説明

単層カーボンナノチューブの製造方法および製造装置

500Torr以下の希ガス雰囲気で、50〜600℃の反応炉内予備加熱炉に、有機金属化合物を有機溶媒に溶解した溶液を、不活性ガスにより加圧して細孔ノズルより噴射し、予備加熱され気化した有機溶媒と有機金属化合物混合ガスが、この予備加熱炉に隣接した、500Torr以下の希ガス雰囲気で550〜1000℃に熱せられた主加熱炉内に供給され、有機金属化合物が熱分解されて金属微粒子を生じ、これを触媒として有機溶媒が熱分解されて炭素原子を生じ、主加熱炉の下流側に設けた成長部でグラフェンシートの成長が行われ、単層カーボンナノチューブが生成する。有機金属化合物としてはフェロセン、鉄カルボニール、有機溶媒としてはアルコール類、エーテル類が使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、グラフェンシート一層からなる単層カーボンナノチューブの製造方法及び装置に関し、特に有機溶媒に溶解した有機金属化合物を高温の反応炉内に噴霧することによって、高純度および高収率で単層カーボンナノチューブを製造する方法とそれを行うための装置に関する。
【背景技術】
カーボンナノチューブは、炭素原子が六角網目状に配列したグラフェンシートが筒状になっている、断面の直径が100nm以下の炭素クラスターである。特にグラフェンシートが一層の単層カーボンナノチューブ(以下SWNT)は電気的あるいは化学的特性が特異であることから機能材料として有用であることが数々報告されている。
SWNTの製造方法としては、アーク放電法、レーザーアブレーション法、高周波プラズマ法、熱分解法が知られている。最近では、これらの製造方法において使用する触媒の種類、その担持法等種々に対して工夫が報告されている。
アーク放電によるSWNTの製造方法として、特開平07−197325号公報には、炭素源として炭化水素、キャリアガスにはヘリウムと水素の混合ガスを使用して、炭素電極と、金属と炭素の混合電極を用いる方法が開示されている。
ライス大学の研究者は、Smalley等の伝統的なレーザーパルス法で炭素を気化させると共に、コバルト等の金属触媒微粒子をレーザー焦点付近に浮遊させ、生じた遊離状態の炭素クラスターを1000〜1400℃、100〜800Torrでアニーリングする方法を開示している(特表2001−520615号公報)。
特許第2737736号公報には、高周波プラズマ法として、無電極の高周波プラズマ中に炭化水素ガスと粉体状金属触媒を希ガス雰囲気中に吹き込む方法が開示されている。
さらに、陽極酸化膜上に鉄、コバルトなどの金属微粒子触媒を担持させ、マイクロ波グロー放電による低圧低電離ガスプラズマを発生させて、炭素と水素を反応させる方法が特開平11−011917号公報に開示されている。
しかしながら、上記いずれの方法でも金属触媒を炭素源と反応場において、真空に近い状態の実質空間にて接触反応させるため、炭素源と金属触媒の衝突は確率的であり、炭素源の量に対して比較的多量の金属触媒を必要とする。したがって、これらの触媒が不純物としてSWNT中に残留し、この金属除去の操作で反応性の高いSWNT表面に欠陥をつくる結果となる。
本発明は、化学熱分解による気相合成法によって、触媒金属などの不純物の少ない高純度の単層カーボンナノチューブを高収率で製造する方法と製造するための装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
化学熱分解法は、反応容器中に炭素源となる原料ガスをキャリアガスと共に導入し、同時に金属超微粒子触媒を導入して800〜1200℃で反応を行い、カーボンナノチューブを得る方法である。
図6は熱分解法に使用される従来の反応炉の概略を示す図である。この方法では触媒の金属微粒子を基板に乗せて反応炉内に収納し、反応温度に加熱したところへ原料ガスとキャリアガスを通して原料ガスを分解し、カーボンナノチューブを生成させ、これをフィルターで捕集する。
図2は、本発明を実施するための装置の全体を示す図であり、図1は反応炉の概略を示す図である。
本発明は、熱分解によるカーボンナノチューブの気相合成法によって単層カーボンナノチューブを合成する方法であって、500Torr以下の希ガス雰囲気で50〜600℃に保たれた反応炉内予備加熱炉に、有機金属化合物からなる触媒を有機溶媒に溶解した溶液を、不活性ガスにより加圧して細孔ノズルより噴射する。予備加熱炉で気化した有機溶媒と有機金属化合物混合ガスが、この予備加熱炉に隣接した、500Torr以下の希ガス雰囲気で550〜1000℃に熱せられた主加熱炉内で熱分解され、主加熱炉の下流側に設けた成長部でグラフェンシートの成長が行われる気相合成法によるグラフェンシートが一層の単層カーボンナノチューブを生成する方法とその方法を実施して単層カーボンナノチューブを製造するための装置である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のSWNTの反応炉の概略を示す図である。
図2は、本発明の製造装置の全体を示す図である。
図3は、実施例2で製造したSWNTの走査型電子顕微鏡写真である。
図4は、実施例2で製造したSWNTの透過型電子顕微鏡写真である。
図5は、実施例1〜3で製造したSWNTのラマン分光スペクトル図である。
図6は、従来のSWNTの反応炉の概略を示す図である。
図7は、比較例2で製造したSWNTの走査型電子顕微鏡写真である。
図8は、比較例1〜3で製造したSWNTのラマン分光スペクトル図である。
図9は、実施例及び比較例4で製造したSWNTの熱質量分析結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明で有機金属化合物は、反応炉で分解して金属微粒子を生成し、触媒として作用するもので、このような化合物としてフェロセン、コバルトセン、ニッケルセン等のメタロセン、鉄ペンタカルボニール(Fe(CO))が挙げられ、特に鉄化合物であるフェロセンが好ましい。
有機溶媒は、有機金属化合物を溶解する溶剤であると同時にカーボンナノチューブの原料ともなるものである。有機溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類やケトン類が挙げられる。
本発明では、有機金属化合物を有機溶媒に0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜0.2質量%の濃度に溶解して使用する。0.01質量%未満では触媒としての効果が発揮されず、1質量%を超えると製品の単層カーボンナノチューブに触媒中の金属が多くなり、好ましくない。
本発明で使用できる不活性ガスとしては、ヘリウムやアルゴン等の希ガス類がよく、反応炉に導入する不活性ガスには水素を5質量%以下含んでいてもよい。
図1に示す反応炉は予熱部、主加熱部及び成長部と各部を所定の温度に加熱保持する保持手段からなる。予熱部の操作温度は50〜600℃、好ましくは100〜400℃、主加熱部では550〜1000℃、好ましくは700〜1000℃で有機金属化合物および有機溶媒(炭素原料)の熱分解を行う。成長部は主加熱部より低い温度で主加熱部で炭素原料が分解して生成した炭素原子をアニーリングしてグラフェンシートを成長させる。
この反応炉において、有機金属化合物の有機溶媒による溶液を噴霧するノズルは、口径が0.01〜1mmであり、背圧100〜1000Torrで反応炉の予熱部へ溶液を微小液滴として噴霧する。噴霧前反応炉は、希ガスで1Torr以下にしておく。噴霧された液滴は予熱部で加熱されて気化する。噴霧した液がすべて気化するので気化したガスは有機金属化合物と有機溶媒の混合比が一定に保たれる。気化したガスは、主加熱部で有機金属化合物が加熱分解されて微小な金属粒子を生じ、その金属粒子を触媒として炭素源である有機溶媒が分解して炭素原子を生成する。次にこれを成長部でアニーリングしてグラフェンシートを成長させる。アニーリングによって成長したカーボンナノチューブを1〜20μmの孔径を有する膜フィルターで捕集することによって高純度の単層カーボンナノチューブを高収率で得ることができる。
なお、反応炉への原料の供給は、有機溶媒に有機金属化合物を溶解した溶液を蒸発させてから行ってもよい。この方法は、炉内に上記溶液を噴霧して溶液を気化させる必要がないため、工業化において最も有効な方法である。このような方法を実現するためには、上記溶液を蒸発させるための蒸発器と、蒸発した溶液を炉内に供給するための供給系と、上記構成と同様の予熱部と主加熱部と成長部とを備えていることが望ましい。
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を更に詳しく説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例1〜3】
図1に示す反応炉を用い、図2に示す製造プロセスにより製造した。
ロータリーポンプで真空状態にした直径24mmのガラス管を2つの炉で加熱する。予備加熱炉は長さ20cm、主加熱炉は長さ30cmである。予備加熱炉を300℃、主加熱炉を800℃、900℃、1000℃に保った状態で、アルゴンガスによって背圧500Torrに加圧された0.2質量%フェロセンのエタノール溶液を0.1mmφのノズルより、1g/minの速度でガラス管内に噴射した。フェロセン−エタノール溶液は、予備加熱炉で気化し、ガス圧は約200Torrとなった。この気化したガス混合物を主加熱炉で加熱するとフェロセン中の鉄が鉄クラスタを形成し、エタノールが分解してSWNTが生成した。これを成長部で冷却した。成長部は反応管を保温することなしに室温にさらした状態で、操作を行った。生成されたSWNTは、成長部の下流にある孔径5μmのメンブレンフィルターで膜状にトラップした。各反応温度におけるSWNTの収率は、フェロセン−エタノール中の鉄と全炭素の質量に対して質量基準でいずれも約80%であった。
得られたSWNTを走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、またラマン分光分析を行った。主加熱温度900℃のときのSEM写真、TEM写真及びラマンスペクトルをそれぞれ図3、4、5に示す。
比較例1〜3
上記実施例1と同様図2に示すプロセスで、図6に示す従来型の反応炉を用いてSWNTを製造した。
ロータリーポンプで真空状態にした直径24mmのガラス管を炉で加熱する。加熱炉は長さ30cmである。触媒として固体のフェロセンを基板に入れて加熱部分に入れ、加熱炉を800℃、900℃、1000℃に保った状態で、装置を真空にした上で、常温のエタノールの蒸気圧によって凡そ10Torrで管内にエタノールを流した。エタノールは、反応炉内で分解してSWNTが生成した。生成されたSWNTは、孔径5μmのメンブレンフィルターで膜状にトラップした。
各反応温度におけるSWNTの収率は、フェロセン−エタノール中の鉄と全炭素の質量に対して質量基準でいずれも約30%であった。
得られたSWNTをSEMで観察し、ラマン分光分析を行った。
加熱温度900℃のときのSEM写真及びラマンスペクトルをそれぞれ図7、8に示す。
このような反応系では、炭素源であるエタノールと触媒の衝突回数に応じて、その反応系内で生成されるSWNTの量が決定される。従って、系内へのエタノールの供給量が少ない状態でSWNTを生成する場合には、系内に多量の触媒を供給して互いの衝突確率を上げなければならない。しかしながら、多くの触媒は、炭素源の分解に寄与するわけではない。このため、系内に供給される炭素源および触媒源の総量と、生成されるSWNTの量との比率である収率は低下する。
さらに、系内に存在するエタノールの量に対する触媒の量が増加するほど、生成されたSWNTに不純物として付着する触媒の量が増加する。このような不純物は、酸処理などの金属除去処理により除去することができるが、SWNT表面に反応性の高い欠陥をつくる原因となる。このため、系内の触媒の量を極力少量として、SWNTに付着する触媒の量を低減し、SWNTの純度を向上させることが望ましい。
上記の比較例においては、10Torrの圧力でエタノールを供給しているため、反応系内に存在するエタノール量が少ない。このため、上述した通り、収率が低いばかりか、高純度のSWNTは生成されない。
これに対して、本発明の実施例においては、500Torrの圧力でエタノールが供給されていることから、多くの炭素源が系内に存在している。このため、系内の炭素源の量に対して触媒の量を多く存在させなくても十分な衝突確率を得ることが可能となり、高い収率でSWNTを生成することが可能となる。さらに、炭素源に対する触媒の量が少ないため、SWNTに付着する触媒の量を減少させることが可能となる。
さらに、本発明の実施例においては、炭素源と触媒源とからなる溶液を噴霧し、さらに気化させた後に、反応炉(主加熱部)に炭素源と触媒源とを供給している。これにより、反応炉において両者とも凝集していない分子の状態で存在させて、効率良く触媒および炭素原子に分解させることが可能となり、原料効率をさらに高めることができる。また、効率的にSWNTを合成する際には、有機金属化合物を不活性ガスの雰囲気下で加熱して有機金属を分解、凝集させ、1nm程度の微細な金属粒子を形成する。その後、さらに高い温度でアルコールなどの炭素源を触媒を用いて分解させ、カーボンナノチューブを成長させることが望まれる。加熱速度が適当でないと粒子サイズの大きな触媒が多量に生成する。粒子サイズの大きな触媒は、単層カーボンナノチューブの生成に有効に寄与せず、残留してSWNTに不純物として付着する。予備加熱炉を設け、原料ガスのフィード量やキャリアガスの流量を変えることにより、加熱速度をコントロール可能であり、反応に有効に利用できる触媒量を増やすことができる。
また、本発明の方法では、原料溶液を噴霧し、気化させる方式をとっているため、反応炉をあえて真空状態に保つ必要がない。本発明の実施例において、多量の原料を炉内に供給可能となっているのはこのためであるが、さらに、炉内を真空状態に保つ必要がないことから、炉内圧力を大気圧程度まで高めることが可能となり、高価な真空容器や真空ポンプを用いずに反応系を安価に構築することができる。このため、本発明の製造方法は、工業化において大きな優位性を有している。
比較例4
触媒金属源として鉄カルボニル、炭素源として一酸化炭素を用いたSWNTの生成例が報告されている(P.Nikolaev et al.,Chemical Physics Letters,313,91−97(1999))。
この報告例においては、200〜500℃に昇温されたCOと鉄カルボニルとを第1の原料供給管を通じて反応炉内に供給するとともに、850℃に昇温されたCOを第2の原料供給管を通じて反応炉に供給する。この時、COが鉄の作用によって分解され、炭素原子が得られ、SWNTが生成される。なお、炉内圧力は1〜10atm、反応炉内温度は800〜1200℃である。
上述のような方法で生成したSWNTについての熱質量分析データを、本発明の実施例で生成したSWNTの熱質量分析データとともに図9に示す。
本発明の実施例のSWNTの熱質量分析データは、比較例4の熱質量分析データに対して、(1)燃焼温度が高い、(2)300℃付近での質量の増加量が少ない、(3)400℃以上での質量の減少量が多い、という3点の大きな差を有している。
燃焼温度の違いは、生成した単層カーボンナノチューブ中の欠陥量の違いと、系内で有効に使われていない触媒の量の違いを示している。欠陥の多いSWNTは低温で燃焼する。また、有効に使われなかった触媒金属が多い場合には、触媒金属が燃焼触媒となり、SWNTの燃焼を誘起するため、SWNTは低温で燃焼する。従って、熱質量分析において燃焼温度が高い本実施例のSWNTは、欠陥が少なく、触媒金属を有効に利用して生成されたものであることがわかる。
300℃以下における質量の増加は、触媒金属の酸化を示しており、増加量の違いは、有効に使われなかった触媒金属の量の違いを示している。有効に使われなかった触媒金属は容易に酸化されるのに対し、有効に使われた触媒金属はSWNTの内部に存在するため、SWNTが燃焼するまで酸化されない。従って、質量増加の少ない本実施例のSWNTには、有効に使われなかった触媒金属の付着量が比較例4のサンプルよりも少ないことがわかる。なお、有効に使われない触媒金属は10nm程度の粒子を形成するが、TEM写真において認められる10nm程度の粒子はこれに該当する。また、TEM写真から非晶質カーボンがほとんど認められないことがわかる。
また、400℃以上での質量の減少は、カーボンナノチューブの燃焼を示しており、質量が減少し飽和した状態の質量比の違いは、カーボンナノチューブに含まれていた不純物の量を示している。すなわち、本発明の方法においては、比較例4のSWNTよりも高純度なSWNTを生成することができるものである。
本発明の製造方法によると、明らかに純度の高いSWNTを高収率で得ることができる。
【産業上の利用可能性】
本発明により製造される単層カーボンナノチューブは、電子材料、機能材料として有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相合成法によって単層カーボンナノチューブを合成する方法であって、希ガス雰囲気の炉内に有機溶媒に有機金属化合物を溶解した溶液を噴霧するステップと、
噴霧した溶液を加熱することによって前記有機金属化合物および有機溶媒をそれぞれ気化するステップと、
気化した有機金属化合物を加熱分解して金属を得るとともに、気化した有機溶媒を前記金属を分解触媒として加熱分解して炭素原子を得るステップと、
得られた炭素原子を用いてグラフェンシートを成長させるステップ
とを有することを特徴とする単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項2】
炉内の圧力を760Torr以下にすることを特徴とする請求の範囲1記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項3】
炉内の圧力を500Torr以下にすることを特徴とする請求の範囲2記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項4】
有機溶媒が、アルコールであることを特徴とする請求の範囲1ないし3のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項5】
アルコールが、エタノールであることを特徴とする請求の範囲4記載の単層カーボンナノチューブ製造方法。
【請求項6】
有機金属化合物が、メタロセンであることを特徴とする請求の範囲1ないし5のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項7】
メタロセンが、フェロセンであることを特徴とする請求の範囲6記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項8】
有機溶媒に有機金属化合物を溶解した溶液の有機金属化合物の濃度が、0.01〜1質量%であることを特徴とする請求の範囲1ないし7のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項9】
背圧が100〜1000Torrの不活性ガスにより加圧された前記溶液を口径0.01〜1mmのノズルを通じて噴霧することを特徴とする請求の範囲1ないし8のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項10】
有機溶媒および有機金属化合物を気化するための加熱温度が、50〜600℃であることを特徴とする請求の範囲1ないし9のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項11】
有機溶媒および有機金属化合物を気化するための加熱温度が、100〜400℃であることを特徴とする請求の範囲10記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項12】
有機溶媒および有機金属化合物を加熱分解するための加熱温度が、550〜1000℃であることを特徴とする請求の範囲1ないし11のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項13】
有機溶媒および有機金属化合物を加熱分解するための加熱温度が、700〜1000℃であることを特徴とする請求の範囲12記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項14】
グラフェンシートを成長させる温度が有機溶媒の加熱温度よりも低いことを特徴とする請求の範囲1ないし13のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項15】
不活性ガスが、アルゴンまたはヘリウムであることを特徴とする請求の範囲1ないし14のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項16】
不活性ガスに5質量%以下の水素ガスを混合することを特徴とする請求の範囲1〜15のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法
【請求項17】
成長したグラフェンシートよりなる単層カーボンナノチューブを膜フィルターを用いて捕集することを特徴とする低い請求の範囲1ないし16のいずれか1項に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項18】
気相合成法によって単層カーボンナノチューブを合成する製造装置であって、
有機溶媒に有機金属化合物を溶解した溶液を所定の背圧の不活性ガスで加圧して噴霧するためのノズルと、
噴霧された溶液を加熱することによって前記有機金属化合物および有機溶媒をそれぞれ気化する予備加熱部と、
予備加熱部で気化された有機金属化合物を加熱分解するとともに、有機金属化合物が加熱分解されて得られた金属を触媒として、予備加熱部で気化された有機溶媒を加熱分解する主加熱部と、
主加熱部で前記有機溶媒が加熱分解されて得られた炭素原子を用いてグラフェンシートの成長を行う成長部と、
前記予備加熱部の炉内温度を50〜600℃に保持する第1の保持手段と、
前記主加熱部の炉内温度を550〜1000℃に保持する第2の保持手段と、
予備加熱部、主加熱部および成長部を希ガス雰囲気に保持する第3の保持手段とを備えたことを特徴とする単層カーボンナノチューブの製造装置。

【国際公開番号】WO2004/060800
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564564(P2004−564564)
【国際出願番号】PCT/JP2003/017056
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(502205145)株式会社物産ナノテク研究所 (101)
【Fターム(参考)】