説明

印刷処理装置

【課題】 PDLデータを処理し印刷、出力を行う印刷処理装置において、変換後のPDLデータのテキスト情報及びオブジェクトのレイアウト情報をプリンタ側で変更し出力する方法を提案する。
【解決手段】 PDLデータの直接的な編集を行うことで文字コードを使用するテキスト情報の編集やオブジェクトのレイアウトの変更、拡大縮小などを可能にする為、PDLデータに変換後も印刷内容の編集をする事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はページ記述言語を解析し印刷する「印刷処理装置」に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ページ記述言語(Page Description Language:以下PDLデータ)を解析し印刷する印刷出力装置においては、プリンタドライバ等によって変換されたPDLデータは変換後、容易に印刷内容を確認する事が出来ない為、変換された印刷データが印刷出力されるまで印刷内容を確認することが出来なかった。例えば大判プリンタなど出力データの容量が大きくなるものは印刷出力装置に送信するだけで時間がかかり、少しの修正でもアプリケーションソフトを用いて印刷データの修正を行う過程まで遡り、修正し、再度PDLデータを作成し送信する必要があった。また変換後のPDLデータを長期に保存するケースではPDLデータの元データのアプリケーションデータを破棄している場合があり、アプリケーションデータの変更が容易に出来ない場合もある。
【0003】
そこでPDLデータに変換後も印刷内容を修正することが出来る印刷処理装置が提案されており、変換後のPDLデータのページの出力順番を変えたり、印刷データの上にスタンプ等のデータを重ねたりすることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。また、他の提案として変換後のPDLデータのオブジェクト毎の色補正を行うことが出来るものもある(例えば、特許文献2参照。)。さらに他の提案ではPDLデータのイメージに関するオブジェクトの修正として画像の差し替えを行う手法を提案している(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2000−322229
【特許文献2】特開平9−198217
【特許文献3】特開平6−208442
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の提案はページ全体のレイアウト、印刷順番の修正であったり、画像の色補正や差し替えであって、印字内容(例えば文字情報)の編集は出来ていない。本提案は上記の点を解決し、PDLデータのバイナリ情報の編集を行うことで一部の文字を使用するテキスト情報の編集やオブジェクトのレイアウト変更、拡大縮小などを可能にする。また、プリンタ装置にプレビュー機能を持たせ変更前と変更後の印字結果を表示することで変更内容が容易に認識できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷処理装置は、入出力インターフェイスを介してページ記述言語を受信し、印刷処理を行う印刷処理装置において、受信したページ記述言語を保存する保存手段と、前記保存手段によって保存されたページ記述言語を解析しラスター画像に変換する変換手段と、前記変換手段に従って変換されたラスター画像を表示する表示手段と、外部より文字データの変更命令を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された変更命令に従い前記保存手段に保存されたページ記述言語を変更する変更手段と、前記変更手段により変更されたページ記述言語を印刷する印刷手段を備え、前記変更手段では文字データの変更命令の入力手段ののみに限定しているが、更にページ記述言語内のイメージ、グラフィック、文字のオブジェクトのレイアウト情報の変更命令にすることも可能であり、また印刷内容を変更不可能な前記変更命令が入力された時にはエラーを表示する表示手段を備え、更に変更前のラスター画像及び変更後のラスター画像を保存する保存手段と前記保存手段によって保存されたをラスター画像を複数表示させることが可能な表示手段を備え、前記変換手段に従って変換されたラスター画像を表示する表示手段の代わりに、ラスター画像を入出力インターフェイスを介して送信する送信手段と、前記送信手段に従って送信されたラスター画像を受信し表示する例えばホスト装置などの外部表示装置を備える事も可能な事を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明の印刷処理装置はPDLデータの直接的な編集を行うことで文字コードを使用するテキスト情報の編集やオブジェクトのレイアウトの変更、拡大縮小などを可能にする為、PDLデータに変換後も印刷内容の編集をする事ができる。またプリンタ装置にプレビュー機能を持たせることで変更前と変更後の印刷内容の確認を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0008】
本発明を添付する図面と共に以下に説明する。図2は本発明に係わる印刷処理システムの構成図である。図2はホストコンピュータ1(ホスト、或いはホスト装置と略す)と本発明に係わる印刷処理装置であるプリンタ2(プリンタ装置とも記す)が通信回線3000を介して接続されている構成図である。ホスト装置1はワープロや表計算などのアプリケーションデータを作成するアプリケーション10と、PDLデータを生成する為に必要な情報を設定しPDLデータを生成するプリンタドライバ11と、プリンタドライバ11内にあり実際にPDLデータを生成するPDLデータ生成部110と、作成されたPDLデータ及び過去に作成されたPDLデータも保存するPDLデータ保存部12と、外部と通信を行う入出力インターフェイス13より構成されている。プリンタ装置2はデータを受信する入出力インターフェイス20と、受信したデータを保存するPDLデータ保存部23と、受信したPDLデータを解析するPDLデータ解析部21と、PDLデータをラスターデータに変換するPDLデータ変換部22と、その中で外部表示装置27に表示する為のラスターデータを変換するPDLデータ仮変換部220と、変換したラスターデータを保存するラスターデータ保存部24と、外部表示装置27に表示された仮変換されたラスターデータの修正情報を入力する外部入力装置26と、入力された修正情報に従ってPDLデータを修正するPDLデータ修正部25と、最終的に印刷処理を行う印刷処理部28とで構成されている。
【0009】
本発明の印刷処理の流れを図1と共に説明する。まずプリンタドライバ11或いはユーザーによって作成されたPDLデータをプリンタ装置2が受信する。受信されたPDLデータは一旦PDLデータ保存部12に保存される(S102)。PDLデータ保存部12は複数のPDLデータを保存することが出来る。また過去に作成されたPDLデータを保存しておく場合は不揮発の補助記録装置(例えばハードディスクドライブ)を利用する。PDLデータ保存部12に保存されたPDLデータをPDLデータ解析部22で解析を行う。この際にPDLデータを直接変更することで印刷結果を変更できる項目を選別する。例えば文字情報に関しては文字がビットマップデータに変換されてPDLデータを生成している場合は文字を編集する為にはそのビットマップデータをバイナリ解析する必要があり、処理に時間もかかるため現実的ではない。文字情報に文字コード、書体、スタイル、ポイントが含まれるケース(ソフトフォント、内蔵フォント)でそのPDLデータの文字情報を編集することで印刷内容の編集を行う。またPDLデータを構成する文字、グラフィック、イメージのレイアウト情報に関しても編集可能である。それぞれ対応するPDLデータの場所の情報を保存しておく。また他の情報に関しても「PDLデータを編集することで可能となる印刷内容の変更」に関しては本提案のPDLデータの編集に該当する。次に解析したPDLデータをPDLデータ変換部22内のPDLデータ仮変換部220でラスターデータへの変換を行う(S104)。ここでは最終的な印刷処理への出力ではなく、PDLデータの印刷結果をプレビューする為のラスターデータを出力する為、通常印刷処理よりも解像度を落として変換し変換スピードをあげる。作成されたラスターデータを外部表示装置27へ出力する。またプリンタ2が外部表示装置27を持たないケースではホスト装置1へラスターデータを送信することで代替する(S105)。ユーザーは外部表示装置27に表示された印刷内容のプレビュー結果を確認し、修正する必要が無ければ通常の印刷処理を行い、修正をする必要があれば修正を行う(S106)。修正する必要があった場合、外部入力装置26より修正情報を入力する(S107)。PDLデータ修正部25において修正情報と前述したPDLデータ解析部22で選別された項目情報をもとにPDLデータ保存部23のPDLデータを修正する(S108)。PDLデータ保存部23のPDLデータは修正前と修正後のデータを保存しておく。修正されたPDLデータを再度プレレンダリングし外部表示装置27へ変更前のラスターデータと変更後のラスターデータを表示する(S103,S104,S105)。ユーザーは印刷結果を確認し再度修正がある場合には同様の処理をループする。修正が無い場合、PDLデータ保存部12のPDLデータを本レンダリングし(S109)、印刷処理を行う(S110)。
【0010】
以上説明したように本実施例によれば、PDLデータの直接的な編集を行うことで文字コードを使用するテキスト情報の編集やオブジェクトのレイアウトの変更、拡大縮小などを可能にする為、PDLデータに変換後も印刷内容の編集をする事ができる。またプリンタ装置にプレビュー機能を持たせることで変更前と変更後の印刷内容の確認を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わる印刷処理の流れを示すフロー図
【図2】本発明に係わる印刷処理の流れを示すブロック図
【図3】本発明に係わる印刷処理の流れを示す概念図
【符号の説明】
【0012】
1 ホストコンピュータ
10 アプリケーション
110 印刷データ生成部
12 PDLデータ保存部
13 入出力インターフェイス
2 プリンタ
20 入出力インターフェイス
21 PDLデータ解析部
22 PDLデータ変換部
220 PDLデータ仮変換部
23 PDLデータ保存部
24 ラスターデータ保存部
25 PDLデータ修正部
26 外部入力装置
27 外部表示装置
28 印刷処理部
3000 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力インターフェイスを介してページ記述言語を受信し印刷処理を行う印刷処理装置において、受信したページ記述言語を保存する保存手段と、前記保存手段によって保存されたページ記述言語を解析しラスター画像に変換する変換手段と、前記変換手段に従って変換されたラスター画像を表示する表示手段と、外部より文字データの変更命令を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された変更命令に従い前記保存手段に保存されたページ記述言語を変更する変更手段と、前記変更手段により変更されたページ記述言語を印刷する印刷手段とを備える印刷処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷処理装置において、文字データの変更命令の入力手段の代わりに、ページ記述言語内のイメージ、グラフィック、文字のオブジェクトのレイアウト情報の変更命令の入力手段を備えることを特徴とする印刷処理装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の印刷処理装置において、印刷内容を変更不可能な前記変更命令が入力された時にはエラーを表示する表示手段を備えることを特徴とする印刷処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷処理装置において、更に変更前のラスター画像及び変更後のラスター画像を保存する保存手段と、前記保存手段によって保存されたラスター画像を複数表示させることが可能な表示手段とを備えることを特徴とする印刷処理装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷処理装置において、前記変換手段に従って変換されたラスター画像を表示する表示手段の代わりに、ラスター画像を入出力インターフェイスを介して送信する送信手段と、前記送信手段に従って送信されたラスター画像を受信し表示する外部表示装置とを備えることを特徴とする印刷処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−101662(P2009−101662A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277775(P2007−277775)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】