説明

印刷板

【課題】印刷部あるいは透視領域を被う保護シートの剥離性を満足させることができる印刷板を提供する。
【解決手段】無色透明な基板22の裏面側に設けられた網状の調光層28(印刷部)と、透視領域27と、基板22の縁部に設けられた網状の網点29(間欠印刷部)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷が施された印刷板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用の計器に用いられる表示板には、車両の速度を示す表示部などが印刷してある。この表示板は計器を構成する一部品であり、最終的には計器として組み付けられるが、印刷された箇所や透視領域があった場合、計器として組み付けられるまでの間に、特に印刷箇所や透視領域が傷付いたり、汚れたりすることを防ぐために、表示板を粘着剤付の保護シートで被っている。この保護シートは計器として組み付けられる直前に表示板から剥がされるが、粘着力が強すぎると剥がし難い。逆に粘着力が弱すぎると組み付け前に剥がれてしまうことがある。
【0003】
この様な点を改善するために、例えば下記特許文献1に記載されているように、粘着テープ(基材)(2)に塗布する粘着剤(1)をすじ状とし、このすじ状の粘着剤(1)の幅を変えたり、塗布量を変えることによって粘着テープ(2)の剥離力(あるいは粘着力)を適宜設定することが考えられる。
【特許文献1】特開平5−320590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粘着テープ(保護シート)の剥離力は表示板(被粘着面)の形状・大きさ(面積)などによって異なってくる。従って、個々の表示板に合った粘着テープを用意することが出来ればベストだが、粘着剤の形状や種類を変えることは作業が煩雑で粘着テープの種類も増え、コストアップの要因となってしまう。
【0005】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、印刷部あるいは透視領域を被う保護シートの剥離性を満足させることができる印刷板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するため、光透過性を有する基板に設けられた印刷部と、前記基板の縁部に設けられ凹凸を成す間欠印刷部と、透視領域とを有するものである。
【0007】
また、基板に設けられた印刷部と、前記基板の縁部に設けられ凹凸を成す間欠印刷部とを有するものである。
【0008】
また、光透過性を有する基板の表面側に設けられ表示部を形成するための透過性の表示層と、前記表示部および透視領域を除いて設けられ地部となる地色層と、前記基板の裏面側に設けられ裏面側から前記表示部を透過しようとする光の量を調整する印刷部と、前記基板の縁部に設けられ前記印刷部と同色で凹凸を成す間欠印刷部とを有するものである。
【0009】
また、前記間欠印刷部が網状からなるものである。
【発明の効果】
【0010】
印刷部あるいは透視領域を被う保護シートの剥離性を満足させることができる印刷板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の印刷板を適用した車両用の計器を実施形態として説明する。図1は計器の部分断面図である。図2は計器に用いられる印刷板の正面図であり、図3は印刷板の裏面図である。図4は印刷板の断面図(図2に於けるA−A断面)であり、図5は印刷板の裏面側を被う保護シートの断面図である。
【0012】
計器は、例えば速度計1を備えており、硬質な回路基板2と、この回路基板2の裏面側に回路基板2と導通状態で装着され、回路基板2を貫通して前方に延びる回動軸3を有する計器本体4と、回動軸3の先端側に固着され指示部5を有する指針6と、指示部5の後方に配置され指示部5の動作に対応する表示部7を設けた印刷板8と、印刷板8と回路基板2との間に配置され印刷板8を支持する支持部材9を備えている。
【0013】
また、回路基板2の裏面側を覆う合成樹脂製のカバー10と、印刷板8の周縁に沿った前方側に配置され印刷板8の可視領域を定める開口部11を有する例えば黒色の見返し部材12と、印刷板8や見返し部材12などの前方側を被う無色透明な透視板13と、回路基板2上に実装され指針6の指示部5を照明する光源としての指針用発光ダイオード14と、印刷板8の表示部7を照明する光源としての印刷板用発光ダイオード15を備えている。
【0014】
指針6は、無色透明な合成樹脂からなる指示部5の他に、指針軸16と、指示部5の基部周囲(指針軸16の上方)を覆う遮光部材としての黒色の指針キャップ17を備えている。指示部5の裏面には白色の箔(図示せず)がホットスタンプされており、周囲が明るい時は指示部5が白色で視認され、夜間など周囲が暗い時に、例えば赤色で発光する指針用発光ダイオード14を点灯させると、指示部5が赤色で光輝するようになっている。
【0015】
支持部材9は、遮光性のある白色の合成樹脂からなり、回動軸3の周囲に配置された指針用発光ダイオード14と印刷板用発光ダイオード15との間に立設した略円筒形の筒部18と、この筒部18の周囲に設けられ、印刷板用発光ダイオード15からの光を周囲に反射する第1の反射部19と、印刷板用発光ダイオード15周辺から筒部18を取り巻くように印刷板8の周囲側に向かって傾斜して形成された第2の反射部20と、印刷板8の周縁側に対応して形成された周壁21などを有している。印刷板8は筒部18と周壁21に支持されている。
【0016】
印刷板8は、光透過性である無色透明な基板22の表面側に、車両の速度などを現す目盛,数字などの表示部7を形成するための例えば白色で透過性の表示層23を印刷した後、表示部7箇所を除いて地部24となる例えば黒色(不透過性)の地色層25を印刷形成してある(図2に於いては、表示部7を黒色で、地部24を無色で示す)。また、表示部7(表示層23)および地部24(地色層25)を被って透明な保護層26が印刷してある。この保護層26は、外光による反射を抑えて印刷板8の視認性を低下させないために設けるものである。
【0017】
27は、保護層26は設けられているが表示層23および地色層25は設けられていない透視領域(本実施形態に於いては透明である)である。詳細は図示しないが、印刷板8の裏面側には例えば車両の走行距離などをデジタル的に表示する液晶表示器が配置してあり、透視領域27を透してデジタル表示部が視認できるようになっている。
【0018】
基板22の裏面には、図3に示す様に印刷部としての黒色の調光層28が不規則に設けてある。詳細は後述するが、調光層28は表示部7(表示層23)を透過する光の量を調整(制限)するものであり、例えば大小の丸形や角形の点(細かな印)を網状に印刷したものである(部分的にべた印刷する場合もある)。また、基板22裏面の下側(透視領域27の下方)には間欠印刷部としての網点29が設けてある。この網点29は調光層28と同様、黒色で丸形や角形の点(細かな印)を網状に印刷したものである。なお、網点29は基板22の縁部であればいずれの箇所に設けても良い。また、基板22の一部分であって良いし、ほぼ全周の縁部(周縁)に設けても良い。
【0019】
この様に構成された計器の印刷板8は、周囲が明るい時は黒色の地部24上に白色の表示部7が視認される。また、夜間など周囲が暗い時、例えば赤色で発光する印刷板用発光ダイオード15を点灯させると、印刷板用発光ダイオード15からの光は直接に、あるいは第1の反射部19に反射した後、第2の反射部20で反射してそれぞれ印刷板8の裏面側を照射する。この光によって表示部7が赤色で透過照明される。
【0020】
この際、黒色の調光層28が設けられた表示層23(表示部7)を透過しようとする光は調光層28によって制限されるため、透過輝度が下がる。すなわち、調光層28は印刷板8に設けられた表示部7の透過輝度をほぼ均一にして視認性を良好にするものである。従って、印刷板用発光ダイオード15の位置にもよるが、黒点の大きさや密度は箇所によって異なるし、調光層28が設けられていない表示部7箇所もある。
【0021】
次に、保護シートSについて説明する。保護シートSは、例えばポリエチレン樹脂からなる透明フィルムS1の一面に粘着剤S2が塗布されたものであり、印刷後の印刷板8面を被うものである。具体的には、粘着剤S2が塗布された面が印刷板8側となるようにして保護シートSを被った後、プレス抜きして所望する印刷板8形状(本実施形態に於いては、図2に示す様に丸形)とするものである。そして、印刷板8を計器として組み付ける直前に保護シートSを剥がすものである。なお、印刷板8の表面側も保護シートで被うようにしているが、その説明は省略する。
【0022】
前述した様に、基板22の縁部に網点29が設けてあるため、この箇所は印刷(網点29)の有無によって細かな凹凸が形成されている。従って、保護シートSと印刷板8の網点29箇所との間には隙間が部分的にでき、印刷が全く無い箇所、あるいはべた印刷されている箇所に比べて保護シートSの粘着力が弱まり、保護シートSを剥がし易くなる。
【0023】
また、網点29を設けた箇所以外の縁部は粘着力が強いため、印刷板8を組み付ける前に保護シートSが剥がれてしまうということもない。また、網点29を設けた箇所の保護シートS部分は、印刷板8に粘着される部分と粘着されない部分とが交互となるため、この箇所が特に剥がれ易いということもなく、剥離性も程良い。この様に、保護シートの粘着剤を種々変えることなく、印刷板8の印刷部(調光層28)および透視領域27を被う保護シートSの剥離性を満足させることができる印刷板8を得ることができる。
【0024】
また、調光層28(印刷部)と網点29(間欠印刷部)とが同色であるため、網点29を調光層28と同一工程で設けることができ、印刷工数を増やす必要もない。
【0025】
なお、本実施形態に於いては間欠印刷部として網状の網点29としたが、これに限定されるものではなく、例えば線状の間欠印刷部であっても良い。要するに、間欠印刷部とは一定領域に細かな点や線などを多数印刷し、印刷後の縁部に細かな凹凸(例えば印刷部と非印刷部とで凹凸を成す)が混在して形成されるようになっていれば良い。また、透視領域27が無い印刷板であっても良い。
【0026】
また、間欠印刷部の色調も任意である。例えば、本実施形態に於いては赤色で発光する印刷板用発光ダイオード15を用いることによって表示部7が赤色で透過照明されるようにしたが、基板22の裏面側に少なくとも表示部7に対応させて赤色の透過性着色層を印刷し、白色で発光する印刷板用発光ダイオードで表示部7が赤色で透過照明されるようにしても良く、その場合、この赤色の透過性着色層で縁部に間欠印刷部(例えば網点)を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の印刷板を適用した計器の部分断面図。
【図2】同印刷板の正面図。
【図3】同印刷板の裏面図。
【図4】同印刷板の断面図(図2に於けるA−A断面)。
【図5】同印刷板の裏面を被う保護シートの断面図。
【符号の説明】
【0028】
7 表示部
8 印刷板
22 基板
23 表示層
24 地部
25 地色層
27 透視領域
28 調光層(印刷部)
29 網点(間欠印刷部)
S 保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基板に設けられた印刷部と、前記基板の縁部に設けられ凹凸を成す間欠印刷部と、透視領域とを有することを特徴とする印刷板。
【請求項2】
基板に設けられた印刷部と、前記基板の縁部に設けられ凹凸を成す間欠印刷部とを有することを特徴とする印刷板。
【請求項3】
光透過性を有する基板の表面側に設けられ表示部を形成するための透過性の表示層と、前記表示部および透視領域を除いて設けられ地部となる地色層と、前記基板の裏面側に設けられ裏面側から前記表示部を透過しようとする光の量を調整する印刷部と、前記基板の縁部に設けられ前記印刷部と同色で凹凸を成す間欠印刷部とを有することを特徴とする印刷板。
【請求項4】
前記間欠印刷部が網状からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−85010(P2006−85010A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271870(P2004−271870)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】