説明

印刷装置および印刷方法

【課題】原反や駆動機器に対する負荷を軽減しつつ、接着シートに所定の張力を付与した状態で鮮明な印刷を施すことができる印刷装置および印刷方法を提供すること。
【解決手段】印刷装置1は、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートSが仮着された原反Rを一方向および他方向に送る第1送り手段23,24と、接着シートSから剥離シートRLを剥離して迂回させる迂回手段3と、表出した接着シートSの接着剤層ADに印刷を施す印刷手段4と、接着シートSを剥離シートRLに再仮着させる再仮着手段7と、接着シートSが再仮着された原反Rを一方向および他方向に送る第2送り手段93,94とを備え、第1、第2送り手段23,24,93,94は、それぞれ原反Rを送るための駆動機器23,93を備え、駆動機器23,93の駆動トルクを制御して、剥離シートRLが迂回された接着シートSに所定の張力を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の剥離シートに帯状の接着シートが仮着された原反に対して印刷を施す印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の印刷装置は、原反の搬送方向の上流側および下流側に設けた送り手段としての2つの駆動ローラで原反を搬送駆動しつつ、接着シートから剥離シートを迂回させて当該接着シートの両面に印刷を施すように構成されている。この印刷装置の場合、原反の送り方向が断続的に逆転されるため、原反の送り方向の切り換えの度に接着シートにたるみ等が生じてその送り量がばらつき、これにより接着シートの一方の面の印刷位置と他方の面の印刷位置とがずれる可能性があるが、原反を正逆いずれの方向に送る場合にも接着シートに張力を付与することで、接着シートの印刷の位置ずれを抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4408945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置では、2つの駆動ローラに回転速度差を与えることで原反の接着シートに張力を付与しているため、速度の速い方の駆動ローラが原反に対して速く回転しているか、または速度の遅い方の駆動ローラが原反に対して遅く回転していることになり、当該駆動ローラと原反との間ですべりが生じていることになる。このため、これら駆動ローラが接する原反がすべりによって損傷してしまうという不都合や、接着シートや剥離シートに施された印刷が擦れて不鮮明になったり、時には理解不能な印刷になってしまったりするという不都合もある。
また、駆動ローラが原反に対して速く回転したり遅く回転したりしていると、駆動ローラを回転駆動するモータ等の駆動機器に大きな負荷をかけることとなり、当該駆動機器が破損してしまうという問題もある。
さらに、駆動ローラの外周面が顕著に擦り減るようになるため、当該駆動ローラを頻繁に交換しなければならず、そのための手間とコストが余分にかかってしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、原反や駆動機器に対する負荷を軽減しつつ、接着シートに所定の張力を付与した状態で鮮明な印刷を施すことができる印刷装置および印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を一方向および他方向に送る第1送り手段と、前記第1送り手段で前記一方向側に送られた原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、前記迂回手段で剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層に印刷を施す印刷手段と、前記印刷手段で印刷が施された接着シートを剥離シートに再仮着させる再仮着手段と、前記再仮着手段で剥離シートに接着シートが再仮着された原反を前記一方向および前記他方向に送る第2送り手段とを備え、前記第1送り手段および前記第2送り手段は、それぞれ前記原反を送るための駆動トルクを制御可能な駆動機器を備えて張力付与手段を構成し、前記原反を前記一方向および前記他方向に送る際の前記駆動機器の駆動トルクを制御して、前記迂回手段で剥離シートが迂回された接着シートに所定の張力を付与可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
一方、本発明の印刷方法は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を一方向および他方向に送りつつ、前記接着シートに印刷を施す印刷方法であって、前記一方向側に送られた原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させるとともに、前記原反を前記一方向および前記他方向に送るための駆動トルクを制御して、前記剥離シートが迂回された接着シートに所定の張力を付与し、前記剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層に印刷を施し、前記印刷手段で印刷が施された接着シートを剥離シートに再仮着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のような本発明によれば、原反を送るための駆動機器の駆動トルクを制御することにより、迂回手段で剥離シートが迂回された接着シートに所定の張力を付与するようにしているため、原反を一方向および他方向のどちらの方向に送る際にも、送り手段と原反との間ですべりが生じることがない。従って、接着シートに所定の張力を付与する際に原反や駆動機器に対する負荷を軽減しつつ、接着シートに所定の張力を付与した状態で当該接着シートに鮮明な印刷を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の模式図。
【図2】図1の印刷装置に用いる印刷ユニットの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本明細書において明示のない、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図1を基準に用いられる。また、X軸方向とは図1中左右方向、Y軸方向とは図1中紙面直交方向、Z軸方向とは図1中上下方向とする。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面である剥離面RL1に仮着された接着シートSから剥離シートRLを一旦剥離して迂回させ、接着シートSに印刷を施した後に接着シートSと剥離シートRLとを再仮着すものである。ここで、接着シートSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層されるとともに、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLの剥離面RL1に仮着された原反Rとして予め準備されている。一方、剥離シートRLにおける接着シートSが仮着された反対側の面である剥離シート裏面RL2には、図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷が予め所定の間隔で印刷されている。
【0011】
印刷装置1は、原反Rを繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rの接着シートSから剥離シートRLを一旦剥離して迂回させる迂回手段3と、接着シートSに印刷を施す印刷手段4と、接着シートSに印刷されたインクを硬化させる硬化手段5と、接着シートSに施された図示しない印刷および剥離シート裏面RL2に予め施された図示しない印刷を検出する検出手段6と、剥離シートRLに接着シートSを再仮着させる再仮着手段7と、剥離シートRLと接着シートSとの再仮着時の位置関係を所定の位置関係に調整する位置合せ手段8と、剥離シートRLに接着シートSが再仮着された原反Rを巻き取る巻取手段9と、上記各手段2〜9等を制御する制御手段10とを備え、その全体が図示しないベースフレームに支持されている。
【0012】
繰出手段2は、原反Rをロール状に巻回して支持するとともに駆動機器であってその駆動トルクを制御可能な回動モータ21によって駆動する支持ローラ22と、駆動機器であってその駆動トルクを制御可能な回動モータ23によって駆動する駆動ローラ24と、駆動ローラ24との間に原反Rを挟み込むピンチローラ25とを備えている。そして、回動モータ23、駆動ローラ24、およびピンチローラ25で第1送り手段TC1が構成される。
【0013】
迂回手段3は、接着シートSから剥離シートRLを剥離させる剥離ローラ31と、剥離ローラ31で剥離された剥離シートRLをガイドして迂回させる迂回ローラ32,33とを備えている。
【0014】
印刷手段4は、接着シートSの基材シートBSに図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷を施す第1印刷ユニット4Aと、接着シートSの接着剤層ADに図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷を施す第2印刷ユニット4Bとを備え、これら各印刷ユニット4A,4Bは、図2に示すように、X軸方向およびY軸方向に支持対象物を移動させるユニット移動手段40に支持されている。
【0015】
図2に示すように、第1印刷ユニット4Aは、図示しない所定の印刷パターンが設けられた刷版41と、刷版41が外周面に取り付けられる版胴42と、この版胴42の下方において版胴42との間に原反Rを挿通可能に設けられた圧胴43とを備えている。さらに、第1印刷ユニット4Aにおける版胴42の上方には、インクを貯留するインク貯留部44と、このインク貯留部44のインク出しローラ45に転接するインク写しローラ46と、このインク写しローラ46に転接するローラを含むローラ群47と、このローラ群47のローラと版胴42とに転接する一対のインク着けローラ48とを備えている。なお、第2印刷ユニット4Bは、その設置方向が上下反転している点で第1印刷ユニット4Aと相違するが、他の構成は第1印刷ユニット4Aと同じであるため、説明は省略する。
【0016】
ユニット移動手段40は、各印刷ユニット4A,4BをX軸方向に移動させるX軸方向移動手段40Aと、Y軸方向に移動させるY軸方向移動手段40Bとを備えている。X軸方向移動手段40Aは、Y軸方向移動手段40Bが配置されるXテーブル40Cと、このXテーブル40Cの下面に固定されたXスライダ40DをX軸方向にスライド駆動させる駆動機器としての一対のX単軸ロボット40E(図2中紙面奥側にX単軸ロボット40Eがもう1台存在する)とを備えている。Y軸方向移動手段40Bは、各印刷ユニット4A,4Bが配置されるYテーブル40Fと、このYテーブル40Fの下面に固定されたYスライダ40GをY軸方向にスライド駆動させる駆動機器としての一対のY単軸ロボット40Hとを備えている。
【0017】
硬化手段5は、第1印刷ユニット4Aにおける原反Rの繰出方向下流側に設けられた第1硬化ユニット5Aと、第2印刷ユニット4Bにおける原反Rの繰出方向下流側に設けられた第2硬化ユニット5Bとを備えている。各硬化ユニット5A,5Bは、エア吹付装置や紫外線照射装置等で構成され、接着シートSの印刷面にエアを吹き付けてインクを乾燥させたり、紫外線硬化型のインクを用いている場合は紫外線を照射したりすることにより、インクを硬化させるように構成されている。
【0018】
検出手段6は、再仮着手段7における接着シートSおよび剥離シートRLの繰出方向上流側に設けられている。この検出手段6は、接着シートSの上下両側に設けられた第1、第2センサ6A,6Bと、迂回ローラ33から上方に向かう剥離シートRLの右側に設けられた第3センサ6Cとを備え、接着シートSや剥離シート裏面RL2の面を撮像するカメラ、発光素子および受光素子を有する光センサ等で構成されている。第1、第2センサ6A,6Bは、接着シートSの両面に施された図示しない印刷の所定部位を検出する一方、第3センサ6Cは、剥離シート裏面RL2に予め施された図示しない印刷の所定部位を検出し、それぞれ検出結果を制御手段10に出力可能に設けられている。
【0019】
再仮着手段7は、迂回手段3で迂回してきた剥離シートRLを接着シートSの送り方向に誘導する誘導ローラ71と、誘導ローラ71に対向して設けられたピンチローラ72とを備え、接着シートSと剥離シートRLとを誘導ローラ71およびピンチローラ72間に挟み込むことにより、接着シートSを剥離シートRLに再仮着させる。
【0020】
位置合せ手段8は、図示しないベースフレームに回転自在に支持された固定ローラ81〜84と、駆動機器としての直動モータ85と、直動モータ85のスライダ86に回転自在に支持され、Z軸方向に移動可能な移動ローラ87とを備えている。これら固定ローラ81〜84と移動ローラ87とに接着シートSが掛け回されることで、迂回されている剥離シートRLの長さと、剥離シートRLが迂回されている接着シートSの長さとが同じ長さになるように設定されている。
【0021】
巻取手段9は、駆動機器であってその駆動トルクを制御可能な回動モータ91によって駆動して原反Rを巻き取る巻取ローラ92と、駆動機器であってその駆動トルクを制御可能な回動モータ93によって駆動する駆動ローラ94と、駆動ローラ94との間に原反Rを挟み込むピンチローラ95とを備えている。そして、回動モータ93、駆動ローラ94、およびピンチローラ95で第2送り手段TC2が構成される。ここで、第1送り手段TC1と第2送り手段TC2とで、迂回手段3で剥離シートRLが迂回された接着シートSに所定の張力を付与可能な張力付与手段が構成され、接着シートSは、駆動ローラ94と駆動ローラ24との間で所定の張力となるように、回動モータ93,23により張力制御が行われる。
【0022】
制御手段10は、パーソナルコンピュータやシーケンサ等で構成され、印刷装置1の全体の動作を制御可能に設けられている。
【0023】
以上の印刷装置1において、接着シートSに印刷を施す手順について説明する。
先ず、図1に示すように原反Rを通紙してセットが完了する。そして、制御手段10から起動の指令が入力された印刷装置1は、回動モータ21,23,93,91を同期駆動し、支持ローラ22、駆動ローラ24,94、および巻取ローラ92を回転させて原反Rを繰り出す。原反Rが繰り出されると、第1印刷ユニット4Aは、基材シートBSの上面に図示しない印刷を施す。基材シートBSに印刷が施された原反Rに対し、第1硬化ユニット5Aは、基材シートBSの上方からエアを吹き付けたり紫外線を照射したりして、接着シートS上のインクを硬化させる。そして、原反Rは、剥離ローラ31により剥離シートRLが下方に案内されるとともに、接着シートSが第2印刷ユニット4Bに案内される。
【0024】
剥離シートRLが接着シートSから迂回されると、第2印刷ユニット4Bは、迂回により表出した接着シートSの接着剤層ADに図示しない印刷を施し、第2硬化ユニット5Bは、接着剤層ADに対して上記と同様にして接着剤層AD上のインクを硬化させる。このようにして印刷が施された接着シートSは、位置合せ手段8を経由し、迂回手段3で迂回されてきた剥離シートRLに再仮着手段7で再仮着される。
【0025】
ここで、印刷装置1は、原反Rの有効利用の観点から、原反Rの印刷されない余白部分を少なくするため、原反Rを一旦繰出方向とは反対の方向に送って原反Rの余白部分をつめてから、再び原反Rを繰出方向に送って次の印刷を施すようにしている。これに伴い、接着シートSおよび剥離シートRLは、互いに剥離した状態で正逆両方向の送りが繰り返されるため、そのままでは接着シートSの張力が減少したり、増加したりするため、印刷手段4での印刷が歪んだり変形したりして鮮明な印刷が行えないことがある。
【0026】
このため、制御手段10は、張力付与手段を介して回動モータ23,93のトルクを制御し、接着シートSに所定の張力を付与するために張力制御を行うようになっている。すなわち、張力付与手段は、原反Rが繰出手段2側から巻取手段9側に向けて送られるときに、回動モータ93のトルクが回動モータ23のトルクよりも所定量大きくなるように各回動モータ23,93を制御し、原反Rが巻取手段9側から繰出手段2側に向けて送られるときに、回動モータ23のトルクが回動モータ93のトルクよりも所定量大きくなるように各回動モータ23,93を制御する。この張力制御により、接着シートおよび剥離シートRLのたるみが防止され、張力の減少や増加に伴う印刷不良を防ぐことができる。
【0027】
さらに、第1〜第3センサ6A〜6Cは、接着シートSの両面および剥離シート裏面RL2に施された印刷の所定部位を検出し、この検出結果を制御手段10に出力する。制御手段10は、第1、第2センサ6A,6Bから入力された検出結果を基に、基材シートBSに施された印刷と、接着剤層ADに施された印刷とがどれだけずれているかを算出し、この算出結果に基づいて、各ユニット移動手段40を介して各印刷ユニット4A,4BをそれぞれX、Y軸方向に移動させる。これにより、接着シートSの両面に印刷された印刷の位置決めが行われる。また、制御手段10は、第1、第3センサ6A,6Cから入力された検出結果を基に、基材シートBSに施された印刷と、剥離シート裏面RL2に予め施された印刷とがどれだけずれて再仮着されるか、例えば、迂回前の仮着位置からどれだけずれて再仮着されるかを算出し、この算出結果に基づいて、直動モータ85を介して移動ローラ87をZ軸方向に移動させる。これにより、接着シートSと再仮着された剥離シートRLの位置決めが行われる。
【0028】
そして、原反Rの全長にわたって接着シートSおよび剥離シートRLに印刷が施され、接着シートSおよび剥離シートRLが位置決めされて再仮着されると、原反Rは、駆動ローラ94の回転によって巻取ローラ92に送られて巻取ローラ92に巻き取られ、原反Rの巻き取りが終わって完了指令が入力されると、印刷装置1は、回動モータ21,23,93,91を停止し、次の原反Rの印刷に備える。
【0029】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、印刷装置1は、回動モータ23,93のトルクを制御することにより、迂回手段3で剥離シートRLが迂回された接着シートSに所定の張力を付与するようにしているため、原反Rを繰出方向および繰出方向とは反対の方向のどちらの方向に送る際にも、駆動ローラ24,94と原反Rとの間ですべりが生じることがない。従って、原反Rや回動モータ23,93に対する負荷を軽減しつつ、接着シートSに所定の張力を付与した状態で接着シートSの両面、つまり基材シートBSと接着剤層ADとに鮮明な印刷を施すことができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、前記実施形態において、印刷装置1は、第1および第2の2つの印刷ユニット4A,4Bを備えていたが、印刷ユニットの数および配置については、前記実施形態の構成に限られない。例えば、剥離シートRLに印刷を施す印刷ユニットをさらに設けて、接着シートSと剥離シートRLとに印刷を施すようにしてもよいし、接着剤層ADに印刷を施す第2印刷ユニット4Bのみを設けてもよい。
【0032】
また、あらかじめ各印刷ユニット4A,4Bの刷版41のうちのいずれか一方を基準刷版として設定しておき、この基準刷版によって施された印刷と、他の印刷ユニット4A,4Bの刷版41によって施された印刷のずれ量に基づいてそれら印刷の位置決めを行ってもよい。
【0033】
前記実施形態では、制御手段10により印刷の位置決めや、接着シートSおよび剥離シートRL間の再仮着のずれ調整を自動的に行うように構成したが、作業者の手作業で、例えば、第1、第2印刷ユニット4A,4Bを移動したり、各印刷ユニット4A,4Bの刷版41の位置を調整したり、移動ローラ87を移動したりしてもよい。この場合には、制御手段10による位置ずれ検出の有無やずれ量を図示しない表示装置に表示することで、作業者に印刷の位置ずれ状況や接着シートSおよび剥離シートRL間のずれ状況を知らせることができる。
【0034】
また、回動モータ23,93、駆動ローラ24,94、およびピンチローラ25,95を設けずに、支持ローラ22、回動モータ21,91、および巻取ローラ92で張力付与手段を構成してもよい。
【0035】
印刷手段4としては、サーマルヘッド、ドットインパクトプリンタ、レーザプリンタ、インクジェットプリンタなども採用することができる。また、輪転式の印刷装置1に限らず、例えば、スクリーン印刷機等に本発明を適用してもよい。
【0036】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0037】
1 印刷装置
3 迂回手段
4 印刷手段
5 硬化手段
7 再仮着手段
23 回動モータ(駆動機器)
93 回動モータ(駆動機器)
AD 接着剤層
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
TC1 第1送り手段(張力付与手段)
TC2 第2送り手段(張力付与手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を一方向および他方向に送る第1送り手段と、
前記第1送り手段で前記一方向側に送られた原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、
前記迂回手段で剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層に印刷を施す印刷手段と、
前記印刷手段で印刷が施された接着シートを剥離シートに再仮着させる再仮着手段と、
前記再仮着手段で剥離シートに接着シートが再仮着された原反を前記一方向および前記他方向に送る第2送り手段とを備え、
前記第1送り手段および前記第2送り手段は、それぞれ前記原反を送るための駆動トルクを制御可能な駆動機器を備えて張力付与手段を構成し、前記原反を前記一方向および前記他方向に送る際の前記駆動機器の駆動トルクを制御して、前記迂回手段で剥離シートが迂回された接着シートに所定の張力を付与可能に構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を一方向および他方向に送りつつ、前記接着シートに印刷を施す印刷方法であって、
前記一方向側に送られた原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させるとともに、前記原反を前記一方向および前記他方向に送るための駆動トルクを制御して、前記剥離シートが迂回された接着シートに所定の張力を付与し、
前記剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層に印刷を施し、
前記印刷手段で印刷が施された接着シートを剥離シートに再仮着させることを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−131138(P2012−131138A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285744(P2010−285744)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】