説明

半透明太陽光電池モジュールを製造するための方法および装置

【課題】高品質の半透明太陽光電池モジュールを製造するための処理時間を実質的に短縮する。
【解決手段】半透明太陽光電池モジュールを製造するために、透明基体2が、透明前部電極層3、半導体層4および金属後部電極層5によってコーティングされ、次に、半導体層4および後部電極層5の部分領域が、除去される。この目的のために、剥離化合物14が、インクジェットプリンタを用いて、半導体層4および後部電極層5が除去されることになっている領域で、前部電極層3に塗布される。その後で、半導体層4および後部電極層5は、剥離化合物14の上に堆積される。次に、半導体層4および後部電極層5が、前部電極層3から剥離化合物14と共に、除去され、透光性部分領域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による半透明(semitransparent)太陽光電池モジュールを製造するための方法および同方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光電池モジュールは、不透明な半導体層と、たとえば、ガラスなどの透明な基体の上に堆積される透明な導電酸化金属(TCO)からなる透明な前部電極層の上の不透明な金属後部電極層と、を有する。モジュールを半透明にし、したがって、透光性(translucent)であるように構成するために、不透明な半導体層および後部電極層は、モジュールの上に分散される部分領域において除去される。
【0003】
太陽光電池モジュールは一般に、1つの電池の後部電極層を隣接電池の前部電極層と接触させることによって直列接続される電池を備える。直列接続の場合には、特に、電流の流れ方向に垂直に延在する分離線が形成され、その分離線の上で半導体層および後部電極層が除去され、その結果、さらなる透光性部分領域が形成される。
【0004】
半導体層および後部電極層の除去に関して、レーザアブレーションが周知である。これは、層の上に基体ガラスを通じてレーザビームを集光させ、半導体層および後部電極層を除去することを伴う。この方法の欠点は、レーザビームが、わずか約50μmの幅を用いて半導体層および後部電極層の相対的に狭い領域を除去することである。したがって、10%の半透明度の透過率を生成するために、モジュールの面積の平方メートル当たり、合計2キロメートルの長さにわたって半導体層を除去することが必要である。したがって、1m/sの基体表面に対するレーザビームの一般的な横断速度で、処理時間は、少なくとも2000秒かかり、すなわちきわめて長い。
【0005】
ウェット化学エッチング処理またはドライ化学エッチング処理によって、透光性部分領域を生成するための別の方法が、提供される。この方法の欠点は、除去されることになっていない領域が、エッチングから効果的に保護されなければならないことである。実際には、この要件は、完全に満たされることができず、たとえば、短絡回路による太陽光電池モジュールに対する即時損傷の危険性を伴い、またはモジュールの動作中に長期信頼性の問題も伴う。
【0006】
EP 500 451 B1から、透光性部分領域が形成されることになっている領域の後部電極層に接着ペーストを塗布し、上記の領域における後部電極層が剥離によって除去され、その結果、上記の領域における半導体層の除去が水酸化ナトリウム溶解を用いたウェット化学処理によって行われることが公知である。
【特許文献1】EP 500 451 B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高品質の半透明太陽光電池モジュールを製造するための処理時間を実質的に短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これは、本発明によれば、請求項1において特徴付けられる方法によって得られる。本発明の方法の好ましい実施形態は、請求項2〜請求項10に記載される。本発明の方法を実行するための好ましい装置は、請求項11において特徴付けられる。本装置の好ましい実施形態は、請求項12〜請求項15に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の方法によれば、透明な基体、たとえば、ガラスプレートまたはプラスチック膜は最初に、透明な前部電極層でコーティングされる。透明な前部電極層によるコーティングは、たとえば、グロー放電堆積(PECVD)によって行われることができる。前部電極層は好ましくは、酸化スズ、酸化亜鉛などのTCO(透明な導電酸化物)からなる。
【0010】
次に、モジュールの透光性部分領域が、半導体層および不透明な後部電極層の除去後に生じることになっている場合には、剥離化合物は、前部電極層の領域にインクジェットプリンタによって塗布される。
【0011】
インクジェットプリンタの「インク」は、たとえば、剥離化合物の分散または溶解からなる。ここで、溶解または分散剤として揮発性溶剤、たとえば、アルコールを用いることが好ましい。分散の場合には、分散された粒子は、たとえば、研磨粒子(たとえば、染料)からなってもよい。インクはそれ自体、たとえば、水中におけるモジュールの浸漬によって、後の剥離のために水溶性である必要がある。
【0012】
剥離化合物の乾燥後に、半導体層は、乾燥剥離化合物を備えた前部電極層の上に堆積される。
【0013】
半導体層は、たとえば、非結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、微結晶シリコンからなってもよい。半導体層の堆積は通常、たとえば、PECVDによって200℃を超える温度で、いわゆる「熱線」方法によって行われる。
【0014】
真空において、半導体層の堆積後に、その上に堆積される半導体層を有する基体は、たとえば、大気圧に曝気され、たとえば、室温に冷却される。次に、たとえば、スパッタリングによって金属後部電極層の堆積が行われる。
【0015】
その後で、半導体層、後部電極層および剥離化合物は、透光性部分領域を形成するために、剥離化合物の領域で除去される。
【0016】
この目的のために、モジュールは、たとえば、浸漬によって、たとえば、水などの溶剤に曝露されることができる。意外にも、前部電極層から剥離化合物を分離させ、したがって、半導体層および後部電極層を剥離化合物と共に、剥離化合物上の領域から除去させることが分かっている。
【0017】
金属後部電極層およびその上に堆積される半導体層を通じて、剥離化合物への溶剤の浸透は場合によっては、後部電極層および半導体層における微小亀裂および類似の開口に起因する。しかし、半導体層および後部電極層によって包囲された剥離化合物への溶剤の意外な浸透に関する正確な過程は、未知である。
【0018】
上述したように、インクジェットプリンタによって塗布される「インク」は、たとえば、アルコール、樹脂、たとえば、アルコール中の有機染料を含む剥離化合物の分散であってもよい。しかし、インクジェットプリンタを用いた塗布時に薄膜を形成することができるのであれば、任意の他の剥離化合物もまた、用いることができる。さらに、たとえば、半導体層をPECVDによって塗布可能にするために、剥離化合物は、たとえば、200℃を超える温度で、耐熱性であり、かつ耐真空性でなければならない。さらに、剥離化合物は次に、たとえば、大気圧への次の曝気およびたとえば、室温に対する冷却に耐えて、亀裂を形成することなく、前部電極層に対して十分に接着しなければならない。何故なら、そうしなければ、半導体層または後部電極層との次のコーティング中に、半導体材料または後部電極層の金属が、場合によっては前部電極層まで、剥離化合物における亀裂を通じて浸透する可能性があり、その結果、半導体材料および後部電極層の金属の除去可能でない残留物が、前部電極層に接着し、これにより、目に見える損傷とは別に、短絡回路を生じる可能性があるためである。
【0019】
モジュールの透光性部分領域は、特に直線領域である直線的に構成されることができる。この透光性部分領域は、モジュールの電流の流れ方向および/または電流の流れ方向に垂直またはモジュールの別の方向に延在することができる。
【0020】
モジュールが、互いに直列接続される複数の電池から形成され、それにより、より高い電圧を有するモジュールを得る場合には、透光性部分領域がさらに、設けられることができる。直列接続は、1つの電池の後部電極層を隣接電池の前部電極層と接触させることによって行われる。2つの隣接電池の直列接続に関して、特に、電流の流れ方向に垂直に延在し、隣接電池の後部電極の電気的に分離する機能を実行する分離線が形成される。前部電極への剥離化合物の塗布によるインクジェットプリンタを用いて、その上に塗布された半導体層および後部電極層が除去されるという点において、上記の分離線は同様に、透光性部分領域を形成する。
【0021】
さらに、電流の流れに平行な透光性部分領域のほか、直列接続の透光性分離線を同様に有するモジュールの個別の陰極の場合には、直列接続の後部電極層の分離線に対して鏡面反転される半導体層にさらなる分離線を形成することが必要である。半導体層におけるこの追加の分離線がない場合には、モジュールは、陰極を有していないことになる。たとえば、電流の向きに平行に延在する分離線を通じた電気接触は、上記の陰極に接する電池の負の電位を有し、モジュールの負の電位にタップ接続する別の可能性である。この場合には、技術的に信頼性の高い接触が、留意されるべきである。
【0022】
直列接続が設けられる場合には、一般に、2つの隣接する電池の間に、前部電極層におけるさらなる分離線のほか、半導体層においてそこからずれるさらなる平行な分離線もさらに、生成される。しかし、上記の2つの分離線は、半導体層または後部電極層の堆積時に、半導体層または後部電極層で充填される。半導体層および後部電極層を通過する分離線に平行に延在し、透光性部分領域をもたらす2つのさらなる分離線が、たとえば、レーザアブレーションによって形成されることができる。
【0023】
したがって、本発明の透明モジュールの透光性部分領域は、モジュール内の部分領域によって、または、電池内の複数の電池から形成されるモジュールの場合には、および/または直列接続のために半導体層および後部電極層を通じて分離線によって、形成されることができる。モジュールは好ましくは、直列接続の透明部分領域および透明分離線を有する両方の電池を有する。電池内の透明部分領域が、流れ方向に延在する直線部分領域によって形成される場合には、見た目に魅力的な格子パターンが、直列接続のための垂直の透明分離線と共に作成される。電池内の直線状の透明部分領域および直接接続用の透明分離線は、同じ幅を有してもよく、または異なる幅で構成されることができ、たとえば、透明分離線は、電池またはモジュール内の透明な線より狭い。
【0024】
剥離化合物の厚さは、乾燥後、半導体層の層厚の範囲であるべきであり、好ましくは0.1〜5μm、特に0.3〜2μmである。
【0025】
用いられるインクジェットプリンタは、たとえば、いわゆる連続インクジェットすなわち、CITプリンタであってもよく、またはドロップ・オン・デマンドすなわちDODプリンタであってもよい。
【0026】
印刷中に、インクジェットプリンタおよび前部電極層を備えた基体は、互いに対して移動される。この目的のために、前部電極層を備えた基体は、たとえば、1つまたは2つの互いに垂直な方向(たとえば、X/Y座標テーブル)に移動可能であるスライド上に配置されることができるか、および/またはインクジェットプリンタが、スライド(ガントリシステム)の1つの移動方向に対して垂直な方向に移動可能であるキャリア上に設けられることができるかである。また、テーブル上に前部電極層を備えた基体を配置することも可能であり、それによって、キャリアは、2つの互いに直交する方向または1つの方向にのみ(スプリット軸システム)においてテーブルに対して移動可能であり、それによって、インクジェットプリンタは次に、キャリアに沿って移動可能であってもよい。
【0027】
インクジェットプリンタは、モジュールまたは電池内の透明部分領域および/または電池の直列接続の透明分離線に対応する剥離化合物のパターンを前部電極層に塗布する。
【0028】
半導体層およびその上に塗布される後部電極層が、残留物なしで剥離されることを保証するために、剥離化合物を形成するために前部電極層に「インク」として塗布される部分分散または溶解は、前部電極層のウェルを濡らさなければならない。同時に良好な濡れは、剥離化合物の制御不能な磨滅を防止し、したがって、本発明によって作成される透明部分領域の視覚的に申し分のない画像を作成する。
【0029】
インクジェットプリンタを用いて塗布される剥離化合物は、インクジェットプリンタと前部電極層を備えた基体との間の相対速度およびインクジェットプリンタによって放出される液滴のサイズに基づいて、直線の縁または個別の液滴の並置によって曲げられる縁を有する。
【0030】
用いられることが好ましい連続インクジェットプリンタは、シングルジェットシステムであってもよく、またはマルチジェットシステムであってもよい。ジェットが、1つの液滴において圧電変換器を通じたノズルから出て、帯電電極によって静電的に帯電され、偏向電極によって横方向に偏向されることができる。
【0031】
したがって、インクジェットプリンタを用いて、剥離化合物から1つまたは複数の接するトラックを成形することが可能である。トラックは、重ねることができ、または離れた空間に配置されることもできる。したがって、1つのトラックの場合には、たとえば、100〜300μmの幅を有する走行移動で、剥離化合物を塗布することが可能であり、2つの互いに触れるトラックの場合にはたとえば、200〜600μmの幅を有する走行移動で、剥離化合物を塗布することが可能である。したがって、対応する幅の直線状透明部分領域を作成することが可能であり、それによって、剥離化合物の2つの離隔されたトラックの場合には、さらに大きな幅を有する直線状の透明部分領域を得ることができる。
【0032】
交差線の場合には、剥離化合物を有する前部電極の濡れは、特殊な特性である。交差インク線の場合には、第2の線が、交差点の領域で収縮されることができる。この収縮は、線幅の約50%までであってもよい。ここで重要なことは、順序を維持すること、すなわち、前部電極層に最初に直列接続の分離溝のための剥離化合物を塗布し、次に、電流の流れに平行な分離溝用の剥離化合物を塗布することである。この順序は、画定および再生可能な方式で後部電極の電気分離を確保することができる。
【0033】
このことは、1平方メートルの大きさのモジュールの場合には、塗布される剥離化合物線の幅が、約250μmであれば、処理時間が、冒頭に記載されたレーザ方法に比べて、たとえば、2000秒から400秒に5倍削減され、または幅500μmの剥離化合物の場合には、200秒まで削減されることを意味している。
【0034】
本発明は、以下では図面を参照して一例によってさらに詳細に説明される。
【実施例1】
【0035】
図1、図2および図3によれば、太陽光電池モジュール1は、矢印hvで印付けられる入射光が当たるモジュール1の側面に配置される電気的絶縁透明基体2、たとえば、ガラスプレートを有する。入射側hvとは反対に面する側に、基体2は、たとえば、TCOからなる透明前部電極層3、半導体層4および不透明金属後部電極層5によってコーティングされる。
【0036】
モジュール1は、直列接続部Sによって相互接続される複数の電池C1〜C4を備える。モジュール1の各端部で、後部電極層5の上に、太陽光電池モジュール1から1つの接触ゾーン6または7から矢印8の方向における他の接触ゾーン7または6にモジュール1中を流れる電流をタップ接続させる接触ゾーン6または7が設けられる。したがって、接触ゾーン6は、モジュール1の陽極を形成し、接触ゾーン7は、陰極を形成する。
【0037】
各電池C1〜C4は、半導体層4および不透明な後部電極層5が、図2によれば除去されている複数の離隔された直線状部分領域9を有し、それにより部分領域9を透光性に構成している。透光性直線状部分領域9は、電流の流れ方向8に延在し、それぞれの場合において、電流の流れ方向8に垂直に等しく離隔される。個別の電池C1〜C4の透光性部分領域9は、互いに同一平面にある。
【0038】
したがって、モジュール1は、ネットカーテンに匹敵する入射光hvに対するモジュール1を通して見ることを可能にする部分透明度または半透明度を得る。
【0039】
2つの隣接電池C1〜C4の間の直接接続部Sは、図3によれば、前部電極3の中に半導体層4を充填した分離線11と、半導体層4の中に後部電極層5を充填した分離線12と、半導体層4および後部電極層5の除去によって形成される分離線13と、を有し、分離線13はまた、図1において認識可能であるのに対し、分離線11および12は、図1において破線によって示される。透光性部分領域9に垂直に延在する分離線13が同様に、透光性であり、それにより、モジュール1の部分透明度をさらに増大する。
【0040】
さらに、同様に電流の流れに平行な透光性部分領域9のほか、直接接続部Sの透光性分離線13も有するモジュール1の個別の陰極7の場合には、半導体層4の中に、直列接続部の後部電極層5の分離線13に対して鏡面反転されるさらなる分離線12’を形成することが必要である。半導体層4におけるこの追加分離線12’がない場合には、モジュール1は、陰極7を有さない。たとえば、電流の向きに平行に延在する透光性部分領域9による電気接触は、上記の陰極7を有する電池4に接する電池3の負の電位を有し、モジュール1の負の電位にタップ接続する別の可能性である。この場合には、技術的に信頼性の高い接触が、留意されるべきである。
【0041】
分離線13のすべてまたは一部もまた、透明度を犠牲にして省略されることができることは明白であり、その場合には、分離線12’も省略可能である。
【0042】
図4および図5によれば、透光性領域9および透光性分離線13を形成するために、剥離化合物14が、インクジェットプリンタ15を用いて、透明前部電極層3を備えた基体2の上に塗布される。
【0043】
この目的のために、インクジェットプリンタ15は、両矢印18の方向にテーブル17に沿って移動可能なキャリア16の上に配置されることができる。インクジェットプリンタ15はさらに、キャリア16に沿って、したがって、両矢印19の方向にテーブル17に垂直に移動されることができる。
【0044】
したがって、キャリア16に対するインクジェットプリンタ15のある位置の場合には、矢印18によれば、キャリア16を左に移動することによって、図5によれば、縦に並んで配置される同一平面上の線において、インクジェットプリンタを用いて剥離化合物14を前部電極層3に塗布することが可能であり、図1によるそれぞれの場合において電池C1〜C4上に互いに同一平面上の直線状部分領域9を形成することが可能である。
【0045】
他方、剥離化合物14は、矢印19に基づくキャリア16に沿ってインクジェットプリンタ15を移動することによって塗布され、垂直分離線13を形成する。
【0046】
剥離化合物14の塗布後に、半導体層4は、たとえば、PECVDによって塗布され、たとえば、スパッタリングによって後部電極層5が塗布され、図2aおよび図3aに示されている層構造を結果として生じ、剥離化合物14が、半導体層4および後部電極層5によって覆われる。たとえば、水中におけるモジュール1の浸漬によって、剥離化合物14および上記の剥離化合物の上に堆積された半導体層4および後部電極層5の領域は、除去されて、透光性部分領域9および透光性分離線13を形成する。
【0047】
図4によれば、インクジェットプリンタ15は、ノズル22の背後に帯電電極24によって静電的に帯電する圧電変換器21を有し、剥離化合物懸濁液が、ジェット23’によって示されるように、偏向電極25によって横方向に続いて偏向されることができる液滴23の形態で格納容器(図示せず)から供給される。
【0048】
したがって、図6aおよび図6bによれば、それぞれ2つの互いに重なるトラック25、26および距離d離隔される2つのトラック25、26において、前部電極層3に剥離化合物を塗布することが可能である。インクジェットプリンタ15は、連続プリンタとして構成され、すなわち、液滴23もまた、たとえば、基体の装填および取り外しのために、休止において形成される。この目的のために、液滴23は、偏向電極25を用いて、インクジェットプリンタ15の印字ヘッドにおける収集容器26に供給されることができ、そこから、格納容器(図示せず)に循環される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】後側から見た半透明太陽光電池モジュールの図である。
【図2】拡大図において図1の線II−IIに沿って切り取った断面図である。
【図2a】剥離化合物および半導体層およびその上に堆積される後部電極層の除去前の図2に対応する図である。
【図3】拡大図において図1の線III−IIIに沿って切り取った断面図である。
【図3a】剥離化合物および半導体層およびその上に堆積される後部電極層の除去前の図3に対応する図である。
【図4】前部電極層を備えた基体に剥離化合物を塗布するための装置の側面図である。
【図5】前部電極層を備えた基体に剥離化合物を塗布するための装置の縮小平面図である。
【図6a】インクジェットプリンタの前部電極に塗布されるそれぞれの場合における剥離化合物トラックである。
【図6b】インクジェットプリンタの前部電極に塗布されるそれぞれの場合における剥離化合物トラックである。
【符号の説明】
【0050】
1 太陽光電池モジュール
2 電気的絶縁透明基体
3 透明前部電極層
4 半導体層
5 不透明金属後部電極層
6 接触ゾーン
7 接触ゾーン
8 矢印
9 透光性直線状部分領域
11 分離線
12 追加分離線
13 透光性分離線
14 剥離化合物
15 インクジェットプリンタ
16 キャリア
17 テーブル
18 矢印
19 矢印
21 圧電変換器
22 ノズル
23 ジェット
24 帯電電極
25 偏向電極
26 収集容器
C1-C4 電池
C1-C4 隣接電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透明太陽光電池モジュール(1)を製造するための方法であって、
透明基体(2)が、透明前部電極層(3)、半導体層(4)および金属後部電極層(5)によってコーティングされ、その結果、前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)の部分領域(9)が、除去されて、透光性部分領域(9)を形成し、
前記前部電極層(3)を用いた前記基体(2)のコーティング後に、剥離化合物(14)が、インクジェットプリンタ(15)を用いて、前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)が除去されることになっている領域上の前記前部電極層(3)に塗布され、その結果、前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)が、前記剥離化合物(14)を備えた前記前部電極層(3)に堆積され、
次に前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)が、前記剥離化合物(14)の領域において前記前部電極層(3)から前記剥離化合物(14)と共に除去され、前記透光性部分領域(9)を形成する
ことを特徴とする、太陽光電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
1つの電池(C1〜C4)の前記後部電極層(5)と隣接する電池(C1〜C4)の前記前部電極層(3)の接触によって、直列接続される電池(C1〜C4)を備え、それにより、直列接続部(S)に関して、電流の流れ方向(8)に垂直に延在する分離線(13)が設けられ、その上で前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)が除去され、それにより、透光性部分領域を形成し、前記前部電極層(3)による前記基体(2)のコーティング後に、前記剥離化合物(14)が、前記分離線(13)が前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)において形成されることになっている領域で、前記インクジェットプリンタ(15)を用いて前記前部電極層(3)に塗布されることを特徴とする請求項1に記載の太陽光電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記剥離化合物(14)を形成するために、溶剤中の剥離化合物の分散または溶解が、前記インクジェットプリンタを用いて塗布され、次に乾燥されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記前部電極層(3)から前記剥離化合物(14)と共に、前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)の除去のために、前記モジュール(1)が、溶剤に曝露されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記剥離化合物(14)は、乾燥後に、前記半導体層(4)の層厚の範囲内である層厚を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体層(4)および前記後部電極層(5)が除去される前記部分領域(9)が、直線状の領域であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記直線状領域(9)が、前記半導体層における前記分離線(13)および前記直列接続部(S)の前記後部電極層(5)に垂直に形成されることを特徴とする請求項2および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
最初に、前記直接接続部(S)の前記分離線(13)用の前記剥離化合物(14)が、塗布され、次に、前記透光性領域(9)用の前記剥離化合物(14)が塗布されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記剥離化合物(14)の隣接するトラック(25、26)が、前記インクジェットプリンタ(15)を用いて塗布されることを特徴とする請求項2または6に記載の方法。
【請求項10】
電流の流れに平行な前記透光性部分領域(9)および直列接続部(S)の透光性分離線(13)を有する個別の電気陰極(7)の場合には、第2の分離線(12’)が、直列接続部(S)の前記後部電極層(5)の前記分離線(13)に平行かつ鏡面反転される前記半導体層(4)の中に形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記インクジェットプリンタ(15)と、前記前部電極層(3)によってコーティングされた前記基体(2)とが、互いに対して移動可能であるように配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の太陽光電池モジュールの製造装置。
【請求項12】
前記インクジェットプリンタ(15)が、少なくとも1方向(18)において移動可能であるキャリア(16)に固着されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1方向において移動可能であるスライドが、前記前部電極層(3)によってコーティングされる基体を収容するために設けられることを特徴とする請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記インクジェットプリンタ(15)は、印字ヘッドにおける不必要な剥離化合物の分散または溶解を収集し、それを格納容器に再循環する連続インクジェットプリンタであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記インクジェットプリンタ(15)は、静電的に帯電するための帯電電極(24)と、横方向に偏向するための偏向電極(25)と、ノズル(22)から出る前記剥離化合物の分散または溶解の液滴(23)と、を有することを特徴とする請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図3a】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公開番号】特開2009−152611(P2009−152611A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323022(P2008−323022)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(507399667)ショット・ゾーラー・ゲーエムベーハー (11)
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Solar GmbH
【Fターム(参考)】