説明

半芳香族成形材料及びその使用

【課題】自動車分野の、並びに電気/電子工学分野で用いる部品を製造することができ、特に、少なくとも180℃の温度、特に200℃を超える温度における熱老化安定性(耐熱老化性)によって、及び特に220℃を超える(HDT A)、特に好ましくは240℃を超える(HDT A)高い熱安定性によって特徴づけられる成形材料を提供する。
【解決手段】周期表のVB,VIB,VIIBもしくはVIIIB族の遷移金属の金属塩及び/又は金属酸化物が添加されていないことを特徴とするポリアミド成形材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半結晶性の及び半芳香族のポリアミドをベースとする耐熱老化性のポリアミド成形材料(ポリアミド成形コンパウンド)、それらの製造方法、及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性のポリアミドは、しばしば、耐用年数の間高熱にさらされ、熱酸化によるダメージで終わる部品の構成素材として、ガラスファイバー強化成形材料の形で使用される。既知の熱安定剤の添加によって、熱酸化によるダメージの発生(例えば機械特性の悪化として現れる)を遅らせることはできるが、恒久的に防止することはできない。このことにより、熱的ストレスを受ける部品のより長い耐用年数が達成でき、あるいは、その故障のリスクを減らすことができるため、ポリアミドの熱老化安定性の改善が非常に望まれている。また、改善された熱老化安定性は、より高い温度での部品の使用も可能にする。
【0003】
既知のポリアミド成形材料における熱老化安定性は、特に、熱にさらされる期間が長い場合、及び200℃を超える温度の場合、いまだに不十分である。
【0004】
提案されたタイプの半芳香族ポリアミド(PA9T)の加工性の改善のために、US2003/0023008A1は、炭素/アミド比が7〜12である特定のポリアミドを10〜50重量%の濃度で添加することを提案している。低い成形温度を可能とし、ひいては射出成型金型による従来の加熱が使用可能となるにように、溶融温度を維持しながら、PA9Tのガラス転移及び結晶化温度を明らかに低くすることができるとされている。しかしながら、比較例CE5が裏付けているように、PA9Tと20重量%のPA6の混合は、有利とは見なされない。さらに、半芳香族ポリアミドを超える改良された熱安定性は示されていない。
【0005】
WO2006/74934A1は、ポリアミド混合物と遷移金属化合物をベースとする熱安定性を有する溶融材料に関し、これは例えば、自動車のエンジン分野で、あるいは電気/電子工学分野で使用されることができる。前記ポリアミド混合物は、少なくとも50重量%の半結晶性もしくは非晶質ポリアミド(a1)[その融点もしくはガラス転移点は少なくとも200℃である]と、第二の半結晶性もしくは非晶質ポリアミド(a2)[最大7のC/N比を持ち、その融点もしくはガラス転移点は少なくとも(a1)より20℃低い]とから構成されている。好ましい遷移金属は鉄であり、実施例では酸化鉄として使用されている。好ましいポリアミド(a2)はPA6である。実施例では、脂肪族ポリアミドPA46とPA46/6のみが、25重量%のPA6との組み合わせにて混合成分として使用されている。さらに、銅-及び鉄安定化の組み合わせのみが、耐熱性の改善を示す。比較例A〜Eが明確に示しているように、PA46へのPA6又はPA11の添加は、従来の銅安定化PA46を超える熱安定性の改善をもたらさない。
【0006】
US2009/0127740A1は、少なくとも二つの互いに付着している部材から構成されている部品の製造方法を記述しており、ここで、少なくとも一種の部材は、半芳香族及び脂肪族アミドの混合物から形成されている。これに関連して最も好ましい変形例では、半芳香族ポリアミド成形材料をベースとして製造された熱可塑的にオーバーモールドした部材の固着を改良するために、65〜95重量%の半芳香族ポリアミド(A)と5〜35重量%の脂肪族ポリアミド(B)が混合されている。また、PA6は、特に脂肪族ポリアミドと称され、実施例1で使用されているが、その際、特に変性されたポリオレフィンが添加されなければならない。成分(A)は、同じ重量部のPA6T/DTとPA6T/66から構成されている(D=2-メチルペンタンジアミン)。この成形材料の熱安定性の改善については報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2003/0023008A1
【特許文献2】WO2006/74934A1
【特許文献3】US2009/0127740A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、半結晶性及び半芳香族のアミドをベースとするポリアミド成形材料であって、それにより好ましくは自動車分野の、並びに電気/電子工学分野で用いる部品を製造することができ、特に、少なくとも180℃の温度、特に200℃を超える温度における熱老化安定性(耐熱老化性)によって、及び特に220℃を超える(HDT A)、特に好ましくは240℃を超える(HDT A)高い熱安定性によって特徴づけられる成形材料を提供することである。ここで、良好な熱老化安定性とは、破壊強度及び破断伸びが、220℃・2500時間後に、なお初期値の50%ないし40%であること、及び、180℃・2500時間後に、なお初期値の60%ないし50%であることを意味すると理解される。同時に、前記部品は、高温、特に100℃より高い温度で十分な強度/剛性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、以下の組成を有し、且つ、周期表のVB,VIB,VIIBもしくはVIIIB族の遷移金属の金属塩及び/又は金属酸化物が添加されていないことを特徴とするポリアミド成形材料によって解決される:
(A) 27〜84.99重量%の、下記(A1)及び(A2)から成るポリアミド混合物
(A1) 255〜330℃の範囲に融点を有する、少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド
(A2) 少なくとも50重量%のカプロラクタム(含有)量を有する少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミドであって、前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)とは異なるポリアミド
(ここで、全カプロラクタム量、すなわち、ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)中に含まれるカプロラクタムの合計は、当該ポリアミド混合物の22〜30重量%となる);
(B) 15〜65重量%の、少なくとも一種のフィラー(充填剤)及び強化剤;
(C) 0.01〜3.0重量%の、少なくとも一種の熱安定剤;
(D) 0〜5.0重量%の、少なくとも一種の添加剤;
(成分(A)〜(D)の合計は100重量%となる)
【0010】
さらに、本発明に係る成形材料は、好ましくは、周期表のVB,VIB,VIIBもしくはVIIIB族の遷移金属を含まない。これは、前記成形材料に、そのような遷移金属もしくは遷移金属化合物が添加されていないことを意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る成形材料は、驚くべきことに、長期間にわたるその良好な熱老化安定性を特徴とする。特に、2500時間後の破壊強度は50%以上となる(0時点と、220℃での保存の終了時におけるISO527に基づく破壊強度値の差として算定)。同時に、本発明に係る成形材料は高温に達するまで軟化せず、少なくとも240℃の熱安定性[熱変形温度](HDT A)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】250℃で貯蔵した後の破壊強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、ポリアミド混合物あるいはポリアミドマトリクスAの成分(A1)として、半芳香族性であると同時に半結晶性であるポリアミドであって、255〜330℃の範囲に融点を有するポリアミドが用いられる。ここで、ポリアミドの融点は、基本的にそのポリアミドの分子量あるいは固有粘度に条件付きで依存するだけというよりむしろ、対応するモノマーの選択による化学組成によって決まる。したがって、その融点が前述した範囲にあると仮定して、本発明のために使用できるポリアミドは広範囲にわたって変化しうる。関連のある半芳香族半結晶性ポリアミドの融点は、関連ポリアミドの一覧化された標準パラメーターであるが、簡単な実験によって再現されることもできる。
【0014】
本発明において、カプロラクタム含有ポリアミドは、カプロラクタムの重合又はカプロラクタムと他のモノマーの共重合/共重縮合によって製造されることができるポリアミドであると理解される。前記カプロラクタム含有ポリマーは、カプロラクタムに由来する反復単位を少なくとも50重量%含む。
【0015】
充填強化成形材料に、十分な熱老化安定性を与えるために、カプロラクタム含有ポリアミドは、そのポリアミドマトリクスにおけるカプロラクタム量が22〜30重量%、好ましくは23〜29重量%、特に好ましくは24〜28重量%となるように、前記半結晶性半芳香族ポリアミドに添加される。より高いカプロラクタム濃度によって熱老化安定性をさらに有意に向上させることはできないが、成形材料の熱安定性及び高温での強度は非常に小さくなる。ポリアミド(A1)と(A2)の合計に対して22重量%未満のカプロラクタム濃度では、所望する高い熱老化安定性はもはや保障されない。
【0016】
本発明に係る好ましいポリアミド成形材料では、前記ポリアミド混合物Aは、
(A1) 70〜78重量%の、255〜330℃の範囲に融点を有する少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド、及び
(A2) 少なくとも50重量%のカプロラクタム量を有する少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミドからなり
ここで、成分(A1)は、カプロラクタム及びアミノカプロン酸を含まない、すなわち、それらに由来する繰り返し単位を何ら含まない。
【0017】
上述したパラメーターと含有量の値は、さらなる材料において維持される。
【0018】
本発明に係るポリアミド成形材料は、27〜84.99重量%、好ましくは30〜79.9重量%、特に好ましくは35〜70重量%のポリアミド混合物を含み、当該ポリアミド混合物は、255〜330℃の融点を有する半結晶性半芳香族ポリアミド(A1)と、A1とは異なるカプロラクタム系ポリアミド(A2)とからなる。
【0019】
ポリアミド成分(A2)は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%のカプロラクタムを含む。ポリアミド成分(A2)は、好ましくは半結晶性の脂肪族ポリアミドである。
【0020】
全カプロラクタム量、すなわち、ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)中に含まれるカプロラクタムの合計は、(A1)と(A2)からなるポリアミド混合物に対し、22〜30重量%、好ましくは23〜29重量%、特に好ましくは24〜28重量%である。
【0021】
好ましくは、本発明に係る成形材料は、ポリオレフィンを含まず、特にポリエチレン-α-オレフィン共重合体を含まない。
【0022】
成分(A1)
成分(A1)は、好ましくは90〜140℃の範囲に、より好ましくは110〜140℃の範囲に、特に115〜135℃の範囲にガラス転移点を有する、半結晶性半芳香族ポリアミドに関する。
ポリアミド(A1)の融点は、255〜330℃の範囲、好ましくは270〜325℃の範囲、特に280〜320℃の範囲にある。
【0023】
好ましい半芳香族半結晶性ポリアミドは、以下から調製される;
a) ジカルボン酸の総量に対し、30〜100mol%の、特に50〜100mol%のテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、
0〜70mol%の、特に0〜50mol%の、6〜12炭素原子を有する少なくとも一種の脂肪族ジカルボン酸、及び/又は、
0〜70mol%の、特に0〜50mol%の、8〜20炭素原子を有する少なくとも一種の脂環式ジカルボン酸、及び/又は、
0〜50mol%のイソフタル酸
b) ジアミンの総量に対し、80〜100mol%の、4〜18炭素原子、好ましくは6〜12炭素原子を有する少なくとも一種の脂肪族ジアミン、及び
0〜20mol%の、好ましくは6〜20炭素原子を有する少なくとも一種の脂環式ジアミン、及び/又は、
0〜20mol%の、少なくとも一種の芳香脂肪族ジアミン(araliphatic diamine)(例えば、PACM、MACM、IPDA、MXDA及びPXDA等)、及び、任意で
c) それぞれ6〜12炭素原子を有する、アミノカルボン酸及び/又はラクタム
【0024】
好ましい実施形態によれば、成分(A1)の前記半芳香族ポリアミドは、少なくとも30mol%(特に少なくとも50mol%)のテレフタル酸、及び、少なくとも80mol%の4〜18炭素原子(好ましくは6〜12炭素原子)を有する脂肪族ジアミン、及び任意に、他の脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸、並びにラクタム及び/又はアミノカルボン酸をベースとして形成される。他の芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸の他に、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸が使用できる。テレフタル酸の他に使用できる好適な脂肪族及び脂環式ジカルボン酸は、6〜36炭素原子を有するものであり、ジカルボン酸の総量に対して、最大70mol%の量で、特に最大50mol%で使用される。
【0025】
さらに、成分(A1)の前記半芳香族ポリアミドの前記芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びその混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0026】
別の好ましい実施形態によれば、前述の、例えば、テレフタル酸の他に使用できる、成分(A1)の半芳香族ポリアミドの脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸及び二量体脂肪酸(C36)からなる群から選択される。前記ジカルボン酸の中で、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸あるいはそのようなジカルボン酸の混合物、特に、アジピン酸及びイソフタル酸、及び特にアジピン酸単独が好ましい。
【0027】
別の好ましい実施形態によれば、成分(A1)の半芳香族ポリアミドの前述の脂肪族ジアミンは、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、あるいはそのようなジアミンの混合物からなる群から選択され、ここで、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、あるいはそのようなジアミンの混合物が好ましく、1,6-ヘキサンジアミン及び1,10-デカンジアミンが特に好ましい。前記脂肪族ジアミンに加えて、脂環式及び/又は芳香脂肪族のジアミンが、ジアミンの総量に対して0〜20mol%の濃度で使用できる。
【0028】
特に好ましくは、高融点ポリアミドは以下の成分から形成される
a) (A1a)ジカルボン酸:存在するジカルボン酸の総量に対して、
50〜100mol%の芳香族テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸、
0〜50mol%の、脂肪族ジカルボン酸(好ましくは6〜12炭素原子を有する)、及び/又は脂環式ジカルボン酸(好ましくは8〜20炭素原子を有する)、及び/又はイソフタル酸;
b) (A1b)ジアミン:存在するジアミンの総量に対して、
80〜100mol%の少なくとも一種の4〜18炭素原子(好ましくは6〜12炭素原子)を有する脂肪族ジアミン、
0〜20mol%の脂環式ジアミン(好ましくは6〜20炭素原子を有する)、及び/又は芳香脂肪族ジアミン(例えば、PACM、MACM、IPDA、MXDA及びPXDA等)
ここで、当該高融点ポリアミドにおけるジカルボン酸のモル百分率は100%となり、ジアミンのモル百分率は100%となる、
及び、任意に、
c) (A1c)アミノカルボン酸及び/又はラクタム(好ましくは6〜12炭素原子を有するラクタム、及び/又は好ましくは6〜12炭素原子を有するアミノカルボン酸を含む)
【0029】
成分(Ala)と(A1b)は主として等モル量で使用されるが、(A1c)の濃度は、(A1a)〜(A1c)の合計に対して、最大20重量%、好ましくは最大15重量%、特に最大12重量%である。
【0030】
成分(A1a)と(A1b)は、主として等モル量で使用されるのに加えて、ジカルボン酸(A1a)又はジアミン(A1b)は、分子量を調節するために、又はポリアミドの生成におけるモノマーの減少を補うために、一成分(A1a)又は(A1b)の濃度が、その全体において優位を占めることができるように、使用されることができる。
【0031】
好適な脂環式ジカルボン酸は、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、及び/又は、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)である。
【0032】
上述の義務的に使用される脂肪族ジアミンは、ジアミンの総量に対し、20mol%以下、好ましくは15mol%以下、特に10mol%以下の少量で、他のジアミンで置換されてもよい。例えば、シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(BAC)、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)及び3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)が脂環式ジアミンとして使用できる。芳香脂肪族ジアミンとして、m-キシリレンジアミン(MXDA)及びp-キシリレンジアミン(PXDA)が挙げられる。
【0033】
前述のジカルボン酸及びジアミンに加えて、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸もポリアミド形成材料(成分(A1c))として使用できる。好適な化合物は、例えば、カプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウリルラクタム(LL)及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)である。成分(A1a)及び(A1b)とともに使用されるアミノカルボン酸及び/又はラクタムの濃度は、成分(A1a)〜(A1c)の合計に対し、合計で最大で20重量%、好ましくは最大で15重量%、及び特に好ましくは最大で12重量%になる。特に好ましくは、4,6,7,8,11もしくは12個の炭素原子を有するラクタム又はα,ω-アミノ酸である。これらは、ラクタムが、ピロリジン-2-オン(4炭素原子)、ε-カプロラクタム(6炭素原子)、エナントラクタム(7炭素原子)、カプリルラクタム(8炭素原子)、ラウリルラクタム(12炭素原子)、又は、α,ω-アミノ酸が、1,4-アミノブタン酸、1,6-アミノヘキサン酸、1,7-アミノヘプタン酸、1,8-アミノオクタン酸、1,11-アミノウンデカン酸及び1,12-アミノドデカン酸である。
特に好ましい実施形態では、成分A1は、カプロラクタム又はアミノカプロン酸を含まない。
分子量、相対粘度もしくは流動性又はMVRを制御するための調節剤は、モノカルボン酸もしくはモノアミンの形で、バッチ及び/又は予備縮合物(縮合する前)に添加されることができる。
調節剤として好適な脂肪族、脂環式、芳香族モノカルボン酸あるいはモノアミンは、特に、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパン酸、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオ)酢酸、3,3-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-アミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-アミン、4-アミノ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールである。調節剤は、個々に又は組み合わせて使用できる。無水物、イソシアネート、酸ハロゲン化物もしくはエステルなどの、アミノ基又は酸基と反応できる他の単官能基化合物も、調節剤として使用できる。調節剤の通常量は、ポリマー1kg当たり、10〜200mmolの範囲である。
【0034】
半芳香族コポリアミド(A1)は、実質的に知られている方法で製造することができる。好適な方法は、他で記載されており、特許文献で論じられている実施可能な方法のいくつかが以下に記載される。以下の文献の開示内容は、成分(A)のコポリアミドの製造方法に関し、この出願の開示内容に明白に包含される。DE-A-195 13 940、EP-A-0 976 774、EP-A-0 129 195、EP-A-0 129 196、EP-A-0 299 444、US4,831,106、US4,607,073、DE-A-14 95 393及びUS3,454,536。
【0035】
本発明にかかるポリアミド(A1)の具体的な代表例は、以下のとおりである。PA4T/4I、PA4T/6I、PA5T/5I、PA6T/6、PA6T/6I、PA6T/6I/6、PA6T/66、6T/610、6T/612、PA6T/10T、PA6T/10I、PA9T、PA10T、PA12T、PA10T/10I、PA10T/106、PA10T/12、PA10T/11、PA6T/9T、PA6T/12T、PA6T/10T/6I、PA6T/6I/6、PA6T/6I/12、及びそれらの混合物。特に好ましくは、成分(A)の半芳香族ポリアミドは、PA6T/6I、PA6T/66、PA6T/10T、PA6T/10T/6I及びそれらの混合物からなる群から選択される。6T単位(ユニット)を含む、特に6T単位を少なくとも10重量%含むポリアミド(A1)が好ましい。
【0036】
それゆえ、本発明では、以下の半芳香族コポリアミドが、高融点ポリアミド(A1)として特に好ましい:
・50〜80mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と20〜50mol%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/6I
・55〜75mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と25〜45mol%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/6I
・62〜73mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と25〜38mol%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/6I
・70mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と30mol%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/6I
・30〜80mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と20〜70mol%のヘキサメチレンアジポアミド(hexamethyleneadipamide)単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/66
・50〜70mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と30〜50mol%のヘキサメチレンアジポアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/66
・50〜60mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と40〜50mol%のヘキサメチレンアジポアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/66
・55〜60mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位と40〜45mol%のヘキサメチレンアジポアミド単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/66
・少なくとも50mol%のテレフタル酸と、最大で50mol%のイソフタル酸と、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルオクタンジアミン及びデカンジアミンからなる群から選択される少なくとも二種類のジアミンの混合物とから製造された半結晶性ポリアミド
・少なくとも70mol%のテレフタル酸と、最大で30mol%のイソフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジアミンの混合物とから製造された半結晶性ポリアミド
・少なくとも50mol%のテレフタル酸と、最大で50mol%のドデカン二酸と、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルオクタンジアミン及びデカンジアミンからなる群から選択される少なくとも二種類のジアミンの混合物とから製造された半結晶性ポリアミド
・10〜60mol%、好ましくは10〜40mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)と40〜90mol%、好ましくは60〜90mol%のデカメチレンテレフタルアミド(10T)単位を有する半結晶性ポリアミド 6T/10T
・50〜90mol%、好ましくは50〜70mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位(6T)と、5〜45mol%、好ましくは10〜30mol%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位(6I)と、5〜45mol%、好ましくは20〜40mol%のデカメチレンテレフタルアミド(10T)単位を有する半結晶性ポリアミド6T/10T/6I
・60〜85mol%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位(6T)と、15〜40mol%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位(6I)を有し、さらに、5〜15重量%のカプロラクタムを含む半結晶性ポリアミド 6T/6I/6
【0037】
半芳香族の半結晶性ポリアミド(A1)は、20℃の温度にて100mLのm-クレゾール中0.5gのポリマー溶液で、DIN EN ISO307に従って測定した溶液粘度ηrelが、最大で2.6、好ましくは最大で2.3、特に最大で2.0である。1.45〜2.3の範囲の溶液粘度ηrel、特に1.5〜2.0又は1.5〜1.8の範囲の溶液粘度ηrelを有するポリアミド(A1)が好ましい。
【0038】
本発明にかかるポリアミド(A1)は、予備縮合(precondensate)及び後縮合(postcondensation)の工程順序を経て、従来の重縮合装置で調製できる。上述した鎖長調節剤は、好ましくは、粘度を調節するために前記重縮合に使用される。さらに、粘度は、過剰なジアミンもしくは二塩基酸(diacid)の使用によって設定できる。
【0039】
成分(A2)
成分(A2)は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%のカプロラクタム量を有する、カプロラクタム含有ポリアミドからなる。特に好ましくは、(A2)はポリアミドPA6である。
【0040】
成分(A2)がコポリマーである場合、カプロラクタムの他に使用される(A2)の好ましいコポリマーは、一例として、好ましくは等モル若しくはほぼ等モル量で使用されるジアミンとジカルボン酸の組み合わせであり、別の例は、ラクタムとアミノカルボン酸である。
【0041】
適切なジアミンは、特に、4〜18の炭素原子を有する分岐もしくは直鎖の脂肪族ジアミンである。適切なジカルボン酸は、6〜36の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族のジカルボン酸である。
【0042】
第一の好ましい実施形態によれば、前記C4〜C18のジアミンは、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンあるいは前記ジアミンの混合物からなる群から選択されるジアミンであり、その中でも、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンあるいは前記ジアミンの混合物、その中でも、1,6-ヘキサンジアミンと1,10-デカンジアミンが好ましく、特に、1,6-ヘキサンジアミン単独が好ましい。
【0043】
適切な脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及び二量体の脂肪酸(C36)である。好適な脂環式ジカルボン酸は、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、及び/又は、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)である。適切な芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸である。ジカルボン酸類、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、あるいはそのようなジカルボン酸の混合物のうち、好ましくはアジピン酸、テレフタル酸であり、特にアジピン酸単独が好ましい。
【0044】
ポリアミド(A2)の他の好ましいコモノマーは、任意に、7〜12個の炭素原子を有するラクタムもしくはアミノカルボン酸であり、特に、ラウリルラクタム及びアミノラウリン酸が好ましい。
(A2)の特に好ましいポリアミドは、モノマーとして、カプロラクタムおよびラウリルラクタム、又は、カプロラクタム、ヘキサンジアミンおよびアジピン酸、又は、カプロラクタム、ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から調製されたコポリアミドであり、このようなコポリアミドは、PA6/12又はPA6/66又はPA6/6T又はPA6/12/66又はPA6/66/610であり、そのカプロラクタム量は少なくとも50重量%である。
【0045】
前記カプロラクタム含有ポリアミド(A2)は、1.6〜3.0の範囲の、好ましくは1.7〜2.5の範囲の、特に1.8〜2.2の範囲の溶液粘度ηrel(20℃の温度で、100mLのm-クレゾールに溶解された0.5gのポリマーの溶液を、DIN EN ISO307に従って測定)を有する。
【0046】
成分(B)
提案されるポリアミド成形材料の別の好ましい実施形態によれば、成分(B)のフィラー及び強化剤はファイバーであり、特にガラス及び/又はカーボンファイバーであり、短ファイバー(好ましくは2〜50mmの範囲の長さと5〜40μmの直径を有する)及び/又はエンドレスファイバー(ロービング:rovings)が好ましく使用され、特に円形及び/又は非円形の横断面を有するファイバーが使用され、後者のケースでは、横断面のアスペクト比(二番目の軸に対する横断面の長軸)は特に>2、好ましくは2〜8の範囲、特に好ましくは3〜5の範囲となる。
【0047】
非円形の横断面を有し、横断面のアスペクト比が2より大きい(好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜5)ガラスファイバーが好ましく使用される。これらはいわゆるフラットガラスファイバーであり、卵形の、楕円形の、くびれを有する楕円形の(いわゆる「コクーン[あるいはピーナツ]ファイバー」)、長方形の、あるいはほぼ長方形の断面積を有する。
【0048】
短ガラスファイバー(長さ0.2〜20mm、好ましくは2〜12mmのカットガラス)として、非円形の断面積を有する本発明にかかるフラットガラスファイバーが好ましく使用される。
【0049】
使用されるフラットガラスファイバーの別の好ましい特色は、以下の通りである:主横断面軸の長さが、好ましくは6〜40μmの範囲、特に15〜30μmの範囲にあり、第二横断面軸の長さが、3〜20μmの範囲、特に4〜10μmの範囲にある。
【0050】
本発明によると、成形材料を強化するために、円形及び非円形の横断面を有するガラスファイバーの混合物も使用でき、上に述べたフラットガラスファイバーの量が優勢であること(すなわち、ファイバーの総重量の50重量%を超えること)が好ましい。
【0051】
良好な流動性と良好な表面品質を有する強化された成形材料を所望するのであれば(特に難燃剤との組み合わせで)、強化ファイバーは、好ましくは、主に(すなわち、例えば80重量%より多く、あるいは90重量%より多くの)フラットガラスファイバーから、あるいは完全にフラットガラスファイバーだけからなる。
【0052】
ロービング(フィラー成分(B))として本発明によって使用されるフラットガラスファイバーは、10〜20μmの直径、好ましくは12〜18μmの直径を有し、ガラスファイバーの横断面は、円形、卵形、楕円形、ほぼ長方形、もしくは長方形である。
【0053】
特に好ましいのは、いわゆる横断面のアスペクト比が2〜5のフラットガラスファイバーである。特に、本発明によれば、Eガラスファイバーが使用される。しかしながら、A、C、D、M、S及びRガラスファイバーなど、全ての他のタイプのガラスファイバー、又は、それらのいずれかの混合物、あるいはEガラスファイバーとの混合物が使用できる。
【0054】
長ファイバーで強化される成形材料の場合、従来の15〜19μmの直径を有するエンドレスガラスファイバーの代わりに、直径10〜14μmのもの、特に直径10〜12μmのものが使用されると、より高い強靭性がもたらされ、こうしてさらに強い金属様の特性がもたらされる。
【0055】
本発明にかかるポリアミド成形材料は、長ファイバー強化されたロッド状のペレットを製造するための既知の方法、特に引き抜き成形法によって製造されることができ、その際、エンドレスファイバー・ストランド(ロービング)は、ポリマー溶解物に完全に浸され、その後冷やされ、切り刻まれる。
【0056】
このようにして得られた長ファイバー強化ロッド状のペレット(好ましくは3〜25mm、特に4〜12mmのペレット長を有する)は、射出成形あるいは加圧成形のような従来の加工方法を使用して、さらに成形品に加工することができる。
【0057】
引き抜き成形法で使用されるエンドレスカーボン・ファイバーは、5〜10μm、好ましくは6〜8μmの直径を有する。マトリクス結合とファイバーのハンドリングを改善するために、ガラス及びカーボンファイバーの従来技術において知られているように、ファイバーは、化学的に異なる層で被覆されることができる。
【0058】
ガラスファイバー自体は、断面の形状及びファイバーの長さと無関係に、Eガラスファイバー、Aガラスファイバー、Cガラスファイバー、Dガラスファイバー、Mガラスファイバー、Sガラスファイバー、及び/又はRガラスファイバーからなる群から選択されることができ、Eガラスファイバーが好ましい。
【0059】
成分(B)のフィラー及び強化剤は、粒子状のフィラーであっても、あるいはファイバーと粒子状フィラーの混合物であってもよい。この場合、フィラーとして、天然の及び/又は合成の層状ケイ酸塩、タルク、マイカ、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、白墨、石灰石、長石、硫酸バリウム、固体あるいは中空ガラスビーズ又は粉末ガラス、永久磁性のあるいは磁化可能な金属化合物、及び/又は、合金、又は、これらの混合物をベースとする無機フィラーが、好ましく使用できる。前記フィラーは、表面処理されていても良い。
本発明にかかる成形材料において、カオリン、サーペンタイン(serpentines)、タルク、マイカ、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、複水酸化物(double hydroxides)、又はその混合物が、例えば、層状ケイ酸塩として使用できる。層状ケイ酸塩は、表面処理されてもよいが、未処理でもよい。
【0060】
成分(C)
本発明にかかる熱可塑性成形材料は、成分(C)として、0.01〜3重量%、好ましくは0.02〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の少なくとも一種の熱安定剤を含む。
【0061】
好ましい実施形態において、前記熱安定剤は、以下のグループから選択される:
・一価もしくは二価の銅化合物、例えば、一価もしくは二価の銅と無機もしくは有機酸あるいは一価もしくは二価のフェノールとの塩、一価もしくは二価の銅酸化物、又はアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアン化物もしくはホスフィンと銅塩からなる錯化合物、好ましくは、ハロゲン化水素酸(halohydric acid)の、もしくはシアン化水素酸(cyanohydric acids)のCu(I)もしくはCu(II)の塩、又は脂肪族カルボン酸の銅塩。一価の銅化合物である、CuCl,CuBr,CuI,CuCN及びCu2O、及び二価の銅化合物CuCl2,CuSO4,CuO,酢酸銅(II)又はステアリン酸銅(II)が特に好ましい。銅化合物が使用される場合、銅の量は、成分(A)〜(D)の合計に対し、好ましくは0.003〜0.5、特に0.005〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.2重量%である;
前記銅化合物は市販のものが利用でき、又はそれらの調製は当業者に既知である。前記銅化合物は、そのようなものとして、あるいは濃縮物の形態で使用できる。濃縮物は、銅塩を高濃度で含む、ポリマー(好ましくは成分(A1)又は(A2)と同じ化学的性質のもの)を意味すると理解される。濃縮物は従来の方法で使用され、特に非常に少量の物質を添加するときによく使用される。銅化合物は、他の金属ハロゲン化物、特にNaI、KI、NaBr、KBrのようなハロゲン化アルカリとの組み合わせで有利に使用され、ハロゲン化銅に対する金属ハロゲン化物のモル比は、0.5〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは3〜7である;
・芳香族第二級アミン系安定剤 これらの安定剤は、好ましくは0.2〜2、好ましくは0.2〜1.5重量%の量で存在する;
・立体障害フェノール系安定剤 これらの安定剤は、好ましくは0.1〜1.5、好ましくは0.2〜1重量%の量で存在する;及び、
・ホスファイト及びホスホナイト(phosphonites);及び、
・前述の安定剤の混合物
【0062】
本発明において使用できる芳香族第二級アミン系安定剤の特に好ましい例は、フェニレンジアミンのアセトン付加物(Naugard A)、フェニレンジアミンのリノレン付加物、Naugard 445、N,N'-ジナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-シクロヘキシル-p-フェニレンジアミンあるいはそれらの二つ以上の混合物である。
【0063】
本発明において使用できる立体障害フェノール系安定剤の好ましい例は、N,N'-ヘキサメチレンビス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、ビス(3,3-ビス(4'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)グリコールエステル、2,1'-チオエチルビス-(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、あるいはこれらの安定剤の二つ以上の混合物である。
【0064】
好ましいホスファイトとホスホナイトは、トリフェニル ホスファイト、ジフェニルアルキル ホスファイト、フェニルジアルキル ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリル ホスファイト、トリオクタデシル ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール ジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル))ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリル ソルビトール トリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン ジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンズ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチルジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチル ホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチル ホスファイトである。特に好ましくは、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ-(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-tertブチル)フェニル-5-メチル]フェニル ホスファイト及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(バーゼル、Clariant社の市販品、Hostanox(登録商標)PAR 24)である。
【0065】
熱安定剤の特に好ましい実施形態は、有機熱安定剤(特に、Hostanox PAR 24及びIrganox1010)、aビスフェノールA-系エポキシド(特に、Epikote1001)、及びCuIとKIをベースとする銅安定剤の組み合わせからなる。有機安定剤とエポキシドからなる市販の安定剤混合物として、例えば、Ciba Spez社のIrgatec NC66がある。CuIとKIだけに基づく熱安定化が特に好ましい。銅もしくは銅化合物の添加を除いて、他の遷移金属化合物の使用、特に、周期表のVB、VIB、VIIBもしくはVIIIB族の金属塩あるいは金属酸化物は排除される。さらに、鉄もしくはスチールパウダー等の周期表のVB、VIB、VIIBもしくはVIIIB族の遷移金属は、本発明にかかる成形材料に添加されない。
【0066】
成分(D)
本発明にかかる成形材料は、光安定化剤、UV安定剤、UV吸収剤もしくはUVブロッカー、スリップ剤、染料、核形成剤、メタリック顔料、帯電防止剤、導電剤、離型剤、光学的光沢剤、あるいは前記添加剤の混合物からなる群から選ばれるような他の添加剤(D)を含むことができる。カーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブは、例えば、本発明において成形材料中の帯電防止剤として使用できる。しかしながら、カーボンブラックの使用は、成形材料の黒色着色の向上にも役立つ。しかしながら、成形された材料は、メタリック顔料を含まなくてもよい。
【0067】
さらに、本発明は、そのようなポリアミド成形材料を製造する方法に関する。さらに、本発明は、そのようなポリアミド成形材料を使用して製造された成形品に関する。
【0068】
適用
さらに、本発明は、そのようなポリアミド成形材料を少なくとも部分的に含む成形部品の使用に関する。
【0069】
一つには、自動車分野の例が挙げられる;シリンダー・ヘッド・カバー、エンジン・カバー、インタークーラー用のハウジング、インタークーラー・バルブ、吸気管、特に吸気マニホールド、コネクタ、歯車、ファン・ホイール、冷却材貯蔵コンテナー、熱交換器用のハウジングもしくはハウジング部材、ラジエーター、インタークーラー、サーモスタット、送水ポンプ、ヒーター、及び締結エレメント。電気/電気工学分野では、そのような使用は、例えば回路基板の部品、ハウジング、フィルム、コンダクター、スイッチ、ターミナル・ストリップ、リレー、レジスタ、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、コントローラー、メモリ、及びセンサーを含む。他の実施形態は、従属クレームに示される。
【0070】
好ましい実施形態の説明
本発明は、特定の実施形態の例を使用して、及び従来技術にかかる低パフォーマンスシステムと比較して以下に説明される。以下に示された実施形態の例は、本発明をサポートし、従来技術との差異を証明するのに役立つが、それらは特許請求の範囲に定義された発明の一般的な対象を限定するために用いられるべきではない。
【0071】
実施例B1〜B5及び比較例V1〜V9:
表1及び2に示される組成の成形材料は、Werner&Pfleiderer社製のツインシャフト押出機、Type ZSK25で調製された。ポリアミド顆粒は、供給部内に添加剤とともに分注され、その間、ガラスファイバーがノズルの前でハウジングユニットのサイド・フィーダー(side-feeder)3を通してポリマー溶解物中に分注される。ハウジングの温度は、最大330℃までの上昇プロファイルとして設定された。150〜200rpmで10kgの処理量が達成された。そのストランド(strands)が水浴中で冷却され、造粒と120℃24時間の乾燥の後、顆粒の特性が測定された。
【0072】
コンパウンドはその後、Arburg Allrounder 320-210-750射出成形機を用いて、ゾーン1〜4では325℃〜340℃のシリンダー温度、及び130℃の「金型温度(tool-temperature)」にて、ISO試験片に射出成形された。
【0073】
図1は、250℃での熱貯蔵の結果を示す。本発明に係る成形材料(B1)から作られた成形体の破壊強度は、500時間の期間にわたり、ほぼ一定のままであるが、比較例V1の成形材料から作られた成形体の破壊強度は、250℃・500時間の貯蔵後、初期値の50%まで低下する。
【0074】
使用されたポリアミド
PA6T/66:モノマーがテレフタル酸、アジピン酸、及び1,6-ヘキサンジアミンであるコポリアミド。テレフタル酸とアジピン酸のモル比は55:45である、相対溶液粘度は1.60;
PA6:Grilon A28:相対溶液粘度1.86 (EMS Chemicals社);
PA6/12:モノマーがカプロラクタムとラウリルラクタムであるコポリアミド。カプロラクタム量は75重量%、相対粘度1.90;
PA1010:モノマーが1,10-デカンジアミンとセバシン酸であるホモポリアミド。相対粘度1.95;
PA46:モノマーが1,4-ブタンジアミンとアジピン酸であるホモポリアミド。相対粘度1.88;
【0075】
【表1】

表1.比較例V1〜V9のコンパウンドの組成及び特性。すべての特性は乾燥状態で測定された(略称:vv=完全に脆化、n.b.=未測定)
カオリン:アミノシラン、コーティング有、焼成ケイ酸アルミニウム
ブラックマスターバッチ:ポリアミド66中に25重量%のカーボンブラックを含有するマスターバッチ
銅安定剤:14.3重量%のヨウ化銅(I)と、85.7重量%のヨウ化カリウム/ジステアリン酸カルシウム(98:2)との混合物
Irgatec NC 66:Ciba Spez社製の熱安定剤混合物
ガラスファイバー:Vetrotex 995:Owens Corning Fiberglas社製の4.5mmの長さと10μmの直径を有するカットガラスファイバー(円形の横断面)
酸化鉄:Sicotrans Red、K2915、D50=400nm (BASF)
【0076】
【表2】

表2:実施例B1〜B5のコンパウンドの組成と特性:すべての特性は乾燥状態で測定された(略称:vv=完全に脆化、n.b.=未測定)
【0077】
結果の考察
表2によって示されるように、カプロラクタム含有ポリアミドの添加は、特に高温(220℃)での熱老化安定性の改善をもたらす。基本的な機械的特性は維持された。また、HDT Aによって表される熱安定性も240℃より上のままである。
【0078】
その一方、表1は、220℃での保存後1%未満の低い破断伸び(あるいは、完全な脆化のためもはや測定できない破断伸び)から分かるように、低すぎるPA6の量(V1〜V5)が所望の効果を達成しないことを示す。より高いカプロラクタムの量(V6)は、所望の熱老化安定性を達成するが、十分な熱安定性を達成しない。また、成分(A2)としてカプロラクタムを含有しないポリアミド(V8)又は成分(A1)として脂肪族ポリアミド(V9)の使用は、満足できる製品をもたらさない。酸化鉄による更なる安定化(V7)は、本発明に係る半芳香族ポリアミドとカプロラクタム含有ポリアミドのブレンドの場合は、改善された熱老化安定性をもたらさない。また、わずかに劣る熱老化安定性が所定のコンディション下で見られさえした。また、他の酸化鉄含有ポリアミドのブレンドは、本発明にかかるポリアミドのブレンドより低い機械的特性を有する。
【0079】
純粋な脂肪族ポリアミドのブレンド中の銅含有及び鉄含有安定剤の組み合わせだけが、加熱下の保存後に機械的特性の明確な改善を導くことを教示するWO 2006/074934A1の教示は、しかしながら、上記例によって示されるように、意外にも、半芳香族ポリアミド組成物まで拡張することはできない。
【0080】
測定は、以下の基準に従い、以下の試験片について行われた。
熱挙動
融点、メルト・エンタルピー、ガラス転移点(Tg):
ISOスタンダード 11357-11-2
粒状化
示差走査熱量測定(DSC)は20℃/分の加熱速度で行われた。
開始温度はガラス転移点(Tg)とされる。

相対粘度
相対粘度(ηrel)は、100mLのm-クレゾール中に溶解された0.5gのポリマーの溶液について、20℃の温度で、DIN EN ISO 307によって測定された。

伸び弾性率、破壊強度及び破断伸び
ISO527 5mm/分の歪み速度で
ISO引張棒、スタンダード;ISO/CD 3167、タイプA1、170×20/10×4mm、温度23℃

シャルピー衝撃強度
ISO179/*eU
ISO試験棒、スタンダード;ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4mm、温度23℃
* 1=計装無し(not instrumented)、2=計装(instrumented)

シャルピー・ノッチ棒衝撃強度
ISO179/*eA
ISO試験棒、スタンダード;ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4mm、温度23℃
* 1=計装無し、2=計装

HDT A(1.8 MPa)及びHDT C(8 MPa)
ISO75
ISO衝撃棒80×10×4mm

180℃/220℃/250℃での熱貯蔵
加熱下での保存は、DIN 12880(クラス2.0)に従い、空気循環炉(binder FD115)内で、180℃、220℃あるいは250℃の温度で、ISO引張棒(スタンダード:ISO/CD 3167、タイプA1、170×20/10×4mm)について行われた。特定の時間の後、試験片は炉から取り除かれ、それらを23℃まで冷却した後、23℃及び5mm/分の歪み速度にて、ISO 527に従って、引張伸び試験にかけた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成を有し、且つ、周期表のVB,VIB,VIIBもしくはVIIIB族の遷移金属の金属塩及び/又は金属酸化物が添加されていないことを特徴とするポリアミド成形材料:
(A) 27〜84.99重量%の、下記(A1)及び(A2)から成るポリアミド混合物
(A1) 255〜330℃の範囲に融点を有する、少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド
(A2) 少なくとも50重量%のカプロラクタム量を有する少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミドであって、前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)とは異なるポリアミド
(ここで、全カプロラクタム量、すなわち、ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)中に含まれるカプロラクタムの合計は、当該ポリアミド混合物に対して22〜30重量%となる);
(B) 15〜65重量%の、少なくとも一種のフィラー及び強化剤;
(C) 0.01〜3.0重量%の、少なくとも一種の熱安定剤;
(D) 0〜5.0重量%の、少なくとも一種の添加剤;
(成分(A)〜(D)の合計は100重量%となる)。
【請求項2】
前記ポリアミド混合物(A)が、
(A1) 70〜78重量%の、255〜330℃の範囲に融点を有する、少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド、及び
(A2) 少なくとも50重量%のカプロラクタム量を有する、少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミドから成り、
成分(A1)が、カプロラクタム及び/又はアミノカプロン酸に由来する繰り返し単位を有さないことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項3】
前記ポリアミド混合物に対して、前記全カプロラクタム量が23〜29重量%、好ましくは24〜28重量%となることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアミド成形材料。
【請求項4】
前記ポリアミド成形材料が、前記ポリアミド混合物を30〜79.9重量%、好ましくは35〜70重量%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項5】
前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)の融点が、270〜325℃の範囲、好ましくは280〜320℃の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項6】
前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)が、90〜140℃の範囲の、好ましくは110〜140℃の範囲の、特に好ましくは115〜135℃の範囲のガラス転移点を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項7】
前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)が、最大で2.6、好ましくは1.45〜2.3、より好ましくは1.5〜2.0、特に1.5〜1.8の溶液粘度ηrelを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項8】
前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)が、
a) ジカルボン酸(テレフタル酸を当該ジカルボン酸の総量に対して少なくとも50mol%含む)、
b) ジアミン(4〜18の炭素原子、好ましくは6〜12の炭素原子を有する脂肪族ジアミンを、当該ジアミンの総量に対して少なくとも80mol%含む)、並びに、場合によっては
c) ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
から製造されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項9】
前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)が、
a) ジカルボン酸の総量に対して、50〜100mol%のテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸、並びに、0〜50mol%の6〜12炭素原子を有する少なくとも一種の脂肪族ジカルボン酸、及び/又は0〜50mol%の8〜20炭素原子を有する少なくとも一種の脂環式ジカルボン酸、及び/又は0〜50mol%のイソフタル酸
b) ジアミンの総量に対して、80〜100mol%の4〜18炭素原子(好ましくは6〜12炭素原子)を有する少なくとも一種の脂肪族ジアミン、並びに、0〜20mol%の少なくとも一種の(好ましくは6〜20炭素原子を有する)脂環式ジアミン、及び/又は0〜20mol%の少なくとも一種の芳香脂肪族ジアミン(例えば、PACM、MACM、IPDA、MXDA及びPXDA等)、並びに、場合によっては
c) それぞれ6〜12炭素原子を有する、アミノカルボン酸及び/又はラクタム
から製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項10】
前記少なくとも一種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)が、PA4T/4I,PA4T/6I,PA5T/5I,PA6T/6,PA6T/6I,PA6T/6I/6,PA6T/66,PA6T/610,PA10T/106,PA6T/612,PA6T/10T,PA6T/10I,PA9T,PA10T,PA12T,PA10T/10I,PA10T/12,PA10T/11,PA6T/9T,PA6T/12T,PA6T/10T/6I,PA6T/6I/6,PA6T/6I/12,並びにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項11】
前記少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミド(A2)が、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%のカプロラクタム量を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項12】
前記少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミド(A2)が、1.6〜3.0の範囲の、好ましくは1.7〜2.5の範囲の、特に1.8〜2.2の範囲の溶液粘度ηrelを有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項13】
前記少なくとも一種のカプロラクタム含有ポリアミド(A2)が、PA6,PA6/12,PA6/66及び/又はPA6/6Tからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項14】
前記少なくとも一種のフィラー及び強化剤(B)が、
a) ガラスファイバー及び/又はカーボンファイバー(好ましくは0.2〜50mmの範囲の長さ及び/又は5〜40μmの直径を有するもの)及び/又はエンドレスファイバー(ロービング)、
b) 粒子状のフィラー、好ましくは、天然の及び/又は合成の層状ケイ酸塩、タルク、マイカ、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、白墨、石灰、長石、硫酸バリウム、固体あるいは中空ガラスビーズ又は粉末ガラス、永久磁性のあるいは磁化可能な金属化合物、及び/又は、合金、及び/又は、これらの混合物をベースとする無機フィラー、及び/又は
c) ガラス-及び/又はカーボン-ファイバーと粒子状のフィラーからなる混合物
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項15】
前記少なくとも一種の熱安定剤(C)が、
a) 一価もしくは二価の銅化合物、例えば、一価もしくは二価の銅と無機もしくは有機酸あるいは一価もしくは二価のフェノールとの塩、一価もしくは二価の銅酸化物、又はアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアン化物もしくはホスフィンと銅塩からなる錯化合物、好ましくは、ハロゲン化水素酸の、もしくはシアン化水素酸のCu(I)もしくはCu(II)の塩、又は脂肪族カルボン酸の銅塩、特に好ましくは、CuCl,CuBr,CuI,CuCN及びCu2O,CuCl2,CuSO4,CuO,酢酸銅(II)又はステアリン酸銅(II)、
b) 芳香族第二級アミン系安定剤、
c) 立体障害フェノール系安定剤、
d) ホスファイト及びホスホナイト、及び、
e) 前述の安定剤の混合物
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項16】
以下の組成を有する、ポリアミド成形材料:
(A) 27〜79.9重量%の、(A1)PA6T/66と(A2)PA6からなるポリアミド混合物であって、その全カプロラクタム量、すなわち、ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)中に含まれるカプロラクタムの合計は、当該ポリアミド混合物に対して22〜30重量%となる、
(B) 20〜65重量%の、ガラスファイバー及び層状ケイ酸塩、
(C) 0.1〜3.0重量%の、少なくとも一種の一価もしくは二価の銅化合物を含有する熱安定剤、
(D) 0〜5.0重量%の、少なくとも一種の添加剤
(前記成分(A)〜(D)の合計は100重量%となる)。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料から作られた成形品であって、好ましくは、自動車の又は電気/電子工学の分野で用いられる部品の形態、特に、
シリンダー・ヘッド・カバー、エンジンカバー、インタークーラーのハウジング、インタークーラー・バルブ、吸気管、吸気マニホールド、コネクタ、歯車、ファン・ホイール、冷却材コンテナー、熱交換器のハウジングもしくはハウジング部材、ラジエーター、インタークーラー、サーモスタット、送水ポンプ、ヒーター、締結エレメント、
電気もしくは電子部品の形態では、回路基板、回路基板の部材、ハウジング構成部品、フィルム、コンダクター、特に、スイッチ、ターミナル・ストリップ、リレー、レジスタ、コンデンサ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、コントローラー、メモリ、及び/又はセンサーの形態である、成形品。


【図1】
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【公開番号】特開2013−1906(P2013−1906A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−132556(P2012−132556)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【出願人】(510022808)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】