単鎖プライマ−プロモータ−セレクタ構造とIVTを用いたメッセージ発生量及び対立遺伝子コピー数の決定
ターゲットへアニーリングするプライマ部分配列、T7又はその他のプロモータ部分配列(鋳型鎖)、及びセレクタ部分配列を(3’乃至5’方向内に)具える単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造が開示されている。プライマは、鋳型による伸長により伸長することができ、逆転写又は他のオリゴヌクレオチドへの核酸連結を含んでいる。プロモータ配列は、プライマ伸長のそれとは反対に、インビトロ転写(IVT)に向かうように方向付けられ、セレクタ部分配列はIVT用の鋳型として利用する。セレクタは、対象の部分配列に関連し、増幅された生成物は独特の部分配列であり、サンプル内に存在するその他の配列と異なっている。構造は、サンプル内の指定された部分配列の存在と相対的な発生量の決定、多重遺伝子発現分析、多重対立遺伝子の計数、多型性/突然変異部位の決定、及びヘテロ接合性の損失に便利である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本特許出願は、2005年9月21日に出願された米国仮特許出願第60/719063号に対する優先権を主張する。
【0002】
潜在的な政府利権の状態
本発明は、部分的に中小企業技術革新制度(SBIR)基金番号DAMD17−03−C−0047 Cから、米軍により管理されているプログラム下で資金提供を受けて開発されたものである。政府が本発明の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
インビトロ転写又はIVTを用いたmRNA又はゲノムDNAの線形増幅は、分子生物学の公知の方法である(Krieg&Melton,1984,Melton,1984参照)。IVTは各ターゲットに対して、そのターゲットの元のコピー数に比例する多数のRNA生成物を生成するので、相対的メッセージ発生量の決定が可能であり(米国特許第5,545,522号、第5,716,785号,第5,891,636号;Van Gelderら,1990)、従って、遺伝子発現の分析の関係において、広く適用されてきた(米国特許第5,514,545号)。IVTは、病原体のRNA又は低次のmRNAを検出することが可能な、指数関数的なターゲット増幅を確実にする等温法の中心原理でもある(米国特許第5,399,491号;欧州特許第0368 906 B2号;Guatelliら,1990)。
【0004】
従来技術によると、米国特許第6,291,170号及び、第514,545号、並びに米国特許出願第2005/0130194号及び第2005/0123943号で開示されているように、従来の配列ステップは次のとおりである:cDNA合成は、5’末端にT7プロモータ配列(非鋳型鎖)を含有するRNAのpolyAの3’末端に相補性のあるプライマを用いて最も頻繁に行われる;代替的に、配列又は遺伝子特異的プライマは5’末端以外の場所に配置されてもよい。RNA鋳型のRNaseH消化又は、RNA−DNAハイブリッドの熱変性の後で、全長又は部分長のdsDNAを生成するために(プライマの配置に依存する)、二本鎖のT7プロモータ配列(及び近接領域)を取り入れて、第二鎖のDNA合成が行われる(Goubler,U.,1983)。その方法を実際に実現するにあたっては、DNAポリメラーゼ又はRTを第二鎖の合成に触媒作用を効果的に及ぼすようにその反応に添加しなければならない(大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼの使用を記述した米国特許第5,545,522号;Kwohら,1989を参照)。アンチセンスRNA(aRNA)は、インビトロ転写によってDNAの第二鎖から合成され、aRNAの生成物は、例えば分子標識(Vet,J.A.M.,2002;以下は2005年9月2日に出願されたBioArray Solutions社の特許11/218838も参照)、又はハイブリダイゼーション保護アッセイ(米国特許第6,004,745号;Arnoldら)、又はプローブ伸長のような変異体を含むオリゴヌクレオチドプローブを捕捉するハイブリダイゼーションにより、検出される。この分野のこれらの方法は全て、元のmRNAターゲットからの二本鎖のcDNAの合成と、RNA分解の介在ステップを必要とする。これらの方法は、複雑かつ時間のかかるステップにより、事実上、実験室の研究に制限されてきた。臨床上の設定において、このような複雑なプロトコルの使用は、このような複雑な(「難解な」)分析を処理する資格を有する実験室の技術スタッフに、特別な訓練、及び多くの場合は証明を要求することになる。
【0005】
核酸の検出及び配列分析−IVTは、DNA分析に適用することもでき、突然変異又は多型性分析を含んでいる。一般的に、これらの適用は、変異体の多重度において、最も一般的にはポリメラーゼ連鎖反応(Syvanen,A.C.,2005、例えば、米国特許第4,683,202号;Mullisを参照)の適用や全体的なゲノム増幅による、遺伝物質の指数関数的な増幅、すなわち、ゲノムDNAを必要とする(例えば、核酸連結媒介全体のゲノム増幅で、USCDが米国特許第5,686,243号を取得していることを参照)。IVTは、とりわけ、IVT反応において生成されるRNA鎖の、連続的な多重検出を伴うそのステップの組合せを可能にする利点を有するPCR増幅(例えば、2005年9月2日に出願されたBioArray Solutions社の出願;第11/218838号出願(IVT)を参照)に続く、鎖選択の方法を提供する。
【0006】
信頼性のある多重増幅の設計及び検出反応を簡単にし、かつ速めること、及び、遺伝発現分析(米国特許第5,514,545号)及び、複雑な手順を臨床上の設定に好適なより簡単で強いプロトコルによる核酸分析に関するその他のタスクに置き換えることは有益である。特にこのコンテキストにおいては、好ましくはホモジニアスアッセイフォーマット(homogeneous assay format)の実現を可能にする方法において、統合されたプロトコル、すなわち、複数の分析のステップを結合するプロトコルを開発することが有益である。アッセイ完成のために必要となる時間、及び特に「実践の」時間を短くするために、複数の増幅生成物の検出によって増幅と分析を組み合わせることは、特に有益である。更に、好ましくはホモジニアスアッセイフォーマットの実現と適合する方法において、ステップの組合せは、小型化を促進し、次いで、試薬の消費及びサンプル及び実験室設備の双方の汚染の危険を減ずるであろう。
【0007】
IVT反応、特にここに記述されているような(二本鎖の鋳型よりむしろ)単鎖の鋳型を用いるIVT反応は、これらの利点の多くを提供している。
【0008】
実際に、単鎖型のプロモータの鋳型鎖を利用し、かつ対象の親DNA鎖のコピーを生成する単鎖鋳型(sst)からの転写に触媒作用をもたらす単鎖型T7RNAポリメラーゼの能力が、文献に記述されている(Kukarin,A.ら,2003;Korencic D.ら,2002;Temiakov D.ら,2002)。しかしながら、(従来の)IVTの実際の実装においては、この反応はインビトロ転写の有害な副作用であると考えられている。
【0009】
現在のところ、sst−IVT反応は、主に、ある一般的には所望されない特徴のために、複雑な分析プロトコルの開発と実現に完全には応用されていない。まず、二本鎖(ds)DNA鋳型を用いた標準のIVTフォーマットと比較した場合、大きくない収量により、相当数のターゲット分子を必要とする従来の構成において行われるアッセイプロトコルの感度が制限され、同等にイオン強度が大きくないバッファにおける乏しい動作は、一般的にアッセイプロトコルの存在内において用いられるその他の上流または下流の酵素反応に適合しない。しかしながら、下に記述するようにこれらの点に取り組むことにより、増幅と同時検出との統合と複数生成物の分析を可能にする方法で、sst−IVTは核酸分析の多数の適用に好適になるよう最適化することができる。
【0010】
背景技術の参考文献(全てが引用として参照されている)
下記のものは、確実に下の用語及び表現の理解を手伝うための背景技術とすることができる。これらの参考文献は、時に著者、番号、又はその他の筋書によって下の本文に引用される。
【特許文献1】米国特許第5,514,545号,1996. Eberwine,J.“Methods for characterizing single cells based on RNA amplification for diagnostic and therapeutics.”
【特許文献2】欧州特許第0 368 906 B2号(Ginguerasら; 等温の指数関数的増幅(“3SR”)を論ずる)
【特許文献3】米国特許第5,399,491号(Kacianら;等温の指数関数的増幅を論ずる) T Kievitsら, J Virological Meth 35(Issue 3),Dec 1991,pp 273 286;EP 273086(NASBAを論ずる)
【特許文献4】米国特許出願第US2003/0082584 A1号:“Enzymatic ligation−based identification of transcript expression”,Shi L.ら
【特許文献5】米国特許第5,686,243号
【特許文献6】米国特許第5,759,820号(Dynal AS)Hornes E.ら,“Process for Producing cDNA”
【特許文献7】米国特許第5,716,785号;第5,891,636号,及び米国特許第5,545,522号(Van Gelderら);Van Gelderら,1990“Amplified RNA synthesized from limited quantities of heterogeneous cDNA”,PNAS 87,1663−1667S);
【特許文献8】2002年8月23日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application−Specific Random Particle Arrays”第10/204799号(ランダムコード化アレイ検出(Random Encoded Array Detection)であるREADTMを論じる);
【特許文献9】2002年10月15日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社,下に時に「eMAP」として引用される):“Multiplexed Analysis of Polymorphic Loci by Concurrent Interrogation and Enzyme−Mediated Detection”;第10/271,602号;
【特許文献10】2004年10月26日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社,下に時に「多重発現プロファイリング(Multiplexed Expression Profiling)」として引用される):“Optimization of Gene Expression Analysis using Immobilized Capture Probes,”第10/974,036号,(そこには、差次的遺伝子発現の分析を減ずることに関する論文も含有しており、本特許出願公開において、センス及びアンチセンス鎖はRNAポリメラーゼ(RNA−pol)のプロモータ配列の取り込むことにより生成される);
【特許文献11】2001年12月28日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application Specific Random Particle Arrays”;第10/032,657号(“Libraries of Encoded Magnetic Particles”)
【特許文献12】2005年9月2日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Nucleic Acid Amplification with Integrated Multiplex Detection”;第 11/218838号;そこに引用されている仮特許出願:2004年9月2日出願の“Transcription Amplification System with Integrated Multiplex Detection;Functional Integration of Capture,Amplification and Multiplex Detection”;第60/606666号;2004年9月2日出願の“IVT−RT eMAP Assays;and Synthesis,Packaging and Screening of Random Encoded cDNA Libraries using IVT”;第60/606666号も参照。
【特許文献13】2002年8月23日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application−Specific Random Particle Arrays”; 第10/204,799号(ランダムコード化アレイ検出であるREADTMを論じる);
【特許文献14】2001年12月28日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application Specific Random Particle Arrays”;第10/032,657号
【特許文献15】2002年7月9日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Arrays of Microparticles and Methods of Preparation Thereof,”;第10/192,352号
【特許文献16】2001年1月24日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社,下に時に「PARSETM」として引用される):“System and Method for Programmable Illumination Pattern Generation,”, 第09/768,414号
【特許文献17】米国特許第6,251,691号(BioArray Solutions社,下に時に「LEAPS」として引用される):“Light Controlled Electrokinetic Assembly of Particles Near Surfaces”:特に図8を参照;
【特許文献18】米国特許第6,291,170号
【特許文献19】米国特許第5,686,243号
【特許文献20】米国特許出願第2005/0130194号及び第2005/0123943号
【特許文献21】米国特許第5,283,174号、第5,639,599号 Arnold
【特許文献22】米国特許第6,291,170号
【特許文献23】米国特許第6,004,745号
【特許文献24】米国特許第4,683,202号
【特許文献25】米国特許第6,797,524 BAS号
【特許文献26】米国特許出願第10/973700号
【特許文献27】米国特許出願第10/348123号
【特許文献28】米国仮特許出願第60/628464号
【非特許文献1】Seo,M.Y.,Rha,S.Y,Yang S.H.,Kim,S.C.,Lee,G.Y.,Lee,G.Y.,Park,C.H.,Chung,H.C.et al.2004.The pattern of gene copy number changes in bilateral breast cancer surveyed by cDNA microarray−based comparative genomic hybridization.Int.J.of Mol Med 13:17−24
【非特許文献2】Sellers,W.R.2005.Nature,July 7 issue
【非特許文献3】Hirsch F.R.et al.2005.J Natl Cancer Inst 97:621−623,643−655.
【非特許文献4】Ogino S,Wilson RB.,2004.pinal muscular atrophy:molecular genetics and diagnostics.Expert Rev MoI Diagn.2004 Jan;4(1):15−29.
【非特許文献5】Dutta S,Nandagopal K,Gangopadhyay PK,Mukhopadhyay K.,2005.Molecular aspects of down syndrome.Indian Pediatr.2005 Apr;42(4):339−44.
【非特許文献6】Gubler,U.,and Hoffman,B.(1983)Gene 25,263−269
【非特許文献7】Vet,Jacqueline A.M.,Van der Rijt J.M.,and Blom Henk J.2002.Molecu beacons:colorful analysis of nucleic acids.Expert Rev.Mol.Diagn 2(1)
【非特許文献8】Kukarin A.,Rong M,McAllister WT.2003.Exposure of T7 RNA polymerase to the isolated binding region of the promoter allows transcription from a single−stranded template.J Biol Chem.278(4):2419−24
【非特許文献9】Korencic D,Soll D,Ambrogelly A.2002.A one−step method for in−vitro production of tRNA transcripts.Nucleic Acids Res.30(20):e105
【非特許文献10】Temiakov D,Anikin M, McAllister WT.2002.Characterization of T7 RNA polymerase transcription complexes assembled on nucleic acid scaffolds.J Biol Chem.277(49):47035−43).
【非特許文献11】Maniatis T.,Fritsch,E.F.,Sambrook,J.,1982.Molecular cloning:A laboratory manual(CSHL)
【非特許文献12】Krieg & Melton.1984.Functional messenger RNAs are produced by SP6 in vitro transcription of cloned cDNAs,Nucleic Acids Res 12,7057−707(SP6、T6、T7プロモータ配列の使用を論ずる)
【非特許文献13】Melton,D.A.,et al.1984.Efficient in vitro synthesis of biologically active RNA and RNA hybridization probes from plasmids containing a bacteriophage SP6 promoter,Nucleic Acids Res.12,7035−7056.
【非特許文献14】Syvanen AC.2005 Toward genome−wide SNP genotyping.Nat Genet.2005 Jun;37 suppl:S5−10.
【非特許文献15】Schouten JP,McElgunn CJ,Waaijer R,Zwijnenburg D,Diepvens F,Pals G.2002.Relative quantification of 40 nucleic acid sequences by multiplex ligation−dependent probe amplification.Nucleic Acids Res.2002 Jun 15;30(12):e57.
【非特許文献16】Guatelli et al,“Isothermal,in vitro amplification of nucleic acids by a multienzyme reaction modeled after retroviral amplification”,Proc.Nat’l Acad.Sci USA 87,1874−1878(1990)
【非特許文献17】Kwoh et al,“Transcription−based amplification system and detection of amplified human immunodeficiency virus type 1 with a bead−based sandwich hybridization format”,Proc.Nat’l Acad.Sd.USA 86,1173−1177(Feb 1989) (熱サイクルを用いた転写媒介増幅(transcription−mediated amplification)を論ずる)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
開示されているのは、単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造とインビトロ転写により媒介される方法であって:多重遺伝子発現の分析と;多重対立遺伝子の計数と;遺伝子コピー数の多型性分析と;及び突然変異と多型性の同定のための対立遺伝子識別とを行うために、前述した単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造(便宜上、ここでは単鎖鋳型IVT(sst−IVT)ともいうフォーマット)のメッセージ発生量と対立遺伝子コピー数決定を用いている。単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造は、セレクタ配列のみの増幅用のIVTをプライマ3’伸長の反対方向に方向付ける方法に関連した3つの機能的に独立した部分からなる。
【0012】
一般的に、全てのターゲット増幅法は、プライマの収縮部分のターゲットに特異なアニーリングに始まり、続いて、伸長、逆転写、又は別のオリゴヌクレオチドへのプライマの結合がある。この構造は、一般的に、配列が特異なターゲットプライミング部分配列と、T7(又はT3、又はSP6、その他適当な)プロモータ部分配列(鋳型鎖)と、試験的に特定のプライミング部分配列に独自に関連付けられているセレクタ部分配列とを具えている。sst−IVT反応において、T7(又はその他の)プロモータ配列は、逆転写(RT)(又は、DNA鋳型の場合、より一般的には伸長;図1を参照)と逆方向へ転写が向かうよう方向付けをする。結果として、ここに開示されており、従来のIVTフォーマットと対照的なsst−IVTは、部分ではなく、かつ、原型のターゲットのどの部分でもないように設計された配列を増幅する。sst−IVT用のRNA鋳型は、メッセンジャRNA(mRNA)又はウィルス性ゲノムRNAであり、より一般的には以前のIVT反応により生成されたRNA生成物である。本発明の方法は、例えば、(単鎖のターゲットを生成するための)変性、及び/又は断片化(Maniatis T.,1982)の後に続くgDNAの分析にも有用である。sst−IVTの性能及び能率は、単鎖DNA鋳型のようであるが、二本鎖(ds)T7プロモータ部分配列(プライマ(鋳型)内に組み込まれたこのような鎖、その他はそこへアニール化される(非鋳型))を有するセレクタを用いて改良される。
【0013】
sst−IVT用鋳型を生成するために、伸長又は逆転写(RT)反応を行って、対象のターゲット鎖にアニーリングした後に、プライマを伸長することができる。使用されないプライマからの伸長生成物のその後の分離を促進するために、この反応は修飾dNTPs、例えばビオチン又はその他のハプテンで修飾されたdNTPsを用いて行われ、その結果、例えばRT反応の完了の後に、修飾dNTPsを含むcDNA生成物を固相へ捕捉することができる。分離ステップは、カラム精製を用いて行うことができ、修飾dNTPsの必要がなくなる。
【0014】
一実施例において、sst−IVTはRNA−DNAヘテロ二本鎖を鋳型として利用することができ、プライマ−プロモータ−セレクタ構造を用いて逆転写により生成されるcDNAは、完全な原型のmRNAへアニール化されたままである。一変異体においては、sst−IVT反応を、固相基質へ付着させたRNA−DNAヘテロ二本鎖で行うことができる。
【0015】
sst−IVT反応は、長さが等しく、次々とセレクタ部分配列に対して相補性の多数のRNA断片を生成する。このセレクタ部分配列(及びその相補性配列)は、その反応において、存在する又は存在すると予測されるその他の配列と異なるように設計されることが好ましい。それは、続く固相反応の独特の捕捉配列(capture sequence)として作用し、ランダムコード化アレイ検出(READTM)フォーマット(米国特許第6,797,524号を参照)のコード化された微小粒子(「ビーズ」)上で行われることが好ましい。コード化された固相担体上に陳列されたプローブへの捕捉は、修飾NTPsの組み込みによって標識したRNA生成物の光学的検出又は、修飾dNTPsを用いるプローブ伸長(「eMAP」は、特許出願第10/271,602号及び米国特許出願第11/218838号を参照)に触媒作用を及ぼす鋳型媒体の逆転写を可能にする;図1。
【0016】
更に以下に述べるように、ここに開示した(及び、図2、3、及び4において示す)プロトコルは、複雑なアプリケーションを実質的に簡略化し、処理速度を上げる。これらのプロトコルは、以下の利点を有している(RNAターゲット及びRTについての記載は、必要な変更を加えると、DNA及びプライマ伸長にあてはまる):
− 単機能プライマのみが用いられ、実施の際に、一実施例においてmRNA鋳型の消化、及び第2のプライマとDNAポリメラーゼの導入を必要とする第2のDNA鎖合成は不要でありなくすことができる。;
− 第二鎖合成を可能にするために通常必要とされるRNaseHを用いたRNA消化ステップもまた、なくすことができる;この反応がヘテロ二本鎖部分ではないT7及びセレクタ配列のみを用いるので、mRNA−cDNAのヘテロ二本鎖の存在がsst−IVTを妨げない。
− ターゲットに特異的なプライマは、配列とセレクタ配列の長さによって決まる転写配列又は長さの影響を受けることなく、対象のmRNAターゲットに沿ってどこにでも配置できる;下記のように、コード化された微小粒子への転写物捕捉の効率を最大化するために、転写物は短い(出願第10/974,036を参照);転写物は異なる配列を有しており、その結果、異なる遺伝子並びに有意な配列類似性を示す遺伝子ファミリ内の遺伝子の検出と計数が可能である;
− ここに、より詳細に記するように、比較的簡単にしたプロトコルによって、好ましくはREADフォーマットを用いて、同時ターゲット捕捉と、増幅と、「単一チューブ」及び均一のフォーマットにおける多重検出を含むいくつかのステップを組合せることができる。ここに述べるように、統合もまた、最小化を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述したように、ここに開示した方法で使用するプライマ−プロモータ−セレクタ構造は、それぞれ指定された長さの最大3つの異なる部分配列、すなわち、遺伝子特異的プライマ配列、その構造の5’末端の方へインビトロ逆転写を方向付けるよう設計されたT7(又はその他)プロモータ用の鋳型鎖配列、及び独特の「選択」又は「セレクタ」配列を具える。本発明の方法は、セレクタ配列のRNAコピーを生成するようにIVTを方向付ける。RNA転写物は、特異的セレクタ配列に合致するプローブを表示するコード化された微小粒子(「ビーズ」)への捕捉により検出される。独特のセレクタ配列は独特の反応生成物を与え、(元の)類似した配列のターゲットセットから特異的単位複製配列の選択を可能にする(Allele Counting セクション2参照)。鋳型として役立つRT反応が、cDNA生成物を完全に生成するのか、部分的な長さのみ生成するのかどうかにかかわらず、全てのメッセージは「カウント」される。後者は打ち切られたRT反応を反映している。類似のメッセージのバックグラウンド内にある特異的メッセージの検出、並びに、突然変異又は多型性の検出に対して、対立遺伝子特異的構造対を用いて、構造内の合致するプライマ配列のみが伸長と増幅転写物の形成を媒介していることが好ましい。このアプローチは、指定されたmRNAサブセット、ウイルス性ゲノムRNA/DNA、対立遺伝子、及び遺伝子の検出と分析に特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1.プライマ−プロモータ−セレクタ構造の一般特性を用いたインビトロ転写
例1では、配列特異的RTプライマ、T7プロモータ、及びRTプライマに独自に関連するセレクタ部分配列を具える構造を用いて、適切な反応状態下でのsst−IVTの性能を説明している。ここに示すように、そのモデル系においては、1fmolのプライマ/rxnまで(ここでは、他の場合と同様に、特に記述されていなければ、反応量(“rxn”)は10ulである)の検出の限界を伴い、sst−IVT反応は、配列特異的用量反応を示す。非鋳型鎖の添加は、有意な範囲のターゲット濃度〜10倍に信号強度を増やすが、検出の限界に影響はない(図5)。このように、アッセイ内で到達する信号強度によって、sst−IVTをT7プロモータの非鋳型鎖を添加して、あるいは添加せずに特異的アプリケーションの要求に応じて行うことができる。
【0019】
短いRNAを生成するLL−2R RT/T7/Sel ssDNA+NT T7についてのsst−IVT反応の時間経過を図6に示す。4時間のインキュベーションの後に低濃度の鋳型(1fmol/rxn)で収量の更なる改善が観察されるが、最初のうちは、反応が非常に早く、2時間以内にほぼ完成する。
【0020】
2.RNA分析
2.1 mRNAの計数:メッセージ発生量の決定
本発明の方法は、迅速な遺伝子発現プロファイリング用のフォーマットの実現、すなわち、一組の指定されたメッセージ(典型的には、その他のメッセージのあるところで)のそれぞれの発生量の同時検出を可能にする。これは、治療薬又は病原菌のような外部刺激に応じて、1組の特異遺伝子発現パターンのモニタリング又はプロファイリングを伴うアプリケーションについて、特に興味深い。
【0021】
現行のプロトコルは4つのステップを具える(図2):
1.RTプライマ/T7/セレクタ構造を用いるcDNA合成(逆転写による)
2.使用されない構造の除去−一つのモードにおいては、cDNAの捕捉による
3.個々のcDNAに対応するセレクタ配列の線形増幅
4.逆転写/ハイブリダイゼーションによるRNA生成物のオンチップ検出
代替的に、ステップ3と4を組み合わせてもよい。:
3.以下に詳細に述べるように、微小粒子の「共集合」アレイを用いた同時増幅/検出
【0022】
例2は、1300fmol/rxn乃至0.1fmol/rxnのターゲット濃度範囲にわたるモデルカナマイシンmRNAを用いたアッセイの感受性を示す。この変異体アッセイは、カラム精製(磁気分離ではなく)を使用し、従って、cDNAの合成に、ビオチン化(又は、修飾した)dNTPsを必要としない。このフォーマットでは、アッセイは0.1fmol/rxnの検出限界を有する用量反応を示す。
【0023】
未使用プライマの除去(「浄化」)−使用されないプライマ−プロモータ−セレクタ構造は、転写物の形態が使用されないプライマだけになることを防ぐために、sst−IVTを開始する前に慎重に除去しなければならない。すなわち、キャリーオーバ量によっては、sst−IVTは、強度がアッセイの感受性を制限できるターゲットに無関係な信号を生成できる。
【0024】
更に、cDNA合成のためにビオチン化(又は、その他のハプテン化)dNTPsを使用するには、ストレプトアビジン(又は、ハプテンAB)でコーティングした磁性又は非磁性粒子上に捕捉する前に、使用しないヌクレオチドを除去することが必要である。
【0025】
dNTPsの除去は、下流のオンチップRT−eMAP反応(標識されないdNTPsのために排除される傾向にある)中に、蛍光標識したdNTPsの結合度を改善し、従ってアッセイ信号強度を増すためにも所望される。
【0026】
いくつかの精製方法がここに提供されている。1の標準的なアプローチにおいては、過剰RTプライマを消化するために、エキソヌクレアーゼ処理をアルカリホスファターゼ処理と組み合わせて、IVT反応の前に(例えば、ExoSap−IT、品番78200、USBを使用して)dNTPsを除去する。
【0027】
別のアプローチで、過剰プライマとNTPsをカラム精製によって反応から除去することができる(例2も参照)。cDNA又は伸長生成物からのプライマの効果的な分離を確実にするためには、プライマは生成物より実質上短くなくてはならない。
【0028】
第3のアプローチでは、カラム精製は、ExoIの構造の消化と組み合わせることができる。エキソヌクレアーゼI処理とカラム精製との組合せを用いた未使用プライマの除去効率を例3に示す。結果は、現バージョンのアッセイプロトコルにおける最適なプライマ濃度が、100fmol/rxnを越えてはならないことを示唆している。ExoI処理は、(更にRTプライマの残余濃度を低減することにより)S/N比を改善するが、プライマの許容濃度は増えない。
【0029】
余分な構造を除去する別の方法は、磁性ビーズへの捕捉によるものと、磁力によるビーズの分離である。この方法は、「オンチップ」フォーマットにおいてIVTと伸長の統合を促進する付加的な利点を有する。
【0030】
図9に示すように、磁気分離は少なくとも3つの異なる流動形態において行われる。すなわち、「磁石の先端」、ナノセップの装置(Pall、カタログ参照)又はナノ反応器(図9に示すような)を用いる。磁気分離を生じさせるsst−IVTプロトコルは、cDNA合成のために、ビオチン化されたdNTP’sと非修飾のdNTP’sの混合物を用い、次いでストレプトアビジンでコーティングした磁性ナノ粒子を用いたビオチン化生成物の捕捉を行う。磁性ビーズ洗浄のための別の(第4の)構成は、定型の1.5mlチューブの1mlの洗浄バッファから遠心分離によりビーズを集め、次いで、チューブ壁に沿ってペレットを持ち上げるためにチューブを磁石の近くに置き、次いで全ての洗浄バッファをチューブの底から除去し、プライマの除去が完成するまでこの手順を2−3回繰り返すことである。
【0031】
現行のプロトコルにおけるcDNA合成のすぐ後の、ビーズや微小粒子を含有する固相マトリクスに対するcDNAの付着により、分離、精製、及び少量のcDNAのかなりの濃度を可能にし、このようにアッセイの感受性を増す可能性がある。
【0032】
粒子は、磁性捕捉粒子(例えば、引用によって組み込まれている米国特許出願第10/032,657号を参照)を含む適当な型(例えば、引用によって組み込まれている米国特許出願第10/973,000号;第10/348,123号を参照)であってもよく、これによって、粒子に結合した伸長生成物が、磁場の適用によって基質表面近く又は上に集結する。
【0033】
以下に述べるように、本発明のアッセイフォーマットは、次の利点を与える:
設計の柔軟性 − mRNAに沿ってどこにでもプライマ配列を配置できることによって、米国特許出願第10/974,036号に述べられているように、オンチップ検出により検出される生成物のサイズを制限するために、ここに開示したsst−IVT反応は、mRNAの5’末端近くに、又は、従来の遺伝子発現法で要求されるように3’末端近くにプライマを配置する必要がなくなり、従って設計の柔軟性が改善される。更に、元のターゲット配列における類似度にかかわらず、配列内で異なる転写物を生成することにより多重分析の特異性が実質的に強化されている。
【0034】
特異的配列の短い転写物 − ターゲット特異的プライマは、配列及びセレクタ配列の長さによって決定される転写物の配列又は長さに影響を及ぼすことなく、対象のmRNAターゲットに沿ってどこにでも配置することができる;以下に述べるように、コード化された微小粒子への転写物捕捉効率を最大にするために、転写物は短いのが好ましい(米国特許出願第10/974,036号を参照)。
【0035】
この構造におけるsst−IVTセレクタ配列の特異的かつ独特の配列、及びプライマの設計と構造の核酸連結(ここに述べるような)により、相同性メッセージ間に対象の配列の相違点を導入して、類似する遺伝子発現間を区別することができる。これは、例えば、遺伝子コピーの計数、及びサイトカインメッセージセット又はトウモロコシの遺伝子ファミリメッセージセットの識別、といった遺伝子ファミリ内の特異遺伝子の分析に特に有益な設計上の特徴である。
【0036】
第二鎖合成の除去 − 遺伝子発現分析の現行プロトコルの煩雑な一面は、第二鎖のDNA合成が必要なことであり、これは次々とRNA鋳型を消化(又は、除去)する必要がある。実際問題として、ある逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性がDNA合成に触媒作用を及ぼす間に、DNAポリメラーゼをmRNA消化の後に続く反応に添加しなければならない。1つの広く用いられているプロトコル(米国特許第5,545,522号、米国特許第5,514,545号;Gubler,V.,1983)は、ランダムプライミングに頼っているが、リガーゼの添加を必要とし、必須数の酵素を3つにする(IVT用のRNAポリメラーゼの添加の前に)。しかしながら、特に対象の指定メッセージセットが与えられた場合は、本発明の方法は実質上プロトコルを単純化できる。
【0037】
RNAポリメラーゼの結合及びその構造の5’末端の方への進行は、二本鎖プロモータ配列がない場合でも、実質上有効に生ずる。すなわち、好ましくは、cDNAの固相への捕捉を介して、又はカラム精製による、第一鎖(cDNA)合成と未使用プライマの除去に続いて、IVT反応はセレクタ配列のコピーを生成する。非鋳型(NT)T7鎖を、10までのファクタで増幅ゲインを強化するために、IVTバッファの一部として添加することができることが好ましく、これは、おそらく二本鎖プロモータ配列に遭遇するときの、RNAポリメラーゼの結合親和力の増加を反映している。
【0038】
RNaseH消化の除去 − 遺伝子発現分析の現行プロトコルにおいて、sst−IVTの鋳型は、RTプライマ構造の一部を形成し、cDNA合成後、単鎖形態で残る。例4は、第二鎖cDNA合成が可能な従来の二本鎖IVT反応において、必要なRNAのRNaseHを消化する従来のステップを、省略できるかどうかを決定するために行う実験を説明するものである。sst−IVT反応のモデル構造(図10)及び全体的なアッセイプロトコル(図11)を用いて、例4に述べる実験は、T7プロモータに近接したRNA/DNAヘテロ二本鎖の存在が、鋳型プロモータ鎖(template promoter strand)へのNT鎖のアニーリングを妨げないことを示しており、RNaseHの消化をプロトコルから除去できることを示唆し、実質的に追加アッセイを単純化している。
【0039】
固相IVT(Solid phase IVT) − 固相IVTは、ここに述べるように、未使用プライマを除去するための逆転写(又は、より一般的にはプライマの伸長)に続いて、磁気の「クリーンアップ」ステップの実装を可能にしている。更に、例えば、好適な設計の磁気トラップ(例えば、3つの型の微小誘導子、すなわち、らせん型(Ahnら,J.Micromech.MIcroeng.3,1−9,(1993))、ソレノイド型(Ahnら,IEEE Transactions Comp.,Packag.Manufact.Technol.17,463−469(1994))、参照)、トロイダル蛇行(toroidal meander)型(Ahnら,IEEE.Trans.Indus.Elec 45,866−875(1998)参照)(全て引用として組み込まれている))を用いた磁気捕捉は最少量の溶液への転写物の封入を可能にする。ビオチン化cDNA(及びこれを用いて、アニール化したRNAターゲット)の、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子への捕捉の前に、非結合ビオチン化dNTPsを完全に除去(例えば、アルカリホスファターゼ処理により、又は、カラム精製により、)して、ビオチン化dNTPsからの競合により損なわれる捕捉効率を強化することが好ましい。
【0040】
例5は、ビオチン化ssDNAのRTプライマモデル化合物を用いて、液体内で行われた、及び固相上で行われたsst−IVT反応効率の比較を提供する。選択された条件下で、固相sst−IVTは溶液中の反応の収量のほぼ半分の収量を有している(図12)。しかしながら、固相反応により生成され、モデル化合物の10fmol/ulの濃度で得られる信号強度は、統合されたアッセイプロトコルの部分としてその反応を用いるのに十分に有用である。
【0041】
2段階IVT増幅 − 本発明の別の態様は、核酸連結ステップを伴う複数回の増幅におけるsst−IVTのアプリケーションであり、従って従来のcDNA合成が省かれる(米国特許第5,514,545号参照)(図13)。この方法は、前のcDNAと第二鎖の合成を伴うmRNA検出、並びに、ゲノムDNA分析に適用される。初めに、この方法においては、PCRを用いて、一末端でT7プロモータ領域を増幅し、選択的に、PCR生成物の他の末端でセレクタ配列の導入した、対象の配列を増幅する。
【0042】
その後は、102乃至103のゲインで、従来のIVT反応によりRNAを生成する一方で、従来のIVT反応を、特定のプライマがT7プロモータ配列(同時係属出願第11/218838号に記載されるような)を含むことに関する。単位複製配列鎖の選択方法として用いることができる。合成されたRNAは、次いで(図4の第1バージョンで示すように)プロモータオリゴヌクレオチドとセレクタオリゴヌクレオチドのアニーリング用の鋳型として使用することができ、核酸連結が後に続く。sst−IVTにより増幅された合成プロモータ−セレクタ構造は、102乃至103の範囲内で追加のゲインが生じる。このように、元のRNAは105−106増幅し、対応するセレクタ配列によって検出することができる。
【0043】
差動「サンプル−対照」発現プロファイル分析。 発現分析の標準的な方法は、対象のサンプル「事例若しくは、罹患した又は変化した組織/細胞」と、参照「対照又は標準」サンプルとの比較、又は遺伝子導入プラント対標準プラントにおける発現の差異に常に頼っている。本発明はまた、sst−IVTの利点を用いて相対的な遺伝子発現の決定を補償する。従来の相対的遺伝子発現分析方法は、「事例」と「対照」のサンプルの双方についての、分析ステップに続いて取得した異なる信号の強度比率の決定に頼っている(米国特許第6,110,426号)。
【0044】
同じストラテジを、相対的遺伝子発現モニタリングに適用することができる。特異な2色の染色は、個々のsst−IVT反応中に「事例」RNA及び「対照」RNA生成物内へ異なる蛍光NTPsを組み入れることによって行うことができ、その後にハイブリダイゼーション捕捉による生成物の2色の検出が続く(図1)。代替的に、異なる「セレクタ」配列を、「事例」及び「対照」RNA生成物用に設計して、単色検出を用いて別々のsst−IVT反応を得ることができる。
【0045】
相対的な遺伝子発現プロファイルを決定する別の可能性は、単色減法検出法(single color subtractive detection method)を用いることである(米国特許第WO2005042763 BAS号)。このように、「事例」及び「対照」のセレクタ配列は、逆相補性(reverse complement)として設計し、二本鎖デュプレクスを作ることが可能でなければならない。RNA生成物(すなわち、RNA及びaRNA)検出のアッセイ段階で、事例と標準サンプルの2つの個別の反応液を、RNA−RNAデュプレクスの形成を可能にする条件下で共に混合する。図1に示すように、共集合単一アレイ(co−assembled single array)中のビーズ上に適宜のセンス及びアンチセンス捕捉プローブに、RNA又はaRNA生成物の過剰分を捕捉して、図1にあるように、RT eMAP、又はハイブリダイゼーションのいずれかによって、生成物を検出することができ、従って、「事例」サンプル中の特定遺伝子又は遺伝子セットの過剰又は過小発現を示す。
【0046】
2.2 対立遺伝子の計数
多重対立遺伝子を計数するために、対立遺伝子特異的逆転写、又は対立遺伝子特異的核酸連結をsst−IVTと結合して、例えば類似した遺伝子の存在下で、指定された遺伝子の発現パターンを選択的に決定し、対立遺伝子の多型性を検出できる(Syvanen A.C.,2005)。
【0047】
2.2.1 逆転写を介しての分析
対立遺伝子特異的逆転写は、次の4つのステップを具えるアッセイプロトコルにおいてIVTと結合される(図3):
1.T7/セレクタ及び逆転写によるcDNA合成を伴う、対立遺伝子特異的逆転写プライマのアニーリング(DNA分析の場合:DNAポリメラーゼを用いたプライマ伸長);
2.未使用プライマの除去(ここに述べた利用可能な方法の1つを使用);
3.セレクタ配列の転写;
4.逆転写又はハイブリダイゼーションによる結果として生ずるRNAのオンチップ検出
【0048】
この方法の原理は、ターゲット特異のプライマの3’末端が特異的対立遺伝子用に設計されて、プライマとターゲットがプライマ配列の3’末端で(及び近傍で)合致する場合にのみプライマ伸長が生ずることを除けば、例2に説明した原理に似ている。好ましい実施例において、3’末端の組成が異なるプライマ対を用いて、2つの対立遺伝子を識別することができる。
【0049】
2.2.2 核酸連結を介しての分析
RNA鋳型を用いた対立遺伝子特異的核酸連結(米国特許第5,686,243号、米国特許出願第US 2003/0082584 A1号)をIVTと結合し、次の4つのステップを具えるプロトコルにおいて、対立遺伝子特異の線形増幅を確実に行う(図4):
1.設計された対象の変異部位に隣接する、2つのオリゴヌクレオチドプローブ−1つは「プロモータ」、もう一つは「セレクタ」−のmRNA鋳型へのアニーリング;
2.無傷のプロモータ−セレクタ構造を生成するプローブの連結;
3.セレクタ配列の転写
4.逆転写又はハイブリダイゼーションによる結果として生ずるRNAのオンチップ生成
【0050】
「プロモータ」及び「セレクタ」のオリゴヌクレオチド − 対象の各ターゲットに対して、対象の部位の両側に鋳型が合致するように、2つのオリゴヌクレオチドを設計する。プロモータ及びセレクタオリゴヌクレオチドの(New England BiolabsのT4 DNAリガーゼ又はTaq DNAリガーゼによる)核酸連結は、無傷のプロモータ−セレクタ構造を生成する。5’末端のプロモータのオリゴヌクレオチド配列か3’末端のセレクタオリゴヌクレオチド配列のいずれかが、対象の部位でのターゲット配列に合致した場合のみに無傷の構成が生成される。プロモータ−セレクタ構造は、sst−IVT反応用の鋳型として作用し、セレクタのRNAコピーを生成し、次いで検出される。すなわち、対象の対立遺伝子以外のターゲット対立遺伝子は、無傷のIVTプロモータ−セレクタ構造の形態を媒介せず、よって計数されない。従って、例6に示したトウモロコシ雑種におけるある遺伝子ファミリの場合、及び、より一般的なその他の遺伝子ファミリの場合のように、その方法は、単一ヌクレオチドと同程度だけ対象の配列とは異なる他のmRNA配列の存在下で、特異的mRNA配列の計数を可能にする。逆に言えば、全ての対立遺伝子を計数できれば、多縮重プライマのオリゴヌクレオチドを提供して、指定部位で標準的又は変異的対立遺伝子に合致させることができる。
【0051】
一般的に、このフォーマットにおいては、RNA鋳型は、sst−IVTを開始する前に(標準的な方法で)除去するか消去すべきである。mRNAの計数と同様に、反応の効率は、非鋳型鎖プロモータ(好ましくはIVT反応バッファの一部として)の添加により改善される。この方法の主な利点は、精製ステップが必要ないことであり、未使用プライマはセレクタ部分配列に結合せず、よって検出されない。
【0052】
別の代案は逆転写の代わりに核酸連結を使用して、3’末端に第2の「捕捉」オリゴヌクレオチド捕捉部分を有する(図4の第2バージョンに示すような)プライマ−プロモータ−セレクタ構造を連結することにより、sst−IVT鋳型鎖にビオチンのような捕捉部分を導入することである。mRNA計数と同様に、このフォーマットは未使用プライマを除去する必要がある。
【0053】
合成されたビオチン化構造は、少量の核酸連結の後の凝縮のために、又は、検出ビーズと共に共集合アレイ内へ構造を配置するために用いることができる。
【0054】
3.DNA分析
本発明の方法は、gDNAの分析やPCRにより生成される単位複製配列に容易に適用される。好ましい実施例においては、プライマ−プロモータ−セレクタ構造は、対象のDNA部分配列に対向して方向付けられる。次いで、単鎖DNAへの構造のアニーリングを可能にする条件(例えば、加熱によるdsDNAターゲットの変性)下で、3’末端で又は3’末端近傍で合致する時に、この構造がDNAポリメラーゼ触媒反応液中で伸長される(図3)。
【0055】
代替として、T7配列をgDNA(又はDNA単位複製配列)に導入するために、二本鎖ターゲットをまず化学分解して、ターゲット特異的構造でアニーリングを可能にするために、結合力のある3’末端を残す(Maniatis T.,1982)。次いで、DNAポリメラーゼの変型を置換する鎖によって、プライマが伸長し、よってT7配列を導入する(図15)。後に図3に示すように未使用ターゲット特異的プライマの除去に続いて、伸長生成物を用いてセレクタ部分配列のsst−IVT増幅を用い検出する。
【0056】
3.1 遺伝子コピー数多型性の分析
染色体及び遺伝子の複数コピーの存在は、いくつかの障害、例えばダウン症(Dutta S.,2005)及び脊髄性筋萎縮症(SMA)(Ogino S.,2004)や、いくつかの癌の類型:乳がん(Seo,M.Y.ら,2004)、皮膚がん(Sellers,W.R.2005)及びその他のがんと関連することが知られている。遺伝子のコピー数によって、特定の薬での治療、例えば、ゲフィチニブでの肺がん治療(Hirsch F.R.2005)に対する患者の反応を予測することができる。このように、迅速で便利な分析フォーマットは、日常の臨床上の処理を行う上で所望されている。
【0057】
実際良くあることだが、単一遺伝子又は少数の対立遺伝子が重要である時のみ、本発明の方法を、溶液中のRNA生成物の検出と組み合わせて用いることが好ましい。そのために、ハイブリダイゼーション保護フォーマット(例えば、米国特許第5,283,174号及び第5,639,599号のArnoldら参照)の使用、又は、分子標識(Vetら,2002)若しくはアニーリング転写物上の構成変換が蛍光の変化を生成する「ループ化」構成のプローブ(2005年9月2日出願の米国特許出願第11/218838号参照)を用いる蛍光エネルギ移送フォーマットの使用を含む標準的な方法の変形が利用可能である。
【0058】
好ましい実施例においては、増量対照サンプル(既知のコピー数で)を含むアリコートが、予め設定した量の対象の臨床サンプルに添加され、強度対対照サンプル量のプロットのインターセプトは、臨床サンプル中の遺伝子コピー数を表す。
【0059】
分子標識又は「ループ化」プローブ(「ループ化プローブ」に関連する、2004年11月16日出願の米国特許出願第60/628464号参照)を、微小粒子のような固相担体上に陳列すると、検出感度は上がり、磁性微小粒子が更なる利点を提供することができる。本発明の方法にこれらの検出方法を組み合わせると、増幅反応のリアルタイムモニタリングも可能となる。
【0060】
3.2 対立遺伝子識別
突然変異又は多型性を表すDNA配列中の変異部位は、ここに述べた対立遺伝子特異的分析方法を用いて分析することができ、DNAポリメラーゼ触媒伸長用の特異的プライマを使用する。同様にして、上述した、RNA分析用の核酸連結媒介分析方法は、DNA分析に容易に適用され、核酸連結のための鋳型として単鎖DNAを用いている。従来の核酸連結媒介対立遺伝子とSNPs識別(Schouten JP.,2002)との主な違いは、核酸連結に続いて構造を増幅するために、PCRの代わりにIVT反応を適用することである。RNA分析と同様に、核酸連結媒介方法は、オリゴヌクレオチドプローブとプライマを除去する必要をなくすという有意な利点を有し、従って、均質のアッセイフォーマットの実現を容易にする。このことは本発明の方法を、ウィルス性病原体の検出と同定を含む、病原体のスクリーニングに適用するとき、特に、以下に詳述するように、続く増幅と検出を伴うウイルス性RNAの濃縮と併用するときに、特に望ましい。
【0061】
4 プロトコルステップの統合
4.1 生成物の同時検出を伴うIVT:共集合ビードアレイ
ここに述べたものは、RNA生成物を生成するためのgDNA、cDNA又はRNAの線形増幅と、平行検出フォーマット、好ましくはランダムコード化アレイ検出(READTM)を用いたこれらの生成物の同時検出とを組み合わせる方法である。
【0062】
例えば、捕捉プローブを伸長する固相逆転写によって、又は、分子標識(上述)又は「ループ化」構造中のプローブへの捕捉により生成されるときに、sst−IVTによって生成される短い1つのセレクタRNA転写物を検出でき、アニーリング転写物上の型変換が蛍光性の変化を生じさせる(Vet,J.A.M.,2002)。効率的なIVTを可能にする低イオン化強度の条件下で、捕捉効率を向上させるために、ペプチド核酸(PNA)捕捉プローブ(出願第10/227,012号参照)を有利に用いることができる。
【0063】
上述したように、sst−IVTと後の多重検出との統合は、アッセイプロトコルにおける追加ステップをなくし、それによって、速度を向上し、反応物消費を減らし、サンプルの汚染の可能性とサンプル処理から生ずるエラーを低減するであろう。直接オンチップの、好ましくは囲まれた区画における、分析と検出の組合せが、特に所望されるであろう。そのために、本発明は、同時のオンチップIVT増幅のフォーマットと逆転写による結果として生ずるRNAの検出を開示している。
【0064】
一実施例においては、コード化されたビーズのランダムアレイが、鋳型捕捉プローブ並びに生成物分析プローブを陳列するビーズを含むように共集合している。図16に示すように、このような共集合アレイは、ビオチン化cDNA(又は、cDNAターゲット鎖に組み込まれた対応するハプテンに向けられた、例えば抗体のような、その他の捕捉部分を陳列するビーズ)を捕捉するための、ニュートラアビジンでコーティングされたビーズ(又は磁性ビーズ)と、(例えば、標識されたヌクレオチドを有する伸長の後に続く)検出を可能にするsst−IVT反応で生成された特異的RNA鎖の検出を可能にするためのセレクタ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを陳列するコード化されたビーズとを含むことができる。
【0065】
同時増幅及びオンチップ検出の可能な実装の1つが、例7で述べられている。図17に示すように、同時反応はチップに塗布した1fmol/ulのモデルビオチン化dsDNA検出限界を伴う用量作用を示す。すでに説明したように、固相IVTは単鎖鋳型を用いて同様に行うことができる。これらの結果は、反応を最小化させ密封したコンパーメントにしたフォーマットでのsst−IVTと検出用RT媒介プローブ伸長との組み合わせの実行可能性を示す。この共集合のフォーマットによれば、同時生成物分析を伴うsst−IVTを、1マイクロリッタ以下、より好ましくは50ナノリッタ以下の全反応量で(例えば、2005年9月2日に出願された米国出願第11/218838号に示すような構成を用いて)、実行できる(cDNA、又は核酸連結したオリゴヌクレオチドプローブ対のようなその他のIVT、又はsst−IVT鋳型の捕捉の後に続いて)。
【0066】
4.2 RNAの捕捉、増幅及び多重検出
比較的単純なプロトコルによると、更なるステップ、特に、標準プロトコルによるmRNAの磁性粒子への捕捉(米国特許第5,759,820号)とsst−IVT及び多重検出の統合が可能である。核酸連結媒介のRNA分析(ここでは特にウイルス性ゲノムRNAの検出、参照)について図18に示すように、プロモータ−セレクタ構造の2つの要素により、捕捉されたmRNA(又はウイルス性RNA)鎖の合致する部分配列をアニーリングすることが可能であり、核酸連結に続いて、コード化されたビーズ上での増幅及び同時検出が、未使用プロモータを除去する必要なく、上述した共集合のアレイフォーマットに類似した方法で行われる。実際に、核酸連結、sst−IVT及びRT媒介のプローブ伸長は、同一バッファにて行うことができる。
【0067】
コード化した微小粒子のアレイの共集合の前に、溶液体中のターゲット捕捉用の磁性粒子の使用、又は生成物分析用に既に集合した、コード化ビードアレイ上に磁性捕捉粒子を磁場を介して沈着させることにより、少量の元のRNA鎖の濃縮が可能となり、後のsst−IVT増幅の生成物は、そこに封入されたままになる。
【0068】
本発明の方法と装置を、更に次の例において説明する。
【0069】
例1.ssIVT反応の特徴:用量反応及び時間経過
長さ64と62ntであり、それぞれがIL−2RとIL−4IのmRNA用のRTプライミング配列、並びに、T7プロモータ鋳型鎖、及び独特のセレクタ配列をそれぞれ具える2つの異なる構造は、T7プロモータの非鋳型鎖の添加して、あるいはすることなく、ss−IVTの鋳型として用いた。このアプローチの潜在的な感受性を解明するために、これらのプライマの濃度を、100−0.1fmol/10μl rxnの範囲で変化させた。37℃での2時間のインキュベーションの間に(MEGAshortscriptTMT7キット(Ambion,品番1354)により)得られたRNAを、オンチップの逆転写に用いて、次いで、IL−2R及びIL−4Iセレクタに合致する捕捉配列で機能化したコード化ビーズ上で結果信号を検出した(図5)。IL−2R ssDNAについてのIVT反応の時間経過は、37℃で、2、4、6、及び18時間のインキュベーション時間で同様であった。
【0070】
例2.カラム精製を用いたアッセイ感受性:カナマイシンmRNA
アッセイにおける第1のステップは、cDNA合成である。長さ64ntのRT/T7/Sel配列からなるRTプライマの構造を、長さ500ntまでのcDNAを生成できるように設計した。用いた試薬は次の通りであった:
カナマイシンmRNA − 正の対照(Promega,品番C1381)
SuperscriptTM III First−Strand Synthesis System(Invitrogen,品番18080−051)
MEGAshortscriptTM T7 キット(Ambion,品番1354)
Cy3 labeled dCTP(Amersham,品番PA53021)
BAS BeadChipTM(BioArray Solutions,Ltd)
PCR精製キット(Qiagen,品番28104)
全ての反応物はサーモサイクラ内で処理した。
【0071】
用量反応を行うために、RNaseOut処理したDEPC水(40U/μlのRNase outを14μl、プラスDEPC水を266μl)を用いて、次のmRNA希釈溶液を用意した:1300、100、10、1乃至0.1(fmol/ul)。
【0072】
Mix1:0.1μM RT/T7/Sel構造を1ul、RNA(異なる濃度)を1ul、5倍濃度FSバッファを2μl、DEPC処理した純水を6μl、を結集してcDNAを合成した。試験管を65℃で5分間インキュベーションし、次いで、4℃で10分間のインキュベーションした。インキュベーションの間、次のMix2を各試験管に添加した:5倍濃度FSバッファを2μl、0.1M DTTを2μl、10mMのdNTP混合物を1μl、Superscript III酵素(200U/μl)を1μl、DEPC処理した純水を4μl。RT反応を50℃で60分間行い、85℃で5分間酵素を不活性化して、次いで酵素を4℃での10分間のインキュベーションした。最終的なcDNA混合物10μlを、QiagenのPCR精製キットを用いたカラム上で製造業者の指示に従い、精製した。
【0073】
精製したcDNA1μlを、各75mMNのNTPsを1μl、T7 10倍濃度反応バッファを1μl、T7酵素混合物を1μl、0.1μMのT7のNT部位を1μl、DEPC処理した純水2μlを含むIVT混合物10μlに添加し、37℃で2時間インキュベーションした。
【0074】
RNA生成物を次のようなオンチップの逆転写標識ステップによって検出した:
結果として生じたIVT反応液10μlを、SuperscriptIII酵素(200U/μl)を1μl、5倍濃度FSバッファを2μl、0.1MのDTTを1μl、10μMのdNTPs(dCTPなし)を2μl、25μMのCy3−dCTPを1μl、DEPC処理の純水3μlのRT混合液10μlと混合し、生成物20μlを、セレクタ配列用のプローブを含む検出ビーズを用いて、集合させたビードチップの上に置いた。このチップを50℃で15分間インキュベーションし、DEPC処理した純水20μlで3回洗い、写像した。結果を図7に示す。
【0075】
例3:精製
カラム精製とExoI消化の組合せを用いて、濃度の異なる構造と反応させ、最適なRT構造濃度の範囲を決定する実験を行った。特に、事前にExoI処理をして、あるいはせずに、反応混合物をカラム(Qiagen,品番28104)上に配置した。カラム精製に続いて、2μlの溶出液部分を直接sst−IVT反応に用い、RNA生成物をオンチップRT媒介のプローブ伸長により検出した(図8)。構造1μl(濃度が異なる)、ExoI(New England BioLabs(NEB),品番M0293S)1μl、5倍濃度のFSバッファ2μl(例2を参照)からなる反応混合物10μl中で、37℃で30分間ExoI処理を行い、次いで80℃で20分間ExoIを不活性化した。消化に最適なバッファ条件は、ExoI10倍濃度バッファ(NEB)により提供されるが、FSバッファを用いて、アッセイのExoI処理の実際の条件を再現した。
【0076】
例4:RNaseH消化ステップの除去
まず、RNaseH消化の必要性を、RNAに対するアニール化オリゴヌクレオチドの構成が、実際のアッセイにおける構成に似ていると仮定したモデル系で試験した。その構造は、長さ50ntのIL−2R RNAを有し、RNAに対してアニール化するRT構成部分のみを有するRT/T7/Sel構造をアニーリングした結果、得られた。sst−IVT反応に続いて、生成物を逆転写によりオンチップで検出した。別の条件を図10の説明で示す。RNaseH(2U/μlのうちの1μl,Invitrogen,品番18021−014)消化を、37℃で20分間行った。
【0077】
第2のステップとして、カラム精製ステップの後、RNaseH消化効果又はその欠落を、全アッセイで(例2)チェックした。この目的で、5倍濃度のFSバッファ2μl、0.1MのDTT2μl、及びRNaseH1μlを、生成したcDNA10μlに添加した。RNaseH消化のない対照反応液には、溶出バッファ4μlを加えた。結果を図11に示す。
【0078】
例5:固相sst−IVT
対照を含めて、この反応は特定の濃度の構造に対して行った。100fmol/μlでの3’−末端をビオチン化したssDNA RT/T7/Sel IL−2Rの1μlを磁性ビーズ(0.2μmのナノ粒子,分子プローブ,品番C−21476)10μlに添加して、15分間インキュベーションして、その後、10mMのTrisHCl pH8で広く洗浄した。最終的な量を、構造濃度10fmol/μlのビーズを有するように、を10μlに調整した(図12、1列目)。IVT混合物(例2を参照)10μlを、固定化構造に添加し、反応混合物を37℃で2時間インキュベーションした。生成物をRT eMAP法により検出した。2列目は洗浄ステップのない同一の構成を表し、3列目は磁性ビーズがない状態の同一実験、すなわち、溶液中のIVT反応を表している。3つのケース全てにおいて、構成濃度は、10fmol/μlに調整した。
【0079】
例6:非常に相同したmRNA配列の識別:トウモロコシの近交系
あるアプリケーションでは、対象のターゲットを伴う実質的な配列相同性を示す数百又は数千のターゲット集団内での特異なターゲットの検出を要する。これらのアプリケーションは一般的に、ハイブリダイゼーションを介する分析により提供されるもの以上の配列特異性を必要とする。上述した2つの設計を用いて、トウモロコシゼイン遺伝子ファミリ中のmRNA配列の非常に近い相同部分を検出した。2つのトウモロコシ近交系B73とBSSS53において、ゼイン遺伝子のあるmRNA配列は、全945ntの配列上で、95%乃至99%の相同度を示す。これらの配列を検出し、現行の方法でそれぞれの発現レベルを評価する課題は、非常に困難な処理であり、多数のクローンセットを配列することが必要である。
【0080】
従って、別個の「セレクタ」配列のsst−IVT増幅の前に、高度に並列な分析フォーマットのこれらのメッセージのそれぞれの発生量を同時決定する間に、逆転写又は多型性部位での核酸連結による配列特異的伸長の組合せは、高い相同性配列のmRNA間の識別を助ける。
【0081】
図14は、多型性部位と、このような核酸連結又は構造の3’−末端配置の可能性のある部位の位置を説明している。共通の突然変異を有する2つの配列を含むが、一方のみが第2の特異な突然変異を有している(例えば、遺伝子16と31が同一の突然変異T/Gを有し、複数の配列アライメントにおいてその他の配列全てからそれらを識別するが、遺伝子31は独特の突然変異C/Gを有している)配列識別のいくつかの複雑なケースに対しては、上述した方法は、各近位の多型性部位へ特定のセレクタ配列を割り当てるというの利点を有する。
【0082】
例7:同時のオンチップ増幅/検出反応:
T7プロモータ及び28ntの転写配列(Kan mRNAの5’−末端に等しい)を含み、及び非鋳型(NT)鎖の3’−末端をビオチン化したDNAを、濃度の異なるビードチップへ塗布し、捕捉可能にするために初期の10分のインキュベーションを行って、残留遊離DNAは洗浄によって除去した。同時のIVT/RT反応用の試薬の混合物20μlを、次いでチップ表面上に塗布した。反応混合物は、各75mMのNTPs2μl、T7の10倍濃度反応バッファ2μl、T7の酵素混合物2μl、0.1μMのT7プロモータ用NT部位2μl、10μMのdNTP混合物(dCTP無し)2μl、25μMのCy3 dCTPを1μl、Superscript III酵素(200U/μl)を1μl、及びDEPC処理純水2μlを含んでいた。反応は吸湿チャンバ内でオンチップで行い、37℃で1時間インキュベーション(IVT)して、その後、50℃で15分間のインキュベーション(RT媒介プローブの伸長)を行った。結果と実験スキームを図17と図16にそれぞれ示す。
【0083】
ここに用いられた用語、表現及び例は単なる例示であって限定ではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ規定され、請求項の主題の全ての均等物を含んでいると理解すべきである。請求項中のプロセス及び方法のステップは、どのような順序で実行してもよく、請求項に特定されていない限り、請求項内に示した順序を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、ここに述べたプライマ−プロモータ−セレクタ構造に、RT(又は、プライマ伸長)及びインビトロ転写の方向、並びにハイブリダイゼーションを介した検出、又は伸長を介した検出のいずれかで生成される生成物の検出を示す図である。
【図2】図2は、ここに述べた構造と方法を用いた多重遺伝子発現分析方法を示す図である。
【図3】図3は、ここに述べた構造と方法を用いたSNP又は突然変異の伸長を介した検出を示す図である。
【図4】図4は、ここに述べた構成と方法を用いたSNP又は突然変異の核酸連結を介した検出を示す図である。
【図5】図5は、検出で生成された信号に基づき、sst−IVT反応がここに記載されている構造の配列と濃度に依存することを示す図である。
【図6】図6は、構造IL−2R RT/T7/Sel及びT7プロモータのNT部位の様々な開始濃度についてのsst−IVTの時間経過を示す図である。
【図7】図7は、ここに記載した構造を用いた異なるRNA濃度(カナマイシンmRNA)の検出用アッセイの用量反応を示す図である。
【図8】図8は、異なる濃度の構造に対するカラム精製前のExoI処理の効果を示す図である。
【図9】図9は、磁性捕捉−流動精製、及び過剰構造からのアッセイ生成物の膜精製用のデバイスと方法を示す図である。
【図10】図10は、図の説明で述べた異なる鋳型構造でのIVT反応の(添加したT7プロモータ用のNT部位の有無及びRNaseHによるmRNA消化の有無を)に続く、100ミリ秒と500ミリ秒の双方の曝露で生成される相対信号を示す図である。
【図11】図11は、カナマイシンmRNAの検出及び増幅用のここに述べた構造を用い、カラム精製を含み、mRNAのRNaseH消化ステップを除去して行うアッセイを示す図である。
【図12】図12は、RT−eMAP検出前にストレプトアビジンでコーティングしたマイクロビーズへ固定されたプライマ−T7−セレクタ構造を用いた固相sst−IVTの結果を示す図である。
【図13】図13は、ここに述べた構造を用いた高収量IVT(結合核酸連結−sst−IVT反応)増幅法用の複数ラウンドを示す図である。
【図14】図14は、太字で示した多型性部位を有するいくつかの非常に相同性の高いトウモロコシ配列を示す図である。
【図15】図15は、導入プライマの伸長の後のgDNAの断片化を示す図である。
【図16】図16は、ここに述べた固定化したプライマ−T7−セレクタ構造又はdsDNAを用いたsst−IVT反応を、捕捉を介した伸長によって結果物であるRNAの検出と統合した形で行う共集合ビードアレイを示す図である。
【図17】図17は、共集合ビードアレイ上に固定した異なる濃度のビオチン化dsDNAを用いた同時IVT/RT反応の結果を示す図である。
【図18】図18は、核酸連結を介したRNAのウイルス性検出プロトコルを示す図である。
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本特許出願は、2005年9月21日に出願された米国仮特許出願第60/719063号に対する優先権を主張する。
【0002】
潜在的な政府利権の状態
本発明は、部分的に中小企業技術革新制度(SBIR)基金番号DAMD17−03−C−0047 Cから、米軍により管理されているプログラム下で資金提供を受けて開発されたものである。政府が本発明の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
インビトロ転写又はIVTを用いたmRNA又はゲノムDNAの線形増幅は、分子生物学の公知の方法である(Krieg&Melton,1984,Melton,1984参照)。IVTは各ターゲットに対して、そのターゲットの元のコピー数に比例する多数のRNA生成物を生成するので、相対的メッセージ発生量の決定が可能であり(米国特許第5,545,522号、第5,716,785号,第5,891,636号;Van Gelderら,1990)、従って、遺伝子発現の分析の関係において、広く適用されてきた(米国特許第5,514,545号)。IVTは、病原体のRNA又は低次のmRNAを検出することが可能な、指数関数的なターゲット増幅を確実にする等温法の中心原理でもある(米国特許第5,399,491号;欧州特許第0368 906 B2号;Guatelliら,1990)。
【0004】
従来技術によると、米国特許第6,291,170号及び、第514,545号、並びに米国特許出願第2005/0130194号及び第2005/0123943号で開示されているように、従来の配列ステップは次のとおりである:cDNA合成は、5’末端にT7プロモータ配列(非鋳型鎖)を含有するRNAのpolyAの3’末端に相補性のあるプライマを用いて最も頻繁に行われる;代替的に、配列又は遺伝子特異的プライマは5’末端以外の場所に配置されてもよい。RNA鋳型のRNaseH消化又は、RNA−DNAハイブリッドの熱変性の後で、全長又は部分長のdsDNAを生成するために(プライマの配置に依存する)、二本鎖のT7プロモータ配列(及び近接領域)を取り入れて、第二鎖のDNA合成が行われる(Goubler,U.,1983)。その方法を実際に実現するにあたっては、DNAポリメラーゼ又はRTを第二鎖の合成に触媒作用を効果的に及ぼすようにその反応に添加しなければならない(大腸菌(E.Coli)DNAポリメラーゼの使用を記述した米国特許第5,545,522号;Kwohら,1989を参照)。アンチセンスRNA(aRNA)は、インビトロ転写によってDNAの第二鎖から合成され、aRNAの生成物は、例えば分子標識(Vet,J.A.M.,2002;以下は2005年9月2日に出願されたBioArray Solutions社の特許11/218838も参照)、又はハイブリダイゼーション保護アッセイ(米国特許第6,004,745号;Arnoldら)、又はプローブ伸長のような変異体を含むオリゴヌクレオチドプローブを捕捉するハイブリダイゼーションにより、検出される。この分野のこれらの方法は全て、元のmRNAターゲットからの二本鎖のcDNAの合成と、RNA分解の介在ステップを必要とする。これらの方法は、複雑かつ時間のかかるステップにより、事実上、実験室の研究に制限されてきた。臨床上の設定において、このような複雑なプロトコルの使用は、このような複雑な(「難解な」)分析を処理する資格を有する実験室の技術スタッフに、特別な訓練、及び多くの場合は証明を要求することになる。
【0005】
核酸の検出及び配列分析−IVTは、DNA分析に適用することもでき、突然変異又は多型性分析を含んでいる。一般的に、これらの適用は、変異体の多重度において、最も一般的にはポリメラーゼ連鎖反応(Syvanen,A.C.,2005、例えば、米国特許第4,683,202号;Mullisを参照)の適用や全体的なゲノム増幅による、遺伝物質の指数関数的な増幅、すなわち、ゲノムDNAを必要とする(例えば、核酸連結媒介全体のゲノム増幅で、USCDが米国特許第5,686,243号を取得していることを参照)。IVTは、とりわけ、IVT反応において生成されるRNA鎖の、連続的な多重検出を伴うそのステップの組合せを可能にする利点を有するPCR増幅(例えば、2005年9月2日に出願されたBioArray Solutions社の出願;第11/218838号出願(IVT)を参照)に続く、鎖選択の方法を提供する。
【0006】
信頼性のある多重増幅の設計及び検出反応を簡単にし、かつ速めること、及び、遺伝発現分析(米国特許第5,514,545号)及び、複雑な手順を臨床上の設定に好適なより簡単で強いプロトコルによる核酸分析に関するその他のタスクに置き換えることは有益である。特にこのコンテキストにおいては、好ましくはホモジニアスアッセイフォーマット(homogeneous assay format)の実現を可能にする方法において、統合されたプロトコル、すなわち、複数の分析のステップを結合するプロトコルを開発することが有益である。アッセイ完成のために必要となる時間、及び特に「実践の」時間を短くするために、複数の増幅生成物の検出によって増幅と分析を組み合わせることは、特に有益である。更に、好ましくはホモジニアスアッセイフォーマットの実現と適合する方法において、ステップの組合せは、小型化を促進し、次いで、試薬の消費及びサンプル及び実験室設備の双方の汚染の危険を減ずるであろう。
【0007】
IVT反応、特にここに記述されているような(二本鎖の鋳型よりむしろ)単鎖の鋳型を用いるIVT反応は、これらの利点の多くを提供している。
【0008】
実際に、単鎖型のプロモータの鋳型鎖を利用し、かつ対象の親DNA鎖のコピーを生成する単鎖鋳型(sst)からの転写に触媒作用をもたらす単鎖型T7RNAポリメラーゼの能力が、文献に記述されている(Kukarin,A.ら,2003;Korencic D.ら,2002;Temiakov D.ら,2002)。しかしながら、(従来の)IVTの実際の実装においては、この反応はインビトロ転写の有害な副作用であると考えられている。
【0009】
現在のところ、sst−IVT反応は、主に、ある一般的には所望されない特徴のために、複雑な分析プロトコルの開発と実現に完全には応用されていない。まず、二本鎖(ds)DNA鋳型を用いた標準のIVTフォーマットと比較した場合、大きくない収量により、相当数のターゲット分子を必要とする従来の構成において行われるアッセイプロトコルの感度が制限され、同等にイオン強度が大きくないバッファにおける乏しい動作は、一般的にアッセイプロトコルの存在内において用いられるその他の上流または下流の酵素反応に適合しない。しかしながら、下に記述するようにこれらの点に取り組むことにより、増幅と同時検出との統合と複数生成物の分析を可能にする方法で、sst−IVTは核酸分析の多数の適用に好適になるよう最適化することができる。
【0010】
背景技術の参考文献(全てが引用として参照されている)
下記のものは、確実に下の用語及び表現の理解を手伝うための背景技術とすることができる。これらの参考文献は、時に著者、番号、又はその他の筋書によって下の本文に引用される。
【特許文献1】米国特許第5,514,545号,1996. Eberwine,J.“Methods for characterizing single cells based on RNA amplification for diagnostic and therapeutics.”
【特許文献2】欧州特許第0 368 906 B2号(Ginguerasら; 等温の指数関数的増幅(“3SR”)を論ずる)
【特許文献3】米国特許第5,399,491号(Kacianら;等温の指数関数的増幅を論ずる) T Kievitsら, J Virological Meth 35(Issue 3),Dec 1991,pp 273 286;EP 273086(NASBAを論ずる)
【特許文献4】米国特許出願第US2003/0082584 A1号:“Enzymatic ligation−based identification of transcript expression”,Shi L.ら
【特許文献5】米国特許第5,686,243号
【特許文献6】米国特許第5,759,820号(Dynal AS)Hornes E.ら,“Process for Producing cDNA”
【特許文献7】米国特許第5,716,785号;第5,891,636号,及び米国特許第5,545,522号(Van Gelderら);Van Gelderら,1990“Amplified RNA synthesized from limited quantities of heterogeneous cDNA”,PNAS 87,1663−1667S);
【特許文献8】2002年8月23日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application−Specific Random Particle Arrays”第10/204799号(ランダムコード化アレイ検出(Random Encoded Array Detection)であるREADTMを論じる);
【特許文献9】2002年10月15日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社,下に時に「eMAP」として引用される):“Multiplexed Analysis of Polymorphic Loci by Concurrent Interrogation and Enzyme−Mediated Detection”;第10/271,602号;
【特許文献10】2004年10月26日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社,下に時に「多重発現プロファイリング(Multiplexed Expression Profiling)」として引用される):“Optimization of Gene Expression Analysis using Immobilized Capture Probes,”第10/974,036号,(そこには、差次的遺伝子発現の分析を減ずることに関する論文も含有しており、本特許出願公開において、センス及びアンチセンス鎖はRNAポリメラーゼ(RNA−pol)のプロモータ配列の取り込むことにより生成される);
【特許文献11】2001年12月28日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application Specific Random Particle Arrays”;第10/032,657号(“Libraries of Encoded Magnetic Particles”)
【特許文献12】2005年9月2日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Nucleic Acid Amplification with Integrated Multiplex Detection”;第 11/218838号;そこに引用されている仮特許出願:2004年9月2日出願の“Transcription Amplification System with Integrated Multiplex Detection;Functional Integration of Capture,Amplification and Multiplex Detection”;第60/606666号;2004年9月2日出願の“IVT−RT eMAP Assays;and Synthesis,Packaging and Screening of Random Encoded cDNA Libraries using IVT”;第60/606666号も参照。
【特許文献13】2002年8月23日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application−Specific Random Particle Arrays”; 第10/204,799号(ランダムコード化アレイ検出であるREADTMを論じる);
【特許文献14】2001年12月28日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Multianalyte Molecular Analysis Using Application Specific Random Particle Arrays”;第10/032,657号
【特許文献15】2002年7月9日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社):“Arrays of Microparticles and Methods of Preparation Thereof,”;第10/192,352号
【特許文献16】2001年1月24日出願の米国特許出願(BioArray Solutions社,下に時に「PARSETM」として引用される):“System and Method for Programmable Illumination Pattern Generation,”, 第09/768,414号
【特許文献17】米国特許第6,251,691号(BioArray Solutions社,下に時に「LEAPS」として引用される):“Light Controlled Electrokinetic Assembly of Particles Near Surfaces”:特に図8を参照;
【特許文献18】米国特許第6,291,170号
【特許文献19】米国特許第5,686,243号
【特許文献20】米国特許出願第2005/0130194号及び第2005/0123943号
【特許文献21】米国特許第5,283,174号、第5,639,599号 Arnold
【特許文献22】米国特許第6,291,170号
【特許文献23】米国特許第6,004,745号
【特許文献24】米国特許第4,683,202号
【特許文献25】米国特許第6,797,524 BAS号
【特許文献26】米国特許出願第10/973700号
【特許文献27】米国特許出願第10/348123号
【特許文献28】米国仮特許出願第60/628464号
【非特許文献1】Seo,M.Y.,Rha,S.Y,Yang S.H.,Kim,S.C.,Lee,G.Y.,Lee,G.Y.,Park,C.H.,Chung,H.C.et al.2004.The pattern of gene copy number changes in bilateral breast cancer surveyed by cDNA microarray−based comparative genomic hybridization.Int.J.of Mol Med 13:17−24
【非特許文献2】Sellers,W.R.2005.Nature,July 7 issue
【非特許文献3】Hirsch F.R.et al.2005.J Natl Cancer Inst 97:621−623,643−655.
【非特許文献4】Ogino S,Wilson RB.,2004.pinal muscular atrophy:molecular genetics and diagnostics.Expert Rev MoI Diagn.2004 Jan;4(1):15−29.
【非特許文献5】Dutta S,Nandagopal K,Gangopadhyay PK,Mukhopadhyay K.,2005.Molecular aspects of down syndrome.Indian Pediatr.2005 Apr;42(4):339−44.
【非特許文献6】Gubler,U.,and Hoffman,B.(1983)Gene 25,263−269
【非特許文献7】Vet,Jacqueline A.M.,Van der Rijt J.M.,and Blom Henk J.2002.Molecu beacons:colorful analysis of nucleic acids.Expert Rev.Mol.Diagn 2(1)
【非特許文献8】Kukarin A.,Rong M,McAllister WT.2003.Exposure of T7 RNA polymerase to the isolated binding region of the promoter allows transcription from a single−stranded template.J Biol Chem.278(4):2419−24
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【非特許文献10】Temiakov D,Anikin M, McAllister WT.2002.Characterization of T7 RNA polymerase transcription complexes assembled on nucleic acid scaffolds.J Biol Chem.277(49):47035−43).
【非特許文献11】Maniatis T.,Fritsch,E.F.,Sambrook,J.,1982.Molecular cloning:A laboratory manual(CSHL)
【非特許文献12】Krieg & Melton.1984.Functional messenger RNAs are produced by SP6 in vitro transcription of cloned cDNAs,Nucleic Acids Res 12,7057−707(SP6、T6、T7プロモータ配列の使用を論ずる)
【非特許文献13】Melton,D.A.,et al.1984.Efficient in vitro synthesis of biologically active RNA and RNA hybridization probes from plasmids containing a bacteriophage SP6 promoter,Nucleic Acids Res.12,7035−7056.
【非特許文献14】Syvanen AC.2005 Toward genome−wide SNP genotyping.Nat Genet.2005 Jun;37 suppl:S5−10.
【非特許文献15】Schouten JP,McElgunn CJ,Waaijer R,Zwijnenburg D,Diepvens F,Pals G.2002.Relative quantification of 40 nucleic acid sequences by multiplex ligation−dependent probe amplification.Nucleic Acids Res.2002 Jun 15;30(12):e57.
【非特許文献16】Guatelli et al,“Isothermal,in vitro amplification of nucleic acids by a multienzyme reaction modeled after retroviral amplification”,Proc.Nat’l Acad.Sci USA 87,1874−1878(1990)
【非特許文献17】Kwoh et al,“Transcription−based amplification system and detection of amplified human immunodeficiency virus type 1 with a bead−based sandwich hybridization format”,Proc.Nat’l Acad.Sd.USA 86,1173−1177(Feb 1989) (熱サイクルを用いた転写媒介増幅(transcription−mediated amplification)を論ずる)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
開示されているのは、単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造とインビトロ転写により媒介される方法であって:多重遺伝子発現の分析と;多重対立遺伝子の計数と;遺伝子コピー数の多型性分析と;及び突然変異と多型性の同定のための対立遺伝子識別とを行うために、前述した単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造(便宜上、ここでは単鎖鋳型IVT(sst−IVT)ともいうフォーマット)のメッセージ発生量と対立遺伝子コピー数決定を用いている。単鎖のプライマ−プロモータ−セレクタ構造は、セレクタ配列のみの増幅用のIVTをプライマ3’伸長の反対方向に方向付ける方法に関連した3つの機能的に独立した部分からなる。
【0012】
一般的に、全てのターゲット増幅法は、プライマの収縮部分のターゲットに特異なアニーリングに始まり、続いて、伸長、逆転写、又は別のオリゴヌクレオチドへのプライマの結合がある。この構造は、一般的に、配列が特異なターゲットプライミング部分配列と、T7(又はT3、又はSP6、その他適当な)プロモータ部分配列(鋳型鎖)と、試験的に特定のプライミング部分配列に独自に関連付けられているセレクタ部分配列とを具えている。sst−IVT反応において、T7(又はその他の)プロモータ配列は、逆転写(RT)(又は、DNA鋳型の場合、より一般的には伸長;図1を参照)と逆方向へ転写が向かうよう方向付けをする。結果として、ここに開示されており、従来のIVTフォーマットと対照的なsst−IVTは、部分ではなく、かつ、原型のターゲットのどの部分でもないように設計された配列を増幅する。sst−IVT用のRNA鋳型は、メッセンジャRNA(mRNA)又はウィルス性ゲノムRNAであり、より一般的には以前のIVT反応により生成されたRNA生成物である。本発明の方法は、例えば、(単鎖のターゲットを生成するための)変性、及び/又は断片化(Maniatis T.,1982)の後に続くgDNAの分析にも有用である。sst−IVTの性能及び能率は、単鎖DNA鋳型のようであるが、二本鎖(ds)T7プロモータ部分配列(プライマ(鋳型)内に組み込まれたこのような鎖、その他はそこへアニール化される(非鋳型))を有するセレクタを用いて改良される。
【0013】
sst−IVT用鋳型を生成するために、伸長又は逆転写(RT)反応を行って、対象のターゲット鎖にアニーリングした後に、プライマを伸長することができる。使用されないプライマからの伸長生成物のその後の分離を促進するために、この反応は修飾dNTPs、例えばビオチン又はその他のハプテンで修飾されたdNTPsを用いて行われ、その結果、例えばRT反応の完了の後に、修飾dNTPsを含むcDNA生成物を固相へ捕捉することができる。分離ステップは、カラム精製を用いて行うことができ、修飾dNTPsの必要がなくなる。
【0014】
一実施例において、sst−IVTはRNA−DNAヘテロ二本鎖を鋳型として利用することができ、プライマ−プロモータ−セレクタ構造を用いて逆転写により生成されるcDNAは、完全な原型のmRNAへアニール化されたままである。一変異体においては、sst−IVT反応を、固相基質へ付着させたRNA−DNAヘテロ二本鎖で行うことができる。
【0015】
sst−IVT反応は、長さが等しく、次々とセレクタ部分配列に対して相補性の多数のRNA断片を生成する。このセレクタ部分配列(及びその相補性配列)は、その反応において、存在する又は存在すると予測されるその他の配列と異なるように設計されることが好ましい。それは、続く固相反応の独特の捕捉配列(capture sequence)として作用し、ランダムコード化アレイ検出(READTM)フォーマット(米国特許第6,797,524号を参照)のコード化された微小粒子(「ビーズ」)上で行われることが好ましい。コード化された固相担体上に陳列されたプローブへの捕捉は、修飾NTPsの組み込みによって標識したRNA生成物の光学的検出又は、修飾dNTPsを用いるプローブ伸長(「eMAP」は、特許出願第10/271,602号及び米国特許出願第11/218838号を参照)に触媒作用を及ぼす鋳型媒体の逆転写を可能にする;図1。
【0016】
更に以下に述べるように、ここに開示した(及び、図2、3、及び4において示す)プロトコルは、複雑なアプリケーションを実質的に簡略化し、処理速度を上げる。これらのプロトコルは、以下の利点を有している(RNAターゲット及びRTについての記載は、必要な変更を加えると、DNA及びプライマ伸長にあてはまる):
− 単機能プライマのみが用いられ、実施の際に、一実施例においてmRNA鋳型の消化、及び第2のプライマとDNAポリメラーゼの導入を必要とする第2のDNA鎖合成は不要でありなくすことができる。;
− 第二鎖合成を可能にするために通常必要とされるRNaseHを用いたRNA消化ステップもまた、なくすことができる;この反応がヘテロ二本鎖部分ではないT7及びセレクタ配列のみを用いるので、mRNA−cDNAのヘテロ二本鎖の存在がsst−IVTを妨げない。
− ターゲットに特異的なプライマは、配列とセレクタ配列の長さによって決まる転写配列又は長さの影響を受けることなく、対象のmRNAターゲットに沿ってどこにでも配置できる;下記のように、コード化された微小粒子への転写物捕捉の効率を最大化するために、転写物は短い(出願第10/974,036を参照);転写物は異なる配列を有しており、その結果、異なる遺伝子並びに有意な配列類似性を示す遺伝子ファミリ内の遺伝子の検出と計数が可能である;
− ここに、より詳細に記するように、比較的簡単にしたプロトコルによって、好ましくはREADフォーマットを用いて、同時ターゲット捕捉と、増幅と、「単一チューブ」及び均一のフォーマットにおける多重検出を含むいくつかのステップを組合せることができる。ここに述べるように、統合もまた、最小化を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述したように、ここに開示した方法で使用するプライマ−プロモータ−セレクタ構造は、それぞれ指定された長さの最大3つの異なる部分配列、すなわち、遺伝子特異的プライマ配列、その構造の5’末端の方へインビトロ逆転写を方向付けるよう設計されたT7(又はその他)プロモータ用の鋳型鎖配列、及び独特の「選択」又は「セレクタ」配列を具える。本発明の方法は、セレクタ配列のRNAコピーを生成するようにIVTを方向付ける。RNA転写物は、特異的セレクタ配列に合致するプローブを表示するコード化された微小粒子(「ビーズ」)への捕捉により検出される。独特のセレクタ配列は独特の反応生成物を与え、(元の)類似した配列のターゲットセットから特異的単位複製配列の選択を可能にする(Allele Counting セクション2参照)。鋳型として役立つRT反応が、cDNA生成物を完全に生成するのか、部分的な長さのみ生成するのかどうかにかかわらず、全てのメッセージは「カウント」される。後者は打ち切られたRT反応を反映している。類似のメッセージのバックグラウンド内にある特異的メッセージの検出、並びに、突然変異又は多型性の検出に対して、対立遺伝子特異的構造対を用いて、構造内の合致するプライマ配列のみが伸長と増幅転写物の形成を媒介していることが好ましい。このアプローチは、指定されたmRNAサブセット、ウイルス性ゲノムRNA/DNA、対立遺伝子、及び遺伝子の検出と分析に特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
1.プライマ−プロモータ−セレクタ構造の一般特性を用いたインビトロ転写
例1では、配列特異的RTプライマ、T7プロモータ、及びRTプライマに独自に関連するセレクタ部分配列を具える構造を用いて、適切な反応状態下でのsst−IVTの性能を説明している。ここに示すように、そのモデル系においては、1fmolのプライマ/rxnまで(ここでは、他の場合と同様に、特に記述されていなければ、反応量(“rxn”)は10ulである)の検出の限界を伴い、sst−IVT反応は、配列特異的用量反応を示す。非鋳型鎖の添加は、有意な範囲のターゲット濃度〜10倍に信号強度を増やすが、検出の限界に影響はない(図5)。このように、アッセイ内で到達する信号強度によって、sst−IVTをT7プロモータの非鋳型鎖を添加して、あるいは添加せずに特異的アプリケーションの要求に応じて行うことができる。
【0019】
短いRNAを生成するLL−2R RT/T7/Sel ssDNA+NT T7についてのsst−IVT反応の時間経過を図6に示す。4時間のインキュベーションの後に低濃度の鋳型(1fmol/rxn)で収量の更なる改善が観察されるが、最初のうちは、反応が非常に早く、2時間以内にほぼ完成する。
【0020】
2.RNA分析
2.1 mRNAの計数:メッセージ発生量の決定
本発明の方法は、迅速な遺伝子発現プロファイリング用のフォーマットの実現、すなわち、一組の指定されたメッセージ(典型的には、その他のメッセージのあるところで)のそれぞれの発生量の同時検出を可能にする。これは、治療薬又は病原菌のような外部刺激に応じて、1組の特異遺伝子発現パターンのモニタリング又はプロファイリングを伴うアプリケーションについて、特に興味深い。
【0021】
現行のプロトコルは4つのステップを具える(図2):
1.RTプライマ/T7/セレクタ構造を用いるcDNA合成(逆転写による)
2.使用されない構造の除去−一つのモードにおいては、cDNAの捕捉による
3.個々のcDNAに対応するセレクタ配列の線形増幅
4.逆転写/ハイブリダイゼーションによるRNA生成物のオンチップ検出
代替的に、ステップ3と4を組み合わせてもよい。:
3.以下に詳細に述べるように、微小粒子の「共集合」アレイを用いた同時増幅/検出
【0022】
例2は、1300fmol/rxn乃至0.1fmol/rxnのターゲット濃度範囲にわたるモデルカナマイシンmRNAを用いたアッセイの感受性を示す。この変異体アッセイは、カラム精製(磁気分離ではなく)を使用し、従って、cDNAの合成に、ビオチン化(又は、修飾した)dNTPsを必要としない。このフォーマットでは、アッセイは0.1fmol/rxnの検出限界を有する用量反応を示す。
【0023】
未使用プライマの除去(「浄化」)−使用されないプライマ−プロモータ−セレクタ構造は、転写物の形態が使用されないプライマだけになることを防ぐために、sst−IVTを開始する前に慎重に除去しなければならない。すなわち、キャリーオーバ量によっては、sst−IVTは、強度がアッセイの感受性を制限できるターゲットに無関係な信号を生成できる。
【0024】
更に、cDNA合成のためにビオチン化(又は、その他のハプテン化)dNTPsを使用するには、ストレプトアビジン(又は、ハプテンAB)でコーティングした磁性又は非磁性粒子上に捕捉する前に、使用しないヌクレオチドを除去することが必要である。
【0025】
dNTPsの除去は、下流のオンチップRT−eMAP反応(標識されないdNTPsのために排除される傾向にある)中に、蛍光標識したdNTPsの結合度を改善し、従ってアッセイ信号強度を増すためにも所望される。
【0026】
いくつかの精製方法がここに提供されている。1の標準的なアプローチにおいては、過剰RTプライマを消化するために、エキソヌクレアーゼ処理をアルカリホスファターゼ処理と組み合わせて、IVT反応の前に(例えば、ExoSap−IT、品番78200、USBを使用して)dNTPsを除去する。
【0027】
別のアプローチで、過剰プライマとNTPsをカラム精製によって反応から除去することができる(例2も参照)。cDNA又は伸長生成物からのプライマの効果的な分離を確実にするためには、プライマは生成物より実質上短くなくてはならない。
【0028】
第3のアプローチでは、カラム精製は、ExoIの構造の消化と組み合わせることができる。エキソヌクレアーゼI処理とカラム精製との組合せを用いた未使用プライマの除去効率を例3に示す。結果は、現バージョンのアッセイプロトコルにおける最適なプライマ濃度が、100fmol/rxnを越えてはならないことを示唆している。ExoI処理は、(更にRTプライマの残余濃度を低減することにより)S/N比を改善するが、プライマの許容濃度は増えない。
【0029】
余分な構造を除去する別の方法は、磁性ビーズへの捕捉によるものと、磁力によるビーズの分離である。この方法は、「オンチップ」フォーマットにおいてIVTと伸長の統合を促進する付加的な利点を有する。
【0030】
図9に示すように、磁気分離は少なくとも3つの異なる流動形態において行われる。すなわち、「磁石の先端」、ナノセップの装置(Pall、カタログ参照)又はナノ反応器(図9に示すような)を用いる。磁気分離を生じさせるsst−IVTプロトコルは、cDNA合成のために、ビオチン化されたdNTP’sと非修飾のdNTP’sの混合物を用い、次いでストレプトアビジンでコーティングした磁性ナノ粒子を用いたビオチン化生成物の捕捉を行う。磁性ビーズ洗浄のための別の(第4の)構成は、定型の1.5mlチューブの1mlの洗浄バッファから遠心分離によりビーズを集め、次いで、チューブ壁に沿ってペレットを持ち上げるためにチューブを磁石の近くに置き、次いで全ての洗浄バッファをチューブの底から除去し、プライマの除去が完成するまでこの手順を2−3回繰り返すことである。
【0031】
現行のプロトコルにおけるcDNA合成のすぐ後の、ビーズや微小粒子を含有する固相マトリクスに対するcDNAの付着により、分離、精製、及び少量のcDNAのかなりの濃度を可能にし、このようにアッセイの感受性を増す可能性がある。
【0032】
粒子は、磁性捕捉粒子(例えば、引用によって組み込まれている米国特許出願第10/032,657号を参照)を含む適当な型(例えば、引用によって組み込まれている米国特許出願第10/973,000号;第10/348,123号を参照)であってもよく、これによって、粒子に結合した伸長生成物が、磁場の適用によって基質表面近く又は上に集結する。
【0033】
以下に述べるように、本発明のアッセイフォーマットは、次の利点を与える:
設計の柔軟性 − mRNAに沿ってどこにでもプライマ配列を配置できることによって、米国特許出願第10/974,036号に述べられているように、オンチップ検出により検出される生成物のサイズを制限するために、ここに開示したsst−IVT反応は、mRNAの5’末端近くに、又は、従来の遺伝子発現法で要求されるように3’末端近くにプライマを配置する必要がなくなり、従って設計の柔軟性が改善される。更に、元のターゲット配列における類似度にかかわらず、配列内で異なる転写物を生成することにより多重分析の特異性が実質的に強化されている。
【0034】
特異的配列の短い転写物 − ターゲット特異的プライマは、配列及びセレクタ配列の長さによって決定される転写物の配列又は長さに影響を及ぼすことなく、対象のmRNAターゲットに沿ってどこにでも配置することができる;以下に述べるように、コード化された微小粒子への転写物捕捉効率を最大にするために、転写物は短いのが好ましい(米国特許出願第10/974,036号を参照)。
【0035】
この構造におけるsst−IVTセレクタ配列の特異的かつ独特の配列、及びプライマの設計と構造の核酸連結(ここに述べるような)により、相同性メッセージ間に対象の配列の相違点を導入して、類似する遺伝子発現間を区別することができる。これは、例えば、遺伝子コピーの計数、及びサイトカインメッセージセット又はトウモロコシの遺伝子ファミリメッセージセットの識別、といった遺伝子ファミリ内の特異遺伝子の分析に特に有益な設計上の特徴である。
【0036】
第二鎖合成の除去 − 遺伝子発現分析の現行プロトコルの煩雑な一面は、第二鎖のDNA合成が必要なことであり、これは次々とRNA鋳型を消化(又は、除去)する必要がある。実際問題として、ある逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性がDNA合成に触媒作用を及ぼす間に、DNAポリメラーゼをmRNA消化の後に続く反応に添加しなければならない。1つの広く用いられているプロトコル(米国特許第5,545,522号、米国特許第5,514,545号;Gubler,V.,1983)は、ランダムプライミングに頼っているが、リガーゼの添加を必要とし、必須数の酵素を3つにする(IVT用のRNAポリメラーゼの添加の前に)。しかしながら、特に対象の指定メッセージセットが与えられた場合は、本発明の方法は実質上プロトコルを単純化できる。
【0037】
RNAポリメラーゼの結合及びその構造の5’末端の方への進行は、二本鎖プロモータ配列がない場合でも、実質上有効に生ずる。すなわち、好ましくは、cDNAの固相への捕捉を介して、又はカラム精製による、第一鎖(cDNA)合成と未使用プライマの除去に続いて、IVT反応はセレクタ配列のコピーを生成する。非鋳型(NT)T7鎖を、10までのファクタで増幅ゲインを強化するために、IVTバッファの一部として添加することができることが好ましく、これは、おそらく二本鎖プロモータ配列に遭遇するときの、RNAポリメラーゼの結合親和力の増加を反映している。
【0038】
RNaseH消化の除去 − 遺伝子発現分析の現行プロトコルにおいて、sst−IVTの鋳型は、RTプライマ構造の一部を形成し、cDNA合成後、単鎖形態で残る。例4は、第二鎖cDNA合成が可能な従来の二本鎖IVT反応において、必要なRNAのRNaseHを消化する従来のステップを、省略できるかどうかを決定するために行う実験を説明するものである。sst−IVT反応のモデル構造(図10)及び全体的なアッセイプロトコル(図11)を用いて、例4に述べる実験は、T7プロモータに近接したRNA/DNAヘテロ二本鎖の存在が、鋳型プロモータ鎖(template promoter strand)へのNT鎖のアニーリングを妨げないことを示しており、RNaseHの消化をプロトコルから除去できることを示唆し、実質的に追加アッセイを単純化している。
【0039】
固相IVT(Solid phase IVT) − 固相IVTは、ここに述べるように、未使用プライマを除去するための逆転写(又は、より一般的にはプライマの伸長)に続いて、磁気の「クリーンアップ」ステップの実装を可能にしている。更に、例えば、好適な設計の磁気トラップ(例えば、3つの型の微小誘導子、すなわち、らせん型(Ahnら,J.Micromech.MIcroeng.3,1−9,(1993))、ソレノイド型(Ahnら,IEEE Transactions Comp.,Packag.Manufact.Technol.17,463−469(1994))、参照)、トロイダル蛇行(toroidal meander)型(Ahnら,IEEE.Trans.Indus.Elec 45,866−875(1998)参照)(全て引用として組み込まれている))を用いた磁気捕捉は最少量の溶液への転写物の封入を可能にする。ビオチン化cDNA(及びこれを用いて、アニール化したRNAターゲット)の、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子への捕捉の前に、非結合ビオチン化dNTPsを完全に除去(例えば、アルカリホスファターゼ処理により、又は、カラム精製により、)して、ビオチン化dNTPsからの競合により損なわれる捕捉効率を強化することが好ましい。
【0040】
例5は、ビオチン化ssDNAのRTプライマモデル化合物を用いて、液体内で行われた、及び固相上で行われたsst−IVT反応効率の比較を提供する。選択された条件下で、固相sst−IVTは溶液中の反応の収量のほぼ半分の収量を有している(図12)。しかしながら、固相反応により生成され、モデル化合物の10fmol/ulの濃度で得られる信号強度は、統合されたアッセイプロトコルの部分としてその反応を用いるのに十分に有用である。
【0041】
2段階IVT増幅 − 本発明の別の態様は、核酸連結ステップを伴う複数回の増幅におけるsst−IVTのアプリケーションであり、従って従来のcDNA合成が省かれる(米国特許第5,514,545号参照)(図13)。この方法は、前のcDNAと第二鎖の合成を伴うmRNA検出、並びに、ゲノムDNA分析に適用される。初めに、この方法においては、PCRを用いて、一末端でT7プロモータ領域を増幅し、選択的に、PCR生成物の他の末端でセレクタ配列の導入した、対象の配列を増幅する。
【0042】
その後は、102乃至103のゲインで、従来のIVT反応によりRNAを生成する一方で、従来のIVT反応を、特定のプライマがT7プロモータ配列(同時係属出願第11/218838号に記載されるような)を含むことに関する。単位複製配列鎖の選択方法として用いることができる。合成されたRNAは、次いで(図4の第1バージョンで示すように)プロモータオリゴヌクレオチドとセレクタオリゴヌクレオチドのアニーリング用の鋳型として使用することができ、核酸連結が後に続く。sst−IVTにより増幅された合成プロモータ−セレクタ構造は、102乃至103の範囲内で追加のゲインが生じる。このように、元のRNAは105−106増幅し、対応するセレクタ配列によって検出することができる。
【0043】
差動「サンプル−対照」発現プロファイル分析。 発現分析の標準的な方法は、対象のサンプル「事例若しくは、罹患した又は変化した組織/細胞」と、参照「対照又は標準」サンプルとの比較、又は遺伝子導入プラント対標準プラントにおける発現の差異に常に頼っている。本発明はまた、sst−IVTの利点を用いて相対的な遺伝子発現の決定を補償する。従来の相対的遺伝子発現分析方法は、「事例」と「対照」のサンプルの双方についての、分析ステップに続いて取得した異なる信号の強度比率の決定に頼っている(米国特許第6,110,426号)。
【0044】
同じストラテジを、相対的遺伝子発現モニタリングに適用することができる。特異な2色の染色は、個々のsst−IVT反応中に「事例」RNA及び「対照」RNA生成物内へ異なる蛍光NTPsを組み入れることによって行うことができ、その後にハイブリダイゼーション捕捉による生成物の2色の検出が続く(図1)。代替的に、異なる「セレクタ」配列を、「事例」及び「対照」RNA生成物用に設計して、単色検出を用いて別々のsst−IVT反応を得ることができる。
【0045】
相対的な遺伝子発現プロファイルを決定する別の可能性は、単色減法検出法(single color subtractive detection method)を用いることである(米国特許第WO2005042763 BAS号)。このように、「事例」及び「対照」のセレクタ配列は、逆相補性(reverse complement)として設計し、二本鎖デュプレクスを作ることが可能でなければならない。RNA生成物(すなわち、RNA及びaRNA)検出のアッセイ段階で、事例と標準サンプルの2つの個別の反応液を、RNA−RNAデュプレクスの形成を可能にする条件下で共に混合する。図1に示すように、共集合単一アレイ(co−assembled single array)中のビーズ上に適宜のセンス及びアンチセンス捕捉プローブに、RNA又はaRNA生成物の過剰分を捕捉して、図1にあるように、RT eMAP、又はハイブリダイゼーションのいずれかによって、生成物を検出することができ、従って、「事例」サンプル中の特定遺伝子又は遺伝子セットの過剰又は過小発現を示す。
【0046】
2.2 対立遺伝子の計数
多重対立遺伝子を計数するために、対立遺伝子特異的逆転写、又は対立遺伝子特異的核酸連結をsst−IVTと結合して、例えば類似した遺伝子の存在下で、指定された遺伝子の発現パターンを選択的に決定し、対立遺伝子の多型性を検出できる(Syvanen A.C.,2005)。
【0047】
2.2.1 逆転写を介しての分析
対立遺伝子特異的逆転写は、次の4つのステップを具えるアッセイプロトコルにおいてIVTと結合される(図3):
1.T7/セレクタ及び逆転写によるcDNA合成を伴う、対立遺伝子特異的逆転写プライマのアニーリング(DNA分析の場合:DNAポリメラーゼを用いたプライマ伸長);
2.未使用プライマの除去(ここに述べた利用可能な方法の1つを使用);
3.セレクタ配列の転写;
4.逆転写又はハイブリダイゼーションによる結果として生ずるRNAのオンチップ検出
【0048】
この方法の原理は、ターゲット特異のプライマの3’末端が特異的対立遺伝子用に設計されて、プライマとターゲットがプライマ配列の3’末端で(及び近傍で)合致する場合にのみプライマ伸長が生ずることを除けば、例2に説明した原理に似ている。好ましい実施例において、3’末端の組成が異なるプライマ対を用いて、2つの対立遺伝子を識別することができる。
【0049】
2.2.2 核酸連結を介しての分析
RNA鋳型を用いた対立遺伝子特異的核酸連結(米国特許第5,686,243号、米国特許出願第US 2003/0082584 A1号)をIVTと結合し、次の4つのステップを具えるプロトコルにおいて、対立遺伝子特異の線形増幅を確実に行う(図4):
1.設計された対象の変異部位に隣接する、2つのオリゴヌクレオチドプローブ−1つは「プロモータ」、もう一つは「セレクタ」−のmRNA鋳型へのアニーリング;
2.無傷のプロモータ−セレクタ構造を生成するプローブの連結;
3.セレクタ配列の転写
4.逆転写又はハイブリダイゼーションによる結果として生ずるRNAのオンチップ生成
【0050】
「プロモータ」及び「セレクタ」のオリゴヌクレオチド − 対象の各ターゲットに対して、対象の部位の両側に鋳型が合致するように、2つのオリゴヌクレオチドを設計する。プロモータ及びセレクタオリゴヌクレオチドの(New England BiolabsのT4 DNAリガーゼ又はTaq DNAリガーゼによる)核酸連結は、無傷のプロモータ−セレクタ構造を生成する。5’末端のプロモータのオリゴヌクレオチド配列か3’末端のセレクタオリゴヌクレオチド配列のいずれかが、対象の部位でのターゲット配列に合致した場合のみに無傷の構成が生成される。プロモータ−セレクタ構造は、sst−IVT反応用の鋳型として作用し、セレクタのRNAコピーを生成し、次いで検出される。すなわち、対象の対立遺伝子以外のターゲット対立遺伝子は、無傷のIVTプロモータ−セレクタ構造の形態を媒介せず、よって計数されない。従って、例6に示したトウモロコシ雑種におけるある遺伝子ファミリの場合、及び、より一般的なその他の遺伝子ファミリの場合のように、その方法は、単一ヌクレオチドと同程度だけ対象の配列とは異なる他のmRNA配列の存在下で、特異的mRNA配列の計数を可能にする。逆に言えば、全ての対立遺伝子を計数できれば、多縮重プライマのオリゴヌクレオチドを提供して、指定部位で標準的又は変異的対立遺伝子に合致させることができる。
【0051】
一般的に、このフォーマットにおいては、RNA鋳型は、sst−IVTを開始する前に(標準的な方法で)除去するか消去すべきである。mRNAの計数と同様に、反応の効率は、非鋳型鎖プロモータ(好ましくはIVT反応バッファの一部として)の添加により改善される。この方法の主な利点は、精製ステップが必要ないことであり、未使用プライマはセレクタ部分配列に結合せず、よって検出されない。
【0052】
別の代案は逆転写の代わりに核酸連結を使用して、3’末端に第2の「捕捉」オリゴヌクレオチド捕捉部分を有する(図4の第2バージョンに示すような)プライマ−プロモータ−セレクタ構造を連結することにより、sst−IVT鋳型鎖にビオチンのような捕捉部分を導入することである。mRNA計数と同様に、このフォーマットは未使用プライマを除去する必要がある。
【0053】
合成されたビオチン化構造は、少量の核酸連結の後の凝縮のために、又は、検出ビーズと共に共集合アレイ内へ構造を配置するために用いることができる。
【0054】
3.DNA分析
本発明の方法は、gDNAの分析やPCRにより生成される単位複製配列に容易に適用される。好ましい実施例においては、プライマ−プロモータ−セレクタ構造は、対象のDNA部分配列に対向して方向付けられる。次いで、単鎖DNAへの構造のアニーリングを可能にする条件(例えば、加熱によるdsDNAターゲットの変性)下で、3’末端で又は3’末端近傍で合致する時に、この構造がDNAポリメラーゼ触媒反応液中で伸長される(図3)。
【0055】
代替として、T7配列をgDNA(又はDNA単位複製配列)に導入するために、二本鎖ターゲットをまず化学分解して、ターゲット特異的構造でアニーリングを可能にするために、結合力のある3’末端を残す(Maniatis T.,1982)。次いで、DNAポリメラーゼの変型を置換する鎖によって、プライマが伸長し、よってT7配列を導入する(図15)。後に図3に示すように未使用ターゲット特異的プライマの除去に続いて、伸長生成物を用いてセレクタ部分配列のsst−IVT増幅を用い検出する。
【0056】
3.1 遺伝子コピー数多型性の分析
染色体及び遺伝子の複数コピーの存在は、いくつかの障害、例えばダウン症(Dutta S.,2005)及び脊髄性筋萎縮症(SMA)(Ogino S.,2004)や、いくつかの癌の類型:乳がん(Seo,M.Y.ら,2004)、皮膚がん(Sellers,W.R.2005)及びその他のがんと関連することが知られている。遺伝子のコピー数によって、特定の薬での治療、例えば、ゲフィチニブでの肺がん治療(Hirsch F.R.2005)に対する患者の反応を予測することができる。このように、迅速で便利な分析フォーマットは、日常の臨床上の処理を行う上で所望されている。
【0057】
実際良くあることだが、単一遺伝子又は少数の対立遺伝子が重要である時のみ、本発明の方法を、溶液中のRNA生成物の検出と組み合わせて用いることが好ましい。そのために、ハイブリダイゼーション保護フォーマット(例えば、米国特許第5,283,174号及び第5,639,599号のArnoldら参照)の使用、又は、分子標識(Vetら,2002)若しくはアニーリング転写物上の構成変換が蛍光の変化を生成する「ループ化」構成のプローブ(2005年9月2日出願の米国特許出願第11/218838号参照)を用いる蛍光エネルギ移送フォーマットの使用を含む標準的な方法の変形が利用可能である。
【0058】
好ましい実施例においては、増量対照サンプル(既知のコピー数で)を含むアリコートが、予め設定した量の対象の臨床サンプルに添加され、強度対対照サンプル量のプロットのインターセプトは、臨床サンプル中の遺伝子コピー数を表す。
【0059】
分子標識又は「ループ化」プローブ(「ループ化プローブ」に関連する、2004年11月16日出願の米国特許出願第60/628464号参照)を、微小粒子のような固相担体上に陳列すると、検出感度は上がり、磁性微小粒子が更なる利点を提供することができる。本発明の方法にこれらの検出方法を組み合わせると、増幅反応のリアルタイムモニタリングも可能となる。
【0060】
3.2 対立遺伝子識別
突然変異又は多型性を表すDNA配列中の変異部位は、ここに述べた対立遺伝子特異的分析方法を用いて分析することができ、DNAポリメラーゼ触媒伸長用の特異的プライマを使用する。同様にして、上述した、RNA分析用の核酸連結媒介分析方法は、DNA分析に容易に適用され、核酸連結のための鋳型として単鎖DNAを用いている。従来の核酸連結媒介対立遺伝子とSNPs識別(Schouten JP.,2002)との主な違いは、核酸連結に続いて構造を増幅するために、PCRの代わりにIVT反応を適用することである。RNA分析と同様に、核酸連結媒介方法は、オリゴヌクレオチドプローブとプライマを除去する必要をなくすという有意な利点を有し、従って、均質のアッセイフォーマットの実現を容易にする。このことは本発明の方法を、ウィルス性病原体の検出と同定を含む、病原体のスクリーニングに適用するとき、特に、以下に詳述するように、続く増幅と検出を伴うウイルス性RNAの濃縮と併用するときに、特に望ましい。
【0061】
4 プロトコルステップの統合
4.1 生成物の同時検出を伴うIVT:共集合ビードアレイ
ここに述べたものは、RNA生成物を生成するためのgDNA、cDNA又はRNAの線形増幅と、平行検出フォーマット、好ましくはランダムコード化アレイ検出(READTM)を用いたこれらの生成物の同時検出とを組み合わせる方法である。
【0062】
例えば、捕捉プローブを伸長する固相逆転写によって、又は、分子標識(上述)又は「ループ化」構造中のプローブへの捕捉により生成されるときに、sst−IVTによって生成される短い1つのセレクタRNA転写物を検出でき、アニーリング転写物上の型変換が蛍光性の変化を生じさせる(Vet,J.A.M.,2002)。効率的なIVTを可能にする低イオン化強度の条件下で、捕捉効率を向上させるために、ペプチド核酸(PNA)捕捉プローブ(出願第10/227,012号参照)を有利に用いることができる。
【0063】
上述したように、sst−IVTと後の多重検出との統合は、アッセイプロトコルにおける追加ステップをなくし、それによって、速度を向上し、反応物消費を減らし、サンプルの汚染の可能性とサンプル処理から生ずるエラーを低減するであろう。直接オンチップの、好ましくは囲まれた区画における、分析と検出の組合せが、特に所望されるであろう。そのために、本発明は、同時のオンチップIVT増幅のフォーマットと逆転写による結果として生ずるRNAの検出を開示している。
【0064】
一実施例においては、コード化されたビーズのランダムアレイが、鋳型捕捉プローブ並びに生成物分析プローブを陳列するビーズを含むように共集合している。図16に示すように、このような共集合アレイは、ビオチン化cDNA(又は、cDNAターゲット鎖に組み込まれた対応するハプテンに向けられた、例えば抗体のような、その他の捕捉部分を陳列するビーズ)を捕捉するための、ニュートラアビジンでコーティングされたビーズ(又は磁性ビーズ)と、(例えば、標識されたヌクレオチドを有する伸長の後に続く)検出を可能にするsst−IVT反応で生成された特異的RNA鎖の検出を可能にするためのセレクタ配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを陳列するコード化されたビーズとを含むことができる。
【0065】
同時増幅及びオンチップ検出の可能な実装の1つが、例7で述べられている。図17に示すように、同時反応はチップに塗布した1fmol/ulのモデルビオチン化dsDNA検出限界を伴う用量作用を示す。すでに説明したように、固相IVTは単鎖鋳型を用いて同様に行うことができる。これらの結果は、反応を最小化させ密封したコンパーメントにしたフォーマットでのsst−IVTと検出用RT媒介プローブ伸長との組み合わせの実行可能性を示す。この共集合のフォーマットによれば、同時生成物分析を伴うsst−IVTを、1マイクロリッタ以下、より好ましくは50ナノリッタ以下の全反応量で(例えば、2005年9月2日に出願された米国出願第11/218838号に示すような構成を用いて)、実行できる(cDNA、又は核酸連結したオリゴヌクレオチドプローブ対のようなその他のIVT、又はsst−IVT鋳型の捕捉の後に続いて)。
【0066】
4.2 RNAの捕捉、増幅及び多重検出
比較的単純なプロトコルによると、更なるステップ、特に、標準プロトコルによるmRNAの磁性粒子への捕捉(米国特許第5,759,820号)とsst−IVT及び多重検出の統合が可能である。核酸連結媒介のRNA分析(ここでは特にウイルス性ゲノムRNAの検出、参照)について図18に示すように、プロモータ−セレクタ構造の2つの要素により、捕捉されたmRNA(又はウイルス性RNA)鎖の合致する部分配列をアニーリングすることが可能であり、核酸連結に続いて、コード化されたビーズ上での増幅及び同時検出が、未使用プロモータを除去する必要なく、上述した共集合のアレイフォーマットに類似した方法で行われる。実際に、核酸連結、sst−IVT及びRT媒介のプローブ伸長は、同一バッファにて行うことができる。
【0067】
コード化した微小粒子のアレイの共集合の前に、溶液体中のターゲット捕捉用の磁性粒子の使用、又は生成物分析用に既に集合した、コード化ビードアレイ上に磁性捕捉粒子を磁場を介して沈着させることにより、少量の元のRNA鎖の濃縮が可能となり、後のsst−IVT増幅の生成物は、そこに封入されたままになる。
【0068】
本発明の方法と装置を、更に次の例において説明する。
【0069】
例1.ssIVT反応の特徴:用量反応及び時間経過
長さ64と62ntであり、それぞれがIL−2RとIL−4IのmRNA用のRTプライミング配列、並びに、T7プロモータ鋳型鎖、及び独特のセレクタ配列をそれぞれ具える2つの異なる構造は、T7プロモータの非鋳型鎖の添加して、あるいはすることなく、ss−IVTの鋳型として用いた。このアプローチの潜在的な感受性を解明するために、これらのプライマの濃度を、100−0.1fmol/10μl rxnの範囲で変化させた。37℃での2時間のインキュベーションの間に(MEGAshortscriptTMT7キット(Ambion,品番1354)により)得られたRNAを、オンチップの逆転写に用いて、次いで、IL−2R及びIL−4Iセレクタに合致する捕捉配列で機能化したコード化ビーズ上で結果信号を検出した(図5)。IL−2R ssDNAについてのIVT反応の時間経過は、37℃で、2、4、6、及び18時間のインキュベーション時間で同様であった。
【0070】
例2.カラム精製を用いたアッセイ感受性:カナマイシンmRNA
アッセイにおける第1のステップは、cDNA合成である。長さ64ntのRT/T7/Sel配列からなるRTプライマの構造を、長さ500ntまでのcDNAを生成できるように設計した。用いた試薬は次の通りであった:
カナマイシンmRNA − 正の対照(Promega,品番C1381)
SuperscriptTM III First−Strand Synthesis System(Invitrogen,品番18080−051)
MEGAshortscriptTM T7 キット(Ambion,品番1354)
Cy3 labeled dCTP(Amersham,品番PA53021)
BAS BeadChipTM(BioArray Solutions,Ltd)
PCR精製キット(Qiagen,品番28104)
全ての反応物はサーモサイクラ内で処理した。
【0071】
用量反応を行うために、RNaseOut処理したDEPC水(40U/μlのRNase outを14μl、プラスDEPC水を266μl)を用いて、次のmRNA希釈溶液を用意した:1300、100、10、1乃至0.1(fmol/ul)。
【0072】
Mix1:0.1μM RT/T7/Sel構造を1ul、RNA(異なる濃度)を1ul、5倍濃度FSバッファを2μl、DEPC処理した純水を6μl、を結集してcDNAを合成した。試験管を65℃で5分間インキュベーションし、次いで、4℃で10分間のインキュベーションした。インキュベーションの間、次のMix2を各試験管に添加した:5倍濃度FSバッファを2μl、0.1M DTTを2μl、10mMのdNTP混合物を1μl、Superscript III酵素(200U/μl)を1μl、DEPC処理した純水を4μl。RT反応を50℃で60分間行い、85℃で5分間酵素を不活性化して、次いで酵素を4℃での10分間のインキュベーションした。最終的なcDNA混合物10μlを、QiagenのPCR精製キットを用いたカラム上で製造業者の指示に従い、精製した。
【0073】
精製したcDNA1μlを、各75mMNのNTPsを1μl、T7 10倍濃度反応バッファを1μl、T7酵素混合物を1μl、0.1μMのT7のNT部位を1μl、DEPC処理した純水2μlを含むIVT混合物10μlに添加し、37℃で2時間インキュベーションした。
【0074】
RNA生成物を次のようなオンチップの逆転写標識ステップによって検出した:
結果として生じたIVT反応液10μlを、SuperscriptIII酵素(200U/μl)を1μl、5倍濃度FSバッファを2μl、0.1MのDTTを1μl、10μMのdNTPs(dCTPなし)を2μl、25μMのCy3−dCTPを1μl、DEPC処理の純水3μlのRT混合液10μlと混合し、生成物20μlを、セレクタ配列用のプローブを含む検出ビーズを用いて、集合させたビードチップの上に置いた。このチップを50℃で15分間インキュベーションし、DEPC処理した純水20μlで3回洗い、写像した。結果を図7に示す。
【0075】
例3:精製
カラム精製とExoI消化の組合せを用いて、濃度の異なる構造と反応させ、最適なRT構造濃度の範囲を決定する実験を行った。特に、事前にExoI処理をして、あるいはせずに、反応混合物をカラム(Qiagen,品番28104)上に配置した。カラム精製に続いて、2μlの溶出液部分を直接sst−IVT反応に用い、RNA生成物をオンチップRT媒介のプローブ伸長により検出した(図8)。構造1μl(濃度が異なる)、ExoI(New England BioLabs(NEB),品番M0293S)1μl、5倍濃度のFSバッファ2μl(例2を参照)からなる反応混合物10μl中で、37℃で30分間ExoI処理を行い、次いで80℃で20分間ExoIを不活性化した。消化に最適なバッファ条件は、ExoI10倍濃度バッファ(NEB)により提供されるが、FSバッファを用いて、アッセイのExoI処理の実際の条件を再現した。
【0076】
例4:RNaseH消化ステップの除去
まず、RNaseH消化の必要性を、RNAに対するアニール化オリゴヌクレオチドの構成が、実際のアッセイにおける構成に似ていると仮定したモデル系で試験した。その構造は、長さ50ntのIL−2R RNAを有し、RNAに対してアニール化するRT構成部分のみを有するRT/T7/Sel構造をアニーリングした結果、得られた。sst−IVT反応に続いて、生成物を逆転写によりオンチップで検出した。別の条件を図10の説明で示す。RNaseH(2U/μlのうちの1μl,Invitrogen,品番18021−014)消化を、37℃で20分間行った。
【0077】
第2のステップとして、カラム精製ステップの後、RNaseH消化効果又はその欠落を、全アッセイで(例2)チェックした。この目的で、5倍濃度のFSバッファ2μl、0.1MのDTT2μl、及びRNaseH1μlを、生成したcDNA10μlに添加した。RNaseH消化のない対照反応液には、溶出バッファ4μlを加えた。結果を図11に示す。
【0078】
例5:固相sst−IVT
対照を含めて、この反応は特定の濃度の構造に対して行った。100fmol/μlでの3’−末端をビオチン化したssDNA RT/T7/Sel IL−2Rの1μlを磁性ビーズ(0.2μmのナノ粒子,分子プローブ,品番C−21476)10μlに添加して、15分間インキュベーションして、その後、10mMのTrisHCl pH8で広く洗浄した。最終的な量を、構造濃度10fmol/μlのビーズを有するように、を10μlに調整した(図12、1列目)。IVT混合物(例2を参照)10μlを、固定化構造に添加し、反応混合物を37℃で2時間インキュベーションした。生成物をRT eMAP法により検出した。2列目は洗浄ステップのない同一の構成を表し、3列目は磁性ビーズがない状態の同一実験、すなわち、溶液中のIVT反応を表している。3つのケース全てにおいて、構成濃度は、10fmol/μlに調整した。
【0079】
例6:非常に相同したmRNA配列の識別:トウモロコシの近交系
あるアプリケーションでは、対象のターゲットを伴う実質的な配列相同性を示す数百又は数千のターゲット集団内での特異なターゲットの検出を要する。これらのアプリケーションは一般的に、ハイブリダイゼーションを介する分析により提供されるもの以上の配列特異性を必要とする。上述した2つの設計を用いて、トウモロコシゼイン遺伝子ファミリ中のmRNA配列の非常に近い相同部分を検出した。2つのトウモロコシ近交系B73とBSSS53において、ゼイン遺伝子のあるmRNA配列は、全945ntの配列上で、95%乃至99%の相同度を示す。これらの配列を検出し、現行の方法でそれぞれの発現レベルを評価する課題は、非常に困難な処理であり、多数のクローンセットを配列することが必要である。
【0080】
従って、別個の「セレクタ」配列のsst−IVT増幅の前に、高度に並列な分析フォーマットのこれらのメッセージのそれぞれの発生量を同時決定する間に、逆転写又は多型性部位での核酸連結による配列特異的伸長の組合せは、高い相同性配列のmRNA間の識別を助ける。
【0081】
図14は、多型性部位と、このような核酸連結又は構造の3’−末端配置の可能性のある部位の位置を説明している。共通の突然変異を有する2つの配列を含むが、一方のみが第2の特異な突然変異を有している(例えば、遺伝子16と31が同一の突然変異T/Gを有し、複数の配列アライメントにおいてその他の配列全てからそれらを識別するが、遺伝子31は独特の突然変異C/Gを有している)配列識別のいくつかの複雑なケースに対しては、上述した方法は、各近位の多型性部位へ特定のセレクタ配列を割り当てるというの利点を有する。
【0082】
例7:同時のオンチップ増幅/検出反応:
T7プロモータ及び28ntの転写配列(Kan mRNAの5’−末端に等しい)を含み、及び非鋳型(NT)鎖の3’−末端をビオチン化したDNAを、濃度の異なるビードチップへ塗布し、捕捉可能にするために初期の10分のインキュベーションを行って、残留遊離DNAは洗浄によって除去した。同時のIVT/RT反応用の試薬の混合物20μlを、次いでチップ表面上に塗布した。反応混合物は、各75mMのNTPs2μl、T7の10倍濃度反応バッファ2μl、T7の酵素混合物2μl、0.1μMのT7プロモータ用NT部位2μl、10μMのdNTP混合物(dCTP無し)2μl、25μMのCy3 dCTPを1μl、Superscript III酵素(200U/μl)を1μl、及びDEPC処理純水2μlを含んでいた。反応は吸湿チャンバ内でオンチップで行い、37℃で1時間インキュベーション(IVT)して、その後、50℃で15分間のインキュベーション(RT媒介プローブの伸長)を行った。結果と実験スキームを図17と図16にそれぞれ示す。
【0083】
ここに用いられた用語、表現及び例は単なる例示であって限定ではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ規定され、請求項の主題の全ての均等物を含んでいると理解すべきである。請求項中のプロセス及び方法のステップは、どのような順序で実行してもよく、請求項に特定されていない限り、請求項内に示した順序を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、ここに述べたプライマ−プロモータ−セレクタ構造に、RT(又は、プライマ伸長)及びインビトロ転写の方向、並びにハイブリダイゼーションを介した検出、又は伸長を介した検出のいずれかで生成される生成物の検出を示す図である。
【図2】図2は、ここに述べた構造と方法を用いた多重遺伝子発現分析方法を示す図である。
【図3】図3は、ここに述べた構造と方法を用いたSNP又は突然変異の伸長を介した検出を示す図である。
【図4】図4は、ここに述べた構成と方法を用いたSNP又は突然変異の核酸連結を介した検出を示す図である。
【図5】図5は、検出で生成された信号に基づき、sst−IVT反応がここに記載されている構造の配列と濃度に依存することを示す図である。
【図6】図6は、構造IL−2R RT/T7/Sel及びT7プロモータのNT部位の様々な開始濃度についてのsst−IVTの時間経過を示す図である。
【図7】図7は、ここに記載した構造を用いた異なるRNA濃度(カナマイシンmRNA)の検出用アッセイの用量反応を示す図である。
【図8】図8は、異なる濃度の構造に対するカラム精製前のExoI処理の効果を示す図である。
【図9】図9は、磁性捕捉−流動精製、及び過剰構造からのアッセイ生成物の膜精製用のデバイスと方法を示す図である。
【図10】図10は、図の説明で述べた異なる鋳型構造でのIVT反応の(添加したT7プロモータ用のNT部位の有無及びRNaseHによるmRNA消化の有無を)に続く、100ミリ秒と500ミリ秒の双方の曝露で生成される相対信号を示す図である。
【図11】図11は、カナマイシンmRNAの検出及び増幅用のここに述べた構造を用い、カラム精製を含み、mRNAのRNaseH消化ステップを除去して行うアッセイを示す図である。
【図12】図12は、RT−eMAP検出前にストレプトアビジンでコーティングしたマイクロビーズへ固定されたプライマ−T7−セレクタ構造を用いた固相sst−IVTの結果を示す図である。
【図13】図13は、ここに述べた構造を用いた高収量IVT(結合核酸連結−sst−IVT反応)増幅法用の複数ラウンドを示す図である。
【図14】図14は、太字で示した多型性部位を有するいくつかの非常に相同性の高いトウモロコシ配列を示す図である。
【図15】図15は、導入プライマの伸長の後のgDNAの断片化を示す図である。
【図16】図16は、ここに述べた固定化したプライマ−T7−セレクタ構造又はdsDNAを用いたsst−IVT反応を、捕捉を介した伸長によって結果物であるRNAの検出と統合した形で行う共集合ビードアレイを示す図である。
【図17】図17は、共集合ビードアレイ上に固定した異なる濃度のビオチン化dsDNAを用いた同時IVT/RT反応の結果を示す図である。
【図18】図18は、核酸連結を介したRNAのウイルス性検出プロトコルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のターゲット部分配列の存在と相対量を検出するプライマ−プロモータ−セレクタ構造において、当該構造が3つの部分配列を具え、当該部分配列が:
前記ターゲット部分配列と相補性のプライマ部分配列であって、プロモータ部分配列の3’末端の直前に5’末端を有するプライマ部分配列を含み、前記プロモータ部分配列がセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であり、前記プロモータ部分配列の5’末端の直前に3’末端を有し、前記セレクタ配列とその相補性配列は、前記サンプル中に存在することが見込まれるいくつかの部分配列に対してアニール化しないように設計されていることを特徴とする構造。
【請求項2】
前記プロモータが、前記プライマ部分配列の転写を方向付けしないことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記プロモータが、T7又はT3又はSP6プロモータ部分配列であることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記プライマ部分配列を鋳型にアニール化し、伸長することができることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項5】
同定可能な標識を具えることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項6】
前記セレクタ部分配列が、インビトロ転写用の鋳型として作用することを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項7】
サンプル中の別のターゲット部分配列の存在又は相対量の検出用の複数の異なる型のプライマ−プロモータ−セレクタ構造を具えるキットにおいて、当該キットの各々が:
前記ターゲット部分配列と相補性のプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列がプロモータ部分配列の3’末端の直前に5’末端を有するプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列が、当該プロモータ部分配列の5’末端の直前に3’末端を有するセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であるプライマ部分配列を含む三つの部分配列と;
1組のオリゴヌクレオチドとを具え、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドが、別々にコード化した微小粒子上に陳列され、前記オリゴヌクレオチドが前記セレクタ部分配列の転写生成物にアニーリングすることができることを特徴とするキット。
【請求項8】
前記異なる型の構造が、それぞれのプライマ部分配列及びセレクタ部分配列が異なることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項9】
各型の構造が、異なるプライマ部分配列及び同じセレクタ部分配列を有することを特徴とする請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記転写生成物内に組み込むことができる標識NTPsを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項11】
前記NTPsが光学的に標識されることを特徴とする請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記プロモータが、T7又はT3又はSP6プロモータ部分配列(鋳型鎖)であることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項13】
前記T7、T3又はSP6プロモータ部分配列と二本鎖を形成することができる非鋳型T3、T7又はSP6プロモータ部分配列を更に具えることを特徴とする請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記転写生成物と相補性である異なる型のオリゴヌクレオチドを付着させるように構成した別々にコード化された微小粒子セットを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項15】
前記プライマ部分配列の伸長時に、伸長生成物内へ結合する用に設計された標識ddNTPs又はdNTPsセットを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項16】
ハプテン標識ddNTPs又はdNTPsを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項17】
磁性粒子を更に具えることを特徴とする請求項16に記載のキット。
【請求項18】
プライマのターゲット部分配列の3’側又は前記プライマに配置された前記サンプル中の部分配列へアニーリングできるオリゴヌクレオチドを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項19】
前記オリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とする請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチドが前記プロモータ部分配列を具えることを特徴とする請求項18に記載のキット。
【請求項21】
サンプル中の指定された部分配列の相対的発生量を決定する方法において:
(i)プライマとして与えられた少なくとも1の指定ターゲット部分配列を少なくとも1のセレクタ部分配列に独特に結合し、双方の部分配列がプライマ−プロモータ−セレクタ構造の一部を形成しているステップであって、3つの部分配列を具え、当該部分配列が:
前記ターゲット部分配列と相補性のプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列がプロモータ部分配列の3’末端の直前に5’末端を有するプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列が、当該プロモータ部分配列の5’末端の直前に3’末端を有するセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であるプライマ部分配列を具え、前記セレクタ配列とその相補性配列は、前記サンプル中に存在することが見込まれるいくつかの部分配列に対してアニール化しないように設計されている;
ステップと;
(ii)前記セレクタ部分配列を増幅するステップと;
(iii)増幅生成物の相対量を検出するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記プライマ部分配列と前記ターゲット部分配列は増幅されないことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記セレクタ部分配列の前記増幅がインビトロ転写(IVT)によるものであり、前記増幅生成物が、前記セレクタ配列と相補性の前記配列を具えるRNAであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記指定された配列が、mRNA及びウイルス性RNA、ゲノムDNA、又はPCR生成物であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記指定されたターゲット配列が、前記プライマ部分配列でアニーリングできる形で存在することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記指定されたターゲット配列が、特定遺伝子の対立遺伝子であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記独特な結合ステップが、前記指定されたターゲット部分配列に前記プライマ−プロモータ−セレクタ構造のプライマ部分をアニーリングするステップを具える請求項24に記載の方法。
【請求項28】
指定された部分配列へアニール化しなかった構造から、前記指定された部分配列へアニール化した構造を分離するステップを更に具えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記プライマ−プロモータ−セレクタ構造の前記プライマ部分を伸長するステップを更に具える請求項27に記載の方法。
【請求項30】
伸長したプライマを含む前記構造が、伸長されなかった構造から分離されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アニール化されず伸長されなかった構造及び未使用標識dNTPs又はddNTPs、又はオリゴヌクレオチドの分離を、カラム(サイズ排除又は親和力)分離、磁力分離を含む固相分離、酵素(例えば、エキソヌクレアーゼI、ピロホスファターゼ)処理、又はこれらのいずれかの組合せによって行われることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記伸長が、鋳型による伸長又は鋳型による核酸連結によって行われることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
伸長が標識dNTPs、ddNTPs又は標識オリゴヌクレオチドを組み込んでいることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記伸長構造が、固相上に捕捉されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記固相が磁性粒子であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記伸長及び核酸連結が対立遺伝子特異であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記増幅生成物の相対量を検出するステップが、コード化した微小粒子上に陳列されたプローブの、RT触媒伸長によるものであり、前記増幅生成物は伸長用の鋳型として作用することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項38】
検出が増幅と同時に行われることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記同時増幅及び増幅生成物検出が100nl又はそれ以下の反応量において生じることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記IVT反応が、検出可能な光学的特性を前記RNA生成物に導入することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項41】
T3又はT7又はSP6プロモータの非鋳型部分が、増幅の前に加えられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項42】
前記増幅生成物の相対量を検出するステップが、コード化された微小粒子上に陳列される捕捉プローブへの増幅生成物のアニーリングによるものであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項43】
対立遺伝子特異プライマ−プロモータ−セレクタ構造対を用いたゲノムサンプル中のヘテロ接合体の喪失(しばしば、腫瘍やその他の病理学的状態に関連する)を決定する方法において、各々が:
特定のターゲット部分配列に対して相補性の独特のプライマ部分配列であって、プロモータ部分配列の3’末端に近接して5’末端を有する前記プライマ部分配列を具え、前記プロモータ部分配列が、当該プロモータ部分配列の5’末端と近接して3’末端を有する独特のセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であり、前記セレクタ部分配列とその相補性の配列は、前記ゲノムサンプル内に存在することが見込まれるいくつかの部分配列に対してアニール化しないように設計されている3つの部分配列を具え;
前記方法が:
第1の独特のセレクタ配列を対象の遺伝子の正常型の対立遺伝子に、及び第2の独特のセレクタ配列をその遺伝子の変異対立遺伝子に、独特に関連付けるステップと;
前記セレクタ配列を増幅するステップと;
前記増幅された対立遺伝子の相対発生量を示す信号強度を決定するステップと;
ヘテロ接合体の喪失があるかどうかを決めるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項44】
遺伝子発現分析、対立遺伝子の計数、又は対立遺伝子コピー数決定に用いられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項45】
遺伝子発現分析のために、mRNAサンプル中に存在する指定された部分配列の相対量を決める方法において、当該方法が:
a)前記指定された部分配列を含むmRNAのサンプルを提供するステップと;
b)プライマ部分配列(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性の)と、転写プロモータ部分配列と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造を提供するステップであって、前記転写プロモータは、適当な条件下で、前記セレクタ部分配列の転写に向かうように方向付けられるステップと;
c)前記プライマ部分配列と前記mRNAのアニーリング、及び前記プライマ部分配列の伸長についての条件を提供するステップと;
d)mRNAをアニール化しない構造を除去するステップと;
e)指定期間中に、前記セレクタ配列を転写するステップと;
f)前記転写によって生成されるRNAの量を決定するステップと;
g)同一の反応ステップa)乃至f)で、別の指定された部分配列及び別のセレクタで生成したRNA量に対して前記RNA量を相関させるステップであって、前記指定された部分配列を含むmRNAの相対量と、前記サンプルの前記指定された部分配列の相対量を示すステップとを具える方法。
【請求項46】
前記mRNAを細胞から分離し、ゲノムDNAから、PCR生成物から、又は前記増幅から生成することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記逆転写のプライマ−プロモータ−セレクタ構造が、T3又はT7又はSP6プロモータ部分配列を具えることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記セレクタ部分配列も逆相補性部分配列も、mRNAの前記サンプル内における部分配列と相補性ではないことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項49】
いくつかの構造を用いて前記mRNA中のいくつかの指定された部分配列の量を決定し、各構造が、特定のプライマ部分配列に関連した特定のセレクタ部分配列を有することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記転写が前記セレクタ部分配列と相補性の標識又は非標識RNA部分配列を生成することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
RNAが、微小粒子上に陳列されたオリゴヌクレオチドへアニーリングすることにより捕捉されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項52】
RNAの量が、捕捉された標識RNAオリゴヌクレオチドに関連する光学信号を記録することにより決定されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
光学信号を生成することができる部分が、標識ヌクレオチドを用いた転写中に前記RNAに添加されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記標識ヌクレオチドが、フルオロフォアを含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記標識ヌクレオチドが、フルオロフォアを含む抗体で装飾することができるハプテンを含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記オリゴヌクレオチドが、コード化した微小粒子上に陳列されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
捕捉に続いて、前記オリゴヌクレオチドを伸長し、標識又は非標識dNTPs又はddNTPsを添加することを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記RNAの相対量が、前記捕捉されたRNAオリゴヌクレオチドに関連する光学信号の強度を、前記異なる指定された部分配列に関連する光学信号の強度と相関させることにより決定されることを特徴とする請求項51、55、又は56のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項59】
前記追加の指定された各部分配列についての同一ステップa)乃至g)に続いて、前記サンプル中の同一の又は異なるmRNA中にある追加の指定された部分配列をモニタリングするステップを更に具えることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項60】
前記T7プロモータ部分配列と二本鎖を形成する第2のT7プロモータ部分配列を更に具える請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記ステップc)が更に結合したハプテンを含むヌクレオチドを有する前記構造を伸長し、当該伸長した構造を前記ハプテン用の配位子を運ぶ微小粒子へ捕捉させるステップを更に具えることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項62】
アニール化されない、又は伸長されない構造からの精製に続く前記伸長構造の前記捕捉を更に具える請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ハプテンがビオチン又は抗原部分であり、前記配位子がストレプトアビジン又はニュートラアビジン又は抗体であることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記微小粒子が、請求項51に記載の微小粒子も含むビードアレイ中にあることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項65】
DNA又はRNAサンプル中の多型性又は突然変異部位の存在を決定する方法において:
a)前記多型性又は突然変異部位を含有するRNA又はDNAのサンプルを提供するステップと;
b)前記対象の各部位に対して:プライマ部分配列(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性があり、かつ、前記RNA又はDNAをアニール化する時に、前記部位で相補性のヌクレオチドと共に配列させるように設計した指定されたヌクレオチドを有する)と、転写プロモータ部分配列と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造を提供するステップであって、前記転写プロモータは、適当な状態下で、前記セレクタ部分配列の転写に向かうように方向付けられているステップと;
c)前記プライマ内の前記指定されたヌクレオチドが、前記部位での前記ヌクレオチドと相補性である場合に、前記RNA又はDNAの配列部位内のものと相補性のヌクレオチドと共に伸長構造を生成するために、3’方向にある前記プライマ部分配列の伸長状態を提供するステップであって、前記伸長部分配列が前記伸長プロセス中に親和性ハプテンを取得することができるステップと;
e)固体担体表面に陳列された配位子への親和性ハプテンの結合により余分な未使用構造から伸長構造を分離するステップと;
f)前記固体担体へ結合された前記伸長構造の前記セレクタ配列を転写するか、前記固体担体へ結合されない前記伸長構成の前記セレクタ配列を転写して、RNAを生成するステップと;
g)生成されたRNAの存在を決定し、前記プライマ部分配列内の前記指定されたヌクレオチドが、対象の前記多型性又は突然変異部位と相補性があることを示すステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項66】
前記親和性ハプテンがビオチンであるか抗原部分であり、前記配位子がストレプトアビジン又はニュートラアビジン又は抗体であることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記固体担体が、磁性又は常磁性であり、前記固体担体への標識の結合に続いて、前記固体担体がその位置を固定するために磁力で引きつけられ、次いで未使用構造が除去されることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記固体担体が親和力カラムの形であるか、又は分離がカラム分離を含んでいることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記mRNAを除去するか、前記構造の伸長に続いて適所に保持することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項70】
除去がRNaseHにより触媒作用を及ぼされる消化によるものであることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
カラム分離が、エキソヌクレアーゼI処理に先行されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項72】
生成されたRNAは、コード化された微小粒子上に陳列されたオリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって捕捉し、別にコード化された微小粒子が異なるオリゴヌクレオチドを陳列することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項73】
捕捉に続いて、標識された伸長生成物を生成するために、前記オリゴヌクレオチドが、標識dNTPs又は標識ddNTPsを含む反応において伸長されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項74】
RNAが標識NTPsの組み込みによって標識されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項75】
特異なオリゴヌクレオチドを陳列することが既知の微小粒子からの信号が、多型性又は突然変異の存在を同定することを特徴とする請求項73又は74に記載の方法。
【請求項76】
請求項48に記載の方法において、対象の各多型性/突然変異部位に対して、構造対を提供し、第1のセレクタ部分配列を具える前記対の一部が3’末端で、前記プライマが前記正常型の対立遺伝子と相補性であるようなヌクレオチドを有し、第2のセレクタ部分配列を具える前記対の一部が3’末端で、前記プライマが前記変異対立遺伝子と相補性であるようなヌクレオチドを有することを特徴とする方法。
【請求項77】
DNA又はRNAサンプルにおける多型性又は突然変異部位の存在を決定する方法において:
a)前記多型性又は突然変異部位を含有するRNA又はDNAのサンプルを提供するステップと;
b)前記対象の各部位に対して、以下のものの1つが前記RNA又はDNAへ配列され、アニール化される時に、前記対象の部位のヌクレオチドと相補性のヌクレオチドを有し、以下のもののその他が対象の部位で前記ヌクレオチドに隣接したヌクレオチドと共に配列されるそれぞれの末端のヌクレオチド(それぞれ5’又は3’)を有している;標識し、又は関連した標識を有することができる前記RNA又はDNA内の部分配列と全体的に又は部分的に相補性で、第1のオリゴヌクレオチドと;(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性である)プライマ部分配列と、転写プロモータ部分配列と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造であって、前記転写プロモータは、適当な条件下で、セレクタ部分配列の転写に向かうことができるように方向付けられる;
ものを具えるステップと;
c)前記第1のオリゴヌクレオチドの核酸連結の条件と、核酸連結生成物を生成する構造を提供するステップと;
d)余分な構造を除去する条件を提供するステップと;
e)RNA、又はRNA合成に標識NTPsが用いられる標識RNAを生成するために、前記固体担体へ結合又は結合されない前記核酸連結生成物の前記セレクタ配列を転写するステップと;
f)生成されたRNAの存在を決定するステップで、もし存在するならば前記第1のオリゴヌクレオチド内か構造内のいずれかにある前記配列されたヌクレオチドが、適宜に、対象の前記部位の前記ヌクレオチドと相補性であるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項78】
DNA又はRNAサンプル中の多型性又は突然変異部位の存在を決定する方法において:
a)前記多型又は突然変異部位を含有するmRNAのサンプルを提供するステップと;
b)前記対象の各部位に対して、以下のものの1つが前記RNA又はDNAへ配列され、アニール化される時に、前記対象の部位のヌクレオチドと相補性のヌクレオチドを有し、以下のもののその他が対象の部位で前記ヌクレオチドに隣接したヌクレオチドと共に配列されるそれぞれの末端のヌクレオチド(それぞれ5’又は3’)を有している;前記RNA又はDNA内の部分配列と全体的に又は部分的に相補性で、標識し、又は関連した標識を有する第1の部分であって、適当な条件下で、セレクタ部分配列の転写に向かうように方向付けられる転写プロモータを有する第1の部分:プライマ部分配列(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性である)と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造;を提供するステップと;
c)前記第1のプライマの核酸連結の条件と、核酸連結生成物を生成する前記構造を提供するステップと;
d)余分な構造の選択的な除去条件を提供するステップと;
e)前記固体担体へ結合された前記核酸連結生成物又は前記固体担体へ結合されない前記核酸連結生成物の前記セレクタ配列を転写して、RNAを生成するステップと;
f)生成されたRNAの存在を決定し、もし存在するならば前記第1の部分内か前記構造内のいずれかの前記配列されたヌクレオチドが、適宜に、対象の前記部位の前記ヌクレオチドと相補性であるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項79】
標識dNTPsを有する前記第1の部分(又は前記核酸連結生成物の第1の部分)を伸長して、前記標識を配位子によって結合することができる部位を提供するステップと;固体担体表面上に陳列された配位子への前記標識の結合によって、前記核酸連結生成物を前記mRNAから分離するステップとを更に具える請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の部分が標識される又は標識されないことを特徴とする請求項77又は78に記載の方法。
【請求項81】
サンプル中のウイルスから対象のmRNAとハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを運ぶ磁性捕捉ビーズを有する共集合ビードアレイを用いて、mRNAの存在を検出するのに用いられ、コード化検出ビーズが、ステップa)乃至e)における反応に起因する前記RNAの特性を表すために、オリゴヌクレオチドを運ぶことを特徴とする請求項77又は78に記載の方法。
【請求項82】
アッセイ内で生成される変異RNAに対する正常型の相対数及び比率を決めることにより、対象が多重アッセイにおける突然変異及び/又は多型性遺伝子座に対してホモ接合、ヘテロ接合、又は正常型であるかどうかを決めるのに用いられる請求項65、77、又は78に記載の方法。
【請求項83】
対象中のヘテロ接合性の喪失を決めるために用いられる請求項65、77又は78に記載の方法。
【請求項84】
図13に示し、記述するような方法。
【請求項1】
サンプル中のターゲット部分配列の存在と相対量を検出するプライマ−プロモータ−セレクタ構造において、当該構造が3つの部分配列を具え、当該部分配列が:
前記ターゲット部分配列と相補性のプライマ部分配列であって、プロモータ部分配列の3’末端の直前に5’末端を有するプライマ部分配列を含み、前記プロモータ部分配列がセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であり、前記プロモータ部分配列の5’末端の直前に3’末端を有し、前記セレクタ配列とその相補性配列は、前記サンプル中に存在することが見込まれるいくつかの部分配列に対してアニール化しないように設計されていることを特徴とする構造。
【請求項2】
前記プロモータが、前記プライマ部分配列の転写を方向付けしないことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記プロモータが、T7又はT3又はSP6プロモータ部分配列であることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記プライマ部分配列を鋳型にアニール化し、伸長することができることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項5】
同定可能な標識を具えることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項6】
前記セレクタ部分配列が、インビトロ転写用の鋳型として作用することを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項7】
サンプル中の別のターゲット部分配列の存在又は相対量の検出用の複数の異なる型のプライマ−プロモータ−セレクタ構造を具えるキットにおいて、当該キットの各々が:
前記ターゲット部分配列と相補性のプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列がプロモータ部分配列の3’末端の直前に5’末端を有するプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列が、当該プロモータ部分配列の5’末端の直前に3’末端を有するセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であるプライマ部分配列を含む三つの部分配列と;
1組のオリゴヌクレオチドとを具え、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドが、別々にコード化した微小粒子上に陳列され、前記オリゴヌクレオチドが前記セレクタ部分配列の転写生成物にアニーリングすることができることを特徴とするキット。
【請求項8】
前記異なる型の構造が、それぞれのプライマ部分配列及びセレクタ部分配列が異なることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項9】
各型の構造が、異なるプライマ部分配列及び同じセレクタ部分配列を有することを特徴とする請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記転写生成物内に組み込むことができる標識NTPsを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項11】
前記NTPsが光学的に標識されることを特徴とする請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記プロモータが、T7又はT3又はSP6プロモータ部分配列(鋳型鎖)であることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項13】
前記T7、T3又はSP6プロモータ部分配列と二本鎖を形成することができる非鋳型T3、T7又はSP6プロモータ部分配列を更に具えることを特徴とする請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記転写生成物と相補性である異なる型のオリゴヌクレオチドを付着させるように構成した別々にコード化された微小粒子セットを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項15】
前記プライマ部分配列の伸長時に、伸長生成物内へ結合する用に設計された標識ddNTPs又はdNTPsセットを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項16】
ハプテン標識ddNTPs又はdNTPsを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項17】
磁性粒子を更に具えることを特徴とする請求項16に記載のキット。
【請求項18】
プライマのターゲット部分配列の3’側又は前記プライマに配置された前記サンプル中の部分配列へアニーリングできるオリゴヌクレオチドを更に具えることを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項19】
前記オリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とする請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチドが前記プロモータ部分配列を具えることを特徴とする請求項18に記載のキット。
【請求項21】
サンプル中の指定された部分配列の相対的発生量を決定する方法において:
(i)プライマとして与えられた少なくとも1の指定ターゲット部分配列を少なくとも1のセレクタ部分配列に独特に結合し、双方の部分配列がプライマ−プロモータ−セレクタ構造の一部を形成しているステップであって、3つの部分配列を具え、当該部分配列が:
前記ターゲット部分配列と相補性のプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列がプロモータ部分配列の3’末端の直前に5’末端を有するプライマ部分配列であって、前記プロモータ部分配列が、当該プロモータ部分配列の5’末端の直前に3’末端を有するセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であるプライマ部分配列を具え、前記セレクタ配列とその相補性配列は、前記サンプル中に存在することが見込まれるいくつかの部分配列に対してアニール化しないように設計されている;
ステップと;
(ii)前記セレクタ部分配列を増幅するステップと;
(iii)増幅生成物の相対量を検出するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記プライマ部分配列と前記ターゲット部分配列は増幅されないことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記セレクタ部分配列の前記増幅がインビトロ転写(IVT)によるものであり、前記増幅生成物が、前記セレクタ配列と相補性の前記配列を具えるRNAであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記指定された配列が、mRNA及びウイルス性RNA、ゲノムDNA、又はPCR生成物であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記指定されたターゲット配列が、前記プライマ部分配列でアニーリングできる形で存在することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記指定されたターゲット配列が、特定遺伝子の対立遺伝子であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記独特な結合ステップが、前記指定されたターゲット部分配列に前記プライマ−プロモータ−セレクタ構造のプライマ部分をアニーリングするステップを具える請求項24に記載の方法。
【請求項28】
指定された部分配列へアニール化しなかった構造から、前記指定された部分配列へアニール化した構造を分離するステップを更に具えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記プライマ−プロモータ−セレクタ構造の前記プライマ部分を伸長するステップを更に具える請求項27に記載の方法。
【請求項30】
伸長したプライマを含む前記構造が、伸長されなかった構造から分離されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アニール化されず伸長されなかった構造及び未使用標識dNTPs又はddNTPs、又はオリゴヌクレオチドの分離を、カラム(サイズ排除又は親和力)分離、磁力分離を含む固相分離、酵素(例えば、エキソヌクレアーゼI、ピロホスファターゼ)処理、又はこれらのいずれかの組合せによって行われることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記伸長が、鋳型による伸長又は鋳型による核酸連結によって行われることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
伸長が標識dNTPs、ddNTPs又は標識オリゴヌクレオチドを組み込んでいることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記伸長構造が、固相上に捕捉されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記固相が磁性粒子であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記伸長及び核酸連結が対立遺伝子特異であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記増幅生成物の相対量を検出するステップが、コード化した微小粒子上に陳列されたプローブの、RT触媒伸長によるものであり、前記増幅生成物は伸長用の鋳型として作用することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項38】
検出が増幅と同時に行われることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記同時増幅及び増幅生成物検出が100nl又はそれ以下の反応量において生じることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記IVT反応が、検出可能な光学的特性を前記RNA生成物に導入することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項41】
T3又はT7又はSP6プロモータの非鋳型部分が、増幅の前に加えられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項42】
前記増幅生成物の相対量を検出するステップが、コード化された微小粒子上に陳列される捕捉プローブへの増幅生成物のアニーリングによるものであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項43】
対立遺伝子特異プライマ−プロモータ−セレクタ構造対を用いたゲノムサンプル中のヘテロ接合体の喪失(しばしば、腫瘍やその他の病理学的状態に関連する)を決定する方法において、各々が:
特定のターゲット部分配列に対して相補性の独特のプライマ部分配列であって、プロモータ部分配列の3’末端に近接して5’末端を有する前記プライマ部分配列を具え、前記プロモータ部分配列が、当該プロモータ部分配列の5’末端と近接して3’末端を有する独特のセレクタ部分配列の転写を方向付けることが可能であり、前記セレクタ部分配列とその相補性の配列は、前記ゲノムサンプル内に存在することが見込まれるいくつかの部分配列に対してアニール化しないように設計されている3つの部分配列を具え;
前記方法が:
第1の独特のセレクタ配列を対象の遺伝子の正常型の対立遺伝子に、及び第2の独特のセレクタ配列をその遺伝子の変異対立遺伝子に、独特に関連付けるステップと;
前記セレクタ配列を増幅するステップと;
前記増幅された対立遺伝子の相対発生量を示す信号強度を決定するステップと;
ヘテロ接合体の喪失があるかどうかを決めるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項44】
遺伝子発現分析、対立遺伝子の計数、又は対立遺伝子コピー数決定に用いられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項45】
遺伝子発現分析のために、mRNAサンプル中に存在する指定された部分配列の相対量を決める方法において、当該方法が:
a)前記指定された部分配列を含むmRNAのサンプルを提供するステップと;
b)プライマ部分配列(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性の)と、転写プロモータ部分配列と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造を提供するステップであって、前記転写プロモータは、適当な条件下で、前記セレクタ部分配列の転写に向かうように方向付けられるステップと;
c)前記プライマ部分配列と前記mRNAのアニーリング、及び前記プライマ部分配列の伸長についての条件を提供するステップと;
d)mRNAをアニール化しない構造を除去するステップと;
e)指定期間中に、前記セレクタ配列を転写するステップと;
f)前記転写によって生成されるRNAの量を決定するステップと;
g)同一の反応ステップa)乃至f)で、別の指定された部分配列及び別のセレクタで生成したRNA量に対して前記RNA量を相関させるステップであって、前記指定された部分配列を含むmRNAの相対量と、前記サンプルの前記指定された部分配列の相対量を示すステップとを具える方法。
【請求項46】
前記mRNAを細胞から分離し、ゲノムDNAから、PCR生成物から、又は前記増幅から生成することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記逆転写のプライマ−プロモータ−セレクタ構造が、T3又はT7又はSP6プロモータ部分配列を具えることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記セレクタ部分配列も逆相補性部分配列も、mRNAの前記サンプル内における部分配列と相補性ではないことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項49】
いくつかの構造を用いて前記mRNA中のいくつかの指定された部分配列の量を決定し、各構造が、特定のプライマ部分配列に関連した特定のセレクタ部分配列を有することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記転写が前記セレクタ部分配列と相補性の標識又は非標識RNA部分配列を生成することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
RNAが、微小粒子上に陳列されたオリゴヌクレオチドへアニーリングすることにより捕捉されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項52】
RNAの量が、捕捉された標識RNAオリゴヌクレオチドに関連する光学信号を記録することにより決定されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
光学信号を生成することができる部分が、標識ヌクレオチドを用いた転写中に前記RNAに添加されることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記標識ヌクレオチドが、フルオロフォアを含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記標識ヌクレオチドが、フルオロフォアを含む抗体で装飾することができるハプテンを含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記オリゴヌクレオチドが、コード化した微小粒子上に陳列されることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
捕捉に続いて、前記オリゴヌクレオチドを伸長し、標識又は非標識dNTPs又はddNTPsを添加することを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記RNAの相対量が、前記捕捉されたRNAオリゴヌクレオチドに関連する光学信号の強度を、前記異なる指定された部分配列に関連する光学信号の強度と相関させることにより決定されることを特徴とする請求項51、55、又は56のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項59】
前記追加の指定された各部分配列についての同一ステップa)乃至g)に続いて、前記サンプル中の同一の又は異なるmRNA中にある追加の指定された部分配列をモニタリングするステップを更に具えることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項60】
前記T7プロモータ部分配列と二本鎖を形成する第2のT7プロモータ部分配列を更に具える請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記ステップc)が更に結合したハプテンを含むヌクレオチドを有する前記構造を伸長し、当該伸長した構造を前記ハプテン用の配位子を運ぶ微小粒子へ捕捉させるステップを更に具えることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項62】
アニール化されない、又は伸長されない構造からの精製に続く前記伸長構造の前記捕捉を更に具える請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ハプテンがビオチン又は抗原部分であり、前記配位子がストレプトアビジン又はニュートラアビジン又は抗体であることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記微小粒子が、請求項51に記載の微小粒子も含むビードアレイ中にあることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項65】
DNA又はRNAサンプル中の多型性又は突然変異部位の存在を決定する方法において:
a)前記多型性又は突然変異部位を含有するRNA又はDNAのサンプルを提供するステップと;
b)前記対象の各部位に対して:プライマ部分配列(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性があり、かつ、前記RNA又はDNAをアニール化する時に、前記部位で相補性のヌクレオチドと共に配列させるように設計した指定されたヌクレオチドを有する)と、転写プロモータ部分配列と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造を提供するステップであって、前記転写プロモータは、適当な状態下で、前記セレクタ部分配列の転写に向かうように方向付けられているステップと;
c)前記プライマ内の前記指定されたヌクレオチドが、前記部位での前記ヌクレオチドと相補性である場合に、前記RNA又はDNAの配列部位内のものと相補性のヌクレオチドと共に伸長構造を生成するために、3’方向にある前記プライマ部分配列の伸長状態を提供するステップであって、前記伸長部分配列が前記伸長プロセス中に親和性ハプテンを取得することができるステップと;
e)固体担体表面に陳列された配位子への親和性ハプテンの結合により余分な未使用構造から伸長構造を分離するステップと;
f)前記固体担体へ結合された前記伸長構造の前記セレクタ配列を転写するか、前記固体担体へ結合されない前記伸長構成の前記セレクタ配列を転写して、RNAを生成するステップと;
g)生成されたRNAの存在を決定し、前記プライマ部分配列内の前記指定されたヌクレオチドが、対象の前記多型性又は突然変異部位と相補性があることを示すステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項66】
前記親和性ハプテンがビオチンであるか抗原部分であり、前記配位子がストレプトアビジン又はニュートラアビジン又は抗体であることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記固体担体が、磁性又は常磁性であり、前記固体担体への標識の結合に続いて、前記固体担体がその位置を固定するために磁力で引きつけられ、次いで未使用構造が除去されることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記固体担体が親和力カラムの形であるか、又は分離がカラム分離を含んでいることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記mRNAを除去するか、前記構造の伸長に続いて適所に保持することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項70】
除去がRNaseHにより触媒作用を及ぼされる消化によるものであることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
カラム分離が、エキソヌクレアーゼI処理に先行されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項72】
生成されたRNAは、コード化された微小粒子上に陳列されたオリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって捕捉し、別にコード化された微小粒子が異なるオリゴヌクレオチドを陳列することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項73】
捕捉に続いて、標識された伸長生成物を生成するために、前記オリゴヌクレオチドが、標識dNTPs又は標識ddNTPsを含む反応において伸長されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項74】
RNAが標識NTPsの組み込みによって標識されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項75】
特異なオリゴヌクレオチドを陳列することが既知の微小粒子からの信号が、多型性又は突然変異の存在を同定することを特徴とする請求項73又は74に記載の方法。
【請求項76】
請求項48に記載の方法において、対象の各多型性/突然変異部位に対して、構造対を提供し、第1のセレクタ部分配列を具える前記対の一部が3’末端で、前記プライマが前記正常型の対立遺伝子と相補性であるようなヌクレオチドを有し、第2のセレクタ部分配列を具える前記対の一部が3’末端で、前記プライマが前記変異対立遺伝子と相補性であるようなヌクレオチドを有することを特徴とする方法。
【請求項77】
DNA又はRNAサンプルにおける多型性又は突然変異部位の存在を決定する方法において:
a)前記多型性又は突然変異部位を含有するRNA又はDNAのサンプルを提供するステップと;
b)前記対象の各部位に対して、以下のものの1つが前記RNA又はDNAへ配列され、アニール化される時に、前記対象の部位のヌクレオチドと相補性のヌクレオチドを有し、以下のもののその他が対象の部位で前記ヌクレオチドに隣接したヌクレオチドと共に配列されるそれぞれの末端のヌクレオチド(それぞれ5’又は3’)を有している;標識し、又は関連した標識を有することができる前記RNA又はDNA内の部分配列と全体的に又は部分的に相補性で、第1のオリゴヌクレオチドと;(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性である)プライマ部分配列と、転写プロモータ部分配列と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造であって、前記転写プロモータは、適当な条件下で、セレクタ部分配列の転写に向かうことができるように方向付けられる;
ものを具えるステップと;
c)前記第1のオリゴヌクレオチドの核酸連結の条件と、核酸連結生成物を生成する構造を提供するステップと;
d)余分な構造を除去する条件を提供するステップと;
e)RNA、又はRNA合成に標識NTPsが用いられる標識RNAを生成するために、前記固体担体へ結合又は結合されない前記核酸連結生成物の前記セレクタ配列を転写するステップと;
f)生成されたRNAの存在を決定するステップで、もし存在するならば前記第1のオリゴヌクレオチド内か構造内のいずれかにある前記配列されたヌクレオチドが、適宜に、対象の前記部位の前記ヌクレオチドと相補性であるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項78】
DNA又はRNAサンプル中の多型性又は突然変異部位の存在を決定する方法において:
a)前記多型又は突然変異部位を含有するmRNAのサンプルを提供するステップと;
b)前記対象の各部位に対して、以下のものの1つが前記RNA又はDNAへ配列され、アニール化される時に、前記対象の部位のヌクレオチドと相補性のヌクレオチドを有し、以下のもののその他が対象の部位で前記ヌクレオチドに隣接したヌクレオチドと共に配列されるそれぞれの末端のヌクレオチド(それぞれ5’又は3’)を有している;前記RNA又はDNA内の部分配列と全体的に又は部分的に相補性で、標識し、又は関連した標識を有する第1の部分であって、適当な条件下で、セレクタ部分配列の転写に向かうように方向付けられる転写プロモータを有する第1の部分:プライマ部分配列(前記指定された部分配列の少なくとも一部分と相補性である)と、セレクタ部分配列とを(3’乃至5’末端までに)含む構造;を提供するステップと;
c)前記第1のプライマの核酸連結の条件と、核酸連結生成物を生成する前記構造を提供するステップと;
d)余分な構造の選択的な除去条件を提供するステップと;
e)前記固体担体へ結合された前記核酸連結生成物又は前記固体担体へ結合されない前記核酸連結生成物の前記セレクタ配列を転写して、RNAを生成するステップと;
f)生成されたRNAの存在を決定し、もし存在するならば前記第1の部分内か前記構造内のいずれかの前記配列されたヌクレオチドが、適宜に、対象の前記部位の前記ヌクレオチドと相補性であるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項79】
標識dNTPsを有する前記第1の部分(又は前記核酸連結生成物の第1の部分)を伸長して、前記標識を配位子によって結合することができる部位を提供するステップと;固体担体表面上に陳列された配位子への前記標識の結合によって、前記核酸連結生成物を前記mRNAから分離するステップとを更に具える請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の部分が標識される又は標識されないことを特徴とする請求項77又は78に記載の方法。
【請求項81】
サンプル中のウイルスから対象のmRNAとハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを運ぶ磁性捕捉ビーズを有する共集合ビードアレイを用いて、mRNAの存在を検出するのに用いられ、コード化検出ビーズが、ステップa)乃至e)における反応に起因する前記RNAの特性を表すために、オリゴヌクレオチドを運ぶことを特徴とする請求項77又は78に記載の方法。
【請求項82】
アッセイ内で生成される変異RNAに対する正常型の相対数及び比率を決めることにより、対象が多重アッセイにおける突然変異及び/又は多型性遺伝子座に対してホモ接合、ヘテロ接合、又は正常型であるかどうかを決めるのに用いられる請求項65、77、又は78に記載の方法。
【請求項83】
対象中のヘテロ接合性の喪失を決めるために用いられる請求項65、77又は78に記載の方法。
【請求項84】
図13に示し、記述するような方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−508497(P2009−508497A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531452(P2008−531452)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/036889
【国際公開番号】WO2007/035893
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(503369358)バイオアレイ ソリューションズ リミテッド (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/036889
【国際公開番号】WO2007/035893
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(503369358)バイオアレイ ソリューションズ リミテッド (14)
【Fターム(参考)】
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