説明

印刷物の音声ガイドシステム

【課題】印刷物に印刷した文字領域や画像領域に操作ペンでタッチするだけで、そのタッチした領域に対応した情報が音声で出力される実用的な音声ガイドシステムの提供を目的とする。
特に、音声出力する言葉を選択することも点字で表現した内容に対応して音声出力することも可能な音声ガイドシステムに特徴がある。
【解決手段】印刷物に印刷した文字領域又は画像領域に、その文字領域又は画像領域に対応した音声情報をコード化した、微小の大きさの微小コード記号を印刷してあり、当該コード記号を認識する認識手段と当該認識手段にて認識されたコード記号に基づいて、そのコード記号に対応した情報を音声出力する音声出力手段とを有する操作ペンから構成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷物に印刷した内容に関する情報を音声に変換して出力する音声ガイドシステムに関し、音声の言語を選択することや点字で示した情報を音声に変換するのに好適である。
【背景技術】
【0002】
書籍に印刷した単語の発音や動物の鳴き声を2次元コードとして、この書籍に印刷しておく技術は特許文献1に開示されている。
しかし、同公報に開示する技術は、書籍に印刷した外国語の単語や動物とは別に読者が目で認識できる大きな2次元コードを印刷してあり、読者が外国語の単語等に対応する1つの2次元コードを選択して2次元コードリーダーで読み取るものであり、実用的ではなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平11−267373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、印刷物に印刷した文字領域や画像領域に操作ペンでタッチするだけで、そのタッチした領域に対応した情報が音声で出力される実用的な音声ガイドシステムの提供を目的とする。
特に、音声出力する言語の種類を選択することも、点字で表現した内容に対応して音声出力することも可能な音声ガイドシステムに特徴がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る音声ガイドシステムは、印刷物に印刷した文字領域又は画像領域に、その文字領域又は画像領域に対応した音声情報をコード化した、微小の大きさの微小コード記号を印刷してあり、当該コード記号を認識する認識手段と、当該認識手段にて認識されたコード記号に基づいて、そのコード記号に対応した情報を音声出力する音声出力手段とを有する操作ペンから構成されたことを特徴とする。
【0006】
ここで、文字領域とは、印刷物の内容を説明した文字及びその行間を含む所定範囲をいい、画像領域とは、写真や絵で示した画像部分をいう。
微小の大きさの微小コード記号とは、印刷物に印刷した文字領域や画像領域に文字や画像と重ねるように音声をコード化したコード記号を印刷してあり、看者が文字を読み取ったり画像を見るのに障害とならない程度に小さく及び薄く印刷してあることをいう。
従って、一般的には看者にコード記号とは分からない程度の微小の大きさのコード記号、あるいは肉眼では認識し難いが赤外線等では認識できるコード記号を、その文字領域又は画像領域に同時に又は重ねて印刷したものをいう。
またコード記号は、そのコード記号をセンサーで読み取って、マイクロチップ等に予め入力してある音声情報と対応できるものであれば良く、バーコードでも2次元コードでもよいが、ドットパターンでコード化したものが印刷しやすくて好ましい。
ドットパターンによるコード化には、例えば、国際公開公報WO2004/084125号に開示する技術を取り込むことができる。
コード記号の認識手段は、微小コード記号を読み取るものであれば各種手段を適用でき、レーザーの反射光でもよく、赤外線反射光を用いると赤外線吸収インクを用いて微小コード記号を印刷することもできる。
微小コードに対応した情報をマイクロチップ等に予め入力しておき、音声出力手段は読み取った微小コード記号に基づいて、その情報を音声で出力するものをいう。
【0007】
請求項2記載に係る音声ガイドシステムは、印刷物には、文字領域又は画像領域に対応して音声情報をコード化した微小コード記号とともに点字を印刷してあることを特徴とする。
ハートビル法、交通バリアフリー法等の施行に伴い、視覚障害者にやさしい社会的インフラが必要となっている。
そこで、印刷物の分野においても、印刷した文字又は画像とともにスクリーン印刷等にて透明な点字印刷を施すことも普及しつつある。
しかし、印刷物に全ての情報を点字で印刷するのはスペース的に限界があり、また視覚障害者にとっても全てを指先で触知するのは大変である。
これに対して、本願発明は、操作ペンにマイクロチップ等を内蔵しておき、点字とともにこのマイクロチップに予め記憶させてある音声情報をコード化した微小コード記号を印刷してあることで、点字の部分に操作ペンをタッチするだけで、点字情報に関連して、そこに印刷してある微小コード記号に基づいて音声情報が出力されるので視覚障害者にやさしい音声ガイドシステムとなる。
【0008】
請求項3に係る音声ガイドシステムは、印刷物には、音声出力する言語を選択する文字領域又は画像領域を設けてあることを特徴とする。
ここで言語を選択するとは、印刷物に対応した情報を日本語の他に例えば英語、中国語、ロシア語等の言語を選択できるように言語表示欄を設けたり、各国の国旗を印刷しておき、それと同時に音声出力言語を指定する微小コード記号も国旗に印刷し、そこに操作ペンでタッチすることで音声出力する言語を選択できるようにしておくと、国際化社会に対応した音声ガイドシステムとなる。
これにより、例えば、観光バスや遊覧船等にいろいろな国の外国人が同乗している場合に、ガイドブックに印刷してある国旗をタッチするだけで、たとえ日本語が読めなくても観光客のそれぞれの母国語でガイドを聞くことができる。
スピーカーもそれぞれの操作ペンに内蔵してあるので、それぞれの観光客の近くから音声が出力されるので、母国語が異なっても同時に聞くことができる。
【0009】
本発明に係る音声ガイドシステムは各種印刷物に適用できるが、以下適用例について説明する。
飲食店のメニューに各種料理を印刷してある場合や、食品売り場の食品説明の印刷物の場合に、例えばその料理や食品の部分に対応して微小コード記号を印刷しておくことで看者が操作ペンの先をタッチすると使用された食材や食材の産地、食品の生産地、生産者、農薬の使用の有無等の情報を、予め入力されている微小コード記号に対応した情報として音声でガイドされる。
このようにすると、印刷物に表現できない多くの情報を音声で提供することが可能であり、また料理又は食品等の安心情報を消費者の希望に応じて提供することもできる。
【0010】
本発明に係る音声ガイドシステムは食品分野以外にも観光案内、商品案内、教習案内等の多くの分野に適用できることはいうまでもない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る音声ガイドシステムにおいては、印刷物に印刷した文字領域や画像領域に文字や画像とともに肉眼ではすぐに認識できない程度の微小の大きさのコード記号あるいは赤外線等でしか認識できないコード記号を印刷してあるので、看者は印刷物に文字情報や画像情報を見るようにして操作ペンでタッチするだけで、音声ガイドを受けることができ非常に実用的で手軽である。
【0012】
また、点字の凸部の表面又は透明な凸部の下に微小コード記号を印刷しておけば、視覚障害者は点字を触知しつつ操作ペンでタッチするだけで音声情報のガイドを受けることができ、視覚障害者にもやさしいガイドシステムになる。
【0013】
料理メニューや食品表示に本発明に係るシステムを適用すると、食べ物の生産者、流通経路、農薬の使用方法等、食材の安全に係る情報を音声として確認でき、お米や野菜等の生産履歴の確認に用いることもできる。
料理のレシピに適用すると、食材の選定、調味料の量、調理方法等が音声情報として得ることができる。
また、医薬品の分野においては製薬会社や、処方、効能等の情報を各国の言語で提供することもできる。
さらには、世界各国から観光客が訪れる観光名所においては、操作ペンでタッチするだけで必要な国の言語でガイドを受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る音声ガイドシステムの代表例を図1に示すように、カレーライスの料理の説明に応用した例で説明する。
印刷物には、カレーライスの料理30(便宜上、図1には料理の写真を模式図で表してある)と、国旗として日本41、米国42、中国43、韓国44、ロシア45等が印刷してある。
国旗は、本実施例に限定されるものではなく、後述するマイクロチップに予め記憶させておく言語の種類に対応させて選定できる。
【0015】
印刷物において、ライスの部分にはライスの音声情報に対応した微小コード記号を肉眼では認識できないように印刷してあり、同様に、具の卵、ジャガイモ等に対応する写真部分にはそれぞれ符号で示した音声情報を示す、微小コード記号が肉眼で認識できないように印刷してある。
皿には皿に関する音声情報に対応した微小コード記号が印刷してある。
従って、実際の料理の写真には、符号1〜5に示した情報は印刷してないが、図1には説明上、音声情報の例を文字で現してある。
微小コード記号は、例えば、ライスの部分のどの位置に操作ペンでタッチしてもライスの情報が音声で得られるように、数多く印刷してあり、バーコードでも2次元コードでも良いが、図1にはコード記号の拡大図としてドットパターンの例を20に示してある。
また、ドットパターンは、印刷物を肉眼で見ても通常は識別がつかない赤外線吸収インクあるいはカーボンブラックで小さく印刷してある。
微小コード記号を読み取る操作ペン10の例を図1に示す。
操作ペン10は赤外線を照射し、その反射光でコード記号を読み取るセンサー14とセンサーで読み取ったコード記号に対応する音声情報を記憶させたマイクロチップや電源を組み込んだ駆動部15とスピーカー11を有している。
操作する者はまず、スイッチ12をONにして操作ペンの先を希望する言語を示す国旗にタッチする。
例えば、米国の国旗42には英語出力を指示するコード記号が印刷してあり、それに基づいて「英語です」とスピーカーから確認メッセージが出力される。
出力される音量は音量ボタン13で調整する。
次に、操作ペンの先を例えば、ライスの部分にタッチすると、そこに印刷してある微小コー記号をセンサー14が認識し符号1で示した情報が英語で音声出力される。
同様に、肉の部分にタッチすれば符号2の情報、皿にタッチすれば符号3の情報、卵の部分にタッチすれば符号4の情報、ジャガイモの部分にタッチすれば符号5の情報が微小コード記号の指示に従って指定した言語で音声出力される。
これにより印刷物に情報を文字として書き表さなくても、その部分に操作ペンでタッチすれば簡単に情報が音声として出力される。
料理の食材の安全情報として活用すれば消費者に安心して食してもらえる効果がある。
【0016】
同様にして図2には米の品質について、図3には薬の製薬会社、処方、効能等を出力する例を示し、図4には観光案内に応用した例を示し、図5には衣服の素材や着こなし方を説明するのに用いた例を示し、図6にはキャンプ等の屋外に出かける場合の説明例である。
また、図7には運転教習における説明例を示し、また、図8にて観光ガイドとして用いる場合には各国の観光客を同乗させて、それぞれの言語でガイドすることもできる例を示す。
本発明は、このように各種分野のガイドに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】料理の食材を説明した例を示す。
【図2】米の品質、利用方法を説明した例を示す。
【図3】薬の処方、効能を各国の言語で説明する例を示す。
【図4】観光ガイドに用いた例を示す。
【図5】レンタル衣装の説明例を示す。
【図6】屋外に出かける服装の説明に用いた例を示す。
【図7】運転教習の説明に用いた例を示す。
【図8】同乗者の観光ガイドに用いた例を示す。
【符号の説明】
【0018】
10 操作ペン
11 スピーカー
12 スイッチ
13 音量
14 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物に印刷した文字領域又は画像領域に、その文字領域又は画像領域に対応した音声情報をコード化した、微小の大きさの微小コード記号を印刷してあり、当該コード記号を認識する認識手段と、当該認識手段にて認識されたコード記号に基づいて、そのコード記号に対応した情報を音声出力する音声出力手段とを有する操作ペンから構成されたことを特徴とする音声ガイドシステム。
【請求項2】
印刷物には、文字領域又は画像領域に対応して音声情報をコード化した微小コード記号とともに点字を印刷してあることを特徴とする請求項1記載の音声ガイドシステム。
【請求項3】
印刷物には、音声出力する言語を選択する文字領域又は画像領域を設けてあることを特徴とする請求項1又は2記載の音声ガイドシステム。
【請求項4】
印刷物は、料理に用いた食材又は料理方法をガイドするものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音声ガイドシステム。
【請求項5】
印刷物は、観光案内、商品案内、教習案内のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音声ガイドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−116479(P2009−116479A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286826(P2007−286826)
【出願日】平成19年11月3日(2007.11.3)
【出願人】(507104371)株式会社イーラーニング普及協会 (1)
【Fターム(参考)】