説明

単結晶成長装置の断熱装置およびこれを含む単結晶成長装置

本発明は、単結晶成長装置の断熱装置およびこれを含む単結晶成長装置に関するものである。本発明の単結晶成長装置の断熱装置は、単結晶成長装置のチャンバー内に設置される断熱装置において、前記断熱装置は、第1距離に離隔されて形成される複数の断熱ブロックを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶成長装置の断熱装置およびこれを含む単結晶成長装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造するためにはウェハを製造し、ウェハを製造のためには単結晶シリコンをインゴット形態に成長させる。
【0003】
シリコン単結晶インゴットIGの成長のための代表的な製造方法としては、単結晶の種結晶を溶融シリコンに漬けた後ゆっくり引き上げながら結晶を成長させるチョクラルスキー(Cz)法がある。
【0004】
従来技術によれば、単結晶成長工程での断熱材は、ヒーターから発生した熱を外部に逃さないように設計されている。このような設計によって、ヒーターの外側部を熱伝導度が低い断熱材により熱損失を遮断しており、断熱材の厚さはできるだけ厚くしている。
【0005】
一方、従来技術による単結晶成長装置は、ヒーターから発生した熱が外部に流出ないように断熱材の厚さを利用して制御することで、熱の3つ特性でる伝導、対流、輻射のうち、伝導のみを考慮して熱の流出を抑制しようとする限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、熱の流れを効果的に遮断できる単結晶成長装置の断熱装置およびこれを含む単結晶成長装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の単結晶成長装置の断熱装置は、単結晶成長装置のチャンバー内に設置される断熱装置において、前記断熱装置は、第1距離に離隔されて形成される複数の断熱ブロックを含む。
【0008】
また、本発明の単結晶成長装置は、ヒーターを備えるチャンバーと、前記ヒーターの一側の前記チャンバー内部に設置される断熱装置と、を含み、前記断熱装置は、第1距離に離隔されて形成される複数の断熱ブロックを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の単結晶成長装置の断熱装置およびこれを含む単結晶成長装置によれば、対流や輻射を利用しても熱の流れを効果的に遮断することができる。
【0010】
また、本発明によれば、単結晶成長工程でヒーターパワー(Heater Power)値を300mm基準、約3KW〜8KWまでダウンでき、これによってルツボの劣化現象の減少およびホットゾーンの寿命増加および工程費用の減少などの効果がある。
【0011】
また、本発明によれば、ヒーターパワーが高い場合、ルツボ近くの温度が高いのでメルト(melt)の状態が不安定になるが、ヒーターパワーを下げることでメルトを安定状態にすることができる。
【0012】
また、本発明による単結晶成長装置の断熱装置を適用した場合、同一ヒーターパワーでの作業時、従来の単結晶成長装置に比べてシリコン溶融時間(melting time)が短くなる効果がある。
【0013】
また、本発明によれば、450mmのような大口径の結晶成長時にはヒーターパワー値の減少が重要であるだけに、その減少は大口径の結晶成長技術において大きい効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係る単結晶成長装置の例示図である。
【図2】第1実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の部分断面図である。
【図3】第2実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の部分断面図である。
【図4】第3実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の部分断面図である。
【図5】従来技術による単結晶成長装置の熱分布シミュレーション例示図である。
【図6】第1実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の熱分布シミュレーション例示図である。
【図7】第2実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の熱分布シミュレーション例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターンまたは構造物が基板、各層(膜)、領域、パッドまたはパターンの「上」または「下」に形成されると記載される場合、「上」と「下」は「直接」または「他の層を介して」形成されるものを全部含む。また、各層の上または下に対する基準は、図面を基準として説明する。図面における各構成要素の大きさは、説明の便宜を図って誇張されることがあり、実際適用される大きさを意味するものではない。
(実施例)
図1は、実施例に係る単結晶成長装置100の例示図である。
【0016】
実施例に係る単結晶成長装置100は、チャンバー110、ルツボ120、ヒーター127、引上手段(図示されない)等を含むことができる。
【0017】
例えば、実施例に係る単結晶成長装置100は、チャンバー110と、前記チャンバー110の内部に備えられ、シリコン融液SMを収容するルツボ120と、前記チャンバー110の内部に備えられ、前記ルツボ120を加熱するヒーター127および単結晶インゴットIGを取囲む冷却管115等を含むことができる。
【0018】
前記チャンバー110は、半導体などの電子部品素材として用いられるシリコンウェハ用単結晶インゴットを成長させるための所定の工程が実施される空間を提供する。
【0019】
前記チャンバー110は、ルツボ120が収容される成長チャンバーと、前記成長チャンバー上に単結晶インゴットIGが成長していくプルチャンバーを含むことができる。
【0020】
前記チャンバー110の内壁には、ヒーター127の熱が前記チャンバー110の側壁部に放出されないように断熱装置130を設置することができる。
【0021】
実施例は、シリコン単結晶成長時の酸素濃度を制御するために、ルツボ120の回転、内部の圧力条件など様々な因子を調節することができる。例えば実施例は、酸素濃度を制御するために、シリコン単結晶成長装置のチャンバー110内部にアルゴンガスなどを注入して下部に排出することができる。
【0022】
前記ルツボ120は、シリコン融液SMを収容できるように前記チャンバー110の内部に備えられ、石英材質からなることができる。前記ルツボ120の外部には、ルツボ120を支持できるように黒鉛からなるルツボ支持台125を設けることができる。前記ルツボ支持台125は、回転軸(図示されない)上に固定設置され、この回転軸は駆動手段(図示されない)によって回転して、ルツボ120を回転および昇降運動させながら、固液界面が同一高さを維持するようにする。
【0023】
前記ヒーター127は、ルツボ120を加熱するようにチャンバー110の内部に設けることができる。例えば、前記ヒーター127はルツボ支持台125を取囲む円筒状に形成することができる。このようなヒーター127は、ルツボ120内に積まれた高純度の多結晶シリコン塊を溶融させて、シリコン融液SMとすることになる。
【0024】
実施例は、シリコン単結晶インゴットIG成長させる製造方法として、単結晶の種結晶をシリコン融液SMに漬けた後ゆっくり引上げながら結晶を成長させるチョクラルスキー(Cz)法を採用することができる。
【0025】
この方法によれば、種結晶から細長い結晶を成長させるネッキング(necking)工程と、結晶を直径方向に成長させて目標直径とするショルダーリング(shouldering)工程と、一定の直径を有する結晶に成長させるボディグローイング(body growing)工程と、一定の長さにボディグローイングが進んだ後、結晶の直径を徐々に減少させて最終的に溶融シリコンと分離させるテーリング(tailing)工程を順に経ることで、単結晶インゴットIGの成長が完了する。
【0026】
図1は、単結晶インゴットIG成長工程中のボディグローイング工程を示している。
【0027】
図2は、第1実施例に係る単結晶成長装置中の断熱装置の部分断面図である。
【0028】
第1実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置130は、所定の第1距離d1に離隔されて形成される複数の断熱ブロック131、132、133、134、135を含むことができる。
【0029】
実施例によれば、断熱装置130の断熱材を1つのブロックではなく、複数の断熱ブロック131、132、133、134、135に分けた形態に形成することで、輻射による断熱効果によりヒーターのパワー値を減少させることができる。
【0030】
図2では、断熱ブロックの個数を5個としているが、断熱ブロックの個数はこれに限定されるものではなく、2以上の複数にすることができる。
【0031】
また、実施例は、前記断熱ブロック131、132、133、134、135の間の離隔距離を約1mm〜約5mmの第1距離d1に離隔させることで、輻射による断熱効果によってヒーターのパワー値を減少させることができる。
【0032】
実施例で、前記断熱ブロック131、132、133、134、135の間の離隔距離である第1距離d1は、同一距離に限定されず、約1mm〜約5mm範囲でそれぞれ異なる距離を有するようにすることもできる。
【0033】
【表1】

表1は、断熱ブロック間の第1距離によるヒーターパワー値である。
【0034】
第1実施例によれば、断熱ブロックを複数にし、断熱ブロック間の離隔距離を約1mm〜約5mmに離隔させることで、輻射による断熱効果によってヒーターのパワー値を約1KW程度減少させることができる。
【0035】
図3は、第2実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の部分断面図である。
【0036】
第2実施例は、上記第1実施例の技術的な特徴を採用することができる。
【0037】
第2実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置は、前記断熱ブロック131、132、133、134、135の間に第1断熱層137をさらに含むことができる。
【0038】
例えば、実施例は、輻射効果を考慮して複数の断熱ブロックの間に、断熱ブロックより放射率(emissivity)が低い第1断熱層137を介在させることができる。
【0039】
例えば、放射率が0.8より低い材質を第1断熱層137として追加する場合、断熱効果が増加し、ヒーターパワー値を減少させることができる。
【0040】
実施例は、黒鉛(Graphite)の放射率0.8より低い約0.45の放射率を有するスチール(steel)等を前記第1断熱層137の材質として採用できるが、これに限定されるものではない。
【0041】
実施例で、前記断熱ブロックと前記第1断熱層137の間の第2距離d2は1mm〜10mmにすることができる。
【0042】
【表2】

表2は、断熱ブロックと第1断熱層137の間の第2距離d2によるヒーターパワー値である。
【0043】
第2実施例によれば、放射率が低い材質を断熱ブロックの間に第1断熱層137として追加する場合、断熱効果が増加し、ヒーターパワー値が著しく減少することが分かる。
【0044】
図4は、第3実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の部分断面図である。
【0045】
第3実施例は、上記第1実施例、第2実施例の技術的な特徴を採用することができる。
【0046】
第3実施例は、前記第2実施例と比べて、前記断熱ブロック131、132、133、134、135の外壁に、コーティングされた第2断熱層138を含むことができる。
【0047】
前記第2断熱層138は、前記断熱ブロックより低い放射率を有し、前記第2断熱層138間の第3距離d3は1mm〜10mmにすることができる。
【0048】
図5は従来技術による単結晶成長装置の熱分布シミュレーション例示図、図6は第1実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の熱分布シミュレーション例示図で、図7は第2実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置の熱分布シミュレーション例示図である。
【0049】
図5は、従来技術によりチャンバー10、ヒーター27、単一ブロックの断熱材30を備える例であり、図6は第1実施例により5個の断熱ブロックを約1mm間隔に設定した例である。
【0050】
第1実施例によれば、断熱ブロックを複数にし、断熱ブロック間の離隔距離を約1mm〜約10mmに離隔させることで、輻射による断熱効果によってヒーターのパワー値を約1KW程度減少させることができる。
【0051】
図7は、放射率が低い物質を第1断熱層として断熱ブロックの間に入れて断熱効果を増大させた例として、例えば黒鉛材質の断熱ブロックの間に、約1mm厚さのスチール材質の第1断熱層137を、断熱ブロックとの距離が約1mmとなるようにして配置した場合のシミュレーション例である。
【0052】
第2実施例によれば、放射率が低い材質を断熱ブロックの間に第1断熱層137として追加する場合、断熱効果が増加し、ヒーターパワー値を約3KW以上減少させることができる。
【0053】
実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置およびこれを含む単結晶成長装置によれば、対流や輻射を利用しても熱の流れを効果的に遮断できる。
【0054】
また、実施例によれば、単結晶成長工程でヒーターパワー値を300mm基準、約3KW〜8KWまでダウン可能となり、これによってルツボの劣化現象の減少およびホットゾーンの寿命増加および工程費用の減少などの効果がある。
【0055】
また、実施例によれば、ヒーターパワーが高い場合、ルツボ近くの温度が高いのでメルト(melt)の状態が不安定になるが、ヒーターパワーを下げることでメルトを安定状態にすることができる。
【0056】
また、実施例に係る単結晶成長装置の断熱装置を適用する場合、従来の単結晶成長装置と比較して、同じヒーターパワーで作業時シリコン溶融時間(melting time)が減る効果がある。
【0057】
また、実施例によれば、450mmのような大口径の結晶成長時にはヒーターパワー値の減少が重要であるだけに、その減少は大口径の結晶成長技術において大きい効果を奏することができる。
【0058】
以上の実施例で説明された特徴、構造、効果などは、少なくとも1つの実施例に組合せることができ、必ず1つの実施例に限定されるものではない。また、各実施例に例示した特徴、構造、効果などは、当業者であれば、別の実施例に組合せたり変形して実施可能であり、このような組合と変形も本発明の範囲内に含まれるものであると解釈されるべきである。
【0059】
また、以上では実施例を中心に本発明を説明したが、これは例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上に例示されていない多様な変形と応用が可能であることは自明である。例えば、実施例に具体的に開示された各構成要素は、変形して実施可能であり、このような変形と応用に係る差異点も、添付された特許請求の範囲の範囲内に含まれるものであると解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、単結晶成長工程でシリコンインゴットの直径300mmを基準とする場合、ヒーターパワー値を約3KW〜8KWまでダウン可能となるが、これに限定されるものではない。
【0061】
例えば、本発明は、450mmのような大口径のシリコンインゴット結晶成長時に、ヒーターパワー値の減少などのために適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶成長装置のチャンバー内に設置される断熱装置において、
前記断熱装置は、第1距離に離隔されて形成される複数の断熱ブロックを含む単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項2】
前記断熱ブロック間の第1距離は1mm〜5mmである請求項1に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項3】
前記断熱ブロックの間に第1断熱層をさらに含む請求項1に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項4】
前記断熱ブロックと前記第1断熱層の間の第2距離は1mm〜10mmである請求項3に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項5】
前記第1断熱層は前記断熱ブロックより低い放射率を有する請求項4に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項6】
前記第1断熱層は0.8以下の放射率を有する請求項5に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項7】
前記断熱ブロックの外壁にコーティングされた第2断熱層をさらに含む請求項1に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項8】
前記第2断熱層は前記断熱ブロックより低い放射率を有する請求項7に記載の単結晶成長装置の断熱装置。
【請求項9】
ヒーターを備えるチャンバーと、
前記ヒーターの一側の前記チャンバー内部に設置される断熱装置と、を含み、
前記断熱装置は、第1距離に離隔されて形成される複数の断熱ブロックを含む単結晶成長装置。
【請求項10】
前記断熱装置の断熱ブロック間の第1距離は1mm〜10mmである請求項9に記載の単結晶成長装置。
【請求項11】
前記断熱装置は、前記断熱ブロックの間に第1断熱層をさらに含む請求項9に記載の単結晶成長装置。
【請求項12】
前記断熱ブロックと前記第1断熱層の間の第2距離は1mm〜10mmである請求項11に記載の単結晶成長装置。
【請求項13】
前記第1断熱層は前記断熱ブロックより低い放射率を有する請求項11に記載の単結晶成長装置。
【請求項14】
前記第1断熱層は0.8以下の放射率を有する請求項13に記載の単結晶成長装置。
【請求項15】
前記断熱ブロックの外壁にコーティングされた第2断熱層をさらに含む請求項9に記載の単結晶成長装置。
【請求項16】
前記第2断熱層は前記断熱ブロックより低い放射率を有する請求項15に記載の単結晶成長装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−516384(P2013−516384A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547944(P2012−547944)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004775
【国際公開番号】WO2011/083898
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(511028928)エルジー シルトロン インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】