説明

印刷装置および印刷方法

【課題】読取条件を満たした挿入画像を伴う2次元コード画像を印刷する印刷装置を提供する。
【解決手段】外部から与えられた2次元コード画像に挿入画像を挿入して印刷した際に、印刷物の読取条件を満たすかどうかを判断する判断部と、判断部が読取条件を満たすと判断すると、挿入画像が挿入された2次元コード画像を記録媒体上に印刷する印刷部を有する印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクリボン等を用いて記録媒体上にバーコードや2次元コード(QRコード)等の印刷を行う印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、印刷装置は用途が複雑化・多様化してきており、インクリボン等を用いて記録媒体上にバーコードや2次元コード(QRコード)等の印刷を行う印刷装置が製造され使用されている。このような印刷装置では、特に、2次元コード(QRコード)等に挿入画像を挿入して印刷を行いたいとの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−80588号公報
【特許文献2】特開2009−230729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の印刷装置においては、例えば携帯電話のURL入力用の2次元コード(QRコード)に対して、画像イメージをこの2次元コードのコード内に挿入して、URL情報以外を追加した場合、2次元コードの誤り訂正を超えない範囲で重ね合わせ印字が行われたかどうかは、実際に印刷されたものを読み取ってみなければ判らない。この結果、印刷してみたが、2次元コードの誤り訂正を超える範囲の印刷だったため、印刷が無駄になる等の不具合が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する一実施形態は、
外部から与えられた2次元コード画像に挿入画像を挿入して印刷した際に、印刷物の読取条件を満たすかどうかを判断する判断部と、
前記判断部が前記読取条件を満たすと判断すると、前記挿入画像が挿入された前記2次元コード画像を記録媒体上に印刷する印刷部と、を具備することを特徴とする印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置における外観の一例を示す外観図。
【図2】同印刷装置における機械的構成の一例を示す説明図。
【図3】同印刷装置における電気的構成の一例を示すブロック図。
【図4】同印刷装置が扱う挿入画像が挿入されたQR画像の一例を示す説明図。
【図5】同印刷装置におけるQRコードの印刷処理を説明するフローチャート。
【図6】同印刷装置における外部のPC(Personal Computer)を用いたQRコードの印刷処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る印刷装置1を図1乃至図3を用いて、以下に詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、図1において、プリンタエンジンを格納する制御ボックス6と、この制御ボックス6とヒンジにより回動可能に接続されているカバー7と、さらに、カバー7の正面に設けられ、印刷された記録媒体を排出する排出口3と、制御ボックス6の正面に設けられた操作部4と、操作情報や操作メニュを表示する液晶画面等を用いた表示部5を有している。
【0008】
本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、さらに図2および図3において、カバー7を開くと、用紙ロールAを回転可能に保持する用紙保持部57と、インクリボンロールBを保持してインクリボンRを供給するリボン供給軸55と、リボン供給軸55から供給されるインクリボンRを巻き取って保持するリボン巻取軸56を有している。さらに、印刷装置1は、図2および図3に示すように、用紙保持部57に保持される用紙ロールAから供給される用紙Dを搬送する搬送ローラ10と、用紙Dを搬送するピンチローラ50と、用紙Dを検出する用紙検出センサ17と、リボン供給軸55からインクリボンRが供給される搬送路19と、インクリボンRおよび用紙Dを搬送するプラテンローラ13と、用紙Dに印刷を行うサーマルヘッド28を有しており、印刷した用紙Dは、排出口3から排出される。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、さらに図3の電気的構成の一例を示すブロック図を参照すると、全体の動作を制御する制御部31と、それぞれが制御部31に接続され、操作情報や設定情報、動作プログラム等が格納されているFROM32(Floating Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)33と、表示部の働きを制御する表示制御回路34と、表示制御回路34に制御される液晶画面等の表示部5と、外部に設けられたユーザ等が扱うホストコンピュータH等と通信を行う通信部16と、上述した操作部4と、上述した搬送ローラ10、プラテンローラ13、ピンチローラ50等を駆動するステッピングモータ36と、ステッピングモータ36を制御するモータ制御回路35と、上述したリボン巻取軸56を駆動するリボンモータ38と、リボンモータ38を制御するモータ制御回路37と、上述したサーマルヘッド28を制御するヘッド制御回路39と、QRコード判断部40と、2次元コード画像等を生成する画像生成部41を有している。
【0010】
このような構成をもつ印刷装置1は、制御部31の制御下において、操作部4またはホストコンピュータHからの操作に従って、一例として、記録媒体である用紙Dにサーマルヘッド28により印刷して、搬送ローラ10、プラテンローラ13、ピンチローラ50等により用紙Dを搬送して排出口3へと排出する。
【0011】
次に、このような構成をもつ印刷装置1のQRコード生成について、図4のQRコードの説明図、図5および図6のフローチャートを用いて以下に詳細に説明する。
【0012】
はじめに、挿入画像が挿入後の2次元コード(QRコード)の例を、図4を用いて説明する。図4の(a)は、星型のマークである挿入画像が2次元コード(QRコード)の中央の位置に挿入された画像の例である。図4の(b)は、列車型のマークである挿入画像が2次元コード(QRコード)の中央の位置に左右に分布した領域において挿入された画像の例である。図4の(c)は、雪だるま型のマークである挿入画像が2次元コード(QRコード)の中央の位置に上下に分布した領域において挿入された画像の例である。図4の(d)は、星型のマークである挿入画像が2次元コード(QRコード)の右下の位置に挿入された画像の例である。このように、挿入された位置、大きさ、形が異なる場合、印刷後の読取条件に異なる影響を及ぼすことが判っている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る印刷装置1であるラベルプリンタには、画像生成部41等において、所定の用紙サイズに合わせたイメージバッファが用意されており、そのイメージバッファに2次元コードやキャラクター等の描画を行い、その後、そのイメージバッファに描画されたデータを1ライン毎にサーマルヘッド28に転送して、記録媒体上に印字を行う。
【0014】
この実施形態の画像生成部41においては、画像生成部41のイメージバッファへの描画の際、重ね合わせを行うためのエリアが指定されると、重ね合わせるために必要な2次元コードの一部を削除する機能、2次元コードに挿入画像を挿入した画像を描画する機能を持っている。さらに、QRコード判断部40は、2次元コードリーダエンジンの2次元コードの誤り訂正機能を利用し、一部が削除された2次元コードが正常の読取レート(例えば30%)の範囲で読み取りが正常に行われるかを判断する機能を有している。
【0015】
このように、本実施形態においては、わざと欠損部分を作成されることで、2次元コードの誤り訂正機能を利用して事前に読取条件が満たされるか否かを判断することができる。また、誤り訂正レベルや、挿入画像の挿入位置に制限があることを事前に知ることができる。すなわち、挿入画像の挿入場所や大きさにより、誤り訂正が正常に行われるか否かを判断することができ、2次元コードの読取機能を維持するために必要な箇所に、誤って挿入画像が挿入されてしまうことを回避することができる。これにより、2次元コードとしての規定を満足しつつ、画像を挿入するエリアを特定することができる。
【0016】
さらに、例えば外部装置であるホストコンピュータHの表示画面やPC(Personal Computer)の表示画面、また、ラベル印刷装置である印刷装置1の表示部5において、あらかじめ挿入画像を挿入できる箇所を表示することで、容易に画像を挿入する箇所をユーザに指定することができる。
【0017】
次に、ラベル印刷装置である印刷装置1の操作により、2次元コードに挿入画像を挿入する具体的な手順を、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。印刷装置1の制御部31は、操作部4または通信部16から、2次元コード(QRコード)の元となる画像形成に使用される文字の文字数が入力され(ステップS11)、さらに、2次元コード(QRコード)が読み取られるために必要なエラーレートが設定され(ステップS12)、1セル分の構成ドット数が入力される(ステップS13)。これらの値は、予め操作部4から与えられてRAM33等に記憶されているか、デフォルトで自動的に与えられても良い。さらに、操作部4または通信部16から、挿入される挿入画像の大きさおよび挿入される位置が特定される(ステップS14)。制御部31および画像生成部41は、これらの情報の入力が完了した時点でこれらの情報に基づき、2次元コード(QRコード)画像から挿入位置と大きさに応じた領域の画像を削除し、制御部31およびQRコード判断部40は、削除した画像について2次元コードの誤り訂正機能を利用することで、挿入画像が挿入後の2次元コード(QRコード)が読取可能か否かの判断を行う(ステップS15)。
【0018】
制御部31およびQRコード判断部40は、読取可能であると判断すれば、画像生成部41は、与えられた文字等に基づき、2次元コード(QRコード)の画像を生成し、与えられた挿入画像を与えられた挿入条件に基づいて、挿入することで合成画像を生成する。そして、ラベル等の記録媒体上にサーマルヘッド28等を用いて、画像生成部41から供給される合成画像に基づいて、図4の(a)〜(d)のような挿入画像が挿入された2次元コード(QRコード)を印刷する(ステップS16)。画像生成部41は、挿入画像を、貼り付ける位置および大きさや形状に対して、等倍・伸張を行った上で2次元コード(QRコード)に貼り付けることができる。
【0019】
上述した挿入画像の挿入および判断処理は、印刷処理のスループットに影響を及ぼす可能性があるため、この挿入画像の挿入および判断処理をオン・オフさせる機能を制御部31に持たせることが好適である。これにより、早く印刷したい場合などは、この挿入画像の挿入および判断処理をキャンセルすることが好ましい。
【0020】
さらに、この挿入画像の挿入および判断処理は、外部のホストコンピュータHやPC等を積極的に用いて行うことも可能であり、図6のフローチャートを用いて以下に詳細に説明する。
すなわち、本発明の一実施形態に係るラベルプリンタである印刷装置1の制御部31は、通信部16等を介して外部のホストコンピュータHやPC等から、すでに挿入画像が挿入されたQRコード画像を受ける(ステップS21)。制御部31および画像生成部41は、与えられたQRコード画像に基づきバッファ等に画像イメージを展開する(ステップS22)。そして、制御部31およびQRコード判断部40は、2次元コードリーダエンジンの2次元コードの誤り訂正機能を利用し、展開したQRコード画像が正常の読取レート(例えば30%)の範囲で読み取りが正常に行われるかを判断する(ステップS23)。
【0021】
制御部31およびQRコード判断部40は、正常の読取レート(例えば30%)の範囲で読み取りが行われないと判断すれば(ステップS24)、印刷装置1の表示部5や、ホストコンピュータHの表示画面またはPC等の表示画面において、エラーが発生したことを表示すると共に、どのように挿入画像の大きさ、形状、位置を変化させれば印刷できるかとの情報を表示することが好ましい(ステップS26)。制御部31およびQRコード判断部40は、正常の読取レート(例えば30%)の範囲で読み取りが行われると判断すれば(ステップS24)、サーマルヘッド28等を用いてラベル等の記録媒体上に挿入画像が挿入されたQRコード画像(例えば図4の(a)〜(d))を印刷して出力する。
【0022】
本発明の一実施形態である印刷装置1は、このように、印刷装置1に事前に与えられた挿入画像の挿入条件に基づいて挿入画像が挿入されて印刷されたコード画像(QRコード)が、読取条件を満たすかどうかを事前に判断することで、読取不能なコード画像を誤って印刷してしまい時間と資源を無駄にするということがない。
【0023】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、さらにこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
1…印刷装置、4…操作部、5…表示部、16…通信部、28…サーマルヘッド、31…制御部、36…ラインフィールドモータ、40…QRコード判断部、41…画像生成部、H…ホストコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から与えられた2次元コード画像に挿入画像を挿入して印刷した際に、印刷物の読取条件を満たすかどうかを判断する判断部と、
前記判断部が前記読取条件を満たすと判断すると、前記挿入画像が挿入された前記2次元コード画像を記録媒体上に印刷する印刷部と、を具備することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記2次元コード画像と前記挿入画像と前記2次元コード画像に前記挿入画像を挿入する際の挿入条件を入力する入力部をさらに有しており、
前記判断部は、前記挿入条件に基づき、前記2次元コード画像に挿入画像を挿入して印刷した際に前記読取条件を満たすかどうかを判断する請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記挿入条件とは、前記挿入画像の大きさと位置、文字数、エラーレート、1セル分の構成ドット数の内の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記2次元コード画像と前記挿入画像を入力する入力部と、
前記入力部が入力した前記2次元コード画像および挿入画像に基づき、前記挿入画像が挿入された前記2次元コード画像を生成して前記印刷部に供給する生成部をさらに具備する請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記入力部は、外部装置から前記挿入画像が既に挿入された2次元コード画像を受け、
前記判断部は、前記入力部が入力した前記挿入画像が既に挿入された2次元コード画像に基づき、前記2次元コード画像に挿入画像を挿入して印刷した際に前記読取条件を満たすかどうかを判断する請求項1記載の印刷装置。
【請求項6】
外部から印刷装置に与えられた2次元コード画像に挿入画像を挿入して印刷した際に、印刷物の読取条件を満たすかどうかを判断し、
前記読取条件を満たすと判断すると、前記挿入画像が挿入された前記2次元コード画像を記録媒体上に印刷することを特徴とする印刷装置の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−183720(P2012−183720A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48259(P2011−48259)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】