説明

印刷装置および印刷装置の制御方法、並びに印刷システム

【課題】外部装置のアプリ変更を必要とすることなく、印刷媒体の発行をリアルタイムに報知することができる印刷装置および印刷装置の制御方法、並びに印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを送信する外部装置3から、印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行う印刷手段26と、カッタコマンドにより、印刷媒体を幅方向にカットするカット手段27と、カット手段27によるカット動作と同期して、印刷媒体をカットした旨の報知を行う報知手段28と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状の印刷媒体に印刷を行うと共に、印刷媒体の印刷済み部分の切断を行う印刷装置および印刷装置の制御方法、並びに印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レストランや飲食店の厨房等において、調理指示の伝票を印刷するためのキッチンプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、連続紙に画像を印刷する画像印刷機構、連続紙を排出する排出口、連続紙を切断するカッタブレードおよび外部装置(ハンディターミナルや電子キャッシュレジスタ等)と通信を行う情報通信部により構成されたキッチンプリンタ(プリンタ装置)が記載されている。このキッチンプリンタは、外部装置から注文情報(印刷要求)を受信すると、連続紙に調理メニュー等を印刷し、その後、カッタブレードにより当該連続紙を所定の長さに切断する。これにより、厨房の調理者に調理指示を行うための調理指示伝票を発行する。
【0003】
ところで、上記のキッチンプリンタを用いた場合、調理者が忙しい場合等には、調理指示伝票が発行されたことに気付かないことが考えられる。これを解決する手段として、例えば、特許文献2に記載されているように、外部装置(ホストコンピュータ)からプリンタに対して音声要求情報を送信し、この音声要求情報に基づいて、プリンタ側で音声出力して報知し、聴覚を介して注意を促すことが考えられる。
【特許文献1】特開平6−218999号公報
【特許文献2】特許第3268715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のキッチンプリンタに特許文献2の音声出力の方法を適用した場合、外部装置からキッチンプリンタに対して、調理指示伝票を発行するための指示とは別に、音声出力のための指示を行わなければ成らない。このため、調理伝票の発行処理と音声出力の処理とが別となるため、調理伝票の発行と音声による報知とを同期することができない。つまり、調理伝票の発行と音声出力とにタイムラグが発生するため、調理伝票の発行をリアルタイムに報知できないという問題がある。特に、外部装置とキッチンプリンタとを接続するネットワークが混雑している場合等は、このタイムラグが顕著になることが考えられる。また、既存の(特許文献1に記載の)キッチンプリンタに音声出力機能を搭載するためには、外部装置のアプリ変更が必要となり、導入コストが嵩むといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みたものであり、外部装置のアプリ変更を必要とすることなく、印刷媒体の発行をリアルタイムに報知することができる印刷装置および印刷装置の制御方法、並びに印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを送信する外部装置から、印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行う印刷手段と、カッタコマンドにより、印刷媒体を幅方向にカットするカット手段と、カット手段によるカット動作と同期して、印刷媒体をカットした旨の報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、印刷媒体のカット動作と同期して印刷媒体をカットした旨を報知することができるため、結果として印刷物の発行をリアルタイムに報知することができる。
特に、飲食店やレストラン等の厨房に設置されるキッチンプリンタに適用することで、調理者に対して適切なタイミングで調理指示伝票の発行を知らせることができるため、調理開始の遅延防止等の観点からみて効果的である。
また、外部装置は報知を行うための特別なコマンドを追加する必要がないため、外部装置のアプリ変更をすることなく実現でき、導入コストを抑えることができる。
なお、報知手段は、外部装置等へコマンドや信号を送って、報知を行っても良い。
【0008】
本発明の印刷装置において、カット手段は、複数のカットパターンを有すると共に、カッタコマンドは、複数のカットパターンに対応した複数種類のカッタコマンドを有し、報知手段は、カッタコマンドの種類に応じて、異なる報知パターンで報知を行うことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、印刷媒体のカットパターンの種類に応じて(カッタコマンドの種類に応じて)、異なる報知パターンで報知することができる。これにより、この報知により現在のカット状況を容易に把握することができる。なお、カットパターンとしては、印刷媒体の一部を残してカットを行う部分カット(パーシャルカット)や、印刷媒体を完全にカットする全カット等が想定される。
例えば、レストラン等の厨房で用いられる調理指示伝票の発行に際しては、1のテーブルから複数種類の料理が注文された場合、料理の種類(調理品目)毎に印刷媒体の一部を残してカットを行い(部分カット)、注文の最後に印刷媒体を完全に切断して(全カット)1つの調理指示伝票を発行する。この場合、部分カットと全カットとを異なる報知パターンで報知することで、調理者は調理指示伝票のカット状況を把握でき、結果として1テーブル当たりの注文状況を把握することができる。
【0010】
本発明の印刷装置において、印刷ジョブからカッタコマンドを検出する検出手段を備えたことが好ましい。
【0011】
また、本発明の印刷装置において、検出手段は、予め定められた特定データをさらに検出し、報知手段は、カッタコマンドを検出した印刷ジョブに含まれる特定データに応じて、異なる報知パターンで報知を行うことが好ましい。
【0012】
これらの構成によれば、カッタコマンドを検出することで、報知手段による報知の準備を行うことができる。また、印刷ジョブに含まれる特定データに応じて、異なる報知パターンで報知することができるため、この報知により、印刷された内容を容易に把握することができる。なお、特定データとしては、カラー印刷を示す情報、拡大文字印刷を示す情報、太文字印刷を示す情報、および特定の文字列を示す情報等が考えられる。
【0013】
本発明の印刷装置において、報知手段は、電子音を発生することにより報知を行なうことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、電子音による鳴動により、印刷物の発行を報知することができる。例えば、本発明の印刷装置をキッチンプリンタとして使用する場合、調理者が忙しく、キッチンプリンタを視認することができない場合でも、容易に印刷物(調理指示伝票)が発行されたことを把握することができる。
【0015】
本発明の印刷システムは、上記に記載の印刷装置と、外部装置と、から構成されることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、外部装置から印刷装置へ送信される既存のカッタコマンド(印刷媒体をカットするための指示コマンド)の検出をトリガとして、印刷媒体のカットと同期して、印刷媒体をカットした旨を報知することができる印刷システムを提供することができる。
【0017】
本発明の印刷装置の制御方法は、印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを受信し、前記印刷ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行い、前記印刷ジョブに含まれる前記カッタコマンドにより、前記印刷媒体を幅方向にカット動作をするとともに、前記カット動作と同期して、前記印刷媒体をカットした旨の報知を行うことを特徴とする。
【0018】
この方法によれば、印刷媒体のカット動作と同期して印刷媒体をカットした旨を報知することができるため、結果として印刷物の発行をリアルタイムに報知することができる。
特に、飲食店やレストラン等の厨房に設置されるキッチンプリンタに適用することで、調理者に対して適切なタイミングで調理指示伝票の発行を知らせることができるため、調理開始の遅延防止等の観点からみて効果的である。
また、特別なコマンドを追加する必要がないため、外部装置のアプリ変更をすることなく実現でき、導入コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る印刷装置および印刷システムについて説明する。なお、本実施形態では、印刷装置をキッチンプリンタとして用い、飲食店やレストラン等の厨房に対して調理指示伝票を発行するための調理伝票発行システムに適用した例を挙げて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る調理伝票発行システム1の制御ブロック図である。図1に示すように、本実施形態の調理伝票発行システム1は、飲食店やレストラン等の厨房に設置され、調理者に対して調理指示を行うための伝票(以下、「調理指示伝票D(印刷物)」と称す。)を発行するキッチンプリンタ2(印刷装置)と、オーダリング端末等の外部端末(図示省略)から入力された顧客の注文情報を管理すると共に、当該注文情報に基づく調理指示伝票Dを印刷するための印刷ジョブを生成する注文管理サーバ3(外部装置)と、から構成されている。そして、キッチンプリンタ2と注文管理サーバ3とは、ネットワークNT(有線/無線を問わず)を介して接続されている。
【0021】
注文管理サーバ3は、CPU11(Central Processing Unit)、ROM12(Read Only Memory)、RAM13(Random Access Memory)、HDD14(Hard Disk Drive)、通信部15の他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を有している。CPU11は、注文管理サーバ3の動作全体を制御するものであり、制御プログラム(オペレーティングシステム(OS)14a等)や各種アプリケーションを実行する。
【0022】
HDD14は、オペレーティングシステム14aの他、注文管理アプリケーション14bおよびプリンタドライバ14cを記憶している。注文管理アプリケーション14bは、注文情報の管理や、調理指示伝票Dを印刷するための印刷ジョブを生成するものである。プリンタドライバ14cは、オペレーティングシステム14aとキッチンプリンタ2との橋渡しを行うものである。通信部15は、キッチンプリンタ2と通信を行うための通信手段として機能する。
【0023】
CPU11は、注文管理アプリケーション14bを実行することにより、外部端末(オーダリング端末等)から入力された注文情報に基づいて、調理指示情報(印刷データ)を作成する。そして、CPU11は、作成した調理指示情報と、印刷制御コマンド(印刷に関する制御命令)とから成る印刷ジョブを生成し、通信部15を介し、キッチンプリンタ2に対して当該印刷ジョブを送信する。
【0024】
この調理指示情報には、テーブル番号、調理対象となる料理名、料理の数量の他、特別な調理が必要な旨を示す特別調理情報(例えば、「わさび抜き」や「大盛り」等の情報)が含まれている。この特別調理情報には、料理名や数量などとは異なる形式で印刷すべく、例えば、カラー印刷を示す情報(カラー印刷情報)、拡大文字印刷を示す情報(拡大文字印刷情報)、および太文字印刷を示す情報(太文字印刷情報)等が付加されている(これら付加される情報を総称して、「特定コマンド(特定データ)」とする。)。
【0025】
また、印刷制御コマンドとしては、上記の特定コマンドの他、ロール紙(印刷媒体)を紙送りするための紙送りコマンド、およびロール紙を切断するカッタコマンド等がある。さらに、カッタコマンドには、ロール紙の幅方向の一部を残してカットを行う部分カッタコマンド(パーシャルカッタコマンド)や、ロール紙を幅方向に完全にカットする全カッタコマンド等、複数種類のカットパターンに対応したコマンドがある。
【0026】
キッチンプリンタ2は、CPU21、ROM22、RAM23、フラッシュROM24、通信部25、印刷部26(印刷手段)、切断部27(カット手段)および報知部28を備えている。ROM22は、CPU21が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。RAM23は、CPU21が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。
【0027】
通信部25は、注文管理サーバ3と通信を行う通信手段として機能する。CPU21は、通信部25を介して注文管理サーバ3から調理指示伝票Dを印刷するための印刷ジョブを受信する(印刷ジョブ受信手段)。印刷部26は、受信した印刷ジョブに含まれる調理指示情報に基づいて、ロール紙に調理指示内容を印刷する印刷手段として機能する。
【0028】
切断部27は、印刷したロール紙をカットするものであり、印刷ジョブに含まれるカッタコマンドに基づいて、ロール紙の部分カット(部分カッタコマンド受信時)および全カット(全カッタコマンド受信時)を行う。図2に示すように、切断部27は、固定刃31と、固定刃31と略平行に配置された可動刃32と、可動刃32を駆動する駆動モータ33と、可動刃32の位置を検出する位置検出センサ34により構成されている。
【0029】
可動刃32は、その刃先32aに略逆三角形のスリット35が形成されると共に、T字状の支持フレーム36により支持されている。この支持フレーム36の軸部37には、歯切りが施されており、この軸部37と、駆動モータ33のピニオン38とは噛み合うよう構成されている。そして、駆動モータ33の駆動に伴いピニオン38が回転することで支持フレーム36が上下に移動し、これにより、可動刃32は固定刃31と交差するように上下に摺動して、これら固定刃31および可動刃32の間に通したロール紙(印刷媒体)を切断する。
【0030】
位置検出センサ34は、部分カットセンサ34aおよび全カットセンサ34bを有しており、これらセンサ34a、34bを用いて支持フレーム36(可動刃32)の位置を決めることで、ロール紙の部分カットまたは全カットを実現する。具体的には、部分カットセンサ34aにより支持フレーム36が検出できなくなる位置まで可動刃32を移動させることで、可動刃32のスリット35部分にロール紙の一部が残るようにカットする。これにより、ロール紙の部分カットを行う。一方、全カットセンサ34bにより支持フレーム36が検出できなくなる位置まで可動刃32を移動させることで、ロール紙の全カットを行う。
【0031】
図1の説明に戻る。報知部28は、所謂ブザー28aであり、後述する報知パターンP(図3参照)に基づいて、ブザー28aから電子音を発生させる。CPU21は、カッタコマンドの実行をトリガとして(同期して)、当該ブザー28aを鳴動させる。ブザー28aの電子音で聴覚的に報知することで、調理者が忙しく、キッチンプリンタ2を視認することができない場合でも、容易に調理指示伝票Dが発行されたことを把握することができる。
【0032】
フラッシュROM24は、テーブル記憶領域41を有し、テーブル記憶領域41には、報知パターンテーブル42および報知パターン対応テーブル43が記憶されている。図3(a)に示すように、報知パターンテーブル42には、異なる電子音でブザー28aを鳴動させるための複数の報知パターンP(P1〜P8)が登録されている。そして、これら報知パターンP(P1〜P8)は、ブザー28aの音量、ブザー28aの音程(音の高低)、ブザー28aを鳴らす回数、およびブザー28aを鳴らす時間等の項目から構成されている。
【0033】
また、図3(b)に示すように、報知パターン対応テーブル43には、カッタコマンドの種類(部分カッタコマンド/全カッタコマンド)、および調理指示情報に含まれる特定コマンドの種類に応じて、報知パターンP(P1〜P8)が関連付けられている(但し、本実施形態では、調理指示情報には複数の特定コマンドが含まれないものとする)。これにより、カッタコマンドの種類および特定コマンドの種類に応じて、異なる報知パターンPでブザー28aを鳴動することができ、ブザー28aの鳴動の違いにより、カット状況(どのようなパターンでカットされたか)、あるいは調理指示情報(印刷内容)を容易に把握することができる。
【0034】
以上の構成により、CPU21は、注文管理サーバ3から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブに基づいて調理指示伝票Dの印刷を実行する。この時、CPU21は、調理指示情報の特定コマンドを検出する。そして、CPU21は、調理指示情報に続くカッタコマンドを検出すると、当該カッタコマンドを実行してロール紙のカットを実行すると共に、これと同期して検出した特定コマンドの種類および当該カッタコマンドの種類に対応した報知パターンPで、ブザー28aを鳴動させる。つまり、CPU21は、カッタコマンドをトリガとして、ロール紙のカットとブザー28aの鳴動とを同時に実行する。
【0035】
なお、1つの印刷ジョブ中に、カッタコマンドが複数存在する場合、各カッタコマンドの実行と同期して鳴動させるブザー28aの報知パターンPは、そのカッタコマンドの検出よりも前に処理した調理指示情報に含まれる特定コマンドの種類と当該カッタコマンドの種類によって決定される。
【0036】
例えば、図4に示すように、3つのカッタコマンドが含まれる印刷ジョブを実行して調理指示伝票D1を発行する場合、キッチンプリンタ2(CPU21)は、最初の調理指示情報M1に含まれる特定コマンド(太文字印刷)を検出し、最初のカッタコマンドC1(部分カッタコマンド)による部分カットの実行と同期して、特定コマンド(太文字印刷)および部分カッタコマンドに対応した報知パターンP6(図2参照)でブザー28aを鳴動する。
【0037】
次に、キッチンプリンタ2は、2番目の調理指示情報M2に含まれる特定コマンド(拡大文字印刷)を検出し、2番目のカッタコマンドC2(部分カッタコマンド)による部分カットの実行と同期して、特定コマンド(拡大文字印刷)および部分カッタコマンドに対応した報知パターンP7(図2参照)でブザー28aを鳴動する。
【0038】
さらに、キッチンプリンタ2は、3番目の調理指示情報M3に含まれる特定コマンド(特定コマンドなし)を検出し、3番目のカッタコマンドC3(全カッタコマンド)による全カットの実行と同期して、特定コマンド(なし)および全カッタコマンドに対応した報知パターンP1(図2参照)でブザー28aを鳴動する。これにより、キッチンプリンタ2から、同図に示すような、2ヶ所を部分カットした調理指示伝票D1を発行することができる。
【0039】
次に、図5のフローチャートを参照して、調理指示伝票Dの発行を報知する手順(キッチンプリンタ2の制御方法)について説明する。まず、キッチンプリンタ2は、注文管理サーバ3から印刷ジョブを受信し(S01)、当該印刷ジョブに基づいて調理指示伝票Dの発行処理(印刷処理)を開始する(S02)。この発行処理において、キッチンプリンタ2は、印刷ジョブに含まれる調理指示情報の中の特定コマンドを検出し、当該特定コマンドを抽出する(S03,検出手段)。
【0040】
続いて、キッチンプリンタ2は、印刷ジョブに含まれるカッタコマンドを検出する(S04,検出手段)。この検出をトリガとして、キッチンプリンタ2は、検出したカッタコマンドに基づくカットパターン(全カット/部分カット)でロール紙のカットを実行すると共に(S05)、このカット動作と同期して、検出(抽出)した特定コマンドの種類および当該カッタコマンドの種類に対応した報知パターンPで、ブザー28aを鳴動する(S06)。
【0041】
カット動作後、キッチンプリンタ2が、印刷ジョブの完了を示すコマンドを検出した場合(S07;Yes)、調理指示伝票Dの発行処理を終了する(S08)。一方、印刷ジョブの完了を示すコマンドを検出しない場合(S07;No)、キッチンプリンタ2は、S03からS06までの処理を繰り返し実行する。つまり、キッチンプリンタ2は、印刷ジョブの完了を示すコマンドを検出するまで、S03からS06までの処理を繰り返し行い、印刷ジョブの完了を検出した時点で調理指示伝票Dの発行処理を終了する。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、ロール紙(印刷媒体)のカット動作と同期してロール紙をカットした旨をブザー28aの鳴動により報知することができる。つまり、調理者に対して調理指示伝票D(印刷物)の発行をリアルタイムに(適切なタイミングで)報知することができるため、調理開始の遅延防止等の観点からみて効果的である。
【0043】
なお、本実施形態の調理伝票発行システム1は、あくまでも一例であり、例えば、本発明の印刷システムをPOSシステムに適用することも可能である。この場合、レシートのカット動作と同期して、音による報知を行うことができるため、店員に対して、適切なタイミングでレシート発行を通知することができる。
【0044】
また、本実施形態の注文管理サーバ3に相当する外部装置に、報知を行うための特別なコマンドを追加する必要がないため、外部装置のアプリケーションを変更することなく実現でき、導入コストを抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態では、ブザー28aを用いて、音により報知を行っているが、これに限るものではない。例えば、カッタコマンドによるカット動作と同期してインジケータ(ランプ)を明滅させて視覚的に報知するようにしても良いし、あるいは、ブザー28aとインジケータを併用して報知するようにしても良い。
【0046】
また、図3に示す報知パターンPや、報知パターンPと、カッタコマンドの種類および特定コマンドの種類と、の対応付けはあくまでも一例であり、これに限るものではない。
【0047】
また、調理指示情報に複数の特定コマンドが含まれる場合は、最初に検出した特定コマンドに基づいて報知パターンPを決定するようにしても良いし、最後に検出した特定コマンドに基づいて報知パターンPを決定するようにしても良い。あるいは、特定コマンドに優先度を付け、検出した特定コマンドの内、優先度の高いものに基づいて報知パターンを決定するようにしても良い。
【0048】
また、上記の実施例では、調理指示情報に含まれる特定コマンドに基づいて報知パターンPを決定したが、コマンド以外のデータ(「わさび抜き」や「大盛り」といった文字列など)に基づいて報知パターンPを決定するようにしても良い。さらに、カッタコマンド以外の印刷制御コマンドに基づいて(紙送りコマンドの有無など)報知パターンPを決定するようにしても良い。
【0049】
また、上述した実施例によらず、調理伝票発行システム1の装置構成や処理工程、およびキッチンプリンタ2の機器構成、処理工程および制御方法等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る調理伝票発行システムの制御ブロック図である。
【図2】報知パターンテーブルおよび報知パターン対応テーブルを説明する図である。
【図3】印刷ジョブ実行におけるカット動作およびブザーによる報知の一例について説明する図である。
【図4】切断部の構造を説明する図である。
【図5】調理指示伝票の発行を報知する手順について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…調理伝票発行システム 2…キッチンプリンタ 3…注文管理サーバ 26…印刷部 27…切断部 28…報知部 28a…ブザー P…報知パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを送信する外部装置から、前記印刷ジョブを受信する印刷ジョブ受信手段と、
前記印刷ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記カッタコマンドにより、前記印刷媒体を幅方向にカットするカット手段と、
前記カット手段によるカット動作と同期して、前記印刷媒体をカットした旨の報知を行う報知手段と、を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記カット手段は、複数のカットパターンを有すると共に、
前記カッタコマンドは、前記複数のカットパターンに対応した複数種類のカッタコマンドを有し、
前記報知手段は、
前記カッタコマンドの種類に応じて、異なる報知パターンで報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷ジョブから前記カッタコマンドを検出する検出手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記印刷ジョブから、予め定められた特定データをさらに検出し、
前記報知手段は、
前記カッタコマンドを検出した前記印刷ジョブに含まれる前記特定データに応じて、異なる報知パターンで報知を行うことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記報知手段は、電子音を発生することにより報知を行なうことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷装置と、前記外部装置と、から構成されることを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
印刷データおよびカッタコマンドを含む印刷ジョブを受信し、
前記印刷ジョブに含まれる前記印刷データに基づいて、長尺状の印刷媒体に印刷を行い、
前記印刷ジョブに含まれる前記カッタコマンドにより、前記印刷媒体を幅方向にカット動作をするとともに、
前記カット動作と同期して、前記印刷媒体をカットした旨の報知を行うことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−42630(P2010−42630A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209511(P2008−209511)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】