説明

単一分子の検出のための組成物および方法

本発明は、親和性定数および速度定数を測定する工程を包含する、タンパク質およびタンパク質の他の分子との相互作用を検出するための組成物および方法に関する。本方法は、例えば、互いに識別可能であるフルオロフォアのような検出可能な標識で標識した二つ以上のタンパク質特異的プローブを使用する。そのプローブの標識タンパク質への結合は、同時シグナルとして検出され、従って複数のプローブの単一の標的タンパク質への結合は、サンプル中にそのタンパク質が存在することを示唆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、発明の名称「SINGLE MOLECULE ANALYSIS OF BIOLOGICAL COMPONENTS」であって、2004年3月19日に出願された米国仮特許出願番号第60/554,792号、発明の名称「METHODS FOR DETECTING AND QUANTIFYING MOLECULES IN A SAMPLE」であって、2004年3月22日に出願された米国仮特許出願番号第60/555,484号、および発明の名称「SINGLE MOLECULE PROTEOMICS AND PHOSPHOPROTEOMICS」であって、2004年4月30日に出願された米国仮特許出願番号第60/566,646号に基づく優先権を主張し、これらの出願の全ての全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、タンパク質(特に、その希少な種)のような単一分子の検出、およびこのような分子に関連する相互作用の測定に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
分子生物学および細胞生物学の研究は、細胞の微視的構造に集中している。細胞がその細胞の機能性を制御する複雑な微細構造を有することは、公知である。細胞の構造および機能に関連する多くの多様性は、種々の構成要素を、異なる細胞機構へと組み立てる細胞の能力に起因する。次に、細胞の細胞内容物は、細胞の転写制御および翻訳制御、ならびに細胞内容物の間の他の相互作用によって一部支配される。
【0004】
細胞内容物およびその相互作用をそれぞれ同定する能力は、細胞の機能(例えば、増殖および分化)の理解に不可欠であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より迅速であり、そして困難でない、タンパク質のような分子およびそれらの相互作用の検出、測定ならびに分析に対する必要性は、特にこのような分子が非常に低濃度である場合に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、タンパク質のような単一分子の分析(検出および測定が挙げられる)に、部分的に関連する。このような分子の改変はまた、本発明に従って分析され得る。これらの改変としては、タンパク質の翻訳後修飾(例えば、リン酸化およびグリコシル化)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの改変は、不活性なタンパク質を活性なタンパク質に変換し得(逆もまた同じ)、したがって本方法はまた、タンパク質の活性状態を評価するのに使用され得る。本発明はまた、マイクロRNA(miRNA)のような単一の核酸分子の分析(検出および測定が挙げられる)に、部分的に関連する。
本発明はさらに、タンパク質を含有する複合体または核酸を含有する複合体のような複合体の分析(検出および測定が挙げられる)に部分的に関連する。例えば、本発明の方法は、タンパク質間の相互作用、核酸間の相互作用、タンパク質と核酸との間の相互作用、他の構成要素を有するタンパク質間の相互作用、および他の構成要素を有する核酸間の相互作用を検出し得る。これらの分析は、1つの時点または種々の時点において行われ得、それによって時間経過を生じ得る。これらの分析はまた、他の構成要素の存在下または非存在下で行われ得、これらの構成要素としては、例えば、このような相互作用の候補アゴニストまたは候補アンタゴニストが挙げられる。本発明は、結合速度および結合親和性を決定するための方法を提供する。
【0007】
したがって、1つの局面において、本発明は、タンパク質を検出するための方法を提供し、この方法は、試料と、第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブとを接触させる工程、ならびに単一のタンパク質に対する第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブの両方の結合を同時シグナルとして検出する工程を包含する。第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブは、互いに区別可能な第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識によってそれぞれ標識され、そして単一のタンパク質に対するこの第1のタンパク質特異的プローブおよびこの第2のタンパク質特異的プローブの両方の結合は、このタンパク質が、この試料中に存在することを示す。この第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブは、好ましくは互いに異なり、したがって他方と異なる様式で、それぞれ、標的タンパク質を認識しかつ標的タンパク質に結合する。例えば、この第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブは、タンパク質の異なる領域(例えば、異なるドメイン、異なる2次構造など)に結合し得る。
1つの実施形態において、上記第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントであるが、それらはこれに限定されない。
なお別の実施形態において、本方法は、試料と第3の検出可能な標識によって標識された第3のタンパク質特異的プローブとを接触させる工程、ならびに第1のタンパク質特異的プローブ、第2のタンパク質特異的プローブおよび第3のタンパク質特異的プローブのタンパク質に対する結合を、同時シグナルとして検出する工程を包含する。
別の実施形態において、上記第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである。例として、この第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識は、それぞれ、Alexa488およびCy5である。この第3の検出可能な標識は、フルオロフォアであり得るが、これに限定されない。例として、この第3の検出可能な標識は、Cy3であり得る
1つの実施形態において、上記第2のタンパク質特異的プローブおよび/または上記第3のタンパク質特異的プローブは、タンパク質の改変(例えば、リン酸化されたアミノ酸残基が挙げられるが、これらに限定されない)に対して特異的であり得る。
本方法は、1つの時点または種々の時点において、上記第1のタンパク質特異的プローブおよび上記第2のタンパク質特異的プローブの結合(またはこの第1のタンパク質特異的プローブ、この第2のタンパク質特異的プローブおよび上記第3のタンパク質特異的プローブ)の結合を検出する工程を包含し得る。この種々の時点は、等間隔または無作為の間隔であり得る。
本方法は、別の分子の存在下で、第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブの結合(または第1のタンパク質特異的プローブ、第2のタンパク質特異的プローブおよび第3のタンパク質特異的プローブ)を検出する工程を、さらに包含し得る。この他の分子は、公知の分子であり得るが、これに限定されない。例えば、この他の分子は、標的タンパク質を改変するその能力、または、さらに他の分子によるタンパク質の改変を調節するその能力についてスクリーニングされる候補分子であり得る。これらの後者の実施形態において、本方法は、特定の活性を有する分子を同定するためのスクリーニング方法を包含し得る。
【0008】
本方法は、第1のタンパク質特異的プローブ、および第2のタンパク質特異的プローブの結合のレベルを、第1のタンパク質特異的プローブ、第2のタンパク質特異的プローブ、および第3のタンパク質特異的プローブの結合のレベルに対して比較する工程をさらに包含し得る。
【0009】
本方法は、1種より多いタンパク質を同時に検出するのに使用され得る。したがって、本方法は、試料と、第2のタンパク質に対して特異的なプローブの第2の対とを接触させることによって第2のタンパク質を検出する工程をさらに包含し得、この第2の対の各メンバーは、区別可能であって検出可能な標識によって標識される。同様に、本方法は、複数のタンパク質を検出するのに使用され得、したがって、試料と、複数のタンパク質の各メンバーに対する特異的プローブの対とを接触させることによってこの複数のタンパク質を検出する工程を包含し、対の各メンバーは、区別可能であって検出可能な標識によって標識される。
【0010】
1つの実施形態において、そのタンパク質は、1ng/ml未満の濃度で存在する。別の実施形態において、そのタンパク質は、30fM以下の濃度で存在する。なお別の実施形態において、そのタンパク質は、その試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する。
【0011】
1つの実施形態において、上記試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、または尿試料である。別の実施形態において、その試料は、ナノリットルの容量である。
【0012】
別の実施形態において、上記タンパク質を含む4次構造において、上記第1のタンパク質特異的プローブは、第1の鎖に対して特異的であり、そして上記第2のタンパク質特異的プローブは、第2の鎖に対して特異的である。なお別の実施形態において、この第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブは、このタンパク質上の、同一であるが繰り返されるエピトープに対して結合する。
【0013】
別の局面において、本発明は、マイクロRNA(miRNA)を検出するための方法を提供し、この方法は、試料と、第1のmiRNA特異的プローブおよび第2のmiRNA特異的プローブとを接触させる工程、ならびに単一のmiRNAに対するこの第1のmiRNA特異的プローブおよび第2のmiRNA特異的プローブの両方の結合を同時シグナルとして検出する工程を包含する。この第1のmiRNA特異的プローブおよび第2のmiRNA特異的プローブは、互いに区別可能な第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識によってそれぞれ標識され、そして単一のmiRNAに対するこの第1のmiRNA特異的プローブおよびこの第2のmiRNA特異的プローブの両方の結合は、miRNAが、その試料中に存在することを示す。
【0014】
1つの実施形態において、第1のmiRNA特異的プローブおよび第2のmiRNA特異的プローブは、核酸である。別の実施形態において、このmiRNA特異的プローブは、配列特異的プローブである。
【0015】
1つの実施形態において、第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである。この第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識は、それぞれ、Alexa488およびCy5であり得るが、検出可能な標識が互いに区別可能である限り、それらに限定されない。
【0016】
1つの実施形態において、本方法は、試料と、第2のmiRNAに対して特異的であるプローブの第2の対とを接触させることによってこの第2のmiRNAを検出する工程をさらに包含し、このプローブの第2の対は、区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識される。複数のmiRNAもまた、試料と複数のプローブ対とを接触させることによって複数のmiRNAを検出する工程で検出され得、この複数のプローブ対は、この複数のmiRNAのメンバーに対して特異的であり、そして各対の各メンバーは、区別可能であって検出可能な標識によって標識される。
【0017】
1つの実施形態において、miRNAは、1ng/ml未満の濃度で存在する。別の実施形態において、miRNAは、30fM以下の濃度で存在する。なお別の実施形態において、miRNAは、その試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する。その試料は、ナノリットルの容量であり得る。
【0018】
なお別の局面において、本発明は、1種より多くの構成要素を含む複合体を検出するための方法を提供し、この方法は、試料と、第1の構成要素特異的プローブおよび第2の構成要素特異的プローブとを接触させる工程、ならびに単一の複合体に対するこの第1の構成要素特異的プローブおよびこの第2の構成要素特異的プローブの両方の結合を、同時シグナルとして検出する工程を包含する。この第1の構成要素特異的プローブおよびこの第2の構成要素特異的プローブは、互いに区別可能な第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識によってそれぞれ標識され、そして単一の複合体に対するこの第1の構成要素特異的プローブおよびこの第2の構成要素特異的プローブの両方の結合は、この複合体が、この試料中に存在することを示す。
【0019】
1つの実施形態において、この第1の構成要素は、タンパク質であり、そしてこの第2の構成要素は、核酸である。関連する実施形態において、この第1の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントであり、そしてこの第2の構成要素特異的プローブは、核酸である。
【0020】
別の実施形態において、この第1の構成要素およびこの第2の構成要素は、両方ともタンパク質である。関連する実施形態において、この第1の構成要素特異的プローブおよびこの第2の構成要素特異的プローブは、両方とも抗体または抗体フラグメントである。
【0021】
なお別の実施形態において、その第1の構成要素およびその第2の構成要素は、両方とも核酸であり、そして関連する実施形態において、この第1の構成要素特異的プローブおよびこの第2の構成要素特異的プローブは、両方とも核酸である。
【0022】
さらに別の実施形態において、この第1の構成要素は、酵素であり、そしてこの第2の構成要素は、基質である。なお別の実施形態において、この第1の構成要素は、公知の分子であり、そしてこの第2の構成要素は、この第1の構成要素の推定上の結合パートナーである。
【0023】
種々の実施形態において、この第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである。例えば、この第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識は、それぞれAlexa488およびCy5である。
【0024】
1つの実施形態において、本方法は、試料と、第3の検出可能な標識によって標識される第3の構成要素特異的プローブとを接触させる工程、およびこの第1の構成要素特異的プローブ、この第2の構成要素特異的プローブおよびこの第3の構成要素特異的プローブの結合を、同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する。この第3の検出可能な標識は、フルオロフォアであり得るが、これに限定されない。
【0025】
別の実施形態において、本方法は、試料と、複数の構成要素特異的プローブとを接触させる工程であって、この複数の構成要素特異的プローブの各々は、この複合体中の別個の構成要素に対して特異的であり、かつ区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識される、工程、およびこの複数の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含し得る。
【0026】
別の局面において、本発明は、1種より多くの構成要素を含む複合体を検出するための方法であって、この方法は、第1の検出可能な標識によって標識された第1の構成要素特異的プローブを、この第1の検出可能な標識と区別可能である第2の検出可能な標識によって標識された第2の構成要素を含有する試料に接触させる工程、およびこの第2の構成要素を含有する複合体に対するこの第1の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程を包含し、同時シグナルは、この複合体が、この試料中に存在することを示す方法を提供する。
【0027】
1つの実施形態において、この第2の構成要素は、内因的に標識される。別の実施形態において、この第2の構成要素は、この第2の検出可能な標識で標識される第2の構成要素特異的プローブによって標識される。
【0028】
上記実施形態に依存して、この第1の構成要素は、タンパク質であり得、そしてこの第2の構成要素は、核酸あり得るか、またはこの第1の構成要素およびこの第2の構成要素は、両方ともタンパク質であってもよく、またはこの第1の構成要素およびこの第2の構成要素は、両方とも核酸であってもよい
上記実施形態に依存して、この第1の構成要素特異的プローブは、抗体もしくは抗体フラグメントまたは核酸であり得、そしてこの第2の構成要素特異的プローブは、抗体もしくは抗体フラグメントまたは核酸であり得る。他の実施形態において、この第1の構成要素は、酵素であり、そしてこの第2の構成要素は、基質である。さらに別の実施形態において、この第1の構成要素は、公知の分子であり、そしてこの第2の構成要素は、この第1の構成要素の推定上の結合パートナー(または、逆もまた同じ)である。
【0029】
1つの実施形態において、この第1の構成要素および第2の構成要素は、区別可能なフルオロフォア(例えば、Alexa488およびCy5であるが、これらに限定されない)によって標識される。
【0030】
なお別の実施形態において、本方法は、試料と、第3の検出可能な標識によって標識される第3の構成要素特異的プローブとを接触させる工程、およびその複合体に対するこの第1の構成要素特異的プローブおよび第3の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する。この第3の検出可能な標識は、フルオロフォアであり得るが、これに限定されない。
【0031】
別の実施形態において、本方法は、試料と、複数の構成要素特異的プローブとを接触させる工程であって、この複数の構成要素特異的プローブの各々は、その複合体中の別個の構成要素に対して特異的であり、かつ区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識される、工程、およびこの複数の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する。
【0032】
なお別の局面において、本発明は、1種より多くの構成要素を含む複合体を検出するための方法であって、この方法は、第1の検出可能な標識によって標識された第1の構成要素と、この第1の検出可能な標識と区別可能である第2の検出可能な標識によって標識された第2の構成要素とを接触させる工程、およびこの第2の構成要素に対するこの第1の構成要素の結合を同時シグナルとして検出する工程を包含し、同時シグナルは、この複合体が、存在することを示す方法を提供する。
【0033】
1つの実施形態において、その第1の構成要素は、第1の検出可能な標識によって内因的に標識される。別の実施形態において、その第2の構成要素は、第2の検出可能な標識によって内因的に標識される。なお別の実施形態において、その第1の構成要素は、その第1の検出可能な標識で標識される第1の構成要素特異的プローブによって標識される。いくつかの実施形態において、この第2の構成要素は、この第2の検出可能な標識で標識される第2の構成要素特異的プローブによって標識される。
【0034】
上記実施形態に依存して、この第1の構成要素および第2の構成要素は、両方とも核酸であるか、またはそれらは、両方ともタンパク質であるか、この第1の構成要素は、タンパク質であり、そしてその第2の構成要素は、核酸である。
【0035】
1つの実施形態において、この第1の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである。別の実施形態において、この第2の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである。
【0036】
別の実施形態において、この第1の構成要素特異的プローブは、核酸である。さらに別の実施形態において、この第2の構成要素特異的プローブは、核酸である。
【0037】
さらに別の実施形態において、この第1の構成要素は、酵素であり、そしてこの第2の構成要素は、基質である。別の実施形態において、この第1の構成要素は、公知の分子であり、そしてこの第2の構成要素は、この第1の構成要素の推定上の結合パートナーである。
【0038】
この第1の検出可能な標識およびこの第2の検出可能な標識は、Alexa488およびCy5のようなフルオロフォアであり得るが、これらに限定されない。
【0039】
1つの実施形態において、この第2の構成要素に対するこの第1の構成要素の結合は、別の分子の存在下で測定される。この第2の構成要素に対するこの第1の構成要素の結合は、1つの時点または種々の時点において測定され得る。
【0040】
1つの実施形態において、本方法は、第3の検出可能な標識によって標識された第3の構成要素をこの第1の構成要素およびこの第2の構成要素に接触させる工程、ならびにこの第1の構成要素、この第2の構成要素およびこの第3の構成要素の結合を、同時シグナルとして検出する工程をさらに包含し、同時シグナルは3つの構成要素の複合体が存在することを示す。この第3の検出可能な標識は、フルオロフォアであり得るが、これに限定されない。
【0041】
本方法は、それぞれ標識された複数の構成要素を区別可能であって検出可能な標識に接触させる工程、およびこの複数の構成要素の1つ以上の結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含し得る。
【0042】
本発明のこの局面および他の局面において、この複合体は、1ng/ml未満の濃度で存在するか、または30fM以下の濃度で存在する。同様に、その複合体はまた、その試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在し得る。この試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、または尿試料であり得るが、これらに限定されない。この試料は、ナノリットルの容量であり得る。これらの方法は、単一分子検出システムまたは単一分子分析システムを使用して行われ得る。
【0043】
本発明の限定の各々は、本発明の種々の実施形態を包含し得る。したがって、要素のいずれか1つまたは要素の組み合わせに関連する本発明の限定の各々が、本発明の各局面に包含され得ることが、予想される。本発明は、以下の記載に示されるか、もしくは図面において例示される構成要素の構造および/または配置の詳細に対するその適用に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり得、そして種々の手段で実施され得るかまたは実行され得る。
【0044】
図は、単なる例示であり、そして本発明が実施可能であるために必要とされない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(発明の詳細な説明)
本発明は、単一分子の検出のための方法を提供する。本発明は、単一分子を検出し得、この単一分子としては、単一のタンパク質、単一の核酸(例えば、miRNAまたはsiRNA)、ならびにタンパク質および核酸のいずれかまたは両方を潜在的に含む単一の複合体が挙げられる。本発明は、このような単一の分子における変化をさらに分析し得、この変化としては、リン酸化事象および脱リン酸化事象、ならびに会合事象または解離事象が挙げられる。この際に、本発明は、単一分子の状態(例えば、タンパク質の活性状態または不活性状態)を決定するための方法を提供し、別の分子に対する分子の親和性定数および結合定数(例えば、別のタンパク質または別の核酸に対するタンパク質の結合親和性)、その反応速度などを決定するための方法を提供する。本発明はまた、上記の現象のいずれかを妨害するかまたは促進する因子を同定し、そして単離するためのスクリーニング方法に使用され得る。
【0046】
本明細書中で提供される方法は、分析されるタンパク質または分析される複合体の個々の構成要素に対して特異的な検出可能な標識の、時間的な同時検出に基づいて、単一分子または単一の複合体を検出する能力を包含する。本明細書中で使用される場合、同時検出とは、所定の時間において1種より多い検出可能な標識からの放出シグナルの検出をいう。一般的に、この時間は短く、単一分子を分析するのに必要な時間に近似する。図面および実施例に示されるように、この時間は、ミリ秒の桁であり得る。また図面に示されるように、同時検出は、放出シグナルとして明らかとなり、この放出シグナルは、時間の関数として重複する。所定の時間枠中の放出シグナルの共存は、それぞれ独立かつ区別可能に標識された2つの相互作用しない分子が、同時に呼掛け(interrogation)スポットに存在することを示し得る。例としては、呼掛けスポットにおいて、非結合性であるが、検出可能かつ区別可能に標識された2つのプローブが同時に存在することが挙げられる。しかし、このスポットの量は、非常に小さい(そして対応する分析時間が非常に短い)ので、この事象の確からしさは小さい。むしろ、2つのプローブが同時に呼掛けスポットに存在する場合、このことは、そのスポットを通過する単一分子に対する両方のプローブの結合に起因するようである。
【0047】
本発明の同時検出方法は、1つより多い放出シグナルを同時に検出することに関する。同時的な多くの放出シグナルは、多くの区別可能であって検出可能である利用可能な標識、多くの利用可能なプローブ、多くの検出される構成要素、使用される検出システムの性質などに依存する。一般的に、少なくとも2の放出シグナルが、検出される。いくつかの実施形態において、3つの放出シグナルが、検出される。しかし、本発明は、それらに限定されない。したがって、複数の構成要素は、単一の分析において検出され、4、5、6、7、8、9、10、25、50、100、500、1000またはそれ以上の放出シグナルが、同時に検出され得る。
【0048】
同時結合とは、単一分子または単一の複合体に対する2つ以上のプローブの結合をいう。2つ以上のプローブの同時結合は、目的の分子または複合体の指標として使用される。同時結合は、多くの形態を採り得、この形態としては、同時発色事象が挙げられるが、これに限定されず、それによって第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識に対応する2つの色が検出される。同時結合はまた、FRETドナーフルオロフォアである第1の検出可能な標識およびFRETアクセプターフルオロフォアである第2の検出可能な標識の近接した結合として明らかとなり得る。この後者の実施形態において、正のシグナルは、FRETドナーフルオロフォアのレーザーによる励起に対する、FRETアクセプターフルオロフォアからのシグナルである。
【0049】
同時検出分析は、非常に低い濃度で単一分子を検出し得る。例えば、本明細書中で議論されるように、低いフェムトモル濃度のタンパク質および他の単一分子は、2つまたは3つの放出シグナルのアプローチを使用して検出され得る。さらに、この分析は、4桁の規模より大きいダイナミックレンジを実証する。2放出シグナルのアプローチはまた、1ng/ml以下のレベルで単一分子(例えば、単一のタンパク質)を検出し得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、タンパク質は、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸モノマー(または残基)からなるポリマーである。したがって、タンパク質は、ペプチドを包含する。タンパク質はまた、天然に存在するタンパク質もしくは天然に存在しないタンパク質の、フラグメントまたは領域(例えば、ドメイン)を包含する。アミノ酸モノマーは、天然に存在するアミノ酸もしくは天然に存在しないアミノ酸であり得る。検出されるべきタンパク質は、本明細書中で「標的」タンパク質と称される。
【0051】
本適用に依存して、このタンパク質は、検出可能な標識によって内因的に(例えば、合成の間に直接標識したアミノ酸を使用して)標識され得る。内因的に標識された分子は、検出されるために別個のプローブを必要としない。むしろ、内因的な標識は、この分子を検出可能にするのに十分である。代替的に、そしてより一般的に、このタンパク質は、このタンパク質に対する特異的プローブの結合によって標識される(すなわち、タンパク質は、外因的に標識される)。このプローブは、配列特異的プローブまたは構造特異的プローブであり得、この配列または構造は、そのタンパク質に対して十分に固有のプローブによって認識されそして結合される。
【0052】
したがって、上記プローブは、標的タンパク質の1次構造、2次構造、または3次構造を認識し得る。タンパク質の1次構造は、アミノ酸の直線的な配列である。タンパク質の2次構造は、互いに近付けられる離れたアミノ酸を生じる種々のコンフォメーションへの、ペプチド「骨格」鎖の折り畳みをいう。2次構造の例としては、αへリックス、βプリーツシート、ランダムコイルが挙げられる。タンパク質の3次構造は、その全体的な3次元の構造である。タンパク質の4次構造は、1つ以上の他の高分子(例えば、他のタンパク質)との非共有結合性の相互作用によって形成される構造である。4次構造の例は、ヘモグロビンをなす4つのグロビンタンパク質サブユニットによって形成される構造である。本発明のプローブは、上述の構造のいずれかに対して特異的であり得る。4次構造はまた、本明細書中に記載されるように、複合体として認識され得る。
【0053】
上記プローブは、それ自体がタンパク質であり得るが、これに限定されない。適切なタンパク質特異的プローブの例としては、抗体および抗体フラグメント、核酸(例えば、タンパク質標的を認識するアプタマー)、タンパク質の基質(好ましくは触媒不可能である)などが挙げられる。抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が挙げられ、そしてさらに、IgG、IgA、IgM、IgE、IgDならびに抗体改変体(例えば、単鎖抗体)が挙げられる。抗体フラグメントは、少なくとも抗原結合部位を含み、したがって、これとしては、FabフラグメントおよびF(ab)フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書中で提供される方法は、特定の様式で標的分子に結合するプローブの使用を包含する。本明細書中で使用される場合、特異的結合は、このプローブが、他の分子に結合する場合よりも大きい親和性でこの標的に結合することを意味する。このプローブは、他の分子に結合し得るが、好ましくはこのような結合は、背景強度においてか、または背景強度付近で結合し得る。目的のタンパク質に対するプローブの親和性は、他の分子に対する親和性の、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、またはそれ以上であり得る。最も大きい差次的な親和性を有するプローブは、ほとんどの実施形態において好ましいが、それらは、標的に対する最も大きい親和性を有するプローブではあり得ない。
【0055】
したがって、単一のタンパク質は、一般的には、そのタンパク質に特異的な少なくとも2つのプローブ(すなわち、本明細書中で議論されるようなタンパク質特異的プローブ)を使用して検出される。2つのプローブは、一般的に、十分な数であるが、より多い数が本適用に応じて使用され得る。試料は、そのタンパク質が存在する場合に、このタンパク質に対するこのプローブの結合を可能にする時間および条件下で、2つ以上のタンパク質特異的プローブとそのタンパク質を接触させることによってタンパク質の存在について試験され得る。両方のプローブの過剰な量は、全ての結合部位が占められることを確実にするために使用され得る。好ましくはこのプローブは、それらがこのタンパク質の異なる領域に結合し、したがってこのタンパク質に対する結合に関して互いに競合し得ないように選択される。このプローブはまた区別可能であって検出可能な標識(すなわち、その第1のプローブ上の検出可能な標識は、その第2のプローブ上の検出可能な標識とは異なる)によって標識される。一旦、このプローブが、(タンパク質が試料中に存在する場合)このタンパク質に結合可能にされると、この試料は、同時放出シグナルについて分析される。例えば、両方のプローブによって結合されたタンパク質は、この結合したプローブからの重複する放出シグナルとして明らかとなる。これは、単一分子検出システムまたは単一分子分析システムを使用して達成され得る。単一分子検出システムまたは単一分子分析システムは、個々の分子を検出および分析し得るシステムである
本方法は、希少または少ないサンプル(例えば、ナノリットルの容量の試料)またはタンパク質濃度が低い試料中のタンパク質を検出するのに特に適している。本発明は、1種より多い異なるタンパク質、および好ましくは数種の異なるタンパク質が同時に検出されることを可能にし、それによって試料を温存する。言い換えると、本方法は、高度な多重化が可能である。例えば、多重化の程度は、2(すなわち、1回の分析で2種類のタンパク質が検出され得る)、3、4、5、6、7、8、9、10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、またはそれ以上であり得る。各タンパク質は、そのプローブ対の各メンバーがこのタンパク質に対して特異的である特定のプローブ対を使用して検出され、そして分析に使用される各プローブは、区別可能な標識によって標識される。したがって、複数のタンパク質は、検出され、そして分析され得る。本明細書中で使用される場合、複数は、2つより大きいが、無限より小さい量である。複数は、ときとして、100万より小さいか、1000より小さいか、または100より小さい。
【0056】
実施例は、タンパク質特異的プローブとして抗体を使用するサンドイッチイムノアッセイを使用してそのタンパク質レベルを検出する能力を実証する。2つの抗体が使用され、これらの抗体の各々は、フルオロフォアによって標識される。このアッセイは、例えば、血漿試料中の希少な存在量のタンパク質マーカーを検出するのに十分なレベルである、1ng/mLより少ない抗原に対して感受性である。実施例は、ポリクローナル抗体を使用するインターロイキン6(IL−6)の検出を実証する。ポリクローナル抗体は、本発明のこの局面および他の局面に使用され得る。なぜなら、本発明は、実質的に任意の分子に対するポリクローナル抗体を産生可能である必要があるからである。ポリクローナル抗体は、特定の分子に対して指向される抗体の不均質な混合物である。この混合物中の各抗体は、その標的分子上の異なるエピトープを認識し得る。
【0057】
実施例はまた、Akt1の検出を実証する。Akt1は、3つのドメインを有し、これらのドメインは、プレクストリン(plekstrin)相同性(PH)ドメイン、触媒(Cat)ドメインおよび調節(Reg)ドメインである。PHドメインおよびRegドメインに対する抗体は、Akt1を検出するのに使用された。
【0058】
本発明の別の局面において、上記標的は、複数の位置にてその標的分子に結合し得るプローブを使用して検出され、それによってこのシステムにおけるシグナル増幅、およびランダムノイズからの区別を可能にする。図8〜図11に示される通り、複数のプローブ(例えば、抗体(またはそのフラグメント))の凝集を介して標的タンパク質または標的核酸の存在を検出することが可能である。プローブに対する標的の比が1である場合、抗原が検出される可能性はより少なくなる。しかし、所定の標的分子に結合されるプローブの数を増加させることによって、その複合体によって放出される全ての増加したシグナルに起因して、この標的を検出する可能性は、より大きくなる。
【0059】
特異的プローブが目的のタンパク質に利用可能である限り、本発明は、検出され得るタンパク質に限定されない。検出され得るタンパク質としては、臨床的に重要なタンパク質(例えば、尿または血液(血漿および血清を含む)のような臨床的試料中に通常検出されるタンパク質)が挙げられる。これらとしては、標準的な診断プロトコル(例えば、Harrison’s Principles of Experimental Medicine、第13版,McGraw−Hill,Inc.,N.Y.に列挙されるプロトコル)に使用される成長因子およびサイトカイン、ホルモン、組織から漏出するタンパク質、ならびに古典的な血漿タンパク質が挙げられる。検出されるべきタンパク質としてはまた、法医学的な有用性を有するタンパク質(例えば、HLAマーカーおよびそれらに対して指向される抗体、ABO式血液型およびそれらに対して指向される抗体、ホスホグルコムターゼ(PGM 2−1)、赤血球酸性ホスファターゼ(EAP)、エステラーゼD(EsD)、アデニルキナーゼ(AK)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6−PGD)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G−6−PD)ならびにトランスフェリン(Tf))が挙げられる。実質的に、特異的プローブによって検出され得る多型性を有する任意のタンパク質は、本発明の法医学的方法における標的であり得る。検出されるべき他のタンパク質としては、シグナル伝達タンパク質(例えば、レセプターキナーゼ、アダプター分子など)、転写因子、発育メディエーター(developmental mediator)、ヒストンおよびヒストン修飾酵素(例えば、デアセチラーゼ)、ホスファターゼ、脂質修飾酵素などが挙げられる。
【0060】
本明細書中に記載されるように時間または条件の関数として、タンパク質の存在、非存在、およびレベルを測定することもまた可能である。
【0061】
本発明は、試料中のタンパク質の相対濃度または絶対量を決定するのに使用され得る。この相対濃度または相対量は、タンパク質に対して同時に結合されるプローブからの同時シグナルの量を測定することによって決定される。この同時シグナルのレベルは、その試験溶液が絶対的な定量化のために分析される前か、またはそれと同時に、作成される標準検量線と比較され得る。この標準検量線は、既知のタンパク質濃度(x軸)に対する関数としてのシグナル強度(y軸)のプロットである。当業者は、このような曲線の作成に精通している。同様のアプローチは、他の分子(例えば、miRNAまたはsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない)の濃度を決定するのに使用され得る。
【0062】
上記プローブは、目的のタンパク質の任意の領域に対して特異的であり得る。いくつかの実施形態において、このプローブは、タンパク質の改変に対して特異的である。タンパク質の改変としては、翻訳後修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、アセチル化など)が挙げられる。検出され得る改変の型に対する唯一の制限は、それぞれに対する特異的プローブの利用能である。
【0063】
リン酸化の場合において、プローブは、特定のタンパク質上のリン酸化残基を認識し得る。このタンパク質が、リン酸化形態および脱リン酸化形態で存在する場合、このプローブ(単独で使用される場合)は、タンパク質のサブセットのみを認識する。しかし、そのリン酸化に特異的なプローブと、そのタンパク質の他の領域を認識する他のプローブとを組み合わせることによって、リン酸化されるタンパク質の割合を決定することが可能である。時間経過としてこの分析を行うことによって、リン酸化形態または脱リン酸化形態への変換速度を研究することが、さらに可能である。
【0064】
実施例は、例として、Akt1を使用して、タンパク質のリン酸化を検出する能力を例示する。Ser/ThrキナーゼAkt1は、残基Ser473にてリン酸化される。抗体は、Ser473がリン酸化される場合(すなわち、pSer473)、Ser473を特異的に認識し、そしてこれに特異的に結合し得る。このAkt1のリン酸化形態が、活性であるのに対して、その脱リン酸化形態は、不活性である。これらの実施例において、このリン酸化形態は、上記PHドメインに対する1つの抗体プローブ、上記C末端(またはReg)ドメインに対する1つの抗体プローブ、およびpSer473に対する1つの抗体を使用して検出される。赤色シグナル、緑色シグナルおよび青色シグナルの同時検出は、Akt1のリン酸化形態、したがってAkt1の活性形態を示す。pSer473特異的抗体の結合は、そのC末端抗体の結合を干渉しない。したがって、全てのAkt1は、Akt1の活性種および不活性種の両方が、そのタンパク質がリン酸化されるか否かにかかわらずそのPH抗体およびC末端抗体に結合することに起因して、赤色−緑色の同時発生の総数によって示される。
【0065】
単一分子検出は、生物学的修飾因子(例えば、キナーゼおよびホスファターゼのインヒビターならびに標的)の発見および特徴付けに対して、迅速かつ定量的な方法を提供する。Akt1の実施例において、リン酸化Akt1の存在は、1種以上の他の分子の存在下、非存在下または濃度変化の下で決定され得る。これらのスクリーニングアッセイは専らAkt1に対する効果に限定されないことが、理解されるべきである。むしろ、それらは、適切な特異的プローブが利用可能である限り、リン酸化され得る任意のタンパク質に適合され得る。
【0066】
種々の改変に対して特異的な抗体は、商業的な供給源(例えば、Sigma,Pharmingenなど)から入手でき、またはこれらの抗体は、当該分野において公知である技術によって合成され得る。
【0067】
本発明の方法はまた、複合体の存在、複合体の形成、複合体の解離、および複合体の含量を分析するために使用され得る。本明細書中で使用される場合、複合体は、互いに対してイオン的または非イオン的に結合された2種以上の構成要素である。本明細書中で使用される場合、複合体中の各メンバーは、構成要素と称される。この構成要素は、互いに同一であっても異なっていてもよい。この構成要素は、タンパク質、核酸、化合物などであり得る。複合体の例としては、タンパク質−タンパク質複合体、タンパク質−核酸複合体、核酸−核酸複合体、酵素−基質複合体などが挙げられる。複合体は、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはそれ以上の構成要素を有し得る。
【0068】
複合体は、その複合体の各構成要素に対して特異的なプローブを使用し、そしてこのようなプローブからの同時シグナルを検出することで検出される。したがって、2つの構成要素の複合体は、各構成要素に対して1つである2つのプローブからの同時シグナルによって検出される。同様に、3つの構成要素の複合体は、各構成要素に対して1つである3つのプローブからの同時シグナルによって検出される。この目的のために使用されるプローブは、構成要素特異的プローブといわれる。したがって、複合体の第1の構成要素を認識するプローブは、第1の構成要素特異的プローブといわれる。同様に、複合体の第2の構成要素を認識するプローブは、第2の構成要素特異的プローブといわれる。
【0069】
その実施形態に依存して、この構成要素は、検出可能な標識によって内因的に標識され得、それによって特定の構成要素を検出するためのさらなるプローブに対する必要性を回避する。例えば、分析される複合体がタンパク質−核酸複合体である場合、核酸合成の間にその構造中に組み込まれた検出可能な標識を有する核酸を使用することが、可能である。同様に、タンパク質は、その合成中に検出可能に標識されたアミノ酸残基を使用する検出可能な標識を内因的に含み得る。これらの構成要素は、複合体の形成に対する他の分子の影響を分析する場合(例えば、複合体に対するインヒビターのスクリーニング)に、より適切であり得る。
【0070】
実施例は、転写因子およびそれらの核酸標的の複合体の検出を実証する。これらの実施例において、この核酸は、2本鎖であり、そしてCy5フルオロフォアによって標識されている。このタンパク質は、初期増殖応答因子(Early Growth Response Protein)Egr−1の、ジンクフィンガー核酸が結合するドメインであり、そしてこのタンパク質は、BODIPY−F1によって標識されている。時間的に同時のCy5シグナルおよびBODIPYシグナルの出現および消失を介する、形成および解離の時間の関数としての分析は、会合速度、解離速度、したがってその構成要素の互いに対する親和性に関する情報を与え、そして最終的にその複合体の安定性に関する情報を与える。このような方法に使用されるデータ分析は、当該分野において標準的である。
【0071】
本明細書中で言及されるように、複合体の形成および安定性に対する他の分子の効果を研究することが、可能である。これらの他の化合物としては、複合体の形成に関する、推定上のアゴニストまたはアンタゴニストが挙げられる。このような化合物は、天然に存在する化合物および/または天然に存在しない化合物を含むライブラリーに由来し得る。本発明は、目的の複合体に対するこれらのライブラリーメンバーのそれぞれの効果を検出する高感度な方法を提供する。
【0072】
本発明はまた、既知の構成要素に対して特定の親和性を有する化合物を同定するために使用され得る。これらの実施形態において、複合体の1つの構成要素は、既知であり、そしてその目的は、その構成要素に結合する化合物を同定し、かつ単離することである。後者の化合物は、本明細書中で、その既知の構成要素の「結合パートナー」といわれる。その推定上の結合パートナーは、上記されるようなライブラリー中にあり得る。しかし、この実施形態において、そのライブラリーメンバーは、その既知の構成要素との接触前に、(同一の標識によって)検出可能に標識され得る。その既知の化合物は、同じアッセイに使用される他の標識とは異なる検出可能な標識によって標識される。検出可能に標識された既知の構成要素およびライブラリーメンバーからの同時シグナルは、そのライブラリーメンバーがその既知の構成要素に対して特定の結合親和性を有することを示す。例えば、親和性の程度は、環境の調節(例えば、塩濃度、pH、および温度の増加または減少)によって、さらに分析され得る。
【0073】
用語「核酸」は、本明細書中で、複数のヌクレオチド(すなわち、置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)またはウラシル(U))または置換プリン(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))のいずれかである、交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含有する分子)を意味するために使用される。本明細書中で使用される場合、この用語は、オリゴリボヌクレオチドならびにオリゴデオキシリボヌクレチドをいう。この用語はまた、ポリヌクレオシド(すなわち、リン酸を除いたポリヌクレオチド)、およびポリマーを含む任意の他の有機塩基を包含する。核酸は、既存の核酸の供給源(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)から得られても、合成的手段(例えば、核酸合成によって生成される)によって得られてもよい。
【0074】
核酸に関する文脈において使用される場合、「配列特異的」プローブは、ヌクレオチドまたはその誘導体の、特定の直線的な(または準直線的な)配列を認識するプローブを意味する。好ましい実施形態において、このプローブは、それ自体が核酸要素(例えば、DNA要素、RNA要素、PNA要素およびLNA要素ならびにそれらの組み合わせ)(以下で議論されるような)からなる。好ましい実施形態において、この直線的な配列は、そのプローブ中の対応する相補的ヌクレオチドにそれぞれ結合する、連続したヌクレオチドまたはその誘導体を含む。しかし、いくつかの実施形態において、この配列は、そのプローブ上の対応する相補的残基を有さない1つ、2つ、またはそれ以上のヌクレオチドが存在し得るように、連続的ではあり得ない。
【0075】
構造的特異性または配列特異性によって核酸を認識し得る任意の分子が、使用され得る。ほとんどの場合において、このようなプローブは、少なくともその核酸標的とワトソン−クリック結合を形成する。他の場合において、その核酸プローブは、核酸標的とフーグスティーン(Hoogsteen)結合を形成し、それによって3重鎖を形成し得る。フーグスティーン結合によって結合する核酸プローブは、核酸標的の主溝に進入し、そしてそこに位置する塩基とハイブリダイズする。これらの後者のプローブの例としては、核酸の副溝および主溝を認識し、そしてそこに結合する分子(例えば、抗生物質のいくつかの形態)が挙げられる。いくつかの実施形態において、この核酸プローブは、その核酸標的と、ワトソン−クリック結合およびフーグスティーン結合の両方を形成し得る。例えば、ビスPNAプローブは、核酸に対するワトソン−クリック結合およびフーグスティーン結合の両方が可能である。
【0076】
核酸プローブの長さはまた、結合の特異性を決定し得る。そのプローブとその核酸標的との間の単一ミスマッチのエネルギーコストは、より長い配列に対してより、より短い配列に対してのほうが、相対的に高い。したがって、より小さい核酸プローブのハイブリダイゼーションは、より長い核酸プローブのハイブリダイゼーションより特異的である。なぜなら、そのより長いプローブは、ミスマッチを含み、そしてその条件に依存して、さらにその核酸に結合し続け得るからである。しかし、より短いプローブの使用に対する1つの潜在的な制限は、所定の温度および塩濃度におけるそれらの本質的な、より低い安定性である。この後者の制限を回避するために、ビスPNAプローブは、十分なハイブリッド安定性を伴って、より短い配列を結合するために使用され得る。
【0077】
これらの但し書きにもかかわらず、核酸プローブは、少なくとも4ヌクレオチド〜1000ヌクレオチドを超える範囲の任意の長さであり得る。好ましい実施形態において、このプローブは、5〜100ヌクレオチド長であり、より好ましくは5〜25ヌクレオチド長の間であり、そしてさらにより好ましくは5〜12ヌクレオチド長である。あらゆる長さが本明細書中に明確に列挙されたものとして、このプローブの長さは、ヌクレオチド間の任意の長さであり得、本明細書中に列挙される範囲が挙げられる。したがって、この長さは、少なくとも5ヌクレオチド長,少なくとも10ヌクレオチド長,少なくとも15ヌクレオチド長,少なくとも20ヌクレオチド長、もしくは少なくとも25ヌクレオチド長であっても、それ以上の長さであってもよい。このプローブの全てとは限らない残基がその核酸標的中の相補的残基に対してハイブリダイズする必要があることが、理解されるべきである。例えば、このプローブは、その核酸標的にハイブリダイズする残基の、50残基長であり得、さらに25残基長のみの長さであり得る。好ましくは、ハイブリダイズする残基は、互いに連続的である。
【0078】
この核酸プローブは、好ましくは1本鎖であるが、そのプローブはこれに限定されない。例えば、このプローブがビスPNAである場合、そのプローブは、その核酸標的を伴う2次構造を採り得、3重へリックスのコンフォメーションを生じ、このコンフォメーションは、そのポリマーの骨格とフーグスティーン結合を形成するビスPNAクランプの1つの領域およびその標的のヌクレオチド塩基とワトソン−クリック結合を形成するビスPNAクランプの別の領域を有する。
【0079】
上記核酸プローブは、その核酸標的内の相補的配列に対してハイブリダイズする。その結合の特異性は、ハイブリダイズ条件に基づいて操作され得る。例えば、塩濃度および温度は、その核酸プローブによって認識される配列の範囲を変化させるために調節され得る。当業者は、所望の特異性のための至適条件を決定し得る。
【0080】
上記核酸標的は、本明細書中で議論される配列特異的な標識化に加えて、配列非特異的な様式で標識され得る。例えば、DNA骨格は、骨格標識によって染色され得る。配列非特異的な様式で核酸を標識する骨格染色因子の例としては、インターカレートする色素(例えば、フェナントリジン、およびアクリジン(例えば、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー−1およびエチジウムホモダイマー−2、エチジウムモノアジドおよびACMA));副溝結合因子(例えば、インドールおよびイミダゾール(例えば、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580およびDAPI));および種々の核酸染色因子(例えば、アクリジンオレンジ(またインターカレートし得る)、7−AAD、アクチノマイシンD、LDS751、およびヒドロキシスチルバミジン)が挙げられる。上述の核酸染色因子の全ては、Molecular Probes、Inc.のような供給業者から市販されている。
【0081】
核酸染色因子のさらに他の例としては、Molecular Probesから得られる以下の色素が挙げられる:シアニン色素(例えば、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO−1、POPO−3、YOYO−1、YOYO−3、TOTO−1、TOTO−3、JOJO−1、LOLO−1、BOBO−1、BOBO−3、PO−PRO−1、PO−PRO−3、BO−PRO−1、BO−PRO−3、TO−PRO−1、TO−PRO−3、TO−PRO−5、JO−PRO−1、LO−PRO−1、YO−PRO−1、YO−PRO−3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR GreenI、SYBR GreenII、SYBR DX、SYTO−40、SYTO−41、SYTO−42、SYTO−43、SYTO−44、SYTO−45(青色)、SYTO−13、SYTO−16、SYTO−24、SYTO−21、SYTO−23、SYTO−12、SYTO−11、SYTO−20、SYTO−22、SYTO−15、SYTO−14、SYTO−25(緑色)、SYTO−81、SYTO−80、SYTO−82、SYTO−83、SYTO−84、SYTO−85(橙色)、SYTO−64、SYTO−17、SYTO−59、SYTO−61、SYTO−62、SYTO−60、SYTO−63(赤色))。
【0082】
さらに、上記核酸標的は、伸長する核酸中にフルオロフォアを直接組み込む様式で合成され得る。例えば、この後者の標識化は、化学的手段または核酸中への活性アミノ基または活性チオール基の導入によって達成され得る。(ProudnikovおよびMirabekov、Nucleic Acid Research,24:4535−4532,1996)。核酸ポリマーに対して行われ得る改変手順に関する広範な記述は、本明細書中に参考として援用されるHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press,Inc.,San Diego,1996に見出され得る。
【0083】
DNAを、化学的に直接標識する数種の公知である方法が存在する(Hermanson,1996;Rogetら、1989;ProudnikovおよびMirabekov,1996)。この方法の1つは、DNAの部分的な脱プリン化によるアルデヒド基の導入に基づく。結合したヒドラジン基を有する蛍光標識は、アルデヒド基と効率的に結合され、そしてこのヒドラジン結合は、約60%のナトリウム標識効率を有する還元によって安定化される。過剰なアミンフルオロフォアの存在下での、シトシンと亜硝酸水素塩との反応は、そのN4位におけるアミノ基転移を生じる(Hermanson,1996)。反応条件(例えば、pH、アミンフルオロフォアの濃度、およびインキュベーション時間)および温度は、形成される生成物の収率に影響する。高濃度(3M)のアミンフルオロフォアにおいて、アミノ基転移は、100%に近づき得る(DraperおよびGold,1980)。
【0084】
上記の方法に加えて、蛍光的に標識されたヌクレオチドを使用して、デノボ(例えば、自動核酸合成機を使用する)で核酸を合成することもまた、可能である。このようなヌクレオチドは、Amersham Pharmacia Biotech、Molecular ProbesおよびNew England Nuclear/Perkin Elmerのような供給業者から市販されている。
【0085】
本発明はまた、核酸分子(例えば、マイクロRNAおよびsiRNAであり、これらの両方は、一般的に低いレベルで存在する)の検出に適している。miRNAおよびsiRNAは、それぞれ、約7〜35ヌクレオチド長の範囲である、比較的短いRNA分子である。それらのRNAは、mRNA種からの翻訳を干渉し得、したがって、細胞中のタンパク質発現を制御し得る。
【0086】
本発明は、2つ以上のプローブを使用するこれらのRNA種の測定を企図する。このプローブは、そのRNAに対するそれぞれ他の結合を干渉するべきではなく、そして非常に好ましくは、このプローブは、その標的RNAの異なる領域を認識し、そしてそれに結合する。適切なプローブは、通常、相補的な様式でそれらの標的中のヌクレオチドの直線的な配列を認識し、そしてそれに結合する配列特異的プローブであり得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、上記プローブは、ペプチド核酸(PNA)、ビスPNAクランプ、ロックされた核酸(locked nucleic acid)(LNA)、ssPNA、偽相補的(pseudocomplementary)PNA(pcPNA)、2つの腕を持った(two−armed)PNA、2つの腕を持ったDNA、2つの腕を持ったRNA、もしくは上記の共核酸(co−nucleic acid)(例えば、DNA−LNA共核酸)(出願番号第10/421,644号および公開番号US 2003−0215864 A1号を有し、そして2003年11月20日に公開された同時係属中の米国特許出願、ならびに出願番号PCT/US03/12480号および公開番号WO03/091455 A1を有し、そして2003年4月23日に出願され、2003年11月6日に公開されたPCT出願に記載されるような)、またはそれらのコポリマー(例えば、DNA−LNAコポリマー)である。
【0088】
図12Aは、核酸(例えば、miRNAおよびsiRNA(例えば、21マーの合成2本鎖)に対する例示的なアッセイの模式図である。差次的に標識されたプローブが使用され、これらの各々は、その標的miRNAの異なる領域に結合する(例えば、このプローブが核酸である場合にはまた、ハイブリダイズする)。1つの分子上の検出可能な標識の両方の検出は、特定の標的の存在を示す。ハイブリダイズ条件は、そのアッセイにおいて必要とされるストリンジェンシーおよび特異性のレベルによって変化し得る。図12Bは、全てのRNAバックグラウンド中に急上昇した(spiked)lin−4 miRNAに対する分析結果を示す。このアッセイは、ピコモル以下の感度、高い特異性、および幅広いダイナミックレンジを示す。時間依存性の様式(例えば、アッセイ進行の間)でmiRNAレベルの変化を測定することもまた、可能である。C.elegansのモデルシステムにおいて、L1段階、L2段階、L3段階および成熟段階の間およびこれらの段階を通してlin−4レベルを測定することが可能であり、この測定は、これまでに報告された結果と相関する結果を伴った(データは示さず)。
【0089】
本明細書中に記載される方法を使用して、siRNA曝露後のmRNAレベルの変化を検出することもまた可能であった。本発明の方法は、RT−PCRの結果と相関する結果を与えた(データは示さず)。
【0090】
本明細書中で提供される方法およびシステムは、3fMの桁における感度(1億個の全バックグラウンド分子あたり約1コピー)および4+ logのダイナミックレンジおよび10%未満のCVを実証する。
【0091】
試験されるべき試料は、生物学的試料または身体上の試料(例えば、組織生検、尿、痰、精液、糞、唾液など)であり得る。いくつかの場合において、この試料は、目的の分子の収集および/または単離無しで分析され得る。あるいは、タンパク質、核酸または複合体の収集および単離が行われ得、そしてそれを実行するための方法は、当該分野において慣習的に実施され、そしてその方法は、標準的な分子生物学の教科書(例えば、Maniatis’Handbook of Molecular Biologyのような)中に見出され得る。
【0092】
重要な実施形態において、上記試料は、ナノリットルの容量を有する。すなわち、本明細書中で記載される方法を行うために、この検出システム中にナノリットルの容量をロードすることのみが必要とされる。さらに他の重要な実施形態において、このタンパク質は、その試料中で1,000,000個の分子中に1個の頻度、または2,000,000個の分子中に1個の頻度で存在する。したがって、本方法は、非常に希少であるタンパク質を検出し、そして分析するために使用され得る。
【0093】
上記タンパク質および核酸は、分析前に直線状にされても伸展されてもよいが、このことは、この検出システムが伸展された変化形および凝縮された変化形の両方を分析し得る場合、必要ではない。これは特に、同時発生の事象が検出される場合であり、この同時発生の事象は、これらの事象が、少なくとも2つの標識の存在または非存在を単に必要とするが、その標的の相対位置決め方式に必ずしも依存しないことに起因して検出される(しかし、これらの事象がFRETを使用して検出されるとき、それらが互いの間のエネルギー輸送を可能にするために、互いに対して十分に近い場合に限る)。いくつかの場合において、特に、そのプローブが2次構造、3次構造または4次構造を認識するプローブである場合、このタンパク質または複合体のコンフォメーションを改変することさえも望まれ得ない。
【0094】
本明細書中で使用される場合、上記標的タンパク質または標的核酸を伸展することは、それらが、コンパクトな形態、コイルした形態および/または折り畳まれた(例えば、2次)形態よりもむしろ、実質的に直線状に伸ばされた(例えば、変性された)形態で提供されることを意味する。分析前にこのタンパク質を伸展することは、この直線状の形態を維持するために、例えば、単一分子検出システムの特定の構成を使用して達成され得る。これらの構成は、その標的がコンパクトな形態で分析され得る場合、必要とされない。
【0095】
この試料または反応混合物は、分析前に洗浄され得る。本明細書中で使用される場合、「洗浄すること」とは、結合していないプローブを除去するプロセスをいう。この洗浄する工程は、多くの手段で達成され得、この手段としては、カラム精製が挙げられるが、これに限定されない。一般的に、カラム精製は、より大きい分子(例えば、この標的タンパク質)の貫流による、カラム内における小さい分子の捕捉を包含する。しかし、特に同時検出は、所望の結合事象と人為的事象との間を区別し得るので、本方法が分析前にこれらの試薬を除去せずに行われ得ることが、理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態において、その結合していない検出可能なプローブは、分析前に除去されない。
【0096】
本発明の標的およびプローブは、内因的かまたは外因的に、検出可能に標識される。検出可能な標識は、その存在が直接的または間接的に確認され得る部分である。一般的に、この標識の検出は、(例えば、エネルギーの放出のような)検出可能なシグナルの生成に関する。この標識は、化学物質性の標識、ペプチド性の標識または核酸性の標識であり得るが、これらに限定されない。使用される標識の性質は、因子の変化形に依存し、その因子としては、実行される分析の性質、使用されるエネルギー源および検出器の型、および標的の型が挙げられる。この標識は、それが結合される成分に、立体的および化学的に適合可能であるべきである。検出可能な標識は、例えば、光を放出する標識、エネルギーを受容する標識、蛍光を発する標識、放射活性標識、消光する標識などであり得るが、本発明はこの点に限定されない。適切な標識を選択するための指針およびポリマーに外因的な標識を添加するための方法は、米国特許第6,355,420 B1号中でより詳細に提供される。
【0097】
上記検出可能な標識は、直接的かまたは間接的に検出され得る。直接的に検出可能な部分は、特定の波長の光を放出および/または吸収するその能力によって直接検出され得る部分である。間接的に検出可能な部分は、特定の波長の光を次々に放出または吸収し得る別の部分を結合し、補充し、そしていくつかの場合において切断するその能力によって、間接的に検出され得る部分である。間接的な検出の例は、基質を直接的に検出可能な産物へと切断する第1の酵素標識の使用である。この標識は、有機的性質であっても無機的性質であってもよい。例えば、それは、本質的に化学物質、ペプチド物質または核酸物質であり得るが、これらに限定されない。標識は、チオール基、アミノ基またはカルボキシル基を使用して、ポリマーまたはプローブと結合体化され得る。
【0098】
より具体的には、上記検出可能な標識は、例えば、蛍光分子のような直接的に検出可能な標識(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、R−フィコエリトリン、Cy−3、Cy−5、Cy−7、Texas Red、Phar−Red、アロフィコシアニン(APC)、フルオレセインアミン、エオシン、ダンシル、ウンベリフェロン、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、6カルボキシローダミン(R6G)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナートスチルベン−2,2’ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアナート、r−アミノ−N−(3−ビニルスルホニル)フェニルナフタルイミド−3,5,ジスルホネート(Lucifer Yellow VS)、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、Brilliant Yellow、クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルコウルアリン(Coumarin 151)、シアノシン、4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5’’−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5’’−ジブロモピロガロール−スルホンフタレイン(Bromopyrogallol Red)、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナートフェニル)−4−メチルクマリンジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4’−ジイソチオシアナートジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアナート(DABITC)、エオシンイソチオシアナート、エリスロシンB、エリスロシンイソチオシアナート、エチジウム、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、QFITC(XRITC)、フルオレスカミン、IR144、IR1446、Malachite Greenイソチオシアナート、4−メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、Phenol Red、B−フィコエリトリン、o−フタルジアルデヒド、ピレン、ピレンブチレート、スクシンイミジル 1−ピレンブチレート、Reactive Red 4(Cibacron.RTM.Brilliant Red 3B−A)、リサミン(lissamine)ローダミンBスルホニルクロリド、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンX、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体、テトラメチルローダミン、リボフラビン、ロゾール酸、およびテルビウムキレート誘導体)、化学発光分子、生物発光分子、色素生産性分子、放射性同位体(例えば、P32またはH14C、125Iおよび131I)、電子スピン共鳴分子(例えば、ニトロキシルラジカルのような)、光学濃度分子または電子密度分子、電荷を変換する分子または電荷を移動する分子、電磁気的分子(例えば、磁性もしくは常磁性のビーズまたは粒子)、半導体ナノ結晶または半導体ナノ粒子(例えば、米国特許第6,207,392号に記載され、そしてQuantum Dot CorporationおよびEvident Technologiesから市販される量子ドット)、コロイド金属、コロイド金のナノ結晶、核磁気共鳴分子などからなる群より選択され得る。
【0099】
上記検出可能な標識はまた、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビピルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼのようなルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号);グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼのようなサッカライドオキシダーゼ;複素環オキシダーゼ(例えば、過酸化水素を用いてHRPのような色素前駆体を酸化する酵素、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼにカップリングされるウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ))、酵素基質、アフィニティー分子、リガンド、レセプター、ビオチン分子、アビジン分子、ストレプトアビジン分子、抗原(例えば、FLAGエピトープまたはHAエピトープのようなエピトープタグ)、ハプテン(例えば、ビオチン、ピリドキサール、ギゴキシゲニンフルオレセインおよびジニトロフェノール)、抗体、抗体フラグメント、マイクロビーズなどのような間接的に検出可能な標識からなる群より選択され得る。
【0100】
さらに、上記標識は、電子スピン共鳴分子(例えば、ニトロキシルラジカルのような)、蛍光分子(すなわち、フルオロフォア)、化学発光分子(例えば、化学発光基質)、放射性同位体、光学濃度マーカーまたは電子密度マーカー、酵素、酵素基質、ビオチン分子、ストレプトアビジン分子、電荷を移動する分子(すなわち、電荷を変換する分子)、色素生産性基質、半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金のナノ結晶、リガンド、マイクロビーズ、磁性ビーズ、常磁性粒子、量子ドット、アフィニティー分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、抗原、ハプテン、抗体、抗体フラグメント、および脂質からなる群より選択され得る。
【0101】
使用される検出システムの性質は、使用される検出可能な標識の性質に依存する。その検出システムは、当該分野において公知である多くの検出システムから選択され得る。これらとしては、電子スピン共鳴(ESR)検出システム、電荷結合素子(CCD)検出システム、アバランシェフォトダイオード(APD)検出システム、光電子増倍(PMT)検出システム、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真用フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡法(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡法(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近視野検出システム、および全反射(TIR)検出システムが挙げられ、これらの多くは、電磁気的検出システムである。
【0102】
結合された抗体の検出は、当業者に公知である技術によって達成される。抗体は、検出可能な標識によってその抗体を直接標識するか、またはそれ自体が検出可能に標識され、かつその標的に結合される1次抗体に対して特異的である2次抗体をその抗体に結合することのいずれかによって検出され得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、上記検出可能な標識は、1つの型の検出システムを使用して検出可能である区別可能なシグナルを、全て放出する。例えば、この検出可能な部分は、全て蛍光標識であり得る。他の実施形態において、この検出可能な標識は、異なる検出システムを使用して検出され得る。例えば、一方のプローブは、フルオロフォアによって標識され得るが、他方のプローブは、放射性同位体によって標識され得る。
【0104】
いくつかの場合において、上記検出可能な標識は、蛍光シグナルを用いるFRETシステムの一部であり、この蛍光シグナルは、ドナー分子およびアクセプター分子の近い配置に依存する。
【0105】
本明細書中で使用される場合、「結合体化される」は、任意の物理化学的手段によって、互いに安定して結合された2つの実体を意味する。この結合の性質がいずれの実体の有効性を実質的に損なわないようなものであることが、重要である。これらのパラメーターを注意して維持すること、当業者に公知である任意の共有結合的な連結または非共有結合的な連結は、本明細書中の他所で明確に記載されない限り企図される。非共有結合的な結合体化としては、疎水的相互作用、イオン的相互作用、高親和性相互作用(例えば、ビオチン−アビジンの複合体化およびビオチン−ストレプトアビジンの複合体化)および他の親和性相互作用が挙げられる。結合のこのような手段および方法は、当業者に公知である。結合体化は、当業者に共通する標準的な技術を使用して行われ得る。例えば、米国特許第3,940,475号および同第3,645,090号は、抗体に対する、フルオロフォアおよび酵素の結合体化を実証する。
【0106】
例えば、種々の標識と反応性である官能基としては、(官能基:光放射性化合物の反応性基)活性化エステル:アミンまたはアニリン;アシルアジド:アミンまたはアニリン;アシルハライド:アミン、アニリン、アルコールまたはフェノール;アシルニトリル:アルコールまたはフェノール;アルデヒド:アミンまたはアニリン;アルキルハライド:アミン、アニリン、アルコール、フェノールまたはチオール;アルキルスルホネート:チオール、アルコールまたはフェノール;無水物:アルコール、フェノール、アミンまたはアニリン;アリールハライド:チオール;アジリジン:チオールまたはチオエーテル;カルボン酸:アミン、アニリン、アルコールまたはアルキルハライド;ジアゾアルカン:カルボン酸;エポキシド:チオール;ハロアセトアミド:チオール;ハロトリアジン:アミン、アニリンまたはフェノール;ヒドラジン:アルデヒドまたはケトン;ヒドロキシアミン:アルデヒドまたはケトン;イミドエステル:アミンまたはアニリン;イソシアネ−ト:アミンまたはアニリン;およびイソチオシアネート:アミンまたはアニリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
ポリマーは、単一分子分析システムを使用して分析され得る。単一分子分析システムは、他の分子と別々に単一の分子を検出し得る。このようなシステムは、十分に感受性であり、単一分子およびその結合したプローブから放出されるシグナルを検出する。このシステムは、単一の分子が線形様式(すなわち、そのポリマーの長さに従う点において始まり、その後1つの方向または別の方向に進行性に移動する)で分析される、線形分子検出システムであり得る。検出が主にシグナル(例えば、同時シグナル)の存在または非存在に基づく特定の実施形態において、線形分析は、必要とされ得ない。このシステムは、単一のポリマーが同時に検出される、複数のプローブおよび標識を伴う全体性において分析される直接的な分子分析システムであり得る。
【0108】
このシステムは、好ましくは電気泳動法ではなく、したがってこのシステムは、ときとして非電気泳動式の単一分子検出(または分析)システムといわれる。このようなシステムは、ゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動に依存しないで、互いから分子を分離する。
【0109】
単一分子検出/分析システムの例は、Gene EngineTM技術に基づくTrilogyTM機器であり、Gene EngineTM技術は、それぞれ1998年8月13日および2000年2月24日に公開されたPCT特許出願WO98/35012および同WO00/09757、および公報が発行された米国特許第6,355,420 B1号(2002年3月12日に公報が発行された)に記載される。この後者のシステムは、単一のポリマーが相互作用ステーションを通過することを可能にし、それによってそのポリマーの単位または化合物の標識は、そのポリマー/化合物/複合体に結合体化された検出可能な標識が存在するか否かを決定するために、個別に検索される。解析は、エネルギー源(例えば、設定波長の光学的照射)に対してこの標識を曝す工程を包含する。エネルギー源への曝露に対する応答において、この検出可能な標識は、検出可能なシグナルを放出する。シグナル放出および検出についての機構は、検出が求められる標識の型に依存する。
【0110】
TrilogyTM技術は、分子の線形分析を必要とせず、そしてむしろその全体性において分子を分析する。TrilogyTMは、ナノリットルの解析区画中で個々に標識された分子のリアルタイムの集計を提供する。このシステムは、低いフェムトモル濃度において、標識された分子を検出し、そして4+ logを超えるダイナミックレンジを提示する。このシステムは、標準的な試料キャリア(例えば、96ウェルプレートまたは微量遠心(例えば、Eppendorf)チューブであるがこれらに限定されない)に適応し得る。この試料の容量はマイクロリットルの桁(例えば、1μl容量)であり得る。
【0111】
本発明は、以下の実施例によって、さらに例示され、これらの実施例は、決してさらなる限定として解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての参考文献(参考文献、公報が発行された特許、公開された特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)の内容全体は、本明細書によって参考として明確に援用される。
【実施例】
【0112】
(実施例1.単一分子検出の実験的プラットフォーム)
単一分子検出は、U.S.Genomics TrilogyTM機器を使用して達成され得る。U.S.Genomics TrilogyTM機器は、共焦点のインテグレイテッドオプティクス、多色レーザー解析および多色レーザー検出、ミクロフルイディクス(microfluidics)および機器を制御するため、データを取り込むため、および分析するための搭載型ソフトウェアを備える。蛍光標識された分子(DNA、RNAまたはタンパク質)を含む試料がこの機器を貫流する場合の模式図は、図1Aに示される。この試料は、フルオロフォアがレーザー励起を受け、そして生じた発光が測定されるミクロフルイディクスチャンバーを通して移動する。2重に標識された分子は、2色の同時発光を生成するが、遊離のフルオロフォアまたは結合されなかったプローブは、単一色を放出する。図1Bにおいて、検出されるような多数の赤色−緑色の同時ピークを同定する50msの画面写真が、示される。いくつかの次数の大きさにわたって直線的な反応(より低いフェムトモル範囲(挿入図)および各試行間の低い変動の感受性)を示す2重に標識されたオリゴDNAの滴定は、図1Cに示される
(実施例2.単一分子のイムノアッセイ)
複数の抗体(Ab)の間に挟まれた抗原(Ag)から構成される免疫複合体の形成は、図2Aに示される模式図に図示される。図2Bおよび図2Cは、単一分子のイムノアッセイからのデータを、蛍光強度 対 時間として示すグラフを含む。抗原の非存在下(図2B)において、個々の色素標識された抗体分子は、単独で検出区画を通過し、そして設定された閾値を上回る分離した蛍光ピークを、それぞれ示す。抗原の存在下(図2C)において、抗原に対して結合される異なる色で色素標識された抗体の対は、上記検出区画を同時に通過し、そしてこの免疫複合体は、一対の同時ピークを示す。
【0113】
(実施例3.単一分子のイムノアッセイを使用するタンパク質レベルの定量化)
タンパク質レベルを、単一分子のイムノアッセイおよびU.S.Genomics TrilogyTM機器を使用して定量化した。IL−6の個々の分子を、IL−6ならびにAlexa488およびCy5によって別個に標識したポリクローナル抗体の混合物を含む溶液における、青色−赤色(Alexa488−Cy5)の同時ピークとして検出した。図3に示した結果は、3つの測定値の平均+標準偏差(棒)を示す。検出した分子の数は、IL−6濃度に、直線的に依存する。この特定のアッセイの感度は、<1ng/mLである。
【0114】
(実施例4.単一分子のイムノアッセイを使用するAkt1の特異的リン酸化状態の定量化)
Ser−/Thr−キナーゼAkt1およびそのリン酸化による活性化の模式図は、図4Aに示される。Akt1(すなわち、PKB)は、細胞の応答(例えば、転写、タンパク質合成、グリコーゲン合成、細胞増殖および細胞の生存、ならびに新脈管新生)において中心的な役割を果たす。BrazilおよびHemmings 2001,TIBS,26:657。Akt1は、図4Aに示されるように、上記調節ドメインの残基Ser473のリン酸化によって、不活性酵素から活性酵素に変換される。
【0115】
Akt1の活性化状態に対して特異的なフルオロフォア標識された抗体は、図4Bに図示される。図4Cは、Akt1に対する、PHドメイン特異的モノクローナル抗体(Cy5(赤色)によって標識された)およびC末端特異的ポリクローナル抗体(Cy3(緑色)によって標識された)の結合を示す。図4Dは、Cy5(赤色)によって標識されたPHドメイン特異的モノクローナル抗体、Cy3(緑色)によって標識されたC末端特異的ポリクローナル抗体、およびAlexa488(青色)によって標識されたAkt1ホスホ−Ser473特異的モノクローナル抗体の結合を示す。全3種の抗体を含む混合物とAkt1との反応後、不活性Akt1分子および活性Akt1分子は両方とも、緑色−赤色(Cy3−Cy5)の同時ピークとして検出されるのに対して、活性Akt1分子だけは、青色−緑色−赤色(Alexa488−Cy3−Cy5)の同時ピークとして検出される。
【0116】
図6は、単一分子のイムノアッセイを使用して、Akt1の特異的リン酸化状態を定量化するために得られたデータを示す。Akt1を、3つの異なる色の抗体の混合物と反応させ、そして各試料を、複数のレーザーによって同時に分析した。図5AはAkt1のC末端(Cy3、緑色)およびPHドメイン(Cy5、赤色)を認識する色素標識された抗体の、2色(緑色−赤色)の同時発生を示し、このことは、Akt1の特異的検出を示す。活性Akt1および不活性Akt1の両方は、緑色−赤色の同時ピークを生じ;このようなピークは、Akt1の非存在下またはGSTコントロールの存在下で検出されなかった。図5Bにおいて、Ser473におけるAkt1リン酸化(Alexa488、青色)およびAkt1のPHドメイン(Cy5、赤色)(パネルAにおいてそれと同時に行った)を認識する色素標識された抗体の青色−赤色の同時発生は、活性Akt1分子の特異的検出を示す。活性Akt1だけが、青色−赤色の同時ピークを生じるのに対して、このようなピークは、Ser473がリン酸化されていない不活性Akt1の存在下で検出されなかった。図5Cは、分子の数 対 活性Akt1の%を示すグラフである。Akt1のPHドメイン(Cy5、赤色)、C末端(Cy3、緑色)、およびリン酸化されたSer473(Alexa488、青色)を認識する、フルオロフォア標識された抗体の3色の同時発生(活性Akt1の相対的レベルの定量化を示す)が示される。各試料は、示された画分から構成される合計100nMの不活性Akt1である残余を伴う活性Akt1の望ましい分数からなるAkt1を含んだ。検出された分子の数は、Ser473においてリン酸化された酵素分子の数に関する画分の増加に起因して、活性Akt1分子の比率と共に直線的に増加した。
【0117】
(実施例5.複合体の分析)
図6A〜図6Cは、核酸とジンクフィンガードメイン(ZFD)との間に形成されるべき複合体を模式的に示す。図7Aは、一度、平衡状態に到達する結合反応の結果を示す。図7Bは、このシステムの動態解析を示す。2本鎖DNA標的に対して結合する初期増殖応答タンパク質Egr−1のZFDを、Bodipy−Fl標識したZFDとCy5標識した2本鎖DNA標的とを混合することによって研究した。単一分子分析を使用して測定したZFD−DNAの解離速度定数(koff)は、公開データと一致した。同様に、測定したKd(解離定数は、1/Kaと等しく、Kaは、平衡定数である)は、公開データと一致した。
【0118】
(等価物)
前述された明細書は、当業者に本発明の実施を可能とするのに十分であると考えられる。本発明は、実施例が本発明の1つの局面の単なる例示として意図され、そして他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内であることに起因して、提供された実施例によって範囲が限定されるべきではない。本明細書中に示されかつ記載される改変に加えて、本発明の種々の改変は、前述の記載から当業者に明らかとなる。本発明のそれぞれの限定は、本発明の種々の実施形態を包含し得る。したがって、要素のいずれか1つまたは要素の組み合わせを包含する本発明のそれぞれの制限が、本発明の各局面に含まれ得ることが予期される。本発明は、添付の記載に示されるかまたは図面に示される構成要素の構造および配置の細部への適用に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、そして種々の手段によって実施され得るかまたは実行され得る。
【0119】
本明細書中で使用される語法および専門用語は、説明の目的のためであり、限定と見なされるべきではない。「含む(including)」、「含む(comprising)」、または「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、および本明細書におけるそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物ならびにさらなる項目を含むことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1−1】図1Aは、検出スポットを通過する試料の流れ中の、分子(例えば、タンパク質または複合体)の移動を示す模式図である。このタンパク質または複合体は、結合された検出可能な標識の存在によって示されるような、1つ以上のプローブによって標識され得る。結合されていない、検出可能に標識されたプローブはまた、呼掛けスポット(または区画)を通過する。一旦、この呼掛けスポットに入ると、検出可能な標識(例えば、フルオロフォア)は、レーザー励起を受け、そしてその結果として起こる発光は、収集され、そして測定される。2重に標識された分子は、同時に発光を生じるのに対して、遊離の(すなわち、結合されていない)プローブは、単一色を放出する。
【図1−2】図1Bは、図1Aに従って分析された試料の発光プロフィールを示す、代表的な画面取り込みである。この画面取り込みは、50ミリ秒のデータを含む。それは、多くの2色の同時ピーク(矢印によって示される)を含む。図1Cは、このアッセイの感度の範囲を決定するプローブ滴定実験の結果を示すグラフである。2重に標識されたオリゴヌクレオチドの濃度と検出される同時ピークの数との間の直線的な関係は、数桁の大きさにわたって観察され、この関係は、低いフェムトモル範囲〜中程度のフェムトモル範囲(挿入図)および各試行間の低い変動性である感度を伴う。
【図2−1】図2Aは、抗原(Ag)(例えば、タンパク質)に対する、検出可能かつ区別可能に標識された抗体プローブ(Ab)の結合を示す模式図である。抗体プローブ対は、その対の各メンバーがその抗原の別々の領域を認識し、そしてそれに結合し、それによってこの抗原に対するこの対の、最大限の同時(例えば、同時の(concurrent)または同時の(simultaneous))結合を確保するように、設計される。
【図2−2】図2Bは、結合されなかった、検出可能かつ区別可能に標識された抗体プローブの試料の発光プロフィールを示す模式図である。各プローブは、2つのプローブがその解析スポットに共存する可能性が小さいことに起因して、個々に検出される。点線は、設定された閾値を示す。図2Cは、結合されていない、検出可能かつ区別可能に標識された抗体プローブおよび2重に標識された抗原(例えば、タンパク質)を含む試料の発光プロフィールを示す模式図である。この結合されていないプローブは、個別の、時間的に離れたピークとして検出されるが、その抗原は、区別可能であって検出可能な標識の2つの重複するピークによって検出される。点線は、設定された閾値を示す。
【図3】図3は、2色の同時検出アプローチを使用する、IL−6に対するアッセイの結果を示すグラフである。IL−6の個々の分子を、Alexa488およびCy5によって個々に標識されたポリクローナル抗体を使用して、同時発生的な青色−赤色(例えば、Alexa488−Cy5)として検出した。結果は、3つの測定値の平均+標準偏差(棒)として示される。分子の数は、IL−6濃度に直線的に依存する。このアッセイの感度は、1ng/ml未満である。
【図4−1】図4Aは、Akt1のドメイン構造およびその活性化に対するリン酸化の役割を示す模式図である。PHは、プレクストリン相同性ドメインを示す。Catは、触媒ドメインを示す。Regは、調節ドメインを示す。
【図4−2】図4Bは、リン酸化(すなわち、活性)Akt1と非リン酸化(すなわち、不活性)Akt1との間を区別するための3つの抗体プローブの使用を示す模式図である。2つの抗体プローブ(例えば、PH特異的抗体およびC末端ドメイン特異的抗体)は、活性Akt1および不活性Akt1を検出するために使用され、そして別の抗体は、リン酸化アミノ酸残基(すなわち、pSer473)を検出するために使用される。活性Akt1は、1つのAkt1抗体プローブおよび1つのpSer473抗体プローブによって達成され得るか、または2つのAkt2抗体プローブおよび1つのpSer473抗体プローブによって達成され得る。使用される抗体プローブの各々は、区別可能に標識される。図4Cは、リン酸化されていない(すなわち、不活性)Akt1に結合する抗体プローブを示す模式図である。このアプローチは、Akt1の活性状態または不活性状態にかかわらず、Akt1を検出するために使用され得る。図4Dは、リン酸化(すなわち、活性)Akt1に対して結合する抗体プローブを示す模式図である。活性Akt1は、青色−緑色−赤色の同時ピークとして検出されるのに対して、全Akt1は、緑色−赤色の同時ピークとして検出される。3色のシステムの使用は、活性Akt1と不活性Akt1との間を区別する。全Akt1の知見または不活性Akt1への変換なしで、活性Akt1だけを検出することが目的とされる場合、このアプローチは、Akt1(例えば、PH−ドメインまたはRegドメインのいずれか)に対する1つの抗体プローブ、およびpSer473に対する1つの抗体に単純化され得る。
【図5−1】図5Aは、PHドメインに対する抗体およびAkt1のC末端に対する抗体を使用する場合に、活性Akt1の存在下、不活性Akt1の存在下、および非Akt1コントロール(すなわち、GST)の存在下で検出される2色の同時ピークの数を示す棒グラフである。図5Bは、PHドメインに対する抗体およびpSer473に対する抗体を使用する場合に、活性Akt1の存在下、不活性Akt1の存在下、および非Akt1コントロール(すなわち、GST)の存在下で検出される2色の同時ピークの数を示す棒グラフである。
【図5−2】図5Cは、PHドメインに対する抗体、およびC末端に対する抗体、およびAkt1のpSer473に対する1つの抗体を使用する場合に、試料中の活性Akt1の存在と3色の同時ピークの数との間の直線的な関係を示すグラフである。各試料は、合計100nMの、不活性Akt1である残余を伴う活性Akt1の種々の画分を構成するAkt1を含んだ。検出された分子の数は、Ser473においてリン酸化された酵素分子の数における画分の増加に起因して、活性Akt1分子の比率と共に直線的に増加する。
【図6−1】図6Aは、タンパク質分子と核酸分子との間の相互作用を示す模式図である。このタンパク質は、核酸に結合する転写因子であり得る。この図において、ジンクフィンガードメイン(ZFD)である核酸結合ドメインが、示される。
【図6−2】図6Bは、相互作用しないが区別可能に標識されたタンパク質(例えば、ZFD)およびこのタンパク質が結合し得る核酸を含む試料の発光プロフィールを示す模式図である。このタンパク質とこの核酸との間の相互作用のない間、各々は、個別のピークとして検出される。図6Cは、各々が個別のピークとして検出される相互作用しない核酸およびタンパク質ならびに重複するピークの対として検出される核酸−タンパク質複合体を含む試料の発光プロフィールを示す模式図である。この核酸とこのタンパク質との間の相互作用が可逆的である場合、時間経過分析は、結合する速度および結合が切れる速度を決定するために行われ得る。別のアプローチにおいて、構成要素の結合親和性は、平衡状態において結合された構成要素および結合されていない構成要素の量を測定することによって決定され得る。なお別のアプローチにおいて、特定の核酸(またはヌクレオチド配列)に対して結合するタンパク質が、検出され得、そして必要に応じて単離され得る。この分析が、各構成要素に対して特異的なプローブが利用可能であるか、または例えば、合成の間に本質的に標識される構成要素を生成することが可能である任意の複数構成要素のシステムに対して行われ得ることが、理解されるべきである。
【図7】図7Aは、平衡状態において遊離の標的DNAの濃度の関数として観察される同時ピークの数を示すグラフである。この同時ピークは、この標的DNAに対するZFDの結合を示す。遊離の標的DNA濃度は、単一のCy5ピークを使用して決定される。Kdは、遊離のDNAに対するタンパク質−DNA複合体の関数である。同時ピークの数を、検出スポットにおける分子の無作為な同時発生について補正した。結果は、3つの測定値の平均+標準偏差(棒)として示される。実線は、単一部位の結合に対して最も適合する方程式を示す。挿入図は、半対数プロットで示された同じデータを示す。図7Bは、標的DNAに対して結合するZFDの動態を示すグラフである。タンパク質−DNA複合体の解離動態を、そのCy5標識した標的DNAに対してZFDを前結合(pre−binding)し、その後の100倍のモル濃度過剰の標識されていない標的DNAの添加による解離の開始後に測定した。挿入図は、遊離のZFDとCy5標識した標的DNAとの混合後に測定した、ZFD−DNA複合体の会合動態を示す。実線は、最も適した1次指数方程式を示す。
【図8】図8Aは、標的抗原を欠く試料に関する、強度 対 時間プロフィールを示す模式図である。この標的抗原は、その抗原上で反復するエピトープを認識する抗体を使用して検出される。各強度ピークは、結合されていない抗体に対応する。図8Bは、抗原が、その抗原上で反復するエピトープを認識する抗体を使用して検出される場合に、抗原(Ag)を含む試料に関する強度 対 時間プロフィールを示す模式図である。抗原に対する、少なくとも2つ、そして好ましくはより多くの抗体の結合は、単一の結合された抗体のシグナルより大きい強度のシグナルを生じる。したがって、単一の抗原上への抗体の凝集は、より大きいシグナルを生じ、そしてこのシステム中のランダムノイズよりもむしろ、抗原に対応するピークを同定するために使用され得る。
【図9】図9Aおよび図9Bは、抗原の非存在下(9A)および抗原の存在下(9B)での生データを示す、代表的な200ミリ秒の画面写真である。この例において、抗体および抗原の最終濃度は、それぞれ、70pMおよび10pMであった。
【図10】図10は、タンパク質の凝集が、ランダムノイズから抗原のシグナルを区別するために使用される場合に起こり得る強度ピークの高さにおけるシフトを示すグラフである。
【図11】図11は、抗原の存在下または非存在下での免疫複合体の定量化を示す棒グラフである。
【図12】記載なし。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を検出するための方法であって、該方法は、以下:
試料と、第1のタンパク質特異的プローブおよび第2のタンパク質特異的プローブとを接触させる工程;ならびに
単一のタンパク質に対する該第1のタンパク質特異的プローブおよび該第2のタンパク質特異的プローブの両方の結合を、同時シグナルとして検出する工程;
を包含し、
該第1のタンパク質特異的プローブおよび該第2のタンパク質特異的プローブは、互いに区別可能な第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識によってそれぞれ標識され、そして単一のタンパク質に対する該第1のタンパク質特異的プローブおよび該第2のタンパク質特異的プローブの両方の結合は、該タンパク質が、該試料中に存在することを示す、方法。
【請求項2】
前記第1のタンパク質特異的プローブおよび前記第2のタンパク質特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のタンパク質特異的プローブおよび前記第2のタンパク質特異的プローブは、前記タンパク質の異なる領域に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、Alexa488およびCy5である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のタンパク質特異的プローブは、タンパク質の改変に対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
種々の時点において、前記第1のタンパク質特異的プローブおよび前記第2のタンパク質特異的プローブの結合を検出する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
別の分子の存在下で前記第1のタンパク質特異的プローブおよび前記第2のタンパク質特異的プローブの結合を検出する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記試料と、第3の検出可能な標識によって標識される第3のタンパク質特異的プローブとを接触させる工程、および前記タンパク質に対して、前記第1のタンパク質特異的プローブ、前記第2のタンパク質特異的プローブおよび該第3のタンパク質特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の検出可能な標識は、Cy3である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第3のタンパク質特異的プローブは、タンパク質の改変に対して特異的である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質の改変は、リン酸化アミノ酸である、請求項6または12に記載の方法。
【請求項14】
種々の時点において、前記第1のタンパク質特異的プローブ、前記第2のタンパク質特異的プローブおよび前記第3のタンパク質特異的プローブの結合を検出する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
別の分子の存在下で前記第1のタンパク質特異的プローブ、前記第2のタンパク質特異的プローブおよび前記第3のタンパク質特異的プローブの結合を検出する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のタンパク質特異的プローブおよび前記第2のタンパク質特異的プローブの結合のレベルを、前記第1のタンパク質特異的プローブ、前記第2のタンパク質特異的プローブおよび前記第3のタンパク質特異的プローブの結合のレベルと比較する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記試料と、第2のタンパク質に対して特異的なプローブの第2の対とを接触させることによって第2のタンパク質を検出する工程をさらに包含し、該第2の対の各メンバーは、区別可能であって検出可能な標識によって標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記試料と、複数のタンパク質の各メンバーに対する特異的プローブの対とを接触させることによって該複数のタンパク質を検出する工程をさらに包含し、対の各メンバーは、区別可能であって検出可能な標識によって標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記タンパク質は、1ng/ml未満の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記タンパク質は、30fM以下の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質は、前記試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、または尿試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記試料は、ナノリットルの容量である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質の4次構造において、前記第1のタンパク質特異的プローブは、1つの鎖に対して特異的であり、そして前記第2のタンパク質特異的プローブは、別の鎖に対して特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
マイクロRNA(miRNA)を検出するための方法であって、該方法は、以下:
試料と、第1のmiRNA特異的プローブおよび第2のmiRNA特異的プローブとを接触させる工程;ならびに
単一のmiRNAに対する該第1のmiRNA特異的プローブおよび該第2のmiRNA特異的プローブの両方の結合を、同時シグナルとして検出する工程;
を包含し、
該第1のmiRNA特異的プローブおよび該第2のmiRNA特異的プローブは、互いに区別可能な第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識によってそれぞれ標識され、そして単一のmiRNAに対する該第1のmiRNA特異的プローブおよび該第2のmiRNA特異的プローブの両方の結合は、該miRNAが、該試料中に存在することを示す、方法。
【請求項26】
前記第1のmiRNA特異的プローブおよび前記第2のmiRNA特異的プローブは、核酸である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記miRNA特異的プローブは、配列特異的プローブである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、Alexa488およびCy5である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記試料と、第2のmiRNAに対して特異的であるプローブの第2の対とを接触させることによって該第2のmiRNAを検出する工程をさらに包含し、該プローブの第2の対は、区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記試料と複数のプローブ対とを接触させることによって複数のmiRNAを検出する工程をさらに包含し、該複数のプローブ対は、該複数のmiRNAのメンバーに対してそれぞれ特異的であり、そして各対の各メンバーは、区別可能であって検出可能な標識によって標識される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記miRNAは、1ng/ml未満の濃度で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記miRNAは、30fM以下の濃度で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記miRNAは、前記試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記試料は、ナノリットルの容量である、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
1種より多くの構成要素を含む複合体を検出するための方法であって、該方法は、以下:
試料と、第1の構成要素特異的プローブおよび第2の構成要素特異的プローブとを接触させる工程;ならびに
単一の複合体に対する該第1の構成要素特異的プローブおよび該第2の構成要素特異的プローブの両方の結合を、同時シグナルとして検出する工程;
を包含し、
該第1の構成要素特異的プローブおよび該第2の構成要素特異的プローブは、互いに区別可能な第1の検出可能な標識および第2の検出可能な標識によってそれぞれ標識され、そして単一の複合体に対する該第1の構成要素特異的プローブおよび該第2の構成要素特異的プローブの両方の結合は、該複合体が、該試料中に存在することを示す、方法。
【請求項37】
前記第1の構成要素は、タンパク質であり、そして前記第2の構成要素は、核酸である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントであり、そして前記第2の構成要素特異的プローブは、核酸である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、両方ともタンパク質である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の構成要素特異的プローブおよび前記第2の構成要素特異的プローブは、両方とも抗体または抗体フラグメントである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、両方とも核酸である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の構成要素特異的プローブおよび前記第2の構成要素特異的プローブは、両方とも核酸である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の構成要素は、酵素であり、そして前記第2の構成要素は、基質である、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の構成要素は、公知の分子であり、そして前記第2の構成要素は、該第1の構成要素の推定上の結合パートナーである、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、それぞれ、Alexa488およびCy5である、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記試料と、第3の検出可能な標識によって標識される第3の構成要素特異的プローブとを接触させる工程、ならびに前記第1の構成要素特異的プローブ、前記第2の構成要素特異的プローブ、および該第3の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記第3の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記試料と、複数の構成要素特異的プローブとを接触させる工程であって、該複数の構成要素特異的プローブの各々は、前記複合体中の別個の構成要素に対して特異的であり、かつ区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識される、工程、および該複数の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記複合体は、1ng/ml未満の濃度で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
前記複合体は、30fM以下の濃度で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
前記複合体は、前記試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
前記試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、または尿試料である、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
前記試料は、ナノリットルの容量である、請求項36に記載の方法。
【請求項55】
1種より多くの構成要素を含む複合体を検出するための方法であって、該方法は、以下:
第1の検出可能な標識によって標識された第1の構成要素特異的プローブを、該第1の検出可能な標識と区別可能である第2の検出可能な標識によって標識された第2の構成要素を含有する試料に接触させる工程;および
該第2の構成要素を含有する複合体に対する該第1の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程;
を包含し、
同時シグナルは、該複合体が、該試料中に存在することを示す、方法。
【請求項56】
前記第2の構成要素は、内因的に標識される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の構成要素は、前記第2の検出可能な標識で標識される第2の構成要素特異的プローブによって標識される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の構成要素は、タンパク質であり、そして前記第2の構成要素は、核酸である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、両方ともタンパク質である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、両方とも核酸である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の構成要素特異的プローブは、核酸である、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の構成要素特異的プローブは、核酸である、請求項57に記載の方法。
【請求項65】
前記第2の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである、請求項57に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の構成要素は、酵素であり、そして前記第2の構成要素は、基質である、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の構成要素は、公知の分子であり、そして前記第2の構成要素は、該第1の構成要素の推定上の結合パートナーである、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
前記第2の構成要素は、公知の分子であり、そして前記第1の構成要素は、該第2の構成要素の推定上の結合パートナーである、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、区別可能なフルオロフォアによって標識される、請求項55に記載の方法。
【請求項70】
前記区別可能な標識は、Alexa488およびCy5である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記試料と、第3の検出可能な標識によって標識される第3の構成要素特異的プローブとを接触させる工程、ならびに前記複合体に対する前記第1の構成要素特異的プローブおよび該第3の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する、請求項55に記載の方法。
【請求項72】
前記第3の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記試料と、複数の構成要素特異的プローブとを接触させる工程であって、該複数の構成要素特異的プローブの各々は、前記複合体中の別個の構成要素に対して特異的であり、かつ区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識される、工程、および該複数の構成要素特異的プローブの結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する、請求項55に記載の方法。
【請求項74】
前記複合体は、1ng/ml未満の濃度で存在する、請求項55に記載の方法。
【請求項75】
前記複合体は、30fM以下の濃度で存在する、請求項55に記載の方法。
【請求項76】
前記複合体は、前記試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する、請求項55に記載の方法。
【請求項77】
前記試料は、ナノリットルの容量である、請求項55に記載の方法。
【請求項78】
1種より多くの構成要素を含む複合体を検出するための方法であって、該方法は、以下:
第1の検出可能な標識によって標識された第1の構成要素と、該第1の検出可能な標識と区別可能である第2の検出可能な標識によって標識された第2の構成要素とを接触させる工程;および
該第2の構成要素に対する該第1の構成要素の結合を同時シグナルとして検出する工程;
を包含し、
同時シグナルは、該複合体が、存在することを示す、方法。
【請求項79】
前記第1の構成要素は、第1の検出可能な標識によって内因的に標識される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の構成要素は、第2の検出可能な標識によって内因的に標識される、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の構成要素は、前記第1の検出可能な標識で標識される第1の構成要素特異的プローブによって標識される、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記第2の構成要素は、前記第2の検出可能な標識で標識される第2の構成要素特異的プローブによって標識される、請求項78または81に記載の方法。
【請求項83】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、両方とも核酸である、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、両方ともタンパク質である、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
前記第1の構成要素は、タンパク質であり、そして前記第2の構成要素は、核酸である、請求項78に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである、請求項81に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の構成要素特異的プローブは、抗体または抗体フラグメントである、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
前記第1の構成要素特異的プローブは、核酸である、請求項81に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の構成要素特異的プローブは、核酸である、請求項82に記載の方法。
【請求項90】
前記第1の構成要素は、酵素であり、そして前記第2の構成要素は、基質である、請求項78に記載の方法。
【請求項91】
前記第1の構成要素は、公知の分子であり、そして前記第2の構成要素は、該第1の構成要素の推定上の結合パートナーである、請求項78に記載の方法。
【請求項92】
前記第1の検出可能な標識および前記第2の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項78に記載の方法。
【請求項93】
前記区別可能な標識は、Alexa488およびCy5である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の結合は、別の分子の存在下で測定される、請求項78に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の構成要素に対する前記第1の構成要素の結合は、種々の時点において測定される、請求項78に記載の方法。
【請求項96】
第3の検出可能な標識によって標識された第3の構成要素を、前記第1の構成要素および前記第2の構成要素に接触させる工程、ならびに該第1の構成要素、該第2の構成要素、および該第3の構成要素の結合を、同時シグナルとして検出する工程をさらに包含し、同時シグナルは、3つの構成要素の複合体が存在することを示す、請求項78に記載の方法。
【請求項97】
前記第3の検出可能な標識は、フルオロフォアである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
区別可能であって検出可能な標識によってそれぞれ標識された複数の構成要素を接触させる工程、および該複数の構成要素の1つ以上の結合を同時シグナルとして検出する工程をさらに包含する、請求項78に記載の方法。
【請求項99】
前記複合体は、1ng/ml未満の濃度で存在する、請求項78に記載の方法。
【請求項100】
前記複合体は、30fM以下の濃度で存在する、請求項78に記載の方法。
【請求項101】
前記複合体は、前記試料中で2×10個の分子中に1個の頻度で存在する、請求項78に記載の方法。
【請求項102】
前記試料は、ナノリットルの容量である、請求項78に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2A】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6A】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−529758(P2007−529758A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504184(P2007−504184)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/009582
【国際公開番号】WO2005/089524
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503447449)ユー.エス. ジェノミクス, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】