説明

半田付け構造

【課題】筐体内に挿入された導線を湾曲させた状態で導線の先端を半田付けすることになる。導線は弾性変形するので、湾曲させて半田付けすると、導線の復元力は導線の先端を半田付けした部分から離そうとする方向に作用する。とくに半田付けする部分が回路基板表面に被着された銅箔であると、銅箔ごと回路基板から剥離するおそれが生じる。
【解決手段】導線の先端が端子部に接触する状態で湾曲状態を保持し、導線の復元力が半田付け部に作用しないようにする導線保持部を、回路基板と筐体とのうちのいずれか一方に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性変形し得る帯状の導線を湾曲させた状態で回路基板の端子部に半田付けする半田付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
平板状のモジュールから出力用の1対の導線が突設されており、そのモジュールに筐体を取り付け、筐体内の回路基板に導線を電気的に接続することが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このうち、特許文献2には、板状の金属材料を曲げ加工して導線の先端を弾性力で把持する把持部を形成し、その把持部に導線の先端を差し込むことによって導線を把持部に対して電気的に接続する構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−68542号公報(図3)
【特許文献2】特開2009−246039号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に記載されたものでは、導線の先端を把持部に差し込むだけで接続が行われるので、一見優れているように思えるが、確実に導線の先端を把持させるためには導線の突出長さを正確に管理する必要がある。また、弾性力で導線の先端を把持しているだけであるので、接触不良が発生しやすいという不具合がある。さらに、導線を把持部に挿入する際に、導線の先端と把持部との間の摩擦力が挿入時の抵抗となり、導線がたわんでしまって確実に導線の先端が把持部に挿入されにくいという不具合もある。
【0006】
これらの不具合はすべて把持部で導線の先端を把持することによって電気的に接続する構成を採用することによって生じている。そこで、導線の先端を半田付けすればこれらの不具合はすべて解消される。ところが、半田付け作業は筐体の開口部分から行わなければならないのに対して導線はその反対側から筐体内に挿入される。そのため、筐体内に挿入された導線を湾曲させた状態で導線の先端を半田付けすることになる。
【0007】
導線は弾性変形するので、湾曲させて半田付けすると、導線の復元力は導線の先端を半田付けした部分から離そうとする方向に作用する。とくに半田付けする部分が回路基板表面に被着された銅箔であると、銅箔ごと回路基板から剥離するおそれが生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、導線の先端を半田付けすることにより回路基板に接続しても導線の復元力が半田付け部に作用しない半田付け構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による半田付け構造は、筐体に格納された回路基板の上面に端子部が形成されており、帯状の弾性変形し得る導線を回路基板の裏側から筐体内に挿通し、回路基板の上側で導線を湾曲させて、導線の先端を回路基板の端子部に半田付けする半田付け構造において、導線の先端が端子部に接触する状態で湾曲状態を保持し、導線の復元力が半田付け部に作用しないようにする導線保持部を、回路基板と筐体とのうちのいずれか一方に設けたことを特徴とする。
【0010】
導線を湾曲させた状態で半田付けすると導線は復元しようとするが、その復元力は導線保持部が受けて、半田付け部には復元力が作用しない。
【0011】
具体的には、上記端子部の近傍に位置して門型の部材を回路基板に取り付けて導線保持部とし、導線をこの門型の部材をくぐらせて端子部に半田付けしてもよい。
【0012】
また、導線を内部に挿入するための開口が筐体に形成されており、この開口から導線を挿入すると導線の先端が突き当たる庇部を設けて導線保持部とし、この庇部で導線を湾曲させて端子部に半田付けしてもよい。
【0013】
あるいは、導線を内部に挿入するための開口が筐体に形成されており、この開口から導線を挿入すると導線を湾曲させるようにガイドするガイド部を設けて導線保持部とし、このガイド部で導線を湾曲した状態で保持した状態で端子部に半田付けしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、導線の復元力は導線保持部が受けて半田付け部に作用しないので、復元力によって半田付け部分が剥がれるなどの不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】第1の実施の形態における分解斜視図
【図3】導線の湾曲状態を示す断面図
【図4】第2の実施の形態における分解斜視図
【図5】導線の湾曲状態を示す断面図
【図6】第3の実施の形態における分解斜視図
【図7】導線の湾曲状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、1は板状の発電モジュールであり、この発電モジュールの裏面に後述する回路基板を内蔵した筐体2が両面テープ22によって取り付けられている。21は筐体2の蓋である。
【0017】
図2及び図3を参照して、発電モジュール1の裏面には1対の導線11が、発電モジュール1の裏面に対してほぼ直角方向に突出している。この導線は帯状に形成されており、先端部12以外は絶縁材料で被覆されている。また、図示の状態で自立できる強度を有しているとともに、後述するように弾性変形させて湾曲させることができる。筐体2内には回路基板3が格納されている。この回路基板3には導線11が挿通される開口32が形成されており、筐体2の底面に形成された開口20に挿入された導線をさらに開口32に挿入することにより導線11の先端部12は回路基板の上側に突出するように構成されている。
【0018】
回路基板3にはこの先端部12が半田付けされる端子部31が形成されている。そして、本実施の形態では、開口32と端子部31との間に門型のジャンパー端子4を導線保持部として設けた。このジャンパー端子は回路基板3に取り付けられる図示しない他の電子部品とともに実装され、予め回路基板3に半田付けされている。ただし、本発明ではこのジャンパー端子4は他のいずれの電子部品に対しても電気的に接続しないか、あるいは端子部31に対して電気的に接続することが望ましい。
【0019】
導線11の先端部12を端子部31に半田付けする際には、導線11を湾曲させて先端部12をジャンパー端子4にくぐらせて、図3に示す状態にする。この状態では、導線11は湾曲しているため元の真っ直ぐな状態に復元しようとするが、その復元はジャンパー端子4によって抑制される。すなわち、導線11の復元力はジャンパー端子4が受けることになる。そのため、導線11から手を離しても先端部12は端子部31に接触したままの状態で保持される。その状態で半田付けを行い、先端部12を端子部31に半田付けし、その後筐体2内に樹脂を注入して最後に蓋21を筐体2に取り付けて半田付け作業を完了する。なお、Sは半田である。
【0020】
上記実施の形態ではジャンパー端子4を導線保持部としたが、その他の構成として、例えば図4及び図5に示す構成でもよい。この構成では、導線保持部として庇部5を筐体2と一体に形成した。この庇部5は1対の導線11に対しておのおの同じ方向に設けられており、開口20を通って導線11が筐体2内に挿入されると先端部12がこの庇部5に突き当たる。先端部12は一方向にしか湾曲できないように規制されるので、必然的に端子部31側に向かって湾曲する。なお、回路基板3に1対の突起部33を設けた。この突起部33は回路基板3を筐体2内に取り付けた際に、庇部5の下方の空間51に係合して回路基板3の位置決めを行うものである。この実施に形態では、図5に示すように、導線11の復元力は庇部5によって受けられて、半田付け部に影響することはない。
【0021】
上記2つの実施の形態では、導線11を湾曲させるには手作業によって導線11を湾曲させる必要がある。そこで、図6及び図7に示すように、筐体2に導線保持部としてガイド部6を形成した。このガイド部6は、図7に示すように内側にガイド面61が形成されており、導線11が開口20から挿入されると、ガイド面20に沿って導線11が湾曲され、導線11の挿入が完了した時点で先端部12が端子部31に当接するように構成されている。この実施の形態でも湾曲した導線11の復元力はガイド部6が受けるので半田付け部には復元力は作用しない。
【0022】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0023】
1 発電モジュール
2 筐体
3 回路基板
4 ジャンパー端子
5 庇部
6 ガイド部
11 導線
12 先端部
20 ガイド面
20 開口
22 両面テープ
31 端子部
32 開口
33 突起部
51 空間
61 ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に格納された回路基板の上面に端子部が形成されており、帯状の弾性変形し得る導線を回路基板の裏側から筐体内に挿通し、回路基板の上側で導線を湾曲させて、導線の先端を回路基板の端子部に半田付けする半田付け構造において、導線の先端が端子部に接触する状態で湾曲状態を保持し、導線の復元力が半田付け部に作用しないようにする導線保持部を、回路基板と筐体とのうちのいずれか一方に設けたことを特徴とする半田付け構造。
【請求項2】
上記端子部の近傍に位置して門型の部材を回路基板に取り付けて導線保持部とし、導線をこの門型の部材をくぐらせて端子部に半田付けすることを特徴とする請求項1に記載の半田付け構造。
【請求項3】
導線を内部に挿入するための開口が筐体に形成されており、この開口から導線を挿入すると導線の先端が突き当たる庇部を設けて導線保持部とし、この庇部で導線を湾曲させて端子部に半田付けすることを特徴とする請求項1に記載の半田付け構造。
【請求項4】
導線を内部に挿入するための開口が筐体に形成されており、この開口から導線を挿入すると導線を湾曲させるようにガイドするガイド部を設けて導線保持部とし、このガイド部で導線を湾曲した状態で保持した状態で端子部に半田付けすることを特徴とする請求項1に記載の半田付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−108784(P2011−108784A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261068(P2009−261068)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】