説明

印刷媒体の真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システム及び印刷媒体

【課題】低コストで、容易に真偽鑑定を行いうる印刷媒体の真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システムを提供する。
【解決手段】印刷媒体2の表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンを印刷し、印刷媒体2の表面に又はその表面を覆う透光性フィルムの表面に例えば不可視の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンとは異なる第2パターンを印刷しき、印刷媒体2の表面等に、可視光を遮蔽した状態で照明装置12から赤外光のみを照射し、その状態で撮像装置13を用いて印刷媒体2等の表面を撮像し、撮像装置13から出力された画像データから第2パターンが存在することが確認されたときに印刷媒体2を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体の真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システム及び偽造されにくい印刷媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有価証券、宝くじ、商品券などの印刷媒体の真偽を鑑定するために、パール印刷などによる色彩可変印刷層の一部に、特定情報をパターン化して隠蔽することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、パールインキ自体は容易に入手可能であり、通常に印刷技術を用いて類似の印刷媒体、すなわち偽物を作ることは可能である。
【0003】
また、色彩可変印刷層の上に、さらに紫外線又は赤外線によって蛍光を発するようなインキなどを用いて、真偽判定用のマークなどを印刷することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。ところが、真物に紫外線又は赤外線を照射するとマークの部分が蛍光を発するため、真偽判定用のマークが印刷されていることがわかる。そのため、その様な特殊インキを入手できれば、印刷媒体の偽造は可能である。
【0004】
一方、有価証券などの真偽を鑑定するための他の方法として、赤外線吸収インキを用いた真偽判定用のマークの上から、赤外線を吸収しないインキを用いて真偽判定用のマークを重ねて印刷することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。この場合、赤外線のみを吸収するインキと、赤外線を吸収せず可視光を反射するインキを使用しなければならず、2種類の特殊インキで印刷を行う必要がある。また、同じパターンのマークを重ねて印刷するために印刷精度が要求される。そのため、印刷コストが高くなるという問題点を有している。
【0005】
ところで、真偽鑑定技術は、上記有価証券などに限られず、医薬品やたばこなどの商品パッケージの分野においても必要になってきつつある。すなわち、品質の劣る模造品に真物と同様のパッケージを施した模造品又は偽造品を識別して排除する必要がある。ところが、有価証券などと異なり、これらの商品のパッケージには、あまり印刷コストをかけることはできない。また、商品を取り扱う現場において、容易に真偽鑑定を行いうることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−6564号公報
【特許文献2】特開2002−274000号公報
【特許文献3】特開平8−153233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、比較的低コストで、且つ高度な印刷精度を必要とせず、さらに偽造を困難にすると共に、容易に真偽鑑定を行いうる印刷媒体の真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システム及び偽造されにくい印刷媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、印刷媒体の真偽鑑定方法であって、印刷媒体の表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンを印刷し、前記印刷媒体の表面に又は前記印刷媒体の表面を覆う透光性フィルムの表面に不可視の又は前記印刷媒体の表面の色と同色の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンを印刷しておき、前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面に、可視光を遮蔽した状態で赤外光のみを照射し、その状態で撮像装置を用いて前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面を撮像し、前記撮像装置から出力された画像データを用いてモニタ装置の画面上に前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面の画像を表示し又は前記画像データとあらかじめ記憶されている前記第2パターンに関するデータを用いて画像処理を施し、前記モニタ装置の画面上に前記第2パターンが表示されたとき又は前記画像処理により前記画像データ中に前記第2パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法において、前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ白色インキ又はパールインキであり、前記第2パターンは印刷媒体上の白色印刷又はパール印刷された部分の上に印刷されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法において、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法において、前記第1パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法において、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンも赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記モニタ装置の画面上に前記第1パターン及び前記第2パターンの両方が表示されたとき又は前記画像処理により前記画像データ中に前記第1パターンと前記第2パターンの両方に関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法において、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキと赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分の全部が前記第1パターンとは重なっており、前記モニタ装置の画面上に前記第1パターン及び前記第2パターンのいずれとも異なる第3パターンが表示されたとき又は前記画像処理により前記第1パターンに関するデータと前記第2パターンに関するデータを合成することによって、前記第1パターン及び前記第2パターンのいずれとも異なる所定の第3パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、印刷媒体の表面に印刷された所定のパターンを読み取って真偽鑑定を行う画像処理検査システムであって、前記印刷媒体は、表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターン及び不可視の又はその表面の色と同色の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンが印刷され、又は表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンが印刷されると共に、不可視の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンが印刷された透明フィルムによって表面が覆われており、前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面に、可視光を遮蔽した状態で赤外光のみを照射し、その状態で撮像素子を用いて前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面を撮像する撮像装置と、前記撮像素子から出力された画像データを用いて、その画面上に前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面の画像を表示するモニタ装置、及び、前記画像データとあらかじめ記憶されている前記第2パターンに関するデータを用いて画像処理を施し、前記画像処理により前記画像データ中に前記第2パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断する真偽判断部の少なくとも一方を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載の画像処理検査システムにおいて、前記撮像装置は、被撮像媒体の表面に略垂直に赤外光を照射可能な落射照明系と、被撮像媒体の表面に略平行に又は垂直でない所定の角度に赤外光を照射可能な側射照明系の切り替えが可能な照明装置を有することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8に記載の画像処理検査システムにおいて、前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ不可視インキであり、前記落射照明系を用いて赤外光を照射することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項8に記載の画像処理検査システムにおいて、前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ白色インキであり、前記落射照明系を用いて赤外光を照射することを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項8に記載の画像処理検査システムにおいて、前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだパールインキであり、前記側射照明系を用いて赤外光を照射することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システムにおいて、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システムにおいて、前記第1パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システムにおいて、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンも赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記真偽判断部は、前記画像データ中に前記第1パターンと前記第2パターンの両方に関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システムにおいて、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキと赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分の全部が前記第1パターンとは重なっており、前記真偽判断部は、前記画像処理により前記第1パターンに関するデータと前記第2パターンに関するデータを合成することによって、前記第1パターン及び前記第2パターンのいずれとも異なる所定の第3パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明は、請求項7乃至請求項15のいずれか一項に記載の画像処理検査システムにおいて、前記撮像装置は、前記モニタ装置又は前記真偽判断部とは別に設けられたハンディタイプの撮像装置であることを特徴とする。
【0024】
請求項17の発明は、印刷媒体であって、表面に真偽鑑定用の所定のパターンが印刷された印刷媒体であって、その表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンを印刷し、且つ不可視の又は前記印刷媒体の表面の色と同色の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンを印刷したことを特徴とする。
【0025】
請求項18の発明は、請求項17に記載の印刷媒体において、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする。
【0026】
請求項19の発明は、請求項17に記載の印刷媒体において、前記第1パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする。
【0027】
請求項20の発明は、請求項17に記載の印刷媒体において、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンも赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第1パターンは、前記真偽鑑定用の所定のパターンの一部分であり、前記第2パターンは前記真偽鑑定用の所定のパターンの残りの部分であることを特徴とする請求項17に記載の印刷媒体。
【0028】
請求項21の発明は、請求項17に記載の印刷媒体において、前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキと赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分の全部が前記第1パターンとは重なっており、前記第1パターンは、前記真偽鑑定用の所定のパターンの一部分にさらに不要な部分を付加したものであり、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分は前記真偽鑑定用の所定のパターンの残りの部分であり、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分は前記不要な部分と同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、真物である、例えば有価証券などのシート状印刷物や商品パッケージなどの印刷媒体の表面又は印刷媒体の表面を覆う透光性フィルムの表面に、赤外光を吸収又は反射するインキを用いて真偽鑑定用の第2パターンが印刷されており、その赤外光を吸収又は反射するインキが不可視(可視光をほとんど吸収も反射もせず透過させるいわゆる無色透明)であるため、あるいは印刷媒体の表面の色と同色であるため、ユーザは目視ではほとんど第2パターンの存在に気付くことはなく、偽造される可能性を低減させることができる。また、第1パターンと第2パターンが異なるので、仮に第1パターンを印刷したインキが赤外光を吸収又は反射するものであっても、両者を区別することができる。
【0030】
また、真物又は偽物を問わず、印刷媒体の表面又は印刷媒体の表面を覆う透光性フィルムの表面に、可視光を遮蔽した状態で赤外光のみを照射し、その状態で撮像装置を用いて印刷媒体の表面を撮像するので、真物であれば、第2パターンによりその部分だけ赤外光が吸収又は反射され、画像データ上で第2パターンに相当する部分が他の部分と区別される。一方、偽物であれば、第2パターンが存在しないので、赤外光の反射又は吸収は撮像装置の視野の全域でほぼ均一となり、画像データ上で第2パターンに相当する部分は存在しない。従って、撮像装置から出力された画像データを用いてモニタ装置の画面上に印刷媒体の表面又は透光性フィルムの表面の画像を表示することにより、又は画像データとあらかじめ記憶されている第2パターンに関するデータを用いて画像処理(パターン・マッチングなど)を施すことにより、容易に真物か偽物かを判断することができる。
【0031】
さらに、第2パターンのみを特殊な赤外光を吸収する又は反射するインキで印刷しているだけであるので印刷コストを低減することができ、且つ第1パターンと第2パターンは異なるので、第1パターンに対する第2パターンの印刷位置精度はさほど高くなくてもよい。その結果、有価証券などに限られず、安価な商品パッケージなどにも、この真偽鑑定方法又は画像処理検査システムを応用することができる。
【0032】
また、印刷媒体の表面には、需用者の肉眼による目視では認識できない第2パターンが印刷されており、この第2パターンは赤外光を用いた専用の画像処理検査装置を用いなければ認識できないので、通常、その存在に気付かれにくくなる。その結果、印刷媒体の偽造が困難となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る真偽鑑定に適する画像処理検査システムの構成を示す図。
【図2】第1実施形態における印刷媒体の一例を示す図。
【図3】第1実施形態における画像処理検査装置の構成を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る真偽鑑定に適する画像処理検査システムの構成を示す図。
【図5】第2実施形態における印刷媒体の一例を示す図。
【図6】第2実施形態における撮像装置の構成を示す図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る印刷媒体に印刷される真偽鑑定用の所定のパターンを示す図。
【図8】第3実施形態における可視光を吸収又は反射するインキと赤外光を反射するインキを用いて真偽鑑定用の所定のパターンを印刷した例を示す図。
【図9】第3実施形態における可視光を吸収又は反射するインキと、赤外光を反射するインキ及び赤外光を吸収するインキの両方を用いて真偽鑑定用の所定のパターンを印刷した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る印刷媒体の真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システムについて説明する。図1は、有価証券、宝くじ、商品券などのシート状印刷媒体における真偽鑑定に適する画像処理検査システムを示す図である。このシステムにおいては、シート状印刷媒体2を専用の画像処理検査装置1に挿入し、印刷媒体2の表面をスキャンして、印刷媒体2の表面の画像を撮像し、その表面に印刷された所定のパターンを読み取って真偽鑑定を行う。
【0035】
図2に示すように、印刷媒体2の表面には、可視光を吸収又は反射するインキを用いて、商標21、企業名22、金額23、番号24、バーコード25などの所定の情報である第1パターンが印刷されている。これら第1パターンには、周知の真偽鑑定手段であるパール印刷やすかし26なども含まれる。さらに、印刷媒体2の表面には、不可視(いわゆる無色透明)の又はその表面の色と同色(用紙の地色、印刷色など)の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンとは異なる第2パターン27(図2では実線で描かれているが、肉眼では見えない)が印刷されている。第2パターン27の位置、大きさ、具体的内容は特に限定されず、1次元バーコードや2次元バーコードなどの識別コードであってもよいし、図形や記号などの識別マークであってもよい。また、第1パターンの上に重ねて印刷されていてもよい。
【0036】
画像処理検査装置1は、印刷媒体2がその内部に挿入されると、その表面に可視光を照射して、CCDなどの撮像素子により、印刷媒体2の表面を撮像し、第1パターン21・・・を読み込む。図3に示すように、画像処理検査装置1の筐体11は外光を遮蔽するように密閉構造を有しており、その内部にLEDアレイなどの(落射)照明装置12、レンズアレイ及びラインCCDなどの撮像装置13、印刷媒体2を筐体11の内部に引き込むためのローラ14、モニタ装置15及びCPU等で構成された真偽判断部16(詳細は後述する)などを有している。照明装置12は、可視光を照射するための可視光LEDと赤外線を照射するための赤外線LEDの2種類の光源を有しており、これら2種類のLEDが交互に一列に配列されていてもよいし、同じ種類のLED同士が2列に配列されていてもよい。
【0037】
印刷媒体2が筐体11の挿入口11aに挿入されると、ローラ14を所定方向に回転させ、印刷媒体2を筐体11の内部に引き込みつつ、照明装置12から印刷媒体2の表面に可視光を照射し、撮像装置13により印刷媒体2の表面をスキャンする。その結果、印刷媒体2の表面に印刷された第1パターン21・・・が読み取られる。次に、ローラ14が反対方向に回転され、印刷媒体2が一旦筐体11の外部に排出されると共に、再度ローラ14を所定方向に回転させ、印刷媒体2を筐体11の内部に引き込みつつ、照明装置12から印刷媒体2の表面に赤外光を照射し、撮像装置13により印刷媒体2の表面をスキャンする。その結果、印刷媒体2の表面に印刷された第2パターン27が読み取られる。なお、第2パターン27の大きさ及び印刷された位置により、必ずしも印刷媒体2の全体を筐体11の外部に排出させる必要はなく、第2パターンの読み取りに必要な距離だけ逆送させればよい。
【0038】
真偽判断部16は、公知のパターン・マッチングなどを実行するCPU、パターン・マッチングプログラムや第1パターン及び第2パターンに関する情報を記憶したROMなどの不揮発性メモリ、撮像装置13により撮像された画像データなどを一時的に記憶するRAMなどで構成されている。撮像装置13により撮像された第1パターン21・・・及び第2パターン27に関する2つの画像データは、それぞれ真偽判断部16に送られ、記憶される。なお、第1パターン21・・・は可視インキで印刷されており、取扱者が目視でその内容を確認できると共に、バーコードリーダなど従来の装置によってもその内容が確認できるため、第1パターン21・・・の取り扱いについては、その説明を省略する。
【0039】
第2パターンは、上記のように不可視インキ又は印刷媒体2の表面の色と同色で印刷されているため、取扱者が目視でその内容を確認することができず、この画像処理検査装置1によってのみ、その内容が確認できる。第2パターン27が赤外線を吸収するインキで印刷されている場合、印刷媒体2の表面に赤外光を照射すると、第2パターン27の部分だけ赤外光が吸収され、反射率が低下する。一方、第2パターン27が赤外線を反射するインキで印刷されている場合、印刷媒体2の表面に赤外光を照射すると、第2パターン27の部分だけ赤外光の反射率が高くなる。それらの状態で撮像装置13により印刷媒体2の表面の画像を撮像し、撮像により得られた画像データを所定の閾値を用いて2値化することにより、第2パターン27に相当する部分のデータを他の部分のデータと区別することができる。
【0040】
第2パターン27の内容が、所定の図形や機構など、取扱者の目視によっても容易に確認できる場合、撮像装置13により撮像された画像データはそのままモニタ装置15に出力され、印刷媒体2の表面の画像がモニタ装置15の画面上に表示される。そして、取扱者は、モニタ装置15の画面上に第2パターン27が表示されたとき印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することができる。一方、第2パターン27の内容が、バーコードなど、取扱者の目視によっても容易に確認できない場合、撮像装置13により撮像された画像データは真偽判断部16に入力され、所定の画像処理が施される。パターン・マッチングなどの画像処理の結果、画像データ中に第2パターン27に関するデータが存在することが確認されたときには、真偽判断部16は印刷媒体2を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断し、それぞれモニタ装置15の画面上に所定の警告を表示し及び/又は音声や警報ランプの点滅などによって、取扱者に警告する。
【0041】
なお、赤外光を吸収又は反射するインキとして、赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ白色インキ又はパールインキを用いることも可能である。その場合、第2パターン27を印刷媒体上の白色印刷又はパール印刷された部分26などの上に印刷することが可能である。白色インキの場合、印刷媒体2の用紙のうち第1パターン21・・・が印刷されていない部分、すなわち用紙の地色部分に第2パターン27を印刷することが可能である。また、前述のように、パール印刷による色彩可変印刷層は、元々真偽鑑定用の特定情報をパターン化して隠蔽するためのものであるから、通常、その上に真偽鑑定用の第2パターン27がさらに印刷されているとは考えにくい。そのため、パール印刷された部分に重ねて第2パターン27を印刷することにより、より効果的に印刷媒体2の真偽鑑定を行うことが可能である。
【0042】
ところで、印刷媒体2のパール印刷された部分26に可視光又は赤外光をほぼ垂直に照射する(落射照明と呼ぶ)場合、パールインキの特性により照射した光がランダムに反射され、撮像装置13によってパール印刷部分に施されたパターンをうまく撮像できない可能性がある。その場合は、印刷媒体2の表面に平行に又は垂直でない所定の角度(例えば平行に対して45度以下)に可視光又は赤外光を照射する(側射照明と呼ぶ)側射照明装置17をさらに設けることが好ましい。なお、白色を含む通常色のインキの場合は、落射照明によって撮像可能である。
【0043】
また、赤外光を反射するインキで第1パターン21・・・を印刷し、赤外光を吸収するインキで第2パターン27を印刷し、第2パターン27の一部又は全部が第1パターン21・・・と重なっていてもよい。あるいは、赤外光を吸収するインキで第1パターン21・・・を印刷し、赤外光を反射するインキで第2パターン27を印刷し、第2パターン27の一部又は全部が第1パターン21・・・と重なっていてもよい。これらの場合、第1パターン21・・・の上に重ねて第2パターン27の一部又は全部が印刷されるが、第1パターン21・・・に影響されることなく第2パターン27を読み取ることが可能になる。例えば、印刷媒体2の表面に隙間なく第1パターン21・・・が印刷されている場合など、第1パターン21・・・が印刷されていない場所に第2パターン27を印刷せざるを得ない場合などに有効である。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る印刷媒体の真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システムについて説明する。図4は、商品パッケージなどの立体的な印刷媒体における真偽鑑定に適する画像処理検査システムを示す図である。このシステムにおいては、立体的な印刷媒体3の表面に、画像処理検査装置1を構成するハンディタイプの撮像装置4を当接させ、印刷媒体3の表面の画像を撮像し、その表面に印刷された所定のパターンを読み取って真偽鑑定を行う。
【0045】
図5に示すように、印刷媒体3は、例えば紙箱などの立体的な印刷媒体であり、その表面には、可視光を吸収又は反射するインキを用いて、商標、企業名、金額など(図示せず)及びこれらを符号化したバーコードなどの所定の情報である第1パターン31が印刷されている。また、流通段階における作為を防止するために、印刷媒体3の表面は透光性(透明)フィルム32などで覆われている。さらに、印刷媒体3の表面に又は印刷媒体3の表面を覆う透光性フィルム32の表面(図5の例ではフィルム32の表面)には、不可視の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターン31とは異なる第2パターン33(図5では実線で描かれているが、肉眼では見えない)が印刷されている。第2パターン33の位置、大きさ、具体的内容は特に限定されず、1次元バーコードや2次元バーコードなどの識別コードであってもよいし、図形や記号などの識別マークであってもよい。また、第1パターンの上に重ねて印刷されていてもよい。
【0046】
なお、第2パターン33が印刷媒体3の表面に印刷されている場合は、上記第1実施形態の場合と同様、赤外光を吸収又は反射するインキは不可視又はその表面の色と同色出あればよい。一方、第2パターン33がフィルム32の上に印刷されている場合、需用者に第2パターン33がフィルム32上に印刷されていることを気付かせないために、赤外光を吸収又は反射するインキは不可視(いわゆる無色透明又はフィルム32の色と同色)である必要がある。
【0047】
商品パッケージなどの立体的な印刷媒体3の場合、印刷媒体3の大きさだけでなく、その中身の重量も、取り扱い上の制約となる。そのため、画像処理検査装置1のうち少なくとも撮像装置4は、取扱者が手持ち可能であることが好ましい。そのため、図4に示すように、撮像装置4は、モニタ装置15及び真偽判断部16を備えた本体部5とは別に設けられたハンディタイプに構成されている。
【0048】
図6に、ハンディタイプの撮像装置4の具体的な構成を示す。撮像装置4は、撮像レンズ41と、撮像レンズ41の像側焦点位置に設けられた2次元CCDなどの撮像素子42と、レンズ41の周囲に、例えば環状に配置された落射照明用の複数のLED43と、落射照明用のLED43と同心円状に配置された側射照明用の複数のLED44と、側射照明用のライトガイドとして機能すると共に、外乱光を遮蔽するための遮光筒45などで構成されている。LED43及びLED44は、それぞれ可視光を照射するための可視光LEDと赤外線を照射するための赤外線LEDの2種類の光源を有しており、これら2種類のLEDが、例えば交互に配列されている。遮光筒45は、例えばアクリルなどの透光性樹脂で形成され、少なくともその外周面48は、外乱光が入射しないように遮光性塗料により塗装されているか、あるいはその外周面にさらに遮光性材料で形成された外筒が嵌装されている。遮光筒45の先端部近傍には、複数の斜面により形成された反射面45aが形成されている。遮光筒45の内径及び外径は、遮光筒45の後端側端面が環状に配列されたLED44に対向するように設定されている。また、遮光筒45の長さは、遮光筒45の先端に装着された保護キャップ46が印刷媒体3又はその表面のフィルム32に当接した状態で、印刷媒体3の表面又はフィルム32の表面が撮像レンズ41の物体側焦点位置となるように設定されている。なお、本実施形態では、遮光筒45の先端部と保護キャップ46の間に、例えば白色樹脂などで形成された反射リング47を設け、反射面45aでの反射率を高くしている。
【0049】
落射照明系が選択された場合、LED43から出力された光は、直接又は一旦遮光筒45の内周面で反射された後、印刷媒体3の表面又はフィルム32の表面を照射する。一方、側射照明系が選択された場合、LED44から出力された光は、遮光筒45の内部を直進し、反射面45aにより反射されて、遮光筒45の内側に向けて所定の角度で出射される。このように、撮像装置4は落射照明系と側射照明系の切り替えが可能な照明装置を備えているので、印刷媒体3又はフィルム32の表面に印刷された第1パターン及び第2パターンのインキの種類や印刷状態に応じて、落射照明系と側射照明系のいずれか有利な方を選択することができる。この選択は、取扱者が、例えばモニタ装置15の画面上に表示された第1パターン又は第2パターンを見ながら、随時行うことができる。
【0050】
ところで、第2実施形態では、撮像装置4の視野は遮光筒45の先端の開口によって制限されるため、印刷媒体3の表面又は印刷媒体3の表面を覆うフィルム32の表面の内、遮光筒45の先端の開口に対向する範囲(図5中、符号34で示す範囲)しか撮像されない。また、操作者が遮光筒45の先端部を印刷媒体3の表面又はフィルム32の表面に当接させて真偽鑑定を行うため、位置ずれが大きい。すなわち、第2パターンを印刷しうる範囲は限られており、且つ第2パターンは目標となる特定の第1パターンの近傍に印刷されていなければならない。従って、図5に示すように、目標となりうるバーコードなどの第1パターン31の近傍に第2パターン33を印刷するか、あるいは、第2パターン33の一部又は全部が第1パターン31に重なるように印刷することが好ましい。なお、第2パターンの一部又は全部が第1パターンと重なる場合については、上記第1実施形態において述べたので、その説明を省略する。
【0051】
第2実施形態は、上記商品パッケージやその包装フィルム(外装)に第2パターンを印刷する場合に限定されず、錠剤やカプセル剤を個装するPTP(press through package)などの内装材の表面に印刷する場合にも応用することができる。例えば、医療機関の薬局などにおいて、処方箋に従って医薬品を提供する際、この画像処理検査システムを用いてその医薬品が真正品か模造品かを鑑定することができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る印刷媒体、すなわち上記真偽鑑定方法及びそれに適した画像処理検査システムに適し、偽造されにくい印刷媒体について説明する。第3実施形態では、印刷媒体の表面に印刷される真偽鑑定用の所定のパターンを、可視光を吸収又は反射するインキと、赤外光を反射するインキ及び赤外光を吸収するインキを用いて印刷する。需用者には、可視光を吸収又は反射するインキで印刷された部分しか見えないので、正しい真偽鑑定用の所定のパターンは、肉眼では認識されない。
【0053】
図7は、可視光を遮蔽した状態で赤外線のみを照射して撮像した真偽鑑定用の所定のパターン(格子模様)を示す。図8は、可視光を吸収又は反射するインキと赤外光を反射するインキを用いて真偽鑑定用の所定のパターンを印刷した例を示す。図8において、(a)は、可視光を吸収又は反射し、且つ赤外光を反射するインキで印刷された第1パターン(ハッチング)を示し、(b)は、赤外光を反射するインキで印刷された第2パターン(クロスハッチング)を示す。図8に示す例では、第1パターンとして真偽鑑定用の所定のパターンの一部分を印刷し、第2パターンとして真偽鑑定用の所定のパターンの残りの部分を印刷している。そして、この場合、第2パターンの全部が第1パターンとは重なっておらず、印刷媒体に可視光を遮蔽した状態で赤外線のみを照射して撮像することによってのみ、図8(c)に示すように、真偽鑑定用の所定のパターンを読み取ることができる。上記真偽判断部16は、撮像装置13によって撮像された画像データ中に第1パターンと第2パターンの両方に関するデータが存在することが確認されたときに印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断する。なお、可視光を吸収又は反射するインキで印刷された第1パターンしか目視できないので、仮に印刷媒体の偽造を行おうとしても、特殊な装置を用いなければ第2パターンの存在を知ることはできず、印刷媒体の偽造が困難となる。
【0054】
図9は、可視光を吸収又は反射するインキと、赤外光を反射するインキ及び赤外光を吸収するインキの両方を用いて真偽鑑定用の所定のパターンを印刷した例を示す。図9において、(a)は、可視光を吸収又は反射し、且つ赤外光を反射するインキで、真偽鑑定用の所定のパターンの一部分にさらに不要な部分を付加した第1パターン(ハッチング)を示し、(b)は、赤外光を反射する不可視のインクで印刷された真偽鑑定用の所定のパターンの残りの部分(クロスハッチング)と、赤外光を吸収する不可視のインキで印刷された前記不要な部分(黒塗り)からなる第2パターンを示す。第2パターンのうち、赤外光を反射するインクで印刷された部分は第1パターンとは重なっておらず、赤外光を吸収するインキで印刷された部分は第1パターンと重なっている。印刷媒体に可視光を遮蔽した状態で赤外線のみを照射して撮像すると、第1パターンと第2パターンのうち赤外光を反射するインクで印刷された部分からは赤外線が反射されるが、第2パターンのうち赤外光を吸収するインキで印刷された部分からは赤外線が反射されないので、撮像された画像データを用いてモニタ装置の画面上に印刷代替の表面の画像を表示すると、図9(c)に示すように、真偽鑑定用の所定のパターンと同じパターンが現れる。この場合、真偽鑑定用の所定のパターンは、図9(a)に示す第1パターン及び図9(b)に示す第2パターンのいずれとも異なる第3パターンとなる。すなわち、真偽判断部15は、撮像装置13によって得られた画像データ中に、第1パターン及び第2パターンのいずれとも異なる第3パターンに関するデータが存在することが確認されたときに印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断する。なお、この場合、第2パターンは赤外線を反射するインキと赤外線を吸収するインキの両方を用いて印刷されているので、さらに印刷媒体の偽造が困難となる。
【0055】
以上説明したように、本発明によれば、赤外光を吸収又は反射するインキであって、不可視の又は印刷媒体の表面の色と同色のインキを用いて、印刷媒体の表面に又は印刷媒体の表面を覆う透光性フィルムの表面に真偽鑑定用の第2パターンを印刷し、可視光を遮蔽した状態で赤外光のみを照射して、撮像装置により印刷媒体の表面に又はフィルムの表面に第2パターンが印刷されているかによって真贋鑑定を行うので、比較的高価な赤外光を吸収する又は反射するインキは、第2パターンを印刷するために用いるだけでよく、インキ使用量の低減などにより、印刷コストを低減することができる。また、第1パターンと第2パターンは異なるので、第1パターンに対する第2パターンの印刷位置精度はさほど高くなくてもよい。その結果、有価証券などに限られず、安価な商品パッケージなどにも、この真偽鑑定方法又は画像処理検査システムを応用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 画像処理検査装置
2 (シート状)印刷媒体
3 (立体的な)印刷媒体
4 撮像装置
5 画像処理検査装置の本体部
11 筐体
12 (落射)照明装置
13 撮像装置
14 ローラ
15 モニタ装置
16 真偽判断部
17 側射照明装置
21〜26 第1パターン
27 第2パターン
31 第1パターン
32 透光性フィルム
33 第2パターン
41 撮像レンズ
42 撮像素子
43 (落射照明用)LED
44 (側射照明用)LED
45 遮光筒
45a 反射面
46 保護キャップ
47 反射リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体の表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンを印刷し、前記印刷媒体の表面に又は前記印刷媒体の表面を覆う透光性フィルムの表面に不可視の又は前記印刷媒体の表面の色と同色の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンを印刷しておき、
前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面に、可視光を遮蔽した状態で赤外光のみを照射し、その状態で撮像装置を用いて前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面を撮像し、
前記撮像装置から出力された画像データを用いてモニタ装置の画面上に前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面の画像を表示し又は前記画像データとあらかじめ記憶されている前記第2パターンに関するデータを用いて画像処理を施し、
前記モニタ装置の画面上に前記第2パターンが表示されたとき又は前記画像処理により前記画像データ中に前記第2パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断する
ことを特徴とする印刷媒体の真偽鑑定方法。
【請求項2】
前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ白色インキ又はパールインキであり、前記第2パターンは印刷媒体上の白色印刷又はパール印刷された部分の上に印刷されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法。
【請求項3】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法。
【請求項4】
前記第1パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法。
【請求項5】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンも赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの全部が前記第1パターンとは重なっておらず、
前記モニタ装置の画面上に前記第1パターン及び前記第2パターンの両方が表示されたとき又は前記画像処理により前記画像データ中に前記第1パターンと前記第2パターンの両方に関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法。
【請求項6】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキと赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分の全部が前記第1パターンとは重なっており、
前記モニタ装置の画面上に前記第1パターン及び前記第2パターンのいずれとも異なる第3パターンが表示されたとき又は前記画像データ中に前記第1パターン及び前記第2パターンのいずれとも異なる所定の第3パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷媒体の真偽鑑定方法。
【請求項7】
印刷媒体の表面に印刷された所定のパターンを読み取って真偽鑑定を行う画像処理検査システムであって、
前記印刷媒体は、表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターン及び不可視の又はその表面の色と同色の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンが印刷され、又は表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンが印刷されると共に、不可視の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンが印刷された透明フィルムによって表面が覆われており、
前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面に、可視光を遮蔽した状態で赤外光のみを照射し、その状態で撮像素子を用いて前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面を撮像する撮像装置と、
前記撮像素子から出力された画像データを用いて、その画面上に前記印刷媒体の表面又は前記透光性フィルムの表面の画像を表示するモニタ装置、及び、前記画像データとあらかじめ記憶されている前記第2パターンに関するデータを用いて画像処理を施し、前記画像処理により前記画像データ中に前記第2パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断する真偽判断部の少なくとも一方を備えたことを特徴とする画像処理検査システム。
【請求項8】
前記撮像装置は、被撮像媒体の表面に略垂直に赤外光を照射可能な落射照明系と、被撮像媒体の表面に略平行に又は垂直でない所定の角度に赤外光を照射可能な側射照明系の切り替えが可能な照明装置を有することを特徴とする請求項7に記載の画像処理検査システム。
【請求項9】
前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ不可視インキであり、前記落射照明系を用いて赤外光を照射することを特徴とする請求項8に記載の画像処理検査システム。
【請求項10】
前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだ白色インキであり、前記落射照明系を用いて赤外光を照射することを特徴とする請求項8に記載の画像処理検査システム。
【請求項11】
前記赤外光を吸収又は反射するインキは赤外線吸収剤又は赤外線反射剤を含んだパールインキであり、前記側射照明系を用いて赤外光を照射することを特徴とする請求項8に記載の画像処理検査システム。
【請求項12】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システム。
【請求項13】
前記第1パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システム。
【請求項14】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンも赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの全部が前記第1パターンとは重なっておらず、
前記真偽判断部は、前記画像データ中に前記第1パターンと前記第2パターンの両方に関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システム。
【請求項15】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキと赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分の全部が前記第1パターンとは重なっており、
前記真偽判断部は、前記画像データ中に前記第1パターン及び前記第2パターンのいずれとも異なる所定の第3パターンに関するデータが存在することが確認されたときに前記印刷媒体を真物と判断し、そうでないときは偽物と判断することを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像処理検査システム。
【請求項16】
前記撮像装置は、前記モニタ装置又は前記真偽判断部とは別に設けられたハンディタイプの撮像装置であることを特徴とする請求項7乃至請求項15のいずれか一項に記載の画像処理検査システム。
【請求項17】
表面に真偽鑑定用の所定のパターンが印刷された印刷媒体であって、その表面に可視光を吸収又は反射するインキを用いて第1パターンを印刷し、且つ不可視の又は前記印刷媒体の表面の色と同色の赤外光を吸収又は反射するインキを用いて前記第1パターンとは異なる第2パターンを印刷したことを特徴とする印刷媒体。
【請求項18】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする請求項17に記載の印刷媒体。
【請求項19】
前記第1パターンは赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの一部又は全部が前記第1パターンと重なっていることを特徴とする請求項17に記載の印刷媒体。
【請求項20】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンも赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンの全部が前記第1パターンとは重なっておらず、
前記第1パターンは、前記真偽鑑定用の所定のパターンの一部分であり、前記第2パターンは前記真偽鑑定用の所定のパターンの残りの部分であることを特徴とする請求項17に記載の印刷媒体。
【請求項21】
前記第1パターンは赤外光を反射するインキで印刷され、前記第2パターンは赤外光を反射するインキと赤外光を吸収するインキで印刷され、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分全部が前記第1パターンとは重なっておらず、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分の全部が前記第1パターンとは重なっており、
前記第1パターンは、前記真偽鑑定用の所定のパターンの一部分にさらに不要な部分を付加したものであり、前記第2パターンの赤外光を反射するインキで印刷された部分は前記真偽鑑定用の所定のパターンの残りの部分であり、前記第2パターンの赤外光を吸収するインキで印刷された部分は前記不要な部分と同じであることを特徴とする請求項17に記載の印刷媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−191823(P2010−191823A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37095(P2009−37095)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】