説明

印刷機

【課題】均一な厚みで基材上にインキを転移させる印刷機を提供する。
【解決手段】印刷機5は、基材62が載置されるフレーム55と、フレーム55上に配置され、インキが充填される複数のセル63を有するインキ版61と、フレーム55の上方に配置され、基材62上にインキを転移させる転写ロール43と、を備えている。またフレーム55の側方にはラックベース30が設けられており、このラックベース30上にはラック35が取り付けられている。また転写ロール43の側方には、ラック35に上方から係合可能なピニオン45が取り付けられている。ラック35は、複数のラック部材36,37,38を水平方向に連結することにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上にインキを転移させる印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基材が載置されるフレームと、フレームの上方に配置された転写ロールと、を備えた印刷機が知られている。このような印刷機においては、一般に、転写ロールをフレーム上で水平方向に走行させるための駆動機構が設けられている。そして、転写ロールがフレーム上で水平方向に走行する間、転写ロール上のインキが基材上に転移される。
【0003】
また、フレームに対する転写ロールの位置を精密に合わせるため、位置合わせ機構がさらに設けられている。位置合わせ機構は、例えば、フレームの側方に設けられたラックと、転写ロールに設けられ、当該ラックに係合可能なピニオンとからなっている。この場合、インキを基材上に転移させる前に、これらピニオンおよびラックに形成された歯同士が嵌合させられる。これによって、フレームに対する転写ロールの位置合わせ(位相調整)を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−106077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インキの種類や処理対象となる基材の種類によっては、転写ロールを基材に対して強く押し込む必要があるが、このような場合には、転写ロールがスリップすることがある。従来の印刷機では、転写ロールを基材に対して強く押し込む場合、ピニオンとラックとの間隙(バックラッシ)が小さくなっている。このため、転写ロールがスリップすると、ピニオンがラックと衝突してしまう。
【0006】
また、繰り返し印刷機を用いている間に、ピニオンとラックとの間隙(バックラッシ)が狭まってきてしまうことが考えられる。この場合、転写ロールがフレームに対して水平方向に走行している間に、ピニオンがラックと上下方向で衝突することも考えられる。
【0007】
ピニオンがラックと衝突すると、ピニオンが振動してしまい、これによって転写ロールが基材に対して振動してしまう。このため、従来の印刷機では、基材上に印刷した膜の表面が不均一になってしまい、この結果、印刷進行方向に対して直交または斜め方向に細かい筋状に見えるムラが形成されてしまうことがある。なお、この段ムラは、基材上に印刷された膜の厚みが薄くなることによって形成される。
【0008】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基材上にインキを転移させる印刷機において、基材が載置されるフレームと、インキが充填される複数のセルを有するインキ版と、前記フレームの上方に配置され、前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、前記フレームに取り付けられたラックベースと、前記ラックベースに取り付けられたラックと、前記転写ロールに設けられ、前記ラックに上方から係合可能なピニオンと、を備え、前記ラックは、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されており、隣接する前記ラック部材間には緩衝部材が介在されており、前記ラックを構成する複数のラック部材は、前記基材が位置する領域に対応する第1ラック部材を含み、各ラック部材のうち少なくとも前記第1ラック部材と前記ラックベースとの間に弾性部材が介在されていることを特徴とする印刷機である。
【0010】
本発明による印刷機において、前記弾性部材は、上下方向に伸縮する上下方向弾性部材を含んでいてもよい。
【0011】
本発明による印刷機は、前記第1ラック部材の下方に設けられ、前記上下方向弾性部材の弾性的な復元力によって前記第1ラック部材が急速に押し戻されることを抑制する上下方向衝撃吸収部材をさらに備えていてもよい。
【0012】
本発明による印刷機において、前記上下方向弾性部材は、前記第1ラック部材のうち少なくとも前記基材が位置する領域に設けられていてもよい。
【0013】
本発明による印刷機において、前記弾性部材は、水平方向に伸縮する水平方向弾性部材を含んでいてもよい。
【0014】
本発明による印刷機は、前記第1ラック部材の側方に設けられ、前記水平方向弾性部材の弾性的な復元力によって前記第1ラック部材が急速に押し戻されることを抑制する水平方向衝撃吸収部材をさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明による印刷機において、好ましくは、前記第1ラック部材に設けられた水平方向弾性部材の弾性係数は、前記第1ラック部材と前記第1ラック部材に隣接するラック部材との間に介在されている緩衝部材の弾性係数よりも大きくなっている。
【0016】
本発明による印刷機において、前記弾性部材は、複数設けられていてもよい。
【0017】
本発明による印刷機において、前記弾性部材は、当該弾性部材の弾性力を適宜調整可能な弾性力調整部材を介して前記第1ラック部材に取り付けられていてもよい。
【0018】
本発明による印刷機は、前記ラックの位置を検出する位置検出機構と、前記ラックの上下方向または水平方向の位置を調整する位置調整機構と、をさらに備えていてもよい。
【0019】
本発明による印刷機において、前記転写ロールは、ロール本体と、ロール本体の外周面に設けられたブランケットとを有していてもよい。
【0020】
本発明による印刷機において、前記転写ロールは、ロール本体と、ロール本体の外周面に設けられたフレキソ版とを有していてもよい。
【0021】
本発明による印刷機において、前記インキ版は、前記フレーム上に配置され、その上面に複数のセルを有する平板状インキ版からなっていてもよい。
【0022】
本発明による印刷機において、前記第1ラック部材は、前記基材が位置する領域に加えて、前記平板状インキ版の各セルが位置する領域に対応していてもよい。この場合、前記ラックを形成する複数のラック部材は、前記平板状インキ版の各セルよりも上流側の領域に対応する第2ラック部材をさらに含んでいてもよい。
【0023】
本発明による印刷機において、前記第2ラック部材と前記ラックベースとの間に弾性部材が介在されていてもよい。
【0024】
本発明による印刷機において、前記第2ラック部材が、前記ラックベースに対して固定されていてもよい。
【0025】
本発明による印刷機において、前記インキ版は、その外周面に複数のセルを有するロール状インキ版からなっていてもよい。
【0026】
本発明による印刷機において、前記ラックを形成する複数のラック部材は、前記基材よりも下流側の領域に対応する第3ラック部材をさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明による印刷機は、基材が載置されるフレームと、インキが充填される複数のセルを有するインキ版と、基材上にインキを転移させる転写ロールと、フレームに取り付けられたラックベースと、ラックベースに取り付けられたラックと、転写ロールに設けられ、ラックに上方から係合可能なピニオンと、を備えている。また、ラックは、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されている。このため、ラックが単一の部材から構成される場合に比べて、印刷機の大型化に柔軟に対応することができる。また、隣接するラック部材間には緩衝部材が介在されている。このため、例えピニオンがラックに衝突したとしても、衝突の際に生じる水平方向の衝撃を緩衝部材によって緩和することができる。また、ラックを構成する複数のラック部材は、基材が位置する領域に対応する第1ラック部材を含んでおり、また、各ラック部材のうち少なくとも第1ラック部材とラックベースとの間には弾性部材が介在されている。このため、例え基材近傍においてピニオンがラックに衝突したとしても、衝突の際に生じる衝撃を弾性部材によって緩和することができる。これによって、基材に転移されるインキの厚みにムラが生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による印刷機を側方から見た側面図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態による印刷機を上方から見た平面図。
【図3】図3は、印刷機のラックを構成する複数のラック部材を詳細に示す側面図。
【図4】図4は、印刷機のラックを構成する複数のラック部材を詳細に示す平面図。
【図5】図5は、図1に示す印刷機の偏芯カムローラとダイヤルゲージの近傍を拡大した側面図。
【図6】図6は、図1に示す印刷機のショックアブソーバーの近傍を拡大した側面図。
【図7】図7は、図1に示す印刷機の水平方向支持部の近傍を拡大した側面図。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態による印刷機を用いた印刷方法を示した側面図。
【図9】図9は、有機ELを構成する有機層を示した断面図。
【図10】図10は、本発明の第1の実施の形態の変形例による印刷機を側方から見た側面図。
【図11】図11は、転写ローラーの変形例を示す図。
【図12】図12は、本発明の第2の実施の形態による印刷機を側方から見た側面図。
【図13】図13は、本発明の第2の実施の形態による印刷機を上方から見た平面図。
【図14】図14は、本発明の第3の実施の形態による印刷機を側方から見た側面図。
【図15】図15は、本発明の第3の実施の形態による印刷機を上方から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1乃至図9を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図1および図2を参照して、印刷機5全体について説明する。
【0030】
印刷機
図1および図2に示すように、基材62上にインキを転移させる印刷機5は、基材62が載置されるフレーム55と、フレーム55上に配置され、インキが充填される複数のセル63を有する平板状インキ版61と、フレーム55の上方に配置され、平板状インキ版61に当接してセル63内のインキを受けるとともに、基材62上にインキを転移させる転写ロール43と、を備えている。このうち転写ロール43は、ロール本体41と、ロール本体41の外周面に設けられたブランケット42とを有している。
【0031】
またフレーム55の側方にはラックベース30が設けられている。例えば、連結部58を介してラックベース30がフレーム55に取り付けられている。そして、このラックベース30上にはラック35が取り付けられている。また転写ロール43の側方には、ラック35に上方から係合可能なピニオン45が取り付けられている。このようなラック35およびピニオン45を設けることにより、フレーム55に対する転写ロール43の位置合わせを行うことができ、これによって、基材62上にインキを精度良く転移させることができる。
【0032】
なお図1および図2においては、フレーム55上にインキ版定盤56が載置され、このインキ版定盤56上に平板状インキ版61が載置されている例を示した。しかしながら、フレーム55上に平板状インキ版61を配置するための形態が図1および図2に示す形態に限られることはなく、様々な形態によりフレーム55上に平板状インキ版61を配置することができる。例えば、フレーム55上に平板状インキ版61が直接載置されていてもよい。
また図1および図2においては、フレーム55上に基材定盤57が載置され、この基材定盤57上に基材62が載置される例を示した。しかしながら、フレーム55上に基材62を配置するための形態が図1および図2に示す形態に限られることはなく、様々な形態によりフレーム55上に基材62を配置することができる。
【0033】
また図1および図2に示すように、フレーム55上には、平板状インキ版61の上面にインキを供給するインキ供給部66と、インキ供給部66から供給されたインキを平板状インキ版61のセル63内に充填させるドクター65とが設けられている。
【0034】
上述の転写ロール43、ピニオン45、ドクター65およびインキ供給部66の組合せにより、基材62上にインキを転移させるための転写ユニット40が構成されている。また転写ユニット40の近傍には、走行方向Sにおいて転写ユニット40をフレーム55上で走行させる駆動機構(図示せず)が配置されている。
【0035】
このような印刷機5において、転写ユニット40の転写ロール43が平板状インキ版61に当接すると、転写ロール43のブランケット42に、平板状インキ版61のセル63のパターンに応じた絵柄でインキが受理される。ブランケット42に受理されたインキは、その後、基材62上に転移される。このようにして、いわゆるグラビアオフセット印刷により基材62への印刷が実施される。従って、平板状インキ版61は、グラビアオフセット印刷用のいわゆるグラビア版となっている。
【0036】
(ラック)
ところで本実施の形態において、図1および図2に示すように、ラック35は、複数のラック部材36,37,38を水平方向に連結することにより構成されている。本実施の形態においては、このように複数のラック部材36,37,38を水平方向に連結することによってラック35を構成することにより、印刷機5の大型化に柔軟に対応することを可能とすることが意図されている。以下、本実施の形態による印刷機5のラック35について詳細に説明する。
【0037】
上述のようにラック35は、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されている。この場合、各ラック部材の配置および寸法は、印刷機5の主要な構成要素の位置に応じて設定されている。ここで図2に示すように、本実施の形態においては、印刷機5が、印刷機5の主要な構成要素の位置に応じて5つの領域R1〜R5に区画されると考える。具体的には、印刷機5は、平板状インキ版61のセル63よりも上流側の領域であって、平板状インキ版61に当接する前の転写ロール43が加速される加速領域R1と、平板状インキ版61のセル63が位置する領域であって、セル63内のインキが転写ロール43によって受理されるインキ受理領域R2と、平板状インキ版61と基材62の間の領域であって、転写ロール43が加速または減速される加減速領域R3と、基材62が位置する領域であって、転写ロール43上のインキが基材62に転移されるインキ転移領域R4と、基材62よりも下流側の領域であって、基材62上にインキを転移させた後の転写ロール43が減速される減速領域R5と、に区画される。
【0038】
なお「上流側」および「下流側」とは、図1および図2に示す走行方向Sを基準とした場合の上流側および下流側である。より具体的には、図1および図2において、「上流側」が左側となっており、「下流側」が右側となっている。
【0039】
以下、領域R1〜R5との対応について触れながら、各ラック部材について説明する。図2に示すように、インキ転移領域R4に対応するラック部材が、第1ラック部材36となっている。図2に示すように、本実施の形態において、第1ラック部材36は、インキ転移領域R4だけでなく、インキ受理領域R2および加減速領域R3にも対応するラック部材となっている。なぜなら、転写ロール43上にインキが受理されてから、転写ロール43のインキが基材62上に転移されるまでの間は、インキを精度良く基材62上に転移させるため、ラック35の歯の高さや周期が精密に揃っていることが好ましいからである。このため、インキ受理領域R2、加減速領域R3およびインキ転移領域R4に対応するラック部材は、単一の第1ラック部材36からなっている。
【0040】
また図2に示すように、加速領域R1に対応するラック部材が第2ラック部材37となっており、減速領域R5に対応するラック部材が第3ラック部材38となっている。このように本実施の形態において、ラック35は、インキ受理領域R2、加減速領域R3およびインキ転移領域R4に対応する第1ラック部材36と、加速領域R1に対応する第2ラック部材37と、減速領域R5に対応する第3ラック部材38と、を水平方向に連結することにより構成されている。
【0041】
(緩衝部材)
また図2に示すように、隣接するラック部材36,37,38間には緩衝部材39が介在されている。この緩衝部材39は、例えピニオンがラックに衝突したとしても、衝突の際に生じる水平方向の衝撃に起因して、隣接するラック部材36,37,38が互いに衝突するのを防ぐために設けられるものである。
一般に、各ラック部材36,37,38は、金属材料などの硬質の材料から構成されている。このため、隣接するラック部材36,37,38が互いに衝突すると、衝突の衝撃によって各ラック部材36,37,38が切削され、これによって金属片などが発生することが考えられる。このような金属片が転写ロール43などに付着すると、基材62上に転移されるインキに金属片が混入し、これによって印刷の品質が劣化してしまう。
ここで本実施の形態によれば、緩衝部材39を隣接するラック部材36,37,38間に介在させることにより、隣接するラック部材36,37,38が互いに接触するのを防ぐことができる。これによって、各ラック部材36,37,38が損傷するのを防ぐことができ、このことにより、金属片などの異物が発生するのを防ぐことができる。
【0042】
緩衝部材39としては、隣接するラック部材36,37,38が互いに接触するのを防ぐのに適した弾性率(弾性係数)を有する材料が用いられる。ここで、弾性率の適切な値は、隣接するラック部材36,37,38間の間隔や、ピニオンがラックに衝突する際に予想される衝撃の大きさなどに応じて算出される。例えば、隣接するラック部材36,37,38間の間隔が1μm〜30mmの範囲内となっており、また転写ロール43の走行速度が1〜2000mm/sの範囲内となっている場合、緩衝部材39としてウレタンやゴムなどが用いられる。
【0043】
ところで、ピニオン45がラック35に衝突する場合、上述のように隣接するラック部材36,37,38が互いに接触するという懸念事項だけでなく、ピニオン45がラック35に衝突する際の衝撃によってピニオン45が振動してしまうという懸念事項もある。ピニオン45が振動すると、ピニオン45に連結されている転写ロール43も振動し、このため基材62上に転移されるインキの厚みにムラが生じることが考えらえる。
【0044】
インキのムラを防ぐための構成
本実施の形態においては、ピニオン45の振動に起因してインキの厚みのムラが生じるのを防ぐため、ピニオン45がラック35に衝突する際の衝撃を可能な限り小さくするための構成が採用されている。以下、このような構成の詳細について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0045】
〔緩和のための構成〕
はじめに、ピニオン45がラック35に衝突する際の衝撃を緩和するための構成について説明する。
【0046】
(上下方向弾性部材)
本実施の形態において、第1ラック部材36は、ラックベース30に対して鉛直方向および水平方向に移動可能となっている。また図1および図3に示すように、第1ラック部材36とラックベース30との間には、上下方向に伸縮可能な複数のバネ11(上下方向弾性部材)が介在されている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突するとき、第1ラック部材36は、ラックベース30およびフレーム55に対して弾性的に下方に移動することができる。第1ラック部材36の下方への移動により、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突するときの衝撃を緩和することができ、これによって、衝突の際にピニオン45が上下方向に振動することを防止または抑制することができる。この結果、転写ユニット40が基材62に対して上下方向に振動することを防止または抑制することができる。このことにより、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になるのを防ぐことができる。例えば、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になってしまい、この結果、走行方向Sに対して直交する方向または斜め方向に細かい筋状のムラ、いわゆる段ムラが見えてしまうことを防ぐことができる。
【0047】
好ましくは、バネ11は、第1ラック部材36のうちインキ転移領域R4に対応する部分に優先的に取り付けられる。なぜなら、インキ転移領域R4における転写ユニット40の振動を防止または抑制することが、基材62上に転移されるインキの厚みのムラを防ぐ上で最も効果的だからである。またインキ転移領域R4においては、インキの所望の印圧を確保するため、転写ロール43が強く下方に押し込まれ、これによってピニオン45が第1ラック部材36に強く衝突することが考えられるからである。従って図3に示すように、第1ラック部材36のうち少なくともインキ転移領域R4に対応する部分にはバネ11が取り付けられることが好ましい。これによって、インキ転移領域R4において転写ユニット40が基材62に対して上下方向に振動することを防止または抑制することができる。このことにより、基材62に転移されるインキの厚みにムラが生じるのを防ぐことができる。
【0048】
また、転写ロール43が平板状インキ版61のセル63内のインキを受理するとき、転写ロール43が平板状インキ版61に対して強く下方に押し込まれることも考えられる。このため、好ましくは図3に示すように、第1ラック部材36のうち、インキ転移領域R4に対応する部分だけでなくインキ受理領域R2に対応する部分にもバネ11が取り付けられている。これによって、インキ受理領域R2において転写ユニット40が上下方向に振動することを防止または抑制することができる。このことにより、転写ロール43に受理されるインキの厚みにムラが生じるのを防ぐことができる。
【0049】
なお図3においては、第1ラック部材36のうちインキ受理領域R2およびインキ転移領域R4に対応する部分にそれぞれ1つのバネ11が取り付けられている例を示した。しかしながら、取り付けられるバネ11の数が特に限られることはない。例えば、第1ラック部材36のうちインキ受理領域R2およびインキ転移領域R4に対応する部分に、それぞれ複数のバネ11が取り付けられていてもよい。このように複数のバネ11を設けることにより、ピニオン45が第1ラック部材36と上下方向で衝突した場合における第1ラック部材36への衝撃を均一に分散させることができる。このため、均一な膜厚からなる有機層をより確実に生成することができる。
【0050】
(弾性力調整部材)
また図3に示すように、バネ11は、バネ荷重調整ボルト(弾性力調整部材)11aによって、第1ラック部材36に対して押圧されて取り付けられている。この場合、バネ荷重調整ボルト11aの締め度合いを調整することによって、バネ11から第1ラック部材36に対して働く弾性力を調整することができる。これによって、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突するときの上下方向の衝撃がバネ11により緩和される程度を最適に調整することができる。
【0051】
(上下方向衝撃吸収部材)
また図6に示すように、第1ラック部材36の下方には、バネ11の弾性的な復元力によって第1ラック部材36が上方に急速に押し戻されることを抑制するためのショックアブソーバー(上下方向衝撃吸収部材)15が設けられている。具体的には、ラックベース30の下端にショックアブソーバー15が設けられており、当該ショックアブソーバー15の突出部15aがラックベース30を貫通して第1ラック部材36に取り付けられている。これによって、バネ11の復元力に起因して転写ユニット40が上下方向に振動することを防ぐことができる。
【0052】
(水平方向弾性部材)
また図4に示すように、第1ラック部材36の水平方向の両側方(両端部)には支持用アーム18が固定されており、この支持用アーム18には、フレーム55に固定された水平方向支持部17が当接または固定されている。この水平方向支持部17内には、図4に示すように、水平方向に伸縮可能なバネ(水平方向弾性部材)12が設けられている。また上述のように、ラックベース30は連結部58を介してフレーム55に取り付けられている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突するとき、第1ラック部材36は、ラックベース30およびフレーム55に対して弾性的に水平方向に移動することができる。第1ラック部材36の水平方向への移動により、ピニオン45がラック35に衝突するときの衝撃を緩和することができ、これによって、衝突の際にピニオン45が水平方向に振動することを防止または抑制することができる。この結果、転写ユニット40が基材62に対して水平方向に振動することを防止または抑制することができる。このことにより、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になるのを防ぐことができる。
【0053】
なお、上述の緩衝部材39も、ここで説明されたバネ12と同様に、ピニオン45と第1ラック部材36が衝突する際に、水平方向における第1ラック部材36の変位量を調整するための部材である。しかしながら、上述の緩衝部材39は、ピニオン45と第1ラック部材36が衝突する際に、隣接する第2ラック部材37または第3ラック部材38に対する第1ラック部材36の変位量を調整するための部材となっている。一方、ここで説明されたバネ12は、ピニオン45と第1ラック部材36が衝突する際に、ラックベース30に対する第1ラック部材36の変位量を調整するための部材となっている。すなわち、緩衝部材39とバネ12では、第1ラック部材36の変位の基準が異なっている。
【0054】
(弾性力調整部材)
また図4に示すように、バネ12は、水平方向支持部17を貫通したバネ荷重調整ボルト(弾性力調整部材)12aによって、第1ラック部材36に対して押圧されて取り付けられている。この場合、バネ荷重調整ボルト12aの締め度合いを調整することによって、バネ12から第1ラック部材36に対して働く弾性力を調整することができる。これによって、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突するときの水平方向の衝撃の大きさがバネ12により緩和される程度を最適に調整することができる。
【0055】
好ましくは、バネ12の弾性率(弾性係数)は、第1ラック部材36と第2ラック部材37または第3ラック部材38との間に介在されている緩衝部材39の弾性率(弾性係数)よりも大きくなっている。この場合、ピニオン45と第1ラック部材36が衝突する際、水平方向における第1ラック部材36の変位量が、緩衝部材39よりもバネ12に大きく依存して決定されることになる。これによって、衝突の際にピニオン45が水平方向に振動することを確実に防止または抑制することができる。
なお、所定の部材に印加される応力がσ(N/m)、ひずみがεで表される場合、弾性率(弾性係数)K(N/m)は以下の式により表される。
【数1】

【0056】
(水平方向衝撃吸収部材)
また上述のショックアブソーバー15と同様に、水平方向のバネ12が急速に押し戻されるのを抑制するためのショックアブソーバー(図示せず)が第1ラック部材36の端部に設けられていてもよい。これによって、バネ12の復元力に起因して転写ユニット40が左右方向に振動することを防ぐことができる。
【0057】
〔位置の最適化のための構成〕
次に、ピニオン45に対するラック35の位置を最適化し、これによって、ピニオン45がラック35に衝突する際の衝撃を可能な限り小さくするための構成について説明する。
【0058】
(位置調整機構)
図1および図5に示すように、フレーム55の側方には、ラック35およびラックベース30のフレーム55に対する上下方向の位置を調整する偏芯カムローラ(位置調整機構)1が設けられている。この偏芯カムローラ1を回転させることによって、偏芯カムローラ1をラックベース30の下端に当接させるとともに、下方からラックベース30およびラック35を上方に押し上げることができる。
【0059】
(位置検出機構)
さらに図1および図7に示すように、ラック35の両端部(第2ラック部材37の端部および第3ラック部材38の端部)の近傍には、ラック35のフレーム55に対する上下方向の位置を検出する上下方向レーザ変位計(位置検出機構)21が設けられている。またラック35の両端部(第2ラック部材37の端部および第3ラック部材38の端部)の近傍には、ラック35のフレーム55に対する水平方向の位置を検出する水平方向レーザ変位計(位置検出機構)22が設けられている。これらの上下方向レーザ変位計21および水平方向レーザ変位計22は、ラック35の端部に取り付けられた検出部35a(図7参照)へレーザ光を照射し、当該検出部35aからのレーザ光の反射を受けて、上下方向レーザ変位計21および水平方向レーザ変位計22と検出部35aとの間の距離を測定する。
【0060】
(位置検出装置)
なお、図1および図5に示すように、フレーム55の側方に、ラックベース30のフレーム55に対する上下方向の位置を検出するダイヤルゲージ(位置検出装置)25がさらに設けられていてもよい。
【0061】
本実施の形態によれば、上述の位置調整機構、および位置検出機構または位置検出装置を用いることにより、ピニオン45に対するラック35の位置を最適化することができる。例えば、上下方向レーザ変位計21からの情報に基づいて偏芯カムローラ1を制御することにより、上下方向におけるピニオン45に対するラック35の位置を最適化することができる。これによって、ピニオン45がラック35に衝突する際の衝撃をより小さくすることができる。
【0062】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。はじめに、印刷機5によって印刷により作製される有機層について説明し、次に、印刷機5を用いた印刷方法について説明する。
【0063】
有機層
はじめに図9を参照して、印刷機5によって作製される有機層について説明する。
【0064】
有機ELや有機薄膜トランジスタ(有機TFT)に用いられる有機層では膜の均一性が要求される。従って、本実施の形態による印刷機5が用いられることが好ましい。
【0065】
インキが転移される基材62は、有機ELに用いられる有機層を載置するための基板を含むことが好ましい。このような基材62としては、例えば、(何も載置されていない)ガラス基板や、有機ELや有機TFTに用いられる有機層の幾つかが既に載置されているガラス基板や、絶縁層および(ITOなどの)電極が既に載置されているガラス基板や、(何も載置されていない)フィルム基板や、有機ELや有機TFTに用いられる有機層の幾つかが既に載置されているフィルム基板、絶縁層および(ITOなどの)電極が既に載置されているフィルム基板などを用いることできる。
【0066】
このようなガラス基板やフィルム基板などの基材62に形成される、または載置されている有機層としては、例えば、発光層72、電子輸送層71、中間層74、正孔注入層・正孔輸送層75などを挙げることができる(図9参照)。ここで、発光層72の厚みは80nm程であり、中間層74の厚みは20nm程であり、正孔注入層・正孔輸送層75の厚みは80nm程である。このうち発光層72は、特に膜厚の均一性が要求される。従って、このような発光層72を生成する際に、本実施の形態による印刷機5が高い効果を発揮する。
【0067】
印刷方法
次に印刷機5を用いた印刷方法について説明する。
【0068】
まず、ラック35のフレーム55に対する上下方向の位置が調整される(調整工程)。具体的には、ダイヤルゲージ25によってラックベース30のフレーム55に対する位置を測定しながら、偏芯カムローラ1を適切な量だけ回転させる。これによって、ラック35のフレーム55に対する上下方向の位置を最適に調整することができる。その後、調整された位置でラックベース30をフレーム55に対して固定する(図8(a)の矢印A参照)。
【0069】
次に、ブランケットユニット40が下方に位置づけられ、これによってピニオン45とラック35とが係合される(係合工程)(図8(a)の矢印B参照)。このとき、上述の調整工程によって、ラック35のフレーム55に対する上下方向の位置が調整されているので、ラック35とピニオン45との間の間隙(バックラッシ)が適切な値になっている。
【0070】
次に、転写ロール43が回転されることによって(図8(a)の矢印C参照)、ピニオン45がラック35上で回転移動されて転写ユニット40がフレーム55に対して水平方向(図1の走行方向S)に移動される(水平方向移動工程)(図8(b)の矢印D参照)。このようにフレーム55上で転写ユニット40を走行させることによって、まず、インキ供給部66から吐出されたインキ(塗料)がドクター65によって平板状インキ版61へ運ばれる。次に、当該インキが、平板状インキ版61のセル63内に充填される。その後、セル63内に充填されたインキが、転写ユニット40の転写ロール43のブランケット42に受理される。次に、ブランケット42に受理されたインキが、基材定盤57に載置された基材62上に転移される。
【0071】
その後、転写ユニット40が上方に位置づけられ、ピニオン45とラック35の係合が解除される(解除工程)(図8(c)の矢印E参照)。次に、転写ユニット40が水平方向に移動されて、元の位置に戻される(戻り工程)(図8(c)の矢印F参照)。
【0072】
ここで本実施の形態によれば、図3に示すように、ラック35の第1ラック部材36とラックベース30との間には、上下方向に伸縮する複数のバネ11が介在されている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36と上下方向で衝突するときの衝撃を緩和することができ、これによって、衝突の衝撃でピニオン45が上下方向に振動することを防止または抑制することができる。この結果、転写ロール43が基材62に対して上下方向に振動することを防止または抑制することができ、このことにより、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になるのを防ぐことができる。
【0073】
また本実施の形態によれば、ラック35が、複数のラック部材36,37,38を水平方向に連結することにより構成されている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36に上下方向で衝突した場合、ラック35全体(第1ラック部材36、第2ラック部材37および第3ラック部材38の全て)が上下方向で変位するのではなく、第1ラック部材36のみが上下方向で変位する。若しくは、第2ラック部材37および第3ラック部材38に比べて、第1ラック部材36が上下方向において大きく変位する。このように、ピニオン45からの衝突に応じて変位する部材を少なくすることにより、衝突による衝撃の大きさをより小さくすることができる。これによって、衝撃の反作用としてピニオン45に生じる振動を抑制することができる。
【0074】
また本実施の形態によれば、図4に示すように、ラック35の第1ラック部材36の水平方向の両側方(両端部)には支持用アーム18が固定されており、この支持用アーム18には、フレーム55に固定された水平方向支持部17が当接している。この水平方向支持部17内には、水平方向に伸縮するバネ(水平方向弾性部材)12が設けられている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36に水平方向で衝突するときの衝撃を緩和することができ、これによって、衝突の衝撃でピニオン45が水平方向に振動することを防止または抑制することができる。この結果、転写ロール43が基材62に対して水平方向に振動することを防止または抑制することができ、このことにより、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になるのを防ぐことができる。
【0075】
また本実施の形態によれば、上述のように、ラック35が、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されている。このため、基材62の大型化への要求に応えるために印刷機5が大型化される場合であっても、所定の数のラック部材を水平方向において連結させることにより、印刷機5の寸法を任意に設定することが可能となる。
【0076】
また本実施の形態によれば、隣接するラック部材36,37,38間には緩衝部材39が介在されている。このため、隣接するラック部材36,37,38が互いに接触するのを防ぐことができる。これによって、各ラック部材36,37,38が損傷するのを防ぐことができ、このことにより、金属片などの異物が発生するのを防ぐことができる。
【0077】
(ラック部材の数の変形例)
なお本実施の形態において、ラック35が、インキ受理領域R2、加減速領域R3およびインキ転移領域R4に対応する第1ラック部材36と、加速領域R1に対応する第2ラック部材37と、減速領域R5に対応する第3ラック部材38と、を水平方向に連結することにより構成されている。しかしながら、ラック部材の構成が上述の構成に限られることはなく、印刷機5の各構成要素の寸法などに応じて、任意の数のラック部材を用いてラック35を構成することができる。
【0078】
(ラック部材および弾性部材の構成の変形例)
また本実施の形態において、複数のラック部材のうち第1ラック部材36にのみバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられている例を示した。すなわち、第2ラック部材37および第3ラック部材38にはバネ11が取り付けられておらず、第2ラック部材37および第3ラック部材38がラックベース30およびフレーム55に対して固定されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第2ラック部材37または第3ラック部材38がラックベース30およびフレーム55に対して移動可能となっており、そして、第2ラック部材37または第3ラック部材38にバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。
また本実施の形態において、第1ラック部材36のうちインキ受理領域R2およびインキ転移領域R4に対応する部分にバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、バネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられる部分は適宜選択され得る。
【0079】
例えば、複数のラック部材のうち第1ラック部材36にのみバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられており、かつ、第1ラック部材36のうちインキ転移領域R4に対応する部分にのみバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。
若しくは、複数のラック部材のうち第1ラック部材36にのみバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられており、かつ、第1ラック部材36のうちインキ受理領域R2に対応する部分、加減速領域R3に対応する部分、およびインキ転移領域R4に対応する部分それぞれにバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。
若しくは、複数のラック部材のうち第1ラック部材36だけでなく第2ラック部材37にもバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。具体的には、第2ラック部材37の加速領域R1にバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられる。この場合、第1ラック部材36のうちインキ受理領域R2およびインキ転移領域R4に対応する部分それぞれにバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。または、第1ラック部材36のうちインキ受理領域R2に対応する部分、加減速領域R3に対応する部分、およびインキ転移領域R4に対応する部分それぞれにバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。
【0080】
(駆動のための構成の変形例)
また本実施の形態において、転写ロール43を含む転写ユニット40がフレーム55上を走行する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、転写ロール43を含む転写ユニット40が水平方向において静止した状態で、フレーム55が水平方向に駆動されてもよい。例えば、ピニオン45に、ピニオン45および転写ロール43を回転駆動する回転駆動機構(図示せず)が設けられており、かつ、ピニオン45とラック35とが常に強固に係合するようピニオン45とラック35との間の高さ調整が行われていてもよい。この場合、ピニオン45の回転運動が、ラック35を介してフレーム55に伝達され、これによって、フレーム55が水平方向に駆動され得る。この際、転写ロール43が平板状インキ版61に当接すると、転写ロール43のブランケット42に、平板状インキ版61のセル63のパターンに応じた絵柄でインキが受理される。ブランケット42に受理されたインキは、その後、基材62上に転移される。
なお、ピニオン45に回転駆動機構(図示せず)が設けられる例を示したが、これに限られることはなく、フレーム55に水平駆動機構が設けられていてもよい。
【0081】
(位置の最適化のための構成の変形例)
また本実施の形態において、フレーム55の側方に、ラック35およびラックベース30のフレーム55に対する上下方向の位置を調整する偏芯カムローラ1が設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図10に示すように、フレーム55の側方に、ラック35およびラックベース30のフレーム55に対する上下方向の位置を調整する上下方向移動機構10aと、ラック35およびラックベース30のフレーム55に対する水平方向の位置を調整する水平方向移動機構10bとが設けられていてもよい。
【0082】
本変形例によれば、上下方向レーザ変位計21からの情報に基づいて、上下方向移動機構10aにより、ラック35およびラックベース30のフレーム55に対する上下方向の位置を調整することができる。さらに、水平方向レーザ変位計22からの情報に基づいて、水平方向移動機構10bにより、ラック35およびラックベース30のフレーム55に対する水平方向の位置を調整することができる。このように本変形例によれば、上下方向および水平方向の二方向においてラック35の位置を調整することができる。このため、ピニオン45に対するラック35の位置をより最適に調整することができる。これによって、ピニオン45がラック35に衝突する際の衝撃をより小さくすることができる。
【0083】
なお、ラック35の位置を調整する上下方向移動機構10aおよび水平方向移動機構10bが、各ラック部材36,37,38に個別に設けられていてもよい。これによって、各ラック部材36,37,38の位置を個別に調整することが可能となる。
【0084】
(印刷方式の変形例)
また本実施の形態において、グラビアオフセット印刷により基材62への印刷が実施される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えばフレキソ印刷により基材62への印刷を実施してもよい。この場合、図11に示すように、転写ロール43として、ロール本体41と、ロール本体41の外周面に設けられたフレキソ版47と、を有する転写ロール43が用いられる。また平板状インキ版61としては、フレキソ版47にインキを供給するアニロックス版が用いられる。
【0085】
この場合、平板状インキ版61のセル63内のインキが、転写ロール43のフレキソ版47の凸部によって受けられる。そして、フレキソ版47の凸部のインキが、凸部のパターンに応じた絵柄で基材62上に転移される。
【0086】
(その他の変形例)
また本実施の形態において、第1ラック部材36の水平方向の両側方(両端部)に、フレーム55に固定され、バネ12を含む水平方向支持部17が設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1ラック部材36の水平方向の一端部にだけ、フレーム55に固定され、バネ12を含む水平方向支持部17が設けられていてもよい。なお、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突する際には、第1ラック部材36がフレーム55の進行方向の片側に移動する傾向があるので、このように一端部にだけ水平方向支持部17およびバネ12を設ける場合には、当該水平方向支持部17およびバネ12を第1ラック部材36に対してフレーム55の進行方向の片側に設けることが好ましい。
【0087】
また本実施の形態において、ラック35の両側方(両端部)の近傍に、上下方向レーザ変位計21および水平方向レーザ変位計22が設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、ラック35の一端部の近傍にだけ、上下方向レーザ変位計21および水平方向レーザ変位計22を設けてもよい。また、ラック35の両側方(両端部)の近傍に、上下方向レーザ変位計21、または、水平方向レーザ変位計22の一方だけを設けてもよい。
【0088】
第2の実施の形態
次に図12および図13を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図10および図11は、本発明の第2の実施の形態による印刷機を示す側面図および平面図である。
【0089】
図12および図13に示す第2の実施の形態は、インキ版が、その外周面に複数のセルを有するロール状インキ版からなる点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。図12および図13に示す第2の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
印刷機
図12および図13に示すように、基材62上にインキを転移させる印刷機5は、基材62が載置されるフレーム55と、フレーム55の上方に配置され、その外周面に複数のセル69を有するロール状インキ版68と、フレーム55の上方に配置され、ロール状インキ版68に当接してセル69内のインキを受けるとともに、基材62上にインキを転移させる転写ロール43と、を備えている。
【0091】
またフレーム55の側方にはラックベース30が設けられており、このラックベース30上にはラック35が取り付けられている。また転写ロール43の側方には、ラック35に上方から係合可能なピニオン45が取り付けられている。
【0092】
またロール状インキ版68の近傍には、ロール状インキ版68の外周面にインキを供給するインキ供給部66と、インキ供給部66から供給されたインキをロール状インキ版68のセル69内に充填させるドクター65とが設けられている。なお図示はしないが、ロール状インキ版68には、ロール状インキ版68を回転駆動するためのインキ版用回転駆動機構が取り付けられている。
【0093】
(ラック)
本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、ラック35は、複数のラック部材36,38を水平方向に連結することにより構成されている。以下、具体的なラック部材の構成について説明する。
【0094】
図13に示すように、本実施の形態においては、印刷機5が、印刷機5の主要な構成要素の位置に応じて3つの領域R3〜R5に区画されると考える。具体的には、印刷機5は、基材62よりも上流側の領域であって、転写ロール43が加速または減速される加減速領域R3と、基材62が位置する領域であって、転写ロール43上のインキが基材62に転移されるインキ転移領域R4と、基材62よりも下流側の領域であって、基材62上にインキを転移させた後の転写ロール43が減速される減速領域R5と、に区画される。
【0095】
また図13に示すように、加減速領域R3およびインキ転移領域R4に対応するラック部材が、第1ラック部材36となっている。また、減速領域R5に対応するラック部材が、第3ラック部材38となっている。このように本実施の形態において、ラック35は、加減速領域R3およびインキ転移領域R4に対応する第1ラック部材36と、減速領域R5に対応する第3ラック部材38と、を水平方向に連結することにより構成されている。
【0096】
本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、第1ラック部材36は、ラックベース30に対して鉛直方向および水平方向に移動可能となっている。また図12に示すように、第1ラック部材36とラックベース30との間には、上下方向に伸縮するバネ11(上下方向弾性部材)が介在されている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36に衝突するとき、第1ラック部材36は、ラックベース30およびフレーム55に対して弾性的に下方に移動することができる。
【0097】
また、第3ラック部材38も、第1ラック部材36と同様にラックベース30に対して鉛直方向および水平方向に移動可能となっていてもよい。また、第3ラック部材38にバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。
若しくは、第3ラック部材38にはバネ11が取り付けられておらず、第3ラック部材38がラックベース30およびフレーム55に対して固定されていてもよい。
【0098】
なお図示はしないが、本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、第1ラック部材36とラックベース30との間に、水平方向に伸縮するバネ(水平方向弾性部材)12が介在されていてもよい。また図示はしないが、上述の第1の実施の形態において示される偏芯カムローラ1、バネ荷重調整ボルト11a、バネ荷重調整ボルト12a、ショックアブソーバー、上下方向移動機構10a、水平方向移動機構10b、上下方向レーザ変位計21、水平方向レーザ変位計22またはダイヤルゲージ25などが適宜設けられていてもよい。
【0099】
印刷方法
次に、本実施の形態による印刷機5を用いた印刷方法について説明する。
【0100】
はじめに、ロール状インキ版68と転写ロール43とを当接させながら、ロール状インキ版68および転写ロール43を回転駆動する。これによって、ロール状インキ版68のセル63内に充填されたインキが転写ロール43のブランケット42に受理される。
【0101】
次に、ラック35のフレーム55に対する上下方向の位置が調整され(調整工程)、そして、ピニオン45とラック35とが係合される(係合工程)。これらの工程は、上述の第1の実施の形態の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0102】
次に、転写ロール43が回転されることによって、ピニオン45がラック35上で回転移動されて転写ユニット40がフレーム55に対して水平方向に移動される(水平方向移動工程)。このようにフレーム55上で転写ロール43を走行させることによって、ブランケット42に受理されたインキが、基材定盤57に載置された基材62上に転移される。
【0103】
ここで本実施の形態によれば、図12に示すように、ラック35の第1ラック部材36とラックベース30との間には、上下方向に伸縮可能なバネ11が介在されている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36と上下方向で衝突するときの衝撃を緩和することができ、これによって、衝突の衝撃でピニオン45が上下方向に振動することを防止または抑制することができる。この結果、転写ロール43が基材62に対して上下方向に振動することを防止または抑制することができ、このことにより、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になるのを防ぐことができる。
【0104】
また本実施の形態によれば、上述のように、ラック35が、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されている。このため、基材62の大型化への要求に応えるために印刷機5が大型化される場合であっても、所定の数のラック部材を水平方向において連結させることにより、印刷機5の寸法を任意に設定することが可能となる。
【0105】
また本実施の形態によれば、隣接するラック部材36,38間には緩衝部材39が介在されている。このため、隣接するラック部材36,38が互いに接触するのを防ぐことができる。これによって、各ラック部材36,38が損傷するのを防ぐことができ、このことにより、金属片などの異物が発生するのを防ぐことができる。
【0106】
なお本実施の形態による印刷方式としては、第1の実施の形態の場合と同様に、グラビアオフセット印刷が用いられてもよく、またはフレキソ印刷が用いられてもよい。
【0107】
また本実施の形態において、転写ロール43がフレーム55上を走行する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、転写ロール43が水平方向において静止した状態で、フレーム55が水平方向に駆動されてもよい。
【0108】
第3の実施の形態
次に図14および図15を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図14および図15は、本発明の第3の実施の形態による印刷機を示す側面図および平面図である。
【0109】
図14および図15に示す第3の実施の形態においては、印刷方式としてダイレクトグラビア印刷が採用される。図14および図15に示す第3の実施の形態において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態または図12および図13に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0110】
印刷機
図14および図15に示すように、基材62上にインキを転移させる印刷機5は、基材62が載置されるフレーム55と、ロール本体41およびロール本体41の外周面に設けられたダイレクトグラビア版48を含み、基材62上にインキを転移させる転写ロール43と、転写ロール43のダイレクトグラビア版48にインキを供給するインキ供給部66と、インキ供給部66から供給されたインキを転写ロール43のダイレクトグラビア版48に充填させるドクター65と、を備えている。
【0111】
またフレーム55の側方にはラックベース30が設けられており、このラックベース30上にはラック35が取り付けられている。また転写ロール43の側方には、ラック35に上方から係合可能なピニオン45が取り付けられている。
【0112】
(ラック)
本実施の形態においても、上述の第2の実施の形態の場合と同様に、ラック35は、複数のラック部材36,38を水平方向に連結することにより構成されている。また、第1ラック部材36とラックベース30との間には、上下方向に伸縮可能なバネ11(上下方向弾性部材)が介在されている。これらの構成は、図12および図13に示す第2の実施の形態の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0113】
また、第3ラック部材38も、第1ラック部材36と同様にラックベース30に対して鉛直方向および水平方向に移動可能となっていてもよい。また、第3ラック部材38にバネ11(上下方向弾性部材)が取り付けられていてもよい。
若しくは、第3ラック部材38にはバネ11が取り付けられておらず、第3ラック部材38がラックベース30およびフレーム55に対して固定されていてもよい。
【0114】
なお図示はしないが、本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、第1ラック部材36とラックベース30との間に、水平方向に伸縮するバネ(水平方向弾性部材)12が介在されていてもよい。また図示はしないが、上述の第1の実施の形態において示される偏芯カムローラ1、バネ荷重調整ボルト11a、バネ荷重調整ボルト12a、ショックアブソーバー、上下方向移動機構10a、水平方向移動機構10b、上下方向レーザ変位計21、水平方向レーザ変位計22またはダイヤルゲージ25などが適宜設けられていてもよい。
【0115】
印刷方法
次に、本実施の形態による印刷機5を用いた印刷方法について説明する。
【0116】
はじめに、ラック35のフレーム55に対する上下方向の位置が調整される(調整工程)。次に、ピニオン45とラック35とが係合される(係合工程)。これらの工程は、上述の第1の実施の形態の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0117】
次に、転写ロール43が回転駆動される。転写ロール43が回転すると、インキ供給部66から吐出されたインキがドクター65によって転写ロール43のダイレクトグラビア版48に充填される。
【0118】
また、転写ロール43が回転されることによって、ピニオン45がラック35上で回転移動されて転写ロール43がフレーム55に対して水平方向に移動される。その後、フレーム55上の基材62が転写ロール43に到達すると、ダイレクトグラビア版48に受理されたインキが、基材定盤57に載置された基材62上に転移される。
【0119】
ここで本実施の形態によれば、図14に示すように、ラック35の第1ラック部材36とラックベース30との間には、上下方向に伸縮するバネ11が介在されている。このため、ピニオン45が第1ラック部材36と上下方向で衝突するときの衝撃を緩和することができ、これによって、衝突の衝撃でピニオン45が上下方向に振動することを防止または抑制することができる。この結果、転写ロール43が基材62に対して上下方向に振動することを防止または抑制することができ、このことにより、基材62上に転移されるインキの厚みが不均一になるのを防ぐことができる。
【0120】
また本実施の形態によれば、上述のように、ラック35が、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されている。このため、基材62の大型化への要求に応えるために印刷機5が大型化される場合であっても、所定の数のラック部材を水平方向において連結させることにより、印刷機5の寸法を任意に設定することが可能となる。
【0121】
また本実施の形態によれば、隣接するラック部材36,38間には緩衝部材39が介在されている。このため、隣接するラック部材36,38が互いに接触するのを防ぐことができる。これによって、各ラック部材36,38が損傷するのを防ぐことができ、このことにより、金属片などの異物が発生するのを防ぐことができる。
【0122】
また本実施の形態において、転写ロール43がフレーム55上を走行する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、転写ロール43が水平方向において静止した状態で、フレーム55が水平方向に駆動されてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 偏芯カムローラ(上下位置調整機構)
5 印刷機
10a 上下方向移動機構
10b 水平方向移動機構
11 バネ(上下方向弾性部材)
11a バネ荷重調整ボルト(弾性力調整部材)
12 バネ(水平方向弾性部材)
12a バネ荷重調整ボルト
15 ショックアブソーバー(上下方向衝撃吸収部材)
17 水平方向支持部
18 支持用アーム
21 上下方向レーザ変位計(上下位置検出装置)
22 水平方向レーザ変位計(水平位置検出装置)
25 ダイヤルゲージ(位置検出装置)
30 ラックベース
35 ラック
36 第1ラック部材
37 第2ラック部材
38 第3ラック部材
39 緩衝部材
40 転写ユニット
41 ロール本体
42 ブランケット
43 転写ロール
45 ピニオン
47 フレキソ版
48 ダイレクトグラビア版
55 フレーム
56 インキ版定盤
57 基材定盤
58 連結部
61 平板状インキ版
62 基材
63 セル
65 ドクター
66 インキ供給部
68 ロール状インキ版
69 セル
71 電子輸送層
72 発光層
74 中間層
75 正孔注入層・正孔輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にインキを転移させる印刷機において、
基材が載置されるフレームと、
インキが充填される複数のセルを有するインキ版と、
前記フレームの上方に配置され、前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、
前記フレームに取り付けられたラックベースと、
前記ラックベースに取り付けられたラックと、
前記転写ロールに設けられ、前記ラックに上方から係合可能なピニオンと、を備え、
前記ラックは、複数のラック部材を水平方向に連結することにより構成されており、隣接する前記ラック部材間には緩衝部材が介在されており、
前記ラックを構成する複数のラック部材は、前記基材が位置する領域に対応する第1ラック部材を含み、
各ラック部材のうち少なくとも前記第1ラック部材と前記ラックベースとの間に弾性部材が介在されていることを特徴とする印刷機。
【請求項2】
前記弾性部材は、上下方向に伸縮する上下方向弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
前記第1ラック部材の下方に設けられ、前記上下方向弾性部材の弾性的な復元力によって前記第1ラック部材が急速に押し戻されることを抑制する上下方向衝撃吸収部材をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷機。
【請求項4】
前記上下方向弾性部材は、前記第1ラック部材のうち少なくとも前記基材が位置する領域に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の印刷機。
【請求項5】
前記弾性部材は、水平方向に伸縮する水平方向弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項6】
前記第1ラック部材の側方に設けられ、前記水平方向弾性部材の弾性的な復元力によって前記第1ラック部材が急速に押し戻されることを抑制する水平方向衝撃吸収部材をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の印刷機。
【請求項7】
前記第1ラック部材に設けられた水平方向弾性部材の弾性係数は、前記第1ラック部材と前記第1ラック部材に隣接するラック部材との間に介在されている緩衝部材の弾性係数よりも大きくなっていることを特徴とする請求項5または6に記載の印刷機。
【請求項8】
前記弾性部材は、複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項9】
前記弾性部材は、当該弾性部材の弾性力を適宜調整可能な弾性力調整部材を介して前記第1ラック部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項10】
前記ラックの位置を検出する位置検出機構と、
前記ラックの上下方向または水平方向の位置を調整する位置調整機構と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の印刷機。
【請求項11】
前記転写ロールは、ロール本体と、ロール本体の外周面に設けられたブランケットとを有することを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項12】
前記転写ロールは、ロール本体と、ロール本体の外周面に設けられたフレキソ版とを有することを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項13】
前記インキ版は、前記フレーム上に配置され、その上面に複数のセルを有する平板状インキ版からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項14】
前記第1ラック部材は、前記基材が位置する領域に加えて、前記平板状インキ版の各セルが位置する領域に対応しており、
前記ラックを形成する複数のラック部材は、前記平板状インキ版の各セルよりも上流側の領域に対応する第2ラック部材をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の印刷機。
【請求項15】
前記第2ラック部材と前記ラックベースとの間に弾性部材が介在されていることを特徴とする請求項14に記載の印刷機。
【請求項16】
前記第2ラック部材が、前記ラックベースに対して固定されていることを特徴とする請求項14に記載の印刷機。
【請求項17】
前記インキ版は、その外周面に複数のセルを有するロール状インキ版からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
【請求項18】
前記ラックを形成する複数のラック部材は、前記基材よりも下流側の領域に対応する第3ラック部材をさらに含むことを特徴とする請求項13乃至17のいずれかに記載の印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−139896(P2012−139896A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293667(P2010−293667)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】