血管インプラント10をより大きな直径(すなわち、膨張コンフィギュレーション)からより小さな直径(すなわち、収縮コンフィギュレーション)にクリンプ加工することができる。セル28は標準の加工技術、例えば成形、レーザー切断、エングレービングまたはホトリソグラフィーにより形成され得る。各環状支持部材12は所望数のセル28を含み得る。例えば、各環状支持部材12は約4〜約15個のセル28を含み得、好ましくは約5〜約6個のセルであり得る。
【0027】
本発明は図3A〜Cを参照することにより最もうまく理解され得る。図3A〜Cに示すように、各ストラット14の少なくとも一部の幅WSは各ヒンジ領域18の幅WHより狭い。例えば、中央部分16での幅WSは約150μm以上であり得、ヒンジ領域18の幅WHは約250μm以上であり得る。本発明の1つの例では、中央部分16での幅WSは約160μmであり得、ヒンジ領域18での幅WHは約300μmであり得る。
【0028】
幅WHは各ストラット14のヒンジ領域18から中央部分16に実質的に連続的に先細りし得る。この先細りの効果により、血管インプラント10(すなわち、膨張コンフィギュレーションで)に負荷される半径方向荷重またはその接線方向誘導成分に抵抗するように惰性モーメントが中央部分16からヒンジ領域18に向かって増加する。換言すると、その効果はヒンジ領域18(すなわち、曲げモーメレントが高い場所)での変形に対してより高い抵抗性であり、全体の応力変形をより均一にすることである。従って、1つ以上の環状支持部材12の全体にわたる応力の均一分布により、血管インプラントを膨張させた後、半径方向荷重にかけたときに血管インプラント10の接線方向に誘導される半径方向強度及び機械的強度が弱められない。
【0029】
幅の理想的縮小は、曲げ半径を一定に維持するための努力により動かされる複雑な相関関係である。例えば、長方形ビームの曲げは式:
1/R=12FL/(ETW3)
によりコントロールされる。ここで、Rはヒンジ領域18の曲率の半径であり、Fは適用した力であり、Lはエンドポイントからの距離であり、Eはヤング率であり、Tはストラット14の厚さであり、Wはストラット幅である。よって、ガイドラインとして、ストラット幅Wはストラット14の末端の1つからの距離の立方根として変化しなければならない。すなわち、ストラット14の中央部分16に沿った任意のポイントで、幅Wは該ポイントに最も近い末端の1つからの距離の立方根に比例していなければならない。しかしながら、先細はたとえ幅Wが単純に直線的に先細り減少しても、一定幅のストラットよりも有意な改善を与える。ストラット14はそのヒンジ領域18で幅広いので、全血管インプラント10はより大きい圧縮及び膨張力を処理することができる。従って、血管インプラント10はより大きい疲労応力を処理することができ、その結果より持続性のより強い血管インプラントが得られ得る。
【0030】
ヒンジ領域18にかかる最大応力を最小限とする試みにおいて、本発明は他のエリアよりも破損を受けにくいストラット14のエリア(例えば、中央部分16)に応力を分布する構造幾何学を利用している。例えば、従来のステント構造物の最も傷つきやすいエリアの1つは、ステントが膨張するのでヒンジの内側の半径である。ヒンジの内側半径は通常ステント構造物に対する応力が最高レベルのエリアである。
【0031】
図4A〜D及び図5A〜Dはそれぞれ従来のステント構造物30及び32の例を図示している。図4A〜Dに示すように、ある従来のステント構造物30はストラット38の中央部分36の幅WSより狭い幅WHを有する先細ヒンジ34を含む。このステントコンフィギュレーションは、半径方向荷重を負荷すると惰性モーメントがヒンジ34から中央部分36に増加し、よってヒンジでの応力が増すので不利である。同様に、図5A〜Dに示すように、他の従来のステント構造物32は等しい幅WH及びWSを有するヒンジ40及びストラット中央部分42を含む。このステントコンフィギュレーションは、半径方向荷重を負荷すると惰性モーメントはヒンジ40から中央部分42まで一定のままであり、よってステント構造物32の全体にわたって不均一な応力分布が生ずるので不利である。
【0032】
従来のステント構造物の他の例は、Duerigらに対する米国特許No.6,190,406、Roederらに対する米国特許No.7,753,948(以後、“Roeder I”)及びRoederらに対する米国特許出願No.11/454,303(以後、“Roeder II”)に開示されている。Duerigは、均一に分布したひずみを示し、超弾性材料(例えば、ニチノール)から作成されている自己膨張性ステントを教示している。Roeder Iは、収縮コンフィギュレーションに移動し、血管内デリバリーのためにステントを収縮状態で維持するために必要なシース中に配置し得る均一に分布した応力を有する自己膨張性ステントを教示している。Roeder Iは、ステントが弾性、非弾性及び超弾性材料(例えば、ニチノール)から作成されることをも教示しているが、ステントが粘弾性ポリマーから作成されることを教示していない。Roeder IIは、収縮状態で永久的ダメージを呈することなく大量のひずみを調整することができる自己膨張性ステントを教示している。Roeder IIは、ステントが弾性、非弾性及び超弾性材料(例えば、ニチノール)から作成されることをも教示しているが、ステントが粘弾性ポリマーから作成されることを教示していない。
【0033】
上述したように、本発明の作用効果の1つは、半径方向荷重を負荷したとき応力が血管インプラント10の全体にわたってより均一に分布されることである。特に、応力レベルはヒンジ領域18から離れて再分布され、ストラット14の長さに沿って、例えば各ストラットの中央部分16またはその近くに分布され得る。その結果、ヒンジ領域18での最大応力レベルを減らすことができる。
【0034】
本発明の別の作用効果は、応力を血管インプラント10の全体にわたって均質に分布させることにより血管インプラントの疲労寿命を延ばすことができることである。疲労寿命は、移植した後でもステントが動脈壁または他の組織構造により僅かに圧締されたままであるので従来のステント構造物では問題であり得る。この圧締によりステント構造物に作動応力が導入される。被験者の心臓は典型的には血管系中の動脈を拍動毎に膨張及び収縮させるので、移植したステントは通常心臓が拍動する毎に少し膨張し、収縮する。従来のステント構造物では、作動応力のサイクルがヒンジに集中しているのでこれはステント構造物のヒンジで疲労破損を引き起こす恐れがある。対照的に、本発明の血管インプラント10は、作動応力レベルを最小限とすることにより屈曲部またはヒンジでの破損のリスクを抑えることができる。
【0035】
血管インプラント10の全部または一部のみを少なくとも1つの粘弾性材料から形成し得る。本発明の粘弾性材料には、変形を受けたとき粘性及び/または弾性特性の両方を示す材料の1つ以上が含まれ得る。粘性挙動は、応力を加えたときに剪断流及びひずみが時間と共に線形に変化し、初期状態の記憶がなくなることにより特徴づけられる。弾性材料は伸縮させるとすぐにひずみが生じ、応力を除くとその元の状態に直ちに戻る。粘弾性材料は温度及び変形率に応じて粘性及び/または弾性挙動を示し得る。粘弾性ポリマーの場合、弾性は通常秩序固体で結晶面に沿った結合伸縮または(すなわち、ガラス転移温度以下の温度、或いは変形の高い率、速度で)高分子構造物が変形する時間の不足の結果であり、粘度は(ガラス転移温度を超える温度、或いは変形の低い率、速度で)高分子の一部及び/または高分子及び/または高分子骨格の移動の結果である。植え込み型ポリマーデバイスの場合、応力−ひずみ挙動は体温に対するガラス転移の位置に依存する。本発明の血管インプラント10を形成するために使用される粘弾性材料は上記特性の両方の要素を有し、よって時間依存性ひずみを示す。
【0036】
本発明の1つの例では、血管インプラント10は生分解性及び生体吸収性ポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)のような粘弾性材料の1つ以上から形成され得る。血管インプラント10は、約32℃<Tg<100℃、より特に約35℃<Tg<68℃のガラス転移温度(Tg)を有する生分解性及び生体吸収性ポリマーから形成され得る。例えば、血管インプラント10は、幾つかの材料(例えば、スチール)は高温で若干の粘弾性を示し得るのでより低い作業温度範囲(例えば、約37℃のTg)を有する1つ以上の生分解性及び生体吸収性ポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)から形成され得る。
【0037】
血管インプラント10を形成するポリマーは1つ以上の非晶質生体吸収性ポリマー、すなわち室温で結晶性でないポリマーの薄層から形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり得る。血管インプラント10を形成するために使用されるポリマーはインビボで分解したとき結晶性残渣を生じず、架橋されていてもいなくてもよい。血管インプラント10を教育、クリンプ加工及び配置することができる熱性及び粘弾性特性が十分に維持されるならば、例えば光架橋を使用し得る。
【0038】
血管インプラント10を形成するために使用され得るポリマーの例には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びその関連コポリマー、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリジオキサノン及びポリヒドロキシブチレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、多糖、ポリアミン、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリスルホネート、ポリスルホンアミド、ポリホスファゼン、ポリノルボルネン及びポリノルボルネンのコポリマー、ポリノルボルネンのKRATON(登録商標)(熱可塑性エラストマー)及びポリエチレンとのブレンド、スチレンブロックコポリマーエラストマー(例えば、スチレン−ブタジエン)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリカプロラクトン及びポリカプロラクトンのコポリマー、ポリ乳酸のコポリマー、ポリグリコール酸のコポリマー、ポリエン、ナイロン、ポリシクロオクテン(PCO)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ酢酸ビニル/ポリフッ化ビニリデン(PVAc/PVDF)のブレンド、ポリメタクリル酸メチル/ポリ酢酸ビニル/ポリフッ化ビニリデン(PVAc/PVDF/PMMA)のブレンド、ポリ塩化ビニル(PVC)、そのブレンド、誘導体、コポリマー、及び/または組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の1つの例では、血管インプラント10は、乳酸を主成分とするステレオコポリマー(L及びD単位から構成されるPLAxコポリマー、ここでXはL−ラクチル単位のパーセンテージである)(55<Tg<60)、乳酸及びグリコール酸のコポリマー(PLAxGAy、ここでXはL−ラクチル単位のパーセンテージであり、Yはグリコリル単位のパーセンテージであり、コポリマーのTgは約45℃を超える)、及びグルコニル単位のOH基が多かれ少なかれ置換されていてもよいポリ(乳酸−コ−グリコール酸−コ−グルコン酸)(pLAxGayGLz、ここでターポリマーのTgが約45℃を超えるようにXはL−ラクチル単位のパーセンテージであり、Yはグリコリル単位のパーセンテージであり、Zはグルコニル単位のパーセンテージである)から形成され得る。
【0040】
本発明の別の例では、血管インプラント10はL及びDLラクチドから生成されるポリ乳酸ステレオコポリマーから形成され得る。このポリマーを本明細書中では“PLAX”(ここで、Xはラクチドを生成するために使用したモノマーの混合物中のL−乳酸単位のパーセンテージを表す)と称する。Xは約2〜約98(例えば、約20〜約80)の範囲であり得る。
【0041】
本発明の更に別の例では、血管インプラント10はL及びDLラクチド及びグリコリドから生成されるポリ乳酸及びグリコール酸コポリマーから形成され得る。このポリマーを本明細書中では“PLAXGAY”(ここで、Yはコポリマーを生成するために使用したモノマーの混合物中のグリコール酸単位のパーセンテージを表す)と称する。このコポリマーは、グリコリル反復単位がラクチル反復単位よりも強い炎症性を有することが公知であるのでグリコリル反復単位を含有していない。このポリマーは、開始剤としてZn金属またはZn乳酸塩を用いて製造され得る。血管インプラント10の良好な初期機械的特性を確保するために、コポリマーの分子量は約20,000ダルトンを超え、例えば約100,000ダルトン以上であり得る。多分散性I=Mw/Mnは約2未満であり得、約2,000ダルトン(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定)より小さい低分子量オリゴマーの存在を大きく反映してはならない。
【0042】
II.生体吸収性血管インプラントの教育及びクリンプ加工
血管インプラント10は標準の技術(例えば、押し出し、成形、紡糸、射出成形、レーザー切断、その組合せ)、或いは粘弾性ポリマーをチューブ状骨組を有する中空デバイスに変形させる他の加工技術により形成され得る。これらの方法の1つ以上により形成される血管インプラント10は、血管インプラントを利用しようとする用途に対して取捨選択される最終的所定コンフィギュレーション(例えば、形状、長さ、厚さ、直径)を有するように構成され得る。例えば、血管インプラント10を初期直径に予備形成した後、選択したガラス転移温度またはそれを超える温度に加熱し得る。次いで、血管インプラント10を体腔にデリバリーするのに適したより小さい収縮プロフィールまで(例えば、機械的手段及び/または冷却を用いて)クリンプ加工し得る。次いで、血管インプラント10を冷却し、移植前にガイドカテーテル(図示せず)または他のデリバリーシステム(例えば、バルーン)上で組立て得る。血管インプラント10を形成するために使用され得る方法のより詳細な検討は、全文を参照により本明細書に組み入れるPCT公開No.WO2005/096992 A1に開示されている。
【0043】
血管インプラント10は、各種材料または治療薬が粘弾性ポリマーと固溶体を形成せず、インプラントの機能性を大きく変更させる可塑剤として作用しない限り、これらの材料または治療薬を運び、デリバリーするように処方され得る。材料または治療薬は衝撃または化学的カップリングにより血管インプラント10の外面または内面上に堆積され得る。材料または治療薬には医薬、医薬活性物質、薬物、ジェネリック薬、非ジェネリック薬及び細胞が含まれ得る。心血管疾患や癌のような各種の疾患及び状態の治療(すなわち、疾患または状態の予防、疾患または状態に関連する症状の軽減または除去、或いは疾患または状態の実質的または完全除去)のために使用されるものを含めた各種の治療薬が本発明と一緒に使用され得る。
【0044】
III.生体吸収性血管インプラントの教育及びクリンプ加工のための時間及び温度を決定するための手順
血管インプラント10を教育し、これにより負の反動に対して抵抗性の血管インプラントを配置するために適した温度及び時間は、まず血管インプラントをバルーンカテーテル上でクリンプ加工することにより評価され得る。次いで、血管インプラント10の膨張を開始するためにバルーンを膨らませる。バルーンを除去し、血管インプラント10を約37℃で保存する。保存中、血管インプラント10の正の反動特性のために血管インプラント10の直径が増大することがあり得る。血管インプラント10がこれらの条件下で約4〜6週間(例えば、動脈壁をPTC血管形成術から回復させるために推定される時間)保存しても負の反動を全くまたは殆ど示さないならば、血管インプラント10を教育するために使用した時間及び温度は適切である。血管インプラント10が少量の反動を示す場合には、血管インプラントを少量の負の反動を補償するために最終的所定直径よりも僅かに大きい直径で教育し得る。
【0045】
血管インプラント10をより小さい直径にクリンプ加工するための温度及び時間は、血管インプラントを載置したバルーンカテーテルをほぼ室温または保存温度でとどめることにより評価され得る。クリンプ加工した血管インプラント10がこれらの条件下で萎んだバルーンに相当する小さい直径で収縮したままならば、クリンプ加工中に使用した時間及び温度は適切である。血管インプラント10の付与された機械的特性(例えば、正の反動)の最適化は最終製品を約20℃以下の室温で保存することにより達成され得る。例えば、最終製品は約6〜約8℃で冷蔵され得る。
【0046】
IV.生体吸収性血管インプラントの配置
血管インプラント10を形成後、血管インプラントを疾患または状態(例えば、狭窄または不安定プラーク)の1つ以上を治療するために体腔に移植し得る。血管インプラント10を移植し得る体腔または通路の例には、胃腸管(例えば、胆管、結腸、十二指腸)、食道、気管、気管支、尿管(例えば、尿道、前立腺、尿管)、膵管系、消化管、涙管、精管及び卵管、並びに血管系、例えば動脈及び静脈(例えば、大腿腸管動脈、頸動脈、椎骨脳底動脈、腎動脈、冠状血管、末梢血管、頭蓋内血管等)が含まれる。
【0047】
血管インプラント10は各種方法により配置され得る。例えば、血管インプラント10を例えばガイドカテーテルを用いて体腔または通路に導入した後、体腔内の標的部位(例えば、狭窄または不安定プラークの部位)まで進めることができる。血管インプラント10の直径及び配置は任意の方法により決定され得る。例えば、移植中血管インプラントをリアルタイムで視覚化できるように血管インプラント10の一部または全部を放射線不透過性材料でコーティングしても包んでもよい。放射線不透過性材料の1例には、非刺激性であり、実質的に非アレルギー性であり、非常に薄い層で高い蛍光透視可視性を与え且つ血栓形成を減少させると考えられている金が含まれ得る。
【0048】
本発明の1つの例では、血管インプラント10は、血管インプラントの直径をリアルタイムで調べられ得るように配置された少なくとも2つのマーカー(図示せず)を含み得る。マーカーは多数の方法で、例えば血管インプラントのストラット上にクリンプ加工されるリボン及び/または部分的にスパッタリングした重金属コーティングを用いて血管インプラント10に適用され得る。以下に更に記載するように、マーカーは、血管インプラント10が適切に膨張しているか、血管インプラントの直径が所与の時間で増大または縮小しているかを調べるために役立ち得る。
【0049】
マーカーを検出するためのイメージング手順は当業界で公知であり、X線、磁気共鳴イメージング(MRI)及び超音波イメージングを含み得る。マーカーは被験者の身体中を移動するので血管インプラント10の位置を追跡するために使用され得、これは血管インプラントが被験者中の正確な道を移動しているかを調べるのを大いに助ける。更に、これは血管インプラント10を体腔内の正確な部位に配置するのを助ける。
【0050】
或いは、血管インプラント10が少なくとも3つのマーカーを含み得ることが認識されている。少なくとも3つのマーカーを使用すると、移植中の任意の時間に血管インプラント10の三次元位置を調べることができる。この要件により、血管インプラント10が血管直径の外直径が血管インプラントを配置する体腔の内径より狭いと起こり得る体腔内での回転運動を呈さないことが保証される。血管インプラント10の体腔内での回転運動は、血流の濁りを増やし、よって血餅形成を高める恐れがあるので好ましくない。血管インプラント10の移植中に回転運動が検出された場合には、血管インプラントの直径を適切に増大させなければならないと理解される。
【0051】
血管インプラント10を体腔内の標的部位に配置したら、血管インプラントをその最終的所定形状に膨張させ得る。血管インプラント10は1つ以上の公知の技術、例えばバルーン、インフレーション流体及び/または被験者の体熱を用いて膨張され得る。例えば、血管インプラント10は、全文を参照により本明細書に組み入れる米国特許出願No.12/282,738に開示されている持続的バルーン膨張と記憶回復の組合せを用いて(すなわち、ステントの選択したTgに達するので)膨張され得る。
【0052】
血管インプラント10のゆっくりした持続的記憶に基づく正の反動は、標的部位の組織にダメージを与える恐れがある血管インプラントの制御されない過剰膨張を予防または軽減する。加えて、血管インプラント10の粘弾性材料は時間依存性ひずみを示すので、血管インプラントをゆっくりと持続的に配置すると典型的にはポリマースカフォードまたはステントの配置に関係する亀裂及びひび割れが避けられる。膨張中及びその後、血管インプラント10の全体にわたって均一に分布されている応力により、インプラントの半径方向強度及び機械的耐性が弱まることなく、これによりステントに対する望ましくないまたは有害な作用(すなわち、ステントの崩壊または反動)の予防または軽減が保証される。その結果、配置した血管インプラント10は弾性動脈反動を維持するように高い半径方向剛性を示すだけでなく、降伏応力を超える応力を軽減または防止することにより粉砕も避ける。
【0053】
以下の実施例は例示の目的のみであり、添付されている特許請求の範囲を限定すると意図されていない。
【0054】
[実施例]
32匹のブタ、16匹のイエブタ及び16匹のミニブタの冠血管系にブタ1匹あたり2つの(図1A〜2Eに概略的に図示されている)生体吸収性ステントを移植した。すべてのステントを適切な指示に従ってそれぞれの標的部位に送達させ、適切に配置した。イエブタは28日目に、ミニブタは90日目に殺した。
【0055】
ステント移植から1ヶ月後、再狭窄のパーセンテージは50%未満であり、約0.6mmの平均遠隔期内腔損失が観察された。図7A〜Bで認められ得るように、ステントが30日目及び90日目に完全に動脈壁に対向し、よって明らかな半径方向支持を与えた。
【0056】
更に、幾つかのステントを酵素消化プロトコルにより膨張させ、処理した。残留半径方向力が回収したステントで測定された。図8に示すように、回収したステントの1つでリンク破断が証明された。30日目の半径方向強度及び剛性は移植前の値と比較して劣っていなかった。加えて、組織分析は30日目にステントの良好な生体適合性を証明した(図9A〜B)。組織分析は02421 米国マサチューセッツ州レキシントン,500 Patriot Wayに所在のCBSETにより実施した。
【0057】
本発明の先の記載から、当業者は改良、変化及び修飾を認めている。そのような改良、変化及び修飾は当業界の技術の範囲内であり、添付されている特許請求の範囲により包含されると意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状骨組を有する体腔に移植するための生体吸収性血管インプラントであって、前記ステントは1つ以上の環状支持部材を含み、前記した1つ以上の環状支持部材の各々はヒンジ領域により相互接続されている複数のストラットを含み、前記した複数のストラットの各々は中央部分を含み;
前記血管インプラントは、該血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料から構成されており、前記した複数のストラット及び前記ヒンジ領域の各々が断面を規定し;
前記移行を調整し、膨張コンフィギュレーションでの血管インプラントに負荷される半径方向荷重に抵抗するために惰性モーメントが中央部分からヒンジ領域に向かって増加している前記生体吸収性血管インプラント。
【請求項2】
前記血管インプラントはスカフォードである、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項3】
前記血管インプラントはステントである、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項4】
前記断面が幅を規定する請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項5】
前記幅は半径方向荷重を負荷すると増大する、請求項4の生体吸収性血管インプラント。
【請求項6】
更に、1つ以上の前記環状支持部材を横断する少なくとも1つのクロスストラットを含む、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項7】
少なくとも2つのクロスストラットの各々の幅は前記ヒンジ領域の幅より狭い請求項4の生体吸収性血管インプラント。
【請求項8】
前記ヒンジ領域の幅は中央部の幅より広い、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項9】
少なくとも1つの前記クロスストラットは前記血管インプラントを体腔に移植してから約90日未満に破断する請求項1の生体吸収性ステント。
【請求項10】
半径方向荷重の膨張コンフィギュレーションでの前記血管インプラントへの負荷下で複数のストラットの中央部分と前記ヒンジ領域間の変形が均一に分布している、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項11】
前記変形は弾性変形、塑性変形またはその組合せである、請求項10の生体吸収性血管インプラント。
【請求項12】
前記粘弾性材料は熱可塑性ポリマーからなる、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は少なくとも約37℃である、請求項12の生体吸収性血管インプラント。
【請求項14】
前記熱可塑性ポリマーはポリ乳酸(PLA)ポリマーである、請求項13の生体吸収性血管インプラント。
【請求項15】
前記PLAポリマーはポリ−DL−乳酸である、請求項14の生体吸収性血管インプラント。
【請求項1】
チューブ状骨組を有する体腔に移植するための生体吸収性血管インプラントであって、前記ステントは1つ以上の環状支持部材を含み、前記した1つ以上の環状支持部材の各々はヒンジ領域により相互接続されている複数のストラットを含み、前記した複数のストラットの各々は中央部分を含み;
前記血管インプラントは、該血管インプラントの収縮コンフィギュレーションと膨張コンフィギュレーションの間の移行を可能にする少なくとも1つの粘弾性材料から構成されており、前記した複数のストラット及び前記ヒンジ領域の各々が断面を規定し;
前記移行を調整し、膨張コンフィギュレーションでの血管インプラントに負荷される半径方向荷重に抵抗するために惰性モーメントが中央部分からヒンジ領域に向かって増加している前記生体吸収性血管インプラント。
【請求項2】
前記血管インプラントはスカフォードである、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項3】
前記血管インプラントはステントである、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項4】
前記断面が幅を規定する請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項5】
前記幅は半径方向荷重を負荷すると増大する、請求項4の生体吸収性血管インプラント。
【請求項6】
更に、1つ以上の前記環状支持部材を横断する少なくとも1つのクロスストラットを含む、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項7】
少なくとも2つのクロスストラットの各々の幅は前記ヒンジ領域の幅より狭い請求項4の生体吸収性血管インプラント。
【請求項8】
前記ヒンジ領域の幅は中央部の幅より広い、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項9】
少なくとも1つの前記クロスストラットは前記血管インプラントを体腔に移植してから約90日未満に破断する請求項1の生体吸収性ステント。
【請求項10】
半径方向荷重の膨張コンフィギュレーションでの前記血管インプラントへの負荷下で複数のストラットの中央部分と前記ヒンジ領域間の変形が均一に分布している、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項11】
前記変形は弾性変形、塑性変形またはその組合せである、請求項10の生体吸収性血管インプラント。
【請求項12】
前記粘弾性材料は熱可塑性ポリマーからなる、請求項1の生体吸収性血管インプラント。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は少なくとも約37℃である、請求項12の生体吸収性血管インプラント。
【請求項14】
前記熱可塑性ポリマーはポリ乳酸(PLA)ポリマーである、請求項13の生体吸収性血管インプラント。
【請求項15】
前記PLAポリマーはポリ−DL−乳酸である、請求項14の生体吸収性血管インプラント。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公表番号】特表2013−506517(P2013−506517A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532681(P2012−532681)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002731
【国際公開番号】WO2011/042810
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508306978)アルテリアル・ルモンドラン・テクノロジー・エス・アー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002731
【国際公開番号】WO2011/042810
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508306978)アルテリアル・ルモンドラン・テクノロジー・エス・アー (2)
【Fターム(参考)】
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