説明

印刷装置における1ページの処理状況確認方法

【課題】 ユーザからの指示に従い、印刷処理がどの程度まで進んでいるか、プリンタ異常となっているのかを視覚的に早期に判断可能にする。
【解決手段】 ユーザが進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認を指示すると、印刷装置は現在の処理中のページのそれまでに作成された印刷イメージをユーザインタフェースに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷システムにおける、1ページの処理状況確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来例としては、特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2002−196916号公報
【特許文献2】特開2003−44255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、印刷装置に対して送信されるデータ量は非常に増大してきており、1ページの処理を行い排出するまでに、10分以上要する場合がある。このような場合、ユーザは処理されているのか、プリンタ異常が発生しているのか判断できない。印刷終了予測などの技術も従来検討されているが、1ページの処理に対して進行状況を正確にユーザに提示することは難しい。ユーザからの指示に従い、印刷処理がどの程度まで進んでいるかを視覚的に提示できれば、処理がすすんでいるのか、プリンタ異常となっているのかを早期に判断可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、印刷装置及び印刷システムにおいて印刷処理を行う際に、1ページ毎の処理中に、あらかじめ設定された条件を満たすと、前記印刷装置及び印刷システムのユーザインタフェース上の進行状況確認ボタンが有効化され、ユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認を指示すると、前記印刷装置及び印刷システムは現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示する表示手段を有する。前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの処理開始から一定時間以上要していることである。前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの前ページまでの処理において異状が発生していることである。前記現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示した後、ユーザから現在の処理中ページをスキップすることが前記ユーザインタフェースから指示されると、次ページの処理へ移行する移行手段を有する。
【0005】
印刷装置及び印刷システムにおいて印刷処理を行う際に、1ページ毎の処理中に、あらかじめ設定された条件を満たすと、前記印刷装置及び印刷システムのユーザインタフェース上の進行状況確認ボタンが有効化され、ユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認を指示すると、前記印刷装置及び印刷システムは現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを用いて印字動作を行う印刷手段を有する。前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの処理開始から一定時間以上要していることである。前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの前ページまでの処理において異状が発生していることである。前記現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを用いて印字動作を行った後、ユーザから現在の処理中ページをスキップすることが前記ユーザインタフェースから指示されると、次ページの処理へ移行する移行手段を有する。
【0006】
これら手段により、後述する実施例に示すように課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、ユーザからの指示に従い、印刷処理がどの程度まで進んでいるかを視覚的に提示することができ、処理がすすんでいるのか、プリンタ異常となっているのかを早期に判断可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施例1)
次に、添付の図面を参照して本発明に係る一実施例を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る一実施例における印刷装置及び印刷システムのブロック図である。
【0010】
図1において、破線で示された印刷装置本体0101には、外部のホストコンピュータ0102が不図示のコネクタを介して接続されており、ホストコンピュータ0102からページ記述言語を用いることで、文字コード、排紙命令等を受け取り、印刷出力されるように構成されている。またホストコンピュータ0102がなく、印刷装置本体0101単独で構成されていても良い。ホストコンピュータ0102は印刷装置本体0101からの、エラー通知等の表示や、印刷装置本体0101へ指示を行うユーザインタフェースを保持している。
【0011】
印刷装置本体0101において、0103はブートROM0105に格納されたブートプログラムの制御手順に従い、ハードディスクドライブ0108に格納された実行プログラムをRAM0106上にロードし、ロードされた実行プログラムの制御手順に従い、本装置0101の全体制御を行うCPU装置、0104はホストコンピュータ0102よりのページ記述言語を用いることで、文字コード、排紙命令等の受信データを蓄える受信バッファ、0105は上述したCPU装置0103の初期動作とハードディスクドライブ0108に格納された実行プログラムをRAM0106上にロードし、CPU装置0103に実行させる、あるいはホストコンピュータ0102から実行プログラムが格納されたブートROM、0106CPU0103の実行プログラムの格納領域および実行プログラムを実行する際にワークエリアとして機能するRAM、0107は公知の電子写真プロセスに準じて画像を顕像化する出力部、0108は上述した実行プログラム、印刷データ等の保存に用いる領域を格納するハードディスクドライブ、0109はエラー通知等を表示や印刷装置への指示を行うユーザインタフェースである操作パネルである。0110は、印刷装置0101の個々にユニークな機台IDが格納されたNVRAMで、工場での初期化時にIDが設定され以降の変更はできないものである。0111は、印字データを読み読む、画像読み取り部である。
【0012】
図2は本発明における実施例の一例を示すフローチャートである。図2において印刷装置及び印刷システムでは、ホストコンピュータ0102あるいは操作パネル0109から印刷指示が行われると(0202)、全ページ出力終了まで各ページにおいて以下の処理が繰り返される(0203から0211)。ホストコンピュータ0102上の、印刷装置0101に対するユーザインタフェースあるいは、操作パネル0109上の進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ現ページの処理開始からあらかじめ設定された時間が経過しているかを判断し(0204)、前記進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ前記時間が経過している場合は前記進行状況確認ボタンを有効化する(0205)。次にユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認指示を印刷装置0101に対して行ったか判断し(0206)、前記指示が行われている場合それまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示する(0207)。次に1ページ処理が終了したかを判断し(0208)、終了した場合は1ページ印刷し(0209)、終了していない場合は現ページの処理を続行する(0210)。全ページ出力終了すると、印刷終了処理を行い(0212)、終了する(0213)。
【0013】
(実施例2)
図3は本発明における実施例の一例を示すフローチャートである。図3において印刷装置及び印刷システムでは、ホストコンピュータ0102あるいは操作パネル0109から印刷指示が行われると(0302)、全ページ出力終了まで各ページにおいて以下の処理が繰り返される(0303から0314)。ホストコンピュータ0102上の、印刷装置0101に対するユーザインタフェースあるいは、操作パネル0109上の進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ現ページの処理開始からあらかじめ設定された時間が経過しているかを判断し(0304)、前記進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ前記時間が経過している場合は前記進行状況確認ボタンを有効化する(0305)。次にユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認指示を印刷装置0101に対して行ったか判断し(0306)、前記指示が行われている場合それまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示する(0307)。そしてユーザに対して、前記ユーザインタフェースを介して、このページの処理をスキップするかの選択を促す(0308、0309)。ユーザがスキップするように指示を与えた場合は、現ページの処理を終了し、次ページの処理へ移行する(0310)。次に1ページ処理が終了したかを判断し(0311)、終了した場合は1ページ印刷し(0312)、終了していない場合は現ページの処理を続行する(0313)。全ページ出力終了すると、印刷終了処理を行い(0315)、終了する(0316)。
【0014】
(実施例3)
図4は本発明における実施例の一例を示すフローチャートである。図4において印刷装置及び印刷システムでは、ホストコンピュータ0102あるいは操作パネル0109から印刷指示が行われると(0402)、全ページ出力終了まで各ページにおいて以下の処理が繰り返される(0403から0414)。ホストコンピュータ0102上の、印刷装置0101に対するユーザインタフェースあるいは、操作パネル0109上の進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ現ページの処理開始からあらかじめ設定された時間が経過しているかを判断し(0404)、前記進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ前記時間が経過している場合は前記進行状況確認ボタンを有効化する(0405)。次にユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認指示を印刷装置0101に対して行ったか判断し(0406)、前記指示が行われている場合それまでに作成された印刷イメージを使用して1ページ印刷を行う(0407)。そしてユーザに対して、前記ユーザインタフェースを介して、このページの処理をスキップするかの選択を促す(0408、0409)。ユーザがスキップするように指示を与えた場合は、現ページの処理を終了し、次ページの処理へ移行する(0410)。次に1ページ処理が終了したかを判断し(0411)、終了した場合は1ページ印刷し(0412)、終了していない場合は現ページの処理を続行する(0413)。全ページ出力終了すると、印刷終了処理を行い(0415)、終了する(0416)。
【0015】
(実施例4)
図5は本発明における実施例の一例を示すフローチャートである。図5において印刷装置及び印刷システムでは、ホストコンピュータ0102あるいは操作パネル0109から印刷指示が行われると(0502)、全ページ出力終了まで各ページにおいて以下の処理が繰り返される(0503から0517)。ホストコンピュータ0102上の、印刷装置0101に対するユーザインタフェースあるいは、操作パネル0109上の進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ現ページの処理開始からあらかじめ設定された時間が経過しているかを判断し(0504)、前記進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ前記時間が経過している場合は前記進行状況確認ボタンを有効化する(0505)。次にユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認指示を印刷装置0101に対して行ったか判断し(0506)、前記指示が行われている場合それまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示する(0507)。そしてユーザに対して、前記ユーザインタフェースを介して前記表示された印刷イメージを印刷するかの選択を促す(0508、0509)。ユーザが印刷するように指示を与えた場合は、それまでに作成された印刷イメージを使用して1ページ印刷を行う(0510)。そしてユーザに対して、前記ユーザインタフェースを介してこのページの処理をスキップするかの選択を促す(0511、0512)。ユーザがスキップするように指示を与えた場合は、現ページの処理を終了し、次ページの処理へ移行する(0513)。次に1ページ処理が終了したかを判断し(0514)、終了した場合は1ページ印刷し(0515)、終了していない場合は現ページの処理を続行する(0516)。全ページ出力終了すると、印刷終了処理を行い(0518)、終了する(0519)。
【0016】
(他の実施例)
実施例1、2、3、4においては、進行状況確認ボタンを有効化するかの判断を、前記進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ前記時間が経過している場合として説明を行っているが、前記進行状況確認ボタンが有効になっていないかつ現在処理中ページの前ページまでの処理において異状が発生しているなどの判断でもよい。この判断基準を印刷装置及び印刷システムに対して設定可能としてもよい。
【0017】
実施例1、2、3、4においては、印刷出力部として公知の電子写真プロセスに準じて画像を顕像化する出力部を使用したが、電子写真プロセスに限ったものではなく、インクジェット方式をはじめとするインクジェット方式の出力部や、それ以外の印刷出力部にも適用することができる。
【0018】
実施例1、2、3、4においては、逐次処理で説明を行っているが、並列処理も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る一実施例における印刷装置及び印刷システムのブロック図
【図2】本発明における実施例の一例を示すフローチャート
【図3】本発明における実施例の一例を示すフローチャート
【図4】本発明における実施例の一例を示すフローチャート
【図5】本発明における実施例の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0020】
0101 印刷装置本体
0102 ホストコンピュータ
0103 CPU装置
0104 受信バッファ
0105 ブートROM
0106 RAM
0107 印刷出力部
0108 ハードディスクドライブ
0109 操作パネル
0110 NVRAM
0111 画像読み取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置において印刷処理を行う際に、1ページ毎の処理中に、あらかじめ設定された条件を満たすと、前記印刷装置のユーザインタフェース上の進行状況確認ボタンが有効化され、ユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認を指示すると、前記印刷装置は現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの処理開始から一定時間以上要していること、であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの前ページまでの処理において異状が発生していること、であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを前記ユーザインタフェースに表示した後、ユーザから現在の処理中ページをスキップすることが前記ユーザインタフェースから指示されると、次ページの処理へ移行することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷装置において印刷処理を行う際に、1ページ毎の処理中に、あらかじめ設定された条件を満たすと、前記印刷装置のユーザインタフェース上の進行状況確認ボタンが有効化され、ユーザが前記進行状況確認ボタンを使用して進行状況の確認を指示すると、前記印刷装置は現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを用いて印字動作を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの処理開始から一定時間以上要していること、であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記あらかじめ設定された条件は、現在処理中ページの前ページまでの処理において異状が発生していること、であることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記現在の処理中ページのそれまでに作成された印刷イメージを用いて印字動作を行った後、ユーザから現在の処理中ページをスキップすることが前記ユーザインタフェースから指示されると、次ページの処理へ移行することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−159477(P2006−159477A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351042(P2004−351042)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】