説明

印刷システム

【課題】非定型形状のメディアに対しての適切な印刷ができる印刷システムを提供する。
【解決手段】メディアを搬送する搬送動作を行う搬送部と、上記搬送部と協働して上記メディアに対し印刷動作を行う印刷部と、を有する印刷システムであって、上記メディアの画像を読み取るスキャナー部と、上記画像に基づいて、上記メディアの外形輪郭形状を解析する画像解析部と、上記外形輪郭形状に基づいて、上記搬送動作及び上記印刷動作に関する動作設定を生成する動作設定生成部と、を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メディアとして用紙だけでなく、例えばCD−RやDVD−R等のレーベル面に画像や文字等を印刷可能とするプリンターが種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。この種のプリンターでは、印刷対象のメディアをプリンターにセットしておき、印刷したい画像データをホストコンピューターで取り込む。そして、その画像データに関して、メディア上での位置、大きさ、範囲等のデザイン調整を行い、調整後の画像データをプリンターに送信する。プリンターは、受信した画像データに基づき印刷を実行し、所望の画像や文字等が印刷されたCD−R等のメディアを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−119261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、用紙やCD−R等のメディアの大きさ、外形等は、複数のバリエーションがあるものの、それらは所定の規格(例えば、JIS規格等)により定められた定型形状である。このため、従来技術では、その定型形状を予めデータとして記憶しておき、プリンターにセットされたメディアの種類に応じて動作設定を切り替えて印刷を実行する構成を採用している。したがって、従来技術では、定型形状でない、非定型形状のメディアに対しての適切な印刷が困難であるという問題がある。
【0005】
例えば、メディアとして長方形状の用紙を印刷対象とし、セットされた用紙の幅をセンサー等で検知することで、幅方向の印刷領域を設定する仕様のプリンターに、幅が一定でない非定型形状のメディアをセットすると、メディアから印刷がはみ出し、機内を汚染するといった問題が生じる。また、例えば、メディアとして長方形状の用紙を印刷対象とし、セットされた用紙の後端位置をセンサー等で検知することで、印刷の終了を判断する仕様のプリンターに、後端位置が一定でない非定型形状のメディアをセットすると、正確な後端位置の検出ができず、印刷が途中で終了し、さらには、搬送ローラー等にメディアが挟まった状態で停止して出力されないといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、非定型形状のメディアに対しての適切な印刷ができる印刷システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、メディアを搬送する搬送動作を行う搬送部と、上記搬送部と協働して上記メディアに対し印刷動作を行う印刷部と、を有する印刷システムであって、上記メディアの画像を読み取るスキャナー部と、上記画像に基づいて、上記メディアの外形輪郭形状を解析する画像解析部と、上記外形輪郭形状に基づいて、上記搬送動作及び上記印刷動作に関する動作設定を生成する動作設定生成部と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、非定型形状のメディアをセットする場合、そのメディアをスキャナー部で読み込み、読み込んだ画像からメディアの外形輪郭形状を解析し、その外形輪郭形状に基づいてメディアに応じた搬送部の搬送動作及び印刷部の印刷動作に関する動作設定を生成するため、非定型形状のメディアの印刷のはみ出し、印刷の未完了等を防止した適切な印刷が実行可能となる。
【0008】
また、本発明においては、上記外形輪郭形状に基づいて、該外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含むか否か判定する判定部と、上記判定部の判定結果に基づいて動作設定生成部の動作を制御する制御部と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含むか否かによって、スキャナー部において読み取ったメディアの姿勢(位置)と、搬送部において搬送されるメディアの姿勢(位置)とを一致させる処理の困難性が異なるため、当該一対の直角形状の有無の判定に基づいて動作設定生成部の動作を制御する。
【0009】
また、本発明においては、所定の情報を表示する表示部を有しており、上記制御部は、上記判定部の判定結果が否の場合、上記動作設定生成部の動作を停止させると共に、上記表示部に、上記停止に関する情報を表示させるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含まない場合、特に、搬送部におけるメディアの姿勢(位置)の維持が困難となることから、その後の外形輪郭形状に基づく動作設定の生成を停止させ、表示部に停止に関する情報を表示させ、ユーザーに注意を促す。
【0010】
また、本発明においては、上記制御部は、上記判定部の判定結果が否の場合、上記表示部に、一辺を共有する一対の直角形状を含む外形輪郭形状を有するメディア搬送補助部材の使用に関する情報を表示させるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含まない場合、表示部に、搬送部におけるメディアの姿勢(位置)の維持を補助する、一辺を共有する一対の直角形状を含む外形輪郭形状を有するメディア搬送補助部材の使用に関する情報を表示させ、ユーザーに注意を促す。
【0011】
また、本発明においては、上記スキャナー部は、上記メディア搬送補助部材を基準とした上記メディアの画像を読み取るという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、スキャナー部においてメディア搬送補助部材と共にメディアを読み込むことができ、スキャナー部におけるメディアの姿勢(位置)の維持を容易にさせることができる。
【0012】
また、本発明においては、上記メディア搬送補助部材には、アライメントマークが付されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、メディア搬送補助部材に付されたアライメントマークから、メディアの姿勢(位置)を正確に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態における印刷システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における印刷システムを構成するプリンターを示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるプリンターを示す内部構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態における印刷システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態における印刷システムの非定型形状のメディアに対する印刷工程を示すフロー図である。
【図6】本発明の第1実施形態におけるスキャンで取得する画像データを示す説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態における画素データを示す説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態における印刷すべき所定のパターンを示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態における印刷システムのステップS10以降の印刷工程を示すフロー図である。
【図10】本発明の第2実施形態における非定型形状のメディア及びメディア搬送補助部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る印刷システムの各実施形態について、図を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における印刷システム100の全体構成図である。
印刷システム100は、搬送部101と、印刷部102と、スキャナー部103と、表示部104と、画像解析部105と、動作設定生成部106と、判定部107と、制御部108と、を有する。具体的に、本実施形態の印刷システム100は、上記各構成部を形成する、以下説明するプリンター1と、不図示のホストコンピューターと、を含む。
【0016】
図2は、本発明の第1実施形態における印刷システム100を構成するプリンター1を示す図である。図3は、本発明の第1実施形態におけるプリンター1を示す内部構成図である。図4は、本発明の第1実施形態における印刷システム100の電気的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プリンター1は、プリンターユニット10と、スキャナーユニット20と、操作パネル30とを有する。プリンターユニット10は搬送部101及び印刷部102を構成し、スキャナーユニット20はスキャナー部103を構成し、操作パネル30は表示部104を構成する。
【0017】
スキャナーユニット20は、ケース2の上面の原稿台3に載置されたメディア(例えば原稿等)をスキャンして画像を読み取る構成となっている。スキャナーユニット20は、露光ランプ、CCDセンサー、パルスモーター等から構成されている。プリンター1は、読み取った画像を給紙トレイ4にセットされたメディア(例えば用紙等)に印刷し、排紙トレイ5に出力するスキャン印刷(コピー印刷)が可能である。また、プリンター1は、スキャンした画像データ(スキャンデータ)をホストコンピューターに送信するスキャナー読み取りや、ホストコンピューターから受信した印刷データを印刷出力することも可能である。
【0018】
ケース2には操作パネル30が配設され、この操作パネル30にはLCD(液晶表示器)31や操作手段としての各種スイッチ類32が配設されている(図2(b)参照)。LCD31には、プリンター1のメニュー機能、印刷条件、動作内容、動作状況、エラー内容等が表示される。また、各種スイッチ類32は、電源をON/OFFするための電源ボタンや印刷を開始するときに押される印刷開始ボタン、プリンター1の印刷モードを選択するための選択ボタン33等を含む。
【0019】
図3に示すように、プリンター1は、メディアMに対してインクを噴射し、画像や文字等を印刷するインクジェット式のプリンターユニット10を有する。
プリンターユニット10は、ガイド軸11に移動可能に取り付けられたキャリッジ12を有する。このキャリッジ12は、駆動プーリー13と従動プーリー14との間に掛け渡されたタイミングベルト15に接続されている。そして、駆動プーリー13は、パルスモーター16の回転軸に接続されている。このキャリッジ12は、パルスモーター16が駆動すると主走査方向(メディアMの幅方向)に移動する。
【0020】
キャリッジ12には、メディアMにむけてインク滴を噴射可能なインクジェットヘッド17が搭載されている。また、キャリッジ12には、インクジェットヘッド17にインクを供給するインクカートリッジ18が搭載されている。
ガイド軸11の下方には、このガイド軸11と平行に紙送りローラー19が配置されている。この紙送りローラー19は、不図示の紙送りモーターと接続され、主走査方向と直交する副走査方向にメディアMを搬送する。
【0021】
上記構成のプリンターユニット10は、紙送りローラー19によってメディアMを副走査方向に搬送する搬送動作を行い、その紙送りローラー19と協働し、メディアMの搬送に同期して、キャリッジ12を主走査方向に走査させ、インクジェットヘッド17からメディアMに対してインク滴を噴射する印刷動作を行う構成となっている。
【0022】
プリンターユニット10は、紙送りローラー19によるメディアMの搬送経路上に、副走査方向(搬送方向)におけるメディアMの後端を検知する後端検知センサー(後端検知部)19aを有する。後端検知センサー19aは、副走査方向において、インクジェットヘッド17よりも上流側の所定位置に設けられている。後端検知センサー19aは、当該所定位置において、メディアMの主走査方向に亘る後端の一部を検出する構成となっている。後端検知センサー19aとしては、光の反射等により光学的に、あるいは、接触により物理的にメディアMの後端を検知する種々のセンサーを用いることができる。
【0023】
図4に示すように、印刷システム100はメイン制御を司るCPU40を備え、CPU40にはバス41を介してROM42、RAM43、ASIC44が接続されている。これらは、画像解析部105と、動作設定生成部106と、判定部107と、制御部108と、を構成する。
【0024】
ROM42には、プリンター1を制御するための制御プログラム、プリンターユニット10を駆動するためのプリンター用制御パラメーター、スキャナーユニット20を駆動するためのスキャナー用制御パラメーター等が記憶されている。ROM42には、定型形状のメディアMの印刷を実行するとき、また、非定形形状のメディアMの印刷を実行するときに、CPU40によって実行されるメディア印刷実行プログラムも記憶されている。
【0025】
ASIC44にはASIC用のRAM45が接続され、ASIC44は、RAM45を作業領域として、スキャンで取り込んだ画像データに画像処理を施し、その画像データをプリンターユニット10に送ることが可能となっている。CPU40は、スキャン動作時にスキャナー用制御パラメーターを基にスキャナーユニット20を制御する。また、CPU40は、印刷時に、画像処理後の画像データ及びプリンター用制御パラメーターを基にプリンターユニット10を制御する。
【0026】
続いて、上記構成の印刷システム100による非定型形状のメディアMに対する印刷について説明する。なお、本実施形態としては、非定型形状のメディアMとして、封が展開状態の洋封筒(例えば図6参照)を例示する。
図5は、本発明の第1実施形態における印刷システム100の非定型形状のメディアMに対する印刷工程を示すフロー図である。
【0027】
非定型形状のメディアMに対する印刷を行う場合、ユーザーは、先ず、操作パネル30の選択ボタン33のうち「非定型」を押下する(図2参照)。「非定型」が押下されると、印刷システム100の印刷モードが、定型形状の印刷モードから、以下説明する非定形形状の印刷モードへと切り替わる。
【0028】
次に、ユーザーは、印刷するべき非定型形状のメディアMをスキャナーユニット20によってスキャンする(ステップS1)。なお、操作パネル30のLCD31には、非定型形状のメディアMをスキャンすべき旨が表示される。
ユーザーは、例えば、図6に示すようにメディアMを原稿台3上にセットして、操作パネル30の各種スイッチ類32のうちスキャン開始ボタンを押下し、スキャンを開始させる。スキャン開始ボタンが押下されると、CPU40は、スキャナーユニット20にスキャンを実行させ、画像データ50を取り込ませる。画像データ50には、メディアMの原稿台3との厚み差による影部51も含まれる。
【0029】
次に、CPU40は、画像データ50に基づいて、メディアMの外形輪郭形状を解析する(ステップS2)。
CPU40は、ステップS1で読み取った画像データを、1ラインごとにASIC44のRAM45に転送する。ASIC44は、RAM45に書き込まれた1ライン分の画像データを、ヘッド走査時の1ラスタラインを構成する順序に並び替えてCPU40のRAM43に転送し、この転送処理を画像データの全てのラインで完了するまで繰り返し実行する。
【0030】
上記転送処理により、RAM43に、記憶解像度(スキャン解像度)に合わせた図7に示す画素データ(RGBデータ)52が生成される。画素データ52には、影部51も含まれる。CPU40は、例えば、画素データ52をグレースケール変換した後、黒白の2値化処理を施して黒(影部51)を抽出し、黒で囲まれたメディアMの外形輪郭形状を解析する。
【0031】
次に、CPU40は、メディアMの外形輪郭形状に基づいて、該外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を有するか否か判定する(ステップS3)。
CPU40は、例えば、画素データ52をHough変換してメディアMの外形輪郭形状を構成する複数の直線を検出し、検出された直線が交差する数、位置、角度等から、外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を有するか否か判定する。なお、CPU40は、一辺を共有する一対の直角形状のサンプルデータを予め用意しておき、そのデータを用いてパターマッチングすることで、当該外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を有するか否か判定する構成であっても良い。
【0032】
本実施形態のメディアMの外形輪郭形状は、図7に示すように一辺(辺53)を共有する一対の直角形状(直角部54a,54b)を含むため、ステップS4に移行する。
一方、メディアMの外形輪郭形状が、当該一対の直角形状を有していない場合は、プリンターユニット10によってメディアMを搬送する際の姿勢(位置)の維持が困難で、また、給紙トレイ4に対してどのような向きで給紙されるか不明となることから、ステップS10に移行し、CPU40は、その後の外形輪郭形状に基づく動作設定の生成(ステップS4)を停止させるとともに、操作パネル30のLCD31に当該停止に関する情報を表示させ、ユーザーに注意を促す。具体的には、印刷のエラーを表示し、印刷ジョブを終了させる。
【0033】
メディアMの外形輪郭形状が当該一対の直角形状を有する場合、CPU40は、外形輪郭形状に基づいて、プリンターユニット10におけるメディアMの搬送動作及び印刷動作に関する動作設定を生成する(ステップS4)。CPU40は、生成した動作設定に基づき、プリンター用制御パラメーターを設定し、その設定を記憶させる。
CPU40は、メディアMの外形輪郭形状に基づき、メディアMに対して所定のパターンP(図8参照)を印刷するべき印刷領域60に関する印刷動作の動作設定を生成する。
【0034】
CPU40は、画素データ52のうちメディアMの外形輪郭形状で囲まれた領域以外の領域を印刷に不要な白データ(インク吐出されないデータ)として設定するマスク処理を行う。そして、ホストコンピューター等に予め記憶された印刷すべきパターンPを、位置、大きさ、範囲等のデザイン調整し、メディアMの外形輪郭形状に重ね合わせる。これにより、パターンPのうちマスク処理された領域にあるものを白データとすると共に、パターンPのうちメディアMの外形輪郭形状で囲まれた領域にあるものを印刷領域60として設定する。この設定により、プリンターユニット10において、本来、定型形状のメディアMに対してインクが噴射されるべき矩形形状で囲った領域63(図8参照)と、メディアMの外形輪郭形状との間の、図8において符号Maを付した領域に対するインクの噴射が防止される。
【0035】
また、CPU40は、メディアMの外形形状に基づき、図8に示す後端検知センサー19aがメディアMの後端を検知した後に継続して送るべき搬送量Aに関する搬送動作の動作設定を生成する。
CPU40は、後端検知センサー19aが配置される所定位置において、副走査方向(図8において紙面上下方向)におけるメディアMの外形輪郭形状の後端64と領域63の後端65との間の距離を搬送量Aとして設定する。この設定により、プリンターユニット10において、後端検知センサー19aがメディアMの外形輪郭形状の後端64を検知した後に、メディアMが設定した搬送量Aに基づいて搬送されるため、後端検知センサー19aの設置位置がメディアMの正確な後端検知位置でなくとも、図8において符号Lで示すライン以降の印刷がされず印刷ジョブが途中で終了するといったことや、メディアMが出力されないといった事態を解消することができる。
【0036】
次に、ユーザーは、印刷するべき非定型形状のメディアMをプリンターユニット10にセットする(ステップS5)。CPU40は、操作パネル30のLCD31に、メディアMを給紙トレイ4にセットすべき旨を表示させる。
また、CPU40は、操作パネル30のLCD31に、給紙トレイ4に対する非定型形状のメディアMの挿入方向を指示する。具体的には、メディアMのその一対の直角形状が、先頭となるように挿入するよう指示する。これにより、非定型形状のメディアMの誤挿入が防止される。
【0037】
非定型形状のメディアMが給紙トレイ4にセットされたら、CPU40は、生成した動作設定により変更したプリンター用制御パラメーターに基づき、印刷を開始する(ステップS6)。
CPU40は、マスク処理された画素データ52をASIC44に送り、RGB系の画素データをYMCK系の画素データ(YMCKデータ)に変換させる。ASIC44は、インクジェットヘッド17が一走査するときに印刷処理すべき一走査分のヘッド駆動データを生成する。ASIC44は一走査分のヘッド駆動データがRAM45に溜まり次第、それを順次、プリンターユニット10に出力する。CPU40は、ヘッド駆動データに基づきヘッドを駆動させるとともに、プリンター用制御パラメーターに基づきキャリッジモーターや紙送りモーター等を駆動してメディアMに印刷を施す。以上によって、印刷のはみ出しがなく、また、印刷も途中で終了することなく、所定のパターンPが非定型形状のメディアMに印刷される。
【0038】
したがって、上述した本実施形態によれば、メディアMを搬送する搬送動作を行う搬送部101と、搬送部101と協働してメディアMに対し印刷動作を行う印刷部102と、を有する印刷システム100であって、メディアMの画像を読み取るスキャナー部103と、上記画像に基づいて、メディアMの外形輪郭形状を解析する画像解析部105と、上記外形輪郭形状に基づいて、上記搬送動作及び上記印刷動作に関する動作設定を生成する動作設定生成部106と、を有するという構成を採用することによって、非定型形状のメディアMをセットする場合、そのメディアMをスキャナー部103で読み込み、読み込んだ画像からメディアMの外形輪郭形状を解析し、その外形輪郭形状に基づいてメディアMに応じた搬送部101の搬送動作及び印刷部102の印刷動作に関する動作設定を生成するため、非定型形状のメディアMの印刷のはみ出し、印刷の未完了等を防止した適切な印刷が実行可能となる。
したがって、本実施形態では、非定型形状のメディアMに対しての適切な印刷ができる印刷システム100が得られる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、本発明の第2実施形態における印刷システム100のステップS10以降の印刷工程を示すフロー図である。図10は、本発明の第2実施形態における非定型形状のメディアM及びメディア搬送補助部材70を示す平面図である。
【0040】
第2実施形態では、メディアMの外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含まない形状(例えば図10に示すハート形状)と判定された場合、CPU40は、操作パネル30のLCD31に、一辺を共有する一対の直角形状を含む外形輪郭形状を有するメディア搬送補助部材70の使用に関する情報を表示させる(ステップS11)。すなわち、外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含まないメディアMである場合、印刷時のメディアMの姿勢(位置)とスキャン時のメディアMの姿勢(位置)とを一致させるための手段が必要となるためである。
【0041】
本実施形態のメディア搬送補助部材70は、平面視長方形状を有する。メディア搬送補助部材70の四隅には、アライメントマーク71が付されている。メディア搬送補助部材70の長さ方向一方側に配置されるアライメントマーク71aと、その長さ方向他方側に配置されるアライメントマーク71bと、は形状が丸と四角で異なっている。メディア搬送補助部材70は、メディアMを支持する支持面72を有する。支持面72は、メディアMとの相対位置ズレを防止するズレ防止手段を有する。ズレ防止手段としては、弱粘性の接着手段や高摩擦力を発現させる表面処理手段等を用いることができる。
【0042】
ユーザーは、印刷するべき非定型形状のメディアMをスキャナーユニット20によってスキャンする(ステップS12)。なお、操作パネル30のLCD31には、メディア搬送補助部材70と共に非定型形状のメディアMをスキャンすべき旨が表示される。
ユーザーは、メディア搬送補助部材70を基準として位置決めされたメディアMを原稿台3上にセットして、操作パネル30の各種スイッチ類32のうちスキャン開始ボタンを押下し、スキャンを開始させる。なお、メディア搬送補助部材70が、台紙等でなく、透明フィルムや透明トレイ等であれば、支持面72を裏返してセットする必要はないため、メディアMのスキャン時の位置ズレ防止に寄与できる。
【0043】
次に、CPU40は、スキャンした画像データに基づいて、メディアMの外形輪郭形状を解析する(ステップS13)。そして、CPU40は、解析した外形輪郭形状に基づいて、プリンターユニット10におけるメディアMの搬送動作及び印刷動作に関する動作設定を生成する(ステップS14)。
スキャンした画像データは、メディア搬送補助部材70に付されたアライメントマーク71を含む。したがって、CPU40は、メディア搬送補助部材70を基準としてメディアMの姿勢(位置)を正確に認識することができる。また、スキャンした画像データは、メディアMのメディア搬送補助部材70との厚み差による影部51も含まれるため、第1実施形態と同様に外形輪郭形状を解析し、搬送動作及び印刷動作に関する動作設定を生成することができる。
【0044】
次に、ユーザーは、印刷するべき非定型形状のメディアMをプリンターユニット10にセットする(ステップS15)。CPU40は、操作パネル30のLCD31に、メディア搬送補助部材70と共にメディアMを給紙トレイ4にセットすべき旨を表示させる。
また、CPU40は、操作パネル30のLCD31に、給紙トレイ4に対する非定型形状のメディアMの挿入方向を指示する。具体的には、メディア搬送補助部材70のアライメントマーク71a,71bのうちの一方側が、先頭となるように挿入するよう指示する。これにより、非定型形状のメディアMの誤挿入が防止される。なお、プリンターユニット10の搬送経路上にアライメントマーク71の形状を検知するセンサーを設けて、検知されたアライメントマーク71の形状に基づいてメディアMの挿入方向を判定し、当該判定結果に基づき印刷領域を自動反転させる等させれば、メディアMの挿入方向は指示せずとも良い。
【0045】
メディア搬送補助部材70と共にメディアMが給紙トレイ4にセットされたら、CPU40は、生成した動作設定により変更したプリンター用制御パラメーターに基づき、印刷を開始する(ステップS16)。その後、ユーザーは、排紙トレイ5に出力されたメディア搬送補助部材70からメディアMを取り外す。
以上のように第2実施形態によれば、印刷のはみ出しがなく、また、印刷も途中で終了することなく、さらに、外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含まない非定型形状のメディアMに対しても適切に印刷することができる。
【0046】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0047】
また、上記実施形態においては、プリンター1である場合を例にして説明したが、プリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【0048】
また、印刷部の形態としては、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする構成を採用してもよい。本発明は、例えば微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
【符号の説明】
【0049】
A…搬送量、M…メディア、P…パターン、19a…後端検知センサー(後端検知部)、60…印刷領域、70…メディア搬送補助部材、71(71a,71b)…アライメントマーク、100…印刷システム、101…搬送部、102…印刷部、103…スキャナー部、104…表示部、105…画像解析部、106…動作設定生成部、107…判定部、108…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを搬送する搬送動作を行う搬送部と、前記搬送部と協働して前記メディアに対し印刷動作を行う印刷部と、を有する印刷システムであって、
前記メディアの画像を読み取るスキャナー部と、
前記画像に基づいて、前記メディアの外形輪郭形状を解析する画像解析部と、
前記外形輪郭形状に基づいて、前記搬送動作及び前記印刷動作に関する動作設定を生成する動作設定生成部と、を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記外形輪郭形状に基づいて、該外形輪郭形状が一辺を共有する一対の直角形状を含むか否か判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて動作設定生成部の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
所定の情報を表示する表示部を有しており、
前記制御部は、前記判定部の判定結果が否の場合、前記動作設定生成部の動作を停止させると共に、前記表示部に、前記停止に関する情報を表示させることを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記判定部の判定結果が否の場合、前記表示部に、一辺を共有する一対の直角形状を含む外形輪郭形状を有するメディア搬送補助部材の使用に関する情報を表示させることを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記スキャナー部は、前記メディア搬送補助部材を基準とした前記メディアの画像を読み取ることを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記メディア搬送補助部材には、アライメントマークが付されていることを特徴とする請求項5に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−158030(P2012−158030A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18166(P2011−18166)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】