説明

印刷模擬システム及び印刷模擬方法並びに印刷管理システム

【課題】 印刷模擬システム及び印刷模擬方法並びに印刷管理システムに関し、異なる印刷条件で絵柄を印刷した結果をモニタに対比して模擬表示して色調を評価するシステムにおいて、絵柄の特定部分どうしの比較をより容易に行なえるようにする。
【解決手段】印刷する絵柄データから得られる絵柄を印刷条件データから得られる印刷条件で印刷した結果をモニタ画面に模擬表示する表示制御装置をそなえ、表示制御装置による模擬表示モードとして、印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、一つの絵柄を複数の領域に分割して、各分割領域に各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードを設けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実際に印刷を行なうことなく印刷開始前に印刷条件を事前設定するために用いて好適のシステム及び方法であって、印刷結果を印刷条件に応じてシミュレーションして画像表示する、印刷模擬システム及び印刷模擬方法並びに印刷管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
新聞輪転機等のオフセット印刷を始めとして、刷版を作成し印刷胴を用いて刷版に応じて印刷用インキを印刷用紙等の印刷対象に転写して印刷を行なう印刷技術では、印刷対象に転写供給するインキの量を調整することで、印刷物の色調(色合い)を変化させることができ、通常は、印刷オペレータが実際に印刷した印刷物(つまり、印刷結果)を視認しながら、印刷色調が要求(色見本)に合うようにインキ供給量を手動調整する。
【0003】
この場合、インキ供給量が適切になるまでの印刷物は適正品とはならず、例えば損紙と称される不適正な印刷物として廃棄せざるを得ない。もちろん、通常は、実際の印刷(本刷り)の前の印刷機の調整段階で、本刷り時よりも低速で印刷機を運転しながら得られる印刷結果に基づいてインキ供給量を調整しておくことにより、不適正な印刷物の部数を抑制することはできるが、紙やインキといった印刷紙材の無駄や印刷完了までの印刷時間の増加を招くことに変わりはない。
【0004】
一方、近年、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)の普及に伴って、インクジェットプリンタや電子写真印刷機の一種であるレーザプリンタといった、いわゆるプリンタと称されている、刷版を用いない印刷機が普及している。このようなプリンタは、一般にパソコンに接続されて使用され、パソコンのモニタディスプレイ(以下、モニタという)の表示した画像をプリンタで印刷する場合が多い。プリンタにより印刷する色の状態を補正する場合にも、パソコンのモニタ表示を参照して補正することができる。
【0005】
しかし、モニタ上の色再現はレッド,グリーン,ブルー(以下、R,G,Bと略記する)の3原色光の加法混色であり、それらの3原色の純度は高く色再現が良いのに対して、プリンタによる色再現はシアン,マゼンタ,イエロー(以下、C,M,Yと略記する)の3原色インクの減法混色であり、モニタに比べて色再現範囲は狭い。このため、プリンタにより再現された色がモニタ上に再現された色とは異なる場合が多く、パソコンのモニタ表示を参照して色再現状態を補正しても、プリンタにより印刷された色はこの補正に対応したものではないことが多い。このため、パソコンのモニタ表示を参照しただけではプリンタにより印刷する色の状態を適切に補正することはできない。
【0006】
これに対して、特許文献1には、表示装置(モニタ)に表示した原画像データに対して画像出力装置(プリンタ)が再現できる色範囲内の色を割り当てる処理を行ない、表示用色補正マッピングテーブルを使い、画像出力装置が出力するであろう仮の出力画像を作成し、これを表示装置に表示して、仮の出力画像と原画像を見比べることにより、どのように出力(印刷)されるかを事前に知ることができるようにした技術が記載されている(段落0008)。これにより、画像出力装置の色特性変化に対応して精確な色補正を行なうことができ、また、プリントする前に、プリント画像を表示装置に表示することにより、原画との色合わせを簡単に行なうことができる(段落0067)。
【0007】
また、特許文献2には、同じ画像データに基づいて、モニタによって出力した表示画像とプリンタによって出力したプリント画像との色差に基づく補正値を取得して、モニタで再現される色を、プリンタによるプリントで再現される色に近づけるべく、補正値を用いて、アプリケーションより受け取った原画像データを変換し、変換された原画像データに基づいてモニタによる画像表示を行なう技術が記載されている(要約,請求項1,段落0014,0056〜0061)。この場合、モニタには、原画像データによる画像と、色調変換処理部で変換された画像データに基づく補正画像とが表示される(要約、段落0061)。
【0008】
これにより、色空間の異なる2つの画像出力装置(つまり、カラーディスプレイとプリンタ)の一方の装置において、他方の装置で再現される色に合わせた画像形成を行なうことが可能となり(段落0075)、さらに、モニタ上の発光色とカラー印刷物上の表示色とを光学センサを用いて測色して、均等色空間で色差を求めることによってモニタ上に描画させた画像の色再現を、プリンタのそれに合わせるべく画像処理を施し、色調整することで、両者をカラーマッチングさせることができるようになる(段落0076)。
【0009】
なお、特許文献2の場合には、モニタに、原画像データによる画像と補正画像とを並べて表示することにより、両画像を対比できるようにしている(図12参照)。
色空間の異なる2つの画像を対比する場合とは限らないが、このように2つの画像をモニタに対比して表示する場合、特許文献2のように、対比すべき2つの画像をそれぞれ独立させ左右に或いは上限に対等に並べて表示することが最も一般的である(特許文献3の図3、特許文献4の図2,図4、特許文献5の図14参照)。
【特許文献1】特開平7−87345号公報
【特許文献2】特開平11−4353号公報
【特許文献3】特開2000−298467号公報
【特許文献4】特開2005−91430号公報
【特許文献5】特許第3890211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1,2の技術によれば、プリンタにより印刷する画像を、印刷前にモニタに精度よく表示することで、印刷画像を事前に補正することができるが、かかる技術は、刷版を用いた印刷機にも適用可能と考えられる。
しかしながら、刷版を用いた印刷機の場合、より高精度な印刷色調が要求されることもあり、従来の技術による印刷画のモニタ表示形態では、印刷画像を事前に補正する際に、高精度に色調を補正することが難しい場合がある。
【0011】
つまり、特許文献2〜5に記載のように、対比すべき2つの画像をそれぞれ独立させ左右に或いは上下に対等に並べて表示すると、画像の絵柄全体について対比するには都合がよいが、画像の絵柄の特定部分について局部的に色調を比較するには必ずしも都合の良い表示ではない。
印刷物の色調を制御する場合、印刷物の絵柄の特定部分について色調を目標状態(例えば、色見本)に合わせたい場合が多く、対比すべき2つの画像をそれぞれ独立させて並べて表示したのでは、互いの絵柄の特定部分どうしが離隔する上に、特定部分の周囲には他の絵柄部分が存在するため、目視による対比では色調の微妙な相違を検出し難い。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、異なる印刷条件で絵柄を印刷した結果をモニタに対比して模擬表示して印刷を行なうことなく色調を評価できるようにするものにおいて、絵柄の特定部分どうしの比較をより容易に行なうことができるようにして、より高精度に印刷色調を調整することができるようにした、印刷模擬システム及び印刷模擬方法並びに印刷管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の印刷模擬システム(請求項1)は、モニタ装置と、印刷する絵柄データと印刷条件データとに基づいて、前記絵柄データの絵柄を前記印刷条件データの印刷条件で印刷した結果を前記モニタ装置のモニタ画面に模擬表示する表示制御装置とをそなえた、印刷模擬システムであって、前記表示制御装置による模擬表示モードとして、前記印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、前記の一つの絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記各印刷条件とに基づいて、前記各分割領域に前記各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられていることを特徴としている。
【0014】
前記印刷条件は、印刷に使用する印刷機の発色特性を含み、前記印刷条件が複数ある場合の模擬表示モードとして、前記の印刷に使用する印刷機が複数ある場合の表示モードであって、前記絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記各印刷機の発色特性データとインキ供給量状態とに基づいて、前記各分割領域に前記各印刷機で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが含まれていることが好ましい(請求項2)。
【0015】
或いは、前記印刷条件は、印刷時のインキ供給量状態を含み、前記印刷条件が複数ある場合の模擬表示モードとして、前記印刷時のインキ供給量状態が複数ある場合の表示モードであって、前記絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記印刷機の発色特性データと前記各インキ供給量状態とに基づいて、前記各分割領域に前記各インキ供給量状態で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが含まれていることが好ましい(請求項3)。
【0016】
また、前記絵柄を複数の領域に分割し前記モニタ画面に表示する際に、前記複数の領域が前記モニタ画面の横方向に並ぶようにする縦分割と、前記複数の領域が前記モニタ画面の縦方向に並ぶようにする横分割とを、選択可能に構成されている(請求項4)。
この場合、前記絵柄を複数の領域に分割し前記モニタ画面に表示する際に、前記の縦分割及び横分割の個所を、前記モニタ画面の任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定可能に構成されていることが好ましい(請求項5)。
【0017】
また、前記表示制御装置による模擬表示モードとして、前記印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、前記モニタ画面を複数に分割すると共に、前記絵柄の内から表示部分を選定して、前記分割した各画面領域に、前記選定した表示部分について前記各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられていることが好ましい(請求項6)。
【0018】
この場合、前記表示制御装置による前記絵柄の内からの前記表示部分を選定するための表示部分選定情報を入力する選定情報入力部を備え、前記選定情報入力部を通じた選定モードとして、分割した前記各画面領域に対してそれぞれ同一の前記表示部分を選定する選定モードと、分割した前記各画面領域に対してそれぞれ固有の前記表示部分を選定する選定モードとが設けられていることが好ましい(請求項7)。
【0019】
また、前記画面を複数の領域に分割する際に、前記複数の領域が前記モニタ画面の横方向に並ぶようにする縦分割と、前記複数の領域が前記モニタ画面の縦方向に並ぶようにする横分割とを、選択可能に構成されていることが好ましい(請求項8)。
この場合、前記画面を複数の領域に分割する際に、前記の縦分割及び横分割の個所を、前記モニタ画面の任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定可能に構成されていることが好ましい(請求項9)。
【0020】
さらに、前記表示制御装置による前記モニタ画面への表示モードとして、前記印刷条件の一つであるインキ供給量状態を調整するためのインキ供給量調整スイッチを前記モニタ画面に表示すると共に、前記インキ供給量調整スイッチを用いて前記インキ供給量状態の変更操作に応じて、前記モニタ画面に模擬表示する印刷結果を、前記の変更したインキ供給量状態に応じたものに変更しうるインキ供給量調整モードを有していることが好ましい(請求項10)。
【0021】
本発明の印刷管理システム(請求項11)は、請求項1〜10の何れか1項に記載の印刷模擬システムを組み込んだ印刷管理システムであって、前記表示制御装置の表示モードとして、前記モニタ画面に、前記絵柄データを含んだ製版データと該製版データに基づく印刷を行なう印刷機に関するデータとを対応させた製版リストを表示する製版リスト表示モードを備え、前記製版リストには、前記製版データに対応した前記絵柄データがサムネイル画像で添付表示され、前記サムネイル画像を指定操作することによって、前記表示制御装置の表示モードが前記模擬表示モードに切り替えられるように構成されていることを特徴としている。
【0022】
本発明の印刷模擬方法(請求項12)は、印刷する絵柄データと印刷条件データとに基づいて、前記絵柄データの絵柄を前記印刷条件データの印刷条件で印刷した結果をモニタ画面に模擬表示する、印刷模擬方法であって、前記模擬表示を行なう模擬表示モードとして、前記印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、前記の一つの絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記各印刷条件とに基づいて、前記各分割領域に前記各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の印刷模擬システム(請求項1)又は印刷模擬方法(請求項12)によれば、印刷する絵柄データと印刷条件データとに基づいて、この絵柄データの絵柄をこの印刷条件データの印刷条件で印刷した結果をモニタ画面に模擬表示する際に、印刷条件が複数ある場合の表示モードとして、一つの絵柄を複数の領域に分割し、各分割領域に各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示することにより、分割された領域間では、異なる印刷条件で印刷した結果が互いに離隔することなく連続的に表示されることになり、異なる印刷条件での色の状態をより容易に比較することができるようになり、より高精度に印刷色調を調整することができるようになる。
【0024】
本発明の印刷模擬システム(請求項2)によれば、分割された領域間では、異なる印刷機の各発色特性で印刷した結果が互いに離隔することなく連続的に表示されることになり、異なる印刷機での色の状態をより容易に比較することができるようになり、より高精度に印刷色調を調整することができるようになる。
本発明の印刷模擬システム(請求項3)によれば、分割された領域間では、異なるインキ供給量状態で印刷した結果が互いに離隔することなく連続的に表示されることになり、インキ供給量を変更した際の色の状態をより容易に比較することができるようになり、より高精度に印刷色調を調整することができるようになる。
【0025】
本発明の印刷模擬システム(請求項4)によれば、絵柄を複数の領域に分割する際に、複数の領域がモニタ画面の横方向に並ぶようにする縦分割と、複数の領域がモニタ画面の縦方向に並ぶようにする横分割とを、適宜選択することにより、上記の異なる印刷条件での色の状態の比較をより適切に行なうことが可能になる。
本発明の印刷模擬システム(請求項5)によれば、縦分割及び横分割の個所を、モニタ画面の任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定できるので、上記の異なる印刷条件での色の状態の比較を最適な箇所で行なうことが可能になり、色の比較をより適切に行なうことが可能になる。
【0026】
本発明の印刷模擬システム(請求項6)によれば、印刷条件が複数ある場合の表示モードとして、モニタ画面を複数に分割し、分割した各画面領域に、絵柄の内から選定した表示部分について各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられているので、さまざまな表示形態で、異なる印刷条件での色の状態を比較することができる。
【0027】
本発明の印刷模擬システム(請求項7)によれば、分割した各画面領域に対してそれぞれ同一の表示部分を選定して表示すれば、絵柄の表示部分全体を比較しながら、異なる印刷条件での色の状態を比較することができる。また、分割した各画面領域に対してそれぞれ固有の表示部分を選定して表示すれば、より様々な態様で、異なる印刷条件での色の状態を比較することができる。
【0028】
本発明の印刷模擬システム(請求項8)によれば、画面を複数の領域に分割する際に、複数の領域がモニタ画面の横方向に並ぶようにする縦分割と、複数の領域がモニタ画面の縦方向に並ぶようにする横分割とを、適宜選択することにより、上記の異なる印刷条件での色の状態の比較をより適切に行なうことが可能になる。
本発明の印刷模擬システム(請求項9)によれば、画面を複数の領域に縦分割或いは横分割する際の分割個所を、モニタ画面の任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定できるので、上記の異なる印刷条件での色の状態の比較を最適な箇所で行なうことが可能になり、色の比較をより適切に行なうことが可能になる。
【0029】
本発明の印刷模擬システム(請求項10)によれば、インキ供給量調整モードを用いて、インキ供給量調整スイッチをモニタ画面に表示し、このインキ供給量調整スイッチを用いてインキ供給量状態を変更操作すれば、これに応じて、モニタ画面に模擬表示する印刷結果が、変更したインキ供給量状態に応じたものに変更されるので、模擬表示画面を参照しながら最適なインキ供給量を探し出すことが可能になる。
【0030】
本発明の印刷管理システム(請求項11)によれば、表示モードを、絵柄データを含んだ製版データとこの製版データに基づく印刷を行なう印刷機に関するデータとを対応させた製版リストを表示する製版リスト表示モードとして、製版リストに製版データに対応して添付表示された絵柄データのサムネイル画像を指定操作することによって、表示モードを模擬表示モードに切り替えられることができ、製版処理をはじめとした印刷管理を行ないながら、発色状態の確認やインキ供給量の事前調整等を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図14は本発明の一実施形態に係る印刷模擬システム及び印刷管理システムを示すもので、これらの図に基づいて説明する。
【0032】
[装置構成]
本実施形態では、印刷模擬システムは印刷管理システムに組み込まれて構成されている。印刷管理システムの主なハード構成としては、図2に示すように、各種の演算を行なうCPU1と、RAM2,ROM3と、入出力インタフェイス(I/F)4と、ハードディスクドライブ(HDD)5と、表示制御装置(表示制御部)6と、キーボード7と、マウス8と、これらを接続するバス9とを備え、さらに、表示制御装置2に接続されてモニタ画面10Aを備えたモニタ装置10を備えている。なお、CPU1,RAM2,ROM3,入出力インタフェイス4,ハードディスクドライブ5,表示制御装置6は、コンピュータ本体11として備えられている。
【0033】
次に、印刷模擬システム及び印刷管理システムの機能構成を説明すると、図1に示すように、印刷管理システムは、コンピュータ本体11の機能要素を中心に構成され、表示制御装置6の機能要素として備えられた製版リスト画像制御部6A及び印刷模擬画像制御部6Bと、入力された各種指令情報に基づいて、印刷機12に指令情報を出力する指令情報出力部13とをそなえている。
【0034】
製版リスト画像制御部6A及び印刷模擬画像制御部6Bでは、入出力インタフェイス4を介して入力された、印刷の絵柄データを含む製版データと印刷条件データと、製版リスト画像及び印刷模擬画像を参照して入力された各種指令情報に基づいて、製版リスト画像及び印刷模擬画像を変更又は生成する。
なお、ここでは、印刷を模擬する対象となる印刷機が新聞輪転機である場合を例に説明する。したがって、印刷する絵柄については、紙面とも称することにする。
【0035】
また、本発明の印刷条件とは、使用する印刷機の情報、印刷に使用する資材情報(例えば、印刷用紙の種類や使用するインキの種類)、インキの供給量情報等を示すが、本実施例では、インキ供給量情報と、その他の印刷条件とを分けて、その他の印刷条件について単に「印刷条件」と称する。
【0036】
[表示制御]
モニタ装置10のモニタ画面10Aに画像を表示するモードとして、製版リスト画像制御部6Aにより生成した製版リスト画像を表示する製版リスト表示モードと、印刷模擬画像制御部6Bにより生成した印刷模擬画像を表示する模擬表示モードと、をそなえており、本実施形態の場合、模擬表示モードの選択は、製版リスト表示モードにより表示される製版リスト画像から選択操作できるようになっているが、まず、印刷模擬の表示に関して説明する。
【0037】
(印刷模擬画像)
印刷模擬画像とは、指定された印刷絵柄を、指定された印刷機によって、指定された印刷条件で印刷を行なった場合の発色状態を、実際の印刷によらずに、モニタ画面10A上に模擬表示(シミュレーション表示)する画像である。
【0038】
指定された印刷機によって指定された印刷を行なった場合の発色状態を模擬表示するためには、指定された印刷絵柄の情報と、印刷条件としての指定された印刷機の発色特性情報と、印刷条件としての資材情報(例えば、印刷用紙の種類や使用するインキの種類)及びインキの供給量等とが必要になる。
印刷絵柄の情報は、製版データから得ることができ、新聞輪転機の場合、この製版データ(版情報)は、紙面付日,折機情報(使用印刷ユニット情報を含む),版情報,頁情報等とリンクされて入力される。
【0039】
また、印刷機の発色特性情報は、例えば、インキ供給量(インキ濃度)と発色値との関係であり、印刷特性プロファイルと称される。この印刷特性プロファイルは、絵柄データ(例えば、c,m,y,k製版データ等)と発色値(L*,a*,b*等の色座標値,R(λ)分光反射率,或いはRGBI反射濃度)との関係を記述したデータベースであり、各印刷機の印刷部(印刷ユニット)に固有のものであり、以下のようにして予め求めておいたものを取得すればよい。
【0040】
つまり、対象の印刷部に、走行する印刷用紙(ウェブ)の印刷部分の絵柄の発色状態である各色の発色値の実際値(実発色値)を検出する色調計測センサ(発色状態検出部、発色値検出手段)を設け、特性を検出するための網点面積率等が既知の特性検出用絵柄を所定のインキ厚で印刷すれば、各インキ供給量とこれに対応した発色値との関係を求めることができ、印刷機の発色特性情報を得ることができる。
【0041】
なお、発色値とは、発色状態を示す値であり、I,R,G,Bの各濃度値やL*,a*,b*(Labとも記載する)等の色座標値や分光スペクトル値R(λ)を用いることができ、例えば、I,R,G,Bの各濃度を発色値とすればIRGB濃度計を色調計測センサとして用いることができ、Lab等の色座標値を発色値とすれば色座標センサを色調計測センサとして用いることができ、分光スペクトル値R(λ)を発色値とすれば分光スペクトル計測器を色調計測センサとして用いることができ、色調計測センサには、発色状態を計測できるものであれば種々のものを適用できる。
【0042】
このように、印刷対象の絵柄と、印刷に用いる印刷機(印刷部)の発色特性とがわかれば、印刷対象の絵柄を印刷に用いる特定の印刷機で印刷した場合の発色を、モニタ画面10A上に模擬表示することが可能になる。また、詳細は後述するが、選択した絵柄の模擬表示は、選択した印刷機(印刷部)と、指定するインキ供給状態に応じて行ない、しかも、複数の印刷条件[複数の印刷機(印刷部)や異なるインキ供給状態]で、対比表示できるようになっている。
【0043】
なお、特定の印刷機の発色特性に応じてモニタ画面10A上に絵柄を模擬表示しても、モニタ10自身の発色特性によって、モニタ画面10A上の画像は実際の印刷物とは異なるものになるが、これを解消或いは軽減するには例えば、予め、モニタ画面10Aの発色特性を例えば前記特許文献1,2等に記載された公知の手法を用いて取得して、この発色特性を考慮して模擬表示データを補正すればよい。ただし、この模擬印刷表示の場合、モニタ画面10A上だけで発色を評価する手法を用いることを前提としているので、こうしたモニタ画面10Aの発色特性を考慮した模擬表示データの補正は必須ではない。
【0044】
ここで、モニタ画面10A上に模擬表示する場合の更に詳細な表示モードを説明する。
モニタ画面10A上には、印刷を模擬した結果が表示されるが、この印刷を模擬した表示としては、選択された絵柄を単一の印刷条件で表示する単一表示モードと、選択された絵柄を複数の印刷条件で並列に表示する比較表示モードと、をそなえている。
この印刷模擬表示画面には、図3に示すように、模擬表示する印刷絵柄の画像20の上部にメニューバー30が表示されるようになっており、メニューバー30には、「表示」,「比較」,「表示モード」,「画像選択」,「Dry/Wet」,「濃度変更」,及び「印刷条件」の各メニューボタンが表示される。
【0045】
図4(a)に示す「表示」のボタンは、単一表示モードを選択する場合に用いる。図4(b)に示す「比較」のボタンは比較表示モードを選択する場合に用いる。図4(c)に示す「表示モード」のボタンは、比較表示モードを選択した場合に、比較表示の更なる表示種類を選択するために用いる。図4(d)に示す「画像選択」のボタンは、「表示モード」で更なる表示種類を選択した後に、表示すべき画像を選択するために用いる。図4(e)に示す「Dry/Wet」のボタンは、印刷後のドライダウンを考慮し、インキ転写直後のインキ乾燥前の状態Wetを模擬表示するかインキ乾燥後の状態Dryを模擬表示するかを選択するために用いる。図4(f)に示す「濃度変更」のボタンは、模擬表示画像のインキ濃度(インキ供給量)を変更するために用いる。図4(g)に示す「印刷条件」のボタンは、印刷条件を指定するために用いる。
【0046】
このうち、単一表示モードを選択するには、図4(b)に示すように、予め「比較」のボタンを指定し詳細メニューを出して通常モードを指定した上で、図4(a)に示すように、「表示」のボタンを指定する。これにより、詳細メニューとして、紙面の上部のみを表示する指定を行なう△マークと、紙面の下部のみを表示する指定を行なう▽マークと、紙面の全部を表示する指定を行なう全紙面マークと、表示する画面をA画面にするかB画面にするか選択するためのAマーク,Bマーク(スプリット)とがプルダウン表示される。本実施形態の場合、印刷機は新聞輪転機であり、版胴は倍胴となっており、2種類の絵柄が印刷でき、通常はAマークを指定し2種類とも同じ絵柄とするが、2種類の異なる絵柄で印刷する(スプリットの)場合はBマークを指定する。
【0047】
そして、Aマーク又はBマークを指定した上で、△マーク,▽マーク,全紙面マークの何れかを指定する。ここで、△マークを指定すると、図5(a)に符号21aを付して示すように、紙面の上部のみが表示され、▽マークを指定すると、図5(b)に符号21bを付して示すように、紙面の下部のみが表示され、全紙面マークを指定すると、図5(c)に符号21cを付して示すように、紙面の全部が表示される。これにより、単一表示モードにおいて、絵柄の全てを表示する全表示と、絵柄の一部を選択して表示する部分表示とを選定することができる。
【0048】
さらに、比較表示モードを選択するには、図4(b)に示すように、予め「比較」のボタンを指定し詳細メニューをプルダウン表示する。詳細メニューには、上記の通常モードを指定する「通常」のメニューボタンのほかに、「縦比較2」,「縦比較3」,「縦比較4」及び「横比較2」,「横比較3」,「横比較4」の各メニューボタンが表示される。
「縦比較2」,「縦比較3」,「縦比較4」は、それぞれモニタ画面の画像が横方向に並ぶように、縦線で縦分割して比較可能に表示する表示モードであり、「縦比較2」は2つに縦分割することを、「縦比較3」は3つに縦分割することを、「縦比較4」は4つに縦分割することを、それぞれ指定する。
【0049】
一方、「横比較2」,「横比較3」,「横比較4」は、それぞれモニタ画面10Aの画像が縦方向に並ぶように、横線で横分割して比較可能に表示する表示モードであり、「横比較2」は2つに横分割することを、「横比較3」は3つに横分割することを、「横比較4」は4つに横分割することを、それぞれ指定する。
ただし、これらの比較表示については、「表示モード」の選択によって、異なる態様で表示がなされるようになっている。
【0050】
つまり、図4(c)に示すように、「表示モード」のボタンを指定し詳細メニューをプルダウン表示する。詳細メニューには、「全画面」,「同一場所」,「フリー」の各メニューボタンが表示される。
「全画面」のメニューボタンは、モニタ画面10Aの画面全体に1つの絵柄(紙面)を表示するモードを選択するためのものである。したがって、上記の「比較」メニューの中の「縦比較2」,「縦比較3」,「縦比較4」,「横比較2」,「横比較3」,「横比較4」の何れかに分割表示設定された条件下で、この「全画面」を選択すると、1つの絵柄(紙面)が縦線又は横線により所定数(ここでは、2,3,4の何れか)の領域に分割され、それぞれの部分に指定された印刷条件やインキ供給量で印刷した場合を表示することができる。
【0051】
換言すれば、この「全画面」を選択すれば、絵柄(紙面)自体を複数の領域に分割しモニタ画面10Aに表示することができ、このときの分割の態様として、所定数(ここでは、2,3,4の何れかの数)に分割された複数の領域が、モニタ画面10Aの横方向に並ぶようにする縦分割と、モニタ画面10Aの縦方向に並ぶようにする横分割とを、選択しうることになる。
【0052】
したがって、「全画面」を選択した上で、「縦比較2」を選択すれば、図6(a)に符号22aを付して示すように1つの絵柄(紙面)が縦方向の分割線28aで2つに分割して表示され、「縦比較3」を選択すれば、図6(b)に符号22bを付して示すように1つの絵柄(紙面)が縦方向の分割線28aで3つに分割して表示され、「縦比較4」を選択すれば、図6(c)に符号22cを付して示すように、又は、図8(a)に符号24aを付して示すように、1つの絵柄(紙面)が縦方向の分割線28a又は縦線29aで4つに分割して表示される。
【0053】
また、「全画面」を選択した上で、「横比較2」を選択すれば、図7(a)に符号22aを付して示すように1つの絵柄(紙面)が横方向の分割線28bで2つに分割して表示され、「横比較3」を選択すれば、図7(b)に符号22bを付して示すように1つの絵柄(紙面)が横方向の分割線28bで3つに分割して表示され、「横比較4」を選択すれば、図7(c)に符号22cを付して示すように、又は、図9(a)に符号25aを付して示すように,1つの絵柄(紙面)が横方向の分割線28b又は横線29bで4つに分割して表示される。
【0054】
なお、分割線28a,28bは境界を示すために図示したもので、実際には線として画像表示されない仮想の線である。
「同一場所」のメニューボタンは、上記の「比較」メニューの中の「縦比較2」,「縦比較3」,「縦比較4」,「横比較2」,「横比較3」,「横比較4」の何れかに分割表示設定されたモニタ画面10Aの画面の各部分に、絵柄(紙面)の特定箇所を指定して、指定された同一の箇所をそれぞれ表示するモードを選択するためのものである。したがって、この「同一場所」を選択すると、絵柄(紙面)の特定箇所、つまり同一の絵柄部分を、縦線29a又は横線29bにより所定数(ここでは、2,3,4の何れかの数)に分割された各画面領域に、対比して表示することができる。図8(b)は「同一場所」及び「縦比較4」を選択した場合の画面を示し、図9(b)は「同一場所」及び「横比較4」を選択した場合の画面を示す。
【0055】
「フリー」のメニューボタンは、上記の「比較」メニューの中の「縦比較2」,「縦比較3」,「縦比較4」,「横比較2」,「横比較3」,「横比較4」の何れかに縦線29a又は横線29bにより分割表示設定されたモニタ画面10Aの各画面部分にそれぞれ個別に、絵柄(紙面)の特定箇所を指定して表示するモードを選択するためのものである。したがって、この「フリー」を選択すると、縦線29a又は横線29bにより所定数(ここでは、2,3,4の何れかの数)に分割された各領域に、それぞれ柄(紙面)のうちの好みの箇所を個別に選択して表示することができる。図8(c)は「フリー」及び「縦比較4」を選択した場合の画面を示し、図9(c)は「フリー」及び「横比較4」を選択した場合の画面を示す。
なお、この場合の縦線29aや横線29bも境界を示すために図示したもので、実際には線として画像表示されない仮想の線である。
【0056】
上記の「同一場所」又は「フリー」を選択した場合の絵柄(紙面)の表示箇所の選択には、「画像選択」のメニューボタンを選択し、詳細メニューをプルダウン表示する。例えば、図4(d)は、「縦比較4」又は「横比較4」を選択した場合の4つの分割画面の領域名称として「第1画面」〜「第4画面」を表示し、これらの何れかを指定したら、さらに、選択可能データがプルダウン表示される。
【0057】
「第1画面」〜「第4画面」の領域名称は、上記の縦分割により横並びに分割された場合、例えば左(又は右)から順に与え、上記の横分割により縦並びに分割された場合、例えば上(又は下)から順に与えることができる。
なお、ここでは、絵柄(紙面)の特定箇所を選択する際に、各分割領域の何れかを選択できるもので、例えは、図6(a),図7(a)に示すように、2分割された場合には、2分割された何れかの分割領域を選択でき、図6(b),図7(b)に示すように、3分割された場合には、3分割された何れかの分割領域を選択でき、図6(c),図7(c)に示すように、4分割された場合には、4分割された何れかの分割領域を選択できる。
【0058】
この場合、絵柄の内から表示部分を選定するには、ポインタを選択領域に位置させて指定操作すればよく、ポインタを移動させ指定操作するマウス等が表示部分選定情報を入力する選定情報入力部に相当することになる。
このように、本実施形態では、絵柄(紙面)の特定箇所を選択する際に、完全に自由に選択できるようにはなっていないが、例えば、モニタ画面10Aに絵柄(紙面)を全表示して、縦方向又は横方向の任意の位置で切り取るように特定箇所の選択をできるようにしても良い。この場合、ポインタを選択領域の開始位置と終了位置とに位置させて指定操作するか、選択領域の中央を指定操作すれば、特定箇所の選択をできる構成とすることができ、ポインタを移動させ指定操作するマウス等が表示部分選定情報を入力する選定情報入力部に相当することになる。
【0059】
選択可能データのメニューには、「第1画面」〜「第4画面」の領域に選択表示できるデータの種類が表示される。ここでは、「原画」,「設定」,「記録1」,「記録2」,「記録3」,及び特定の印刷機の発色特性プロファイルで処理した画像である「特定印刷機(特定印刷工場の基準印刷機)の名称」が表示される。なお、「原画」とは何ら加工しないオリジナル画像を指し、「設定」とは後述の色補正を施した画像を指し、「記録1」〜「記録3」とはそれまでに記録された、所要の処理を施した画像を指し、「特定印刷機名称」はその特定印刷機の発色特性による画像を指す。
【0060】
これにより、図8,図9に示すように、「第1画面」〜「第4画面」のそれぞれに、選択したモード(「全画面」,「同一場所」,「フリー」の何れか、及び、「縦比較2」,「縦比較3」,「縦比較4」,「横比較2」,「横比較3」,「横比較4」の何れか)に応じて設定された各分割表示部分に、指定された「原画」,「設定」,「記録1」,「記録2」,「記録3」,及び「特定印刷機名称」の何れかに応じた印刷模擬画像がモニタ画面10Aに表示される。
【0061】
なお、「原画」は何ら加工しないオリジナル画像を表示するボタンであり、「設定」は後述の色補正を施した画像を表示するボタンであり、「記録1」〜「記録3」はそれまでに記録された、所要の処理を施した画像を表示するボタンであり、「特定印刷機名称」はその印刷機で印刷した画像を表示するボタンである。
「Dry/Wet」は、印刷機で印刷した際にインキ転写直後のウェット状態(Wet)の画像を表示するか、印刷機で印刷した際にインキ転写後にインキが完全に乾いたドライ状態(Dry)の画像を表示するかを選択するスイッチである。ここでは、印刷直後のウェット状態の印刷面の画像をセンサで検知して、印刷の制御(特に、色調制御)を実施することを考慮しているため、印刷が完成したドライ状態の画像に加えて、センサで検知した印刷画像をそのまま想定してウェット状態画像として表示できるようにしている。図4(e)に示すように、「Dry/Wet」のボタンを選択すると「Dry」及び「Wet」のメニューがプルダウン表示され、いずれかを選択することができる。
【0062】
「濃度変更」は、モニタ画面10Aに選択表示できるデータの種類を指定した上で濃度変更操作を行なうためのものである。「濃度変更」のボタンを選択すると選択可能データのメニュー(「原画」,「設定」,「記録1」,「記録2」,「記録3」等)がプルダウン表示される。「濃度変更」のモードにおいて、モニタ画面10Aに表示された各領域に対して、選択可能データのメニューからいずれかを選択すれば、その領域の画像表示が、選択されたデータに対応した発色特性で行なわれるようになっている。
【0063】
例えば、図10(a)は、「横比較4」及び「フリー」を選定した場合の表示例を示し、「濃度変更」が選択されると、図4(f)に示すように、上下に4分割された各表示領域の左上に、「変更」ボタンが表示されるとともに、選択可能データのメニュー(「原画」,「設定」,「記録1」,「記録2」,「記録3」等)がプルダウン表示され、ここで、選択可能データのメニューから「原画」,「設定」,「記録1」,「記録2」,「記録3」等いずれかを選択すれば、その領域の画像表示が、選択されたデータに対応した発色特性で行なわれる。
【0064】
これと共に、図10(b)に示すように、インキ供給量調整スイッチ(インキ供給量状態調整マーク)27が絵柄(紙面)の画像26に重畳表示される。このインキ供給量調整スイッチ27は、図10(c)に示すように、インキ供給量増加補正スイッチ27a,27c,27e,27gとインキ供給量減少補正スイッチ27b,27d,27f,27hと、このスイッチ操作に応じた各補正量をデジタル表示する表示部27i,27j,27k,27lと、確定スイッチ,及び更新先選定スイッチをそなえている。
【0065】
なお、スイッチ27a,27b及び表示部27iはシアン(C)に関し、スイッチ27c,27d及び表示部27jはマゼンタ(M)に関し、スイッチ27e,27f及び表示部27kはイエロー(Y)に関し、スイッチ27g,27h及び表示部27lは墨(K)に関している。
【0066】
したがって、「濃度変更」を選択し、分割された各表示領域の左上の「変更」ボタンを指定し「設定」を選択して、インキ供給量調整スイッチ27を表示して、補正スイッチ27a〜27hを操作することで、モニタ画面10Aに表示された画像に対しインキ供給量を変更した場合の表示変更(発色の変更)を加えることができる。
【0067】
なお、これらの操作の前提として、後述の製版リスト情報が与えられるが、図4(g)に示すように、「印刷条件」のボタンを選択して、その他の印刷条件を与えておく。ここ場合の「印刷条件」のnewspaperとは、新聞印刷にかかる前記印刷特性プロファイルを指すが、例えば、客先の基準輪転機の特性やISO基準値やJAPAN COLOR基準や新聞カラー広告色見本NSAC(Nihon Shimbun Ad Color)基準値等が指定される。
【0068】
(製版リスト画像)
前述のように、本印刷模擬システムは印刷管理システムに組み込まれているが、ここで、印刷管理システムの印刷模擬システムに関連する製版リスト画像について説明する。
【0069】
図11はモニタ画面10Aに表示された製版リスト40の画像例を示すものであるが、この製版リスト40の画像には、図12(a)に示すように、左上に、コピー,検索開始,終了のメニューが表示され、さらに、製版リスト40の上部には、検索条件として、紙面付日,折機情報(使用印刷ユニット情報を含む),版情報,頁情報の各選択メニューが表示される。
【0070】
この製版リスト40の使用法の一つに、検索機能があり、製版リスト40の検索条件の付日42a,折機42b,版42c,頁42dを指定し、検索開始ボタン41aをポインタ操作すると、指定した条件に対応した製版データがピックアップされて、図11に示すように、他と識別表示され、さらに、図12(b)に示すように、指定した条件に対応した製版データのみをグループ表示することができる。各選択メニューが表示される。
【0071】
また、データの削除禁止設定も可能であり、削除禁止モードでは、図13(a)に示すように、製版リスト40のデータから削除禁止項目43aを選定し、これに応じて、図13(b)に示すように表示される確認画面44aで、削除禁止設定を確認操作すれば、削除禁止の設定が完了する。この場合、図13(c)に符号43bで示すように、削除禁止項目の表示色が他の色に切り替えられる。
【0072】
また、削除禁止設定の設定後に、図13(d)に示すように、製版リスト40のデータから削除禁止設定された削除禁止項目43cを選定すれば、これに応じて、図13(e)に示すように確認画面44bが表示され、削除禁止解除を確認操作すれば、削除禁止の設定が解除される。
この製版リスト40の使用法として、色補正値のコピー機能と、色補正対象の画像を選択する機能とがある。
【0073】
色補正値のコピー機能については、図14(a)に示すように、製版リスト40の画像のコピーのメニュー41bを選択すると、色補正値コピー用の入力枠45が重畳表示される。ここで、図14(b)に示すように、コピー元のサムネイル画像46を選ぶ操作として、製版リスト40に付記された版に対応するサムネイル画像を選択指定する。これにより、図14(c)に示すように、入力枠45にコピー元の画像が指定される。さらに、図14(d)に示すように入力枠45に表示されたコピー先のメニューから、図14(e)に示すように、一つを選んで、図14(f)に示す確認画面で、確認操作をすることで、色補正値のコピーが実施されるようになっている。
【0074】
そして、色補正対象の画像を選択するには、図14(g)に示すように、製版リスト40に付記された版に対応するサムネイル画像46を選択指定すれば、印刷模擬画像が選定され、画像情報に付随して、関連する印刷情報(各種印刷データ)も設定されるようになっている。
【0075】
(作用及び効果)
本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システム及び印刷管理システムは上述のように構成されているので、印刷データ(絵柄データと印刷条件データと)に基づいて、指定された絵柄データの絵柄を指定された印刷条件で印刷した結果を、モニタ画面10Aに模擬表示する際に、印刷条件の違い、つまり、インキ供給量の違いや、使用する印刷機の違いによって、発色状態が異なる場合の模擬表示を、図6,図7に示すような全画面表示によって、一つの絵柄(紙面)を複数の領域に分割し、各分割領域に各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ隣接して表示することができる。
【0076】
対比する画像を個別に表示したのでは、比較する箇所同士が離れてしまい比較しにくいが、本システムの場合、縦方向の分割線28a或いは横方向の分割線28bの部分で分割された各領域間では、異なる印刷条件で印刷した結果が分割線28a,28bの上において互いに離隔することなく連続的に表示されることになり、画像の境界において、異なる印刷条件での色の状態の差が鮮明に表現されることになり、異なる印刷条件での色の状態の差をより容易に比較することができるようになる。したがって、この比較画面を参照しながら、模擬的に印刷を行ないながら色調を調整することより、実際の印刷を行なうことなく高精度に印刷色調を事前調整することができるようになる。
【0077】
特に、印刷模擬画像に重畳表示されるインキ供給量調整スイッチ27を通じて、画面を見ながらインキ供給量の模擬的な変更を実施できるので、印刷色調を事前調整することが容易にできるようになる。
なお、縦分割及び横分割の個所を、モニタ画面10Aの任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定できるようにすれば、異なる印刷条件での色の状態の比較を最適な箇所で行なうことが可能になり、色の比較をより適切に行なうことが可能になる。
【0078】
また、図8(b),図9(b)に示すような同一場所表示によって、絵柄の表示部分全体を比較しながら、異なる印刷条件での色の状態を比較することができる。また、図8(c),図9(c)に示すようなフリー表示によって、分割した各画面領域に対してそれぞれ固有の表示部分を選定して表示できるので、より様々な態様で、異なる印刷条件での色の状態を比較することができる。
【0079】
さらに、本印刷管理システムによれば、絵柄データを含んだ製版データと対応させた製版リストを表示し、製版リストに製版データに対応して添付表示された絵柄データのサムネイル画像を指定操作することによって、表示モードを模擬表示モードに切り替えられることができ、製版処理をはじめとした印刷管理を行ないながら、発色状態の確認やインキ供給量の事前調整等を行なうことができる。
【0080】
(G)その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上述のものに限定されない。
例えば、インキ供給量制御の際に、図15に示すように、全画面表示において、絵柄(紙面)22aのうち印刷条件(インキ供給量)の異なる各領域の境界に沿って、分割線28aを横切るように、C,M,Y,Kの各色のカラーパッチ28c,28m,28y,28kを重畳表示し、インキ供給量の模擬調整時に、模擬調整に応じた各領域の発色状態の変化に伴い、これらのカラーパッチ28c,28m,28y,28kの発色状態も対応して変化させれば、カラーパッチ28c,28m,28y,28kを参照しながら、インキ供給量の模擬調整を容易に行なうことができる。
【0081】
カラーパッチとしては、C,M,Y,Kのほか、R(赤),G(緑),B(青)等のインキの重ね色を表記することも考えられ、インキ供給量の模擬調整の参照となる。
また、上記の実施形態では、新聞輪転機を例に説明したが、本発明は種々のオフセット印刷機をはじめとした種々の印刷機に広く適用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システム及び印刷管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システム及び印刷管理システムのハード構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面に印刷絵柄を模擬表示する例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面の表示のうちのメニューバーの各メニューの内容を、(a)〜(g)にそれぞれを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面に印刷絵柄を模擬表示する例を示す図であり、(a),(b)は絵柄の部分表示状態を示し、(b)は絵柄の全表示状態を示す。
【図6】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面に印刷絵柄を縦分割で模擬表示する例を示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ分割数の異なる表示例を示す。
【図7】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面に印刷絵柄を横分割で模擬表示する例を示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ分割数の異なる表示例を示す。
【図8】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面を縦分割してそれぞれに印刷絵柄を部分的に模擬表示する例を示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ分割数の異なる表示例を示す。
【図9】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面を横分割してそれぞれに印刷絵柄を部分的に模擬表示する例を示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ分割数の異なる表示例を示す。
【図10】本発明の一実施形態にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面に印刷絵柄を表示しながら、インキ供給量を模擬調整する状態を説明する図であり、(a)は模擬表示画面を示し、(b)は模擬表示にインキ供給量調整ボタンを重畳表示した画面を示し、(c)はインキ供給量調整ボタンのみを取り出して示す。
【図11】本発明の一実施形態にかかる印刷管理システムによるモニタ画面に製版リストを表示する例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかる印刷管理システムによるモニタ画面に製版リストを表示して検索を行なう操作を説明する図であり、(a)は製版リスト中の操作項目を示し、(b)は検索結果の製版リストを示す。
【図13】本発明の一実施形態にかかる印刷管理システムによるモニタ画面に製版リストを表示して削除禁止を行なう操作を説明する図であり、(a),(c),(d)は製版リスト中の操作項目を示し、(b),(e)は確認画面を示す。
【図14】本発明の一実施形態にかかる印刷管理システムによるモニタ画面に製版リストを表示し、色補正値を行なう操作を説明する図であり、(a)は製版リスト中に色補正値コピー画面を重畳表示した状態を示し図、(b)は色補正値コピーの指令に用いるサムネイル画像を示し、(c)〜(f)は色補正値コピー画面確認画面を示し、(g)は色変換の指令に用いるサムネイル画像を示す図を示す。
【図15】本発明の一実施形態の変形例にかかる印刷模擬システムによるモニタ画面に印刷絵柄を縦分割で模擬表示する例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 入出力インタフェイス(I/F)
5 ハードディスクドライブ(HDD)
6 表示制御装置(表示制御部)
6A 製版リスト画像制御部
6B 印刷模擬画像制御部
7 キーボード
8 マウス
9 バス
10A モニタ画面
10 モニタ装置
11 コンピュータ本体
12 印刷機
13 指令情報出力部
20 印刷絵柄の画像
21a〜21c 単一表示モード(通常モード)の絵柄(紙面)の画像
22a〜22c,24a 比較表示モードで絵柄を縦分割された絵柄(紙面)の画像
23a〜23c,25a 比較表示モードで絵柄を横分割された絵柄(紙面)の画像
24b,24c 比較表示モードで画像を縦分割された絵柄(紙面)の画像
25b,25c 比較表示モードで画像を横分割された絵柄(紙面)の画像
26 インキ供給量調整スイッチを重畳表示される絵柄(紙面)の画像
27 インキ供給量調整スイッチ
28a 絵柄(紙面)の縦方向の分割線
28b 絵柄(紙面)の横方向の分割線
28c,28m,28y,28k カラーパッチ
29a 画像の縦線
29b 画像の横線
30 メニューバー
40 製版リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタ装置と、印刷する絵柄データと印刷条件データとに基づいて、前記絵柄データの絵柄を前記印刷条件データの印刷条件で印刷した結果を前記モニタ装置のモニタ画面に模擬表示する表示制御装置とをそなえた、印刷模擬システムであって、
前記表示制御装置による模擬表示モードとして、前記印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、前記の一つの絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記各印刷条件とに基づいて、前記各分割領域に前記各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられている
ことを特徴とする、印刷模擬システム。
【請求項2】
前記印刷条件は、印刷に使用する印刷機の発色特性を含み、
前記印刷条件が複数ある場合の模擬表示モードとして、前記の印刷に使用する印刷機が複数ある場合の表示モードであって、前記絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記各印刷機の発色特性データとインキ供給量状態とに基づいて、前記各分割領域に前記各印刷機で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが含まれている
ことを特徴とする、請求項1記載の印刷模擬システム。
【請求項3】
前記印刷条件は、印刷時のインキ供給量状態を含み、
前記印刷条件が複数ある場合の模擬表示モードとして、前記印刷時のインキ供給量状態が複数ある場合の表示モードであって、前記絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記印刷機の発色特性データと前記各インキ供給量状態とに基づいて、前記各分割領域に前記各インキ供給量状態で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが含まれている
ことを特徴とする、請求項1記載の印刷模擬システム。
【請求項4】
前記絵柄を複数の領域に分割し前記モニタ画面に表示する際に、前記複数の領域が前記モニタ画面の横方向に並ぶようにする縦分割と、前記複数の領域が前記モニタ画面の縦方向に並ぶようにする横分割とを、選択可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷模擬システム。
【請求項5】
前記絵柄を複数の領域に分割し前記モニタ画面に表示する際に、前記の縦分割及び横分割の個所を、前記モニタ画面の任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項4記載の印刷模擬システム。
【請求項6】
前記表示制御装置による模擬表示モードとして、前記印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、前記モニタ画面を複数に分割すると共に、前記絵柄の内から表示部分を選定して、前記分割した各画面領域に、前記選定した表示部分について前記各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられている
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の印刷模擬システム。
【請求項7】
前記表示制御装置による前記絵柄の内からの前記表示部分を選定するための表示部分選定情報を入力する選定情報入力部を備え、
前記選定情報入力部を通じた選定モードとして、分割した前記各画面領域に対してそれぞれ同一の前記表示部分を選定する選定モードと、分割した前記各画面領域に対してそれぞれ固有の前記表示部分を選定する選定モードとが設けられている
ことを特徴とする、請求項6記載の印刷模擬システム。
【請求項8】
前記画面を複数の領域に分割する際に、前記複数の領域が前記モニタ画面の横方向に並ぶようにする縦分割と、前記複数の領域が前記モニタ画面の縦方向に並ぶようにする横分割とを、選択可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項6又は7記載の印刷模擬システム。
【請求項9】
前記画面を複数の領域に分割する際に、前記の縦分割及び横分割の個所を、前記モニタ画面の任意の横方向個所又は任意の縦方向個所に設定可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項8記載の印刷模擬システム。
【請求項10】
前記表示制御装置による前記モニタ画面への表示モードとして、
前記印刷条件の一つであるインキ供給量状態を調整するためのインキ供給量調整スイッチを前記モニタ画面に表示すると共に、前記インキ供給量調整スイッチを用いた前記インキ供給量状態の変更操作に応じて、前記モニタ画面に模擬表示する印刷結果を、前記の変更したインキ供給量状態に応じたものに変更しうるインキ供給量調整モードを有している
ことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の印刷模擬システム。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の印刷模擬システムを組み込んだ印刷管理システムであって、
前記表示制御装置の表示モードとして、前記モニタ画面に、前記絵柄データを含んだ製版データと該製版データに基づく印刷を行なう印刷機に関するデータとを対応させた製版リストを表示する製版リスト表示モードを備え、
前記製版リストには、前記製版データに対応した前記絵柄データがサムネイル画像で添付表示され、
前記サムネイル画像を指定操作することによって、前記表示制御装置の表示モードが前記模擬表示モードに切り替えられるように構成されている
ことを特徴とする、印刷管理システム。
【請求項12】
印刷する絵柄データと印刷条件データとに基づいて、前記絵柄データの絵柄を前記印刷条件データの印刷条件で印刷した結果をモニタ画面に模擬表示する、印刷模擬方法であって、
前記模擬表示を行なう模擬表示モードとして、前記印刷条件が複数ある場合の表示モードであって、前記の一つの絵柄を複数の領域に分割し、前記絵柄データと前記各印刷条件とに基づいて、前記各分割領域に前記各印刷条件で印刷した結果をそれぞれ模擬表示する表示モードが設けられている
ことを特徴とする、印刷模擬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−113213(P2009−113213A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285375(P2007−285375)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】