説明

印刷システム及び印刷プログラム

【課題】 印刷装置において障害が発生して印刷が中断した場合、再度の印刷を行おうとする際にすでに印刷を終えてしまった部分の印刷を行わず残りの部分のみの印刷をすみやかに行うことができなかった点と、その際にセキュアなプリントが確保されなかった点を解決すること。
【解決手段】 印刷装置がページ毎の印刷の完了をプリントサーバに知らせて、再度の印刷時にプリントサーバに対して印刷ジョブデータの再送要求を行う方法と、その際に暗証コードの照合を行う方法によって解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
印刷システム及び印刷プログラムにおいて、セキュアなプリントを達成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークで接続された複数の印刷装置を共用で使用する環境が近年多く見られる。こうした環境で印刷されるものの中には、極めて秘匿性の高いものも存在する。こうした印刷物の取り忘れや、第3者による印刷物の盗み見、持ち去りなどといった情報漏洩を防ぐ必要性は近年高まっている。
【0003】
こうした対策として、印刷ジョブデータに暗証コードをつけて、印刷を実行したユーザが印刷装置の操作パネルから暗証コードを入力することで初めて印刷する、という仕組みが多く用いられている。
【0004】
しかし、印刷装置の障害により、一度中断した印刷ジョブを再度実行しようとした場合には、通常のジョブとして扱われてしまう、などの問題もあった。そこで、暗証コードのついた印刷ジョブを再開させるときにも、再度暗証コードを入力するという仕組みが提案されている。
【0005】
また、特許文献1では、プリントサーバで一時セキュアな印刷ジョブを蓄積しておくことにより、印刷装置の復旧に時間を要するために、別の印刷装置を使用しようとした場合でも、ユーザが再度PCなどから印刷指示を行う手間を省く方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらのいずれの方法でも、一度印刷処理が中断した場合には、再度印刷処理を一から行う必要があり、紙資源と出力時間の無駄が発生することになる。印刷されたページを確認して、端末装置から残りのページ部分だけの印刷を指示することも可能であるが、それらが自動で行われることはない。また、そのときにセキュアなプリントが自動で確保されることはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−310722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、印刷装置において障害が発生して印刷が中断した場合、再度の印刷を行おうとする際にすでに印刷を終えてしまった部分の印刷を行わず残りの部分のみの印刷をすみやかに行うことができなかった点と、その際にセキュアなプリントが確保されなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の印刷システムは、プリントサーバと印刷装置を有する。印刷装置は、
印刷ジョブデータを受信して印刷を実行するものであり、ジョブデータ通信部、ジョブ処理結果通知部及び転送要求受付部を有する。ジョブデータ通信部は、前記プリンタサーバから前記印刷ジョブデータを受信する。ジョブ処理結果通知部は、ページ毎の印刷の完了情報を前記プリントサーバに通知する。転送要求受付部は、前記プリントサーバに中断されている印刷ジョブの転送要求を送信する。プリントサーバは、端末装置から前記印刷ジョブデータを受信して蓄積するもので、ジョブ関連通知通信部、ジョブデータ蓄積部及び印刷ジョブデータ転送部を有する。ジョブ関連通知通信部は、前記ジョブ処理結果通知部からの前記ページ毎の印刷の完了情報を受信する。ジョブデータ蓄積部は、前記印刷ジョブデータを蓄積すると共に前記ページ毎の印刷の完了情報を蓄積する。印刷ジョブデータ転送部は、前記転送要求受付部からの前記転送要求に応じて、ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータを転送要求元の印刷装置に転送する。
【0010】
ここで、前記転送要求部は、前記転送要求に対して、前記プリントサーバから印刷ジョブデータが送信されてこない場合、前記印刷ジョブを中断している他の印刷装置に前記転送要求を送信してもよい。
【0011】
この場合、前記ジョブデータ通信部は、前記他の印刷装置が前記転送要求に応じて送信した前記印刷ジョブデータを受信してもよい。
【0012】
また、前記転送要求受付部は、前記転送要求の際に、前記プリントサーバに対し前記印刷ジョブデータの暗証コードを送信してもよい。このとき、前記ジョブデータ転送部は、前記転送要求受付部から送信された暗証コードと、前記ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータの暗証コードとの照合を行い、両者の暗証コードが一致した場合にのみ前記印刷ジョブデータの転送を行う。
【0013】
本発明の印刷プログラムは、端末装置から印刷ジョブデータを受信して蓄積するプリントサーバと、前記印刷ジョブデータを受信して印刷を実行する印刷装置のコンピュータに実行させる印刷プログラムである。前記印刷プログラムは、前記印刷装置のコンピュータに、ジョブ処理結果通知機能及び転送要求受付機能を実現させる。ジョブデータ通信機能は、前記プリンタサーバから前記印刷ジョブデータを受信する。ジョブ処理結果通知機能は、ページ毎の印刷の完了情報を前記プリントサーバに通知する。転送要求受付機能は、前記プリントサーバに中断されている印刷ジョブの転送要求を送信する。更に前記印刷プログラムは、前記プリントサーバのコンピュータに、ジョブ関連通知受信機能、ジョブデータ蓄積機能及びジョブデータ転送機能を実現させる。ジョブ関連通知通信機能は、前記ジョブ処理結果通知部からの前記ページ毎の印刷の完了情報を受信する。ジョブデータ蓄積機能は、前記印刷ジョブデータを蓄積すると共に前記ページ毎の印刷の完了情報を蓄積する。印刷ジョブデータ転送機能は、前記転送要求受付部からの前記転送要求に応じて、ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータを転送要求元の印刷装置に転送する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の印刷システムは、プリントサーバと印刷装置を有する。印刷装置は、
印刷ジョブデータを受信して印刷を実行するものであり、ジョブデータ通信部、ジョブ処理結果通知部及び転送要求受付部を有する。ジョブデータ通信部は、前記プリンタサーバから前記印刷ジョブデータを受信する。ジョブ処理結果通知部は、ページ毎の印刷の完了情報を前記プリントサーバに通知する。転送要求受付部は、前記プリントサーバに中断されている印刷ジョブの転送要求を送信する。プリントサーバは、端末装置から前記印刷ジョブデータを受信して蓄積するもので、ジョブ関連通知通信部、ジョブデータ蓄積部及び印刷ジョブデータ転送部を有する。ジョブ関連通知通信部は、前記ジョブ処理結果通知部からの前記ページ毎の印刷の完了情報を受信する。ジョブデータ蓄積部は、前記印刷ジョブデータを蓄積すると共に前記ページ毎の印刷の完了情報を蓄積する。印刷ジョブデータ転送部は、前記転送要求受付部からの前記転送要求に応じて、ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータを転送要求元の印刷装置に転送する。
【0015】
このため、印刷装置で障害等の発生により印刷が中断されてしまっても、プリントサーバが印刷をどこまで完了したかを記憶しているために、再度の印刷装置からの印刷ジョブデータ転送要求により、残りの印刷を速やかに行うことが可能となる。
【0016】
ここで、前記転送要求部は、前記転送要求に対して、前記プリントサーバから印刷ジョブデータが送信されてこない場合、前記印刷ジョブを中断している他の印刷装置に前記転送要求を送信してもよい。
【0017】
このため、プリントサーバにも障害が発生している場合でも、それまで印刷を行っていた印刷装置には印刷ジョブデータが残っているため、その印刷装置に対して印刷ジョブデータ転送要求を送信することができる。
【0018】
この場合、前記ジョブデータ通信部は、前記他の印刷装置が前記転送要求に応じて送信した前記印刷ジョブデータを受信してもよい。
【0019】
このため、プリントサーバにも障害が発生している場合でも、残りの印刷を速やかに再開できる。
【0020】
また、前記転送要求受付部は、前記転送要求の際に、前記プリントサーバに対し前記印刷ジョブデータの暗証コードを送信してもよい。このとき、前記ジョブデータ転送部は、前記転送要求受付部から送信された暗証コードと、前記ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータの暗証コードとの照合を行い、両者の暗証コードが一致した場合にのみ前記印刷ジョブデータの転送を行う。
【0021】
このため、障害等の発生により中断された残りの印刷を行う際にも、暗証コードの照合によりセキュアなプリントが確保される。
【0022】
本発明の印刷プログラムは、端末装置から印刷ジョブデータを受信して蓄積するプリントサーバと、前記印刷ジョブデータを受信して印刷を実行する印刷装置のコンピュータに実行させる印刷プログラムである。前記印刷プログラムは、前記印刷装置のコンピュータに、ジョブ処理結果通知機能及び転送要求受付機能を実現させる。ジョブデータ通信機能は、前記プリンタサーバから前記印刷ジョブデータを受信する。ジョブ処理結果通知機能は、ページ毎の印刷の完了情報を前記プリントサーバに通知する。転送要求受付機能は、前記プリントサーバに中断されている印刷ジョブの転送要求を送信する。更に前記印刷プログラムは、前記プリントサーバのコンピュータに、ジョブ関連通知受信機能、ジョブデータ蓄積機能及びジョブデータ転送機能を実現させる。ジョブ関連通知通信機能は、前記ジョブ処理結果通知部からの前記ページ毎の印刷の完了情報を受信する。ジョブデータ蓄積機能は、前記印刷ジョブデータを蓄積すると共に前記ページ毎の印刷の完了情報を蓄積する。印刷ジョブデータ転送機能は、前記転送要求受付部からの前記転送要求に応じて、ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータを転送要求元の印刷装置に転送する。
【0023】
このため、印刷装置で障害等の発生により印刷が中断されてしまっても、プリントサーバが印刷をどこまで完了したかを記憶しているために、再度の印刷装置からの印刷ジョブデータ転送要求により、残りの印刷を速やかに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】印刷システムの全体の構成図である。
【図2】プリントサーバ201の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】MFP101(印刷装置)の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】(A)PCの動作のフローチャートと(B)プリントサーバの動作のフローチャートである。
【図5】(A)印刷装置の動作のフローチャートと(B)プリントサーバの動作のフローチャートである。
【図6】印刷装置での印刷処理のフローチャートである。
【図7】印刷装置での印刷中断した残りの印刷の際の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
印刷装置がページ毎の印刷の完了をプリントサーバに知らせて、再度の印刷時にプリントサーバに対して印刷ジョブデータの再送要求を行い、その際に暗証コードの照合を行う。このことにより、印刷装置において障害が発生して印刷が中断した場合に、再度の印刷を行おうとする際に、すでに印刷を終えてしまった部分の印刷を行わず残りの部分のみの印刷がすみやかに行われる。また、その際にセキュアなプリントが確保される。
【実施例】
【0026】
本発明実施例の印刷システムについて以下に説明する。
【0027】
[構成]
図1に本発明実施例の印刷システムの全体構成を示す。
【0028】
印刷システムは、印刷装置であるMFP(Multi Functional peripheral)101、プリンタ151、セキュアプリントのジョブを蓄積するプリントサーバ201、及び印刷指示を出す端末装置であるPC(Personal Computer)301を有する。これらの装置は、互いにLAN(Local Area Network)401によって接続されている。
【0029】
<プリントサーバの内部構成>
次に図2のプリントサーバ201の内部構成の機能ブロック図を用いて、プリントサーバの機能について説明する。
【0030】
プリントサーバ201は、不図示のコンピュータを有しており、印刷プログラムを実行することにより、プリントサーバ201内の構成要素をジョブデータ転送部211、ジョブ関連通知通信部213及びジョブデータ蓄積部215として動作させる。ここで、ジョブデータ転送部211及びジョブ関連通知通信部213は、NIC(Network Interface Card)であり、それぞれLANに接続する。また、ジョブデータ蓄積部215は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ(登録商標)等の不揮発性の読み書き可能な記憶装置である。
【0031】
ジョブデータ転送部211は、PC301から送信された印刷ジョブデータを受信する。また、印刷ジョブデータ転送部211は、受信した印刷ジョブデータを印刷装置へ送信する。
【0032】
また、ジョブデータ転送部211は、MFP101から送信されてきた暗証コードを受信し、ジョブデータ蓄積部に蓄積されている印刷ジョブデータの暗証コードと照合する。このとき、ジョブデータ転送部211は、両者の暗証コードが一致した場合に前記印刷ジョブデータの転送を行う。
【0033】
ジョブデータ蓄積部215は、ジョブデータ転送部211が受信した印刷ジョブデータを保存する。
【0034】
ジョブ関連通知通信部213は、印刷装置101、151からの印刷ジョブデータに関する様々な通知(ジョブデータ転送要求、ページ印刷完了通知、ジョブ完了通知、印刷途中のエラーの通知、ユーザによるキャンセルの通知など)をで受信する。ジョブ関連通知通信部は、受信した通知に応じて、ジョブデータ蓄積部215内の該当する印刷ジョブデータを操作する。
【0035】
<印刷装置の内部構成>
次に図3の印刷装置であるMFP101の内部構成の機能ブロック図を用いて、MFP101の機能について説明する。プリンタ151も同様の機能構成である。
【0036】
MFP101は、不図示のコンピュータを有しており、印刷プログラムを実行することにより、MFP101内の構成要素を転送要求受付部、111、ジョブデータ通信部113、ジョブデータ保存部115、ジョブ処理実行部119、ジョブ処理結果通知部117として動作させる。ここで、転送要求受付部111はタッチパネル等により構成される操作パネルである。ジョブデータ通信部113及びジョブ処理結果通知部117は、NIC(Network Interface Card)であり、それぞれLANに接続する。ジョブデータ保存部115は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ(登録商標)又はRAM(Random Access Memory)等の読み書き可能な記憶装置である。ジョブ処理実行部119は、印刷ジョブデータを処理する印刷エンジンである。
【0037】
PC301から印刷指示を行い、プリントサーバ201に印刷ジョブがたまっている状態で、ユーザは、MFP101の転送要求受付部111である操作パネルから出力したいジョブの転送要求を行う。
【0038】
転送要求受付部111は、ユーザの転送要求を受け付け、プリントサーバ201へユーザが指示した印刷ジョブデータの転送を依頼する。
【0039】
ジョブデータ通信部113では、転送要求に応じてプリントサーバ201から送信されてきた印刷ジョブデータを受信する。
【0040】
ジョブデータ保存部115は、ジョブデータ通信部113が受信した印刷ジョブデータを一時保存する。
【0041】
ジョブデータ通信部113は、印刷ジョブデータを受信した後、ジョブ処理実行部119にジョブ実行を指示する。
【0042】
ジョブ処理実行部119は、印刷ジョブデータをラスタライズして印刷処理を行う。また、ジョブ処理実行部119は、印刷ジョブ処理の経過(何ページ目が印刷された、印刷が完了した、印刷装置に障害が発生したために印刷ジョブ処理が停止された、ユーザがキャンセルした、など)をジョブ処理結果通知部117に通知する。
【0043】
ジョブ処理結果通知部117は、ジョブ処理実行部119からの通知をプリントサーバ201に通知する。
【0044】
[フローチャート]
<通常の処理フロー;セキュアプリントジョブ生成とプリントサーバへの蓄積>
まず、図4(A)を用いて、PC301側での通常の印刷時の処理フローについて説明する。
【0045】
S11:PC301が印刷データを準備する。
【0046】
S13:PC301が印刷ジョブに対して暗証コードを設定する。
【0047】
S15:PC301が印刷指示を行う。
【0048】
S17:印刷ジョブデータを転送する際には、ユーザの認証情報と、暗証コードを同時にプリントサーバ201に通知する必要がある。これらのデータは印刷ジョブのデータに含めても、印刷ジョブデータとは別に送るようにしてもよい。いずれの場合であっても、ユーザの認証情報や暗証コードについては、盗聴されないように、何らかの暗号化(通信路にSSL/TLSを使用するか、データ自体の暗号化)を行い、印刷ジョブデータをプリントサーバ201へ転送する。
【0049】
次に図4(B)を用いて、プリントサーバ201での通常の印刷時の処理フローについて説明する。
【0050】
S21:ジョブデータ転送部211は印刷ジョブデータを受信する。ジョブデータ蓄積部215は、受信された印刷ジョブデータを保存する。この際、ジョブデータ蓄積部215は、ユーザの認証情報や暗証コードも印刷ジョブデータに関連づけて保存する。
【0051】
<ユーザからの印刷要求処理>
次に図5(A)のフローチャートを用いて、MFP101からの印刷要求の処理について説明する。なお、プリンタ151からの印刷要求についても、同様の処理が実行される。
【0052】
S31:MFP101は、ユーザが転送要求受付部111(操作パネル)から認証データを入力すると、ユーザ認証を行う。転送要求受付部111は、入力された認証データをプリントサーバ201に送信する。プリントサーバ201では、ジョブ関連通知通信部213がMFP101から送信されてきた認証データに基づき、認証を行う。このユーザ認証データは暗号化などによって秘匿されることが望ましい。
【0053】
S33:ユーザ認証が成功した場合、ジョブ関連通知通信部213は、そのユーザの印刷ジョブデータの一覧をMFP101に送信する。印刷ジョブデータの一覧はMFP101の転送要求受付部111に表示される。
【0054】
S35:転送要求受付部111は、ユーザが一覧から選択した印刷ジョブを受付ける。
【0055】
S37:そのジョブに暗証コードが設定されている場合は、転送要求受付部111は、ユーザが入力した暗証コードを受付ける。
【0056】
S39:転送要求受付部111は、入力された暗証コードとともに、選択された印刷ジョブの転送要求をプリントサーバ201に送信する。
【0057】
S41:ジョブデータ通信部113は、S39の転送要求に応じてプリントサーバ201から送信されてきた印刷ジョブデータを受信する。ジョブ処理実行部119は、受信された印刷ジョブデータを印刷する。
【0058】
次にプリントサーバ201での処理について図5(B)のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
S51:ジョブデータ関連通知通信部213は、MFP101から送信されてきた印刷ジョブデータの転送要求を受信する。
【0060】
S53:ジョブデータ転送部211は、S51で受信された印刷ジョブデータに付随して送信された暗証コードが正しいかどうかを判断する。もしも、正しければ、S55に動作を移行する。正しくなければ、ジョブデータ関連通知通信部213は、暗証コードが正しくない旨のエラーを通知する。MFP101は、暗証コードが正しくないエラーを受信した場合には、転送要求受付部111が再度ユーザに暗証コードの入力を促す。
【0061】
S55:ジョブデータ転送部211は、転送要求送信元のMFP101へ指定された印刷ジョブデータを転送する。
【0062】
以上の一連の動作によりプリントサーバ201から印刷装置(MFP101,プリンタ151)に印刷ジョブデータが転送される。
【0063】
<印刷処理>
図6のフローチャートを用いて、MFP101における印刷ジョブ処理について説明する。なお、プリンタ151においても、同様の処理が実行される。
【0064】
S61:ジョブ処理実行部119は、MFP101に障害が発生したかどうかを判断する。障害が発生した場合には、動作をS63に移行する。発生していない場合は、動作をS67に移行する。
【0065】
S63:ジョブ処理結果通知部117は、MFP101に障害が発生したので、プリントサーバ201へ障害発生を通知する。
【0066】
S65:ジョブ処理実行部119は、印刷処理を停止する。
【0067】
S67:ジョブ処理実行部119は、印刷するページがまだあるかどうかを判断する。ある場合には動作をS69に移行する。ない場合は、動作をS75に移行する。
【0068】
S69:ジョブ処理実行部119は、印刷未処理の先頭ページの印刷処理を実行する。
【0069】
S71:ジョブ処理結果通知部117は、印刷処理中にページを印刷する度に、プリントサーバ201へページ印刷完了を通知する。
【0070】
S73:MFP101でも、ジョブデータ保存部115により何ページ印刷をしたかという情報を保存しておく。
【0071】
S75:すべてのページが印刷し終わったので、ジョブ処理結果通知部117は、プリントサーバ201へ印刷ジョブ処理の完了を通知する。
【0072】
S77:ジョブデータ保存部115は、MFP101内に保存していた印刷ジョブデータと何ページまで印刷し終わったか、というジョブ処理中の一時情報も削除する。また、プリントサーバ201では、ジョブ関連通知通信部213がジョブ処理結果通知部117から完了通知を受信すると、ジョブデータ蓄積部115は、自身に蓄積されていた印刷ジョブデータと関連する処理情報を削除する。
【0073】
<印刷装置に障害が発生した後の作業について>
上記の処理フローによると、印刷中に障害が発生した場合、途中どのページまで印刷が終わったか、という情報が印刷装置にもプリントサーバ201にも残っている。
【0074】
印刷装置がすぐに復旧する場合には、上記情報を使って、未完了のページから出力指示をすれことが可能である。
【0075】
<障害によって中断したつづきの印刷を行う時の処理フロー>
印刷装置の障害が短時間に復旧する見込みがないが、早急に印刷ジョブ処理を完了させたいという場合には、他の正常稼働している印刷装置からプリントサーバに未完了の印刷ジョブデータの転送を要求し、印刷ジョブ処理のつづきを行うことが可能である。この転送の要求にも暗証コードを要求するようにすれば、セキュリティは保たれる。以下に上記の印刷装置の動作について、図7のフローチャートを用いて説明する。ここでは、プリンタ151に障害が発生した場合に、MFP101から印刷ジョブ処理の続きを行うものとする。
【0076】
S81:MFP101の転送要求受付部111は、ユーザが入力した未完了ジョブ情報を受付ける。このときに、転送要求受付部111は、出力ジョブの暗証コードの入力も受付ける。このS81の処理は、詳細にはS33〜S35の処理と同様である。
【0077】
S83:転送要求受付部111は、プリントサーバ201へ印刷ジョブデータの転送を要求する。このS83の処理は、詳細にはS39の処理と同様である。
【0078】
S85:ジョブデータ通信部113は、プリントサーバ201から印刷ジョブデータを受信したかどうかを判断する。受信した場合は動作をS87に移行する。受信できない場合には、動作をS89に移行する。
【0079】
S87:印刷ジョブデータが受信できたので、ジョブ処理実行部119は、印刷ジョブ処理を行い動作を終了する。このS87の処理は、詳細にはS41及びS61〜S77の処理と同様である。
【0080】
S89:印刷ジョブデータが受信できなかったので、転送要求受付部111は、それまでに作業していた(障害が発生した)プリンタ151に転送要求を送信して、印刷ジョブデータを転送するように要求する。プリンタ151では、ジョブデータ通信部がMFP201からの転送要求に応じて、未処理の印刷ジョブデータをMFP101に送信する。
【0081】
この処理により、プリントサーバ201で印刷ジョブが送信不可能な障害が発生している場合でも、プリンタ151には印刷ジョブデータが残っているため、そのプリンタ151に対して印刷ジョブデータ転送要求を送信すれば、印刷が再開できる。
【0082】
S91:ジョブデータ通信部113は、プリンタ151から印刷ジョブデータを受信したかどうかを判断する。受信した場合は動作をS87に移行する。受信できない場合には、動作をS93に移行する。
【0083】
S93:転送要求受付部111は、印刷が失敗したことを表示して、ユーザにその旨を通知する。
【0084】
以上により障害発生時のつづきの印刷ジョブ処理を終了する。
【0085】
上記の場合に、プリントサーバ201は、未完了データジョブの転送要求を受信した場合に、以下のようなデータを送ることが考えられる。
【0086】
(1)以前に処理したものと同じ印刷ジョブデータ
(2)未完了のページデータのみ含む印刷ジョブデータ
ユーザはMFP101の転送要求受付部111にて上記(1)か(2)を選択することができる。転送要求受付部111はユーザの選択に応じて、プリントサーバ201に(1)か(2)かを通知する。
【0087】
プリントサーバ201では、ジョブ関係通知通信部213が上記通知を受信する。ジョブデータ転送部211は、上記通知に応じて、プリンタ151に印刷ジョブ処理の経過情報を要求する。
【0088】
プリンタ151では、ジョブ処理結果通知部117が、MFP101からの経過情報要求に応じて、印刷ジョブ処理の経過情報(印刷ジョブ処理が完了したページ数)をMFP101に返信する。
【0089】
プリントサーバ201では、プリンタ151から送信されてきた印刷ジョブ処理の経過情報と、印刷ジョブデータをMFP201に送信する。
【0090】
上記(1)の印刷装置に転送される場合には、完了しているページ数のデータもプリントサーバ201から送られてくる。従って、MFP101のジョブ処理実行部119は、完了しているページについては印刷しないようにして、未完了のページのみ印刷を印刷する。
【0091】
上記(2)の場合は、その印刷ジョブデータをそのまま処理するだけでよい。
【0092】
なお、上記(1)の場合、プリントサーバ201が、印刷ジョブ処理の経過情報に基づいて、印刷ジョブデータを加工して、未処理のページのみの印刷ジョブデータをMFP101に送信してもよい。
【0093】
[実施例の効果]
本発明実施例の印刷システムにより以下のことが可能となる。
【0094】
セキュアプリントの途中で障害が発生した場合に、再度最初から印刷をやり直すことなく、未完了のページのみ印刷することが可能。
【0095】
プリントサーバがダウンしていたとしても、もともと処理を行おうとしていた印刷装からデータ転送をすることで、印刷を再開することが可能。
【符号の説明】
【0096】
101 MFP(Multi Functional peripheral)(印刷装置)
111 転送要求受付部(操作パネル)
113 ジョブデータ通信部
115 ジョブデータ保存部
117 ジョブ処理結果通知部
119 ジョブ処理実行部
151 プリンタ(印刷装置)
201 プリントサーバ
211 ジョブデータ転送部
213 ジョブ関連通知通信部
215 ジョブデータ蓄積部
301 PC(Personal Computer)(端末装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から印刷ジョブデータを受信して蓄積するプリントサーバと、
前記印刷ジョブデータを受信して印刷を実行する印刷装置とを有し、
前記印刷装置は、
前記プリンタサーバから前記印刷ジョブデータを受信するジョブデータ通信部と、
ページ毎の印刷の完了情報を前記プリントサーバに通知するジョブ処理結果通知部と、
前記プリントサーバに中断されている印刷ジョブの転送要求を送信する転送要求受付部とを有し、
前記プリントサーバは、
前記ジョブ処理結果通知部からの前記ページ毎の印刷の完了情報を受信するジョブ関連通知通信部と、
前記印刷ジョブデータを蓄積すると共に前記ページ毎の印刷の完了情報を蓄積するジョブデータ蓄積部と、
前記転送要求受付部からの前記転送要求に応じて、ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータを転送要求元の印刷装置に転送するジョブデータ転送部とを有する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1の印刷システムであって、
前記転送要求部は、前記転送要求に対して前記プリントサーバから印刷ジョブデータが送信されてこない場合、前記印刷ジョブを中断している他の印刷装置に前記転送要求を送信する
ことを特徴とする印刷システム
【請求項3】
請求項2の印刷システムであって、
前記ジョブデータ通信部は、前記他の印刷装置が前記転送要求に応じて送信した前記印刷ジョブデータを受信する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの印刷システムであって、
前記転送要求受付部は、前記転送要求の際に前記プリントサーバに対し前記印刷ジョブデータの暗証コードを送信し、
前記ジョブデータ転送部は、前記転送要求受付部から送信された暗証コードと前記ジョブデータ蓄積部に蓄積された前記印刷ジョブデータの暗証コードとの照合を行い、両者の暗証コードが一致した場合にのみ前記印刷ジョブデータの転送を行う
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
端末装置から印刷ジョブデータを受信して蓄積するプリントサーバと前記印刷ジョブデータを受信して印刷を実行する印刷装置とのコンピュータに実行させる印刷プログラムであって、
前記印刷装置のコンピュータに、
前記プリンタサーバから前記印刷ジョブデータを受信するジョブデータ通信機能と、
ページ毎の印刷の完了情報を前記プリントサーバに通知するジョブ処理結果通知機能と、
前記プリンタサーバから前記プリントサーバ中断されている印刷ジョブの転送要求を送信する転送要求受付機能とを実現させ、
前記プリントサーバのコンピュータに、
前記ジョブ処理結果通知部からの前記ページ毎の印刷の完了情報を受信するジョブ関連通知受信機能と、
前記印刷ジョブデータを蓄積すると共に前記ページ毎の印刷の完了情報を蓄積するジョブデータ蓄積機能と、
前記転送要求受付部からの前記転送要求に応じて、前記ジョブデータ蓄積機能により蓄積された前記印刷ジョブデータを転送要求元の印刷装置に転送するジョブデータ転送機能とを実現させる
ことを特徴とする印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−176595(P2010−176595A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20995(P2009−20995)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】