説明

半田塗布方法及び半田塗布装置

【課題】ワーク上に糸半田を溶融させながら塗布させる動作に要する時間を短縮させ、生産効率の向上を図ること。
【解決手段】塗布ノズル40が糸切り高さ位置まで上昇すると、CPU50は搬送装置2によるワーク3の搬送動作を開始させる。一方、CPU50は糸切り高さ位置に到達した後、僅か遅れて高速度で下降するようにZ軸駆動モータ33Cを制御し、ワーク搬送待機高さ位置に下降すると停止させる。ワーク3が搬送されて停止すべき位置に到達すると、ワーク搬送待機高さ位置に向けて移動した高速度より遅い低速度で塗布高さ位置まで下降するように、Z軸駆動モータ33Cを制御する。前記低速度で塗布ノズル40が下降すると共に糸半田36を繰り出して、塗布ノズル40が最下限の半田塗布高さ位置に到達して、ワーク3上に糸半田36を溶融しながら塗布する。糸切り高さ位置まで上昇させて、糸半田36を切って塗布動作が終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布方法及び半田塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の半田塗布装置は、例えば特許文献1などに開示されているが、半導体素子の装着装置に使用されている半田塗布装置は、搬送装置により搬送されるヒートシンクや、セラミック基板やリードフレーム等のワーク上に半田を塗布する一対のローラで挟んだ糸半田を送りローラにより圧接しながら前記ワーク上に供給するようにする構成している。そして、この送りローラが設けられた塗布ヘッドの塗布ノズルは原点位置と半田塗布高さ位置との間を上下移動して、前記ワーク上に糸半田を溶融しながら塗布するように構成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−191073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記塗布ノズルは原点位置から半田塗布高さ位置まで下降して、前述のように塗布する構成にすると、移動時間が長く掛かり、延いては1塗布動作に要する時間が長くなり、生産効率が好ましくないという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、ワーク上に糸半田を溶融させながら塗布させる動作に要する時間を短縮させ、生産効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布方法において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置によるワークの搬送動作を開始し、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルは前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降し、
前記搬送装置により前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルは半田塗布高さ位置まで下降し、
前記塗布ノズルが前記低速度で下降して最下限の半田塗布高さ位置に到達して、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布方法において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置を構成するトランスファを下方へ揺動させて送り爪を前記ワークに係止させて一定のストローク移動させるワークの搬送動作を開始し、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルは前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降し、
前記トランスファにより前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルは半田塗布高さ位置まで下降し、
前記塗布ノズルが前記低速度で下降して最下限の半田塗布高さ位置に到達して、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の半田塗布方法に係る発明において、前記塗布ノズルが下降する際には、前記待機高さ位置まで高速度で下降し、前記ワークの搬送の終了後に前記半田塗布高さ位置まで低速で下降することを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布装置において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置によるワークの搬送動作を開始させる開始手段と、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルを前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降させる第1下降手段と、
前記搬送装置により前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルを半田塗布高さ位置まで下降させる第2下降手段とを備え、
前記第2下降手段により前記塗布ノズルを下降させて最下限の半田塗布高さ位置に到達させて、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布装置において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置を構成するトランスファを下方へ揺動させて送り爪を前記ワークに係止させて一定のストローク移動させるワークの搬送動作を開始させる開始手段と、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルを前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降させる第1下降手段と、
前記トランスファにより前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルを半田塗布高さ位置まで下降させる第2下降手段とを備え、
前記第2下降手段により前記塗布ノズルを下降させて最下限の半田塗布高さ位置に到達させて、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、第4又は第5の半田塗布装置に係る発明において、前記塗布ノズルが下降する際には、前記第1下降手段により前記待機高さ位置まで高速度で下降させ、前記第2下降手段により前記ワークの搬送の終了後に前記半田塗布高さ位置まで低速で下降させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ワーク上に糸半田を溶融させながら塗布させる動作に要する時間を短縮させ、生産効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】半導体素子の装着装置の平面図を示す。
【図2】半田塗布装置の断面図である。
【図3】装着ステーションにおける半導体素子の装着装置の縦断面図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】糸半田塗布動作におけるトランスファ及び塗布ノズルの高さレベルを示す図である。
【図6】糸半田塗布動作における塗布ノズルの高さレベルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。図1において、1は半導体素子の装着装置で、この装着装置1外から供給されるリードフレームや、ヒートシンク、セラミック基板等のワーク3を搬送装置2により1ピッチ(ワーク3の送り方向の長さ)送っては戻りながら搬送し、このワーク3上に所定作業を施した後、装着装置1外に排出される。前記装着装置1は、上流から供給ステーションA、半田塗布ステーションB、装着ステーションC及び排出ステーションDを有している。
【0015】
装置本体1Aには供給ステーションAから排出ステーションDまでに密閉空間4が形成され、この密閉空間4内に供給ステーションAから排出ステーションDまでに亘って設けられる前記搬送装置2は、前記ワーク3の搬送方向に沿って設けられ搬送シュート6と、この搬送シュート6上の各ワーク3に係止して移動させるために所定間隔毎に複数の送り爪7を備えたトランスファ5と、このトランスファ5を所定長さの1ピッチずつ往復動させる往復駆動源26と、トランスファ5を支持ピンを支点として下方へ揺動させて送り爪7をワーク3に係止させると共にこの係止後に前記往復駆動源によりトランスファ5を1ピッチ往動作により移動させた後に上方へ揺動させてワーク3と送り爪7との係止を解除する揺動駆動源27とを備えている。
【0016】
8は前記密閉空間4内の前記ワーク3の酸化を防止したり還元させるために窒素ガスや、窒素及び水素の混合ガスを前記密閉空間4内に供給する複数のガス供給パイプで、この各ガス供給パイプ8は図示しないガス供給源に各流量調節器を介して接続されている。
【0017】
前記装着ステーションCの縦断面図を示す図2において、前記搬送シュート6上の所定位置で前記密閉空間4内の前記ワーク3を真空吸引して搬送する際のオーバーランを防止するためのパイプ10は、切換バルブ43を介して、真空吸引パイプ41と、酸化を防止したり還元させるために窒素ガスや窒素及び水素の混合ガス等の酸化防止ガスを前記密閉空間4内に供給するガス供給パイプ42と接続されている。
【0018】
通常、前記パイプ10は、切換バルブ43を介して真空吸引パイプ41と接続されてワーク3を吸引するようになっている。ここで、ワーク3が有るか無いかの確認の所定位置を、例えば装着ステーションCとすると、装着ステーションCにワーク3の供給が無い場合は、前記パイプ10に設けられた真空センサ(図示せず)からの信号により切換バルブ43が切換り、前記酸化防止ガスがその供給源(図示せず)からガス供給パイプ42を通じて装着ステーションCに供給される。
【0019】
また、図3の装着ステーションCにおける装着装置1の縦断側面図に示すように、前記密閉空間4の上面に開口11を形成して、該開口11をシリンダー12により開閉するシャッター13を設けるが、この構成は前記供給ステーションA及び半田塗布ステーションBにおいても同様な構成である。また、各ステーション間には透明なガラス窓14を設けて、この窓14を介して装置本体1A内、例えば糸半田36の塗布状態やベアチップなどの半導体素子の装着状態などを作業者が覗くことができる。
【0020】
先ず、供給ステーションAでは、トレイ15上に整列されて収納されている前記ワーク3を吸着ノズル15AがX軸モータ、Y軸モータ、上下軸モータにより平面方向及び上下方向に移動しながら取出して、前記シリンダー12によりシャッター13を移動させて開口11を介して搬送シュート6上に順次供給し、この供給後シャッター13を移動させて開口11を閉塞する。そして、前述したように搬送装置2により搬送シュート6上のワーク3を順次1ピッチずつ間欠送りすることとなる。
【0021】
次の半田塗布ステーションBに設けられる半田塗布装置30について、図2に基づき説明する。先ず、基台31上に沿ってX軸モータ33AによりX方向に移動可能なXテーブル32上に、Y軸モータ33BによりY方向に移動可能なYテーブル34を設け、このYテーブル34に塗布ヘッド35を固定する。そして、これら基台31や塗布ヘッド35はZ軸モータ33Cにより上下方向に移動可能である。
【0022】
前記塗布ヘッド35にはその下部に塗布ノズル40が固定され、半田供給ローラ(図示せず)に巻かれた糸半田(ワイヤ半田)36を繰り出しモータ37により回転する送り駆動ローラ38及び送り従動ローラ39にて塗布ノズル40を介して繰り出すものである。
【0023】
そして、装置本体1Aの密閉空間4内の搬送シュート6上のワーク3上に、前記繰り出しモータ37により糸半田36を送り駆動ローラ38に送り従動ローラ39が圧接するようにして繰り出しながら塗布ノズル40を介して、必要な場合にはXテーブル32及びYテーブル34を平面方向に移動させて、描画する如く糸半田36を塗布するものである。この塗布の際には、塗布ヘッド35の下降と共に繰り出しモータ37により糸半田36を繰り出し、塗布ノズル40(塗布ヘッド35)が最下限の半田塗布高さ位置に到達して下降を停止する前に前記繰り出しモータ37は停止する構成である。
【0024】
このとき、前記密閉空間4の上面を形成するステンレス製の装置本体1Aに開口43を形成して、該開口43を前記塗布ノズル40が貫通した状態の少なくとも下面を平滑な面とした蓋体44で閉塞する構成とする。従って、前記蓋体44は少なくとも開口43の周囲の面を平滑な面とした装置本体1A上面を摺動可能である。
【0025】
また、搬送シュート6の下部にはヒータ45が埋設されたヒータブロック46が設けられ、搬送シュート6を介してワーク3を加熱し、前記糸半田36を溶融しながら塗布することとなるものである。
【0026】
次の装着ステーションCでは、装着装置の吸着ノズル16が図示しない駆動源により平面方向及び上下方向に移動しながら、半導体供給装置20のXYテーブル21上のシート22に配置されたダイシングされたベアチップなどの半導体素子23を吸着して取出し、前記シリンダー12によりシャッター13を移動させて開口11を介して搬送シュート6上の前記ワーク3上に糸半田36を介して装着し、装着後にシャッター13を移動させて開口11を閉塞する。
【0027】
なお、XYテーブル21上にはシート取付け台が設置され、この上にウエハシート22が配置されている。また、吸着ノズル16が下降してくるポイントの真下に半導体素子23を下から突き上げる突き上げ針を有する突き上げ装置24が設置されている。
【0028】
従って、X軸駆動モータ及びY軸モータ(共に図示せず)が駆動すると、結果としてXYテーブル21が平面におけるXY方向に移動するので、シート取付台も移動し、ウエハシート22上の取出すべき半導体素子23が不動(平面方向において)の突き上げ装置24上方に移動することとなる。そして、吸着ノズル16により取出されて半導体素子23は、ワーク3上に装着される。
【0029】
そして、装着ステーションCの後工程の搬送シュート6上方には、半導体素子23の装着が終わったワーク3の迅速なる冷却により酸化を防止するために、搬送シュート6上方に配設されたパイプ24に複数個の穴を開けて、ガス供給源(図示せず)に連通するガス供給バルブ25を介して該パイプ24の穴より酸化防止ガスを噴出させる。
【0030】
最後の排出ステーションDでは、前記搬送シュート6上の前記半導体素子が装着されたワーク3が図示しない駆動源により平面方向及び上下方向に移動する排出取出し装置の吸着ノズル17により取出され、収納装置であるトレイ18上に収納される。
【0031】
尚、図4において、50は本装着装置1を統括制御する制御装置としてのCPUで、該CPU50にはバスライン53を介して、記憶装置としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)51及びROM(リ−ド・オンリー・メモリ)52が接続されている。そして、CPU50は前記RAM51に記憶されたデータに基づき、前記ROM52に格納されたプログラムに従い、装着装置1の各動作を統括制御する。即ち、CPU50は、インターフェース54及び駆動回路55を介して前記往復駆動源26などの駆動を制御する。
【0032】
以上のように、供給ステーションAで供給された搬送シュート6上の前記ワーク3を搬送装置2により順次1ピッチずつ間欠送りしながら、各ステーションで各作業、即ちワーク3上に糸半田36を塗布したり、半導体供給装置20のXYテーブル21上のシート22から取出した半導体素子23をワーク3上に糸半田36を介して装着したり、該ワーク3を搬送シュート6上から取出して収納したりするものである。
【0033】
次に、塗布ステーションでの糸半田36の塗布動作について、図5及び図6に基づいて説明する。初めに、電源が投入されている状態下で、半導体素子の装着装置1の運転が開始されると、待機している状態では最上位置である原点位置にあった塗布ノズル40(塗布ヘッド35)が高速度でワーク搬送待機高さ位置まで下降するように、CPU50はインターフェース54及び駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御する。このワーク搬送待機高さ位置は、ワーク3を搬送装置2によりワーク3の送り方向の長さ分だけ送っては、戻るということを繰り返しながら搬送する搬送動作を邪魔しない高さ位置であって、この邪魔しない可能な限り下方の位置である。
【0034】
次いで、下降によりエンコーダ(図示せず)によりワーク搬送待機高さ位置に到達したことが検出されると、CPU50は塗布ノズル40(塗布ヘッド35)が僅かな時間だけ待機(停止)するように、前記駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御する。そして、糸半田切り位置に到達すると、揺動駆動源27の駆動を制御し、ワーク3の搬送を開始する。
【0035】
そして、搬送装置2による搬送が開始されて、CPU50が揺動駆動源27を制御してトランスファ5が下方へ揺動して搬送シュート6上のワーク3に送り爪7が係止し、往復駆動源26を制御して一定ストローク前進移動させ、ワーク3が停止すべき位置に到達すると、CPU50は揺動駆動源27を制御してトランスファ5を上方へ揺動させて前記係止を解除すると共に、前述した高速度より遅い低速度で前記塗布ノズル40がプリフォーム高さ位置(塗布高さ位置)まで下降するように、駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御する。なお、トランスファ5は前述したように一定ストローク前進移動した後に、揺動駆動源27の駆動により上方へ揺動し、その後往復駆動源26の駆動により一定ストローク後退移動する。
【0036】
そして、前記低速度で塗布ノズル40が下降すると共に繰り出しモータ37により糸半田36を繰り出し、この塗布ノズル40が最下限の半田塗布高さ位置に到達したことがエンコーダにより検出されると、CPU50はZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御して下降を停止させるが、この停止する前に駆動回路55を介して前記繰り出しモータ37を停止するように制御する。そして、塗布ノズル40が最下限の半田塗布高さ位置に到達して、搬送シュート6を介して加熱されているワーク3上に糸半田36を溶融しながら塗布することとなる。
【0037】
次に、CPU50は駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御して、塗布ノズル40をエンコーダの出力を受けて糸切り高さ位置まで上昇させて、糸半田36を切る。この糸切り高さ位置は、糸半田36がワーク3に溶融しながら塗布した後に、塗布ノズル40が上昇する際に、半田が塗布ノズル40から切れるに十分な位置である。
【0038】
そして、この運転開始後の最初の半田塗布をした後の2回目以降は、通常の半田塗布動作を行うこととなる。即ち、この最初の半田塗布をした後に、上昇した糸切り高さ位置から開始することとなる。
【0039】
即ち、エンコーダにより糸切り高さ位置まで上昇したことが検出されると、CPU50は搬送装置2による搬送を開始させ、トランスファ5を揺動駆動源27を制御して下方へ揺動させて搬送シュート6上のワーク3に送り爪7を係止させて、往復駆動源26の駆動を制御して一定ストローク前進移動させる。一方、CPU50は塗布ノズル40が糸切り高さ位置に到達した後、ワーク3の搬送開始より僅か遅れてワーク搬送待機高さ位置に向けて高速度で下降するように、駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御する。
【0040】
そして、エンコーダによりワーク搬送待機高さ位置に下降したことが検出されると、CPU50は駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を停止するように制御する。一方、ワーク3が搬送されて停止すべき位置に到達すると、ワーク搬送待機高さ位置に向けて移動した高速度より遅い低速度で塗布ノズル40がプリフォーム高さ位置(塗布高さ位置)まで下降するように、CPU50は駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御する。なお、トランスファ5は一定ストローク前進移動した後に、揺動駆動源27の駆動により上方へ揺動し、その後往復駆動源26の駆動により一定ストローク後退移動する。
【0041】
そして、前記低速度で塗布ノズル40が下降すると共に繰り出しモータ37により糸半田36を繰り出し、この塗布ノズル40が最下限の半田塗布高さ位置に到達したことがエンコーダにより検出されると、CPU50はZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御して下降を停止させるが、この停止する前に駆動回路55を介して前記繰り出しモータ37を停止するように制御する。そして、塗布ノズル40が最下限の半田塗布高さ位置に到達して、搬送シュート6を介して加熱されているワーク3上に糸半田36を溶融しながら塗布することとなる。
【0042】
次に、CPU50は駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cの駆動を制御して、塗布ノズル40をエンコーダの出力を受けて糸切り高さ位置まで上昇させて、糸半田36を切る。
【0043】
なお、半導体素子の装着装置1の運転が停止する場合、例えば作業管理者が停止スイッチ(図示せず)を操作して停止する場合や、各種作業の際に異常が発生して強制的に停止する場合には、前述した原点位置まで上昇して停止するように、CPU50は駆動回路55を介してZ軸駆動モータ33Cを制御する。
【0044】
以上のように、塗布ノズル40がノズル待機高さ位置である糸切り高さ位置から前記ワークの搬送の邪魔とならないワーク搬送待機高さ位置に向けて高速度で下降し、前記搬送装置2により前記ワーク3が搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズル40は前記ワーク搬送待機高さ位置に向けて移動した高速度より遅い低速度で半田塗布高さ位置まで下降し、前記塗布ノズル40が前記低速度で下降して最下限の半田塗布高さ位置に到達して、前記ワーク3上に前記塗布ノズル40から繰り出された糸半田36を溶融しながら塗布する。従って、塗布ノズル40は原点位置より低いノズル待機高さ位置である糸切り高さ位置と半田塗布高さ位置との間で移動して塗布動作を行うものであるから、塗布動作に係る時間を短縮することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0045】
なお、塗布ノズル40がワークの搬送の邪魔とならないワーク搬送待機高さ位置に向けて下降するときの速度と、ワーク搬送待機高さ位置から半田塗布高さ位置まで下降するときの速度とを例えば同じ速度にしてもよい。また、塗布ノズル40がワークの搬送の邪魔とならないワーク搬送待機高さ位置に向けて下降するときの速度を高速度とし、ワーク搬送待機高さ位置から半田塗布高さ位置まで下降するときの速度を高速度から次第に低速度に変化させてもよい。
【0046】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体素子の装着装置
2 搬送装置
3 ワーク
23 半導体素子
33C Z軸モータ
35 塗布ヘッド
36 糸半田
37 繰り出しモータ
40 塗布ノズル
50 CPU
55 駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布方法において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置によるワークの搬送動作を開始し、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルは前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降し、
前記搬送装置により前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルは半田塗布高さ位置まで下降し、
前記塗布ノズルが前記低速度で下降して最下限の半田塗布高さ位置に到達して、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする半田塗布方法。
【請求項2】
搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布方法において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置を構成するトランスファを下方へ揺動させて送り爪を前記ワークに係止させて一定のストローク移動させるワークの搬送動作を開始し、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルは前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降し、
前記トランスファにより前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルは半田塗布高さ位置まで下降し、
前記塗布ノズルが前記低速度で下降して最下限の半田塗布高さ位置に到達して、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする半田塗布方法。
【請求項3】
前記塗布ノズルが下降する際には、前記待機高さ位置まで高速度で下降し、前記ワークの搬送の終了後に前記半田塗布高さ位置まで低速で下降することを特徴とする請求項1又は2に記載の半田塗布方法。
【請求項4】
搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布装置において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置によるワークの搬送動作を開始させる開始手段と、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルを前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降させる第1下降手段と、
前記搬送装置により前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルを半田塗布高さ位置まで下降させる第2下降手段とを備え、
前記第2下降手段により前記塗布ノズルを下降させて最下限の半田塗布高さ位置に到達させて、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする半田塗布装置。
【請求項5】
搬送装置により搬送されるリードフレーム等のワーク上に塗布ノズルから繰り出される糸半田を塗布する半田塗布装置において、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置まで上昇すると、前記搬送装置を構成するトランスファを下方へ揺動させて送り爪を前記ワークに係止させて一定のストローク移動させるワークの搬送動作を開始させる開始手段と、
前記塗布ノズルが糸切り高さ位置に到達した後に、前記塗布ノズルを前記ワークの搬送の邪魔とならない待機高さ位置に向けて下降させる第1下降手段と、
前記トランスファにより前記ワークが搬送されて停止すべき位置に到達すると、前記塗布ノズルを半田塗布高さ位置まで下降させる第2下降手段とを備え、
前記第2下降手段により前記塗布ノズルを下降させて最下限の半田塗布高さ位置に到達させて、前記ワーク上に前記塗布ノズルから繰り出された糸半田を溶融しながら塗布する
ことを特徴とする半田塗布装置。
【請求項6】
前記塗布ノズルが下降する際には、前記第1下降手段により前記待機高さ位置まで高速度で下降させ、前記第2下降手段により前記ワークの搬送の終了後に前記半田塗布高さ位置まで低速で下降させることを特徴とする請求項5又は6に記載の半田塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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