説明

印刷装置、印刷方法、印刷プログラム

【課題】 大量枚数印刷又は少量枚数印刷が混在する場合、少量枚数印刷の印刷物を取り出し易くする印刷装置の提供を目的とする。
【解決手段】 印刷物を排出する複数のスタッカと、該スタッカを切り替えるスタッカ切り替え手段と、印刷物の枚数が所定の枚数以上の場合は大量枚数印刷と、所定の枚数未満の場合は少量枚数印刷と判定する印刷容量判定手段と、スタッカが空いているか否かを判定する空きスタッカ判定手段とを有し、前記スタッカ切り替え手段は、前記大量枚数印刷又は前記少量枚数印刷が連続しない場合に、前記空きスタッカ判定手段によって空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙することを特徴とすることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物を排出する複数のスタッカを有する印刷装置、印刷方法、印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大量枚数印刷を行うユーザの場合、印刷ジョブと印刷ジョブの間にセパレータ(印刷ジョブには含まれない印刷)の印刷を行い、印刷ジョブと印刷ジョブの境目が分かる様にする場合がある。
【0003】
しかしこの方法では、大量枚数印刷(例:1000枚)と大量枚数印刷の間に、少量枚数印刷(例:数十枚)を実施し、少量枚数印刷の印刷後に大量枚数印刷をスタッカから取り出していなかった場合、少量枚数印刷の印刷物を取り出すために大量枚数印刷の印刷物をどける必要があり、印刷物のくずれが発生する可能性がある。
【0004】
尚、印刷枚数とは印刷されてスタッカに排出される印刷物の枚数をいう。
【0005】
この様な場合、少量枚数印刷の印刷物を取り出し易くする技術として、あらかじめ少量枚数印刷専用のスタッカを大量枚数印刷用のスタッカとは別に確保する技術、及び印刷ジョブによりスタッカを指定する技術が考えられ、既に知られている。この技術により、ユーザが少量枚数印刷を行う場合、少量枚数印刷専用のスタッカから取り出すか、大量枚数印刷に使用するスタッカとは別のスタッカを指定することにより、少量枚数印刷の印刷物を取り出し易くすることが可能である。
【0006】
尚、特許文献1に記載されている技術では、大量枚数印刷の場合のスタッカ内の印刷物のくずれを防ぐ目的で、あらかじめ印刷物の種類(印刷方法)ごとにスタッカ最大積載量を登録しておき、該当する印刷物の印刷でスタッカ最大積載量に達した場合、排紙を停止する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、大量枚数印刷と少量枚数印刷が混在する場合、少量枚数印刷の印刷物を取り出し易くするため、あらかじめ大量枚数印刷と少量枚数印刷でスタッカを分ける技術は、次の問題が生じる。
【0008】
大量枚数印刷で使用可能なスタッカの数が減ってしまうため、印刷の途中停止又は印刷物の溢れを防ぐために、大量枚数印刷時の印刷物の取り出し回数が増えるという問題である。また、少量枚数印刷業務を実施しない場合にも、少量枚数印刷専用のスタッカを確保しているため、全てのスタッカを使用することができない。
【0009】
印刷ジョブによりスタッカを指定する技術においては、大量枚数印刷か少量枚数印刷かで、印刷ジョブのスタッカの指定を変更する必要があり、印刷ジョブ作成の手間がかかるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続しない場合に、空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙することを特徴とする印刷装置、印刷方法及び印刷プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで上記課題を解決するため、本発明の印刷装置は、印刷物を排出する複数のスタッカと、該スタッカを切り替えるスタッカ切り替え手段とを有し、印刷物の枚数が所定の枚数以上の場合は大量枚数印刷と、所定の枚数未満の場合は少量枚数印刷と判定する印刷容量判定手段と、スタッカが空いているか否かを判定する空きスタッカ判定手段とを有し、前記スタッカ切り替え手段は、前記大量枚数印刷又は前記少量枚数印刷が連続しない場合に、前記空きスタッカ判定手段によって空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙することを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明は、上記印刷装置における印刷方法、前記印刷方法をコンピュータに実行させる印刷プログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大量枚数印刷と少量枚数印刷が混在する場合に、少量枚数印刷の印刷物を取り出し易くすることができる印刷装置、印刷方法、印刷プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における印刷システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明におけるハードウェア構成例を示す図である。
【図3】印刷制御装置の機能構成図である。
【図4】スタッカ管理テーブルの概略図である。
【図5】実行印刷容量フラグ及び新規印刷容量フラグの機能を説明するための図である。
【図6】第一の印刷終了後にジョブを受信した場合のフローチャートである。
【図7】第一の印刷実行中にジョブを受信した場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における印刷システムの概略構成を示す図である。本発明における印刷システムは、PC10及び印刷装置20からなり、印刷装置20は操作パネル21、データ受信・解析部22、印刷制御装置23、出力装置24で構成される。図1においては、PC10と、印刷装置20とが、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークによって接続されている。
【0016】
PC10はユーザが印刷を指示するPCであり、印刷指示のために必要な機能が実装された汎用的なコンピュータである。印刷装置20は、コピー機、プリンタ又は複合機等の印刷装置である。PC10は印刷装置20に、ページ記述言語に変換した原稿画像データと共に、印刷範囲、印刷枚数、用紙サイズ等の情報を送信する。
【0017】
操作パネル21は印刷装置20の印刷制御に関する情報を入力する装置であり、ユーザはスキャナ部(図示しない)により読み取られ、又は印刷装置20に接続した記録媒体から入力した原稿画像データについて、必要に応じて印刷枚数、印刷サイズ等を入力する。該入力情報のほか、ユーザにより設定された本発明におけるスタッカ切り替えのON・OFFに関する情報を設定し、データ受信・解析部22に送信する。
【0018】
データ受信・解析部22は、CPUなどの演算装置を用いてROM又はRAMに記録されたプログラムを展開する。PC10から送信され、又はスキャナ部から読み取られた原稿画像データ、及び印刷範囲、拡大・縮小情報等の画像形成に関する情報を解析して、原稿画像のドットパターン(以下、「画像ドットパターン」と表示する)を作成する。作成した画像ドットパターンを、印刷枚数や用紙サイズ等の印刷制御に関する情報と共に印刷制御装置に信号を送信する。この際に、設定されたスタッカ切り替え機能のON・OFFに関する情報も併せて送信する。
【0019】
印刷制御装置23は、データ受信・解析部22から受信した画像ドットパターン、印刷制御に関する情報と共に、排紙スタッカを指定して出力装置24に送信する。印刷制御装置23は、スタッカに関する情報をROM又はRAMに保有しており、印刷指示の際にそれらを参照して、後述する印刷制御部が排紙スタッカを決定する。
【0020】
この際、印刷制御装置23は、印刷枚数がスタッカ容量を超える場合(例えば1000枚)に大量枚数印刷、スタッカ容量以下である場合に少量枚数印刷であると判断する。大量枚数印刷の後に少量枚数印刷が続く場合、又は少量枚数印刷の後に大量枚数印刷が続く場合、前の印刷物が排紙されたスタッカとは別のスタッカを排紙スタッカに決定する。
【0021】
出力装置24は、スタッカに用紙が搭載されているか否かを感知するセンサ241、排紙に使用される1以上のスタッカ242、給紙に使用されるホッパ243から構成される。出力装置24は、印刷制御装置23から受信した画像ドットパターンを用紙上に印刷して画像を形成し、印刷制御装置23により指定された排紙スタッカに排紙する。
【0022】
以下、図1の構成における動作を説明する。ユーザがPCに印刷を指示する。印刷指示には印刷枚数に関する情報が含まれている。印刷装置20はデータ受信・解析部22によって印刷を受け付け、データ受信・解析部22が画像ドットパターンの作成を行い、印刷制御装置23に印刷を指示する。印刷制御装置23は、指示された印刷の印刷容量について大量枚数印刷であるか少量枚数印刷であるか判定し、直前の印刷の印刷容量情報と比較する。大量枚数印刷の後に少量枚数印刷が続く場合、又は少量枚数印刷の後に大量枚数印刷が続く場合はスタッカを切り替える判定をし、出力装置24に排紙スタッカを指定して印刷指示を行う。出力装置24が指示された印刷を実行し、指定されたスタッカに排紙する。
【0023】
図1の印刷装置によれば、大量枚数印刷の後の少量枚数印刷については、大量枚数印刷の印刷物のスタッカと異なるスタッカに排出されており印刷物が取り出しやすい。また、少量枚数印刷をした後の大量枚数印刷については、少量枚数印刷のスタッカとは別のスタッカに排出されているため、少量枚数印刷の印刷物を取り出す際に大量枚数印刷の印刷物をどけて印刷物を取る必要がなく、大量枚数印刷の印刷物が乱れることがない。
【0024】
尚、本実施例では画像ドットパターンの作成を印刷装置20内で行っているが、PC10で画像ドットパターンを作成してデータ受信・解析部に送信してもよい。また、本実施例ではユーザがPCによって印刷を指示したが、操作パネルによって印刷装置に直接印刷を指示してもよい。
【0025】
次に、本発明における印刷装置のハードウェア構成例について、図2を用いて説明する。
【0026】
CPU201は、ROM204やRAM205、HDD206に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、印刷装置20に係る機能を実現する。CPU201は、電源投入時にHDD206内の各種プログラムを読み出し、RAM205にインストールした後、その各種プログラムに従って動作する。
【0027】
ROM204は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例であり、印刷装置20における設定やブートプログラムを格納する。RAM205は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例であり、次のような各種のエリアを提供する。印刷装置20が行うものとして後述する各処理をCPU201に実行させるためのコンピュータプログラムやデータを一時的に記憶するためのエリアや、CPU201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリア等である。HDD206は、この発明に関わるプログラムやデータを記憶する記憶手段であり、内臓ハードディスクドライブ等で構成される。
【0028】
出力部203は、印刷装置20の処理結果を出力するプロッタ等により構成される。表示部202は、各種のデータや作業画面等を表示するCRTディスプレイ等の表示手段であるとともに、ユーザによる操作入力を受け付ける。
【0029】
CPU201、表示部202、出力部203、ROM204、RAM205、HDD206はそれぞれ、バス207に接続されている。なお、印刷装置20のハードウェア構成についてはこれに限定するものではなく、例えば、コンピュータプログラムやデータを記憶保持するための外部記憶装置をさらに印刷装置20に接続するようにしてもよい。
【0030】
以下、図1における印刷制御装置23の機能について説明する。図3は、図1の印刷制御装置23の機能構成図である。なお、図3においては、便宜上、本実施の形態の説明に必要な構成要素のみが示されている。
【0031】
図3において、印刷制御装置23は、機能ON・OFF設定部231、印刷制御部232、スタッカ切り替え判定部233、印刷容量判定手段234、実行印刷容量フラグ格納手段235、新規印刷容量フラグ格納手段236、空きスタッカ判定手段237、スタッカ管理テーブル238より構成される。
【0032】
機能ON・OFF設定部231は、操作パネル21の設定により本発明におけるスタッカ切り替え機能の有効・無効の設定を保管する。
【0033】
印刷容量判定手段234はメモリ234aを有し、印刷制御部232から受信した印刷枚数に関する情報から、大量枚数印刷であるか少量枚数印刷であるかを判定し、判定した印刷容量情報を各フラグに格納する。実行印刷容量フラグ格納手段235は、第一の印刷についての印刷容量情報を格納する。新規印刷容量フラグ格納手段236は、第一の印刷指示後に連続して指示された第二の印刷についての印刷容量情報を格納する。
【0034】
スタッカ切り替え判定部233は、スタッカ管理テーブル238及び実行印刷容量フラグ、新規印刷容量フラグの内容を参照し、排紙スタッカを決定する。具体的には、実行印刷容量フラグと新規印刷容量フラグの情報が同じである場合は、大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続すると判断し、両フラグの情報が異なる場合は大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続しないと判断する。大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続しないと判断した場合で、かつ後述するスタッカ管理テーブル238により空いていると設定されたスタッカがある場合、排紙スタッカを切り替え、該空いているスタッカを排紙スタッカと決定する。大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続すると判断した場合は、排紙スタッカを切り替えず、第二の印刷について第一の印刷時に使用されたスタッカを排紙スタッカに決定する。さらに、決定した排紙スタッカについての情報を印刷制御部232に送信する。
【0035】
印刷制御部232は、CPU上で動作するメモリ232aに記憶されたプログラムで達成される機能の一つである。受信した原稿画像データの印刷指示、排紙スタッカの指示等、印刷制御装置23における印刷制御を行う。具体的には、データ受信・解析部22から受信した画像ドットパターンについて、用紙サイズや印刷枚数の指定に従って印刷を行うよう、出力装置24を動作させる。この際、排紙スタッカを指定する。また、各スタッカへの排紙枚数を数え、後述するスタッカ管理テーブル238の情報を更新する。
【0036】
空きスタッカ判定手段237は、センサ241からの情報に基づきスタッカに積載物があるか否かを判定し、判定結果をスタッカ管理テーブルに送信する。スタッカ管理テーブル238は、スタッカに関する情報を保管する。
【0037】
ここでスタッカ管理テーブル238について説明する。図4は、スタッカ管理テーブル238の概略図である。スタッカ番号238aには、スタッカ識別用の番号を設定する。用紙有/無238bには、空きスタッカ判定手段235からの情報に基づきスタッカ内に積載物がない場合に用紙無、積載物がある場合に用紙有の設定をする。
【0038】
排紙可能238cは、印刷制御部232により数えられた各スタッカへの排紙枚数と後述のスタッカ容量に基づき、スタッカの積載物がスタッカ最大積載容量に満たない場合を排紙可、スタッカの積載物がスタッカ最大積載容量に達している場合を排紙不可に設定する。また、排紙可能238cは、スタッカがオープンしている(スタッカが取り出されている、あるいは引き出されている状態を含む)場合、スタッカにジャム等の障害が発生している場合、出力装置24からの印刷制御部232への報告に基づき、排紙不可に設定する。尚、スタッカが接続されていない場合であっても、排紙可能238cは排紙不可に設定する。
【0039】
スタッカ容量238dは、各スタッカの最大積載容量についての情報である。
【0040】
尚、スタッカ切り替え判定部233が大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続しないと判断した場合、第二の印刷について、用紙有/無238bにおいて用紙無と判断されたスタッカの中から排紙スタッカが決定される。大量枚数印刷又は少量枚数印刷が連続すると判断した場合、第二の印刷について、排紙可能238cにおいて排紙可能であるスタッカの中から、優先順位に従い排紙スタッカが決定される。優先順位は、原則としてスタッカ番号が若いほど高いものとするが、ユーザが設定するものであってもよい。また、スタッカ容量238dの情報は、スタッカ設置時に自動的に更新されるものであってもよいし、ユーザの指示により更新されるものであってもよい。
【0041】
以下、実行印刷容量フラグと新規印刷容量判定フラグの機能について、図5を用いて説明する。図5は、実行印刷容量フラグ及び新規印刷容量フラグの機能を説明するための図である。ここではスタッカ容量を1000枚とし、印刷枚数が1000枚を超える場合に印刷容量判定手段234により大量枚数印刷と判定され、1000枚以下である場合に少量枚数印刷と判定されることとする。
【0042】
まず、第一の印刷として印刷枚数が1500枚である印刷1を受け付ける(t=t0)。印刷1の受け付け時に、印刷容量判定手段234が新規印刷容量フラグに大量枚数印刷であるとする情報を格納し、印刷1について印刷が開始される。印刷1についての印刷実行中に、印刷制御部232は印刷枚数が20枚である印刷2についての新たな印刷指示を受け付けるが、受信時(t=t1)には新規印刷容量フラグに印刷1についての印刷容量情報が格納されており、この時点で印刷容量情報の格納は行わない。印刷1の印刷終了時点(t=t2)で、印刷容量判定手段234が実行印刷容量フラグに、印刷1の容量情報である大量枚数印刷であるとする情報を格納する。同時に新規印刷容量フラグに格納されている印刷1の印刷容量情報に替わって、印刷2の容量情報である少量枚数印刷であるとする印刷容量情報が上書きされて格納される。
【0043】
第一の印刷終了及び各フラグへの印刷容量情報の格納と同時に、スタッカ切り替え判定部233が排紙スタッカの決定を行う。この場合、実行印刷容量フラグと新規印刷容量フラグの内容が異なるため、スタッカ切り替え判定部233は印刷2について排紙スタッカを切り替える判定を行う。スタッカ切り替え部233は空きスタッカがあれば該空きスタッカを排紙スタッカに決定し、印刷制御部232が該空きスタッカへの出力を指示する。
【0044】
印刷2の終了と同時に、実行印刷容量フラグに格納されている印刷1の印刷容量情報に替わって、印刷2の容量情報である少量枚数印刷であるとする情報が上書きされて格納される(t=t3)。その後新たな印刷が終了するまで、実行印刷容量フラグの内容は保持される。
【0045】
印刷制御部232は、印刷枚数が1200枚である印刷3を受け付ける(t=t4)。印刷3について、新規印刷容量フラグに大量枚数印刷であるとする情報を上書きして格納する。実行印刷容量フラグと新規印刷容量フラグに格納された情報が異なるため、スタッカ切り替え判定部233は、印刷3の受け付け及び各フラグへの印刷容量情報の格納と同時に、印刷3について排紙スタッカを切り替える判定を行う。スタッカ切り替え判定部233はスタッカ管理テーブル238を参照し、空きスタッカがあれば印刷3について印刷2と異なるスタッカを排紙スタッカに決定し、印刷制御部232が出力装置24に該スタッカへの排紙を指示する。
【0046】
印刷3の印刷実行中に、印刷枚数が15枚である印刷4を受け付ける(t=t5)が、この時点では印刷容量情報は新規印刷容量フラグに格納されない。印刷3の終了時(t=t6)に、印刷3が大量枚数印刷である情報が実行印刷容量フラグに上書きされて格納され、印刷4が少量枚数印刷である情報が新規印刷容量フラグに上書きされて格納される。各フラグへの格納と同時に両情報が異なると判断され、印刷4についてスタッカの切り替えが行われて排紙される。
【0047】
印刷4の印刷実行中に、印刷枚数が30枚である印刷5を受け付ける(t=t7)。印刷4の終了時(t=t8)に、印刷4が少量枚数印刷であるとする情報が実行印刷容量フラグに格納され、印刷5が少量枚数印刷であるとする情報が新規印刷容量フラグに格納される。実行印刷容量フラグと新規印刷容量フラグの内容が同じであるため、各フラグへの格納と同時に少量枚数印刷が連続すると判断され、印刷5の実行時にはスタッカ切り替えが行われず、印刷4と同じスタッカに排紙される。
【0048】
本実施形態によれば、大量枚数印刷の後に少量枚数印刷が続く、又は少量枚数印刷の後に大量枚数印刷が続く場合に前の印刷と異なるスタッカに排紙され、少量枚数印刷の印刷物の取り出しが容易になる。
【0049】
以下、本実施形態における印刷装置の処理手順について説明する。まず、第一の印刷が終了した後に第二の印刷を受け付けた場合の処理手順について説明する。図6は、第一の印刷終了後に別の印刷指示を受け付けた場合のフローチャートである。尚、前提条件として、機能ON/OFF設定部231において機能ONと設定されているものとし、スタッカ容量は1000枚であるとする。
【0050】
まず、データ受信・解析部22が印刷枚数を1500枚とする第一の印刷を受け付ける(S201)。印刷容量判定手段232は、第一の印刷についてスタッカ容量を超えるため、大量枚数印刷であると判定し、新規印刷容量フラグに容量情報を格納する(S202)。出力装置24により第一の印刷が開始される(S203)。
【0051】
第一の印刷が終了すると(S204)、印刷容量判定手段232は、新規印刷容量フラグに格納された第一の印刷についての容量情報を実行印刷容量フラグに格納する(S205)。
【0052】
次に、印刷枚数が20枚の第二の印刷を、データ受信・解析部22で受け付ける(S206)。印刷容量判定手段234は、第二の印刷について印刷枚数がスタッカ容量以下であるため、少量枚数印刷であると判定し(S207)、判定した容量情報を新規印刷容量フラグに上書きして格納する(S208)。スタッカ切り替え判定部233は、第二の印刷について排紙スタッカを決定するため実行印刷容量フラグと新規印刷容量フラグを参照し、内容が異なると判断する(S209におけるYes)。さらにスタッカ切り替え判定部233が空きスタッカがあると判定した場合(S210におけるYes)、排紙スタッカを空いているスタッカに切り替え、出力装置24が第二の印刷を実行する(S211)。
【0053】
次に、第一の印刷についての印刷枚数が1500枚で、第二の印刷についての印刷枚数が1200枚である場合について説明する。S206までは前記と同様である。
【0054】
S207において、第二の印刷はスタッカ容量を超えており、大量枚数印刷であると判定し、判定結果を新規印刷容量フラグに上書きして格納する(S208)。スタッカ切り替え判定部238は、双方のフラグに格納された容量情報が同じであると判断する(S209におけるNo)。S212においてスタッカ管理テーブル238を参照し、排紙可とされるスタッカ、つまり、スタッカの積載物がスタッカ最大積載容量に達していないスタッカのうち、優先順位の高いスタッカを排紙スタッカと決定し、第二の印刷について排紙を行う。
【0055】
実行印刷容量フラグと新規印刷容量フラグの情報が異なる場合(S209におけるYes)であっても、空いているスタッカがないと判断された場合(S210におけるNo)、排紙可とされるスタッカのうち優先順位の高いスタッカを排紙スタッカと判定し、第二の印刷について排紙する(S212)。
【0056】
次に、第一の印刷について印刷中に、第二の印刷を受け付けた場合について、図7のフローチャートを用いて説明する。第一の印刷が開始されるまでは、S201からS203までと同様である(S301からS303)。
【0057】
第一の印刷が印刷中に、第二の印刷についてデータ受信・解析部22が印刷指示を受け付ける(S304)。印刷容量判定手段232が、第二の印刷について印刷枚数がスタッカ容量を超えるか否か判定する(S305)。第一の印刷が終了した時点で(S306)、印刷容量判定手段234が第一の印刷についての容量情報を実行印刷容量フラグに格納し(S307)、第二の印刷についての容量情報を新規ジョブ容量フラグに上書きして格納する(S308)。実行印刷容量フラグと新規ジョブ容量フラグに格納された容量情報が異なる場合(S309におけるYes)であって、さらに空きスタッカ判定手段235によって空いていると判断されたスタッカがある場合(S310におけるYes)、スタッカ切り替え判定部233は空いているスタッカを排紙スタッカに切り替えて判定し、出力装置24が第二の印刷を実行する(S311)。
【0058】
実行印刷容量フラグと新規ジョブ容量フラグに格納された容量情報が同じ場合(S309におけるNo)、もしくは容量情報は異なるが空いていると判断されたスタッカがない場合(S310におけるNo)、スタッカ切り替え判定部233はスタッカ切り替えの判定をせず、スタッカ管理テーブルを参照して排紙可とされるスタッカのうち、最も優先順位の高いスタッカを排紙スタッカと決定する。出力装置24が第二の印刷について排紙を行う(S312)。
【0059】
尚、排紙スタッカの判定時にスタッカ管理テーブル238内の排紙可能238cにおいて排紙可とされるスタッカがない場合、つまりすべてのスタッカが最大積載容量に達している場合、印刷は一時停止される。
【0060】
本実施形態では印刷容量判定手段232において、印刷枚数がスタッカ容量を超える場合に大量枚数印刷、スタッカ容量以下である場合に少量枚数印刷と判定するとしたが、ユーザが定めた枚数以上である場合に大量枚数印刷、ユーザが定めた枚数未満である場合に少量枚数印刷であると判定してもよい。
【0061】
また、本実施形態では第一の印刷実行中又は実行後に一の新たな印刷を受信した場合について説明したが、複数の新たな印刷を受信した場合にも対応が可能である。第一の印刷終了時に、待機中の印刷指示の中で受信が最も早い印刷について容量情報を新規印刷容量フラグに格納し、他の印刷指示については第二の印刷終了後に受信順に対応していけばよい。
【0062】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0063】
20 印刷装置
22 データ受信・解析部
233 スタッカ切り替え判定部
234 印刷容量判定手段
235 実行印刷容量フラグ格納手段
236 新規印刷容量フラグ格納手段
237 空きスタッカ判定手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2009−208899号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を排出する複数のスタッカと、該スタッカを切り替えるスタッカ切り替え手段とを有する印刷装置であって、
印刷物の枚数が所定の枚数以上の場合は大量枚数印刷と、所定の枚数未満の場合は少量枚数印刷と判定する印刷容量判定手段と、
スタッカが空いているか否かを判定する空きスタッカ判定手段とを有し、
前記スタッカ切り替え手段は、前記大量枚数印刷又は前記少量枚数印刷が連続しない場合に、前記空きスタッカ判定手段によって空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷容量判定手段において、前記所定の枚数はユーザによって指定された枚数であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
第一の印刷について、前記印刷容量判定手段によって判定された大量枚数印刷であるか少量枚数印刷であるかの情報を格納する実行印刷容量フラグ格納手段と、
前記第一の印刷に引き続いて行われる第二の印刷について、前記印刷容量判定手段によって判定された大量枚数印刷であるか少量枚数印刷であるかの情報を格納する新規印刷容量フラグ格納手段とを有し、
前記スタッカ切り替え手段は、前記実行印刷容量フラグ格納手段と前記新規印刷容量フラグ格納手段によって格納された情報が異なる場合に、前記空きスタッカ判定手段によって空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙することを特徴とする、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷物を排出する複数のスタッカを有する印刷装置における印刷方法であって、
該スタッカを切り替えるスタッカ切り替え手順と、
印刷物の枚数が所定の枚数以上の場合は大量枚数印刷と、所定の枚数未満の場合は少量枚数印刷と判定する印刷容量判定手順と、
スタッカが空いていることを判定する空きスタッカ判定手順とを有し、
前記スタッカ切り替え手順は、前記大量枚数印刷又は前記少量枚数印刷が連続しない場合に、前記空きスタッカ判定手順によって空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙されることを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
前記印刷容量判定手順において、前記所定の枚数はユーザによって指定された枚数であることを特徴とする請求項4に記載の印刷方法。
【請求項6】
第一の印刷について、前記印刷容量判定手順によって判定された大量枚数印刷であるか少量枚数印刷であるかの情報が格納される実行印刷容量フラグ格納手順と、
前記第一の印刷に引き続いて行われる第二の印刷について、前記印刷容量判定手順によって判定された大量枚数印刷であるか少量枚数印刷であるかの情報が格納される新規印刷容量フラグ格納手順とを有し、
前記スタッカ切り替え手順は、前記実行印刷容量フラグ格納手順と前記新規印刷容量フラグ格納手順によって格納された情報が異なる場合に、前記空きスタッカ判定手順によって空いていると判定されたスタッカに切り替えて排紙されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の印刷方法。
【請求項7】
請求項4ないし6何れか一項記載の印刷方法をコンピュータに実行させる印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−250482(P2012−250482A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125704(P2011−125704)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】