説明

単層タッチパッド及び使用方法

【課題】単層タッチパッド(電極12の下のタッチパッド)を提供する。
【解決手段】タッチパッドは、比較的透明な基材(10)、この基材に設けられた第1電極(12)、及びこの基材に設けられた検出電極を含む。第1電極及び検出電極は導体でできており、第1電極及び検出電極の組み合わせを使用し、ゾーンでの指示体の存在を検出し、又は多数のゾーンでの多数の指示体の存在を同時に検出する。第1電極及び/又は検出電極は、ディスプレースクリーン上で所定のパターンを視覚的に検出できるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体としてタッチパッドに関する。更に詳細には、本発明は、液晶ディスプレー(LCD)、プラズマディスプレー(PD)、又は陰極線管(CRT)等の視認スクリーンに配置できるタッチパッドに関する。視認スクリーンは、大型テレビやコンピュータ等の定置の物体に記憶されたデータを見るために、又は小型テレビ、ポータブルコンピュータ、PDA、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダー等のポータブルな電気製品でデータを見るために、電子レンジ、ストーブ、冷蔵庫、食器洗い機、洗濯機、ドライヤー、及びステレオ等の家電製品のディスプレーとして使用され、タッチパッドは、使用者がいずれのゾーンと接触しているのかを確認できる。
【背景技術】
【0002】
現在のタッチパッドは、抵抗、静電容量、又は光学的原理に基づいて作動する接触検出装置、又は他の接触検出手段であるという特徴を備えている。タッチパッドの検出電極は、透明基材上に配置できるということが確認されている。この場合、電極は、インジウム錫酸化物(ITO)等の導体から形成される。
【0003】
基材は剛性であっても可撓性であってもよいが、実際には、基材は比較的薄くなくてはならない。比較的透明であり且つ使用者が基材を通して視認スクリーン即ちディスプレースクリーンを見ることができる、基材についての良好な材料には、カプトン(カプトン(KAPTON)は登録商標である)、マイラー(マイラー(MYLAR)は登録商標である)、カダデックス(カダデックス(KADADEX)は登録商標である)、ポリエチレンナフタレート、及び同様の機械的及び電気的性質を持つ他の材料が含まれる。
【0004】
完成したタッチパッドの機能性は、全体として、コンピュータ、テレビ、ポータブル電子装置、又は家電製品についてカーソル制御を提供することを特徴とする。従って、このようなタッチパッドは、シルク社によって提供されているように、タッチパッドが静電容量検出技術を使用する場合、少なくとも二つの検出電極層を必要とする。多数の基材層及びかくして多数の即ち重なった電極層は、一般的には、ほぼ透明なタッチパッドを提供するが、ディスプレー上に配置したときにこれを通して見ることを困難にすることがある。
【0005】
電極の基材層及び材料を薄くし、透明性を向上しようとする試みがなされてきた。これらの試みは、これまでのところ、ディスプレースクリーンをタッチパッドによって不快である程に暗くしてしまう。
【0006】
従って、ディスプレースクリーンの視認を妨げない、ディスプレースクリーンの少なくとも一部に接触してタッチパッドを機能させることができるタッチパッドが必要とされている。
【0007】
タッチパッドの代表的な特徴を考えるとき、カーソル制御及びスクロール性を含める必要がある。しかしながら、これらの特徴は、タッチパッドを使用する特定の装置で常に必要とされるわけではない。
【0008】
例えば、使用者がいずれの領域と接触したのかを示すデータをタッチパッドが装置に送出する場合にはタッチゾーン制御が特徴である。かくして、タッチゾーンは、ボタンやキーの機能を果たすことができる。しかしながら、現在の静電容量検出タッチパッドは、基材及び/又は電極でできた多数の層を使用することによってディスプレースクリーンの上に配置された場合にしかこの種の機能を提供することができない。その結果、ディスプレースクリーンの明瞭さがタッチパッドによって全体として損なわれる。従って、ディスプレースクリーンの上に配置された場合に良好な明瞭さをタッチパッドが提供する、使用者にタッチゾーン制御を提供するタッチパッドを提供するという別の利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、単一の基材上に一つの信号電極及び検出電極を含み、これにより、第2信号電極を使用しないことによりディスプレースクリーンの明瞭さを向上したタッチパッドを提供することである。
【0010】
別の目的は、タッチパッドのセンサ領域内の複数の様々な位置に一つの電極を設けることである。
別の目的は、一つの電極及び検出電極を全体に透明な基材に設けることである。
【0011】
別の目的は、タッチパッドのゾーンと接触している物体をタッチパッドが検出できる単層タッチパッドを提供することである。
別の目的は、タッチパッドの複数のゾーンと接触している多数の物体の存在をタッチパッドが同時に検出できる単層タッチパッドを提供することである。
【0012】
別の目的は、タッチパッドの電極が所望のパターンで配置され、この所望のパターンが少なくとも部分的に視認可能な単層タッチパッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
好ましい実施例では、本発明は、比較的透明な基材、基材上に配置された第1電極、その上に配置された検出電極を含み、第1電極及び検出電極が導体でできており、第1電極を検出電極と組み合わせて使用し、ゾーンでの指示体の存在を検出し、又は多数のゾーンでの多数の指示体の存在を同時に検出し、第1電極及び/又は検出電極が少なくとも部分的に視認可能であり、パターンをディスプレースクリーン上で視覚的に検出できる単層タッチパッドである。
【0014】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴、利点、及び別の特徴は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の様々なエレメントに所与の参照番号が付してある添付図面を参照し、本発明を説明し、当業者が本発明を形成し且つ使用できるようにする。以下の説明は、単に本発明の原理を例示するに過ぎず、特許請求の範囲を狭めるものではないということは理解されるべきである。
【0016】
本発明の現在の好ましい実施例は、単層基材である。ゾーンでの接触を検出するため、この単層基材上で単一の電極(X及びY)及び単一の検出電極だけが必要とされる。単一の電極及び検出電極は、そのタッチパッドにおいて、シルク社が販売している回路等のタッチパッド検出回路に接続されている。タッチパッド検出回路は複数のゾーンのうちのどのゾーンがタッチされているのかを決定する。タッチゾーンは、以前に出願された米国特許出願第60/400,843に説明されているように、単一の電極及び検出電極によって画成される。同特許出願に触れたことにより、この特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0017】
本発明の重要な特徴は、ディスプレースクリーンを見たときに所望のパターンを少なくとも部分的に見えるようにすることができるということである。単層タッチパッドがディスプレースクリーンと使用者との間に配置されている、又はタッチパッドがディスプレースクリーンの下側から見えるものと仮定すると、タッチパッドは、使用者にとって完全に透明ではないのが望ましい。
【0018】
例えば、タッチパッドの電極は、これらの電極で使用された材料の特定の特徴の利点を用いることによって使用者に見えるようにすることができる。電極用の導体を考えると、様々な程度の視認性を得るために導体の幅、厚さ、色彩、及び/又は透明度を変化させることができる。かくして、電極に使用される導体に追加の材料を加えてもよく、これらの追加の材料により導体を暗くしたり明るくしたり、場合によっては導体に色彩を提供する。
【0019】
電極の不透明度を高める目的は、タッチパッド電極の存在をわからないようにするという目的に反するように思われる。しかしながら、電極を少なくとも一つのゾーンで少なくとも部分的に見えるようにすることにより、装置の販売者は、製品の使用者又はバイヤーが所望の側を見ることができるようにする。換言すると、販売者は、装置に画像、ロゴ、又は単語を付けることができ、そのため、使用者又はバイヤーがロゴ又は他のサービス又は商標を視覚的に確認できる場合、製品の製造元が誤認されることがない。
【0020】
図1は、本発明の第1実施例の断面図である。この図は、本発明のタッチパッドを使用する装置での材料の積層を示す。上層は基材材料10であり、ここに単層タッチパッドの電極12が配置される。かくして、基材10は電極12が配置される材料として機能し且つ電極12が損傷しないように電極に重ねられる保護障壁として機能する。次の層は、装置のディスプレースクリーン(図示せず)上に配置される障壁として使用されるガラス又は他のカバー材料14である。
【0021】
図2は、本発明の別の実施例の断面図である。この図では、カバー材料14は、装置のディスプレースクリーンの上層として示してある。電極12は、基材10上に及びカバー材料14に当てて配置される。
【0022】
図3は、本発明の別の実施例の断面図である。この図では、カバー材料14が上層である。基材10が次の層であり、電極12がこの装置に配置される。下層は、装置のディスプレースクリーンの液晶ディスプレー(LCD)である。
【0023】
図4は、本発明の別の実施例の断面図である。図4は、基材10及び電極12の配向が逆の順序になっていることだけが図3と異なる。
図5は、本発明の別の実施例の断面図である。この図では、カバー材料14が上層である。電極12は、カバー材料14の下側に対して直接配置されるように示してある。かくして、カバー材料14は、ディスプレースクリーンに対する保護として機能し、タッチパッドの電極に対する保護及び基材として機能する
図6は、本発明の別の実施例の断面図である。この図では、カバー材料14が上層である。電極12はその下にあり、LCDスクリーン16の上に配置される。かくして、LCDはディスプレースクリーンの部分として機能し且つ電極12の基材として機能する。
【0024】
図7は、本発明の別の実施例の断面図である。この図では、カバー材料14が上層として示してある。次の層はLCD16である。電極12及び基材10がその次に設けられる。電極12及び基材10は順序が逆であってもよい。
【0025】
本発明は、本発明の単層タッチパッドを本発明のディスプレースクリーンと組み合わせるための多くの様々な形体を考えているということは明らかである。これらの他の変更は、本発明の範疇にあるものと考えられなければならない。
【0026】
上文中に説明した構成は、本発明の原理の適用の単なる例示であるということは理解されるべきである。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変形及び変更を案出できる。特許請求の範囲は、このような変形及び変更を含もうとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の断面図である。
【図3】本発明の第3実施例の断面図である。
【図4】本発明の第4実施例の断面図である。
【図5】本発明の第5実施例の断面図である。
【図6】本発明の第6実施例の断面図である。
【図7】本発明の第7実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 基材
12 電極
14 カバー材料
16 LCDスクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
単一の基材層、
前記単一の基材層の第1側に配置された第1電極、
前記単一の基材層の前記第1側に配置された検出電極、及び
ディスプレースクリーンを含み、前記単一の基材層の前記第1側は、前記単一の基材層が前記第1電極及び前記検出電極上の保護障壁であるようにディスプレースクリーンの上面に対して配置されている、単層タッチパッド。
【請求項2】
請求項1に記載の単層タッチパッドにおいて、前記第1電極は、視覚的に検出可能であるように変更できる導体で形成されている、単層タッチパッド。
【請求項3】
請求項2に記載の単層タッチパッドにおいて、前記検出電極は、視覚的に検出可能であるように変更できる導体で形成されている、単層タッチパッド。
【請求項4】
請求項3に記載の単層タッチパッドにおいて、前記導体は、導体の幅、厚さ、色彩、又は透明度を変更することにより、視覚的に検出可能であるように変更される、単層タッチパッド。
【請求項5】
請求項4に記載の単層タッチパッドにおいて、前記導体の透明度は、導体の不透明度を高める材料を導体に加えることによって変更される、単層タッチパッド。
【請求項6】
請求項3に記載の単層タッチパッドにおいて、前記第1電極は、前記ディスプレースクリーンを見たときに視覚的に検出可能な所望のパターンを形成するように配置されている、単層タッチパッド。
【請求項7】
請求項6に記載の単層タッチパッドにおいて、前記検出電極は、前記ディスプレースクリーンを見たときに視覚的に検出可能な所望のパターンを形成するように配置されている、単層タッチパッド。
【請求項8】
請求項7に記載の単層タッチパッドにおいて、前記所望のパターンは、ロゴ、視覚的設計、商標、サービスマーク、及び単語からなる所望のパターン群から選択される、単層タッチパッド。
【請求項9】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
単一の基材層、
前記単一の基材層の第1側に配置された第1電極、
前記単一の基材層の前記第1側に配置された検出電極、及び
ディスプレースクリーンを含み、前記単一の基材層の前記第1側は、前記ディスプレースクリーンの下面に対して配置されている、単層タッチパッド。
【請求項10】
請求項9に記載の単層タッチパッドにおいて、前記単層タッチパッドは、前記単一の基材層の第2側に対して配置された液晶ディスプレーを更に含む、単層タッチパッド。
【請求項11】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
単一の基材層、
前記単一の基材層の第1側に配置された第1電極、
前記単一の基材層の前記第1側に配置された検出電極、及び
ディスプレースクリーンを含み、前記単一の基材層の前記第2側は、前記ディスプレースクリーンの下面に対して配置されている、単層タッチパッド。
【請求項12】
請求項9に記載の単層タッチパッドにおいて、前記単層タッチパッドは、前記単一の基材層の第1側に対して配置された液晶ディスプレーを更に含む、単層タッチパッド。
【請求項13】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
ディスプレー上に設けられた保護スクリーン、
前記保護スクリーンの第1側に配置された第1電極、及び
前記単一の基材層の前記第1側に配置された検出電極を含む、単層タッチパッド。
【請求項14】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
ディスプレー、
前記ディスプレー上に設けられた保護スクリーン、
前記保護スクリーンと前記ディスプレーとの間に配置された第1電極、及び
前記保護スクリーンと前記ディスプレーとの間に配置された検出電極を含む、単層タッチパッド。
【請求項15】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
ディスプレー、
前記ディスプレー上に設けられた保護スクリーン、
前記ディスプレーの下に配置された単層基材、
前記単層基材に配置された第1電極、及び
前記単層基材に配置された検出電極を含む、単層タッチパッド。
【請求項16】
ディスプレースクリーンで使用するための単層タッチパッドにおいて、
ディスプレー、
前記ディスプレー上に設けられた保護スクリーン、
前記ディスプレーの下に配置された単層基材、
前記単層基材と前記ディスプレーとの間に配置された第1電極、及び
前記単層基材と前記ディスプレーとの間に配置された検出電極を含む、単層タッチパッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−522534(P2007−522534A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517432(P2006−517432)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019597
【国際公開番号】WO2004/114265
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501146007)サーク・コーポレーション (19)
【Fターム(参考)】