説明

印刷可能な紙、印刷可能な紙を製造する方法、およびその使用

2つの場合により下塗りされていてもよい面および該場合により下塗りされていてもよい面の少なくとも1つの上の単一層を有する耐水性支持体を含んでなる印刷可能な紙であって、該単一層が実質的な組成変動を有さず、少なくとも3μmの層厚さ、少なくとも1.2mL/mの孔容量を有しそして少なくとも1種の多孔性顔料を含んでなる印刷可能な紙;(i)2つの面を有する耐水性支持体に下塗り層を少なくとも1つの面上で場合により付与し、(ii)該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体の少なくとも1つの面に実質的な組成変動を有さない単一層を付与する段階を含んでなり、該単一層が該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体に少なくとも1つの湿潤水性層として該耐水性支持体の各面に関して1回の通過で適用され、該少なくとも1つの水性層が少なくとも1種のラテックス、少なくとも1種の顔料、少なくとも1種の結合剤および場合により少なくとも1種の不溶化剤を含んでなり、該ラテックスがアニオン性アクリル系ラテックスまたは脂肪族ポリウレタンラテックスである、印刷可能な紙を製造する方法;並びに上記の印刷可能な紙または上記の製造方法により得られるものの印刷における使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は印刷可能な紙、印刷可能な紙を製造する方法、およびオフセット印刷におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
合成紙は2種のタイプ、すなわちセルロース紙のように繊維質構造を有し、セルロース繊維を代替するポリアミド類、ポリエステル、またはポリオレフィン類から製造される合成繊維を有するもの、並びにフィルムが熱可塑性重合体から直接押し出されるもの、に分類できる。これらの製品はセルロース紙とはそれらの構造においてかなり異なりそしてその結果として多種の問題を生ずる。
【0003】
押し出しフィルムは、溶融物が円形ダイを通して押される流し込みフィルム方法または吹き込みフィルム方法のいずれかにより製造される。吹き込みフィルム方法の変法は発泡フィルムの押し出しであり、そこでは発泡剤(普通は低沸点炭化水素類)の添加により種々の重合体から発泡フィルムを製造することが可能である。流し込みフィルムの二軸延伸において2つの方法、すなわち延伸が両方向で同時に行われる同時延伸方法および2つの延伸操作が連続して行われる二段階方法、が使用される。
【0004】
押し出しフィルムは滑らかな表面を有し、それは物質自体よりむしろ冷却ロールの状態に依存する。例えばセルロース紙の繊維または合成繊維ウエブの間のような毛管活性を有する空洞はない。滑らかな表面、低い吸収力、および無極性構造のこの組み合わせが重合体フィルム上での印刷を困難にし、すなわち乾燥時間が長くそして印刷インキの付着性が劣る。
【0005】
非特許文献1は、押し出しフィルムの印刷性を改良するための表面処理の1つのタイプが顔料コーティングの適用であることを述べている。紙産業では、顔料コーティングを用いるセルロース紙の表面の改良はかなり前から既知である。これらのコーティング用の典型的な結合剤はカゼイン、ポリアクリレート類、またはブタジエンおよびスチレンの共重合体であった。白陶土、硫酸バリウム、チョーク、または二酸化チタンが顔料として使用された。これらの密な滑らかな表面にもかかわらず、コーティング紙はそれらの高含有量の鉱物充填剤のために凸版印刷およびオフセット印刷用に充分なほど吸収性があった。コーティングされた重合体フィルムは同様な性質を有しており、すなわちそれらも全ての印刷方法用に使用することができ、そして印刷品質はコーティング紙のものと同等であった。しかしながら、さらに高い印刷性を有する紙を要求する印刷産業の要望が1971年以降増大してきた。
【0006】
特許文献1は、結合剤がカルボキシル基を含有していること、結合剤:顔料の重量比が15:100〜50:100、好ましくは22:100〜35:100、の範囲内であること、帯電防止剤が0.4:100〜2.5:100の乾燥重量:顔料比に相当する量で存在する水溶性のイオン性化合物を含んでなること、並びに組成物が組成物の乾燥時に結合剤のカルボキシル基と反応して結合剤を(以上で定義されているように)不溶化させうる不溶化剤も含有することにより特徴づけられる、プラスチックス基質用でありそして重合体状結合剤、顔料および帯電防止剤を含んでなるコーティング組成物を開示している。
【0007】
特許文献2は、(a)式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Aは−O−または−NH−を表わし、Rは水素原子またはメチル基を表わし、Rは炭素数2〜4のアルキレン基または−CHCH(OH)−CH−を表わし、R、R、R、およびRは、同一もしくは相異なることができ、それぞれが炭素数1〜3のアルキル基を表わし、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基を表わし、nは1〜3の整数を表わし、そしてXは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表わす]
により表わされる構造単位、(b)式(II):
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、そしてRは炭素数1〜22のアルキル基、炭素数7〜22のアラルキル基または炭素数5〜22のシクロアルキル基を表わす]
により表わされる構造単位、並びに(c)構造単位(a)および(b)を提供する単量体と共重合可能な単量体から誘導される構造単位を30〜70:30〜70:0〜40の(a):(b):(c)重量比で含んでなる第四級アンモニウム塩共重合体を含んでなるコーティングされた層を有する満足のいく印刷性を有する熱可塑性樹脂を開示している。
【0012】
特許文献3は、合成基質の少なくとも1つの面に20〜50重量%のポリビニルアルコール、20〜50重量%のポリウレタン樹脂および20〜50重量%のシリカ顔料を含んでなる1−7g/mのコーティング層を付与することにより特徴づけられるオフセット−印刷可能な合成紙を開示しており、ポリウレタン樹脂がカルボキシルを含有する架橋結合可能なポリウレタン樹脂またはポリエステル−ベースのポリウレタン樹脂でありそしてシリカ顔料の粒子寸法が2−5μmであり、そして合成紙がJIS P 8138に従い測定された20−50%の不透明度を有することが好ましい。
【0013】
特許文献4は、(a)無水カルボン酸部分と反応可能な複数の官能基を含有する少なくとも1種の結合剤、および(b)1個の分子体当たり複数の無水カルボン酸部分を含有する化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の不溶化剤を含んでなる紙コーティング組成物を開示している。
【0014】
特許文献5は、コーティングがコートの乾燥重量により(a)約30%〜約70%のエチレン系不飽和酸の共重合体、(b)約30%〜約70%の不活性粒状充填剤を含んでなる食品と接触したおよび/または組み合わせた使用に適する印刷可能な不透明なコーティングされたシートを開示しており、ここでコーティングはいずれかの反応性結合剤および
/または架橋結合剤を実質的に含まない。特許文献5は、エチレン系不飽和酸が好ましくはアンモニアによりそして金属カチオンによってではなく中和されることもさらに開示しており、その理由はこれは乾燥でアンモニアが蒸発しそして酸基が金属カチオンで安定化されたエチレンアクリル酸(EAA)共重合体分散液と比べて水分敏感性がより少なくなるためである。
【0015】
特許文献6は、ベース層が0.65g/mLもしくはそれより低いか、または、印刷可能な表面と反対側にある表面上に別個の付着層がない場合には0.7g/mLもしくはそれより低い密度を有することにより特徴づけられる、少なくとも1つの表面上に印刷可能でありそしてベース層および場合により印刷可能な表面を形成する印刷可能な層を含んでなる複合プラスチックスシートを開示している。
【0016】
特許文献7は、基質および基質の少なくとも1つの面上に窒素押し込み方法を用いて測定された1グラムの紙当たり0.006cmより大きい200nmより小さい孔幅の累積孔容量を有する像受容コーティングを含んでなる印刷シートを開示している。
【0017】
特許文献8は、像受容層が頂部層および/または該頂部層の下にある少なくとも1つの第二層を含んでなり、該頂部および/または第二層が顔料部分を含んでなり、この顔料部分が乾燥重量で0〜99部の微粒状炭酸塩および/または微粒状カオリン、乾燥重量で1〜100部の微粒状シリカおよび結合剤部分から構成され、この結合剤部分が乾燥重量で5−20部の結合剤および乾燥重量で4部より少ない添加剤から構成されることにより特徴づけられる、紙基質上に像受容コーティング層を有する、シートが供給されるオフセット印刷用のコーティングされた印刷シートを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】英国特許第2 177 413A号明細書
【特許文献2】米国特許第5,397,637号明細書
【特許文献3】第11−107194号明細書
【特許文献4】米国特許第6,300,393号明細書
【特許文献5】国際公開第03/033577A号パンフレット
【特許文献6】米国特許第2004/0146699A1号明細書
【特許文献7】米国特許第2006/0257593A1号明細書
【特許文献8】欧州特許第1 743 976A1号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Lunk and Stange in 1971 in Angewandte Chemie International Edition,volume 10,pages 287−294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
長期の印刷期間にわたり一定の印刷品質を確保しつつ、広範囲の印刷条件、例えばインキの品質の変動、オフセット印刷における湿し水の量の変動の下で満足のいく印刷を可能とし、インキが印刷工程中に完全に紙に転写するのを確保しつつ次のシート上における像のずれ(いわゆるゴースト像)を回避するのに充分な急速乾燥性を有する、印刷可能な紙に関する要望がある。そのような紙は許容可能な白色性を示し、印刷の色に影響を与えず、許容可能な不透明度を示し、耐水性であり、良好な引っ掻き耐性を示し、酸類およびアルカリ類に対する良好な化学耐性を示し、そして屋外用途に適し、すなわち紫外線露呈および酸化に対して耐性でなければならない。現在入手可能な紙は上記の要件の1つもしく
はそれ以上を得ることができない。従って、印刷方法における使用のための改良された紙に関する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の局面
従って、改良された印刷可能な紙を提供することが本発明の局面である。
【0022】
従って、改良された印刷可能な紙を製造する方法を提供することが本発明の別の局面である。
【0023】
本発明のさらなる局面および利点は以下の記述から明らかになるであろう。
【0024】
発明の要旨
少なくとも3μmの層厚さ、少なくとも1.2mL/mの孔容量を有しそして少なくとも1種の多孔性顔料を含んでなる単一層で耐水性支持体をコーティングすることにより優れた印刷性能が得られうることが驚くべきことに見出された。
【0025】
本発明の局面は、2つの場合により下塗り(subbed)されていてもよい面および該場合により下塗りされていてもよい面の少なくとも1つの上の単一層を有する耐水性支持体を含んでなる印刷可能な紙であって、該単一層が実質的な組成変動を有さず、少なくとも3μmの層厚さ、少なくとも1.2mL/mの孔容量を有しそして少なくとも1種の多孔性顔料を含んでなる印刷可能な紙により認識される。
【0026】
本発明の局面は、(i)2つの面を有する耐水性支持体に下塗り層(subbing layer)を、少なくとも1つの面上で場合により付与し、(ii)該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体の少なくとも1つの面に、実質的な組成変動を有さない単一層を付与する段階を含んでなり、該単一層が、該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体に、少なくとも1つの湿潤水性層として該耐水性支持体の各面に関して1回の通過で適用され、該少なくとも1つの水性層が少なくとも1種のラテックス、少なくとも1種の顔料、少なくとも1種の結合剤および場合により少なくとも1種の不溶化剤を含んでなり、該ラテックスがアニオン性アクリル系ラテックスまたは脂肪族ポリウレタンラテックスである、印刷可能な紙を製造する方法によっても認識される。
【0027】
本発明の局面は、上記の印刷可能な紙または上記の製造方法により得られるものの印刷における使用によっても認識される。
【0028】
本発明の局面は、使用によっても認識される。
【0029】
本発明の好ましい態様は発明の詳細な記述に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な記述
定義
用語「印刷可能な紙」は、本発明の開示において使用される際には、少なくとも1種の普遍的な接触または非接触印刷技術、例えばオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、電子写真印刷およびインキ−ジェット印刷、により印刷されうる紙または紙類似材料を意味する。
【0031】
用語、重複印刷可能なは、本発明の開示において使用される際には、普遍的な衝撃および/または非衝撃印刷方法により重複印刷されうることを意味する。
【0032】
用語、普遍的な印刷方法は、本発明の開示において使用される際には、インキ−ジェット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、染料転写印刷、熱昇華印刷並びに熱およびレーザー−誘発方法を包含するが、それらに限定されない。
【0033】
用語「支持体」は、本発明の開示において使用される際には、「自己支持性材料」を意味して、それを、溶液もしくは分散液状でコーティングするか、蒸発するかまたは表面付着することができるがそれ自体は自己支持性ではない「層」と区別する。それはまた場合により導電性の表面層および必要であるいずれかの処理または付着を助けるために適用される層も包含する。
【0034】
用語「下塗り層」は、本発明の開示において使用される際には、支持体および単一層の間の付着を実現するために必要であるが、印刷可能な紙の印刷性能においては役割を演じないいずれかの層または層構造を意味する。
【0035】
用語「耐水性支持体」は、本発明の開示において使用される際には、表面が耐水性である支持体、例えば合成紙および樹脂−コーティングされたセルロース紙、を意味する。
【0036】
用語、層は、本発明の開示において使用される際には、例えば支持体と称する物体の全面積を覆う(連続的)コーティングを意味する。
【0037】
用語「単一層」は、本発明の開示において使用される際には、耐水性支持体の各面に1つだけの層があることを意味するがそれは1回の通過において複数の湿潤層として適用してもよい。「単一層」は受容性質を有しており、その理由はそうでなければ「印刷可能な紙」は印刷可能でないからである。
【0038】
用語「実質的な組成変動のない」は、本発明の開示において使用される際には、層を複数の湿潤層としてコーティングしうるがそこから生ずる層が5重量%より多くない組成変動を有することを意味する。
【0039】
用語「多孔性顔料」は、本発明の開示において使用される際には、内部多孔性を有する一次粒子、例えばシリカゲル粒子を有する顔料、および、その一次粒子は内部多孔性を有さず少なくとも100m/gの比表面積を有し、例えばデグッサ(Degussa)により製造される一連のAerosil(登録商標)中の粒子のような火炎熱分解された無機粒子である当該一次粒子の凝集の結果である、内部多孔性を有する二次粒子として存在する顔料、の両者を包括する。
【0040】
用語「ラテックス」は、本発明の開示において使用される際には、ラテックス重合体が水中に実質的に不溶性であり、すなわち25℃の温度において100gの水当たり10mgより小さい水中溶解度を有し、標準的ラテックス製造技術により製造されそして水性分散液として供給および使用されることを意味する。
【0041】
用語「水溶性結合剤」は、本発明の開示において使用される際には、25℃の温度において100gの水当たり1gより大きい水中溶解度を有する結合剤を意味する。
【0042】
用語、無機不透明化顔料は、本発明の開示において使用される際には、少なくとも1.4の屈折率を有する実質的に白色の無機顔料および重合体中分散液として延伸時に微孔形成により不透明性を生じうる顔料を包含する不透明化させうる(すなわち、より不透明化させうる)顔料を意味する。
【0043】
用語、白色化剤は、本発明の開示において使用される際には、周囲紫外線の影響下で青色ルミネッセンスを示す白色/無色の有機化合物を意味する。
【0044】
用語「不溶化剤」は、本発明の開示において使用される際には、ラテックスを不溶化させうる剤を意味する。
【0045】
用語「着色剤」は、本発明の開示において使用される際には、染料および顔料を意味する。
【0046】
用語「染料」は、本発明の開示において使用される際には、それが適用される媒体中でそして関係する周囲条件下で10mg/Lまたはそれより大きい溶解度を有する着色剤を意味する。
【0047】
用語「顔料」は、引用することにより本発明の内容となるDIN 55943では、内部で10mg/Lより小さい溶解度を有するために、分散媒体中に関係する周囲条件下で実際に不溶性である無機もしくは有機性の、彩色または無彩色の着色剤として定義される。
【0048】
用語「合成紙」は、本発明の開示において使用される際には、合成繊維からウエブを形成することにより、または、場合により一面もしくは両面上で受容層でコーティングされていてもよい熱可塑性重合体からフィルムを押し出すことにより製造される紙類似材料を意味する。
【0049】
用語、フィルムは、本発明の開示において使用される際には、特定組成の押し出しシート、または、同一もしくは相異なる組成を有する液体の相互接触させながらの同時押し出しにより製造される同一もしくは相異なる組成を有する複数のフィルムよりなるシートである。用語、フィルムおよび箔はこの開示では互換的に使用される。
【0050】
用語、線状ポリエステルは、本発明の開示において使用される際には、炭化水素ジメチレンおよびジカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルを意味する。
【0051】
用語「透明でない(non−transparent)フィルム」は、本発明の開示において使用される際には、透明像に対する充分なコントラストを与えて像をはっきり目立たせうるフィルムを意味する。透明でないフィルムは「不透明なフィルム」でありうるが、完全な不透明は残存する半透明性がない、すなわちフィルム全体に光浸透がない、という意味では必ずしも完全に不透明である必要はない。マクベス(MacBeth)TR924濃度計を用いて可視フィルターを通して測定される伝達における光学濃度がフィルムの非透明度の測定値を与えうる。紙裏の不透明度に関わるISO 2471は、紙の性質が含まれるとき適用することができ、その性質は、一枚のシートが、その下にある同質の紙のシート上の印刷を視覚的に感知できなくする程度を支配し、不透明度は、黒色の裏を有する紙の単一シートの視感反射率ファクターと白色反射性裏を有する同じサンプルの固有視感反射率ファクターの、百分率として表示される「比」で定義される。80g/mのコピー紙は、例えば、白色であり、透明でなくそしてマクベスTR924濃度計を用いて黄色フィルターを通してISO 5−2に従い測定して0.5の光学濃度を有しておりそして金属処理フィルムは典型的には2.0〜3.0の範囲にわたる光学濃度を有する。
【0052】
用語、孔または微孔は、本発明の開示において使用される際には、例えば、配向重合体状フィルム中で延伸中にポリエステルマトリックスと非混和性である粒子により創始される孔−創始粒子の結果として形成されうる、微小セル、微小閉鎖セル、空洞、泡もしくは
孔または小区画を意味する。孔または微孔は充填されていなくてもまたはある種の蒸気が充填されていてもよい。最初は充填されていない場合でも、孔または微孔は時間が経つと空気またはある種の蒸気で充填され始めることができる。
【0053】
用語、フォームは、本発明の開示において使用される際には、液体または固体中に多くの気泡を捕獲することにより製造される物質を意味する。
【0054】
用語、見かけ密度は、本発明の開示において使用される際には、直径が3mmのボール先端を有する誘電プローブと接触させて測定される厚さを有するフィルムの100mm x 100mm片の重量をその容量で割り算したものを意味する。この値は、フィルム片の表面が平らでありそして互いに平行していることを仮定する。この値は、欧州特許出願公開第0 496 323号明細書および国際公開第2005/105903A号パンフレットに報告された見かけ密度値に相当する。
【0055】
印刷可能な紙
本発明の局面は、2つの場合により下塗りされていてもよい面および該場合により下塗りされていてもよい面の少なくとも1つの上の単一層を有する耐水性支持体を含んでなる印刷可能な紙であって、該単一層が実質的な組成変動を有さず、少なくとも3μmの層厚さ、少なくとも1.2mL/mの孔容量を有しそして少なくとも1種の多孔性顔料を含んでなる印刷可能な紙により認識され、少なくとも1.5mL/mの孔容量が好ましい。
【0056】
本発明に従う印刷紙は1回の通過において両面上でそれぞれ単一層でコーティングすることができる。しかしながら、一面上でコーティングされる場合には、コーティングされていない面にラベル用途のための付着層を付与することができる。
【0057】
多孔度は標準的技術、例えば窒素が孔の中で凝縮されそして孔を充填するために必要な気体の量から孔容量を計算する窒素多孔度測定法(porosimetry)、および外部圧力を高めることにより液体水銀が孔の中に押され、徐々に増加して孔を充填するために必要な水銀の量を測定する水銀多孔度測定法、により決めることができる。
【0058】
本発明に従う印刷可能な紙の第1の態様によると、印刷可能な紙は水溶性のイオン性無機化合物を含んでなる帯電防止剤を含まない。
【0059】
本発明に従う印刷可能な紙の第2の態様によると、該印刷可能な紙のASTM D589 C/2°に従い測定される不透明度は90%より大きい。
【0060】
本発明に従う印刷可能な紙の第3の態様によると、単一層は例えばビアノバ・レジンズ(Vianova Resins)N.V.からのMadurit MW15を硬化させることにより硬化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂をさらに含んでなる。
【0061】
本発明の第4の態様によると、単一層は例えばカゼインのアンモニウム塩の硬化により硬化されたタンパク質物質をさらに含有する。
【0062】
耐水性支持体
本発明に従う印刷可能な紙の第5の態様によると、該耐水性支持体にはその少なくとも一面上で下塗り層が付与される。
【0063】
用語「耐水性支持体」は、本発明の開示において使用される際には、表面が耐水性である支持体を意味する。そのような支持体は「耐水性支持体」に影響を与えずに水性溶液ま
たは分散液で重複コーティングすることができる。
【0064】
耐水性支持体は樹脂−コーティングされたセルロース紙、合成繊維を用いて形成された繊維質構造を有するウエブおよびフィルムが熱可塑性重合体から直接押し出されるウエブを包含する。樹脂−コーティングされたセルロース紙の樹脂−コーティングはその中での不透明化顔料の含有により透明でなくすることができる。合成繊維を用いて形成された繊維質構造を有するウエブおよびフィルムが熱可塑性重合体から直接押し出されるウエブは不透明化顔料の含有により透明でなくすることができる。さらに、フィルムが熱可塑性重合体から直接押し出されるウエブは、マトリックス重合体のガラス転移温度もしくは融点より高いガラス転移温度を有する非晶質高重合体および/またはマトリックス重合体のガラス転移温度もしくは融点より高い温度において溶融する結晶性高重合体の劣悪な混和性の分散液の存在から生ずる、軸延伸で誘発された微孔形成並びに押し出しフィルムの軸延伸によっても透明でなくされうる。広く使用されるマトリックス重合体はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミドおよびポリエステルを包含する。
【0065】
本発明に従う印刷可能な紙の第6の態様によると、該耐水性支持体は樹脂−コーティングされたセルロース紙、合成繊維で形成された繊維質構造を有するウエブまたはフィルムが熱可塑性重合体から直接押し出されたウエブである。
【0066】
本発明に従う印刷可能な紙の第7の態様によると、該耐水性支持体は少なくとも50重量%の線状ポリエステルを含んでなる。
【0067】
本発明に従う印刷可能な紙の第8の態様によると、該耐水性支持体は少なくとも50重量%の線状ポリエステルおよび不透明化顔料を含んでなり、そして不透明化顔料は好ましくはシリカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、燐酸アルミニウムおよびクレイよりなる群から選択される。
【0068】
本発明に従う印刷可能な紙の第9の態様によると、該耐水性支持体は透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された熱可塑性重合体であり、熱可塑性重合体のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の非晶質高重合体および/または熱可塑性重合体のガラス転移温度より高い融点を有する少なくとも1種の結晶性高重合体を内部に分散させて含んでなる。
【0069】
本発明に従う印刷可能な紙の第10の態様によると、該耐水性支持体は透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルであり、該線状ポリエステルのものより高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の非晶質高重合体および/または線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度より高い融点を有する少なくとも1種の結晶性高重合体を内部に分散させて有し、非晶質高重合体は好ましくは少なくとも1つの連鎖−重合されたブロックを含んでなる。
【0070】
本発明に従う印刷可能な紙の第11の態様によると、該耐水性支持体は透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルであり、該線状ポリエステルのものより高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の非晶質高重合体および/または該線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度より高い融点を有する少なくとも1種の結晶性高重合体を内部に分散させて有し、ここで該少なくとも非晶質高重合体はポリスチレン、スチレン共重合体、SAN−重合体、ポリアクリレート類、アクリレート−共重合体、ポリメタクリレート類およびメタクリレート−共重合体よりなる群から選択される。
【0071】
本発明に従う印刷可能な紙の第12の態様によると、該耐水性支持体は透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルであり、該線状ポリエステルのもの
より高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の非晶質高重合体および/または該線状ポリエステルのガラス転移温度より高い融点を有する少なくとも1種の結晶性高重合体マトリックスを内部に分散させて有し、ここで該結晶性高重合体はポリエチレン、好ましくは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、好ましくはアイソタクチックポリプロピレン、およびアイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)よりなる群から選択される。
【0072】
本発明に従う印刷可能な紙の第13の態様によると、該耐水性支持体は透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルであり、SAN−重合体および/またはポリエステルのガラス転移温度より高い温度における融点を有する少なくとも1種の結晶性高重合体の粒子を内部に分散させて有し、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレンおよびアイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)よりなる群から選択される少なくとも1種の結晶性高重合体が好ましい。
【0073】
本発明に従う印刷可能な紙の第14の態様によると、該耐水性支持体は透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルであり、線状ポリエステルのガラス転移温度より高いガラス温度を有する少なくとも1種の非晶質高重合体および/またはアイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)の粒子を内部に分散させて有し、SAN(スチレン−アクリロニトリル)−重合体およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)−重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の非晶質高重合体が好ましい。
【0074】
本発明に従う印刷可能な紙の第15の態様によると、該耐水性支持体は5〜20重量%のスチレン−アクリロニトリル−ブロック共重合体および0.1〜10重量%のアイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)を内部に分散させて有する透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルである。
【0075】
本発明に従う印刷可能な紙の第16の態様によると、該耐水性支持体は白色化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤および着色剤よりなる群から選択される成分をさらに含んでなる。
【0076】
ラテックス
本発明に従う印刷可能な紙の第17の態様によると、単一層はラテックスをさらに含んでなり、ラテックスは好ましくはアニオン性アクリル系ラテックスまたは脂肪族ポリウレタンラテックスである。
【0077】
本発明に従う印刷可能な紙の第18の態様によると、ラテックスは自己−架橋結合性ラテックスである。
【0078】
適当なラテックスは以下の表に示される:
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
高いpH並びに良好な水およびアルカリ耐性を有するこれらのラテックスの場合には、ラテックスまたは安定化用分散化剤を水酸化アンモニウムで可溶化しそしてアンモニアの蒸発で樹脂を不溶性にすることが可能である。
【0082】
適当な自己−架橋結合性樹脂は以下の表に示される。
【0083】
【表3】

【0084】
自己−架橋結合の機構は開示されていない。しかしながら、当業者は架橋結合には不溶化が伴われることを予測するであろう。
【0085】
多孔性顔料粒子
本発明に従う印刷可能な紙の第19の態様によると、多孔性顔料は無機顔料でありそして内部多孔性を有する一次粒子を有する顔料、および、その一次粒子は内部多孔性を有さず少なくとも100m/gの比表面積を有し、当該一次粒子の凝集の結果である、内部多孔性を有する二次粒子として存在する顔料を包含する。そのような一次粒子の例は火炎熱分解された無機粒子、例えばデグッサにより製造される一連のAerosil(登録商標)の粒子、である。
【0086】
本発明に従う印刷可能な紙の第20の態様によると、少なくとも1種の多孔性顔料は重合体状顔料でありそして内部多孔性を有する一次粒子を有する重合体顔料、および、その一次粒子は内部多孔性を有さず少なくとも100m/gの比表面積を有し、当該一次粒子の凝集の結果である、内部多孔性を有する二次粒子として存在する顔料を包含する。
【0087】
本発明に従う印刷可能な紙の第21の態様によると、少なくとも1種の多孔性顔料は少なくとも1種の無機多孔性顔料および少なくとも1種の有機重合体状多孔性顔料の混合物である。
【0088】
適当な多孔性無機顔料は以下の表に示される:
【0089】
【表4】

【0090】
適当な多孔性重合体状顔料は以下の表に示される:
【0091】
【表5】

【0092】
多孔度は標準的技術、例えば窒素が孔の中で凝縮されそして孔を充填するために必要な気体の量から孔容量を計算する窒素多孔度測定法、および外部圧力を高めることにより液体水銀が孔の中に押され、徐々に増加して孔を充填するために必要な水銀の量を測定する水銀多孔度測定法、により決めることができる。
【0093】
不透明化顔料
本発明に従う印刷可能な紙の第22の態様によると、単一層は少なくとも1種の不透明化顔料をさらに含んでなる。
【0094】
適当な不透明化顔料は以下の表に示される:
【0095】
【表6】

【0096】
水溶性結合剤
本発明に従う印刷可能な紙の第23の態様によると、単一層は少なくとも1種の水溶性結合剤をさらに含んでなる。
【0097】
本発明に従う印刷可能な紙の第24の態様によると、水溶性結合剤はビニルエステルの加水分解された重合体または共重合体である。
【0098】
本発明に従う印刷可能な紙の第25の態様によると、水溶性結合剤は酢酸ビニルの加水分解された重合体または共重合体であり、少なくとも85%の加水分解度が好ましく、そして少なくとも87%の加水分解度が特に好ましい。
【0099】
適当な水溶性結合剤は以下の表に示される加水分解されたポリ酢酸ビニル類である。
【0100】
【表7】

【0101】
硬化されたポリヒドロキシ樹脂
本発明に従う印刷可能な紙の第26の態様によると、単一層は少なくとも1種の硬化された最初は水溶性のポリヒドロキシ樹脂をさらに含んでなる。
【0102】
本発明に従う第27の態様によると、単一層は例えばシラロール改質されたポリビニルアルコールであるPOVAL R1130の硬化により硬化されたビニルエステルの加水分解された重合体または共重合体をさらに含有する。
【0103】
適当な水溶性ポリヒドロキシ樹脂はビニルエステル、セルロースおよびセルロース誘導体、多糖類、並びにポリアルキレングリコール類の加水分解された重合体または共重合体を包含する。
【0104】
適当な硬化剤はポリイソシアネート類、加水分解されたポリアルコキシシラン類、例えばオルト珪酸テトラアルキル類、を包含する。
【0105】
不溶化剤
不溶化は可溶化工程が逆転される工程であって、例えばpH−変化が可溶化をもたらす場合にはpH低下により、例えばカルボキシ基からカルボキシレートイオンへの転化により、例えば可溶化を実現するために水酸化アンモニウムが使用される場合には酸性化もしくは単なるアンモニアの蒸発による。そのような可溶化はラテックスまたはラテックス分散液を安定化させる分散化剤に適用することができる。或いは、不溶化を不溶化剤、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサル、グリオキサル−誘導体、ジメチロールウレア、ポリアニオン性金属化合物(英国特許第2177413A号明細書、2頁、5行参照)およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂並びに各分子体上に複数の無水部分を含有する無水カルボン酸類(米国特許第6,300,393号明細書参照)の添加でもありうる。これらの不溶化剤は不溶化される種に触媒作用を与え、その反応を開始し、それと錯化し、それを処理し、またはそれと別の方法で反応することができる。さらに、それが加熱、電磁線、例えば光線、X線、電子線など、に対する露呈、pHにおける変化またはいずれかの他の手段により不溶化性質を獲得するために不溶化剤の活性化を必要とすることがある。
【0106】
本発明に従う印刷可能な紙の第28の態様によると、該ラテックスが水酸化アンモニウムで可溶化されない限り、単一層は少なくとも1種の不溶化剤をさらに含んでなる。
【0107】
本発明に従う印刷可能な紙の第29の態様によると、単一層はポリイソシアネート類、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体、グルタルアルデヒド、グリオキサル、グリオキサル−誘導体、ジメチロールウレア、ポリアニオン性金属化合物およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアルコキシシラン類(例えば、オルト珪酸テトラアルキル類)、並びに各分子体上に複数の無水部分を含有する無水カルボン酸類よりなる群から選択される少なくとも1種の不溶化剤をさらに含んでなる。
【0108】
適当な不溶化剤は以下のものを包含する:
【0109】
【表8】

【0110】
艶消し剤
本発明に従う印刷可能な紙の第30の態様によると、単一層は艶消し剤をさらに含んでなる。
【0111】
適当な艶消し剤は以下の表に示される:
【0112】
【表9】

【0113】
防腐剤
本発明に従う印刷可能な紙の第31の態様によると、単一層は防腐剤をさらに含んでなる。防腐剤の目的はカビ・菌の成長を防止するための殺細菌剤および殺カビ・菌剤として作用することである。
【0114】
本発明に従う印刷可能な紙の第32の態様によると、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの塩、例えば商品名「Proxel」およびBronidox Kとして市販されている1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、をさらに含んでなる。
【0115】
印刷可能な紙の製造方法
本発明の局面は、(i)2つの面を有する耐水性支持体に下塗り層を少なくとも1つの面上で場合により付与し、(ii)該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体の少なくとも1つの面に実質的な組成変動を有さない単一層を付与する段階を含んでなり、該単一層が該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体に少なくとも1つの湿潤水性層として該耐水性支持体の各面に関して1回の通過で適用され、該少なくとも1つの水性層が少なくとも1種のラテックス、少なくとも1種の顔料、少なくとも1種の結合剤および場合により少なくとも1種の不溶化剤を含んでなり、該ラテックスがアニオン性アクリル系ラテックスまたは脂肪族ポリウレタンラテックスである、印刷可能な紙を製造する方法により認識される。
【0116】
工業用途
本発明に従う透明でない微孔性の二軸延伸されたフィルムは、印刷および他の用途のための合成紙として、LCDディスプレイおよび光電池装置中の反射体として、像形成材料、例えば衝撃および非衝撃(例えば、電子写真、エレクトログラフィーおよびインキジェット)受容材料、光感熱複写記録材料、実質的に非感光性の感熱複写記録材料、染料昇華印刷、熱転写印刷など、のための支持体として、安全および偽造防止用途において、例えばチケット、ラベル、タグ、ID−カード、銀行カード、法律書類、銀行通帳および包装品中で、使用することができ、そして包装品内に一体化することもできる。
【0117】
本発明を以下で比較例および実施例により説明する。これらの実施例中の百分率および比は断らない限り重量による。
【実施例】
【0118】
実施例および比較例で使用される成分
滑り剤:
SL01:Tegoglide 482、Goldschmidtからの高分子量ポリジメチルシロキサン界面活性剤の65重量%水性乳化液
界面活性剤:
S01:Synperonic 91/5、Uniqemaからの組成C9−1119−23O−(CO)Hを有するアルコールエトキシレート;
S02:MERSOLAT(登録商標)H、BAYERからのペンタデシルスルホン酸ナトリウム;
S03:ULTRAVON(登録商標)W、CIBA[UVONAC]からのアリールスルホン酸ナトリウム;
S04:DR247
S05:Arkopon T、Avecia[OTIK]から40%濃度で供給されるN−メチル−N−2−スルホエチル−オレイルアミドのナトリウム塩;
S06:Envirogem AE01、Air Productsからのエステル類の100%混合物
S07:Zonyl FSO100、DuPontからのエトキシル化された非イオン性フルオロ−界面活性剤とDuPontからの式:F(CFCF1−7CHCHO(CHCHO)H[式中、y=0〜約15]との混合物
ポリエステル:
【0119】
【表10】

【0120】
スチレン−アクリロニトリル共重合体:
【0121】
【表11】

【0122】
二酸化チタン:Renol−white/PTX 506、65重量%のTiOおよび35重量%のポリエステルを含有するCLARIANT GmbHからのマスターバッチTPX DX820:MITSUI CHEMICALからの高硬度アイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)
【0123】
実施例1および2:
下塗りされた支持体の製造
以下の表1に示された組成を有する約1100μm厚さの押し出し物を表2に示された条件に従い二軸延伸して150μmの厚さを有する透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルムを与えた。
【0124】
【表12】

【0125】
【表13】

【0126】
透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1および2/LS1/BS1を次に下塗り層1である非−帯電防止層、下塗り層2である帯電防止下塗り層組成物、下塗り層3である帯電防止下塗り層組成物、下塗り層4である非−帯電防止層組成物または下塗り層5である帯電防止層組成物で、支持体の一面または両面に、下塗りした:
【0127】
【表14】

【0128】
【表15】

【0129】
【表16】

【0130】
【表17】

【0131】
【表18】

【0132】
受容層組成物の最適化
実施例3:
種々のラテックスのスクリーニング
下塗り層1でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィ
ルム1/LS1/BS1を、実施例3/1〜3/3の場合には少量のゴールドシュミット(Goldschmidt)からの高分子量ポリジメチルシロキサンおよび界面活性剤S04と一緒に、実施例3/4〜3/8の場合にはある量の界面活性剤S04だけと一緒に、実施例3/9〜3/19の場合には2種の界面活性剤(S04およびS05)の混合物と一緒に、実施例3/20〜3/28の場合には2種の界面活性剤(S05およびS06)の混合物と一緒に、実施例3/26の場合には、実施例3/27〜3/31の場合にはさらなる添加剤なしに、そして実施例3/32〜3/38の場合には2種の界面活性剤(S05およびS06)の混合物と一緒に、表3中の組成物でコーティングした。
【0133】
【表19】

【0134】
【表20】

【0135】
支持体および単一層の間の付着性の欠如は、下塗り層の変更の適用によりまたは支持体および単一層の間の付着性を実現するために必要な複数の下塗り層を含んでなる下塗り層の付与により、矯正された。
【0136】
実施例4:
種々のラテックスのスクリーニング
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を、0.04g/mの界面活性剤S07と一緒に、表4中の組成物でコーティングした。
【0137】
【表21】

【0138】
印刷試験をハイデルベルグ(Heidelberg)GTO46印刷機械上でK+E800インキおよび湿し水としての10%のイソプロパノールを含む4%のAGFA FS330を用いて行った。定性的な印刷性試験の結果は表5にまとめられている。
【0139】
【表22】

【0140】
【表23】

【0141】
表6は、場合により下塗りされていてもよい支持体の少なくとも一面にコーティングされた単一層中での使用のためのラテックスの選択に関する実施例3および4の結果をまとめている。
【0142】
【表24】

【0143】
実施例5:
種々の多孔性顔料のスクリーニング
下塗り層1でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を、実施例5/1〜5/15の場合には少量のゴールドシュミットからの高分子量ポリジメチルシロキサンであるTego Glide 482および界面活性剤S04と一緒に、実施例5/16〜5/xxの場合にはと一緒に、表7中の組成物でコーティングした
【0144】
【表25】

【0145】
実施例6:
種々の多孔性顔料のスクリーニング
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を、実施例6/1〜6/38の場合には2種の界面活性剤(S05およびS06)の混合物と一緒に、表8中の組成物でコーティングした。
【0146】
【表26】

【0147】
【表27】

【0148】
A.B.ディック(Dick)D9890印刷機械上でK+E800インキおよび湿し水としての10%のイソプロパノールを含む4%のエメラルド・プレミウム(Emerald Premium)およびIGTグローバル・スタンダード・テスター(Global Standard Tester)2を用いて印刷試験を行った。結果は表9にまとめられている。
【0149】
【表28】

【0150】
【表29】

【0151】
PP28(日本化成(Nippon Kasei)からのミクロンより小さい充填剤)によるPP21の置換は0.5g/mの被覆率においてすでに証明されているモットルにおける減少並びにIGTグローバル・スタンダード・テスター2を用いる結果における強く減少した浸透長さによりわかるようなより急速な乾燥をもたらす。PP02(Sunsphere H33)によるPP21の置換もモットルにおける減少をもたらすが、PP28より少ない。
【0152】
実施例7:
無機多孔性顔料および有機重合体状多孔性顔料の組み合わせ
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を、0.04g/mの界面活性剤S07と一緒に、表10中の組成物でコーティングした。
【0153】
【表30】

【0154】
ハイデルベルグGTO46印刷機械上でK+E800インキおよび湿し水としての10%のイソプロパノールを含む4%のAGFA FS330およびIGTグローバル・スタンダード・テスター2を用いて印刷試験を行った。結果は表11にまとめられている。
【0155】
【表31】

【0156】
画線太りまたはインキ受容性において有意な差異はなかった。さらに、裏移りは観察されずそしてインキ付着性において差異はなかった。さらに、実施例7/4、7/7、7/8および7/14の紙は非常に均一なインキ層を与えた。PP28(日本化成からのミクロンより小さい充填剤)およびPP34はPP21より高い吸収速度を有しそしてPP28(日本化成からのミクロンより小さい充填剤)は評価した無機多孔性顔料の中で最高の吸収能力を有していた。
【0157】
実施例8:
多孔性および不透明化顔料の組み合わせ
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を、多孔性および不透明化顔料の種々の組み合わせを含むラテックス04と一緒に、表12中の組成物でコーティングした。
【0158】
【表32】

【0159】
これらの紙を次にK+E 123wインキおよび10%のイソプロパノールを含む4%のAGFA FS330の湿し水を用いるハイデルベルグGTO46印刷機械を使用する印刷試験にかけた。生じた印刷物をテープ試験、粉末試験、グレタグ・スペクトロアイ(Gretag Spectroeye)濃度計で評価される画線太り、印刷モットルおよ
び引っ掻き耐性に基づき評価し、結果は以下の表13に示される。
【0160】
【表33】

【0161】
PP21−含有量の減少はモットルおよび画線太りを増加させ、1g/mより少ないPP21−含有量では劣悪な乾燥、裏移りおよび劣悪なインキ付着性がある。
【0162】
OP05(Jetcoat 30、CaCO)によるPP21の置換は印刷モットルにおける大きな増加およびより劣悪なインキ付着性を生じたが、Jetcoat 30はインキ−乾燥工程に少量であるが貢献を与えた。
【0163】
OP10(Hydragloss 90、白陶土/カオリン)によるPP21の置換は印刷モットルにおける大きな増加およびより劣悪なインキ付着性を生じた。さらに、OP10はインキ−乾燥工程に貢献を与えなかった。
【0164】
PP25[Micral 9400、[Al(OH)]によるPP21の置換はインキ付着性における改良およびモットルにおけるわずかな増加を生じた。さらに、PP25は乾燥工程に貢献したが、PP25によるPP21の完全な置換が劣悪な乾燥および強いモットルを生じたことにより示されているようにPP21よりは強くなかった。
【0165】
OP09(Snowtex ST40、コロイド状シリカ)によるPP21の置換は印刷モットルにおける大きな増加およびより劣悪なインキ付着性を生じた。さらに、OP09はインキ−乾燥工程に貢献を与えなかった。
【0166】
PP26(Digitex 1000、カオリン)によるPP21の置換はモットルに対する影響は有しておらずそして乾燥およびインキ付着性を改良した。
【0167】
実施例9:
種々の水溶性結合剤のスクリーニング
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を、種々の結合剤を含むラテックス03およびラテックス04と一緒に、表14中の組成物でコーティングして、これが印刷モットルを減少できたかどうかを検討した。
【0168】
【表34】

【0169】
これらの紙を次にK+E 123wインキおよび10%のイソプロパノールを含む4%のエメラルド・プレミウムの湿し水を用いるハイデルベルグGTO46印刷機械を使用する印刷試験にかけた。生じた印刷物をテープ試験、粉末試験、グレタグ・スペクトロアイ濃度計で評価される画線太り、印刷モットルおよび引っ掻き耐性に基づき評価し、結果は以下の表15に示される。
【0170】
【表35】

【0171】
驚くべきことに、ラテックスとしてL03を含む紙は、B01およびIN02の組み合わせが使用された時以外は、結合剤が使用されてもまたはされなくても、受容層における強い粘着破壊を示した。ラテックスとしてL04を含む紙だけは、例えば74%の如き低い加水分解度を有するポリビニルアルコールが結合剤として使用された時に、強い粘着破壊を示し、そして少なくとも87−88%の加水分解度を有するポリビニルアルコールの使用は粘着破壊に対する受容層の耐性を改良した。B02の濃度の増加は発泡および高い粘度のため可能でなかった。
【0172】
実施例10:
結合剤および/または硬化剤を添加した印刷性能
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を結合剤を含む表16中の組成物でコーティングして印刷モット
ルを減少するように改良した。
【0173】
【表36】

【0174】
これらの紙を次にK+E123wインキおよびイソプロパノールを含む4%のエメラルド・プレミウムの湿し水を用いるA.B.ディックD9860印刷機械を使用する印刷試験にかけた。印刷中に最初に湿し水の量が一定量のインキに関して変動されそして次に湿し水の量が一定に保たれそしてインキの量が変動された。生じた印刷物をグレタグ・スペクトロアイ濃度計を用いる固体光学濃度および画線太りに基づき評価し、結果は表17に示される。さらに、印刷浸透および乾燥時間試験を紙上でIGTグローバル・スタンダード・テスター2を用いて行い、結果はこれも表17に示される。
【0175】
【表37】

【0176】
実施例10/1の紙を対照として使用すると、増加した層厚さを有する実施例10/2の紙はわずかに改良された裏移り性能および有意に減少した画線太りを与えた。界面活性剤の混合物でなく界面活性剤としてZonyl FSO100、S07を含む実施例10/3の紙は同様な裏移り性質を示したが、有意に減じられた画線太りを示した。しかしながら、2倍量の界面活性剤S07を含む実施例10/4の紙は画線太りにおけるさらなる減少を生じたが、コーティング不足が犠牲になった。実施例10/6の紙におけるように、シリカおよび結合剤の一緒の添加は印刷性能に影響を与えなかった。
【0177】
実施例10/5の紙と実施例10/1のものの印刷性能の比較は、ラテックス01からラテックス03のラテックスにおける変更が有意な改良である画線太りにおける有意な減少と一緒になった裏移り、すなわち乾燥時間、における減少を生じたことを示している。
【0178】
実施例11:
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を印刷モットルを減少改良するための結合剤を含む表18中の組成物でコーティングした。
【0179】
【表38】

【0180】
印刷浸透試験を実施例11/1〜11/8の紙の上でIGTグローバル・スタンダード・テスター2を用いて行い、結果はこれも表19に示されている。
【0181】
【表39】

【0182】
表xx中の結果は、ラテックス04であるJONCRYL FLX5010を含有する比較層と比べて、ラテックス03であるDispercoll U53を含有する層内へのインキのより急速な浸透を明らかに示している。
【0183】
実施例12:
艶消し剤の評価
下塗り層3でコーティングされた透明でない微孔性の二軸延伸された自己−支持性フィルム1/LS1/BS1を紙の移送性質を改良するための種々の艶消し剤を含む表20中の組成物でコーティングした。
【0184】
【表40】

【0185】
紙を表面の滑らかさおよびシート間の摩擦係数に対する艶消し剤の物理的影響を立証するための一連の試験で評価した。表面粗さはベック(Bekk)試験およびパース−O−メーター(Perth−O−meter)測定により測定された。さらに、引っ掻き耐性を爪試験を用いて定性的にそしてロベルタ装置を用いるリニマーク評価方法を使用して定量的に評価して引っ掻きが観察された際のおよびそれより上におけるしきい力を与えた。結果は以下の表21にまとめられている。
【0186】
【表41】

【0187】
べック試験は、艶消し剤MA02およびMA04〜MA12を用いるとMA01またはMA03を用いるより大きい表面粗さが実現されるがPert−O−meterによるとMA01およびMA04を用いる紙はMA02およびMA03を用いるより高いR値を示したことを示している。摩擦測定は、艶消し剤MA01およびMA02では摩擦における有意な減少を示したが実施例12/13の紙は有意な変化を示さずそして実施例12/14の紙は摩擦係数における増加を示したことを示していた。
【0188】
K+E 123Wおよび10%のイソプロパノールを含む4%のエメラルド・プレミウムの湿し水をCREO露光台を有する275mJ/cmで露光されるアン・アズラ(An Azura)印刷版と共に用いるハイデルベルグGTO46印刷機械を使用して印刷
評価を行った。印刷結果は以下の表22にまとめられている。
【0189】
【表42】

【0190】
MA02およびMA03を含む紙では画線太りにおける増加がそしてMA01およびMA04〜MA12の場合にはわずかな減少が観察された。紙の引っ掻き耐性は艶消し剤MA2(ポリエチレン粒子)、MA8(ベンゾグアニン−メラミン/ホルムアルデヒド粒子)、MA9(ポリアミド粒子)およびMA10(エチレン−アクリル酸共重合体粒子)では改良され、艶消し剤MA1では許容可能であったが、艶消し剤MA3およびMA4では悪化した。
【0191】
実施例13:
印刷性能
下塗り層3で下塗りされたフィルム1/LS1/BS1を種々の受容層の両面で表23に示された組成およびコーティング重量を有する単一層でコーティングした。
【0192】
【表43】

【0193】
実施例6の組成物を含む単一層も下塗り層4および5で下塗りされたフィルム1/LS1/BS1上に成功裡にコーティングされた。さらに、それはコロナ−処理されたPGA紙、コロナ−処理されたKLEPA紙並びに流し込み−コーティングされた紙上にもコーティングすることができた。
【0194】
実施例3〜8の紙における最も有意な差異は、実施例3および4の紙に関する0.75g/mから実施例5の紙の場合の1.5g/mを通って、実施例6および7の場合の2.9g/mまで上昇する多孔性顔料PP21のコーティング重量にある。受容層の多孔性はその中に存在する多孔性顔料の量により決められるため、これは紙の乾燥性能に対する類似した影響を有しており、実施例3および4の紙は劣悪な乾燥性能を示すが、実施例5、6および7の紙の場合には乾燥は許容可能であった。剥離による問題を克服するための水溶性結合剤の添加により、実施例3、4および5の紙の引っ掻き耐性は良好であり、実施例6の紙のものは劣悪でありそして実施例7および8の紙のものは許容可能にされた。
【0195】
使用した種々のラテックスはアルカリ耐性への影響を有しており、JONCRYL FLX5000を含む実施例13/1、13/2および13/3の紙は劣悪な得点であったが、JONCRYL FLX5010、並びにスチレン−アクリル系ラテックスおよびポリウレタン樹脂であるDISPERCOLL U53も含む実施例13/4、13/5および13/6の紙はこれに関して良好な得点であった。しかしながら、DISPERCOLL U53は紫外線安定性に関して劣悪な得点であったが、JONCRYL FLX 5000および5010はこれに関して良好な得点であった。
【0196】
実施例13/3、13/4、13/5および13/6の表面エネルギーを接触角測定により測定しそして極性および分散貢献を測定した。結果は表24にまとめられている。
【0197】
【表44】

【0198】
これらの紙をダールグレン(Dahlgren)湿し水システムを装備したハイデルベリー(Heidelbery)GT052印刷機械を使用する印刷試験にかけ、それは印刷による湿し水の量を正確に設定することを可能にした。印刷中に最初に湿し水の量が一定量のインキに関して変動されそして次に湿し水の量が一定に保たれそしてインキの量が変動された。生じた印刷物グレタグ・スペクトロアイ濃度計を用いる固体光学濃度および画線太りに基づき評価し、結果は表25に示される。
【0199】
【表45】

【0200】
実施例13/1および13/2の紙は許容可能な印刷窓を有していたが、裏移りはこれらの紙の劣悪な乾燥性能のために問題であった。実施例13/4および13/5は実施例13/3の紙より大きい印刷窓および少ない画線太りを明らかに有していた。さらに実施例5の紙は印刷モットルを示し、それは実施例13/4および13/5の紙では観察されなかった。実施例13/4および13/5の紙は裏移りを示さず、高いインキ設定でさえも急速な乾燥、安定な印刷性能を示し、そして紙と同じ印刷性能を示した。実施例13/4および13/5の紙の印刷性能の間では有意な差異は観察されなかった。
【0201】
実施例14:
受容層組成物の最適化
下塗りされたフィルム1/LS1/BS1を表26中の種々の受容層組成物の両面で単一層でコーティングした。
【0202】
【表46】

【0203】
これらの紙を次にK+E 123wインキおよび10%のイソプロパノールを含む4%のエメラルド・プレミウム湿し水を用いるハイデルベルグGT052印刷機械を使用する印刷試験にかけた。この印刷機械にはダールグレン湿し水システムが装備されており、それが印刷による湿し水の量を正確に設定することを可能にした。
【0204】
印刷品質を定性的視覚検査試験およびIGTグローバル・テスター−2を用いる定量的試験の両方により評価し、そこでは裏移りを回避するための乾燥時間はISO 3783に従い測定されそしてインキ浸透は形成されたトラックに基づき評価されそして受容層組成物を含む紙に適用された0.6μLの着色されたフタル酸ジブチル小滴の光学濃度はNEN 1836に従い回転ドラム上で評価された。結果はこれらも表27に示される。
【0205】
【表47】

【0206】
表27中の結果は、ラテックス04および多孔性顔料PP21に基づく受容層に関しては印刷モットルの回避および裏移りの回避と充分な急速乾燥との組み合わせ条件は両成分の充分な被覆率すなわち充分な多孔性と一緒になった場合のラテックス04対多孔性顔料PP21の約1:1重量比で実現されることを明らかに示している。これらの結果は、要求される結果が1.5mL/mの層内での理論的に利用可能な孔容量においてまたはそれ以上でのみ実現されたことを明らかに示している。印刷モットルはあまりにも遅く吸収される印刷インキの溶媒含有量に依存しておりそして裏移りは速さが不充分なインキ乾燥性に依存する。
【0207】
本発明は暗示的にそして明瞭にここに開示されている特徴もしくは特徴の組み合わせまたはそれらのいずれかの帰納的結果を包含する。以上の記述に鑑み、種々の改変を発明の範囲内で行えることは当業者に明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの場合により下塗りされていてもよい面、および、該場合により下塗りされていてもよい面の少なくとも1つの上の単一層を有する耐水性支持体を含んでなる印刷可能な紙であって、該単一層が実質的な組成変動を有さず、少なくとも3μmの層厚さ、少なくとも1.2mL/mの孔容量を有しそして少なくとも1種の多孔性顔料を含んでなる印刷可能な紙。
【請求項2】
該単一層が少なくとも1種のラテックスをさらに含んでなる、請求項1に記載の印刷可能な紙。
【請求項3】
該ラテックスがアニオン性アクリル系ラテックスまたは脂肪族ポリウレタンラテックスである、請求項1に記載の印刷可能な紙。
【請求項4】
該単一層が少なくとも1種の水溶性結合剤をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷可能な紙。
【請求項5】
該水溶性結合剤がビニルエステルの加水分解された単独重合体または共重合体である、請求項4に記載の印刷可能な紙。
【請求項6】
ビニルエステルの該加水分解された単独重合体または共重合体が酢酸ビニルの加水分解された単独重合体または共重合体である、請求項5に記載の印刷可能な樹脂。
【請求項7】
該ラテックスが水酸化アンモニウムで可溶性化されていない限り該単一層が少なくとも1種の不溶化剤をさらに含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷可能な紙。
【請求項8】
該不溶化剤がポリイソシアネート類、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体、グルタルアルデヒド、グリオキサル、グリオキサル−誘導体、ジメチロールウレア、ポリアニオン性金属化合物およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアルコキシシラン類(例えば、オルト珪酸テトラアルキル類)、並びに各分子体上に複数の無水物部分を含有する無水カルボン酸類よりなる群から選択される、請求項7に記載の印刷可能な樹脂。
【請求項9】
該単一層が少なくとも1種の硬化された最初は水溶性のポリヒドロキシ樹脂をさらに含んでなる、請求項1に記載の印刷可能な樹脂。
【請求項10】
該耐水性支持体が樹脂コーティングされたセルロース紙、合成繊維で形成された繊維質構造を有するウエブまたはフィルムが熱可塑性重合体から直接押し出されたウエブである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷可能な紙。
【請求項11】
該耐水性支持体が少なくとも50重量%の線状ポリエステルを含んでなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷可能な紙。
【請求項12】
該耐水性支持体が、透明でない微孔性の軸延伸された直接押し出された線状ポリエステルであり、該線状ポリエステルより高いガラス転移温度を有する少なくとも1種の非晶質高重合体および/または該線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度より高い融点を有する少なくとも1種の結晶性高重合体を内部に分散させて有する該線状ポリエステルである、請求項10または11に記載の印刷可能な紙。
【請求項13】
該非晶質高重合体が少なくとも1つの連鎖重合されたブロックを含んでなる、請求項1
2に記載の印刷可能な紙。
【請求項14】
該少なくとも非晶質高重合体がポリスチレン、スチレン共重合体、SAN−重合体、ポリアクリレート類、アクリレート−共重合体、ポリメタクリレート類およびメタクリレート−共重合体よりなる群から選択される、請求項12に記載の印刷可能な紙。
【請求項15】
該結晶性高重合体がポリエチレン、ポリプロピレンおよびアイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)よりなる群から選択される、請求項12に記載の印刷可能な紙。
【請求項16】
該耐水性支持体が5〜20重量%のスチレン−アクリロニトリル−ブロック共重合体および0.1〜10重量%のアイソタクチックポリ(4−メチル−1−ペンテン)を有するポリエステルである、請求項12に記載の印刷可能な紙。
【請求項17】
(i)2つの面を有する耐水性支持体に下塗り層を少なくとも1つの面上で場合により付与し、(ii)該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体の少なくとも1つの面に実質的な組成変動を有さない単一層を付与する段階を含んでなり、該単一層が、該場合により下塗りされていてもよい耐水性支持体に、少なくとも1つの湿潤水性層として該耐水性支持体の各面に関して1回の通過で適用され、該少なくとも1つの水性層が少なくとも1種のラテックス、少なくとも1種の顔料、少なくとも1種の結合剤および場合により少なくとも1種の不溶化剤を含んでなり、該ラテックスがアニオン性アクリル系ラテックスまたは脂肪族ポリウレタンラテックスである、印刷可能な紙を製造する方法。
【請求項18】
該顔料が多孔性顔料であるかまたは100m/gより大きい比表面積を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のまたは請求項17もしくは18に記載の製造方法により得られる印刷可能な紙の印刷における使用。

【公表番号】特表2011−515594(P2011−515594A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500148(P2011−500148)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052665
【国際公開番号】WO2009/115416
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(593194476)アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (50)
【Fターム(参考)】