説明

印刷制御装置,プログラム,および印刷設定画面の表示方法

【課題】ユーザの操作性を配慮した印刷設定画面を表示する印刷制御装置,プログラム,および印刷制御画面の表示方法を提供すること。
【解決手段】MFP200用のプリンタドライバが組み込まれたPC100では,印刷ダイアログのサイズを取得する(S101)。そして,表示部56の表示可能エリアのサイズも取得する(S102)。そして,印刷ダイアログ10の操作項目が表示可能エリアからはみ出してしまう場合には(S103:YES),その表示可能エリアのサイズに応じて印刷ダイアログ10のサイズを変更する(S104)。その後,変更した印刷ダイアログ10を表示部56に表示する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷設定に関する画面(印刷設定画面)の表示が可能な印刷制御装置,プログラム,および印刷設定画面の表示方法に関する。さらに詳細には,印刷設定画面の表示態様に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,パーソナルコンピュータ(PC)等の印刷制御装置では,プリンタ等の印刷装置に印刷指令を行う際に,その印刷制御装置のディスプレイに印刷設定画面を表示している。この印刷設定画面では,印刷条件の設定や印刷指示の入力が可能になっている。この印刷設定画面は,印刷制御装置に組み込まれた印刷装置用プログラム(ドライバ)によって表示される。また,特許文献1には,印刷設定画面の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−217472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来の印刷設定画面には,次のような問題があった。すなわち,印刷設定画面は,サイズおよび表示内容が固定的であり,決められたドット数(画素数)を専有してディスプレイに表示される。そのため,印刷制御装置が使用しているディスプレイによっては,印刷設定画面の大半がディスプレイの表示可能エリアからはみ出してしまい,ユーザにとって使い勝手が悪くなることがあった。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ユーザの操作性を配慮した印刷設定画面を表示する印刷制御装置,プログラム,および印刷制御画面の表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた印刷制御装置は,表示装置と,表示装置の表示可能エリアのサイズを取得する取得手段と,表示可能エリアのサイズに応じて,印刷設定に関する画面である印刷設定画面のサイズを変更する変更手段と,変更手段で変更した印刷設定画面を,表示装置に表示する画面表示手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の印刷制御装置は,表示装置の表示可能エリアのサイズを取得し,その表示可能エリアのサイズに応じて印刷設定画面のサイズを変更する。例えば,印刷設定画面の縦方向と横方向との少なくとも一方のサイズが,表示可能エリアのサイズよりも大きい場合に,印刷設定画面のサイズを表示可能エリアに収まるサイズに変更する。なお,ここでいう「サイズの変更」とは,画素数(ドット数)の変更を意味する。また,印刷設定画面のサイズの変更に伴って,印刷設定画面の表示態様を変更(例えば,レイアウトの変更,表示する項目の変更)してもよい。
【0008】
すなわち,本発明の印刷制御装置では,印刷設定画面のサイズを,表示装置の表示可能エリアのサイズに応じて変更可能にする。これにより,例えば小型の表示装置であっても,印刷設定画面がその表示可能エリアに適したサイズに小型化されて表示される。したがって,操作項目が見えない,操作ができない等の,使い勝手(利便性)の悪さを解消することが期待できる。
【0009】
また,本発明の印刷制御装置の変更手段は,印刷設定画面のサイズを,印刷設定画面に表示する全ての操作項目が表示可能エリアに収まるサイズに変更するとよい。このような構成にすることで,全ての操作項目を操作可能であり,変更に伴うユーザの不満が少なくなることが期待できる。なお,「操作項目」には,例えば,ボタン,ラジオボタン,チェックボックス,テキストボックス,リストボックス,スクロールバーが該当する。
【0010】
また,本発明の印刷制御装置の変更手段は,印刷設定画面の,縦横比および操作項目の配置も変更するとよい。このような構成にすることで,変更の自由度が大きく,よりよい印刷設定画面を表示することが期待できる。また,縦横比や操作項目の配置を固定したままのサイズ変更(つまり,縮小)を行うと,必要以上に小さくしてしまうことがある。操作項目が小さくなりすぎると,操作し難くなることが懸念される。縦横比や配置を変更可能にすることで,過度の縮小を回避できる。
【0011】
また,本発明の印刷制御装置の変更手段は,印刷設定画面の,表示可能エリア内の位置も変更するとよい。例えば,変更後の印刷設定画面の少なくとも一部が表示可能エリア外となる場合に,当該印刷設定画面が表示可能エリア内に収まるように当該印刷設定画面の位置を変更する。このように表示位置を変更することで,ユーザが印刷設定画面を移動させる手間がない。そのため,利便性が高い。
【0012】
また,本発明の印刷制御装置の変更手段は,印刷設定画面のサイズを小さくすると,印刷設定画面に表示する操作項目を減らすとよい。印刷設定画面のサイズを小さくすると,操作項目が密集して表示内容が煩雑となる可能性がある。そこで,表示する操作項目を減らす(すなわち,一部の操作項目を非表示にする)ことで,印刷設定画面の煩雑化を回避できる。
【0013】
また,上記の印刷制御装置の変更手段は,印刷設定画面のサイズを小さくすると,印刷設定画面内の表示領域を移動させるスクロールバーを表示するとよい。表示されなくなった操作項目については,表示領域の移動(スクロール)によって対処するとよい。
【0014】
また,上記の印刷制御装置の変更手段は,印刷設定画面のサイズを小さくすると,印刷設定画面のタブコントロールのページが増え,減らした操作項目の少なくとも1つを,増やしたページの画面に表示するとよい。表示されなくなった操作項目については,新しいタブの画面によって対処するとよい。
【0015】
また,上記の印刷制御装置は,印刷設定画面に表示する操作項目には非表示の優先度が設定されており,変更手段は,印刷設定画面のサイズを小さくすると,優先度が高い操作項目を優先度が低い操作項目に優先して非表示とするとよい。優先度に応じて非表示とする操作項目を決定することで,利便性の悪化を抑制できる。非表示の優先度は,あらかじめ出荷時に設定されているものでもよいし,使用頻度によって決定されるものであってもよいし,ユーザによって設定されるものであってもよい。
【0016】
また,本発明は,別の形態として,表示装置を備える印刷制御装置を,表示装置の表示可能エリアのサイズを取得する取得手段,表示可能エリアのサイズに応じて,印刷設定に関する画面である印刷設定画面のサイズを変更する変更手段,変更手段で変更した印刷設定画面を,前記装置に表示する画面表示手段として機能させることを特徴とするプログラムを含んでいる。
【0017】
また,本発明は,別の形態として,表示装置を備える印刷制御装置に,印刷設定に関する画面である印刷設定画面を表示する表示方法であって,表示装置の表示可能エリアのサイズを取得する取得ステップと,表示可能エリアのサイズに応じて,印刷設定画面のサイズを変更する変更ステップと,変更ステップで変更した印刷設定画面を,表示装置に表示する画面表示ステップとを含むことを特徴とする表示方法を含んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,ユーザの操作性を配慮した印刷設定画面を表示する印刷制御装置,プログラム,および印刷制御画面の表示方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態にかかる印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】PCの印刷ダイアログを示す図である。
【図3】画面表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】ダイアログ変更処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】アスペクト比変更処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】アスペクト比変更処理後の印刷ダイアログの一例を示す図である。
【図7】スクロールバー追加処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】スクロールバー追加処理後の印刷ダイアログの一例を示す図である。
【図9】項目削減処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】表示アイテムと削減優先度との対応付けを記憶するデータベースの例を示す図である。
【図11】項目削減処理後の印刷ダイアログの一例を示す図である。
【図12】タブページ追加処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】タブページ追加処理後の印刷ダイアログの一例を示す図である。
【図14】印刷ダイアログの移動前および移動後の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明にかかる印刷制御装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,複合機(MFP:Multi Function Peripheral )用のプリンタドライバが組み込まれたパーソナルコンピュータ(PC)に本発明を適用したものである。
【0021】
[印刷システムの全体構成]
本形態の印刷システム500は,図1に示すように,印刷機能を有するMFP200と,MFP200に印刷データを出力するPC100(印刷制御装置の一例)とを備えている。そして,印刷システム500では,MFP200とPC100とがネットワーク400に接続されている。
【0022】
なお,印刷システム500を構成する印刷装置およびPCはそれぞれ1台に限るものではない。すなわち,印刷装置およびPCは何台接続してもよい。また,ネットワーク400には,その他の情報処理装置や画像処理装置を接続してもよい。また,MFP200は,PC100に直接接続されていてもよい。また,MFP200は,PC100に無線接続されていてもよい。
【0023】
[PCの構成]
続いて,PC100の概略構成について説明する。PC100は,図1に示すように,CPU51と,ROM52と,RAM53と,HDD54と,キーボードやマウス等からなる操作部55と,液晶ディスプレイ等からなる表示部56(表示装置の一例)と,プリンタインターフェース57と,ネットワークインターフェース58とを有している。
【0024】
HDD54は,オペレーティングシステム(OS)や,各種のデバイスを制御するデバイスドライバや,ワープロ,表計算ソフト等の印刷指示機能を有するアプリケーションプログラム等を記憶している。RAM53は,各種プログラムが読み出される作業領域として,あるいはデータを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU51は,HDD54に記憶されたプログラムに従って,その処理結果をRAM53に記憶させながら,各種の処理を実行する。
【0025】
また,PC100には,デバイスドライバとして,MFP200用の制御プログラムであるプリンタドライバが組み込まれている。プリンタドライバは,アプリケーションプログラム等からの印刷指示に従って印刷ジョブを生成し,その印刷ジョブをMFP200に送信する機能を有している。
【0026】
また,プリンタドライバは,印刷設定に関するダイアログボックス(印刷設定画面の一例。以下,「印刷ダイアログ」とする)を,表示部56に表示する。ユーザは,印刷ダイアログを操作することで,印刷に関する設定を行うことができる。印刷ダイアログは,例えば,ユーザが印刷指示を入力する際に,アプリケーションプログラムを介して起動される。
【0027】
図2は,本形態の印刷ダイアログ10の初期画面を示している。印刷ダイアログ10は,タイトルバー部1と,設定画面部2とで構成される。印刷ダイアログ10は,そのフレームおよび設定画面部2内の操作項目の配置が固定されている。すなわち,ユーザ任意の変更(例えば,マウス操作によるフレームサイズの変更や操作項目の移動)は不可になっている。
【0028】
印刷ダイアログ10の設定画面部2には,例えば,ドライバ名,Webサイトへのリンクボタン21,OKボタン22,キャンセルボタン23,ヘルププログラムを起動するヘルプボタン25,印刷設定のための操作項目が表示されるタブ24が表示される。タブ24は,基本設定を表示する「基本設定」ページと,拡張設定を表示する「拡張設定」ページとで構成される。
【0029】
また,タブ24の基本設定ページには,印刷設定のための各種の操作項目が表示される。具体的に本形態では,用紙サイズの設定を行うリストボックス41,用紙の種類の設定を行うリストボックス42,色合いを設定するラジオボタン43A,43B,両面印刷の設定を行うリストボックス44,詳細設定を行う詳細設定ボタン45,用紙トレイを設定するリストボックス46が表示される。また,タブ24の基本設定ページには,設定内容に対応する例示画像(アイコン)が表示される。具体的に本形態では,色合いの設定の中で,「あざやか」に対応するアイコン43Cと,「自然な色合い」に対応するアイコン43Dが表示される。
【0030】
[印刷ダイアログ表示動作]
続いて,印刷ダイアログ10の表示動作について説明する。PC100では,プリンタドライバが印刷ダイアログ10の表示要求を受け付けると,表示部56に印刷ダイアログ10を表示する。プリンタドライバは,印刷ダイアログ10を表示するにあたって,表示部56の表示可能エリアのサイズを取得し,そのサイズに適合するように印刷ダイアログのサイズを調整する。
【0031】
[画面表示処理]
以下,上述の表示動作を実現する画面表示処理(変更手段,画面表示手段の一例)を,図3のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,画面表示処理は,印刷ダイアログ10の起動を契機に,PC100に組み込まれたプリンタドライバによって実行される。
【0032】
まず,印刷ダイアログ10のサイズを取得する(S101)。プリンタドライバは,印刷ダイアログ10の初期状態を記憶しており,その初期状態における縦方向および横方向のサイズを取得する。なお,ここでいう「サイズ」は,画素数(ドット数)を意味している。そのため,表示部56に表示される実際の大きさは,1ドットあたりの大きさ(解像度)によって異なる。例えば,ユーザが表示部56の解像度を変更した場合,1ドットあたりの大きさが変わるため,実際に表示部56に表示される印刷ダイアログ10の大きさは変化する。しかし,印刷ダイアログ10の画素数は変わらないため,印刷ダイアログ10のサイズとしては同じ値となる。
【0033】
次に,表示部56の表示可能エリアのサイズを取得する(S102)。ここでいう表示可能エリアの「サイズ」も,印刷ダイアログ10のサイズと同様に,画素数を意味している。なお,S101とS102とは逆順であってもよい。
【0034】
次に,印刷ダイアログ10のサイズが表示部56の表示可能エリアのサイズよりも大きいか否かを判断する(S103)。S103の判断では,縦方向と横方向との両方向で判断し,縦方向のサイズと横方向のサイズとのいずれか一方でも大きいと判断された場合には,肯定判断となる。つまり,S103では,印刷ダイアログ10が表示部56の表示可能エリア内に収まるか否かを判断している。印刷ダイアログ10が表示部56の表示可能エリア内に収まる場合には(S103:NO),印刷ダイアログ10のサイズを変更する必要がなく,S106に移行する。
【0035】
一方,印刷ダイアログ10が表示部56の表示可能エリア内に収まらない場合には(S103:YES),印刷ダイアログ10のサイズを変更するダイアログ変更処理を行う(S104)。S104では,印刷ダイアログ10が表示部56の表示可能エリア内に収まるように,印刷ダイアログ10のサイズを変更する。
【0036】
ここで,S104のダイアログ変更処理について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。まず,プリンタドライバ自身が印刷ダイアログ10の表示変更機能を複数有するか否かを判断する(S201)。プリンタドライバは,あらかじめ印刷ダイアログ10の表示変更機能を少なくとも1つ有している。表示変更機能としては,例えば,縦横比(アスペクト比)の変更,スクロールバーの追加,表示する操作項目の削減,タブのページ追加がある。これら変更機能の詳細については後述する。
【0037】
表示変更機能を複数有しない場合には(S201:NO),唯一の表示変更機能を選択し(S211),S204に移行する。表示変更機能を複数有する場合には(S201:YES),表示部56の表示可能エリア内に全画面表示可能な表示変更機能を複数有するか否かを判断する(S202)。例えば,表示部56の表示可能エリアのサイズが極めて小さい場合,アスペクト比を変更したとしても全画面表示は困難なことがある。そのため,この場合は,表示変更機能としてアスペクト比の変更機能を有しているとしても,アスペクト比の変更機能は全画面表示可能な表示変更機能から除外される。
【0038】
全画面表示可能な表示変更機能を複数有しない場合には(S202:NO),全画面表示可能な唯一の表示変更機能を選択し(S221),S204に移行する。全画面表示可能な表示変更機能を複数有する場合には(S202:YES),最優先の表示変更機能を選択する(S203)。プリンタドライバでは,あらかじめ表示変更機能の優先順位が設定されており,その優先順に従って表示変更機能が選択される。優先順位は,例えば,出荷時に設定される(あるいはプリンタドライバに組み込まれている)ものでもよいし,ユーザによって設定されるものであってもよい。
【0039】
S203,S221,あるいはS211によって変更機能が選択された後,その選択された表示変更機能について,印刷ダイアログ10の表示形態を変更する処理を行う(S204)。以下,S204での4つの処理例(アスペクト比の変更,スクロールバーの追加,操作項目の削減,タブページの追加)を説明する。
【0040】
[アスペクト比変更]
1つめの処理では,印刷ダイアログ10の縦横比(アスペクト比)を変更する。このアスペクト比の変更を実現するアスペクト比変更処理を,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0041】
まず,印刷ダイアログ10の横方向と縦方向とのどちらが表示可能エリアに収まっていないのかを判定する(S301)。次に,表示可能エリアに収まっていないのが縦方向であるか否かを判断する(S302)。
【0042】
縦方向が収まっていない場合には(S302:YES),印刷ダイアログ10について,縦方向を短くし,その分,横方向を長くする,すなわち縦方向に対する横方向の比率を高くするように変更する(S303)。つまり,縦方向のサイズを表示可能エリアに収まるサイズまで小さくし,必要に応じて横方向のサイズを大きくする。横方向のサイズとしては,例えば,縦方向のサイズが小さくなることによって非表示となる操作項目の移動先スペースとして必要なサイズを計算し,その必要サイズ分だけ大きくする。一方,横方向が収まっていない場合には(S302:NO),印刷ダイアログ10について,横方向を短くし,その分,縦方向を長くする,すなわち横方向に対する縦方向の比率を高くするように変更する(S313)。つまり,横方向のサイズを表示可能エリアに収まるサイズまで小さくし,必要に応じて縦方向のサイズを大きくする。
【0043】
印刷ダイアログ10のサイズの変更後は,移動が必要な操作項目の移動位置を計算し,該当項目を移動させる(S304)。すなわち,印刷ダイアログ10のサイズ変更に伴って非表示となってしまう操作項目を抽出し,その操作項目が専有するサイズを取得する。そして,その取得したサイズと,移動先の候補となるエリア(移動先候補エリア)のサイズに基づいて,移動可能な移動先の位置を計算する。そして,その移動先候補エリアに収まる場合にはその移動先候補エリアを移動先に決定し,収まらない場合には次の移動先候補エリアで再計算を行う。この項目移動を,非表示となる全ての項目について行う。
【0044】
図6は,アスペクト比変更処理によって横方向に比率が高くなるように変更された印刷ダイアログ10の一例を示している。図6に示した印刷ダイアログ10は,変更前の印刷ダイアログ10(図2参照)と比較して,縦方向のサイズが小さく,横方向のサイズが大きい。そして,横長になったことに伴って,変更前の印刷ダイアログ10では下方に配置されていたOKボタン22,キャンセルボタン23,ヘルプボタン25を,それぞれ変更後の印刷ダイアログ10の右端に移動させている。これにより,表示可能エリアの縦方向のサイズが印刷ダイアログ10の縦方向のサイズよりも小さい場合であっても,使い勝手の低下を抑えられる。
【0045】
[スクロールバー追加]
2つめの処理では,印刷ダイアログ10の設定画面部2内にスクロールバーを追加する。このスクロールバーの追加を実現するスクロールバー追加処理を,図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0046】
まず,印刷ダイアログ10のダイアログボックスの表示属性としてスクロールバーを追加する(S321)。スクロールバーの属性を追加すると,設定画面部2の横方向のサイズが印刷ダイアログ10の横方向のサイズよりも大きい場合に,設定画面部2の画面下側に自動的に横スクロールバーが追加される。また,設定画面部2の縦方向のサイズが印刷ダイアログ10の縦方向のサイズよりも大きい場合に,設定画面部2の画面右側に自動的に縦スクロールバーが追加される。
【0047】
次に,表示部56の表示可能エリアのサイズに基づいて,縦方向および横方向ともに表示可能エリア内に収まるように,印刷ダイアログ10の変更サイズを計算する(S322)。すなわち,印刷ダイアログ10の縦方向のサイズが表示可能エリアの縦方向のサイズよりも小さくなるように,さらに印刷ダイアログ10の横方向のサイズが表示可能エリアの横方向のサイズよりも小さくなるように,印刷ダイアログ10のサイズを計算する。
【0048】
その後,S322で求めたサイズに基づいて,印刷ダイアログ10のサイズを変更する(S323)。この印刷ダイアログのサイズ変更,特にサイズの縮小に伴って,印刷ダイアログ10にスクロールバーが追加される。
【0049】
図8は,スクロールバー追加処理によって縦方向のサイズが縮小された印刷ダイアログ10の一例を示している。印刷ダイアログ10では,縦方向のサイズの縮小に伴って,設定画面部2の下方部分が非表示(例えば,OKボタン22,キャンセルボタン23,ヘルプボタン25が非表示)となるとともに,設定画面部2の右端に縦スクロールバー26が追加される。この縦スクロールバー26によって設定画面部2を縦方向にスクロール可能にすることで,非表示となった箇所の操作が可能になる。
【0050】
なお,本形態のスクロールバー追加処理では,設定画面部2内をスクロールさせるスクロールバーを追加しているが,これに限るものではない。例えば,タブ24にスクロールバーを追加し,タブ24のページ内のみをスクロールさせてもよい。
【0051】
[操作項目削減]
3つめの処理では,印刷ダイアログ10の設定画面部2内の操作項目を削減する。この操作項目の削減を実現する項目削減処理を,図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0052】
まず,削減対象の操作項目を決定する(S331)。プリンタドライバは,各表示アイテムに対する非表示の優先度を記憶しており,削減対象を決定する際に利用する。図10は,表示アイテムと優先度との対応付けを記憶するデータベースの一例を示している。このデータベース中の優先度は,値が小さいほど非表示の優先度が高い。そのため,S331では,優先度の値が小さいものから順に削減対象として決定する。優先度の値が同じ項目が複数ある場合には,複数の項目が同時に削減対象となる。各表示アイテムの優先度は,あらかじめ出荷時に設定されている(あるいはプリンタドライバに組み込まれている)ものでもよいし,各表示アイテムの使用頻度によって決定されるものであってもよいし,ユーザによって設定されるものであってもよい。
【0053】
次に,削減対象となった各操作項目のサイズを取得する(S332)。そして,操作項目を削減したことに伴って,移動が必要になる操作項目を抽出し,適切な位置に移動させる(S333)。その後,印刷ダイアログ10のサイズを変更する(S334)。S334のサイズ変更では,設定画面部2内に残された操作項目が全て含まれるサイズに変更する。
【0054】
次に,変更後の印刷ダイアログ10内の全ての操作項目が,表示部56の表示可能エリアに表示されるか否かを判断する(S335)。全項目の表示が可能であれば(S335:YES),項目削減処理を終了する。一方,全項目の表示がまだ不可能であれば(S335:NO),次順位の優先度の操作項目があるか否かを判断する(S336)。次順位の優先度の操作項目がある場合には(S336:YES),S331に戻り,次順位の優先度の操作項目を削減対象に決定し,印刷ダイアログ10のサイズ変更を繰り返す。一方,次順位の操作項目がない,すなわちこれ以上の削減項目がない場合には(S336:NO),項目削減処理を終了する。
【0055】
図11は,優先度に応じて操作項目を削減し,その削減に伴ってサイズが変更された印刷ダイアログ10の一例を示している。図11(A)は,図2に示した印刷ダイアログ10から,優先度が1の項目(ドライバ名およびリンクボタン21)を非表示とした例である。図11(B)は,優先度が1の項目および2の項目(アイコン43C,43D)を非表示とした例である。図11(C)は,優先度が1〜2の項目および3の項目(詳細設定ボタン45)を非表示とした例である。図11(D)は,優先度が1〜3の項目および4の項目(リストボックス46)を非表示とした例である。本形態では,(A),(B),(C),(D)の順に表示態様が変更され,表示すべき操作項目の全てが表示部56の表示可能エリアに表示可能となった状態で表示する。これにより,表示可能エリアのサイズに応じて適切なサイズに変更可能になる。
【0056】
[タブページ追加]
4つめの処理では,タブ24に新しいページを追加し,幾つかの操作項目を新しいページに振り分ける。この追加ページへの振分けを実現するタブページ追加処理を,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0057】
まず,タブ24中の,操作項目を分割するページを決定する(S341)。例えば,操作項目数が最も多いページを分割対象に決定する。さらに,分割対象のページについて,幾つのページに分割するのかを決定する(S342)。さらに,新たなページを追加した場合の,操作項目の分配および配置を決定する(S343)。
【0058】
次に,関連機能が設定されている操作項目間で,複数のページに跨って存在してしまうか否かを判断する(S344)。関連機能とは,ある操作項目の設定内容を,他の操作項目の表示態様に反映させる機能である。例えば,用紙サイズとして「A3」を選択すると,操作項目「両面印刷」の操作を不可にするといったような排他機能が該当する。操作項目間の関連は,あらかじめ設定されている。
【0059】
ページを跨ぐ関連機能が存在する場合には(S344:YES),関連機能に関するメッセージを表示する操作項目を決定する(S345)。例えば,前述した排他機能の場合には,用紙サイズの設定と両面印刷の設定とが異なるページに配置された場合に,用紙サイズとして「A3」を選択した際に,「両面印刷に対応する設定が無効になる」旨のメッセージを表示するように設定する。つまり,互いに関連する操作項目が,異なるページに分かれてしまった場合に,その関連機能を代替するメッセージを表示して,関連機能が行っていた自動設定の内容を通知する。
【0060】
S345にてメッセージの設定を行った後,あるいはページが異なる関連機能が存在しない場合には(S344:NO),タブ24に新たなページを追加する(S346)。そして,移動が必要な操作項目を既存のページから新規のページに移動させる(S347)。すなわち,S341にて分割対象となったページの操作項目について,S343で移動対象となった操作項目を分割元のページから削除し,その削除した操作項目に対応する操作項目を分割先のページに作成する。また,分割元のページについては,操作項目の削除後,必要に応じて残った操作項目の配置を変更する。具体的には,削除された操作項目のスペースを詰めるように配置変更する。
【0061】
次に,タブ24のサイズを変更する(S348)。すなわち,分割元のページについては表示する操作項目数が減っているため,タブ24のサイズを小さくできる。そこで,タブ24のサイズを小さくする。その後,タブ24のサイズ変更に伴って印刷ダイアログ10のサイズも変更する(S349)。本処理では,タブ24のコンパクト化に伴って一度に表示される操作項目は減少するものの,タブ24のページを切り換えることで全ての操作項目の設定が可能になる。
【0062】
図13は,図2に示した印刷ダイアログ10のタブ24の「基本設定」ページを,「基本設定1」ページと,「基本設定2」ページとに分割した後の印刷ダイアログ10の一例を示している。本形態では,「基本設定」ページのうち,用紙サイズ,用紙種類,色合いの各設定を「基本設定1」ページに表示し,両面印刷,用紙トレイの各設定を「基本設定2」ページに表示している。そして,両面印刷,用紙トレイの各設定の移動に伴って,タブ24の縦方向のサイズを小さくし,さらに印刷ダイアログ10の縦方向のサイズも小さくしている。
【0063】
図4の説明に戻り,S204ではこれら4つの処理のうち,選択された1つの処理を行って印刷ダイアログ10のサイズを変更する。そして,印刷ダイアログ10のサイズが変更された状態で,図3の画面表示処理のS104に戻る。
【0064】
S104でのダイアログ変更処理の後,変更後の印刷ダイアログ10のサイズを再取得する(S105)。そして,印刷ダイアログ10を表示した際に,初期設定で指定された位置で,印刷ダイアログ10全体が表示部56の表示可能エリアに表示可能か否かを判断する(S106)。
【0065】
印刷ダイアログ10の少なくとも一部が表示不可である場合には(S106:NO),印刷ダイアログ10を,その全体が表示可能エリアに表示可能な位置に移動させる(S107)。例えば,図14(A)に示すように,印刷ダイアログ10の一部が表示部56の表示可能エリア560からはみ出してしまう場合,その印刷ダイアログ10を,図14(B)に示すように,その左上の位置を表示可能エリア560の左上の位置に揃えるように移動させる。これにより,印刷ダイアログ10の表示後に,ユーザが印刷ダイアログ10をその全体が視認できる位置に移動させる手間を省くことができる。
【0066】
S107での印刷ダイアログの位置調整後,あるいは初期設定の位置で印刷ダイアログ10全体が表示可能な場合には(S106:YES),印刷ダイアログ10を表示部56に表示する(S108)。S108の後は,本画面表示処理を終了する。
【0067】
以上詳細に説明したように本形態のPC100では,印刷ダイアログ10のサイズを,表示部56の表示可能エリアのサイズに応じて変更している。このように印刷ダイアログ10のサイズを可変にすることで,例えば表示部56の表示可能エリアが狭くても,その表示可能エリアに適したサイズに印刷ダイアログ10を小さくして表示できる。これにより,印刷ダイアログ10について,操作項目が見えない,操作ができない等の,使い勝手の悪さを解消することが期待できる。
【0068】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,印刷装置は,MFPに限らず,プリンタ,コピー機等,印刷機能を備えるものであれば適用可能である。また,印刷データを出力する印刷制御装置についても,PCに限るものではない。例えばネットブック,PDA,携帯電話等の小型情報端末であってもよい。
【0069】
また,実施の形態では,操作項目の位置を計算して操作項目の位置を変更しているが,操作項目の配置変更は,これに限るものではない。例えは,操作項目の配置が異なる複数の画面をあらかじめ用意し,それらの中から適切な画面を選択するようにしてもよい。また,あらかじめ用意する画面には,全ての設定が可能な詳細設定画面と,一部の操作項目が表示されない簡易設定画面とがあり,詳細設定画面が表示部56の表示可能エリア内に収まらない場合に,簡易設定画面に変更するように画面を選択するようにしてもよい。
【0070】
また,実施の形態の項目削除処理では,あらかじめ決められた非表示の優先度に基づいて,削除する操作項目を決定しているが,これに限るものではない。例えば,無作為に削除対象を決定し,その削除された操作項目のサイズに応じて,残りの操作項目の配置を自在に変更してもよい。
【0071】
また,実施の形態では,4つの表示変更機能のうち,1つを選択して処理を実行しているが,複数の表示変更機能を選択して処理を実行してもよい。例えば,アスペクト比を変更しつつスクロールバーを追加してもよい。さらに必要に応じて操作項目も削除してもよい。さらに,必要に応じてタブ24のページも追加してもよい。
【0072】
また,実施の形態では,画面表示処理を印刷ダイアログ10の起動時に実行しているが,これに限るものではない。例えば,解像度の変更を契機に実行してもよい。
【符号の説明】
【0073】
2 設定画面部
10 印刷ダイアログ
24 タブ
56 表示部
560 表示可能エリア
100 PC
200 MFP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と,
前記表示装置の表示可能エリアのサイズを取得する取得手段と,
前記表示可能エリアのサイズに応じて,印刷設定に関する画面である印刷設定画面のサイズを変更する変更手段と,
前記変更手段で変更した前記印刷設定画面を,前記表示装置に表示する画面表示手段と,
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載する印刷制御装置において,
前記変更手段は,前記印刷設定画面のサイズを,前記印刷設定画面に表示する全ての操作項目が前記表示可能エリアに収まるサイズに変更することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する印刷制御装置において,
前記変更手段は,前記印刷設定画面の,縦横比および操作項目の配置も変更することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載する印刷制御装置において,
前記変更手段は,前記印刷設定画面の前記表示可能エリア内の位置も変更することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する印刷制御装置において,
前記変更手段は,前記印刷設定画面のサイズを小さくすると,前記印刷設定画面に表示する操作項目を減らすことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載する印刷制御装置において,
前記変更手段は,前記印刷設定画面のサイズを小さくすると,前記印刷設定画面内の表示領域を移動させるスクロールバーを表示することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載する印刷制御装置において,
前記変更手段は,前記印刷設定画面のサイズを小さくすると,前記印刷設定画面のタブコントロールのページが増え,減らした操作項目の少なくとも1つを,増やしたページの画面に表示することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1つに記載する印刷制御装置において,
前記印刷設定画面に表示する操作項目には非表示の優先度が設定されており,
前記変更手段は,前記印刷設定画面のサイズを小さくすると,優先度が高い操作項目を優先度が低い操作項目に優先して非表示とすることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項9】
表示装置を備える印刷制御装置を,
前記表示装置の表示可能エリアのサイズを取得する取得手段と,
前記表示可能エリアのサイズに応じて,印刷設定に関する画面である印刷設定画面のサイズを変更する変更手段と,
前記変更手段で変更した前記印刷設定画面を,前記表示装置に表示する画面表示手段と,
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
表示装置を備える印刷制御装置に,印刷設定に関する画面である印刷設定画面を表示する表示方法において,
前記表示装置の表示可能エリアのサイズを取得する取得ステップと,
前記表示可能エリアのサイズに応じて,前記印刷設定画面のサイズを変更する変更ステップと,
前記変更ステップで変更した前記印刷設定画面を,前記表示装置に表示する画面表示ステップと,
を含むことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−197737(P2011−197737A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60766(P2010−60766)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】