説明

半田付け方向の設計支援装置および半田付け方向の設計支援方法

【課題】部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して部品の半田付けを行う半田付けにおいて良好な半田付けの結果を得ることが可能な、適切な半田付け方向の設計を支援する半田付け方向の設計支援装置および半田付け方向の設計支援方法を得ること。
【解決手段】基板上における部品の配置の設計データである基板設計データを取得する手段と、前記部品の部品種毎の半田槽への最適な投入方向を定める投入方向評価基準データを取得する手段と、評価対象である前記基板の評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データを取得する手段と、前記基板設計データに含まれる全部品に対して、前記投入方向データで定められた半田槽への投入方向が前記投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致するかどうかを評価し、この評価結果に基づいて前記基板の半田付け方向を決定する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田付け方向の設計支援装置および半田付け方向の設計支援方法に関するものであり、特に、部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して部品の半田付けを行う場合における半田付け方向の設計を支援する半田付け方向の設計支援装置および半田付け方向の設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器のプリント基板における電子部品の半田付けは、電子部品が実装されたプリント基板を半田が溶融している半田槽に投入することにより行われている(フロー半田付け)。このフロー半田付けにおいては、プリント基板の流し方が半田付け品質に影響を与える。
【0003】
すなわち、フロー半田付け時のブリッジを含めた製造品質は、フロー半田槽への投入方向と搭載部品の接続端子の並び方によって左右され、この投入方向は電子部品の向きから設計段階で一意的に決めているのが実情である。しかし、小型部品の使用増加もあり、実装密度が高くなってきたことから、一意的に部品配置方向できめるのは困難となり、実際にはプリント基板を半田付け槽に流して最適な方向を決める等を行っている。このことから、最適なフロー半田付け槽への投入方向を決定するまでに多くの時間とプリント基板、搭載部品を必要とし、無駄を生じさせている。
【0004】
ところで、プリント基板に各種電子部品を取り付けて半田付けを行う方法や構造については種々の方法が提案されており、たとえば、電子部品を絶縁材からなるプリント配線板上に搭載し、半田によって電子部品を固定して電気回路を構成するプリント配線板構造において、プリント配線板上に半田槽挿入方向を示す挿入方向表示部を形成した技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1においては、プリント配線板に部品を搭載して半田付けにより該部品を固定化させる手順、およびプリント基板の半田付け槽への投入方向をプリント基板上に搭載された表面実装部品と垂直にすることによって良好な半田付けを実施できることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−232702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術によれば、プリント基板上に搭載する部品を投入方向に垂直に配置すること、また投入方向を表示することによって、安定したフロー半田付けの結果を得られることとしているが、一般的な電子機器に用いられるプリント基板においてはさらなる小型化、高密度化、高速化を実現するために、プリント基板の表面、裏面とも搭載される表面実装部品の点数は非常に多数であり、全ての部品において半田付け槽への投入方向に垂直に配置できるものとは限らない。
【0008】
また、実際には表面実装部品のみでなく、挿入部品においても半田槽への投入方向に対して適切な配置を実施しなければならず、部品全体の配置状況を評価し、適切な投入方向を評価しなければ、良好な半田付けの結果を得ることができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して部品の半田付けを行う半田付けにおいて、良好な半田付けの結果を得ることが可能な、適切な半田付け方向の設計を支援する半田付け方向の設計支援装置および半田付け方向の設計支援方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる半田付け方向の設計支援装置は、部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して部品の半田付けを行う際の半田付け方向の設計を支援する半田付け方向の設計支援装置であって、基板上における部品の配置の設計データである基板設計データを取得する基板設計データ取得手段と、部品の部品種毎の半田槽への最適な投入方向を定める投入方向評価基準データを取得する投入方向評価基準データ取得手段と、評価対象である基板の評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データを取得する投入方向データ取得手段と、基板設計データに含まれる全部品に対して、投入方向データで定められた半田槽への投入方向が投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致するかどうかを評価し、この評価結果に基づいて基板の半田付け方向を決定する評価・決定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、基板設計データに含まれる全部品に対して、投入方向データで定められた半田槽への投入方向が投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致するかどうかを評価し、この評価結果に基づいて基板の半田付け方向を決定するため、基板に実装される部品類全体の配置状況を評価することにより適切な半田付け槽への投入方向を決定することができる。そして、適切な投入方向を決定することにより、最も良好な半田付け結果が得られる実装基板の生産が可能となる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる半田付け方向の設計支援装置および半田付け方向の設計支援方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0013】
実施の形態
図1−1は、本発明の実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援方法を実行する半田付け方向の設計支援装置を含む半田付け方向の設計支援システムの概略構成を示す図である。なお、本実施の形態においては、本発明の実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援装置を、既知の計算機において実行可能なプログラムにより実現している。
【0014】
図1−1に示すように、評価対象となる実装基板の半田付け方向を評価し、適した半田付け方向を決定する半田付け方向の設計支援装置11と、評価対象となる実装基板における部品の配置の設計データである基板設計データを格納する基板設計データ格納装置12と、部品の部品種毎の半田槽への最適な投入方向を定める投入方向評価基準データを格納する投入方向評価基準データ格納装置13と、評価対象である実装基板の評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データを入力する投入方向データ入力装置14と、半田付け方向の設計支援装置11で評価した結果等を表示・出力する表示・出力装置15と、を備えて構成される。
【0015】
図1−2は、実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援装置11の概略構成を示す図である。図1−2に示すように、半田付け方向の設計支援装置11は、基板設計データ格納装置12から基板設計データ31を読み込む基板設計データ読み込み部111と、投入方向評価基準データ格納装置13から評価基準データ41を読み込む評価基準データ読み込み部112と、投入方向データ入力装置14から評価対象である実装基板の評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データ51を読み込む投入方向データ読み込み部113と、読み込んだ基板設計データ31と評価基準データ41と投入方向データ51とから実装基板21に搭載の部品の配置方向が投入方向データ51のデータを遵守しているかどうかを評価する配置方向遵守状況評価部114と、配置方向遵守状況評価部114で求めた遵守状況評価結果を表示・出力装置15に出力する出力部115と、装置全体の制御を行う制御部116と、を備えて構成される。
【0016】
図2は評価対象となる実装基板21の構成の一例を示す平面図であり、実装基板21を表面(C面と呼ぶ)側から見た平面図である。図2においては、実装基板21の裏面(S面と呼ぶ)側に搭載された面実装部品22と、該実装基板21の表面(C面)側に搭載したコネクタ23と、が示されている。なお、面実装部品22およびコネクタ23は、それぞれ半田付け部22aおよび半田付け部23aにおいて半田付けされている。図2からも分るように、実際の実装基板においては実装部品の向きを揃えたくても回路の信号の流れや部品形状により、実装部品の向きは常に最適な向きとはならない。
【0017】
図3は、基板設計データ格納装置12に格納された基板設計データ31の構造の一例を示した図であり、基板設計データを分り易く表形式にした図である。図3には、実装基板21に搭載した全部品の情報が記載されており、たとえば「部品識別名称」、「部品型名」、「部品種別」、「実装方式」、「回転角度」、「搭載面」、「ピンNo」、「ピン座標」、「信号名」および「パッド寸法」が記載されている。
【0018】
ここで、「部品識別名称」は、実装基板21上で部品を識別する名称またはコード名称である。一例として図3に示すように、IC01、IC02、R100、C100等が挙げられる。「部品型名」は、部品の名称またはメーカ型名である。一例として図3に示すように、SN7400S、SN74LS01等が挙げられる。「部品種別」は、部品パッケージの分類名称である。一例として図3に示すように、「SOP」、「DIP」、「CN」、「CHIP」等が挙げられる。さらに、分類の中を細かく分類する場合には、「SOP14」として区別も可能である。
【0019】
「実装方式」は、部品の実装方式が面実装か挿入実装かの区別コードである。一例として図3に示すように、面実装は「SMT」、挿入実装は「INS」、と記述することができる。「回転角度」は、実装基板上における部品配置角度である。基板CADで基板設計時に使用する基板CADの部品ライブラリーの部品配置向きを基準に何度回転して実装基板21上に配置されているかを示す。任意角度も可能であるが、一般には回転角度は0度を基準に90度ずつ、「90度(90)」、「180度(180)」、「270度(270)」とされる。
【0020】
参考事例として部品ライブラリーの基準配置を図4−1〜図4−6に示す。図4−1は、「SOP(スモール・アウトライン・パッケージ)部品」の基準配置である。図4−2は、「DIP(デュアル・インライン・パッケージ)部品」の基準配置である。図4−3は、「CHIP(2端子/3端子チップ)部品」の基準配置である。図4−4は、「CN(挿入コネクタ)部品」の基準配置である。図4−5は、「ラジアル挿入部品」の基準配置である。図4−6は、「アキシャル挿入部品」の基準配置である。
【0021】
「搭載面」は、該当部品の搭載面を示す。たとえば実装基板21の表面を「C面」、基板の裏面を「S面」と記述して区別する。「ピン番号」は、部品のピン番号を示す。たとえば、「1、2、3、・・・n」のように記述する。「座標」は、該当ピン番号の実装基板21上の座標を(X、Y)で示す。「信号名」は、各ピンの論理的な信号名称である。「パッド寸法」は、該当ピンの銅箔領域寸法を示す数値である。「φ3mmの円形パッド」は「C*」で示し、たとえば「C3」と記述する。また、「3mm×4mm四方パッド」は「Rx×y」で示し、たとえば「R3×4」と記述する。
【0022】
図5は、投入方向評価基準データ格納装置13に格納された評価基準データ41の構造の一例を示した図であり、評価基準データを分り易く表形式にした図である。図5においては、たとえば「部品種別」と、「最適方向」と、「非遵守時のブリッジ発生率」と、が示してある。
【0023】
ここで、「部品種別」は、図3の場合と同様に、部品パッケジージの分類名称である。一例として図5に示すように、「SOP」、「DIP」、「CN」、「CHIP」等が挙げられる。さらに、分類の中を細かく分類する場合には「SOP14」として区別も可能である。
【0024】
「最適方向」は、部品種別毎の部品配置方向別の最適な投入方向、すなわち、基板CADの部品ライブラリー毎のフロー半田槽への最適な投入方向であり、たとえば「−X」、「+X」、「−Y」、「+Y」、「±X」、「±Y」、「±XY」と記述される。ここで、「−X」は、ライブラリーX軸上の左方向を示している。また、「+X」は、ライブラリーX軸上の右方向を示している。また、「−Y」は、ライブラリーY軸上の下方向を示している。「+Y」は、ライブラリーY軸上の上方向を示している。「±X」は、ライブラリーX軸上の左右方向を示している。また、「±Y」は、ライブラリーY軸上の上下方向を示している。「±XY」は、あらゆる方向を示している。
【0025】
そして、図5に示した「SOPの最適方向−X」とは、図6−1に示すように「部品種別:SOP(スモール・アウトライン・パッケージ)」についてはX軸の左方向がフロー半田槽への最適な投入方向であることを示す。図6−1は、SOPの最適な投入方向を説明するための図である。
【0026】
また、図5に示した「CHIPの最適方向±X」とは、図6−2に示すように「部品種別:CHIP(2端子/3端子チップ)」についてはX軸の左右方向がフロー半田槽への最適な投入方向であることを示す。図6−2は、CHIPの最適な投入方向を説明するための図である。
【0027】
また、図5に示した「CNの最適方向−Y」とは、図6−3に示すように「部品種別:CN(挿入コネクタ)」についてはY軸の下方向がフロー半田槽への最適な投入方向であることを示す。図6−3は、CNの最適な投入方向を説明するための図である。
【0028】
「非遵守時のブリッジ発生率」は、ライブラリーの最適とする最適方向に投入方法とならない部品のブリッジ発生率を示す。単位は百分率で示している。この値を求め、非遵守部品配置方向となる部品のブリッジ発生率の総和を求めるのに使用する。
【0029】
図7は、投入方向データ入力装置14が半田付け方向の設計支援装置11に入力する投入方向データ51のデータ構造の一例を示した図であり、図7においては、たとえば「投入方向」が記載されている。「投入方向」は、たとえば実装基板21の座標軸に従ってフロー半田槽への投入方向を評価すべき方向として「−X方向」(「−X」と記述)、「+X方向」(「+X」と記述)、「+Y方向」(「−Y」と記述)、「−Y方向」(「+Y」と記述)を指定するものである。
【0030】
つぎに、本実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援装置におけるフロー半田投入方向決定処理について図8を参照して説明する。図8は、本実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援装置における処理フローを説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、基板設計データ読み込み部111が、基板設計データ格納装置12から基板設計データ31を読み込み、基板設計データ31の「部品識別名称」、「部品型名」、「部品種別」、「実装方式」、「回転角度」、「搭載面」、「ピンNo」、「ピン座標」、「信号名」および「パッド寸法」のデータを取り込む(ステップS101)。このデータの取り込みにより、基板設計データ読み込み部111では、たとえば「部品識別名称」の「IC01」は「部品型名」が「SN7400S」であり、その「部品種別」は「SOP(スモール・アウトライン・パッケージ)」であり、「実装方式」は「面実装(SMT)」であり、「回転角度」は「90度」であり、「搭載面」は「裏面(S)」であり、「ピンNo」が1番の端子(ピン)の基板上の座標(「ピン座標」)は(X1、Y1)であり、「信号名」は「AB01」であり、パッドの大きさ(「パッド寸法」)は「R4×5」(X軸側が4mm幅、Y軸側は5mm幅)のデータテーブルを構築する。
【0032】
つぎに、評価基準データ読み込み部112が、投入方向評価基準データ格納装置13から評価基準データ41を読み込み、評価基準データ41の「部品種別」毎の「最適方向」のデータを取り込む(ステップS102)。この取り込みにより、評価基準データ読み込み部112では、たとえば評価基準データ41の事例では、「部品種別:SOP」についてのフロー半田槽への最適な投入方向はライブラリーの基準配置に対してX軸の左方向が最適な投入方向であると認識できるテーブルを構築する。
【0033】
つぎに、投入方向データ読み込み部113が、投入方向データ入力装置14から投入方向データ51を読み込み、実装基板21のフロー半田槽への投入方向のデータとして、「−X」(X軸上で左側方向に投入)、「+X」(X軸上で右側方向に投入)、「−Y」(Y軸上で下側方向に投入)、「+Y」(Y軸上で上側方向に投入)で記述されたデータを評価方向として取り込む(ステップS103)。投入方向データ51は、たとえば「−X」のみの1つの方向の指定でもよいし、複数の方向の指定でもよい。
【0034】
つぎに、配置方向遵守状況評価部114が、基板設計データ31と評価基準データ41と投入方向データ51とに基づいて配置方向遵守状況を評価する(ステップS104)。すなわち、配置方向遵守状況評価部114は、実装基板21に搭載の全部品について評価基準データ41の最適方向をもとに基板設計データ31の回転角度から実装基板21上での実装基板最適方向を求める。そして、この実基板最適方向と投入方向データ51とが一致している場合に、「配置方向を遵守している」、との評価を行う。
【0035】
配置方向遵守状況評価部114での評価方法を具体的に説明する。たとえば、実装基板21をX軸上に沿って左側に向かってフロー半田槽に投入する方向を評価する際に、評価対象方向である投入方向データ51の投入方向が「−X」である場合、配置方向遵守状況評価部114は基板設計データ31の実装方式がSMTであり搭載面がS(フロー半田付け面)の全部品に対して評価を行い、以下の条件を満たす部品はフロー半田槽投入方向に適した部品配置方向を遵守していると判断し、遵守状況評価結果を得る。そして、以下の条件を満たしていない部品は部品配置方向を遵守していないと判断する。
【0036】
(1)評価基準データ41の部品種別と一致し、最適方向が「±XY」である部品。
(2)回転角度が0度で評価基準データ41の部品種別と一致し、最適方向が「−X」または「±X」である部品。
(3)回転角度が90度で評価基準データ41の部品種別と一致し、最適方向が「+Y」または「±Y」である部品。
(4)回転角度が180度で評価基準データ41の部品種別が一致し、最適方向が「+Xまたは「±X」である部品。
(5)回転角度が270度で評価基準データ41の部品種別が一致し、最適方向が「−Yまたは「±Y」である部品。
【0037】
また、実装基板21をX軸上に沿って左側に向かってフロー半田槽に投入する方向を評価する際に、評価対象方向である投入方向データ51の投入方向が「−X」である場合、配置方向遵守状況評価部114は実装方式がINS(挿入実装部品)で搭載面がCの全部品に対して評価を行い、以下の条件を満たす部品はフロー半田槽投入方向に適した部品配置方向を遵守していると判断し、遵守状況評価結果を得る。そして、以下の条件を満たしていない部品は部品配置方向を遵守していないと判断する。
【0038】
(1)評価基準データ41の部品種別と一致し、最適方向が±XYである部品。
(2)回転角度が0度で41の評価基準データの部品種別と一致し、最適方向が「−Xまたは「±X」である部品。
(3)回転角度が90度で評価基準データ41の部品種別と一致し、最適方向が「+Yまたは「±Y」である部品。
(4)回転角度が180度で評価基準データ41の部品種別が一致し、最適方向が「+Xまたは「±X」である部品。
(5)回転角度が270度で評価基準データ41の部品種別が一致し、最適方向が「−Yまたは「±Y」である部品。
【0039】
この処理において遵守配置方向とする判断は、投入方向データ51の投入方向に対して評価基準データ41の最適方向から求める際に基板設計データ31の回転角度に合致する部品であるか否かで行う。その判断基準となる遵守配置方向判定回転角度を図9に示す。
【0040】
そして、配置方向遵守状況評価部114により評価した遵守状況評価結果は出力部115を介して表示・出力装置15に表示・出力される。この例では、投入方向データ51の投入方向単位に、評価対象部品数、遵守部品の遵守率、非遵守部品の一覧を表示する。表示・出力装置15に表示された遵守状況評価結果の一例を図10に示す。そして、この表示結果から最も遵守率の高い投入方向がフロー半田槽への投入方向として決定される。
【0041】
また、応用として、配置方向遵守状況評価部114は、評価基準データ41の最適方向が遵守されない場合の非遵守部品ブリッジ発生予測率を評価し、非遵守部品ブリッジ発生率評価結果として出力部115を介して表示・出力装置15に表示・出力する。表示・出力装置15に表示された非遵守部品ブリッジ発生率評価結果遵守状況評価結果の一例を図11に示す。これにより、配置方向遵守状況評価部114で遵守状況を評価する際に、非遵守部品のブリッジ発生率の総和を求め、遵守率以外に非遵守部品でのブリッジ発生率を提供することができる。
【0042】
上述したように本実施の形態によれば、基板設計データ31と評価基準データ41と投入方向データ51とに基づいて、基板設計データに含まれる全部品に対し、投入方向データ51で定められた半田槽への投入方向が評価基準データ41の半田槽への最適な投入方向に合致するかどうかを評価し、この評価結果に基づいて基板の半田付け方向を決定する。これにより、本実施の形態においては、実装基板21に実装される部品類全体の配置状況を評価することにより適切な半田付け槽への投入方向を決定することができる。そして、本実施の形態においては、適切な投入方向を決定することにより、最も良好な半田付け結果が得られる実装基板の生産が可能となる、という効果を奏する。
【0043】
なお、上記においては、評価対象である実装基板の評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データが投入方向データ入力装置14に保持され、該投入方向データ入力装置14から半田付け方向の設計支援装置11に入力される場合について説明したが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、たとえば半田付け方向の設計支援装置11に接続するキーボート等の入力手段からユーザが直接入力する形態とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかる半田付け方向の設計支援装置は、部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して部品の半田付けを行う場合の半田付け方向を設計する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1−1】本発明の実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援方法を実行する半田付け方向の設計支援装置を含む半田付け方向の設計支援システムの概略構成を示す図である。
【図1−2】実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援装置の概略構成を示す図である。
【図2】評価対象となる実装基板の構成の一例を示す平面図であり、実装基板を表面側から見た平面図である。
【図3】基板設計データ格納装置に格納された基板設計データの構造の一例を示した図であり、基板設計データを分り易く表形式にした図である。
【図4−1】SOP(スモール・アウトライン・パッケージ)部品の基準配置を示す図である。
【図4−2】DIP(ヂュアル・インライン・パッケージ)部品の基準配置を示す図である。
【図4−3】2端子/3端子チップ(CHIP)部品の基準配置を示す図である。
【図4−4】挿入コネクタ(CN)部品の基準配置を示す図である。
【図4−5】ラジアル挿入部品の基準配置を示す図である。
【図4−6】アキシャル挿入部品の基準配置を示す図である。
【図5】評価基準データ格納装置に格納された評価基準データの構造の一例を示した図であり、評価基準データを分り易く表形式にした図である。
【図6−1】SOPの最適な投入方向を説明するための図である。
【図6−2】CHIPの最適な投入方向を説明するための図である。
【図6−3】CNの最適な投入方向を説明するための図である。
【図7】投入方向データ入力装置が半田付け方向の設計支援装置に入力する投入方向データのデータ構造の一例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる半田付け方向の設計支援装置における処理フローを説明するためのフローチャートである。
【図9】フロー半田槽投入方向に適した部品配置方向を遵守していると判断する際の判断基準となる遵守配置方向判定回転角度を示す図である。
【図10】表示・出力装置に表示された遵守状況評価結果の一例を示す図である。
【図11】表示・出力装置に表示された非遵守部品ブリッジ発生率評価結果遵守状況評価結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
11 設計支援装置
12 基板設計データ格納装置
13 投入方向評価基準データ格納装置
14 投入方向データ入力装置
15 表示・出力装置
21 実装基板
22 面実装部品
22a 半田付け部
23 コネクタ
23a 半田付け部
31 基板設計データ
41 評価基準データ
51 投入方向データ
111 基板設計データ読み込み部
112 評価基準データ読み込み部
113 投入方向データ読み込み部
114 配置方向遵守状況評価部
115 出力部
116 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して前記部品の半田付けを行う際の半田付け方向の設計を支援する半田付け方向の設計支援装置であって、
前記基板上における前記部品の配置の設計データである基板設計データを取得する基板設計データ取得手段と、
前記部品の部品種毎の半田槽への最適な投入方向を定める投入方向評価基準データを取得する投入方向評価基準データ取得手段と、
評価対象である前記基板の評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データを取得する投入方向データ取得手段と、
前記基板設計データに含まれる全部品に対して、前記投入方向データで定められた半田槽への投入方向が前記投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致するかどうかを評価し、この評価結果に基づいて前記基板の半田付け方向を決定する評価・決定手段と、
を備えることを特徴とする半田付け方向の設計支援装置。
【請求項2】
評価・決定手段は、前記基板上における前記部品の配置角度を考慮して前記基板の半田付け方向を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の半田付け方向の設計支援装置。
【請求項3】
前記評価結果を表示または出力する表示・出力部を備えること
を特徴とする請求項1に記載の半田付け方向の設計支援装置。
【請求項4】
評価・決定手段は、評価結果に基づいて前記基板の半田付け方向の決定をする他に、前記投入方向データが前記投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致しない場合の半田のブリッジの発生予測率を算出し、前記基板設計データに含まれる全部品の前記ブリッジ発生予測率から前記基板の半田付け方向を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の半田付け方向の設計支援装置。
【請求項5】
部品が実装された基板を半田が溶融している半田槽に投入して前記部品の半田付けを行う際の半田付け方向の設計を支援する半田付け方向の設計支援方法であって、
前記基板上における前記部品の配置の設計データである基板設計データを取得する基板設計データ取得工程と、
前記部品の部品種毎の半田槽への最適な投入方向を定める投入方向評価基準データを取得する投入方向評価基準データ取得工程と、
評価対象である評価すべき半田槽への投入方向を定める投入方向データを取得する投入方向データ取得工程と、
前記基板設計データに含まれる全部品に対して、前記投入方向データで定められた半田槽への投入方向が前記投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致するかどうかを評価し、この評価結果に基づいて前記基板の半田付け方向を決定する評価・決定工程と、
を含むことを特徴とする半田付け方向の設計支援方法。
【請求項6】
評価・決定工程において、前記基板上における前記部品の配置角度を考慮して前記基板の半田付け方向を決定すること
を特徴とする請求項5に記載の半田付け方向の設計支援方法。
【請求項7】
評価・決定工程において、評価結果に基づいて前記基板の半田付け方向の決定する他に、前記投入方向データが前記投入方向評価基準データの半田槽への最適な投入方向に合致しない場合の半田のブリッジの発生予測率を算出し、前記基板設計データに含まれる全部品の前記ブリッジ発生予測率から前記基板の半田付け方向を決定すること
を特徴とする請求項5に記載の半田付け方向の設計支援方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−258589(P2007−258589A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83713(P2006−83713)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】