印刷情報処理用の電子機器およびタンデム型カラー印刷機を制御するプログラム
【課題】 公知発明(特開2002−264401号公報)を改良して、バッファメモリの容量を更に低減させ得るようにする。
【解決手段】 複数の色を有する文字、図形、記号などから成る印刷データを、色ヘッダ部710とドット色データ720とに区分する。色ヘッダ部は複数(本例では4種類)の印刷色の色情報を有しているが、1印刷色ずつ複数回(本例では4回)の印刷を行なう度に、印刷済みの色情報を削除してゆく。このため、前段のバッファに比して後段のバッファは所要容量が小さくなる。バッファ容量削減は感光ドラムの距離に比例して大きくなることから、今後のドラム径の大型化による高速化に対応することが可能である。一方、本発明の適用によって各印刷制御部門間のデータ転送量が減少することからデータ転送時間に余裕ができ、今後の高精細化にも対応することが可能である。
【解決手段】 複数の色を有する文字、図形、記号などから成る印刷データを、色ヘッダ部710とドット色データ720とに区分する。色ヘッダ部は複数(本例では4種類)の印刷色の色情報を有しているが、1印刷色ずつ複数回(本例では4回)の印刷を行なう度に、印刷済みの色情報を削除してゆく。このため、前段のバッファに比して後段のバッファは所要容量が小さくなる。バッファ容量削減は感光ドラムの距離に比例して大きくなることから、今後のドラム径の大型化による高速化に対応することが可能である。一方、本発明の適用によって各印刷制御部門間のデータ転送量が減少することからデータ転送時間に余裕ができ、今後の高精細化にも対応することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページ単位のカラー印刷を行う印刷情報処理用の電子機器およびタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムに係り、特に複数の出力部を有する電子写真式のタンデム型カラー印刷装置に適用される電子機器およびおよびタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
色別に複数の出力部を有するタンデム型カラー印刷装置におけるカラー印刷を効率よく遂行する技術としては、下記特許文献2記載の印刷処理装置(以下、公知発明という)が提案されている。この公知発明における印刷処理装置の概要と問題点とについて説明する。
図9は印刷装置の機構図であって、公知発明の公報の図6に対応している。
カラー印刷は、光の3原色ではなく印刷色によって行われる。この公知例ではシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の4種類の印刷色で行われている。 これらの印刷色に対応して、トナー(C)901を備えた感光ドラム(C)905と、トナー(M)902を備えた感光ドラム(M)906と,トナー(Y)903を備えた感光ドラム(Y)907と、トナー(K)904を備えた感光ドラム(K)908と、が配置されている。符号909は印刷用紙である。
【0003】
説明の便宜上、図3に示した印刷イメージ例を想定する(このイメージは,公知発明の説明にも実施例の説明にも用いる)。
図3において符号Aを付して示した部分を拡大すると図4のとおりである。この有色図形は、色0、色1、色2、および色3の4色調で構成されている。これらの4種類の色調は印刷色の原色ではなく、次に詳しく述べるようにそれぞれ印刷色が16進表記で(00)h〜(FF)hの256階調で、混合されて成る。
図中、図4の下方に付記してあるように、
例えば色1は、シアン(C)(19)h、マゼンダ(M)(70)h、イエロー(Y)(02)h、ブラック(K)(20)hの割合で混合された色調である。
また例えば色2は、シアン(C)(19)h、マゼンダ(M)(83)h、イエロー(Y)(11)h、ブラック(K)(01)hの割合で混合された色調である。
そして色0は背景色であって、シアン(C)ゼロ、マゼンダ(M)ゼロ、イエロー(Y)ゼロ、ブラック(K)ゼロ、すなわち空白(印刷用紙の地色そのまま)である。
また、色3は、ほぼ黒に近い色を示すことになる。
【0004】
これら色彩の印刷における準備工程は、これを水彩画に譬えれば、パレットに絵具をとって種々に混ぜ合わせるようなものである。その次には、これらの調合された絵具で図形を描かねばならない。
そこで、図4に表されている図形を縦横8×8=64個のドット401に区分して、 これら64個のドットに座標番号を付すると図5のようになる。
図の最上段の並びはラスタ1(符号402)であり、2段目はラスタ2(符号403)であり、最下段の並びはラスタ8(符号404)である。
この図形の任意の1つのドットについて見ると、例えば符号503を付したのはドット座標42である。このように総べてのドットに座標番号が付され、これら64個のドットそれぞれをピクセル(画素)として、以下に述べるようにして、それぞれのドット(画素)に色調が割り当てられる。
【0005】
前記64個のドット座標それぞれに4種類の色調を振り当てると、64×4=256個の符号の並びが得られる。前記公知発明における「ドットと色調との組み合わせ」を例示すると図6のようになる(図4の有色図形を表したものである)。
図6の最上段は、ドット座標1を表している。すなわち、図4と図5とを対照して理解されるようにドット座標1は色0{シアン(C)ゼロ、マゼンダ(M)ゼロ、イエロー(Y)ゼロ、ブラック(K)ゼロ}であるから、図6の最上段(601座標ドット1のデータ行)は(00)h、(00)h、(00)h、(00)hになっている。
そして図6の2段目は座標ドット2を表し、色1{シアン(C)(19)h、マゼンダ(M)(70)h、イエロー(Y)(02)h、ブラック(K)(20)h}であるから、(19)h、(70)h、(02)h、(20)hになっている。
3,4,5,6,7,8,の各段も同様であって、この図6の1〜8段がラスタ1(符号402)を表している。
同様にして、ラスタ1からラスタ8までの8ラスタ・64段によって図4の有色図形が記号化されている。
【0006】
前記公知発明においては、図6のように記号化された情報が図9の印刷装置に供給される。この装置における情報処理をブロック図で示すと図10のようになる(この図は公知発明の特許文献2の図2に相当する。さらに詳しくは同公報を参照されたい)。
データ制御部204から印刷出力部(C)205に、印刷情報(図6)が供給される。 該印刷出力部(C)は、与えられた情報の中からシアン(C)成分を感光ドラム(C)(図9の符号905)に供給して印刷させるとともに、与えられた情報をバッファA206に送る。
バッファA206に蓄えられた情報は、印刷タイムラグを調整して印刷出力部(M)207に与えられ、マゼンダ(M)成分が印刷される。
このようにして情報(図6)が順次に送られ、最終段の印刷出力部(K)211でブラック(K)成分が印刷されてカラー印刷工程が終わる。
【特許文献1】特開平11−10960号公報
【特許文献2】特開2002−264401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の技術は、それよりも以前のカラー印刷技術に比して印刷処理が効率化され、装置に設けるべきメモリ容量が削減されるという優れた実用的効果が得られ、カラー印刷産業の発展に寄与するところ多大であった。
しかしながら本出願人が前記公知発明を特許出願した後、本発明者等は更に実用化研究を進めた結果,公知技術は、バッファーに必要とされる容量が冗長であるという不具合を発見した。
本発明の目的は,前記従来技術における不具合を除去することであり、バッファ容量を低減することができる印刷情報処理用の電子機器及びタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために創作した本発明の基本的な原理を、図10(公知発明)を援用して略述すると次の通りである。
例えばバッファAは、印刷出力部(M)に与えるべきマゼンダ(M)の色情報も、印刷出力部(Y)に与えるべきイエロー(Y)の色情報も、印刷出力部(K)に与えるべきブラック(K)の色情報も、一時的に記憶して処理しなければならない。しかし、これに比してバッファCに必要な一時記憶処理機能はブラック(K)だけである。このように、各印刷段のバッファ容量には削減の余地が有る。
しかしながら、前述のようにして色情報の記憶処理機能を部分的に削減しようとすると、色情報を図形情報と区分しなければならない。
もちろん、区分するといっても全く分離させるのではなく、色と図形とを関連させながら部分的な削除を可能ならしめるような形に区分しなければならない。
こうした改良は、新たな電子的機能を備えた印刷処理装置、本印刷処理装置を制御するパソコン、パソコン上のソフトウェアによって達成される。
本願発明は、上記のように広範な適用範囲を有する技術的創作である。
【0009】
上述の原理に基づく具体的な構成として請求項1の発明に係る電子機器は、
複数の色を有する文字,図形,記号などから成る印刷データを、印刷イメージデータに展開して細分化し、細分化された領域内を、定められた複数の色に近似せしめて固定長で圧縮する印刷情報処理用の電子機器において、
前記印刷データを、「印刷色の調合割合を表す色ヘッダ」と「多数のドットのそれぞれに色ヘッダを振り当てたドット色データ」とに区分して変換する手段を具備し、
かつ、上記のように変換された印刷データを入力されて、各印刷色ごとに順次に印刷する、バッファ機能を有するタンデム型カラー印刷機を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る電子機器の構成は、前記請求項1の発明の構成要件に加えて、
前記色ヘッダのそれぞれが、印刷色の種類ごとの配合割合を表すものであり、
かつ前記ドット色データは、文字,図形,記号などにおける位置を表す多数のピクセルそれぞれに、上記色ヘッダを振り当てたものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明に係る電子機器の構成は、前記請求項2の発明の構成要件に加えて、(図2参照) 前記タンデム型カラー印刷機が、
印刷色の全部を記憶する第1のバッフア(D)212と、
第1の印刷色を印刷する第1の印刷データ出力部(C)205と、
第1の印刷色を除いた印刷色を記憶する第2のバッフア(A)206と、
第2の印刷色を印刷する第2の印刷データ出力部(M)207と、
第1,第2の印刷色を除いた印刷色を記憶する第3のバッフア(B)208と、
第3の印刷色を印刷する第3の印刷データ出力部(Y)209と、
第Nの印刷色を記憶する最終段のバッフア210と、
第Nの印刷色を印刷する最終段の印刷データ出力部211とを具備し、
それぞれの段の印刷データ出力部が、それぞれの段の印刷部に対して印刷指示信号を出力するようになっていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明に係るプログラムの構成は、(図18参照)多段式のタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムであって、
a.前段のバッフアから1ラスタ分のデータを読み出す手順S1802と、
b.各ドットの色データから、色ヘッダ部の対応する色情報に変換する手順S1803と、
c.当該段の印刷部に対して1ラスタ分の印刷指示信号を出力する手順S1807と、
d.後段の印刷データ出力部へ送信する手順S1808とを具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によると、複数の色を有する文字,図形、記号等から成る印刷データを「印刷色の調合割合を表す色ヘッダ」と「多数のドットそれぞれに色ヘッダを振り当てたドット色データ」とに区分して変換する手段を具備しているので、与えられた印刷情報を色ヘッダとドット色データとに区分して、
この区分された印刷情報をバッファ機能を有するタンデム型カラー印刷機に供給して、各印刷色ごとに順次に印刷する際、使用済みの色情報を順次に消去してゆくことにより、バッファ容量を低減することができる。これにより、タンデム型カラー印刷機を小型軽量化するとともに製造コストを低減することができる。
バッファ容量低減は感光ドラムの距離に比例して大きくなることから、今後のドラム径の大型化による高速化に対応することが可能である。
一方、本発明の適用によって各印刷制御部門間のデータ転送量が減少することからデータ転送時間に余裕が出来、今後の高精細化にも対応することが可能であり,印刷装置の小型化による感光ドラム間の縮小にも対応可能となる。
【0014】
請求項2の発明を前記請求項1の発明に適用すると、印刷インキと色ヘッダとの関係を合理的に調整するとともに、該色ヘッダを図形情報と関連させることにより、正確なカラープリントを迅速に、かつ容易に作成することができる。
【0015】
請求項3の発明を請求項1に適用すると、複数のタンデム型カラー印刷機それぞれが、当該段の色情報を使用して印刷するとともに、使用済みの色情報を除いて次段のバッファに受け渡してゆくようになっているから、請求項1の発明を容易にかつ確実に実施して、その効果を充分に発揮させることができる。
【0016】
請求項4の発明に係るプログラムによると、各印刷段のバッファをして順次に色情報を伝送させることができるので、これをカラー印刷装置に組み込むこともでき、印刷用パソコンに与えることもでき、また電子記録体として提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
先に従来例(公知発明)の説明に用いた図4の印刷イメージを準用して本発明の実施形態を説明する。
公知発明においては図6に例示したように、色情報と図形情報とが混然一体となっていたが、本実施形態においては図7に示したように、色ヘッダ部710とドット色データ720とに区分されている。
(図4と図7とを併せて参照)色ヘッダ部710は、図形と直接的にかかわり無く、印刷色の調合割合を表している。すなわち、
図7の色0情報711は、図4の色0の調合割合を表している。
同様に色1情報712は、図4の色1の調合割合を表しており、
色2情報713は、図4の色2の調合割合を表しており、
色3情報714は、図4の色3の調合割合を表している、
【0018】
図7のドット色データ720は、8個のピクセル(ドット)から成るラスタ1から、8個のピクセルから成るラスタ8までの8×8=64個のピクセル(画素)について、ドット座標1からドット座標64までのそれぞれに対して、色調の種別(調合された印刷色のヘッダ)を、2ビットの識別符号で表している。例えば2進表示の“00”で色0情報(711)を、“01”で色1情報(712)を、“10”で色2情報(713)を、“11”で色3情報(714)を、それぞれ表す。
以降、色ヘッダ部、ドット色データの表記に関して、“01010…”は、2進表記を示す。
該図7のごとく構成された有色図形情報の1単位を模式的に示すと図1のようになる。 先頭に文書名100が置かれ、続いて色ヘッダ部101が配置され、ドット色データ102がこれに続く。
上記ドット色データ102を更に詳しく見ると、最初のラスタ1から最後のラスタnまで順番に並べられており、それぞれのラスタはドット座標1からドット座標mまで一連番号で続いている(本実施形態においては、先に述べたようにラスタの数n=8であり、ドット座標の数m=64である。これを要約して示すと図8のごとくである。
【0019】
本実施形態においては、4種類の印刷色{シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)}を用いた場合を説明するが、本発明を実施する場合、これに限定されるものではなく、色情報の種類,種類数,調合値など、印刷文書の属性により切り替えてもよい。
例えば印刷文書が白黒ドキュメントの場合は、色情報の種類数は白と黒との2色で足りる。このため,色0,色1の2色になり、ドット色データは“0”か“1”の1ビットになる。
図7のように構成された印刷情報をカラー印刷装置に供給した場合の情報処理・伝送系統を図2に示す。データ制御部204は、ページの先頭にある1ブロックのデータをメモリ203から読み出し、バッファD212を経て印刷データ出力部(印刷出力部と略称する)(C)205に転送する。
該印刷出力部(C)は、固定長圧縮データをシアン(C)の画像データに展開して印刷情報を印刷部(C)215に出力するとともに、印刷情報の中からシアン(C)の色情報を削除した圧縮データを次段のバッファA206に送って格納させる。この段階においてシアン(C)は既に印刷指令済みであって、下流に位置しているマゼンダ、イエロー、ブラックの各印刷段はシアンに関する情報を必要としないからである。
【0020】
同様に印刷出力部(M)はマゼンダ(M)に関する印刷情報を印刷部(M)216に与えるとともに、印刷情報の中から更にマゼンダ(M)に関する印刷情報を除いて次段のバッファB208に送る。この段階においてシアン(C)とマゼンダ(M)とは既に印刷指令済みであって、下流に位置しているイエロー、ブラックの各印刷段はシアンやブラックに関する情報を必要としないからである。
同様に、印刷出力部(Y)はイエロー(Y)に関する印刷情報を印刷部(Y)217に与えるとともに、印刷情報の中から更にイエロー(Y)に関する印刷情報を除いて次段のバッファC210に送る。この段階においてシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)は既に印刷指令済みであって、下流に位置しているブラックの印刷段はシアンやブラックやイエローに関する情報を必要としないからである。
【0021】
図2を参照して説明した各段の印刷出力部におけるデータ処理をフロー図で示すと図18のとおりである。
すなわち、前段のバッファから色ヘッダ部を読み出してバッファにセットし(フローS1801)、
前段のバッファから1ラスタ分のデータを読み出し(フローS1802)、
各ドットの色データから色ヘッダ部の対応色情報に変換し(フローS1803)、
印刷出力部が制御する色が含まれているか否かを確かめ(フローS1804)、
対応する階調の色情報をセットし、(フローS1805)、
1ラスタ分の全ドットを終了したことを確かめ(S1806)、
印刷指示を出力し(S1807)、
後段の印刷出力部へ送信して(フローS1808)、次のサイクルに進む。
上述のサイクルを印刷出力部の段数だけ繰り返す。その全工程をブロック図で示すと図17のごとくである。
【0022】
図10は公知発明を模式的に表しているが、この図に示されているように第1の印刷色(C)を印刷し終わる処までは本発明におけると類似である。しかし、
公知発明においてはバッファA205に4印刷色(C,M,Y,K)の色情報を記憶させたのに比して、本実施形態においては、「バッファAに第1の色情報(シアン(C))は不要である」と考える。
つまり、図7に示した全情報は不要で、この中から第1の色情報(シアン(C))を除いた図11の信号で足りる。
色0情報711が4色情報であるのに比して色0情報1111は3色情報である。
色1情報1112も、色2情報1113も、色3情報1114も、3色情報である。
【0023】
図12は、印刷用紙が第2の印刷出力部(M)を通って第3の印刷出力部(Y)に到達した時点を描いてある。
第2の印刷出力部(M)207において、バッファA206から送られた色情報により第2の色調(マゼンダ(M))の印刷を行ったので、それよりも後段の印刷出力部に対してマゼンダ(M)の色情報を与える必要が無い。そこで、バッファB208に対しては、図13のような信号を送って一時的に記憶させる。
この図13を前掲の図12に比較すると、マゼンダ(M)に関する情報が無い。
すなわち、図12の色0情報1111はマゼンダ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の3色情報を有しているが、図13の色0情報1311はイエロー(Y)とブラック(K)とだけであってマゼンダ(M)の要素が無くなっている。
図14における印刷出力部(Y)209に対してはマゼンダ(M)の色情報を与えなくても良く、該印刷出力部(Y)209は用紙に対してイエロー(Y)の図形(多数のドット)を印刷し、図15のような信号をバッファC210に送信する。
【0024】
図15の信号は図13に比較して、更にイエロー(Y)の色情報が削除されていて、その色ヘッダ部1510はブラック(K)の色情報だけで構成されている。
図16に示したようにして、バッファC210はブラック(K)のみから成る色情報を印刷出力部(K)211に与え、該印刷出力部(K)はブラック(K)だけの図形を印刷する。
以上のようにして、印刷用紙に4種類の色調(C,M,Y,K)が順次に印刷されて、これら4色調によって近似されたカラープリントが完成する。
【0025】
当初図7のように4色調の色情報を備えていた印刷情報が、多段のバッファ(A,B,C)を順次に通過するに伴って、次第に図11、図13、図15のように簡略化される。 従って(図2参照)、バッファDに比してバッファA、バッファB、バッファCは順次に所要記憶・処理容量が軽減される。(注・公知発明においては、バッファDと同容量のバッファが配列されていた)
このバッファ容量削減は感光ドラムの距離に比例して大きくなることから、今後のドラム径の大型化による高速化に対応することが可能である。一方、本発明の適用によって各印刷制御部門間のデータ転送量が減少することからデータ転送時間に余裕ができ、今後の高精細化にも対応することが可能であり、印刷装置の小型化による感光ドラム間の縮小にも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1実施形態におけるカラー印刷データを示す模式図
【図2】本発明の1実施形態における印刷装置のブロック図
【図3】カラー印刷の手順を説明するための印刷イメージ例を描いた模式図
【図4】前掲の図3に符号Aを付して示した部分の説明図
【図5】前掲の図4に示した図形のドット座標図
【図6】公知発明によって前掲の図4に示した図形を表現した印刷データ図
【図7】本発明を適用して前掲の図4に示した図形を表現した印刷データ図
【図8】本発明の1実施形態におけるバッファメモリレイアウトを描いた模式図
【図9】カラー印刷装置の機構図
【図10】カラー印刷装置によって第1の印刷色を印刷し終わった状態のブロック図
【図11】本発明の1実施形態において図7の印刷データから第1の色情報を削除した状態の印刷データ図
【図12】第1、第2の印刷色を印刷し終わった状態のブロック図
【図13】図11の印刷データから更に第2の色情報を削除した状態の印刷データ図
【図14】第1、第2、および第3の印刷色を印刷し終わった状態のブロック図
【図15】図13の印刷データから更に第3の色情報を削除した状態の印刷データ図
【図16】本発明の1実施形態において全部の色情報を印刷し終わった状態を描いたブロック図
【図17】本発明に係るカラー印刷装置の1実施形態を描いたブロック図
【図18】本発明の1実施形態におけるラスタ単位の動作を表すフロー図
【符号の説明】
【0027】
101…色ヘッダ部、102…ドット色データ、111…ラスタ1、112…ラスタ2、121…ドット座標1、122…ドット座標2、205…印刷出力部(C)、206…バッファA、207…印刷出力部(M)、208…バッファB 、209…印刷出力部(Y) 、 210…バッファC 、211…印刷出力部(K)、401…ドット、710…色ヘッダ部 、711…色0情報、712…色1情報、713…色2情報 、714…色3情報、720…ドット色データ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページ単位のカラー印刷を行う印刷情報処理用の電子機器およびタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムに係り、特に複数の出力部を有する電子写真式のタンデム型カラー印刷装置に適用される電子機器およびおよびタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
色別に複数の出力部を有するタンデム型カラー印刷装置におけるカラー印刷を効率よく遂行する技術としては、下記特許文献2記載の印刷処理装置(以下、公知発明という)が提案されている。この公知発明における印刷処理装置の概要と問題点とについて説明する。
図9は印刷装置の機構図であって、公知発明の公報の図6に対応している。
カラー印刷は、光の3原色ではなく印刷色によって行われる。この公知例ではシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の4種類の印刷色で行われている。 これらの印刷色に対応して、トナー(C)901を備えた感光ドラム(C)905と、トナー(M)902を備えた感光ドラム(M)906と,トナー(Y)903を備えた感光ドラム(Y)907と、トナー(K)904を備えた感光ドラム(K)908と、が配置されている。符号909は印刷用紙である。
【0003】
説明の便宜上、図3に示した印刷イメージ例を想定する(このイメージは,公知発明の説明にも実施例の説明にも用いる)。
図3において符号Aを付して示した部分を拡大すると図4のとおりである。この有色図形は、色0、色1、色2、および色3の4色調で構成されている。これらの4種類の色調は印刷色の原色ではなく、次に詳しく述べるようにそれぞれ印刷色が16進表記で(00)h〜(FF)hの256階調で、混合されて成る。
図中、図4の下方に付記してあるように、
例えば色1は、シアン(C)(19)h、マゼンダ(M)(70)h、イエロー(Y)(02)h、ブラック(K)(20)hの割合で混合された色調である。
また例えば色2は、シアン(C)(19)h、マゼンダ(M)(83)h、イエロー(Y)(11)h、ブラック(K)(01)hの割合で混合された色調である。
そして色0は背景色であって、シアン(C)ゼロ、マゼンダ(M)ゼロ、イエロー(Y)ゼロ、ブラック(K)ゼロ、すなわち空白(印刷用紙の地色そのまま)である。
また、色3は、ほぼ黒に近い色を示すことになる。
【0004】
これら色彩の印刷における準備工程は、これを水彩画に譬えれば、パレットに絵具をとって種々に混ぜ合わせるようなものである。その次には、これらの調合された絵具で図形を描かねばならない。
そこで、図4に表されている図形を縦横8×8=64個のドット401に区分して、 これら64個のドットに座標番号を付すると図5のようになる。
図の最上段の並びはラスタ1(符号402)であり、2段目はラスタ2(符号403)であり、最下段の並びはラスタ8(符号404)である。
この図形の任意の1つのドットについて見ると、例えば符号503を付したのはドット座標42である。このように総べてのドットに座標番号が付され、これら64個のドットそれぞれをピクセル(画素)として、以下に述べるようにして、それぞれのドット(画素)に色調が割り当てられる。
【0005】
前記64個のドット座標それぞれに4種類の色調を振り当てると、64×4=256個の符号の並びが得られる。前記公知発明における「ドットと色調との組み合わせ」を例示すると図6のようになる(図4の有色図形を表したものである)。
図6の最上段は、ドット座標1を表している。すなわち、図4と図5とを対照して理解されるようにドット座標1は色0{シアン(C)ゼロ、マゼンダ(M)ゼロ、イエロー(Y)ゼロ、ブラック(K)ゼロ}であるから、図6の最上段(601座標ドット1のデータ行)は(00)h、(00)h、(00)h、(00)hになっている。
そして図6の2段目は座標ドット2を表し、色1{シアン(C)(19)h、マゼンダ(M)(70)h、イエロー(Y)(02)h、ブラック(K)(20)h}であるから、(19)h、(70)h、(02)h、(20)hになっている。
3,4,5,6,7,8,の各段も同様であって、この図6の1〜8段がラスタ1(符号402)を表している。
同様にして、ラスタ1からラスタ8までの8ラスタ・64段によって図4の有色図形が記号化されている。
【0006】
前記公知発明においては、図6のように記号化された情報が図9の印刷装置に供給される。この装置における情報処理をブロック図で示すと図10のようになる(この図は公知発明の特許文献2の図2に相当する。さらに詳しくは同公報を参照されたい)。
データ制御部204から印刷出力部(C)205に、印刷情報(図6)が供給される。 該印刷出力部(C)は、与えられた情報の中からシアン(C)成分を感光ドラム(C)(図9の符号905)に供給して印刷させるとともに、与えられた情報をバッファA206に送る。
バッファA206に蓄えられた情報は、印刷タイムラグを調整して印刷出力部(M)207に与えられ、マゼンダ(M)成分が印刷される。
このようにして情報(図6)が順次に送られ、最終段の印刷出力部(K)211でブラック(K)成分が印刷されてカラー印刷工程が終わる。
【特許文献1】特開平11−10960号公報
【特許文献2】特開2002−264401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の技術は、それよりも以前のカラー印刷技術に比して印刷処理が効率化され、装置に設けるべきメモリ容量が削減されるという優れた実用的効果が得られ、カラー印刷産業の発展に寄与するところ多大であった。
しかしながら本出願人が前記公知発明を特許出願した後、本発明者等は更に実用化研究を進めた結果,公知技術は、バッファーに必要とされる容量が冗長であるという不具合を発見した。
本発明の目的は,前記従来技術における不具合を除去することであり、バッファ容量を低減することができる印刷情報処理用の電子機器及びタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために創作した本発明の基本的な原理を、図10(公知発明)を援用して略述すると次の通りである。
例えばバッファAは、印刷出力部(M)に与えるべきマゼンダ(M)の色情報も、印刷出力部(Y)に与えるべきイエロー(Y)の色情報も、印刷出力部(K)に与えるべきブラック(K)の色情報も、一時的に記憶して処理しなければならない。しかし、これに比してバッファCに必要な一時記憶処理機能はブラック(K)だけである。このように、各印刷段のバッファ容量には削減の余地が有る。
しかしながら、前述のようにして色情報の記憶処理機能を部分的に削減しようとすると、色情報を図形情報と区分しなければならない。
もちろん、区分するといっても全く分離させるのではなく、色と図形とを関連させながら部分的な削除を可能ならしめるような形に区分しなければならない。
こうした改良は、新たな電子的機能を備えた印刷処理装置、本印刷処理装置を制御するパソコン、パソコン上のソフトウェアによって達成される。
本願発明は、上記のように広範な適用範囲を有する技術的創作である。
【0009】
上述の原理に基づく具体的な構成として請求項1の発明に係る電子機器は、
複数の色を有する文字,図形,記号などから成る印刷データを、印刷イメージデータに展開して細分化し、細分化された領域内を、定められた複数の色に近似せしめて固定長で圧縮する印刷情報処理用の電子機器において、
前記印刷データを、「印刷色の調合割合を表す色ヘッダ」と「多数のドットのそれぞれに色ヘッダを振り当てたドット色データ」とに区分して変換する手段を具備し、
かつ、上記のように変換された印刷データを入力されて、各印刷色ごとに順次に印刷する、バッファ機能を有するタンデム型カラー印刷機を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る電子機器の構成は、前記請求項1の発明の構成要件に加えて、
前記色ヘッダのそれぞれが、印刷色の種類ごとの配合割合を表すものであり、
かつ前記ドット色データは、文字,図形,記号などにおける位置を表す多数のピクセルそれぞれに、上記色ヘッダを振り当てたものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明に係る電子機器の構成は、前記請求項2の発明の構成要件に加えて、(図2参照) 前記タンデム型カラー印刷機が、
印刷色の全部を記憶する第1のバッフア(D)212と、
第1の印刷色を印刷する第1の印刷データ出力部(C)205と、
第1の印刷色を除いた印刷色を記憶する第2のバッフア(A)206と、
第2の印刷色を印刷する第2の印刷データ出力部(M)207と、
第1,第2の印刷色を除いた印刷色を記憶する第3のバッフア(B)208と、
第3の印刷色を印刷する第3の印刷データ出力部(Y)209と、
第Nの印刷色を記憶する最終段のバッフア210と、
第Nの印刷色を印刷する最終段の印刷データ出力部211とを具備し、
それぞれの段の印刷データ出力部が、それぞれの段の印刷部に対して印刷指示信号を出力するようになっていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明に係るプログラムの構成は、(図18参照)多段式のタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムであって、
a.前段のバッフアから1ラスタ分のデータを読み出す手順S1802と、
b.各ドットの色データから、色ヘッダ部の対応する色情報に変換する手順S1803と、
c.当該段の印刷部に対して1ラスタ分の印刷指示信号を出力する手順S1807と、
d.後段の印刷データ出力部へ送信する手順S1808とを具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によると、複数の色を有する文字,図形、記号等から成る印刷データを「印刷色の調合割合を表す色ヘッダ」と「多数のドットそれぞれに色ヘッダを振り当てたドット色データ」とに区分して変換する手段を具備しているので、与えられた印刷情報を色ヘッダとドット色データとに区分して、
この区分された印刷情報をバッファ機能を有するタンデム型カラー印刷機に供給して、各印刷色ごとに順次に印刷する際、使用済みの色情報を順次に消去してゆくことにより、バッファ容量を低減することができる。これにより、タンデム型カラー印刷機を小型軽量化するとともに製造コストを低減することができる。
バッファ容量低減は感光ドラムの距離に比例して大きくなることから、今後のドラム径の大型化による高速化に対応することが可能である。
一方、本発明の適用によって各印刷制御部門間のデータ転送量が減少することからデータ転送時間に余裕が出来、今後の高精細化にも対応することが可能であり,印刷装置の小型化による感光ドラム間の縮小にも対応可能となる。
【0014】
請求項2の発明を前記請求項1の発明に適用すると、印刷インキと色ヘッダとの関係を合理的に調整するとともに、該色ヘッダを図形情報と関連させることにより、正確なカラープリントを迅速に、かつ容易に作成することができる。
【0015】
請求項3の発明を請求項1に適用すると、複数のタンデム型カラー印刷機それぞれが、当該段の色情報を使用して印刷するとともに、使用済みの色情報を除いて次段のバッファに受け渡してゆくようになっているから、請求項1の発明を容易にかつ確実に実施して、その効果を充分に発揮させることができる。
【0016】
請求項4の発明に係るプログラムによると、各印刷段のバッファをして順次に色情報を伝送させることができるので、これをカラー印刷装置に組み込むこともでき、印刷用パソコンに与えることもでき、また電子記録体として提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
先に従来例(公知発明)の説明に用いた図4の印刷イメージを準用して本発明の実施形態を説明する。
公知発明においては図6に例示したように、色情報と図形情報とが混然一体となっていたが、本実施形態においては図7に示したように、色ヘッダ部710とドット色データ720とに区分されている。
(図4と図7とを併せて参照)色ヘッダ部710は、図形と直接的にかかわり無く、印刷色の調合割合を表している。すなわち、
図7の色0情報711は、図4の色0の調合割合を表している。
同様に色1情報712は、図4の色1の調合割合を表しており、
色2情報713は、図4の色2の調合割合を表しており、
色3情報714は、図4の色3の調合割合を表している、
【0018】
図7のドット色データ720は、8個のピクセル(ドット)から成るラスタ1から、8個のピクセルから成るラスタ8までの8×8=64個のピクセル(画素)について、ドット座標1からドット座標64までのそれぞれに対して、色調の種別(調合された印刷色のヘッダ)を、2ビットの識別符号で表している。例えば2進表示の“00”で色0情報(711)を、“01”で色1情報(712)を、“10”で色2情報(713)を、“11”で色3情報(714)を、それぞれ表す。
以降、色ヘッダ部、ドット色データの表記に関して、“01010…”は、2進表記を示す。
該図7のごとく構成された有色図形情報の1単位を模式的に示すと図1のようになる。 先頭に文書名100が置かれ、続いて色ヘッダ部101が配置され、ドット色データ102がこれに続く。
上記ドット色データ102を更に詳しく見ると、最初のラスタ1から最後のラスタnまで順番に並べられており、それぞれのラスタはドット座標1からドット座標mまで一連番号で続いている(本実施形態においては、先に述べたようにラスタの数n=8であり、ドット座標の数m=64である。これを要約して示すと図8のごとくである。
【0019】
本実施形態においては、4種類の印刷色{シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)}を用いた場合を説明するが、本発明を実施する場合、これに限定されるものではなく、色情報の種類,種類数,調合値など、印刷文書の属性により切り替えてもよい。
例えば印刷文書が白黒ドキュメントの場合は、色情報の種類数は白と黒との2色で足りる。このため,色0,色1の2色になり、ドット色データは“0”か“1”の1ビットになる。
図7のように構成された印刷情報をカラー印刷装置に供給した場合の情報処理・伝送系統を図2に示す。データ制御部204は、ページの先頭にある1ブロックのデータをメモリ203から読み出し、バッファD212を経て印刷データ出力部(印刷出力部と略称する)(C)205に転送する。
該印刷出力部(C)は、固定長圧縮データをシアン(C)の画像データに展開して印刷情報を印刷部(C)215に出力するとともに、印刷情報の中からシアン(C)の色情報を削除した圧縮データを次段のバッファA206に送って格納させる。この段階においてシアン(C)は既に印刷指令済みであって、下流に位置しているマゼンダ、イエロー、ブラックの各印刷段はシアンに関する情報を必要としないからである。
【0020】
同様に印刷出力部(M)はマゼンダ(M)に関する印刷情報を印刷部(M)216に与えるとともに、印刷情報の中から更にマゼンダ(M)に関する印刷情報を除いて次段のバッファB208に送る。この段階においてシアン(C)とマゼンダ(M)とは既に印刷指令済みであって、下流に位置しているイエロー、ブラックの各印刷段はシアンやブラックに関する情報を必要としないからである。
同様に、印刷出力部(Y)はイエロー(Y)に関する印刷情報を印刷部(Y)217に与えるとともに、印刷情報の中から更にイエロー(Y)に関する印刷情報を除いて次段のバッファC210に送る。この段階においてシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)は既に印刷指令済みであって、下流に位置しているブラックの印刷段はシアンやブラックやイエローに関する情報を必要としないからである。
【0021】
図2を参照して説明した各段の印刷出力部におけるデータ処理をフロー図で示すと図18のとおりである。
すなわち、前段のバッファから色ヘッダ部を読み出してバッファにセットし(フローS1801)、
前段のバッファから1ラスタ分のデータを読み出し(フローS1802)、
各ドットの色データから色ヘッダ部の対応色情報に変換し(フローS1803)、
印刷出力部が制御する色が含まれているか否かを確かめ(フローS1804)、
対応する階調の色情報をセットし、(フローS1805)、
1ラスタ分の全ドットを終了したことを確かめ(S1806)、
印刷指示を出力し(S1807)、
後段の印刷出力部へ送信して(フローS1808)、次のサイクルに進む。
上述のサイクルを印刷出力部の段数だけ繰り返す。その全工程をブロック図で示すと図17のごとくである。
【0022】
図10は公知発明を模式的に表しているが、この図に示されているように第1の印刷色(C)を印刷し終わる処までは本発明におけると類似である。しかし、
公知発明においてはバッファA205に4印刷色(C,M,Y,K)の色情報を記憶させたのに比して、本実施形態においては、「バッファAに第1の色情報(シアン(C))は不要である」と考える。
つまり、図7に示した全情報は不要で、この中から第1の色情報(シアン(C))を除いた図11の信号で足りる。
色0情報711が4色情報であるのに比して色0情報1111は3色情報である。
色1情報1112も、色2情報1113も、色3情報1114も、3色情報である。
【0023】
図12は、印刷用紙が第2の印刷出力部(M)を通って第3の印刷出力部(Y)に到達した時点を描いてある。
第2の印刷出力部(M)207において、バッファA206から送られた色情報により第2の色調(マゼンダ(M))の印刷を行ったので、それよりも後段の印刷出力部に対してマゼンダ(M)の色情報を与える必要が無い。そこで、バッファB208に対しては、図13のような信号を送って一時的に記憶させる。
この図13を前掲の図12に比較すると、マゼンダ(M)に関する情報が無い。
すなわち、図12の色0情報1111はマゼンダ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の3色情報を有しているが、図13の色0情報1311はイエロー(Y)とブラック(K)とだけであってマゼンダ(M)の要素が無くなっている。
図14における印刷出力部(Y)209に対してはマゼンダ(M)の色情報を与えなくても良く、該印刷出力部(Y)209は用紙に対してイエロー(Y)の図形(多数のドット)を印刷し、図15のような信号をバッファC210に送信する。
【0024】
図15の信号は図13に比較して、更にイエロー(Y)の色情報が削除されていて、その色ヘッダ部1510はブラック(K)の色情報だけで構成されている。
図16に示したようにして、バッファC210はブラック(K)のみから成る色情報を印刷出力部(K)211に与え、該印刷出力部(K)はブラック(K)だけの図形を印刷する。
以上のようにして、印刷用紙に4種類の色調(C,M,Y,K)が順次に印刷されて、これら4色調によって近似されたカラープリントが完成する。
【0025】
当初図7のように4色調の色情報を備えていた印刷情報が、多段のバッファ(A,B,C)を順次に通過するに伴って、次第に図11、図13、図15のように簡略化される。 従って(図2参照)、バッファDに比してバッファA、バッファB、バッファCは順次に所要記憶・処理容量が軽減される。(注・公知発明においては、バッファDと同容量のバッファが配列されていた)
このバッファ容量削減は感光ドラムの距離に比例して大きくなることから、今後のドラム径の大型化による高速化に対応することが可能である。一方、本発明の適用によって各印刷制御部門間のデータ転送量が減少することからデータ転送時間に余裕ができ、今後の高精細化にも対応することが可能であり、印刷装置の小型化による感光ドラム間の縮小にも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1実施形態におけるカラー印刷データを示す模式図
【図2】本発明の1実施形態における印刷装置のブロック図
【図3】カラー印刷の手順を説明するための印刷イメージ例を描いた模式図
【図4】前掲の図3に符号Aを付して示した部分の説明図
【図5】前掲の図4に示した図形のドット座標図
【図6】公知発明によって前掲の図4に示した図形を表現した印刷データ図
【図7】本発明を適用して前掲の図4に示した図形を表現した印刷データ図
【図8】本発明の1実施形態におけるバッファメモリレイアウトを描いた模式図
【図9】カラー印刷装置の機構図
【図10】カラー印刷装置によって第1の印刷色を印刷し終わった状態のブロック図
【図11】本発明の1実施形態において図7の印刷データから第1の色情報を削除した状態の印刷データ図
【図12】第1、第2の印刷色を印刷し終わった状態のブロック図
【図13】図11の印刷データから更に第2の色情報を削除した状態の印刷データ図
【図14】第1、第2、および第3の印刷色を印刷し終わった状態のブロック図
【図15】図13の印刷データから更に第3の色情報を削除した状態の印刷データ図
【図16】本発明の1実施形態において全部の色情報を印刷し終わった状態を描いたブロック図
【図17】本発明に係るカラー印刷装置の1実施形態を描いたブロック図
【図18】本発明の1実施形態におけるラスタ単位の動作を表すフロー図
【符号の説明】
【0027】
101…色ヘッダ部、102…ドット色データ、111…ラスタ1、112…ラスタ2、121…ドット座標1、122…ドット座標2、205…印刷出力部(C)、206…バッファA、207…印刷出力部(M)、208…バッファB 、209…印刷出力部(Y) 、 210…バッファC 、211…印刷出力部(K)、401…ドット、710…色ヘッダ部 、711…色0情報、712…色1情報、713…色2情報 、714…色3情報、720…ドット色データ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色を有する文字,図形,記号などから成る印刷データを、印刷イメージデータに展開して細分化し、
細分化された領域内を、定められた複数の色に近似せしめて固定長で圧縮する印刷情報処理用の電子機器において、
前記印刷データを、「印刷色の調合割合を表す色ヘッダ」と「多数のドットのそれぞれに色ヘッダを振り当てたドット色データ」とに区分して変換する手段を具備し、
かつ、上記のように変換された印刷データを入力されて、各印刷色ごとに順次に印刷する、バッファ機能を有するタンデム型カラー印刷機を備えていることを特徴とする印刷情報処理用の電子機器。
【請求項2】
前記色ヘッダのそれぞれが、印刷色の種類ごとの配合割合を表すものであり、
かつ前記ドット色データは、文字,図形,記号などにおける位置を表す多数のピクセルそれぞれに、上記色ヘッダの識別符号を振り当てたものであることを特徴とする請求項1に記載した印刷情報処理用の電子機器。
【請求項3】
前記タンデム型カラー印刷機が、
印刷色の全部を記憶する第1のバッフア(D)と、
第1の印刷色を印刷する第1の印刷データ出力部(C)と、
第1の印刷色を除いた印刷色を記憶する第2のバッフア(A)と、
第2の印刷色を印刷する第2の印刷データ出力部(M)と、
第1,第2の印刷色を除いた印刷色を記憶する第3のバッフア(B)と、
第3の印刷色を印刷する第3の印刷データ出力部(Y)と、
第Nの印刷色を記憶する最終段のバッフアと、 第Nの印刷色を印刷する最終段の印刷データ出力部とを具備していて、
それぞれの段の印刷データ出力部が、それぞれの段の印刷部に対して印刷指示信号を出力するようになっていることを特徴とする請求項2に記載した印刷情報処理用の電子機器。
【請求項4】
印刷色の全部を記憶する第1のバッフア(D)と、
第1の印刷色を印刷する第1の印刷データ出力部(C)と、
第1の印刷色を除いた印刷色を記憶する第2のバッフア(A)と、
第2の印刷色を印刷する第2の印刷データ出力部(M)と、
第1,第2の印刷色を除いた印刷色を記憶する第3のバッフア(B)と、
第3の印刷色を印刷する第3の印刷データ出力部(Y)と、
第Nの印刷色を記憶する最終段のバッフアと、
第Nの印刷色を印刷する最終段の印刷データ出力部とを具備するタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムであって、
a.前段のバッフアから1ラスタ分のデータを読み出す手順と、
b.各ドットの色データから、色ヘッダ部の対応する色情報に変換する手順と、
c.当該段の印刷部に対して1ラスタ分の印刷指示信号を出力する手順と、
d.後段の印刷データ出力部へ送信する手順とを具備していることを特徴とする印刷情報処理用の電子機器制御プログラム。
【請求項1】
複数の色を有する文字,図形,記号などから成る印刷データを、印刷イメージデータに展開して細分化し、
細分化された領域内を、定められた複数の色に近似せしめて固定長で圧縮する印刷情報処理用の電子機器において、
前記印刷データを、「印刷色の調合割合を表す色ヘッダ」と「多数のドットのそれぞれに色ヘッダを振り当てたドット色データ」とに区分して変換する手段を具備し、
かつ、上記のように変換された印刷データを入力されて、各印刷色ごとに順次に印刷する、バッファ機能を有するタンデム型カラー印刷機を備えていることを特徴とする印刷情報処理用の電子機器。
【請求項2】
前記色ヘッダのそれぞれが、印刷色の種類ごとの配合割合を表すものであり、
かつ前記ドット色データは、文字,図形,記号などにおける位置を表す多数のピクセルそれぞれに、上記色ヘッダの識別符号を振り当てたものであることを特徴とする請求項1に記載した印刷情報処理用の電子機器。
【請求項3】
前記タンデム型カラー印刷機が、
印刷色の全部を記憶する第1のバッフア(D)と、
第1の印刷色を印刷する第1の印刷データ出力部(C)と、
第1の印刷色を除いた印刷色を記憶する第2のバッフア(A)と、
第2の印刷色を印刷する第2の印刷データ出力部(M)と、
第1,第2の印刷色を除いた印刷色を記憶する第3のバッフア(B)と、
第3の印刷色を印刷する第3の印刷データ出力部(Y)と、
第Nの印刷色を記憶する最終段のバッフアと、 第Nの印刷色を印刷する最終段の印刷データ出力部とを具備していて、
それぞれの段の印刷データ出力部が、それぞれの段の印刷部に対して印刷指示信号を出力するようになっていることを特徴とする請求項2に記載した印刷情報処理用の電子機器。
【請求項4】
印刷色の全部を記憶する第1のバッフア(D)と、
第1の印刷色を印刷する第1の印刷データ出力部(C)と、
第1の印刷色を除いた印刷色を記憶する第2のバッフア(A)と、
第2の印刷色を印刷する第2の印刷データ出力部(M)と、
第1,第2の印刷色を除いた印刷色を記憶する第3のバッフア(B)と、
第3の印刷色を印刷する第3の印刷データ出力部(Y)と、
第Nの印刷色を記憶する最終段のバッフアと、
第Nの印刷色を印刷する最終段の印刷データ出力部とを具備するタンデム型カラー印刷機を制御するプログラムであって、
a.前段のバッフアから1ラスタ分のデータを読み出す手順と、
b.各ドットの色データから、色ヘッダ部の対応する色情報に変換する手順と、
c.当該段の印刷部に対して1ラスタ分の印刷指示信号を出力する手順と、
d.後段の印刷データ出力部へ送信する手順とを具備していることを特徴とする印刷情報処理用の電子機器制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−21458(P2006−21458A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202627(P2004−202627)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000153454)株式会社日立インフォメーションテクノロジー (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000153454)株式会社日立インフォメーションテクノロジー (41)
【Fターム(参考)】
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