説明

単純化したビーコンを特徴とするメディア非依存ハンドオーバ(MIH)の方法

1つ以上の異種ネットワーク及び非異種ネットワーク(10,90)の間にメディア非依存ハンドオーバ(MIH)サービスを実装する方法に関する。この方法は、1つ以上のネットワーク(Net)(182)又はモバイルノード(MN)(186,188,190)からMIHビーコン(192)を提供する工程と、別のネットワーク(Net)又はモバイルノードによるMIHビーコンの受信を認識する工程と、認識した受信に応答して、また、1つ以上のネットワーク(Net)又はモバイルノードから続いて提供されるMIHビーコンメッセージに応答して、ハンドオーバ(HO)サービスを実施する工程と、からなる。一実施形態では、MIHビーコンは第1状態及び第2状態のうちの一方を有する1つ以上のMIH性能(MIHC)フラグを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はハンドオーバ機構に関する。より詳細には、本開示はメディア非依存ハンドオーバ(MIH)サービス用の単純化したビーコンに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE 802は、ローカルエリアネットワーク及び都市域ネットワーク用の一群のIEEE標準規格を指す。IEEE 802において指定されるサービス及びプロトコルは、7層開放型システム間相互接続(OSI)ネットワーク参照モデルにおける下位の2つの層へマッピングされている。この下位の2つの層は、データリンク層及び物理(PHY)層に相当する。さらにデータリンク層は、論理リンク制御(LLC)及びメディアアクセス制御(MAC)に相当する2つの副層へ分割されている。
【0003】
新たな標準規格として、IEEE 802.21では、同じタイプのネットワーク間のシームレスなハンドオーバに加え、異なるタイプのネットワーク間のハンドオーバが提供される。したがって、IEEE 802.21では、マルチメディア非依存ハンドオーバ又はメディア非依存ハンドオーバ(MIH)標準規格が参照される。この標準規格によって、セルラー(GSM、GPRS、EDGE、W−CDMA、CDMA、CDMA2000)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、Bluetooth(登録商標)及びIEEE 802.16(WiMAX)のネットワーク間のハンドオーバが可能となる。この新たなIEEE 802.21標準規格は、以下を考慮して必要となった。セルラーネットワーク及び802.11のネットワークには同じネットワーク内のハンドオーバ用のハンドオーバ機構が採用されており、モバイルIPには同じタイプである異なるネットワークを通じるハンドオーバ用のハンドオーバ機構が採用されている。しかしながら、現行のIEEE 802標準規格では、異なるタイプのネットワーク間のハンドオーバはサポートされていない。また、既存のIEEE 802標準規格では、ネットワークアクセスポイントを検出及び選択するための機構が提供されるが、ネットワークタイプに依存しない手法によってネットワークアクセスポイントを検出及び選択することは不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述に加え、無線通信システムの技術分野には様々な問題が存在する。この問題には、次のうちの1つ以上が含まれ得る。1)マルチプロトコル可能ノード間の高速、高信頼性、かつ、一般に認知されているハンドオーバ(HO)機構が存在しないこと、2)異種ネットワーク間のHOサービスは複雑、かつ、低速であること、3)HOサービスに関連して要求されるネットワークオーバヘッドが過剰であること、4)移動加入者に新たな付加サービスを提供しているときに、無線ネットワークの効率及びキャパシティが欠如していること。
【0005】
したがって、当該技術分野における上述の問題を克服するため、改良された方法及び装置の必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態では、本明細書に開示されるようなMIHビーコンを提供することによって、異なる無線ネットワークプロトコル及び有線ネットワークプロトコルの間に標準化されたフォーマットを生じ、MIHサービスを可能とするための高速、高信頼性、かつ、最適な方法の確立を支援する。また、本開示はシームレスなモビリティ技術に対しても適用され得る。
【0007】
詳細には、本開示の実施形態では、メディア非依存ハンドオーバ(MIH)サービス用の単純化したビーコンを提供する。さらに、この実施形態では、マルチプロトコル可能ノード間の高速、高信頼性、かつ、一般に認知されるハンドオーバ(HO)機構を提供し、異種ネットワーク間のHOサービスの単純化及び高速化、HOサービスに関連して要求されるネットワークオーバヘッドの減少、並びに、移動加入者に新たな付加サービスを提供しているときの無線ネットワークの効率及びキャパシティの増大を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、異種ネットワーク10に関する概略ブロック図である。異種ネットワーク10は、モバイルノード(MN)12によって横断される。モバイルノード(MN)12では、無線カバレッジの断絶を生じるモバイルノード(MN)12の移動に基づき、デバイスハンドオーバ(HO)が発生し得る。デバイスハンドオーバ(HO)の発生は、図1の参照符号1,2,3,4によって示される。デバイスハンドオーバ(HO)は、無線リンク状態の変化のために発生する場合もある。図1の例では、異種ネットワーク10はGSMセルラーネットワーク14、IEEE 802.16モバイル及び固定ネットワーク16、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)18、並びにCDMAセルラーネットワーク20を含む。ネットワーク14,16,18,20は各々イーサネット(登録商標)22へ接続している。参照符号1によって示す点では、GSMセルラーネットワーク14とIEEE 802.16モバイル及び固定ネットワーク16との間でモバイルノード(MN)12のデバイスハンドオーバ(HO)が発生する。参照符号2によって示す点では、IEEE 802.16モバイル及び固定ネットワーク16と無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)18との間でモバイルノード(MN)12のデバイスハンドオーバ(HO)が発生する。点3では、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)18とIEEE 802.16モバイル及び固定ネットワーク16との間でモバイルノード(MN)12のデバイスハンドオーバ(HO)が発生する。点4では、IEEE 802.16モバイル及び固定ネットワーク16とCDMAセルラーネットワーク20との間でモバイルノード(MN)12のデバイスハンドオーバ(HO)が発生する。
【0009】
図2は、本開示の一実施形態による局機能エンティティ32とネットワーク機能エンティティ34との間でMIH機能イベントを交換するために用いられる任意の適切なネットワークプロトコルに関する概略ブロック図30である。局機能エンティティ32とネットワーク機能エンティティ34との間の接続には、参照符号36によって示すような物理層シグナリングと、参照符号38によって示すようなMIHシグナリングとが含まれる。局機能エンティティ32は、少なくとも物理層機能(PHY機能(802.xx))ブロック40と、データリンク層機能ブロック42,44とを備える。詳細には、データリンク層機能ブロックは、メディアアクセス制御(MAC)機能(MAC機能(802.xx))ブロック42と、論理リンク制御(LLC)機能(LLC機能)ブロック44とを含む。PHY,MAC,LLC機能ブロックのうちのそれぞれのブロックとの間の通信は、参照符号41,43によって示される。また、参照符号45によって示されるように、LLC機能ブロック44は7レベルOSIモデルにおいてデータに相当する次のレベルと通信を行い、そのレベルからデータを受信する。
【0010】
さらに、局機能エンティティ32はメディア非依存ハンドオーバ機能(MIH機能)ブロック46を備える。PHY,MAC,MIH機能ブロックのうちのそれぞれのブロックとの間の通信は、参照符号48,50によって示される。また、参照符号52,54,56によって示されるように、MIH機能ブロック46は7レベルOSIモデルにおいてそれぞれ管理、第3層及びアプリケーションのレベルの情報に相当する他の層と通信を行い、その層からデータを受信する。
【0011】
ネットワーク機能エンティティ34は、少なくとも物理層機能(PHY機能(802.xx))ブロック60と、データリンク層機能ブロック62,64とを備える。詳細には、データリンク層機能ブロックは、メディアアクセス制御(MAC)機能(MAC機能(802.xx))ブロック62と、論理リンク制御(LLC)機能(LLC機能)ブロック64とを含む。PHY,MAC,LLC機能ブロックのうちのそれぞれのブロックとの間の通信は、参照符号61,63によって示される。また、LLC機能ブロック44は7レベルOSIモデルにおいてデータに相当する次のレベル(図示せず)と通信を行い、そのレベルからデータを受信する。
【0012】
さらに、ネットワーク機能エンティティ34はメディア非依存ハンドオーバ機能(MIH機能)ブロック66を備える。PHY,MAC,MIH機能ブロックのうちのそれぞれのブロックとの間の通信は、参照符号68,70によって示される。また、参照符号72,74,76によって示されるように、MIH機能ブロック66は7レベルOSIモデルにおいてそれぞれ管理、第3層及びアプリケーションのレベルの情報に相当する他の層と通信を行い、その層からデータを受信する。
【0013】
図3は、本開示の一実施形態による(i)MIH可能なモバイルユニット及び(ii)MIH不可能なモバイルユニット、並びに(i)MIH可能なネットワークコントローラ及び(ii)MIH不可能なネットワークコントローラにおいて起こり得るハンドオーバ(HO)シナリオに関する分類テーブル80である。図3に示すように、「MN」は任意の適切なモバイルノードを表し、「ネットワークコントローラ」は任意の適切なネットワークコントローラ、例えば、アクセスポイント(AP)、基地局コントローラ(BSC)、トランシーバ基地局(BTS)などを表す。参照符号82によって示す第1の分類では、モバイルノード及びネットワークコントローラの両方がMIH可能である。したがって、分類1は、モバイルノード及びネットワークコントローラの両方における完全なハンドオーバ(HO)性能を表す。即ち、可能であるか又は必要とされるとき、推奨されるように、MIHハンドオーバ(HO)手続が続く、可能性の高いシナリオである。参照符号84によって示す第2の分類では、モバイルノードはMIH可能であり、ネットワークコントローラはMIH不可能である。したがって、分類2はモバイルノードのみにおけるハンドオーバ(HO)性能を表す。即ち、適用可能な場合、デバイス始動のMIHハンドオーバ(HO)を開始する、より可能性の高いシナリオである。参照符号86によって示す第3の分類では、ネットワークコントローラはMIH可能であるが、モバイルノードはMIH不可能である。したがって、分類3はネットワークコントローラのみにおけるハンドオーバ(HO)性能を表す。即ち、適用可能な場合、ネットワーク始動のMIHハンドオーバ(HO)を開始する、より可能性の高いシナリオである。参照符号88によって示す第4の分類では、モバイルノード及びネットワークコントローラの両方がMIH不可能である。したがって、分類4はMIHハンドオーバ(HO)性能を有しない既存のレガシーシステムを表す。
【0014】
一実施形態では、この方法は、次の重要なモビリティイネイブラ又はコンポーネントによるモビリティ及びハンドオーバ(HO)の属性を含む。1つのコンポーネントは、修正されたビーコンの形態によるネットワーク性能IDを含む。本明細書では、このビーコンをMIHビーコンと呼ぶ。別のコンポーネントはネイティブプロトコルにおける最良適合の使用である。ネイティブプロトコルにおける最良適合は、既存のプロトコルに適合するブロードキャストモードに制御チャンネルコンセプトを実装することを含み、また、配置によって1つのプロトコルから別のプロトコルへ変化してもよい。さらに別のコンポーネントは、プロトコル影響を最小化するように最適化されたチャネル及びスペクトル効率を利用することを含む。モバイルノードデバイス始動のMIHハンドオーバ(HO)では、この方法はリンクメトリック(L3)と、レベル1,2(L1−L2)報告を用いる。また、この方法はレガシーシステムに依存しておらず、MIHハンドオーバが成功裡に実行され得る。換言すると、このMIHハンドオーバの方法は、レガシーシステムによっても機能する。さらに、この方法は、既存のプロトコルについての請求額、料金、サービス品質(QoS)など他のプロトコル要素を、それぞれのプロトコルを変化させることなく考慮に含める。さらに、この方法はリンクセキュリティや上位レベルの保護など、既存のセキュリティ手段を利用する。リンクセキュリティは、AAA、証明、信頼機構などを含むことが可能であり、上位層の保護はDRM(コンテンツ保護)を含むことが可能である。また、この方法は、例えば、バッテリー効率的なネット走査、低電力モードなど、電力節約(PS)モードを利用してもよい。
【0015】
図4は、既存のプロトコルをネイティブモードとして用いる様々な接続を示す、別の異種ネットワーク90に関する概略ブロック図である。示すように、ネットワーク90はイーサネット92、インターネット94、パブリックドメイン交換ネットワーク(PDSN)96、アクセスノード(AN)98、及びセルラートランシーバ基地局(BTS)100を含む。セルラーBTS 100はモバイルノード(MN)102,104,106と通信を行う。AN 98は、PDSN 96、セルラーBTS 100、及び基地局コントローラ(BSC)108との間に接続されている。インターネット94は、イーサネット92、PDSN 96、ハイパーテキストトランスポートプロトコル(HTTP)サーバ110、ファイルトランスポートプロトコル(FTP)サーバ112、及びビデオサーバ114との間に接続されている。インターネット94は、図4に示すように、一連のドット「...」によって表現されるような追加のサーバへ接続されている。また、参照符号118,120,122によって示される一連のアクセスポイント(AP−1,AP−2,...,AP−n)116は、イーサネット92へ接続されている。各アクセスポイント(AP−1,AP−2,...,AP−n)は、それぞれ一連の局STA−1,STA−2,...,STA−nへ接続されている。また、参照符号126,128,130によって示される一連の基地局コントローラ(BSC−1,BSC−2,...,BSC−n)124は、イーサネット92へ接続されている。本開示の一実施形態では、この方法は、既存のプロトコルをネイティブモードとして用いること、わずか2つの新たな要素(即ち、MIH性能(MIHC)フラグを含むMIHビーコンと、MIHビーコンメッセージと)を導入すること、及び、モバイルインターネットプロトコルv6(MoIPv6)を導入すること、に基づく。また、本開示の実施形態による方法は、サービスエンジンが実装に固有であるという点で既存のネット/リンクセキュリティ機構によっているので、異種ネットワークにおける他の要素の変化は不要である。さらに、図4には、異種ネットワークの一例しか示していない。例えば、ネットワークタイプ、局タイプなどに関して、他の構成が可能である。
【0016】
図5は、論理ハンドオーバ(HO)に関するブロック図140である。論理HOの図140では、全てのトラフィックタイプ及びペイロードはイーサネットレベル142に集中しており、ホームアドレス(Home−Adr)、気付アドレス(c/o−Adr)、サブネットフィールドなど、MoIPv6のルールに従う。例えば、関連するネットワークデバイス(図示せず)の層のペア(MAC−xx 144とPHY−xx 146)、(MAC−yy 148とPHY−yy 150)、(MAC−zz 152とPHY−zz 154)はイーサネット142に集中している。また、サービスエンジンは、高速HOにおいて重要な役割を担い、ネイティブトラフィックフロー及び非ネイティブトラフィックフローを可能とするので、必要とされるとき、関連するネットコントローラが調和することが可能である。
【0017】
本開示の実施形態では、MIHビーコンを提供する方法は、(i)MIHビーコンをブロードキャストするように構成されているネットワーク及びモバイルノード(MN)、(ii)バックグラウンドでネットワークを走査するように構成されているモバイルノード(MN)、(iii)近隣のネットワークを広告するように構成されているモバイルノード、のうちの1つ以上を含む。MIHビーコンをブロードキャストするように構成されているネットワーク及びモバイルノード(MN)の実施形態に関して、ブロードキャストは定期的なブロードキャストを含む。ビーコンは、ネットワークのMIH性能及びモバイルノードのMIH性能を含む。これに代えて、別の実施形態では、ネットワークはMIH性能フラグのみをブロードキャストするように構成されている。この実施形態では、MNは、ネットワークがMIH可能であることを認識するように構成されている。ネットワークがMIH可能であると認識することに応じて、MNは詳細なMIH性能についてネットワークに問い合せを行う。さらになお、反対にMNにおいてもこの実施形態が実行され得る。その場合、MNはMIH性能フラグのみをブロードキャストするようになど、構成されている。
【0018】
別の実施形態では、モバイルノード(MN)はバックグラウンドでネットワークを走査するように構成されている。この実施形態では、MNは、そのMNが新たなネットワーク上にローミングを行うことを望む時を決定する。MNは登録中に新たなネットワークと基本性能を交換するが、MNと新たなネットワークとの両方のMIH性能は登録処理中に交換される。
【0019】
別の実施形態では、モバイルノード(MN)は近隣のネットワークを広告するように構成されている。この実施形態では、MNは、そのMNが聴取したネットワークの定期的なブロードキャストを実行する。
【0020】
一実施形態では、MIHビーコンを用いる方法は、MIHビーコンをブロードキャストするようにネットワークを構成することを含む。詳細には、ネットワークはMIHビーコンを定期的にブロードキャストするように構成される。MIHビーコンは、ブロードキャストネットワークのMIH性能を含む。この実施形態では、既存のプロトコルに対する様々な修正が必要である。新たな管理メッセージ、又は他の適切なフレームは、MIHビーコンを示すため、また、ネットワークのMIH性能を通信するために用いられる。また、MIH性能を定義するために新たなデータタイプが提供される。
【0021】
本開示の一実施形態では、MIHネットワーク選択シナリオは次を含み得る。1)電源投入(又は関連の)イベント時に、MNがMIHビーコンの存在を走査する。この走査には、例えば、最初にMNネイティブモードで走査し、次いで、所与の電源投入イベント又は関連のイベントに適切であるように、他のモードへ移ることが含まれ得る。MIHビーコンの存在の検出に応答して、利用可能な場合、MNは即座にネイティブモードで登録を行う。2)MNは、複数のネットワークからMIHビーコンを受信する場合、ネットワークタイプを判定及び記録し、サービスエンジンなどによる影響を用いる。3)さらにMNは一次機能を判定するように構成されている。この一次機能は(i)サービスエンジンルールを順守してネットワーク選択を判定すること、及び(ii)関連付ける又は関連付けないという決定に影響を与えるリンクメトリック、を含み得る。4)リンクメトリックに基づくネットワーク選択及び決定を判定し、所与のネットワークと関連付けることに応答して、MNが相当するネットワークに登録する。
【0022】
図6は、本開示の一実施形態による方法において用いられるMIHビーコンメッセージコンテンツ160に関するブロック図である。MIHビーコンメッセージコンテンツ160は、MACヘッダ162、サービス品質(QoS)レベル164(4ビット)、アプリケーションクラス166(4ビット)、ネットワークタイプ(NET−TYPE)168(4ビット)、キャリア識別170(キャリアID)(32ビット)、信頼レベル172(4ビット)、キャパシティ174(4ビット)、拡張サービス176(4ビット)、及び巡回冗長検査(CRC)178のうちの1つ以上を含む、幾つかのフィールドを含む。
【0023】
さらに、MIHビーコンはMIH性能(MIHC)フラグを含む。このフラグは、任意の所与の時間において、2つの状態のうちの1つを含むことが可能である。例えば、MIHCフラグは、TRUE状態及びFALSE状態のうちのいずれかを表す、単一ビットを含む。したがって、そのようなMIHCフラグによって、スペクトル的に最も効率的なオプションが提供される。一実施形態では、MIHCフラグは、MIHビーコンをブロードキャストすることの一代替案であり、より少ないオーバヘッド(1ビット対多ビット)しか必要とせず、拡張の余地の制限されている既存のプロトコルによって、より良好に機能する。MIHCフラグは、通常の方式で送信される事実上任意のパケット(又はパケットヘッダ)に挿入され得る。この場合、MIHCフラグは、ネットワーク及びMNの両方に認識されている所定の位置に配置される。MIHCフラグを受信すると、MNは以下の段落に記載の手続にしたがって、ネットワークの正確なMIH性能を判定する。
【0024】
一実施形態では、MIHCフラグがセットされている場合、即ち、TRUEである場合、幾つかのオプションが実装される。それらのオプションは、例えば、次のうちの1つ以上を含む。(i)MNは追加の詳細をネットワークに問い合わせ、その性能情報をネットワークと共有する、(ii)実装の一例として、フレキシブルエクステンシブルマークアップランゲージ(XML)及びパーミッションの適切な形態によって、性能情報サービス(IS)も共有される、(iii)サービスエンジンは参照を実行し、例えば、デコード用の参照テーブルへマッピングされている各フィールドなど、適切なMIH詳細を得る。
【0025】
また、MIHCフラグがセットされていない場合、即ち、FALSEである場合にも、MNは、ルーティング情報と共にMNの訪問中のネットワークの情報(ネット情報)をMNのネイティブネットワーク(ネット)へ送信することによって、ネットワークに登録する。サービスエンジンは、所与のハンドオーバに適切であるように、関連又は他のオプションを判定する。
【0026】
MIHフィールドコンテンツには、MIH性能情報フィールド又はサービス(IS)が含まれ得る。MIH性能情報フィールド又はサービス(IS)は、必須のIS又は随意のISであり得る。必須のフィールド及び随意のフィールドを含むことによって、柔軟な拡張の提供が可能となる。必須分類は、例えば、Netタイプ、QoS分類、料金/無料、キャリアID、信頼レベル、キャパシティ、拡張サービス及びリンクメトリックのうちの1つ以上を含むことが可能である。随意のフィールドは、例えば、拡張Netタイプ、データレート、キャパシティ、拡張サービスサポート、ホームNetメンバ、セキュリティグレード、ノマディックサポートなどのうちの1つ以上を含むことが可能である。さらに、一実施形態は、MIH用のフィールドコンテンツの共通セットを採用することを含む。
【0027】
図7は、本開示の一実施形態による方法において実行されるハンドオーバ(HO)のプローブ/レスポンスフローに関する図180である。示すように、ハンドオーバはAlt−Net 182、Net−xxネットワークコントローラ184、Net−xx MN(1)186、Net−xx MN(2)188,...,Net−xx MN(n)190のうちの1つ以上を伴い得る。この図では、Alt−Net 182がMIHビーコン192をブロードキャストする。MIHビーコン192に応答して、参照符号194,206,210によって示すように、Net−xxネットワークコントローラ184はMNへNetコントローラ問い合せを出力する。Netコントローラ問い合せ194,206,210に応答して、それぞれMN 190,188,186はNetコントローラ184に適切なMN応答を提供する。この実施例では、MNレスポンス196に応答して、参照符号198によって示すように、ネットワークコントローラ184はMN 190とハンドオーバについて交渉する。200にて、MN 190はネットワークコントローラ184へ応答する。次いで、参照符号202によって示すように、ネットワークコントローラ184はAlt−Net 182とのハンドシェイクを実行する。次いで、参照符号204によって示すように、MNがAlt−Net 182とのハンドシェイクを行う。
【0028】
さらに、図7の例に関連して、本開示の実施形態は、次のようなハンドオーバ(HO)におけるコンセプトの工程を含み得る。(1)ネットワークによる共通の基準を用いるMIH性能の広告、(2)L2による関連するL1へのリンクメトリックについての問い合せ、(3)L1による関連パラメータの報告、(4)2つのオプションを含め、L2(又は他の上位エンティティ)によるHOの適切さの判定、及び(5)HO及び最終的な転送の交渉。
【0029】
一工程では、ネットワークによる共通の基準を用いるMIH性能の広告には、例えば、(a)ネットワークがリンク情報システム(IS)を用いるMIHビーコンに基づき広告すること、(b)サービスエンジン要件を満たす又はサービスエンジン要件を強化するネットワーク広告、が含まれ得る。別の工程では、L2による関連するL1へのリンクメトリックについての問い合せには、例えば、(a)L2による関連サービス/好適なサービスの認識、(b)L2によるキーピングタブなどからサービス中のHOの区別、(c)L2の問い合せは全てサービスエンジンによって始動されること、が含まれ得る。別の工程では、L1による関連パラメータの報告には、例えば、(a)L1によるリンク品質及び接続タイプの報告、(b)L2による合意済みリストについてのメトリックの報告、(c)特定のHOシナリオに適切であるような、連続的、定期的、又は必要とされる時のL2による報告、が含まれ得る。さらに別の工程では、2つのオプションを含め、L2(又は他の上位エンティティ)によるHOの適切さの判定には、(a)デバイスがHOをリクエストすること(ユーザ始動)、(b)ネットワークがHOをリクエストすること(キャリア始動)が含まれ得る。別の工程では、HO及び最終的な転送の交渉には、例えば、(a)サービス及び関連する性能の維持、(b)適切なサービス等級、請求額合意などの維持、などが含まれ得る。さらに、このHOについて多くのオプションが開発され得る。図7には、代替のネットワークを含むMIH Netコントローラ、MNなどへの例示的なプローブ/レスポンスフローを示す。
【0030】
また、さらに別の実施形態では、メディア非依存ハンドオーバ(MIH)サービスを実装する方法は、合意済みルールへの準拠の表示としてのMIHCフラグの処置を含み得る。この合意済みルールでは、MIH性能情報は無線接続を通じて送信されず(即ち、セキュリティの理由のため)、その代わりに、MNを認証しMIH性能情報を返す、登録データベース又はサービスエンジンへの有線(イーサネット)接続を開始することが指定されてもよい。
【0031】
リンクメトリックの例は、リンク品質のインジケータを含み得る。リンク品質のインジケータは、次のうちの1つ以上を含む。PHY/MACパラメータの組合せ、RSSI、SNR、PER/BER、RTS/CTS、サポートされる最大PHYデータレート、パワーマネージメントモード、RTSしきい値、サービス優先度、フレームサイズ及び間隔、断片化状態、未ACKフレームの再試行、管理及び制御フレーム、キャパシティ又はポピュレーション(MNの数)に関するメトリック、PHYタイプ、公称ビーコン区間など。また、一部のリンクインジケータはアプリケーション又はサービスと正規化されてもよい。全てのネットワークタイプを通じて必ずしも全ての要素が報告に利用可能である、又は適切であるとは限らない。換言すると、必須であるリンク品質インジケータからなる幾つかの基本セットが存在し他のセットはサービスエンジン固有、かつ、随意であり得る。さらに、一般にサービスエンジンが最終的な判定を行うので、報告されるリンクメトリックは、何であれMIHの一因子に過ぎない。
【0032】
本開示の実施形態では、(a)残りのリンクに対する据置アドレスと、(b)別のフィールドの後部のネットワーク(などの)詳細との続く最小の情報量を用いてMIHシグナリングを可能とする、スペクトル効率的なMIHビーコンを提供する。この方法では、(a)チャネルのオーバーヘッド及び(b)リンクトラフィックのうちの一方又は双方を最小化し、HO対象の/HO可能なMNによって、さらに細かい詳細を参照することのみを可能とすることが意図される。これらのタイプの節約(即ち、チャネルオーバーヘッド又はリンクトラフィックの最小化)の効果は、このタイプのビーコンの周波数や長さに依存して変化し、また、チャネル状態、例えば、ノイズ、信号強度及び全ポピュレーション、並びにメンバがネットワークコントローラと関連解除又は再関連付けする頻度に依存する。また、この方法は、MIHシグナリングに伴う様々なプロトコルに対する影響を最小化する。
【0033】
本開示の実施形態の目標は、IEEE 802.21ワーキンググループ(WG)の要件を厳守しつつ、複数のプロトコルをサポート可能なモバイルノード及びネットワークにおいてMIHサービスを実施することである。本開示の実施形態は、以下の使用によって評価され得る。各MNはMIH可能なマルチモードMNを含み得る。第2層(L2)を通じてサポートされる機能は、以下を含む。ネット検出、ネット選択及びシームレスHO。アプリケーション分類は適切な分類システムに基づく。
【0034】
上述において、明細書では、様々な実施形態に関連して開示を行った。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることが、当業者には認識される。したがって、明細書及び図面は限定的な意味ではなく、例示的な意味を有すると見なされるものであり、そうした修正は全て、本発明の実施形態の範囲に包含されることが意図される。したがって、本開示の実施形態では、異なる無線ネットワークプロトコル及び有線ネットワークプロトコルの間に標準化されたフォーマットを生じることによって、MIHサービスを可能とするための高速、高信頼性、かつ、最適な方法の確立を支援する。さらに、本開示の実施形態はIEEE 802.21に関して説明されているが、実施形態は、例えば、無認可モバイルアクセス(UMA)、固定−モバイル収束アライアンス(FMCA)、デジタルリビングネットワークアライアンス(DLNA)及び他の類似の標準規格を含む、IEEE 802.21以外の標準規格にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】異種ネットワークに関する概略ブロック図。
【図2】本開示の一実施形態による局機能エンティティとネットワーク機能エンティティとの間でMIH機能イベントを交換するために用いられる任意の適切なトランスポートプロトコルに関する概略ブロック図。
【図3】本開示の一実施形態による(i)MIH可能なモバイルユニット及び(ii)MIH不可能なモバイルユニット並びに(i)MIH可能なネットワークコントローラ及び(ii)MIH不可能なネットワークコントローラにおいて起こり得るハンドオーバ(HO)シナリオに関する分類テーブル。
【図4】既存のプロトコルをネイティブモードとして用いる様々な接続を示す、別の異種ネットワークに関する概略ブロック図。
【図5】論理ハンドオーバ(HO)に関するブロック図。
【図6】本開示の一実施形態による方法において用いられるMIHビーコンメッセージコンテンツに関するブロック図。
【図7】本開示の一実施形態による方法において実行されるハンドオーバ(HO)のプローブ/レスポンスフローに関する図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の異種ネットワーク及び非異種ネットワークの間にメディア非依存ハンドオーバ(MIH)サービスを実装する方法であって、
1つ以上のネットワーク(Net)又はモバイルノード(MN)からMIHビーコンを提供する工程と、
別のネットワーク(Net)又はモバイルノードによるMIHビーコンの受信を認識する工程と、
認識した受信に応答して、また、1つ以上のネットワーク(Net)又はモバイルノード(MN)から続いて提供されるMIHビーコンメッセージに応答して、ハンドオーバ(HO)サービスを実施する工程と、からなる方法。
【請求項2】
ネットワークはネットワークコントローラ(Netコントローラ)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハンドオーバ(HO)はネットワーク始動ハンドオーバである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ハンドオーバ(HO)はモバイルノード始動ハンドオーバである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ネットワーク(Net)及びモバイルノード(MN)の両方はMIH可能であり、ハンドオーバ手続は必要に応じてネットワーク始動又はモバイルノード始動である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ネットワーク(Net)はMIH不可能であり、モバイルノード(MN)はMIH可能であり、ハンドオーバ手続は必要に応じてモバイルノード始動である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ネットワーク(Net)はMIH可能であり、モバイルノード(MN)はMIH不可能であり、ハンドオーバ手続は必要に応じてネットワーク始動である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
MIHビーコン及びMIHビーコンメッセージはHOサービスに関連して要求されるネットワークオーバヘッドを減少させる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
MIHビーコンは第1状態及び第2状態のうちの一方を有する1つ以上のMIH性能(MIHC)フラグを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1状態及び第2状態のうちの一方はTRUEを表し、第1状態及び第2状態のうちの他方はFALSEを表す請求項9に記載の方法。
【請求項11】
MIHCフラグは単一ビットを含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
MIHCフラグが第1状態であることはMIHCフラグがセットされていることを表す請求項9に記載の方法。
【請求項13】
MIHCフラグが第1状態であることに応答して、1つ以上の第1状態HOオプションを実装する工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の第1状態HOオプションはMNが追加の詳細についてネットワークに問い合せを行うこと又はMNがネットワークと性能情報を共有することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
性能情報を共有することはフレキシブルXML及びパーミッションの形態を共有することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の第1状態HOオプションはサービスエンジンが参照を実行してMIH詳細を読み出すことを含むことと、規定のフィールドは相当するデコード用の参照テーブルへマッピングされていることと、を含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
MIHCフラグが第2状態であることはMIHCフラグがセットされていないことを表す請求項9に記載の方法。
【請求項18】
MIHCフラグが第2状態であることに応答して、1つ以上の第2状態HOオプションを実装する工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の第2HOオプションは(i)MNがネットワークに登録すること、(ii)MNがそのMNのネイティブネットワークへ(a)訪問中のネットワークの情報及び(b)ルーティング情報を送信すること、並びに、(iii)サービスエンジンが(a)MNと訪問中のネットワークとの間の関連又は(b)他の代替オプションを判定することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
異なる無線ネットワークプロトコルと有線ネットワークプロトコルとの間のメディア非依存ハンドオーバ(MIH)サービスを可能とする方法であって、
1つ以上のネットワーク(Net)又はモバイルノード(MN)からMIHビーコンを提供する工程と、
別のネットワーク(Net)又はモバイルノードによるMIHビーコンの受信を認識する工程と、
認識した受信に応答して、また、1つ以上のネットワーク(Net)から続いて提供されるMIHビーコンメッセージに応答して、ハンドオーバ(HO)サービスを実施する工程と、
MIHビーコンは第1状態及び第2状態のうちの一方を有する1つ以上のMIH性能(MIHC)フラグを含むことと、
MIHCフラグが第1状態であることに応答して、
1つ以上の第1状態HOオプションを実装する工程と、1つ以上の第1状態HOオプションは(a)MNが追加の詳細についてネットワークに問い合わせを行うこと若しくはMNがネットワークと性能情報を共有すること、又は(b)モバイルノード若しくはサービスエンジンが参照を実行してMIH詳細を読み出すことを含むことと、規定のフィールドは相当するデコード用の参照テーブルへマッピングされていることと、
MIHCフラグが第2状態であることに応答して、
1つ以上の第2状態HOオプションを実装する工程と、1つ以上の第2状態HOオプションは(i)MNがネットワークに登録すること、(ii)MNがそのMNのネイティブネットワークへ(a)訪問中のネットワークの情報及び(b)ルーティング情報を送信すること、並びに(iii)サービスエンジンが(a)MNと訪問中のネットワークとの間の関連又は(b)他の代替オプションを判定することを含むことと、からなる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−519507(P2008−519507A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539367(P2007−539367)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/040137
【国際公開番号】WO2006/052805
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】