説明

印刷装置及び印刷方法

【課題】光のエネルギーを吸収することで硬化するインクを用いる場合において、光のエネルギーの吸収度合いが異なるインク間であっても同程度に硬化させること。
【解決手段】(A)光の照射エネルギーにより硬化するブラックインク滴を媒体に噴射するブラックインクノズルと、(B)前記ブラックインク滴以外の色のカラーインク滴であって、前記光の照射エネルギーにより硬化する前記カラーインク滴を前記媒体に噴射するカラーインクノズルと、(C)前記媒体に対して光を照射する照射部と、(D)前記媒体の画素にブラックのドットを形成する場合に、前記画素に前記ブラックインク滴を複数回噴射させ、前記ブラックインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記ブラックインク滴を硬化させ、前記媒体の画素にカラーのドットを形成する場合に、前記画素に前記カラーインク滴を1回噴射させ、前記カラーインク滴を噴射した画素に前記光を照射して前記カラーインク滴を硬化させる、制御部と、を備える印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線などの光を吸収することにより硬化する紫外線硬化型インクを噴射して印刷を行う印刷装置が開発されている。このようなインクには、少なくとも、紫外線などの光によって硬化する硬化成分と、表現する色の顔料が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265263号公報
【特許文献2】特開2004−291459号公報
【特許文献3】特開2005−335073号公報
【特許文献4】国際公開第2005/105452号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば黒色などの紫外線を吸収しやすい色の顔料を含む紫外線硬化型のインクを用いた場合、紫外線の多くはその顔料に吸収されてしまう。その結果、硬化成分に紫外線が行き渡らず、他の色の顔料を含む紫外線硬化型のインクよりも硬化しにくい。そうすると、紫外線を吸収しやすい顔料を含むインクと、そうでないインクとで硬化具合が異なることとなり、印刷物の光沢性が異なってしまうという問題があった。よって、紫外線等により硬化しにくいインクを用いる場合であっても、他の色のインクと同程度に硬化をさせることが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光のエネルギーを吸収することで硬化するインクを用いる場合において、光のエネルギーの吸収度合いが異なるインク間であっても同程度に硬化させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
(A)光の照射エネルギーにより硬化するブラックインク滴を媒体に噴射するブラックインクノズルと、
(B)前記ブラックインク滴以外の色のカラーインク滴であって、前記光の照射エネルギーにより硬化する前記カラーインク滴を前記媒体に噴射するカラーインクノズルと、
(C)前記媒体に対して光を照射する照射部と、
(D)前記媒体の画素にブラックのドットを形成する場合に、前記画素に前記ブラックインク滴を複数回噴射させ、前記ブラックインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記ブラックインク滴を硬化させ、
前記媒体の画素にカラーのドットを形成する場合に、前記画素に前記カラーインク滴を1回噴射させ、前記カラーインク滴を噴射した画素に前記光を照射して前記カラーインク滴を硬化させる、制御部と、
を備える印刷装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】プリンター1の全体構成ブロック図である。
【図2】プリンター1の斜視図である。
【図3】ヘッドの構造を説明する図である。
【図4】駆動信号を説明する図である。
【図5】ヘッド41の下面に設けられるノズルの配列を示す図である。
【図6】ブラックインクの噴射について説明する図である。
【図7】カラーインクの噴射について説明する図である。
【図8】図8Aは、ブラックインクによりドットが形成された様子を説明する図であり、図8Bは、カラーインクによりドットが形成された様子を説明する図である。
【図9】本実施形態において用いられるインクの組成を説明する表である。
【図10】第2実施形態における印刷デューティを説明する図である。
【図11】第5実施形態におけるプリンター1の概略側面図である。
【図12】第5実施形態におけるプリンター1の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
(A)光の照射エネルギーにより硬化するブラックインク滴を媒体に噴射するブラックインクノズルと、
(B)前記ブラックインク滴以外の色のカラーインク滴であって、前記光の照射エネルギーにより硬化する前記カラーインク滴を前記媒体に噴射するカラーインクノズルと、
(C)前記媒体に対して光を照射する照射部と、
(D)前記媒体の画素にブラックのドットを形成する場合に、前記画素に前記ブラックインク滴を複数回噴射させ、前記ブラックインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記ブラックインク滴を硬化させ、
前記媒体の画素にカラーのドットを形成する場合に、前記画素に前記カラーインク滴を1回噴射させ、前記カラーインク滴を噴射した画素に前記光を照射して前記カラーインク滴を硬化させる、制御部と、
を備える印刷装置。
このようにすることで、光のエネルギーを吸収することで硬化するインクを用いる場合において、光のエネルギーの吸収度合いが異なるインク間であっても同程度に硬化させることができる。
【0011】
かかる印刷装置であって、噴射される最大の前記ブラックインク滴の質量は、噴射される最大の前記カラーインク滴の質量よりも小さいことが望ましい。
このようにすることで、硬化しにくいブラックインクについては小さなインクを噴射し、噴射の都度硬化させるので、他の硬化しやすいインクと同程度にまで硬化させることができる。
【0012】
また、前記ブラックインクに含まれる顔料の含有濃度は、前記カラーインクに含まれる顔料の含有濃度よりも低いこととしてもよい。
このようにすることで、ブラックインクについては光を吸収しやすい顔料の濃度を低くし、噴射の都度硬化させるので、他の硬化しやすいインクと同程度にまで硬化させることができる。
【0013】
また、前記カラーインク滴を噴射する第1印刷モードと、前記カラーインク滴を噴射しない第2印刷モードと、を有し、前記第2印刷モードにおいて噴射される最大のブラックインク滴の質量は、前記第1印刷モードにおいて噴射される最大のブラックインク滴の質量よりも大きいことが望ましい。
カラーインク滴を噴射しない所謂モノクロモードの印刷においては、他の色のインクとの混色を生じないので、ブラックインクのドットのサイズを大きくすることができる。
【0014】
また、前記ブラックインク滴の硬化及び前記カラーインク滴の硬化が仮硬化であることが望ましい。
このようにすることで、適切にブラックインク滴及びカラーインク滴を仮硬化させることができる。
【0015】
また、さらに、前記光の照射エネルギーにより硬化するイエローインク滴を媒体に噴射するイエローインクノズル列を備え、前記制御部は、前記媒体の画素にイエローのドットを形成する場合に、前記画素に前記イエローインク滴を複数回噴射させ、前記イエローインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記イエローインク滴を硬化させることが望ましい。
このようにすることで、紫外線をより吸収しやすい顔料を含み比較的硬化しにくいイエローインクを用いる場合であっても、複数回にわけて噴射し、噴射の都度硬化させるので、他の硬化しやすいインクと同程度にまで硬化させることができる。
【0016】
また、さらに、前記光の照射エネルギーにより硬化するグリーンインク滴を媒体に噴射するグリーンインクノズル列を備え、前記制御部は、前記媒体の画素にグリーンのドットを形成する場合に、前記画素に前記グリーンインク滴を複数回噴射させ、前記グリーンインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記グリーンインク滴を硬化させることが望ましい。
このようにすることで、紫外線をより吸収しやすい顔料を含み比較的硬化しにくいグリーンインクを用いる場合であっても、複数回にわけて噴射し、噴射の都度硬化させるので、他の硬化しやすいインクと同程度にまで硬化させることができる。
【0017】
媒体の画素に光の照射エネルギーにより硬化するブラックインク滴を複数回噴射させ、前記ブラックインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記ブラックインク滴を硬化させてブラックのドットを形成することと、
前記媒体の画素に光の照射エネルギーにより硬化するカラーインク滴を1回噴射させ、前記カラーインク滴を噴射した画素に前記光を照射して前記カラーインク滴を硬化させてカラーのドットを形成することと、
を含む印刷方法。
このようにすることで、光のエネルギーを吸収することで硬化するインクを用いる場合において、光のエネルギーの吸収度合いが異なるインク間であっても同程度に硬化させることができる。
【0018】
===第1実施形態===
以下、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
【0019】
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図である。図2は、プリンター1の斜視図である。コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。なお、コンピューター60には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。プリンタードライバーは、CD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されていたり、インターネットを介してコンピューターにダウンロード可能であったりする。
【0020】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0021】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向)に所定の搬送量で媒体Sを搬送させるものである。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ31を有する。
【0022】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41はキャリッジ31によって移動方向に移動する。ヘッド41の下面には、インク噴射部であるノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入ったインク室(不図示)が設けられている。
【0023】
駆動信号生成回路70は、ヘッドに含まれるピエゾ素子などの駆動素子に印加してインク滴を吐出させるための駆動信号を生成する。駆動信号生成回路70は、不図示のDACを含む。そして、ユニット制御回路14から送られた駆動信号の波形に関するデジタルデータに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成回路70は不図示の増幅回路も含んでおり、生成された電圧信号について電力増幅を行い、駆動信号を生成する。尚、この駆動信号生成回路70は、ブラックインクノズル列に供給される駆動信号COM_Aとカラーインクノズル列に供給される駆動信号COM_Bとを生成する。ここで、「カラーインク」とは、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクである。
【0024】
紫外線照射ユニット80は、紫外線を照射するLEDからなるユニットであって、後述するようにヘッド41と共にヘッドの移動方向に移動する。そして、紫外線硬化型のインクを硬化させる。
【0025】
図3は、ヘッドの構造を説明する図である。図には、ヘッド41のノズルNz、ピエゾ素子PZT、インク供給路402、ノズル連通路404、及び、弾性板406が示されている。
【0026】
インク供給路402には、不図示のインクタンクからインク滴が供給される。そして、これらのインク滴等は、ノズル連通路404に供給される。ピエゾ素子PZTには、後述する駆動信号の駆動パルスが印加される。駆動パルスが印加されると、駆動パルスの信号に従ってピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板406を振動させる。そして、駆動パルスの振幅に対応する量のインク滴がノズルNzから吐出されるようになっている。
【0027】
図4は、駆動信号を説明する図である。本実施形態では、カラーインクを噴射させるための駆動信号とブラックインクを噴射させるための駆動信号は異なっている。これは、後述するように、1個のブラックインクのドットは複数のインク滴が重なることで形成され、一方、1個のカラーインクのドットは1つのインク滴により形成されることに起因する。このような条件下で、ブラックインクのドットとカラーインクのドットの大きさをほぼ同じにする場合、ブラックインクのインク滴はカラーインクのインク滴の大きさよりも小さくする必要がある。
【0028】
このような理由により、両者の駆動信号は異ならせて生成されている。但し、本実施形態では、駆動信号における駆動パルスの振幅の大きさを異ならせているだけであるので、ここでは、ブラックインクの駆動信号COM_Aを例に駆動信号の説明を行う。カラーインクの駆動信号COM_Bは、ブラックインクの駆動信号COM_Aの駆動パルスの大きさを大きくしたものである。
【0029】
駆動信号COM_Aは、繰り返し周期Tごとに繰り返し生成される。繰り返し周期である期間Tは、用紙Sが1画素領域分搬送される間の期間に対応する。例えば、仮に、搬送方向の印刷解像度を360dpiとした場合、期間Tは、用紙Sが1/360インチ搬送されるための期間に相当する。そして、印刷データに含まれる画素データに基づいて、期間Tに含まれる各区間の駆動パルスPS1又はPS2がピエゾ素子PZTに印加されることによって、1つの画素領域内にドットが形成されなかったり、ドットが形成されたりすることができる。
【0030】
駆動信号COM_Aは、繰り返し周期における区間T1で生成される第1駆動パルスPS1と、区間T2で生成される第2駆動パルスPS2を有する。第1駆動パルスPS1は、微振動パルスであり、ノズルのインク面(インクメニスカス)を微振動させるための駆動パルスである。このパルスが印加される場合には、ノズルからインクは噴射されない。一方、第2駆動パルスPS2は、インク噴射用のパルスであり、ノズルからインクを噴射させるための駆動パルスである。このパルスが印加される場合には、ノズルからインクが噴射される。
【0031】
図には、第2駆動パルスPS2の振幅としてVhが示されている。この振幅を大きくすると、大きなサイズのインク滴が噴射されることになり、振幅を小さくすると小さなサイズのインク滴が噴射されることになる。よって、カラーインクの駆動信号COM_Bの第2駆動パルスPS2のVhの大きさは、ブラックインクの駆動信号COM_Aの第2駆動パルスPS2のVhの大きさよりも大きくなるようにされている。このようにすることで、ブラックインク滴のサイズを、カラーインク滴のサイズよりも小さくすることができる。
【0032】
図5は、ヘッド41の下面に設けられるノズルの配列を示す図である。なお、図はヘッド41の上面から仮想的にノズルを見た図である。ヘッド41の下面には、180個のノズルが搬送方向に所定の間隔(ノズルピッチD)で並んだノズル列が4列形成されている。図示するように、ブラックインクを噴射するブラックノズル列K・シアンインクを噴射するシアンノズル列C・マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列M・イエローインクを噴射するイエローノズル列Yが、移動方向に並んでいる。なお、各ノズル列が有する180個のノズルに対して、搬送方向の下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。
【0033】
このようなプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴射させて媒体上にドットを形成するドット形成処理と、媒体をヘッド41に対して搬送方向に搬送する搬送処理とが繰り返される。そうすることで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、ドット形成処理にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することができる。なお、ヘッド41がインク滴を噴射しながら移動方向に1回移動する動作(1回のドット形成処理・噴射動作に相当)を「パス」と呼ぶ。
【0034】
また、本実施形態におけるヘッドには、紫外線照射ユニット80も設けられている。紫外線照射ユニット80は、第1LEDアセンブリ81と第2LEDアセンブリ82を備える。それぞれのLEDアセンブリは複数のLEDからなるものである。これらのLEDアセンブリは、395nmの波長をピークとする紫外線を照射する。
【0035】
第1LEDアセンブリ81と第2LEDアセンブリ82は、図に示されるように、ヘッド41の移動方向に関して両サイドに設けられている。そして、印刷動作中において常時点灯する。このようにすることによって、各ノズル列から噴射され媒体に着弾したインクを、その都度、硬化させることができるようになっている。すなわち、各パス毎に、媒体に着弾したインクを硬化させることができる。
【0036】
図6は、ブラックインクの噴射について説明する図である。図の左側には、ノズル列の媒体に対する相対移動が示され、図の右側には、画素の行番号と列番号に対応する形成対象ノズルの番号が示されている。
【0037】
また、図には、ブラックインクノズル列K、及び、カラーインクノズル列としてイエローインクノズル列Y、マゼンタインクノズル列M、シアンインクノズル列Cが示されている。ここでは、説明の簡略のため、1ノズル列に属するノズル数が8個に減らして描かれている。また、ノズル間距離としてDが示されている。そして、ここでは、4D/3の搬送量で媒体が搬送されるものとする。
【0038】
図の右側には、各画素についてインク滴を噴射可能なノズル番号が示されている。例えば、1行1列目の画素には「7」と「3」が示されているが、これは、7番ノズルと3番ノズルが当該画素にインク滴を噴射することができることを示している。また、例えば、2行2列目の画素には、「6」と「2」が示されているが、これは、6番ノズルと2番ノズルが当該画素にインク滴を噴射することができることを示している。
【0039】
1つの画素について1つのインク滴は1パスで噴射される。よって、この図に示される例では、1つの画素には2つのインク滴が噴射されるように2パスでドットが形成されることになっている。
【0040】
このようにして、ブラックインクについては、図6に示されるようにして、各画素に2つのインク滴が噴射される。そして、2つのインク滴により1つのドットが形成されるようになっている。
【0041】
図7は、カラーインクの噴射について説明する図である。本図でも、左側には、ノズル列の媒体に対する相対移動が示され、図の右側には、画素の行番号と列番号に対応する形成対象ノズルの番号が示されている。
【0042】
ブラックインクノズル列もカラーインクノズル列も、ヘッドにおいて一体であるため、媒体が前述の図6に示されるように搬送されるとすると、カラーインクのノズルに関しても、例えば、1行1列目の画素には、7番ノズルと3番ノズルが当該画素にインク滴を噴射できることになる。つまり、2パスで2つのインク滴を噴射できることになる。しかしながら、本実施形態では、カラーインクに関しては、1つの画素に1つのインク滴しか噴射しないこととしているため、1つの画素における1パス目と2パス目のうち、2パス目ではインクを噴射しない(図には、噴射しない意として「×」が示されている)。
このようにすることによって、カラーインクについては、各画素に1つのインク滴が噴射される。そして、1つのインク滴により1つのドットが形成されるようになっている。
【0043】
上述の動作によって、ブラックインク滴は1画素に複数のインク滴が噴射されるが、その際、画素にはブラックインク滴の噴射毎に紫外線が照射され、噴射の都度硬化される。また、ここでは、ブラックインクのインク滴の大きさはカラーインクのインク滴の大きさよりも小さいため、1つのブラックインク滴は確実に媒体上で硬化させられる。
このようにすることによって、紫外線の吸収度合いが異なるインク間であっても、適切に同程度に硬化させることができるようになる。
【0044】
図8Aは、ブラックインクによりドットが形成された様子を説明する図である。図8Bは、カラーインクによりドットが形成された様子を説明する図である。それぞれの図には、1画素に着弾したインク滴が示されている。図に示されるように、ブラックのドットは複数のインク滴により構成される。また、カラーインクのドットは1つのインク滴により構成される。
【0045】
尚、ここでは、ブラックインクに関し、1画素に2つのインク滴でドットを構成させることとしたが、1画素に複数のインク滴を噴射することによってドットを構成させることとしてもよい。
【0046】
また、前述の実施形態ではブラックインクのみについて、1画素に2つのインク滴でドットを構成させることとし、かつ、1つのインク滴が噴射される都度、紫外線照射ユニットにより硬化させることとしていたが、さらに、別の色の硬化しづらいインクについても、同じような動作を行うこととしてもよい。具体的には、イエローの顔料を含むイエローインクに関しても、1画素に複数のインク滴でドットを構成させることとし、かつ、1つのインク滴が噴射される都度、紫外線照射ユニットにより硬化させることとしてもよい。また、グリーンの顔料を含むグリーンインクを噴射するグリーンインクノズル列を有する場合に関しても、1画素に複数のインク滴でドットを構成させることとし、かつ、1つのインク滴が噴射される都度、紫外線照射ユニットにより硬化させることとしてもよい。
【0047】
<ブラックインクについて>
本実施形態においてブラックインクとは、カーボンブラックなどの黒色色材を含有して黒い色の画像の印刷に用いるインクのことである。なお、ブラックインクにおける黒色色材の含有濃度は特に限るものではなく、含有濃度の低いいわゆる淡ブラックインクもブラックインクに含む。
【0048】
<インクの組成>
・放射線硬化型インク組成物
次に、本実施形態で使用される放射線硬化型インク(紫外線硬化型インクもこれに含まれる)の組成の例について説明する。
【0049】
・重合性化合物
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、以下に示す単官能モノマー、二官能モノマー、三官能モノマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、アミノアクリレート等が挙げられる。
【0050】
単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上併用して用いてもよい。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートという記載は、アクリレートまたはメタクリレートを示すものである。
【0051】
二官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、脂環式構造を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等が挙げられる。また、脂環式構造を有するジ(メタ)アクリレートとしては、例えばトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上併用して用いてもよい。
【0052】
三官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
また、他の重合性化合物としては、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
【0054】
また、重合性化合物として、ウレタン系オリゴマーを含んでいてもよい。ウレタン系オリゴマーとは、分子中にウレタン結合とラジカル重合可能な不飽和二重結合とを一以上有するものをいう。ここで、本実施形態において用いられるオリゴマーとは、相対分子質量(分子量と同義である。)の小さい分子から実質的あるいは概念的に得られる単位の少数回、一般的には約2回ないし20回程度の繰り返し構造をもつ中程度の大きさの相対分子質量を有する分子をいう。
【0055】
ウレタン系オリゴマーとしては、ポリオールと、ポリイソシアネートおよびポリハイドロオキシ化合物と、の付加反応により生じるオリゴマーを挙げることができる。また、ウレタン系オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル系ウレタンアクリレート、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、ポリブタジエン系ウレタンアクリレート、ポリオール系ウレタンアクリレート等を挙げることができる。具体的には、ウレタン系オリゴマーとしては、CN963J75、CN964、CN965、CN966J75(いずれもSARTOMER社から入手可能)等を挙げることができる。
【0056】
また、重合性化合物として、アミノアクリレートを含んでいてもよい。アミノアクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレートと、アミン化合物と、を反応させて得られるものを挙げられる。
【0057】
二官能アクリレートとしては、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、チオビスフェノールのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールアルキレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
アミン化合物としては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン等の単官能アミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、メンタンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルノメタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、スピロアセタール系ジアミン等の多官能アミン化合物を挙げることができる。また、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の高分子量タイプの多官能アミン化合物も挙げることができる。
【0059】
重合性化合物の含有量は、放射線硬化型インク組成物の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
【0060】
・光重合開始剤
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤とは、記録媒体の上に吐出された放射線硬化型インク組成物に活性放射線を照射することによって、前述した重合性化合物の共重合反応を開始させる機能を有する化合物の総称である。
【0061】
光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等の公知の光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、前述した反応成分との相溶性に優れた2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、広域な吸光特性を有するビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等の分子開裂型や、ジエチルチオキサントン等の水素引き抜き型が好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤が好ましい理由は、光開裂の前後で発色団の構造が大きく変化するため吸収の変化が大きく、フォトブリーチング(光退色)と呼ばれる吸収の短波長が見られるからである。また、吸収がUVからVL領域まで及ぶにもかかわらず黄変が起こりにくく、内部硬化にも優れているからである。このため、透明な厚膜や隠蔽力の大きい顔料入り塗膜に対して特に好ましい。チオキサントン系の光重合開始剤が好ましい理由は、光開裂後の反応系内に残存する酸素と反応して系内の酸素の濃度を下げる作用があるからである。酸素濃度が下がる分だけ、ラジカル重合阻害の程度が低減できるので、表面硬化性を改善することができる。さらにアシルフォスフォン系の光重合開始剤とチオキサントン系の光重合開始剤とを併用するのが特に好ましい。これらの光重合開始剤は、1種単独で用いることもできるが、2種以上組み合わせて用いることによりそれぞれの特性を最大限に引き出すことが可能となる。
【0062】
光重合開始剤の含有量は、放射線硬化型インク組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
【0063】
・その他の添加剤
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、必要に応じて、顔料、分散剤、スリップ剤、光増感剤、重合禁止剤等の添加剤を含有することができる。
【0064】
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、顔料が添加されて用いられるが、そのままでもいわゆるクリアインクとして機能することができる。本実施形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。一方、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。
【0065】
本実施形態で使用可能な顔料の具体例のうち、カーボンブラックとしては、C.I.ピグメントブラック7が挙げられ、例えば、三菱化学株式会社から入手可能なNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビアケミカルカンパニー社から入手可能なRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、また、キャボット社から入手可能なRegal400R、同330R、同660R、MogulL、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、また、デグッサ社から入手可能なColorBlackFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlackS150、同S160、同S170、Printex35、同U、同V、同140U、SpecialBlack6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
【0066】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物をイエローインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
【0067】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物をマゼンタインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0068】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物をシアンインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、16、22、60等が挙げられる。
【0069】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物をグリーンインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、8、36等が挙げられる。
【0070】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物をオレンジインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ51、66等が挙げられる。
【0071】
また、本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物をホワイトインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
【0072】
本実施形態で使用可能な顔料の平均粒子径は、好ましくは10nm以上200nm以下の範囲であり、より好ましくは50nm以上150nm以下の範囲である。
【0073】
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物に添加し得る顔料の添加量は、放射線硬化型インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
【0074】
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、前述した顔料の分散性を高める目的で分散剤を添加してもよい。本実施形態で使用可能な分散剤としては、Solsperse3000、5000、9000、12000、13240、17000、24000、26000、28000、36000(以上、ルーブリゾール社製)、ディスコールN−503、N−506、N−509、N−512、N−515、N−518、N―520(以上、第一工業製薬株式会社製)等の高分子分散剤が挙げられる。
【0075】
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、スリップ剤を添加してもよい。本実施形態で使用可能なスリップ剤としては、好ましくはシリコーン系界面活性剤であり、より好ましくはポリエステル変性シリコーンまたはポリエーテル変性シリコーンである。具体的には、ポリエステル変性シリコーンとしては、BYK−347、同348、BYK−UV3500、同3510、同3530(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられ、ポリエーテル変性シリコーンとしては、BYK−3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0076】
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、光増感剤を添加してもよい。本実施形態で使用可能な光増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルフォスフィン、ナトリウムジエチルジチオフォスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
【0077】
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、重合禁止剤を添加してもよい。本実施形態で使用可能な重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール等が挙げられる。
【0078】
・物性
(1)粘度
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは5mPa・s以上50mPa・s以下であり、より好ましくは20mPa・s以上40mPa・s以下である。放射線硬化型インク組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから放射線硬化型インク組成物が適量吐出され、放射線硬化型インク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取った。
【0079】
(2)表面張力
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物の20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上30mN/m以下である。放射線硬化型インク組成物の20℃における表面張力が前記範囲内にあると、放射線硬化型インク組成物が撥液処理されたノズルに濡れにくくなる。これにより、ノズルから放射線硬化型インク組成物が適量吐出され、放射線硬化型インク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で、白金プレートをインクで濡らした時の表面張力を確認した。
【0080】
・記録媒体
本実施形態に係る画像形成方法に用いる記録媒体としては、インク非吸収性または低吸収性であることが好ましい。本実施形態の画像形成方法を用いると、記録媒体がインク非吸収性または低吸収性であっても、良好な画像を形成することができる。
【0081】
インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
【0082】
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。なお、本明細書では、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体を「プラスチックメディア」ともいう。
【0083】
===第2実施形態===
第2実施形態において、ブラックインクなどの硬化しにくいインクに関しては1画素あたり複数回の噴射と紫外線の照射でドットを形成する点では、前述の第1実施形態と共通する。しかしながら、第2実施形態では、ブラックインクに含まれる顔料の質量パーセントをカラーインクに含まれる質量パーセントよりも低くしている。尚、第2実施形態におけるブラックインクのインク滴の大きさは、第1実施形態のときにおけるブラックインクのインク滴の大きさよりも大きい。
【0084】
図9は、本実施形態において用いられるインクの組成を説明する表である。以下、本実施形態において用いられるインクについて具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、図9におけるE90は、インクを90%硬化させるのに必要な紫外線照射エネルギ−である。インクの硬化率は、特開2004−216681の0029段に記載の方法で求めることができる。
【0085】
・顔料分散液の調整
着色剤としてブラック顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「MICROLITH−WA Black C−WA」)18質量部、分散剤としてSolsperse36000(LUBRIZOL社製)1.2質量部に、単官能モノマーとしてのフェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社、商品名「V#192」)を加えて全体を100質量部とし、混合撹拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所株式会社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離することにより、ブラック顔料分散液を得た。また、同様にして、シアン顔料分散液、マゼンタ顔料分散液、およびイエロー顔料分散液を得た。
【0086】
・放射線硬化型インク組成物の調製
図9に記載の組成(質量%)となるように、重合性化合物、光重合開始剤、スリップ剤、重合禁止剤を混合し完全に溶解させた後、これに前記ブラック顔料分散液をブラック顔料の濃度が図9に記載の濃度となるように撹拌しながら滴下した。滴下終了後、常温で1時間混合撹拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過して、ブラック放射線硬化型インク組成物を得た。また、同様にして、シアン放射線硬化型インク組成物、マゼンタ放射線硬化型インク組成物、およびイエロー放射線硬化型インク組成物を得た。
【0087】
なお、図9で使用した成分は、下記のとおりである。
(1)重合性化合物
・フェノキシアクリレート(大阪有機化学工業株式会社、商品名「V#192」)
・ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA512AS」)
・ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA511AS」)
・N−ビニルカプロラクタム(BASF社製、商品名「N−ビニルカプロラクタム」)
・アミノアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名「EBECRYL 7100」)
・トリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名「APG−200」)
・ジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名「APG−100」)

(2)重合禁止剤
・p−メトキシフェノール(関東化学株式会社製)

(3)スリップ剤
・BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン)

(4)光重合開始剤
・IRGACURE 819(チバ・ジャパン株式会社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、光重合開始剤)
・DAROCUR TPO(チバ・ジャパン株式会社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、光重合開始剤)
・DETX(日本化薬株式会社製、光重合開始剤)

(5)分散剤
・Solsperse36000(LUBRIZOL社製)

(6)顔料
・MICROLITH−WA Black C−WA(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、ブラック顔料)
・IRGALITE BLUE GLVO(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、シアン顔料)
・CROMOPHTAL PinkPT(SA) GLVOチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、マゼンタ顔料
・IRGALITE YELLOW LBGチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、イエロー顔料
【0088】
図9に示されているように、ブラックインクの顔料の質量パーセントは、他のインク(シアン、マゼンタ、イエロー)に比べて最も低いものとなっている(ブラックは1.80、シアンは2.00、マゼンタは5.00、イエローは8.00である)。このように、低顔料濃度のインクを複数回に分けて噴射して、噴射の都度硬化させることによっても、紫外線の吸収度合いが異なるインク間であっても同程度に硬化させることができるようになる。
【0089】
図10は、第2実施形態における印刷デューティを説明する図である。図には、画像濃度に対する印刷デューティが示されている。尚、濃度は255階調で示されている。
【0090】
印刷デューティは、単位面積当たりの全画素数(画素の行数×列数)を100%としたとき、そのうち何%の画素にドットが形成されているのかを示す(画像データの濃度に対応する)。通常、画像データは、印刷デューティ0〜100%でドット形成される。
【0091】
しかしながら、第2実施形態において、ブラックインクは低顔料濃度のインクを使用していた。そのため、ブラックインクに関しては、印刷デューティとして0〜200%が設定できるようになっている。そして、1画素あたり2つのインク滴を吐出することができるようになっている。濃度を基準としたとき、ブラックインクの印刷デューティ200%は、他のカラーインクの印刷デューティ100%に相当するものである。
【0092】
===第3実施形態===
上述の実施形態では、主に、ブラック以外のカラーインクは、1画素あたり1回のインクの噴射が行われるものとして説明を行ったが、これには限られない。すなわち、イエローY、マゼンタM、及び、シアンCについても、1画素あたり複数回のインクの噴射が行われるものとしてもよい。
【0093】
===第4実施形態===
上述の実施形態では、カラー印刷を行うべく、ブラックインクのみならず、カラーインクについても噴射するカラー印刷モードについて説明を行ったが、ブラックインクのみを噴射するモノクロ印刷モードを設けることとしてもよい。
【0094】
このとき、モノクロ印刷モードにおいて噴射されるブラックインク滴のサイズ(質量)は、カラー印刷モードにおいて噴射するブラックインク滴のサイズよりも大きいものとすることが望ましい。ブラックインク滴のサイズを大きくする手法としては、前述の駆動信号における第2駆動パルスPS2の振幅を大きくすることで実現することができる。なお、各印刷モードにおいて噴射するブラックインク滴として複数のサイズを用いる場合は、モノクロ印刷モードにおいて噴射する最大のブラックインク滴の質量を、カラー印刷モードにおいて噴射する最大のブラックインク滴の質量よりも大きくすることが望ましい。
【0095】
このように、カラーインク滴を噴射しないモノクロ印刷モードにおいては、他の色のインクとの混色が生じないので、このようにブラックインク滴のサイズを大きくすることができる。
【0096】
===第5実施形態===
図11は、第5実施形態におけるプリンター1の概略側面図である。図12は、第5実施形態におけるプリンター1の概略上面図である。
【0097】
搬送ローラー111A及び排紙ローラー112Aは不図示のモーターに接続されており、モーターの回転はコントローラー10によって制御される。そして、搬送ローラー111Aと第1押さえローラー111Bに挟み込まれることで、媒体は搬送方向に搬送される。また、排紙ローラー112Aと第2押さえローラー112Bに挟み込まれることで、媒体は搬送方向に搬送され排紙される。
【0098】
第5実施形態において、ヘッドユニット40は、ブラックヘッドユニット141K、イエローヘッドユニット141Y、マゼンタヘッドユニット141M、及び、シアンヘッドユニット141C、を含む。さらに、ヘッドユニット40は、第1ブラックヘッドユニット141K1と、第2ブラックヘッドユニット141K2を含む。そして、第1ブラックヘッドユニット141K1におけるノズルの位置と、第2ブラックヘッドユニット141K2におけるノズルの位置は、幅方向に関して一致するように構成されている。
【0099】
紫外線照射ユニット80は、5つのLEDアセンブリ181C、181M、181Y、181K1、181K2を含む。また、紫外線照射ユニット80は、さらに最終段に紫外線照射装置191を設けることとしてもよい。
【0100】
尚、各色のヘッドユニットの並び順はこれに限られない。例えば、シアン、マゼンタ、イエローについても、ヘッドユニットを2セット用意してもよい。
【0101】
また、シアン、マゼンタ、イエローについては、個別のLEDアセンブリを設けなくてもよい。少なくとも、2つのブラックヘッドユニットから噴射されるブラックインクをそれぞれ個別に硬化させることができる第1ブラックヘッドユニット141K1と第2ブラックヘッドユニット141K2が設けられていればよい。
【0102】
===その他の実施の形態===
<複数サイズのドットを形成する場合について>
ブラックインクドット及びカラーインクドットともに、複数のサイズのドットを形成する場合がある。このような場合には、インク滴も複数の大きさのインク滴を噴射することで、複数のサイズのドットを形成することができる。このとき、噴射する最大のブラックインクのインク滴の質量を最大のカラーインクのインク滴の質量よりも小さくする。インク滴の質量を小さくする手法としては、図4を用いて説明したように駆動パルスの振幅を調整することによって行うことができる。
【0103】
<その他の装置>
上述の実施形態では、プリンター1が説明されていたが、これに限られるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする液体吐出装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【0104】
<ヘッドについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0105】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0106】
例えば、上記の実施形態での第1〜4実施形態において、媒体にインクを着弾させたパスにおいてヘッドに設けられた照射ユニットによって紫外線を照射することによって、着弾したインクにブリードやにじみが発生しない程度の硬化である仮硬化をさせてもよい。仮硬化におけるインクの硬化率は80%未満である。この場合、媒体にインクを着弾させたパスにおける照射による仮硬化よりも後で更に照射が行なわれて、本硬化(インクの硬化率として80%以上)まで行なわれる。本硬化は印刷物を使用するのに適した硬化率まで硬化させる硬化である。一方、媒体にインクを着弾させたパスにおけるヘッドに設けられた照射ユニットによる照射でインクを本硬化まで硬化させてもよい。前者の場合は、本硬化用の他の光源を別途、プリンターに備えさせてもよい。後者であれば本硬化用の他の光源を別途プリンターに備えさせなくてもよい。上述の第5実施形態においても、図11の各LEDアセンブリー181で行なう照射により仮硬化をさせてもよいし、本硬化までさせてもよく、本硬化をさせる場合は紫外線照射装置191はなくてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 プリンター、10 コントローラー、
11 インターフェース、12 CPU、
13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 コンピューター、
80 紫外線照射ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光の照射エネルギーにより硬化するブラックインク滴を媒体に噴射するブラックインクノズルと、
(B)前記ブラックインク滴以外の色のカラーインク滴であって、前記光の照射エネルギーにより硬化する前記カラーインク滴を前記媒体に噴射するカラーインクノズルと、
(C)前記媒体に対して光を照射する照射部と、
(D)前記媒体の画素にブラックのドットを形成する場合に、前記画素に前記ブラックインク滴を複数回噴射させ、前記ブラックインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記ブラックインク滴を硬化させ、
前記媒体の画素にカラーのドットを形成する場合に、前記画素に前記カラーインク滴を1回噴射させ、前記カラーインク滴を噴射した画素に前記光を照射して前記カラーインク滴を硬化させる、制御部と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
噴射される最大の前記ブラックインク滴の質量は、噴射される最大の前記カラーインク滴の質量よりも小さい、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ブラックインクに含まれる顔料の含有濃度は、前記カラーインクに含まれる顔料の含有濃度よりも低い、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記カラーインク滴を噴射する第1印刷モードと、前記カラーインク滴を噴射しない第2印刷モードと、を有し、
前記第2印刷モードにおいて噴射される最大のブラックインク滴の質量は、前記第1印刷モードにおいて噴射される最大のブラックインク滴の質量よりも大きい、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ブラックインク滴の硬化及び前記カラーインク滴の硬化が仮硬化である、請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
さらに、前記光の照射エネルギーにより硬化するイエローインク滴を媒体に噴射するイエローインクノズル列を備え、
前記制御部は、前記媒体の画素にイエローのドットを形成する場合に、前記画素に前記イエローインク滴を複数回噴射させ、前記イエローインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記イエローインク滴を硬化させる、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
さらに、前記光の照射エネルギーにより硬化するグリーンインク滴を媒体に噴射するグリーンインクノズル列を備え、
前記制御部は、前記媒体の画素にグリーンのドットを形成する場合に、前記画素に前記グリーンインク滴を複数回噴射させ、前記グリーンインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記グリーンインク滴を硬化させる、請求項1〜6のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項8】
媒体の画素に光の照射エネルギーにより硬化するブラックインク滴を複数回噴射させ、前記ブラックインク滴の噴射毎に前記画素に前記光を照射して前記ブラックインク滴を硬化させてブラックのドットを形成することと、
前記媒体の画素に光の照射エネルギーにより硬化するカラーインク滴を1回噴射させ、前記カラーインク滴を噴射した画素に前記光を照射して前記カラーインク滴を硬化させてカラーのドットを形成することと、
を含む印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−16870(P2012−16870A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155062(P2010−155062)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】